被覆切削工具

申请号 JP2014132416 申请日 2014-06-27 公开(公告)号 JP2015009358A 公开(公告)日 2015-01-19
申请人 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ; Sandvik Intellectual Property Ab; サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ; 发明人 AAKE OESTLUND; JONNY EDMAN; ERIK LINDAHL; JAN ENGQVIST;
摘要 【課題】基材及び被膜を備えた被覆切削工具を提供する。【解決手段】基材及び被膜を備えた被覆切削工具において、被膜がMTCVD TiCN層及びα−Al2O3層を備え、α−Al2O3層がCuKα放射線を用いて測定されるX線回折パターンを示し、使用される(hkl)反射が(012)、(104)、(110)、(113)、(116)、(300)、(214)及び(0012)であり、TC(0012)が5を超え、α−Al2O3の(0012)面のロッキングカーブピークの半値全幅(FWHM)が30?未満である。【選択図】なし
权利要求
  • 基材及び被膜を備えた被覆切削工具であって、前記被膜が、
    MTCVD TiCN層、及び α−Al 23層を含み、前記α−Al 23層が、CuKα放射線及びθ〜2θスキャンを使用して測定されるX線回折パターンを示し、組織係数TC(hkl)がハリスの式
    によって規定され、式中、I(hkl)=(hkl)反射の測定(積分面積)強度であり、I 0 (hkl)=ICDDのPDFカード番号00−010−0173による標準強度であり、n=計算に使用される反射数であり、
    使用される(hkl)反射が、(012)、(104)、(110)、(113)、(116)、(300)、(214)及び(0012)であり、TC(0012)が5を超え、好ましくは6を超え、最も好ましくは7を超え、
    前記切削工具の逃げ面上で測定されるX線回折を用いたα−Al 23の(0012)面のロッキングカーブピークの半値全幅(FWHM)が30°未満、好ましくは26°未満、より好ましくは22°未満のFWHMであり、
    前記TiCN層が、CuKα放射線を用いて測定されるX線回折パターンを示し、220ピークの積分面積強度と331ピークの積分面積強度の関係I 220 /I 311が3未満、好ましくは2未満、最も好ましくは1未満である、被覆切削工具。
  • 前記切削工具のすくい面上の前記α−Al 23層のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMと、前記切削工具の逃げ面上のα−Al 23のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMの差Δが、Δ>0.2、好ましくはΔ>0.3、最も好ましくはΔ>0.4である、請求項1に記載の被覆切削工具。
  • 前記α−Al 23層のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMと、1030℃においてN 2中で3時間熱処理した後の切削工具のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMの差Δが、Δ>0.20、好ましくはΔ>0.3、最も好ましくはΔ>0.4である、請求項1に記載の被覆切削工具。
  • 前記α−Al 23層が2〜15μm、好ましくは3〜7μm、最も好ましくは4〜6μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
  • 前記TiCN層が2〜15μm、好ましくは5〜12μm、最も好ましくは7〜11μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
  • 前記MTCVD TiCN層と前記α−Al 23層の間に1〜2μm厚さの結合層をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
  • 说明书全文

    本発明は、表面を化学蒸着(CVD)被膜でコーティングされた基材を備えた金属の切り屑形成機械加工用の被覆切削工具に関する。 本発明による被覆切削工具は、具体的には低合金鋼、炭素鋼、及び靱性のある硬化鋼などの鋼を旋削するのに有用である。

    焼結炭化物切削工具上への耐摩耗性被膜の化学蒸着(CVD)は、30年以上にわたって工業的慣例になってきた。 被覆インサートの特性は、数年の間絶えず改良されてきており、刃の破損に対する抵抗性の点で寿命及び信頼性は大幅に向上した。 CVD被覆工具のインサートの性能の顕著な向上は、MTCVD(低温CVD)技術によって生まれたTi(C,N)が、約10〜15年前に工具産業に参入し始めたときに起こった。 次いで切削工具インサートの靱性特性の改良が得られた。 今日では工具生産者の大部分がこの技術を使用している。 今日の近代的な工具の被膜はまた、高い耐摩耗性を達成するために、かつ切削の間の過度な熱から炭化物基材を保護するために少なくとも1層のAl 23を含む。

