ガイドパッド、切削工具本体および切削工具

申请号 JP2013502221 申请日 2012-02-07 公开(公告)号 JP5679042B2 公开(公告)日 2015-03-04
申请人 株式会社タンガロイ; 发明人 公志 西川; 公志 西川;
摘要
权利要求
  • 対向する上面(2)及び下面(3)と、該上面(2)と該下面(3)との間で延びる側面(6)と、を有し、切削工具の工具本体(10)へ着脱自在に装着される板状のガイドパッド(1)であって、
    前記ガイドパッド(1)は、前記上面(2)及び前記下面(3)を貫通するように定められる軸線(C2)に関して180度回転対称に形成されていて、
    前記上面(2)は 2つのガイド面(2a)を有し、該2つのガイド面の各々は該軸線(C2)に直交する前記ガイドパッド(1)の長手方向(A)に延び、かつ、凸状に湾 曲し
    前記上面(2)および 前記下面(3)は、 前記軸線(C2)を含むと共に前記長手方向に延びるように定められる面(S)に関して左右非対称な外形をそれぞれ有し、
    前記上面(2)および 前記下面(3)は、前記長手方向(A)に直交する方向の幅が、該長手方向の両端部において 、前記軸線が貫通するように延びる中間部よりも狭くなるように形成されてい て、
    前記2つのガイド面(2a)のうちの一方は前記長手方向の前記両端部のうちの一方に向けて延在し、前記2つのガイド面(2a)のうちの他方は前記長手方向の前記両端部のうちの他方に向けて延在する
    ことを特徴とするガイドパッド。
  • 前記上面(2)および 前記下面(3)は、前記長手方向(A)に直交する方向の幅が、当該長手方向(A)において変化している、ことを特徴とする請求項1に記載のガイドパッド。
  • 前記上面(2)及び 前記下面(3)を貫通する取付穴(8)をさらに有し、
    前記ガイドパッド(1)は、前記取付穴(8)の中心軸線(C2)に関して180度回転対称に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガイドパッド。
  • 前記上面(2)及び 前記下面(3)の外形は、略平行四辺形形状を有する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のガイドパッド。
  • 対向する上面(2)及び下面(3)と、該上面(2)と該下面(3)との間で延びる側面(6)と、を有し、切削工具の工具本体(10)へ着脱自在に装着される板状のガイドパッド(1)であって、
    前記上面(2)は、少なくとも1つのガイド面(2a)を有し、該少なくとも1つのガイド面は前記ガイドパッド(1)の長手方向(A)に延び、かつ、凸状に湾曲し、
    前記上面(2)および前記下面(3)は、左右非対称な外形をそれぞれ有し、
    前記上面(2)および前記下面(3)は、前記長手方向(A)に直交する方向の幅が、該長手方向の両端部において中間部よりも狭くなるように形成されていて、
    前記上面(2)及び前記下面(3)の外形は、略平行四辺形形状を有し、
    前記略平行四辺形形状は、頂部が切頭された鋭角のコーナを有する、ことを特徴とす るガイドパッド。
  • 記2つのガイド面(2a)は、前記長手方向(A)に直交する方向において互いに分離して形成され ている 、ことを特徴とする請求項1ないし のいずれかに記載のガイドパッド。
  • 超硬合金、サーメットおよびセラミックのいずれかの材料のみで全体が形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のガイドパッド。
  • 前記材料の表面に硬質皮膜がコーティングされている、ことを特徴とする請求項7に記載のガイドパッド。
  • 請求項1ないし8のいずれかに記載のガイドパット(1)を受容可能なパット座を備えた切削工具本体。
  • 請求項1ないし8のいずれかに記載のガイドパッド(1)と、
    前記ガイドパッド(1)が装着される工具本体(10)と、を有することを特徴とする切削工具。
  • 前記切削工具は、穴あけ加工用の回転切削工具であり、
    前記工具本体(10)に装着された前記ガイドパッド(1)の取付穴(2)の中心軸線(C2)は、当該工具本体(10)の回転軸線(C3)に対してオフセットしている、ことを特徴とする請求項10に記載の切削工具。
  • 说明书全文

