Polishing tape

申请号 JP12319997 申请日 1997-04-25 公开(公告)号 JPH10296643A 公开(公告)日 1998-11-10
申请人 Tdk Corp; ティーディーケイ株式会社; 发明人 OKADA KESAO; KUROSE SHIGEO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a polishing tape which can prevent polishing flaws from occurring on a surface to be polished as much as possible and has little scraping in its polishing layer as well as excellent polishing capability, in polishing the surface of a magnetic head, a magnetic disc, or the like. SOLUTION: This polishing tape 1 is provided with a polishing layer 3 which contains inorganic powder material and binding agent as main ingredients on a flexible supporter 2. The bonding agent contained in the polishing layer 3 is formed so as to have the following: 1) Phenoxy resin 2) Number average molecular weight Mn contains a polyester polyurethane resin of 20000
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 可撓性支持体の上に、無機質粉体および結合剤を主成分として含有する研磨層を備える研磨テープにおいて、 前記研磨層に含有される結合剤は、 1)フェノキシ樹脂と、 2)数平均分子量Mnが、20000≦Mn≦1000
    00のポリエステルポリウレタン樹脂を含有してなることを特徴とする研磨テープ。
  • 【請求項2】 前記フェノキシ樹脂の数平均分子量が、
    10000を超えてなる請求項1に記載の研磨テープ。
  • 【請求項3】 前記フェノキシ樹脂とポリエステルポリウレタン樹脂との重量配合割合が、5:95〜70:3
    0である請求項1または請求項2に記載の研磨テープ。
  • 【請求項4】 前記ポリエステルポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが、−50℃〜80℃である請求項1
    ないし請求項3のいずれかに記載の研磨テープ。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドや磁気ディスク等の表面の研磨に用いられる研磨テープに関する。

    【0002】

    【従来の技術】磁気ヘッドの精密仕上げ加工や磁気記録媒体の表面仕上げ加工には、可撓性支持体の上に研磨層を有する研磨テープが用いられる。 研磨層は、研磨層形成用塗料を可撓性支持体の上に塗設した後、乾燥させることによって形成され、研磨層形成用塗料中には、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、酸化鉄、窒化珪素、ダイアモンド等の無機質粉体;塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の有機質結合剤(バインダ);およびその他の配合剤などが混練・分散された状態で含有されている。

    【0003】従来より知られている研磨テープの製造方法としては、特開平5−192869号公報に記載の方法があり、当該方法は、特定の構造式からなる繰り返し単位を含む平均分子量1000〜10000のエポキシ樹脂と、数平均分子量5000〜20000であって末端にOH基を有するポリウレタン樹脂と、多官能イソシアネートとを含有する塗料を用いた研磨テープの製造方法である。 当該製造方法によれば、上記の各樹脂を組み合わせて使用することによって、架橋反応温度を室温にまで低下させても十分な架橋反応速度が得られ、しかも高い架橋密度が得られるとされている。

    【0004】また、特開平5−192870号公報には、特定の構造式からなる繰り返し単位を含む平均分子量1000〜50000のエポキシ樹脂と、数平均分子量10000〜30000であって末端にOH基を有しガラス転移点(Tg)が−20℃〜40℃のポリエステル樹脂と、多官能イソシアネートとを含有する塗料を用いた研磨テープの製造方法が開示されている。 そして、
    これらの樹脂を使用することによって、反応硬化中に発生する品質のバラツキを減少することができると報告されている。

    【0005】しかしながら、上記いずれの提案においても、研磨テープとして十分な塗膜強度が得られるとは言い難く、時として、研磨テスト中に研磨層塗膜の脱落が発生するという不都合が生じることがあった。

    【0006】

    【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実状のもとに創案されたものであって、その目的は、磁気ヘッドや、磁気ディスク等の表面を研磨するに際して、
    研磨テープとしての機能を十分にかつバランス良く備える研磨テープ、すなわち、研磨対象表面に研磨傷が発生するのを極防止することができ、充分な塗膜強度を有し研磨テープの研磨層の削れが少なく、かつ、研磨能力に優れた研磨テープを提供することにある。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】このような課題を解決するために、本発明者らが研磨テープに用いられる結合剤組成について鋭意研究した結果、フェノキシ樹脂と特定の分子量のポリエステルポリウレタン樹脂を混合物として含む結合剤を用いることにより、上記の課題を解決できることを見いだし、本発明に想到したのである。 すなわち、本発明は、可撓性支持体の上に、無機質粉体および結合剤を主成分として含有する研磨層を備える研磨テープにおいて、前記研磨層に含有される結合剤は、 1)フェノキシ樹脂と、 2)数平均分子量Mnが、20000≦Mn≦1000
    00のポリエステルポリウレタン樹脂を含有してなるように構成される。