    欧州特許出願公開第1953258号明細書は、強い(006)回折ピークによって測定される(001)集合組織を有するα−アルミナ層を備えた切削工具が、切削工具の靱性及び耐摩耗性の向上をもたらすことを開示している。 切り刃の塑性変形の傾向が減少した。

    国際公開第2013/037997号は、強い(0012)回折ピークによって測定される(001)集合組織を有するα−Al 23層を備えた鋼の旋削用の切削インサートを開示している。 このインサートは、切削インサート中に特定の応状態を与えるために噴射加工(blasting)の表面処理を施される。

    本発明の目的は、切削作業において改良された性能を有するアルミナ被覆切削工具インサートを提供することである。 本発明のさらなる目的は、改良された耐摩耗性、例えばクレータ摩耗に対するより高い抵抗性と、切り刃の塑性変形に対する高い抵抗性とを有する被覆切削工具を提供することである。 本発明の別の目的は、低合金鋼、炭素鋼、及び靱性のある硬化鋼などの鋼の旋削において高性能を有する切削工具を提供することである。

    これらの目的は、請求項1に記載の切削工具によって達成される。 好ましい実施形態は、従属請求項において開示される。

    本発明による切削工具は、基材及び被膜を備えた被覆切削工具を含み、その被膜は、MTCVD TiCNの層及びα−Al 23の層を含み、そのα−Al 23層は、CuKα放射線及びθ〜2θのスキャンを用いて測定されるX線回折パターンを示し、組織係数TC(hkl)は、以下のハリスの式

    によって規定され、式中、I(hkl)=(hkl)反射の測定(積分面積)強度であり、I

    0 (hkl)=ICDDのPDFカード番号00−010−0173による標準強度であり、n=計算に使用される反射数であり、使用される(hkl)反射が、(012)、(104)、(110)、(113)、(116)、(300)、(214)及び(0012)であり、TC(0012)は5を超え、好ましくは6を超え、最も好ましくは7を超える。 高いTC(0012)を有するα−Al

    2

    3層は、その高い耐クレータ摩耗のせいで、かつまたその切削工具刃の塑性変形の傾向を低減させる能力のせいで切削工具の層として有利であることを示した。

    被膜中の集合組織を調べる一つの方法は、ωスキャンとも呼ばれるいわゆるロッキングカーブ測定を使用することである。 これら測定法の原理は、固定2θに関し、特定面のd値に対応し、試料が傾斜(すなわち「ロック」)する、すなわち入射角ωがスキャンされるにつれて回折強度を検出することである。 それら面が、表面と完全に平行に並んでいる場合(例えば単結晶の場合)、そのω角が2θ角の半分であるとき、したがってピークが2θ値の半分に相当する値の所に現れるときにBragg条件が満たされることになる。 完全な単結晶の場合、ピークの広がりは入射X線ビームの発散に等しいことになる。 ピークのさらなる広がりは、その層が基材の表面に対して完全には整列していない集合組織結晶粒を含むことを示す。

    本発明では、α−Al 23は高いTC(0012)、すなわち強い001集合組織を示し、α−Al 23層全体を通しての集合組織の完全度は、0012面のロッキングカーブを分析することによって調べた。

    ロッキングカーブの尖鋭度を表す一つの方法は、ピークの半値全幅(FWHM)の値を計算することである。 より低いFWHMの値は、α−Al 23層全体にわたるより良好な集合組織を有する被膜に対応する。

    高い0012集合組織は耐クレータ摩耗性及び耐塑性変形性を高めるのに有利なことが示されているので、被膜の厚さの全体、又は少なくとも主要な部分にわたっての高い0012集合組織は有利であると考えられる。 これは、切り刃の耐フランク摩耗性を高めるにもまた有利であることが示されている。

    本発明による被膜は、切削工具の逃げ面上で測定されるX線回折を用いたα−Al 23の(0012)面のロッキングカーブピークの半値全幅(FWHM)が30°未満、好ましくは26°未満、より好ましくは22°未満のFWHMであるα−Al 23を含む。