    本発明は、切削工具を支持するために切削工具へ着脱自在に装着されるガイドパッド、このガイドパッドを装着する切削工具本体、および、このガイドパッドが装着される切削工具に関する。

    従来のガイドパッドとして、特許文献1に示すものがある。 特許文献1のガイドパッドは、主として深孔切削に使用されるドリルヘッドの先端外周に取り付けられ、ドリルが加工した加工穴に当接することでドリル自らを支持する。 このようなガイドパッドはドリルへ着脱自在に装着される。 このガイドパッドは、略長方形状の外形の板状をなし、長手方向の中央に形成された1つの取付穴と、この取付穴の長手方向の両側に形成され、ガイド面として加工穴に当接する略円弧状の断面形状をもつ2つの曲面とを有する。 このガイドパッドは、超硬合金で形成されたガイド面部分と、このガイド面部分がろう付けされる、工具本体への取付穴を有する鋼材部分とから構成される。 すなわち、このガイドパッドは、鋼材およびろう材を有する。 このガイドパッドは、超硬合金と鋼材とのろう付けのときに、熱応の差から超硬合金にクラックが発生するのを抑制するために、鋼材の取り付け台座部分の横断面が略L字状に形成される。

    また、従来のガイドパッドとして、特許文献2に示すものがある。 特許文献2のガイドパッドは、実質的に長方形状の外形を有する板状に形成され、その2つの長辺からそれぞれ延出する翼形状突起を有する。 このガイドパッドは、その全体を超硬合金材料で形成するため、取付穴周辺の強度を確保するために、取付穴から外周側面までの壁厚が薄くならないように、翼形状突起が設けられている。

    特開2003−211311号公報

    国際公開第96/008332号パンフレット

    例えば、1枚刃の穴あけ加工用の切削工具において、一般的には、ガイドパッドは工具の先端側からみて、切れ刃に対して回転軸線回りに180°の位置と、切れ刃に対して工具の相対回転方向の後方の90°の位置の、2箇所に設けられることが好ましい。 すなわち、ガイドパッドは切れ刃から最も離れた位置と、切削抵抗の3分力の中で最も大きい主分力を受ける位置とに設けられることが好ましい。 しかしながら、加工穴径を規定する工具径が比較的小さいときは、ガイドパッドをこのような好ましい位置に設けることが困難な場合がある。

    この主な原因は、切削インサートまたは切削インサートの締結機構部品と、ガイドパッドとの干渉である。 したがって、ガイドパッドは、占有面積が可能な限り小さいことが好ましい。 しかしながら、締め付けねじなどによるガイドパッドの締結のためには、取付穴の周辺は、十分な強度が必要である。 特許文献1のガイドパッドは、取り付け台座部分の横断面が略L字状に形成されるために、ガイドパッドの幅が、鋼材の略L字状に形成された壁の分だけ、幅広に形成される。 つまり、特許文献1のガイドパッドは、ガイド面が取り付け台座部分とは別部材で形成されるため、ガイドパッドの寸法を小さくしたり、幅を狭くしたりするのに適した構造ではない。 特許文献2のガイドパッドは、その全体を超硬合金で形成するため、寸法を小さくしたり、幅を狭くしたりするのには適した構造である。 しかしながら、ガイドパッドの2つの長辺から左右対称に突出させる翼形突起が他の部品と干渉しやすい。

    本発明は、配置の自由度が向上したガイドパッド、このガイドパッドを装着する切削工具本体、および、このガイドパッドが装着される切削工具を提供する。

    本発明のガイドパッドは、対向する上面(2)及び下面(3)と、該上面(2)と該下面(3)との間で延びる側面(6)と、を有し、切削工具の工具本体(10)へ着脱自在に装着される板状のガイドパッド(1)であって、前記上面(2)は、前記ガイドパッド(1)の長手方向(A)に延び、かつ、凸状に湾曲する少なくとも一のガイド面(2a)を有し、前記上面(2)および下面(3)は、左右非対称な外形をそれぞれ有する、ことを特徴とする。