    【0008】また、本発明の好ましい態様として、フェノキシ樹脂の数平均分子量が、10000を超えてなるように構成される。

    【0009】また、本発明の好ましい態様として、フェノキシ樹脂とポリエステルポリウレタン樹脂との重量配合割合が、5:95〜70:30となるよう構成される。

    【0010】また、本発明の好ましい態様として、ポリエステルポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが、−
    50℃〜80℃であるように構成される。

    【0011】

    【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を図1を参照しつつ説明する。

    【0012】図1には本発明の研磨テープの実施の形態を模式的に示した断面図が表されている。

    【0013】本発明の研磨テープ1は、可撓性支持体2
    の上に、磁気ヘッドや磁気ディスク等の表面(以下、単に『被研磨物』と称す)を研磨(クリーニング)するための研磨層3を備えている。 そして、この研磨層3には、研磨材としての無機質粉体と、この無機質粉体をバインドさせるための結合剤を含有している。

    【0014】本発明における研磨層3は、上記無機質粉体および結合剤と、必要に応じて用いられる各種添加剤等を(有機)溶剤とともに混合分散した研磨層形成用塗料を、可撓性支持体2の上に塗設し、乾燥させて形成させたものである。

    【0015】本発明において用いられる結合剤中には、
    フェノキシ樹脂と、数平均分子量Mnが、20000≦
    Mn≦100000のポリエステルポリウレタン樹脂を必須成分として含有する。

    【0016】本発明で使用されるフェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される高分子量ポリヒドロキシポリエーテルで、化学構造はエポキシ樹脂と同じであるが、一般に用いられているエポキシ樹脂と比較して、分子量がはるかに大きい。 本発明で使用されるフェノキシ樹脂の数平均分子量Mnは、10
    000を超えるもの、特に、10000を超え〜300
    00以下のものが好適に用いられる。 一般のエポキシ樹脂のように数平均分子量が10000以下では、充分な塗膜強度が得られず、研磨層の塗膜の脱落等の問題点が発生することがある。 ここでの平均分子量は、標準ポリスチレン法といわれる測定方法による値である。

    【0017】フェノキシ樹脂は、結合剤の総量に対して、5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%含有される。 含有量が5重量%未満では、研磨層の塗膜強度が低下して、研磨層塗膜の脱落等の問題点が発生する。 含有量が70重量%を超えると、研磨層の塗膜が硬くて脆く、柔軟性のない状態となり、被研磨物を傷つける原因となる。

    【0018】本発明で使用されるフェノキシ樹脂の具体的例としては、Phenoxy Associates社のフェノキシ樹脂である『PKHC』、『PKHH』、『PKHJ』等が挙げられる。 これらはいずれも上記の好適な数平均分子量を満足するものである。

    【0019】さらに本発明では、研磨層中に結合剤として、数平均分子量Mnが20000≦Mn≦10000
    0、好ましくは20000≦Mn≦80000のポリエステルポリウレタン樹脂を必須成分として含有する。 このような数平均分子量Mnを有するポリエステルポリウレタン樹脂を、研磨層に含有させることで研磨層形成用の塗料の分散性が向上し、塗設形成された研磨層は、優れた研磨特性を備えることになる。

    【0020】ポリエステルポリウレタン樹脂の数平均分子量Mnが20000未満となり小さくなりすぎると研磨層の塗膜強度が低下して、研磨層の塗膜の脱落等のトラブルが発生する。 一方、数平均分子量Mnが1000
    00を超えて大きくなりすぎると研磨層形成用塗料の分散性が低下し、研磨層の表面性の悪化を招き、研磨操作の際、被研磨物を傷つける原因となる。

    【0021】このようなポリエステルポリウレタン樹脂の含有量は、結合剤中に30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは50〜90重量%
    である。 ポリエステルポリウレタン樹脂の含有量が95
    重量%を超えて多くなりすぎると研磨層の塗膜強度が低下して、研磨層の塗膜の脱落等のトラブルが生じやすくなる。 一方、含有量が30重量%未満となり少なくなりすぎると研磨層の塗膜が硬くて脆くなり、柔軟性のない状態となり、研磨操作の際、被研磨物を傷つける原因となる。