    本発明による切削工具は、金属の切り屑形成機械加工用であり、好ましくは旋削インサートである。 基材は、表面被膜によって被覆される本体である。 本体(すなわち基材)は、サーメット又は焼結炭化物から作ることができる。 本発明の1つの実施形態では、本体は焼結炭化物から作られ、その焼結炭化物は、4〜15重量%のCo、好ましくは6〜8重量%のCoと、好ましくは、周期表のIV、V、及びVI族からの金属、好ましくはTi、Nb、及びTaの10〜14体積%の立方晶炭化物とを含む。

    1つの実施形態では、この焼結炭化物基材は、本体と被膜の間の界面から15〜25μmの深さまでの実質的に立方晶炭化物を含まない本体の中へ入り込んだコバルトの濃度の高い表面ゾーンを含み、その切削インサートに耐塑性変形性を保ったまま優れた靱性を与える。

    本発明の1つの実施形態では、α−Al 23層は、2〜15μm、好ましくは3〜7μm、最も好ましくは4〜6μmである。

    本発明の1つの実施形態では、TiCN層は、2〜15μm、好ましくは5〜12μm、最も好ましくは7〜11μmである。

    本発明の1つの実施形態では、切削工具は、被膜の靱性特性を向上させるために噴射処理を施される。 噴射処理は、被膜の応力条件に影響を与える。 あまりに過酷な噴射加工は、被膜の亀裂形成及びチッピングを引き起こすことになる。 噴射衝撃力は、例えば噴射鉱液(pulp)圧力、噴射ノズルの設計、噴射ノズルと被膜表面の間の距離、噴射媒体の種類、噴射媒体の結晶粒度、噴射液中の噴射媒体の濃度、及び噴射噴流の衝撃角度によって調節することができる。

    被膜中の応力状態を測定する一つの方法は、X線θ〜2θスキャンにおける特定ピークの広がりを調べることによるものである。 そのピークは、一般に応力勾配のない被膜の場合よりも応力勾配のある被膜の場合の方が広い。 被膜の噴射加工後に達成される測定ピーク幅は、そのピーク幅を、蒸着される被膜から測定される同じピークのピーク幅と比較するならば、被膜中の応力勾配の間接的な尺度を与えることになる。

    分析に使用する直観的に理解できる結晶面は、基材表面と平行であり、集合組織を有する被膜面の表面と平行な面、好ましくは高2θ値におけるピークである。 この場合、(0012)ピークが選択される。 (0012)ピークは、それがむしろ高角度の所に位置を有し、したがって単位格子パラメータの小さな変化がピーク幅の比較的大きな変化を与える点で有利である。

    噴射加工被膜の回折ピーク幅を、非噴射加工被膜の、又は下記で開示する熱処理による応力緩和後の同じ被膜の回折ピーク幅と比較することができる。 ここで、この違いを差Δと定義する。 ただし、差Δ=FWHM(応力がかかった)−FWHM(応力がかかっていない)、すなわち噴射加工を施された回折ピークの半値全幅(FWHM)と、噴射加工前の状態での回折ピークの半値全幅(FWHM)の差。 例えば、逃げ面及びすくい面を備えた切削工具、及びすくい面のみが噴射加工された切削工具に関しては、逃げ面の回折ピークを、すくい面の対応する回折ピークと比較することができる。

    本発明の1つの実施形態では、α−Al 23層中の応力状態を、その蒸着直後の応力状態から変化させ、それによって差ΔがΔ>0.20、好ましくはΔ>0.3、より好ましくはΔ>0.4、又はΔ>0.5、又はΔ>0.6、又はΔ>0.7になるように2θ(0012)回折ピークの形状を変化させた。 噴射加工は、好ましくは行われ、好ましくはAl 23結晶粒で行われる。 噴射加工の間の噴射ガンから切削工具表面へのブラスタースラリーのビームと、切削工具表面との角度は、例えば70〜110°、好ましくは約90°であることができる。

    本発明の1つの実施形態では、切削工具のすくい面上のα−Al 23のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMと、切削工具の逃げ面上のα−Al 23のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMの差Δは、Δ>0.2、好ましくはΔ>0.3、最も好ましくはΔ>0.4、又はΔ>0.5、又はΔ>0.6、又はΔ>0.7である。 差Δを測定するこの方法は、インサートが、例えばそのすくい面上に噴射加工されている場合に適している。