    本発明の切削工具は、上記のガイドパッド(1)と、前記ガイドパッド(1)が着脱自在に装着される工具本体(10)と、を有することを特徴とする。

    本発明の切削工具本体は、上記のガイドパッド(1)を受容可能なパッド座を備えることを特徴とする。

    本発明のガイドパッドは、上面および下面の外形が左右非対称、すなわち、いずれの方向においても対称軸線を有さないように形成される。 このため、ガイドパッドは、工具本体に対する配置にあわせて干渉の生じない形状に形成できる。 この結果、ガイドパッドの配置の自由度が高まる。

    図1は、第1の実施形態にかかるガイドパッドの斜視図である。

    図2は、図1のガイドパッドの平面図である。

    図3は、図2のガイドパッドの正面図である。

    図4は、図2のガイドパッドの右側面図である。

    図5は、ガイドパッドを装着した回転切削工具の一実施形態の斜視図である。

    図6は、図5の切削工具の別方向からみた斜視図である。

    図7は、ガイドパッドの使い方の模式図である。

    図8は、図5のガイドパッドを装着した回転切削工具の正面図である。

    図9は、第2の実施形態にかかるガイドパッドの斜視図である。

    図10は、第3の実施形態にかかるガイドパッドの斜視図である。

    図11は、図10のガイドパッドの平面図である。

    本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。

    第1実施形態
    図1から図4に示すように、本実施形態にかかるガイドパッド1は、対向する上面2及び下面3と、該上面2と該下面3との間で延びる複数の側面6a,6b,6cとを有し、平板状に形成されている。 複数の側面6a,6b,6cの総称を側面6とする。 上面2及び下面3の外形は、略平行四辺形形状である。 ただし、上面2及び下面3の外形は、鋭のコーナ部分の頂部が切頭されているため、略六角形状にもみえる。 複数の側面6a,6b,6cのうち、長手方向Aに沿って延びる対向する2つの側面6a,6aは、実質的に平面で形成され、略平行に配置されている。 2つの側面6b,6bも、実質的に平面で形成され、略平行に配置されている。 2つの側面6c,6cも、実質的に平面で形成され、略平行に配置されている。 下面3は、実質的に平面で構成される。 上面2の構成については後述する。

    ガイドパッド1は、例えば、図5および図6に示すように、刃先交換式ドリルである回転切削工具の工具本体10に、着脱自在に装着される。 上面2には、ガイド面2aが形成されている。 ガイド面2aは、略円弧状の断面形状をもつ曲率半径Rの曲面で形成され、長手方向Aに延びている。 ガイド面2aは、その一部がドリルによって加工される加工穴の内壁面に接触し、ドリルを支持するように作用する。 この作用により、ドリルは加工穴に案内され、ドリルの直進性が高まる。 ガイド面2aの両端部2bのうち、ドリルの先端側に位置する端部2b付近が、加工穴の内壁面と接触するように配置される。 すなわち、ガイドパッド1は、ガイド面2aの一方の端部2b以外の部分が逃げるように、わずかに傾けて配置される。 なお、ガイドパッド1が切削工具へ着脱自在に装着されるとは、容易に交換できることを意味する。 例えば、ガイドパッド1が締め付けねじ11などによって固定される場合である。 ガイドパッド1の装着方法は、締め付けねじ11に限定されない。 公知のさまざまな装着方法を採用できる。

    ガイド面2aの具体的な形状は、ガイド面2aの曲率半径Rがガイド穴の直径φDの半分よりも小さいことである。 ここで、ガイド穴とは前述の加工穴のように、ガイドパッドを案内する穴のことである。 例えば、ガイドパッド1が刃先交換式ドリルに用いられて、ガイド穴径と加工穴径とが略等しく、かつ、当該ドリルにより加工される加工穴に案内される場合には、好ましくは、略円弧状の断面形状をもつガイド面2aを構成する略円弧の曲率半径は、ガイドパッド1によって加工される加工穴の直径φDの半分(半径)よりも小さい値に設定される。 ガイド面2aの曲率半径Rと、加工穴の直径φDとの関係を、模式的に図7に示す。 つまり、曲率半径Rと直径φDとの関係は、R<(φD/2)の関係とする。