    【0022】また、ポリエステルポリウレタン樹脂は、
    ガラス転移温度Tgが−50℃≦Tg≦+80℃、好ましくは−50℃≦Tg≦+40℃、さらに好ましくは−
    45℃≦Tg≦+20℃の範囲のものである。 ガラス転移温度が低くなりすぎると研磨層の塗膜強度が低下して研磨能が低下しやすくなる。 一方、ガラス転移温度Tg
    が高くなりすぎると、研磨層の塗膜が硬くて脆くなり、
    柔軟性のない状態となり、研磨操作の際、被研磨物を傷つける原因となる。

    【0023】なお、これらの樹脂のガラス転移温度Tg
    は、動的粘弾性測定装置を用いて測定される値である。

    【0024】本発明において用いられるポリエステルポリウレタン樹脂は、ポリエステルジオールをイソシアネートおよび、所望により鎖延長剤等の化合物と共に反応させたものである。

    【0025】本発明に使用されるポリエステルポリウレタン樹脂とは、有機ジイソシアネート(A)、分子量5
    00〜5000のポリエステルジオール(B)、分子量500未満の鎖延長剤(C)を反応させたものである。

    【0026】ポリエステルポリウレタン樹脂の製造において使用される有機ジイソシアネート(A)としては、
    2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、
    ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、2,4−
    ナフタレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−
    4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、4,4'−
    ジフェニレンジイソシアネート、4,4'−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4'−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4'−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等があげられる。

    【0027】ポリエステルポリウレタン樹脂の製造において使用されるポリエステルジオール(B)としては、
    分子量が500〜5000の範囲にあるものが挙げられる。 ポリエステルジオールのカルボン酸成分としては、
    テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5
    −ナフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。 これらの中でも特に、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。

    【0028】また、ポリエステルジオールのグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等がある。

    【0029】上記の他のポリエステルジオールとしては、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルジオール類が挙げられる。

    【0030】長鎖ジオール(B)は、前述したようにポリエステルポリウレタン樹脂の機械的特性を高めるためにポリエステルジオールであって、分子量500〜50
    00のものを使用するのがよい。 分子量が500未満ではウレタン基の濃度が大きくなり、樹脂の柔軟性や溶剤溶解性が低下するという不都合が生じる。 また、分子量が5000を超えると、ウレタン基濃度が低下してしまい、ポリエステルポリウレタン樹脂の特有な強靭性や耐摩耗性等が低下する。

    【0031】ポリエステルポリウレタン樹脂の製造時に使用される上記の分子量500未満の鎖延長剤(C)
    は、1分子中に活性水素を2個以上含み、ポリエステルポリウレタン樹脂中のウレタン基あるいはウレア基濃度を調整し、ポリエステルポリウレタン樹脂に特有な強靭性を付与する効果がある。

    【0032】鎖延長剤(C)の具体的な化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
    ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の直鎖グリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の分岐グリコール、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミノアルコール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミンあるいは水等があげられる。

    【0033】そして、本発明で好適に用いられるポリエステルポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステルジオール(1) /ポリエステルジオール(2) /ネオペンチルグリコール/4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物である。 ポリエステルジオール
    (1) としては、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/50/5
    0/50モル比のものであり、ポリエステルジオール
    (2) としてはアジピン酸/1,4−ブタンジオール/ネオペンチルグリコール=100/75/25モル比のものである。

    【0034】また、このポリエステルジオール(1) /ポリエステルジオール(2) の配合比率およびウレタン基の濃度を制御することにより、ポリエステルポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、任意に制御可能である。

    【0035】研磨層(研磨層形成用塗料)に含有されるこれらの結合剤の含有量は、研磨層に含有される無機質粉体100重量部に対して、5〜50重量部、特に10
    〜40重量部が好ましい。 結合剤の含有量が5重量部未満となり少なくなりすぎると研磨層の塗膜強度が低下するため、研磨層の塗膜の脱落が発生する。 この一方で、
    結合剤の含有量が50重量部を超えて多くなりすぎると無機質粉体の含有量が低下するため、研磨特性が悪くなる。