    本発明の1つの実施形態では、α−Al 23のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMと、1030℃においてN 2中で3時間熱処理した後の切削工具のX線回折における(0012)回折ピークのFWHMの差は、Δ>0.2、好ましくはΔ>0.3、最も好ましくはΔ>0.4、又はΔ>0.5、又はΔ>0.6、又はΔ>0.7である。 差Δを測定するこの方法は、インサートが、例えばその外面全体に噴射加工されている場合に役立つ。

    非噴射加工表面を参照表面として利用できない場合、元の応力状態に戻すために、すなわち非噴射加工状態に相当するようになるように、噴射加工されたインサートを1030℃においてN 2中で3時間熱処理することができる。 これは、例7で実証する。

    CVD工程後の、すなわち塗布又は蒸着された被膜の応力状態は、残留応力がないわけではないことに留意されたい。 一般に、焼結炭化物基材上のCVD被膜は残留引張応力にさらされ、CVD被膜中に亀裂を与える。 上記で開示した熱処理は、CVD被膜を噴射加工前の応力状態に相当する応力状態に再度変えることである。

    本発明の1つの実施形態では、TiCN層はCuKα放射線を用いて測定されるX線回折パターンを示し、その220ピーク(I 220 )の積分面積強度と331ピーク(I 311 )の積分面積強度の関係、I 220 /I 311は、3未満、好ましくは2未満、最も好ましくは1.5未満、又は1未満、又は0.5未満、又は0.3未満である。 これは、α−Al 23層全体にわたって強い001集合組織を得ることが好ましいことを示している。 このようなTiCN MTCVD層を得るためには、MTCVD工程において2を超えるTiCl 4 /CH 3 CNの体積比を使用することが役に立つ。

    1つの実施形態では、TiCN層は、CuKα放射線を用いて測定されるX線回折パターンを示し、その220ピーク(I 220 )の積分面積強度と、422ピーク(I 422 )の積分面積強度の関係、I 220 /I 422は、3未満、好ましくは2未満、最も好ましくは1.5未満、又は1未満、又は0.5未満、又は0.3未満である。

    本発明の他の目的、利点、及び新規な特徴は、添付図面及び特許請求の範囲とともに考慮された場合に、本発明の下記の詳細な説明から明らかになるであろう。

    次に、本発明の実施形態の例がより詳細に開示される。

    [例1:被膜の蒸着]
    [試料A(本発明)]
    本発明の1つの実施形態による被覆切削工具(インサート)を製造した。 旋削用のISOタイプ CNMG120408の焼結炭化物基材を、7.2重量%のCo、2.7重量%のTa、1.8重量%のTi、0.4重量%のNb、0.1重量%のN、及び残分のWCから製造した。 この基材は、基材表面から、実質的に立方晶炭化物を含まない本体の中へ入り込んだ深さまで約25μmのCoの濃度の高い表面ゾーンを含む。

    この基材を、10000ハーフインチサイズの切削インサートを内蔵することができるラジカルイオン結合型(radial ion bond type)CVD設備530サイズの中でCVD被覆工程にかけた。

    これらインサートに、まず薄い約0.4μmのTiN層、次いで9μmのTiCN層を塗布した。 このTiCN層は、TiCl 4 、CH 3 CN、N 2 、HCl、及びH 2を885℃で使用するよく知られたMTCVD法を使用することによって塗布された。 TiCN層のMTCVD蒸着の間のTiCl 4 /CH 3 CNの体積比は2.2であった。

    このMTCVD TiCN層の上に、厚さ1〜2μmの結合層を、3つの別個の反応ステップからなる工程によって1000℃で蒸着した。 まず、TiCl 4 、CH 4 、N 2 、HCl、及びH 2を400ミリバールで使用するTiCNのステップ、次いでTiCl 4 、CH 3 CN、CO、N 2 、HCl、及びH 2を70ミリバールで使用する第二ステップ、最後にTiCl 4 、CH 3 CN、AlCl 3 、CO、N 2 、及びH 2を70ミリバールで使用する第三ステップ。