    曲率半径Rが加工穴の穴径φDの半分より大きいと、ガイド面2aがガイド穴となる加工穴に接触せず、ガイド機能を果たせず、加工穴に対して一方のエッジが接触することになる。 ガイド面2aのエッジが加工穴の内壁面に接触すると、加工穴の内壁面が損傷する可能性がある。

    本実施形態のガイド面2aは、一定の曲率半径Rを有する。 例えば、加工穴径φDが直径約32mmの刃先交換式ドリルに装着されるガイドパッド1の場合、ガイド面2aの曲率半径Rは、約15.0mmに設定することができる。 本実施形態では、ガイド面2aの曲率半径Rを一定としているため、ガイド面2aの曲率中心は、図4に示すように、軸線C1上にある。 軸線C1は、図4の紙面に垂直な方向に延び、かつ、下面3に平行な直線である。 なお、本実施形態では、曲率半径Rが一定の場合について説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば、ガイド面2aの曲率半径Rが長手方向Aにおいて変化する場合や円弧の曲率が当該円弧上の位置に応じて変化する場合にも適用される。

    ガイドパッド1には、図2に示すように、上面2及び下面3を貫通する単一の取付穴8が形成され、ガイドパッド1は、取付穴8の中心軸線C2に関して180度回転対称に形成されている。 中心軸線C2は、軸線C1と交差している。 また、軸線C1を含み2つの側面6a,6aの間の中央を通る平面を基準平面Sとすると、基準平面Sはガイドパッド1を実質的に2等分する。 ガイドパッド1の上面2および下面3の外形は、図2から分かるように、基準平面Sに関して、非対称な形状に形成されている。 すなわち、上面2および下面3は、左右非対称な外形を有し、いずれの方向においても対称軸線を持たない。 さらに、ガイドパッド1の長手方向Aの両端部における幅L1は、中心軸線C2の位置での幅、すなわち、2つの側面6a,6a間の幅L2よりも小さくなっている。 ガイドパッド1は、取付穴8の形成領域付近で最大の幅L2を有し、長手方向Aの両端部に向かってその幅が徐々に狭くなり、長手方向Aの両端部において最小の幅L2を有する。 また、長手方向Aの各端部は、基準平面Sから、各側面6a側にオフセットしている。

    本実施形態では、ガイドパッド1の各端部の幅L1は、約2.00mmに設定される。 幅L2は、約6.35mmに設定される。 なお、幅L2は約5.56mmなどと、より小さな幅L2にすることもでき、切削工具の工具本体10に着脱自在に装着できる大きさであれば、特に限定されない。 また、本実施形態では、ガイドパッド1の略平行四辺形形状の外形の鋭角コーナの角度は、約35.0°であるが、これに限定されるわけではない。 ガイドパッド1の鋭角コーナの角度は、これが装着される切削工具の他の構成部品と干渉せず、なおかつ、強度を保ちながら全体の寸法が小さくなるように、適切に調整されればよく、例えば、鋭角コーナの角度を、約55.0°としてもよい。

    本実施形態では、切削インサート12を工具本体10に装着する締結部品として、切削インサートの締め付けねじ13が用いられる。 ガイドパッド1の形状は、切削インサート12の締め付けねじ13や、その雌ねじ側の下穴との干渉なども考慮して調整される。 また、切削インサート12の締結部品は、締め付けねじ13に限定されない。 さまざまな従来技術が適用可能である。 どのような締結方法が採用されたときにも、すべての部品との干渉を回避するように、ガイドパッド1が配置されればよい。