    【0036】これらの結合剤を硬化する架橋剤としては、各種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用いることができ、特に、トリレンジイソシアナート、
    ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナートの1種以上が好ましい。 これらの架橋剤は、トリメチロールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性した架橋剤またはジイソシアナート化合物3分子が結合したイソシアヌレート型の架橋剤として用いることが特に好ましい。 これらの架橋剤は、上記結合剤に含有される官能基等と結合して樹脂を架橋する。 架橋剤の含有量は結合剤100重量部に対し、10〜30重量部とすることが好ましい。 熱硬化性樹脂を硬化するには、一般に、加熱オーブン中で40〜80℃の温度にて12〜4
    8時間加熱すればよい。

    【0037】研磨層形成用塗料(研磨層)中に必須成分として含有される無機質粉体は、モース硬度5以上のものを用いるのが好ましく、例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、
    ダイアモンド、エメリー等の微粉末が単独または2種以上混合して使用される。 中でも特に、炭化珪素あるいは酸化アルミニウムを用いるのが好適である。

    【0038】無機質粉体の粒径は、0.1〜20μm程度の範囲のものが好ましく、実用に供する具体的粒径は、粗削りあるいは仕上げ研磨用のごとく実際の目的に合致するように選定してもちいればよい。 0.1μm未満の粒径では、仕上げ研磨用としても研磨能が不十分となる傾向にあり、また、20μmを超えると、粗削り用としても被研磨物に傷をつける等の不具合が発生しやすくなる。

    【0039】また、本発明の研磨層には、必要に応じて添加剤として潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果等を有するものが使用され、具体的には、脂肪酸
    脂肪酸エステル、シリコーンオイル類、フッ素オイル、
    各種界面活性剤、カーボンブラック等が添加され得る。

    【0040】研磨層形成用塗料に使用される有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、
    キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が単一溶剤またはこれらの任意比率の混合溶剤として用いられる。 これらの中でも、高沸点溶剤であるシクロヘキサノンを含有させることは良質な研磨層を形成させるために好適である。 シクロヘキサノンは、全有機溶剤に対して20〜60重量%、好ましくは25〜50重量%含有させるのがよい。 この範囲で研磨層の良好な表面性が得られ、研磨能を向上させることができ、さらには研磨層の削れの発生を防止することができる。

    【0041】このような研磨層形成用塗料の固形分濃度は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40
    〜60重量%とされる。 この値が30重量%未満となると、研磨層中の残留溶剤量が増加したり、ベナードセル現象により均一な塗膜が得られなくなる等の不都合が生じる。 この一方で、固形分濃度が70重量%を超えると、塗料粘度の上昇および研磨層の塗膜の乾燥速度が速くなることにより、均一な塗膜が得られなくなるという不都合が生じる。

    【0042】研磨層3の膜厚は、被研磨物の形状、材質等に応じて適宜選定すればよく、3〜25μm、さらには5〜20μmが好ましい。 膜厚が3μm未満では膜厚が薄すぎることにより、塗膜の弾力性が失われ、研磨操作の際に被研磨物を傷つける原因となりやすい。 また、
    25μmを超えると研磨操作の際に研磨層の削れが発生しやすくなる。 研磨層3は、通常単独で塗布形成されるが、2層以上の複数層とすることもできる。

    【0043】本発明に用いられる可撓性支持体2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等のフイルムを使用することができる。 必要に応じてフィラーとしてAl、Ca、Si、Ti等の酸化物や炭酸塩等の無機化合物、アクリル樹脂系微粉末等の有機化合物等を添加してもよい。 上記フィルムの中では、PET、PEN、芳香族ポリアミドが好ましく、
    さらには、PETないしPENの2種ないし3種による多層共押出しによる複合化フイルムが好ましい。 このような可撓性支持体には、予めコロナ放電処理、プラズマ放電および/または重合処理、易接着剤塗布処理、除塵処理、熱および/または調湿による緩和処理等を行ってもよい。 可撓性支持体2の厚さは、通常、5〜100μ
    m程度とされる。

    【0044】本発明の研磨層形成用塗料を製造するに際しては、分散機として、ボールミル、アトライター、サンドミルを使用することが好ましい。 分散後の塗料には、濾過工程を設けることが好ましい。 研磨層形成用塗料に無機質粉体の未分散物や凝集物あるいは樹脂不溶物などが存在すると、研磨層の塗膜を形成したときに欠陥となり、被研磨物に傷をつける原因となる。 なお、濾過工程は、研磨層形成用塗料中の異物の除去を目的としている。