    Al 23核生成の開始前に、結合層をCO 2 、CO、N 2 、及びH 2の混合物中で4分間酸化した。

    Al 23層を、1000℃及び55ミリバールで2ステップで蒸着した。 1.2体積%のAlCl 3 、4.7体積%のCO 2 、1.8体積%のHCl、及び残分のH 2を使用し、約0.1μmのAl 23を与える第一ステップと、1.2%のAlCl 3 、4.7%のCO 2 、2.9%のHCl、0.6%のH 2 S、及び残分のH 2を使用し、全体で約5μmのAl 23の層厚を得る第二ステップ。

    TiNを含む最も外側のカラー層は、約1μmの厚さで塗布された。

    [試料B(参照)]
    下記に開示するように別のCVD被膜蒸着工程を使用したことを除いて、試料Aの工程に合致する工程で被覆インサートを製造した。

    これらインサートに、まず薄い約0.4μmのTiN層を、次いで9μmのTiCN層を塗布した。 このTiCN層は、TiCl 4 、CH 3 CN、N 2 、H 2を、任意選択で幾らかのHCl添加を伴って885℃で使用するよく知られたMTCVD法を使用することによって塗布された。 TiCN層蒸着の間、2を超えるTiCl 4 /CH 3 CNの体積比に保った。

    このMTCVD TiCN層の上に、厚さ1〜2μmの結合層を、2つの別個の反応ステップを使用して1000℃で蒸着した。 まず、TiCl 4 、CH 4 、N 2 、及びH 2を55ミリバールで使用するTiCNのステップ、次いでTiCl 4 、CO、及びH 2を55ミリバールの圧力で使用する第二ステップ。

    Al 23核生成の開始前に、結合層をCO 2 、HCl、及びH 2の混合物によって約2分の短時間酸化した。

    Al 23層を、1000℃及び55ミリバールで2ステップで蒸着した。 第一ステップの間、1.2体積%のAlCl 3 、4.7体積%のCO 2 、1.8体積%のHCl、及び残分のH 2の気体を使用し、約0.1μmのAl 23を得た。 第二ステップは、1.2体積%のAlCl 3 、4.7体積%のCO 2 、2.9体積%のHCl、0.35体積%のH 2 S、及び残分のH 2を使用し、全体で約5μmのAl 23の層厚を得た。

    TiNを含む最も外側のカラー層は、約1μmの厚さで塗布された。

    [例2:噴射加工]
    噴射加工を切削工具のすくい面上で行った。 このブラスタースラリーは、に懸濁させた20体積%のアルミナからなり、切削インサートのすくい面とブラスタースラリーの方向の角度は90°であった。 ガンノズルとインサートの表面の間の距離は、約145mmであった。 ガンに対するスラリーの圧力は、すべての試料について1.8バールであり、一方、ガンに対する空気の圧力は、2.1バール(噴射処理1)、2.2バール(噴射処理2)、又は2.5バール(噴射処理3)であった。 アルミナ粗粒子は、F220メッシュ(FEPA 42−1:2006)であった。 面積単位当たりの噴射の平均時間は4.4秒であった。 3種類の異なる噴射処理を試料Aについて評価した。 噴射処理1で処理された試料Aを、以後試料A1と呼ぶ。 また噴射処理2で処理された場合、試料A2と呼び、噴射処理3で処理された場合、試料A3と呼ぶ。 試料Bは、噴射処理2で処理された(試料B2)。

    [例3:α−Al 23層のTC(0012)測定]
    測定にはCu−K α X線を使用した。 マイクロフォーカスX線源に取り付けられたミラーにより、ピンホールコリメータなしに約0.8×0.8mmにビームの焦点を合わせた。 測定は50kVの電圧及び1mAの電流を用いて行われ、50Wの最大出力を生み出した。 インサート上の小さな平坦な領域ですくい面を測定することを可能にするにはピンホールコリメータを使用した。 試料からの回折強度を、3個の画像を用いて異なる2θ位置で面検出器により測定し、2θが15から105°の間の回折情報をもたらした。 その後、これら画像をBrukers EVA(V3.0)ソフトウェアで一つにし、そのBrukerソフトウェアでGamma directionと定義されるものに統合することによって1Dディフラクトグラムに変換した。