    ガイドパッド1の厚さは、締め付けねじ11の頭部がガイド面2aより突出せず、なおかつ、締め付けるためのガイドパッド1の強度が高められるように、適切に調整される。 本実施形態のガイドパッド1の最も厚い部分の厚さは、約3mmである。 また、ガイドパッド1の上面2の長手方向Aの両端部は、面取り2cが形成される。 面取り2cは、ガイドパッド1が加工穴の内壁面に傷をつけることを防止するとともに、ガイドパッド1がチッピングなどの異常損傷を生じることを防止する。 なお、ガイド面2aは、面取り2cの近傍から取付穴2側に向かって、加工穴の内壁面とガイド面2aとの間にクリアランスが確保されるように配置されて、面取り2cの近傍の端部2bがガイド機能を発揮する。

    本実施形態のガイドパッド1は、図1,2および4からわかるように、2つのガイド面2aが基準面Sの両側に別々に形成されている。

    このように、2つのガイド面2aがあると、例えば、使用によってガイド面2aの一方が損傷した場合に、損傷していない他方のガイド面2aを使用することができる。 言い換えれば、一方のガイド面2aが損傷した場合であっても、2つのガイド面2aは別々に形成されているため、他方のガイド面2aが一方のガイド面2aと同時に損傷するのを防ぐことができる。

    本実施形態のガイドパッド1は、図7に示すように、ガイドパッド1が着脱自在に装着されるとき、少なくとも取付穴2の中心軸線C2が、切削工具の回転軸線C3と交差しないように回転軸線C3に対してオフセットしている。 すなわち、中心軸線C2が、加工穴の中心軸線と交差しないように、ガイドパッド1が傾けて配置される。 このように配置されると、2つのガイド面2aのうち、一方のガイド面2aが加工穴の内壁面に確実に接触し、他方のガイド面2aと加工穴の内壁面との間に十分なすきまが確保される。 このため、他方のガイド面2aの損傷をより確実に防止することができる。

    ガイドパッド1の側面6aおよび6bの一部、および下面3の一部は、工具本体10へ装着されるときの着座面として機能する。 2つのガイド面2aの間には、図4からわかるように、凹状の溝2dが形成されるが、本実施形態の溝2dは比較的単純な形状であるが、これに限定されない。 2つのガイド面2aを十分に分離できる限り、いずれの形状の溝も採用できる。 なお、本実施形態では、2つのガイド面2aは、共通の曲率中心をもつ曲面で形成されるが、これに限定されない。 2つのガイド面2aは、異なる曲率中心をもっていてもよいし、異なる曲率半径を持っていてもよい。 前述のとおり、ガイド面2aの曲率半径Rは、加工穴の直径φDの半分よりも小さければよく、それぞれ異なる形状や、変化する形状などの任意の形状とされても構わない。

    本発明のガイドパッド1は、その全体が超硬合金、サーメット又はセラミックの材料で形成され、あるいは、これら硬質物質の表面に硬質皮膜がコーティングされていてもよい。 すなわち、本発明のガイドパッド1の形成材料として、鋼材やろう材を用いる必要がない。 このため、ガイドパッド1の寸法を小さくすることができ、工具本体10への配置の自由度が高まる。

    前述のとおり、本実施形態では、ガイド面2aの曲率半径Rを一定としたが、これに限定されない。 積極的に曲率半径Rを変化させて、取付穴2に近づくにしたがい曲率半径Rを小さくするなど、ガイドパッド1と加工穴の内壁面との間のすきまなどが適切に調整されてもよい。 また、複数の側面6a、6b、6cの接続部分には、丸みがつけられる。 これは、ガイドパッド1が、チッピングなどの異常損傷を生じることを防止するためである。 この実施形態では、これらのコーナの曲率半径は、6ヶ所すべて、約R0.4mmとされる。

    本実施形態では、ガイドパッド1は上記したように、取付穴2の中心軸線C2に関して180度回転対称な形状に形成される。 これにより、2つのガイド面2aのうち、一方のガイド面2aを使用したのち、ガイドパッド1を中心軸線C2回りに180度回転させることで、他方のガイド面2aを使用できる。 なお、工具本体10への装着およびガイド面2aによるガイド機能に影響がない部分については、必ずしも、取付穴2の中心軸線C2に関して対称な形状としなくてもよい。 支持(ガイド)機能に影響しない範囲で、適宜デザインの変更が可能である。