    【0045】研磨テープの製造に際して、巻き出しロールから引き出された長尺・フィルム状の非磁性支持体の上には、必要に応じて硬化剤を混合しながら(あるいは混合した)塗料を、濾過工程によって所定濾過精度の濾過フィルターによって濾過した後、グラビアコート、リバースロールコート、エクストルージョンノズルコート等の公知の種々の塗布手段によって研磨層形成用塗料が塗布される。

    【0046】一般に、塗料の塗布前には可撓性支持体2
    に対して、クリーニングおよび表面調整等の目的で、水や溶剤等を使用する湿式クリーニング;不織布や極微細繊維織物等をワイパーとして使用する乾式クリーニング;圧搾空気やバキューム、イオン化空気等を使用する非接触式クリーニング等の公知の種々の手段によって可撓性支持体の前処理が行われる。 塗料と可撓性支持体との密着性や塗布面を向上させる目的等で、コロナ放電、
    紫外線照射、電子線照射等の公知の種々の非接触表面処理が行われることもある。

    【0047】可撓性支持体2に塗設された研磨層形成用塗料は、通常、乾燥炉等の内部に設けられた熱風、遠赤外線、電気ヒーター、真空装置等の公知の乾燥および蒸発手段によって乾燥される。 乾燥温度は、40〜200
    ℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80
    〜150℃の範囲で、可撓性支持体の耐熱性や溶剤種、
    固形分濃度等によって適宜選定すればよい。 乾燥温度が40℃未満となると、乾燥効率が低く残留溶剤量が増加し、200℃を超えると研磨層塗膜中の溶剤の蒸発が急激すぎるために研磨層の表面粗さの悪化を招いてしまう。 なお、乾燥炉内に温度勾配をもたせてもよく、乾燥炉内のガス雰囲気は、一般の空気または不活性ガス等を用いればよい。

    【0048】このようにして研磨層3を乾燥した後に、
    研磨層の硬化を促進するために、40℃〜80℃の熱硬化処理および/または電子線照射処理を施してもよい。

    【0049】次いで、所定の形状に切断加工し、さらに二次加工を行い、本発明の研磨テープが製造される。

    【0050】

    【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。 ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。

    【0051】(実験例1)まず、最初に、下記の要領で、ポリエステルポリウレタン樹脂を製造した。

    【0052】〈ポリエステルポリウレタン樹脂の製造〉
    温度計、撹拌機および部分環流式冷却器を具備した反応容器の中に、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、酢酸亜鉛、酢酸ナトリウムを加え、140〜220
    ℃の温度で3時間エステル交換反応を行った。

    【0053】次いで、反応系を20分かけて5mmHg
    まで減圧し、この間250℃まで昇温した。 さらに、
    0.1mmHg、250℃で重縮合反応を60分間行い、ポリエステルジオール(1)を得た。 その組成は、
    テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/50/50/50(モル比)であった。

    【0054】同様の方法により、ポリエステルジオール(2)を得た。 その組成は、アジピン酸/1,4ブタンジオール/ネオペンチルグリコール=100/75/2
    5(モル比)であった。

    【0055】温度計、撹拌機および環流式冷却器を具備した反応容器中に、トルエン、メチルイソブチルケトン、上記のポリエステルジオール(1)、上記のポリエステルジオール(2)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ネオペンチルグリコール、ジブチル錫ジラウリレートを加え、70〜90℃で8時間反応させ、表1に示されるような数平均分子量(Mn)およびガラス転移温度(Tg)を有する種々のポリエステルポリウレタン樹脂をそれぞれ製造した。

    【0056】次いで、下記の要領で、研磨層形成用塗料を作製した。

    【0057】 〈研磨層形成用塗料〉 (1)バインダー(結合剤)溶液の調整 ・フェノキシ樹脂(Phenoxy Associates社製 PKHH、 数平均分子量=15000) … 20重量部 ・ポリエステルポリウレタン樹脂(表1に示される数平均分子量Mn およびガラス転移温度Tgの物性を備える) … 80重量部 ・MEK(メチルエチルケトン) … 130重量部 ・トルエン … 130重量部 ・シクロヘキサノン … 140重量部 上記の組成物をハイパーミキサー中に投入し、6時間混合攪拌を行い、バインダー溶液とした。 上記バインダー溶液を95%カット濾過精度=15.0μmのデプスフィルターを用いて8時間の循環濾過を行った。

    【0058】 (2)分散処理 ・無機質粉体(酸化アルミニウム,フジミインコーポレーテッド社製 WA#4000) … 500重量部 ・バインダー溶液(上記のもの) … 500重量部 上記組成物をアトライターに投入し、3時間の分散を行った。