    α−Al 23層の集合組織を調べるためにCuK α放射線を用いてX線回折を行い、α−Al 23層の柱状結晶粒の様々な成長方向に対する組織係数TC(hkl)を、以下のハリスの式に従って計算した。

    式中、I(hkl)=(hkl)反射の測定(積分面積)強度、I

    0 (hkl)=ICDDのPDFカード番号00−010−0173による標準強度、n=計算に使用される反射の数である。 この場合、使用される(hkl)反射は、(012)、(104)、(110)、(113)、(116)、(214)、(300)及び(0012)である。

    バックグラウンド除去、Cu−K α2ストリッピング、及びデータのプロファイルフィッティングを含むデータ解析を、PANalyticalのX'Pert HighScore Plusソフトウェアを用いて行った。 次いで、ハリスの式を用いて測定強度データと標準強度データ(PDF記録番号10−0173)の比を比較することによって、このプログラムからのアウトプット(プロファイル近似曲線の積分ピーク面積)を用いてα−Al 23の組織係数を計算した。 α−Al 23層は有限厚の膜であるので、そのα−Al 23を通る経路長の違いのせいで、様々な2θ角における一対のピークの相対強度は、バルク試料の場合と異なる。 したがってTC値を計算する場合、α−Al 23の線吸収係数もまた考慮に入れて、薄膜補正をプロファイル近似曲線の積分ピーク面積強度に施す。 α−Al 23層の上側のあり得るさらなる層は、α−Al 23層に入射しまた被膜全体から出射するX線の強度に影響を及ぼすことになるので、層中のそれぞれの化合物の線吸収係数を考慮に入れて、それらに対しても同様に補正を行う必要がある。 別法では、そのアルミナ層の上側のTiNなどのさらなる層を、XRD測定結果に実質上影響を与えない方法、例えばエッチングによって取り除くこともできる。

    すくい面上で測定された試料A1、A2、A3、及びB2のα−Al 23層のTC(0012)値を表1に示す。

    [例4:TiCNの面積強度I 220 /I 311の測定]
    TiCN層のXRD測定のために使用される設備は、例3におけるα−Al 23のTC測定の場合と同じものであり、同じ方法論及び設備パラメータを使用した。 この事例では噴射加工されない逃げ面が測定された。

    TiCN層のピーク強度(積分ピーク面積)を調べるためにCuK α放射線を用いてX線回折を行った。

    バックグラウンド除去、CuK α2ストリッピング、及びデータのプロファイルフィッティングを含むデータ解析を、PANalyticalのX'Pert HighScore Plusソフトウェアを用いて行った。 このプログラムからのアウトプットは、プロファイル近似曲線の積分ピーク面積である。 TiCN層は有限厚の膜であるので、そのTiCNを通る経路長の違いのせいで、様々な2θ角における一対のピークの相対強度は、バルク試料の場合と異なる。 したがって、TiCNの線吸収係数もまた考慮に入れて、薄膜補正をプロファイル近似曲線の積分ピーク面積強度に施す。 TiCN層の上側のあり得るさらなる層が、TiCN層に入射しまた被膜全体から出射するX線の強度に影響を及ぼすことになるので、特にそれらの厚さ、この事例ではα−Al 23層及び上側のTiN層の厚さがかなり大きい場合、層中のそれぞれの化合物の線吸収係数を考慮に入れて、それらに対しても同様に補正を行う必要がある。

    ピークの重なりは、例えば幾枚かの結晶性の層を含む被膜、及び/又は結晶相を含む基材上に蒸着される被膜のX線回折分析において生ずる可能性のある現象であり、これは当業者によって考慮に入れられ、また相殺されねばならないことに留意されたい。 α−Al 23層由来のピークとTiCN層由来のピークの重なりは、I 220 /I 311及び/又はI 220 /I 422に影響を与える恐れがある。 例えば、また基材中のWCは、本発明の関係のある回折ピークに近いピークを有する可能性があることにも留意されたい。