    図5のドリルにおいて、ガイドパッド1は、図8に示す位置に配置される。 このドリルは、外周刃用の切削インサート12Aと中心刃用の切削インサート12Bとがそれぞれ1つずつ装着される。 ガイドパッド1は、図8に示すように、切削インサート12Aの切れ刃から工具の相対回転方向Rの前方の約145°の位置と、切削インサート12Aの切れ刃から工具の相対回転方向Rの後方の約79°の位置との2箇所に装着される。 上述のとおり、1枚刃のドリルの場合、ガイドパッドの最適な位置は、外周切れ刃から工具の相対回転方向の180°の位置と、外周切れ刃から工具の相対回転方向の後方に90°の位置の2箇所である。 本実施形態では、最適な位置からのずれ量は、それぞれ、約35°および約11°にすることができる。 なお、同種の工具で、従来のガイドパッドが配置される場合には、ずれ量がそれぞれ、48°程度および20°程度が限界であった。 本発明のガイドパッド1によれば、従来と比べて、ずれ量をそれぞれ約13°および9°改善できる。 この効果として、鋼材S45Cに穴をあける実験の結果、加工される穴の直径精度が約30%改善された。

    具体的には、ドリル径:50.0mm、全長370mmのドリルを立形マシニングセンタに装着し、被削材として炭素鋼S45C(220HB)を使用した。 切削条件は、切削速度Vc=150m/min、送りf=0.10mm/rev、加工穴の深さ150mmとし、ドリルの内部を通じて給油した。 そして、本実施形態のガイドパッド1を装着したドリル、従来のガイドパッドを装着したドリルおよびガイドパッドを装着しないドリルを用いて、12個の穴をそれぞれ被削材に加工し、加工穴の直径のばらつきを評価した。 加工穴の直径のばらつきは、本実施形態のガイドパッド1を装着したドリルでは、加工穴の入口付近と深部との差で約0.12mmとなった。 一方、ガイドパッドなしのドリルでは、約0.24mm、従来のガイドパッドを装着したドリルでは、約0.17mmであり、本実施形態は、従来のガイドパッドを装着したドリルに対して加工穴の精度が最大で約30%改善した。

    第2実施形態
    次に、第2の実施形態にかかるガイドパッド1Aを、図9に示す。 この実施形態のガイドパッド1は、上面2に単一のガイド面2aが形成される。 このように、ガイド面2aが単一であっても、ガイド面2aの長手方向Aの両端部2b,2bにガイド機能を持たせることができる。 したがって、ガイドパッド1Aも、取付穴8を中心に180度回転させれば、ガイド面2aの2つの端部2b、2bを別々に使用できる。 第2の実施形態にかかるガイドパッド1Aを使用するときも、ガイドパッド1Aは、その取付穴2の中心軸線C2が、切削工具の回転軸線C3に対してオフセットするように配置されるとよい。 そのように配置されると、ガイド面2aの一方の端部2bが使用されるときに、他方の端部2bと加工穴の内壁面との間に、すきまが十分に確保される。 このため、他方の端部2bの損傷が防止される。

    第3実施形態
    第3の実施形態にかかるガイドパッド1Bを、図10および図11に示す。 ガイドパッド1Bの上面2および下面3の外形は、略平行四辺形形状ではない。 ガイドパッド1Bは、ガイド面2aの面取り2c側の端部2bの幅が取付穴8付近の幅よりも狭く形成され、基準平面Sに関して非対称に形成されている。 本実施形態では、ガイドパッド1の幅は、取付穴2の形成付近の最大の幅L2と、両端部2bにおける最小の幅L1との間で、任意に変化するように調整される。 図示しないが、幅L2よりも広い幅まで一旦拡張されてから、幅L2まで再び戻されるようなデザインでも構わない。 切削工具の他の構成部品と干渉しない範囲であれば、自由に調整できる。

    本実施形態では、使用できる回数が2回に設定されたため、ガイド面2aは2つにされるが、これに限定されない。 例えば、使用できる回数が3回以上に設定された場合は、それに応じてガイド面2aを3つ以上設けることができる。