    【0059】(3)粘度調整 上記の分散処理を完了した後、さらに下記の溶剤を投入し、さらに1時間の分散を行った。

    【0060】 ・MEK(メチルエチルケトン) … 70重量部 ・トルエン … 70重量部 ・シクロヘキサノン … 80重量部 上記粘度調整後の研磨層形成用塗料を95%カット濾過精度=25.0μmのデプスフィルターを用いて8時間の循環濾過を行った。

    【0061】(4)最終塗料 濾過後の塗料1220重量部にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)20重量部を加え、攪拌混合し、研磨層形成用塗料とした。

    【0062】〈研磨テープの作製〉75μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる可撓性支持体の片側表面に上記の研磨層形成用塗料を塗布し、乾燥させた。 乾燥後の研磨層膜厚は、15μmであった。 塗布乾燥済のロールを60℃の加熱オーブンにて24時間硬化させた後、3/4インチ幅に切断して研磨テープサンプルを作製した。

    【0063】下記表1に示されるような種々の研磨テープサンプルを作製し、これらの各研磨テープサンプルについて、下記に示す要領で、相対研磨能、ヘッド研磨傷、および研磨テープ削れの特性を、それぞれ評価した。

    【0064】 相対研磨能フェライトヘッドを研磨テープサンプルを用いて研磨し、フェライトヘッド1μmを研磨するのに要する時間を求めた。 この研磨時間を、サンプルNo. 1の研磨時間に対する相対値で示した。 すなわち、基準となるサンプルNo. 1の研磨能を100とし、これに対する相対表示とした。 100よりも値が小さくなればなるほど、
    研磨能が優れる。

    【0065】 ヘッド研磨傷フェライトヘッドを研磨テープサンプルを用いて研磨した時、ヘッド表面に形成される傷の状態を光学顕微鏡にて観察し、下記の判断基準に基づいて評価した。

    【0066】 ◎…全く傷のないもの ○…1〜2本の傷は有るものの、製品としてOKレベルのもの △…3〜5本の傷は有るものの、製品としてOKレベルのもの ×…6本以上の傷が有り、製品としてNGレベルのもの研磨テープ削れフェライトヘッドを研磨テープサンプルを用いて研磨した時、研磨テープの研磨層に削れが発生している否かの状態を光学顕微鏡にて観察し、下記の判断基準に基づいて評価した。

    【0067】 ○…削れ発生なし △…軽度の削れは有るものの、製品としてOKレベルのもの ×…大きな削れが有り、製品としてNGレベルのもの これらの測定結果を下記表1に示した。

    【0068】

    【表1】

    (実験例2)上記の実験例における研磨テープサンプル1、5および6を用いて、予め準備しておいたフレキシブル磁気ディスクを研磨し、ディスク表面の傷および研磨テープ削れの特性を評価し、その結果を下記表2に示した

    磁気ディスク研磨傷フレキシブル磁気ディスクを研磨テープサンプルを用いて研磨した時、磁気ディスク表面に形成される傷の状態を、光学顕微鏡にて観察し、下記の判断基準に基づいて評価した。

    【0069】 ○…全く傷のないもの ×…傷が発生し、製品としてNGレベルのもの研磨テープ削れフレキシブル磁気ディスクを研磨テープサンプルを用いて研磨した時、研磨テープの研磨層に削れが発生したかどうかを光学顕微鏡にて観察し、下記の判断基準に基づいて評価した。

    【0070】 ○…削れ発生なし ×…削れが発生し、製品としてNGレベルのもの これらの測定結果を下記表2に示した。

    【0071】

    【表2】

    【0072】

    【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかである。 すなわち、本発明の研磨テープは、可撓性支持体の上に、無機質粉体および結合剤を主成分として含有する研磨層を備える研磨テープであって、前記研磨層に含有される結合剤は、 1)フェノキシ樹脂と、 2)数平均分子量Mnが、20000≦Mn≦1000
    00のポリエステルポリウレタン樹脂を含有してなるように構成されるので、被研磨物(研磨対象)表面に研磨傷が発生するのを極力防止することができ、研磨テープの研磨層の削れが少なく、かつ、研磨能力に優れるという極めて優れた効果を発現することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の研磨テープの断面図を模式的に示した図である。

    【符号の説明】

    1…研磨テープ 2…可撓性支持体 3…研磨層

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