    本実施形形態では、対向する2つの側面6b,6bが平行な場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、2つの側面は非平行であってもよく、また、互いに異なる形状の曲面であってもよい。 つまり本実施形態では、複数の側面は平面としたが、これに限定されない。 切削工具の他の構成部品との干渉を防止するために、さらに複雑な曲面で構成してもよい。 例えば、複数の曲面を滑らかにつないだような、単一の環状曲面などで側面を形成できる。 また、本実施形態では、ガイドパッド1の幅は、取付穴8の形成領域で相対的に広く、両端部において相対的に狭くなっている場合について説明したが、これに限定されるわけではない。 ガイドパッド1のガイド面部分付近の幅は、取り付け穴付近の幅より狭くすればよく、長手方向における幅の変化の程度は任意でよい。

    本発明のガイドパッドの製造方法は、従来のガイドパッドの製造方法をそのまま利用できる。 例えば、粉末加圧成形および焼結による従来技術の製造工程にて製造される。 必要に応じて、ガイド面2aや面取り2cなどの研削加工が追加される。 さらに必要に応じて、CVDやPVDによる硬質被膜のコーティングなどの表面処理が施される。 すべての製造工程において、様々な従来技術が適用可能である。

    本発明のガイドパッドを着脱自在に装着できる切削工具としては、刃先交換式ドリルが代表的である。 他にも、ガンドリルやリーマなど,特に穴あけ加工用、中でも深穴加工用の切削工具に装着されると効果的である。 しかし、これに限定されない。 ガイドパッドを使用するすべての切削工具に適用できる。

    前述のとおり、本発明のガイドパッド1を着脱自在に装着できる切削工具が回転切削工具の場合は、取付穴8の中心軸線C2が、切削工具の回転軸線C3と交差しないように配置されるとよい。 このような配置になるように、工具本体10におけるガイドパッドの設置個所を設定する。 このようにすると、ガイド面2aの2つ以上の端部2bが、1つずつ確実に作用するため、他の端部の損傷が防止される。

    本発明のガイドパッドが着脱自在に装着された切削工具は、例えばマシニングセンタや旋盤などの工作機械へ着脱自在に装着され、工具回転軸を中心とする相対回転運動を与えられ、また被削材をとの間に相対運動を与えられ、鋼材などの被削材の切削加工を行う。 切削工具がドリルの場合などは、切削工具自らによってあけられた穴の内面にガイドパッドが接触し、支持(ガイド)されることによって、加工される穴の加工精度が向上する。 本発明のガイドパッドおよび切削工具は、ボール盤などの工作機械でも使用可能である。 本発明のガイドパッドは、主に1枚刃の回転切削工具に装着されるとき、その効果が発揮される。 一方で、2枚刃や4枚刃の穴あけ加工用の切削工具などは、1つの切れ刃から工具の相対回転方向に約180°の位置に、別の切れ刃がある。 このような場合には、ガイドパッドを設けるのに好ましい位置が異なる。 例えば、2枚刃の場合は、各切れ刃から約90°の位置にガイドパッドを配置することが好ましい。 4枚刃の場合は、各切れ刃から約45°の位置にガイドパッドを配置することが好ましい。 ただし、4つの切れ刃(切削インサート)と4つのガイドパッド1を設置することが困難な場合、例えば、4つの切れ刃の中に他の切れ刃よりも切り込みの大きいあら刃を設けて、そのあら刃を基準にして、工具の相対回転方向の180°の位置と、あら刃から工具の相対回転方向の後方の90°の位置との2箇所にガイドパッドを配置する。 本発明のガイドパッドは、設置するときの制約が少ないため、2枚刃以上の穴あけ加工用の切削工具などに適用することもできる。

    本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜、構成の変更、追加および削除が可能であることはいうまでもない。 例えば、本発明と同様の効果を得ながら、取付穴を用いないで、締め付けねじの頭部と係合するように、締め付け用の凹部などを設けて切削工具へ装着される構成も可能である(図示しない)。

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