    TiCNの面積強度値(補正された値)を表1に示す。

    [例5:ロッキングカーブの測定]
    ロッキングカーブの測定を、Philips MRD(Materials Research Diffractometer)で行った。 この回折計を、CuKα(α1及びα2の両方)放射線による線焦点で動作させた。 入射光学系は、0.04°の発散を有するX線ミラー及びクロススリットコリメータであった。 回折される側の光学系は、0.27°平行平板コリメータ及びガス比例点(gas proportional point)検出器であった。 90.665°の固定2θ角で、ωを連続モードにおいて1°のステップ幅及び10秒/ステップで6.3から69.3°の間をスキャンした。 アルミナ層の上側のTiNなどの外層は、XRD測定結果に実質上影響を与えない方法、例えばエッチングによって除去することができる。 α−Al 23層は有限厚であるので、α−Al 23層内のX線ビームの経路長はω角の関数として相違するはずであり、それに対して強度データを補正する必要がある。 それは、例えばBricholz(Thin Film Analysis by X−ray Scattering,2006,Wiley−VLC Verlag,ISBN 3−527−31052−5,chapter 5.5.3,pages 211〜215)が述べているように、厚さ及び線吸収係数を考慮に入れて行うことができる。

    逃げ面上で測定されるロッキングカーブ測定からの結果を表2に示す。

    [例6:θ〜2θスキャンにおけるFHWM(0012)ピーク間の差Δ]
    例3で開示したものに合致する、X線回折θ〜2θスキャンにおける(0012)回折ピークのFHWMを、噴射加工されたすくい面上及び噴射加工されない逃げ面上で測定した。

    すくい面上のθ〜2θスキャンにおける(0012)ピークのFHWMと、逃げ面(噴射加工されない)上θ〜2θスキャンにおける(0012)ピークのFHWMの差Δをグラフ中で測定した。 差Δ=FHWM(すくい面)−FHWM(逃げ面)として示される結果を表2に示す。

    [例7:熱処理]
    熱処理が、噴射加工された被膜を変えて噴射加工前の応力状態に戻すことを確かめるために下記の実験を行った。 そのすくい面に噴射加工することによって処理された切削インサートは、0.51の差Δ=FHWM(すくい面)−FHWM(逃げ面)を示した。 このインサートをN 2中で1030℃において3時間熱処理した。 熱処理後、差Δ=FHWM(すくい面)−FHWM(逃げ面)は0.08であった。 したがってインサートがすくい面上だけでなく逃げ面上にも噴射加工されている場合、対応する熱処理を使用して、噴射加工されない逃げ面の被膜と似た被膜を生成することができる。

    [例8:クレータ摩耗試験]
    例2に従って噴射加工された被覆切削工具、すなわち試料A1、A2、A3、B2を、下記の切削データを使用して軸受け鋼(100CrMo7〜3)において縦方向旋削で試験した。
    切削速度V c :220m/分 切削送りf:0.3mm/回転 切り込みa p :2mm
    インサート形式:CNMG120408−PM
    水混和性金属加工液を使用した。
    切削工具につき1個の切り刃を評価した。

    クレータ摩耗の分析では光学顕微鏡を使用して露出した基材の面積を測定した。 露出した基材の表面積が0.2mm 2を超えた場合、その工具は寿命に達したとみなした。 各切削工具の摩耗を2分間の切削後に光学顕微鏡で評価した。 次いで切削工程は、この工具寿命判定基準に達するまで、各2分間のラン後の測定が続けられた。 クレータ面積のサイズが0.2mm 2を超えた場合、2個の最後の測定値の中間の推定一定摩耗速度に基づいて、この工具寿命判定基準を満たす時間を推定した。 クレータ摩耗以外にフランク摩耗もまた観察したが、この試験では工具寿命に影響を与えなかった。 結果を表3に示す。

    [例9:靱性試験]
    例2の被覆切削工具、すなわち試料A1、A2、A3、B2を靱性試験に使用した。

    工作物の材料は2本の炭素鋼の棒(Fe 360C)からなり、それらはそれらの間に一定の間隔を保って互いに平行に取り付けられる。 この工作物の縦方向旋削において、切削工具は1回転ごとに2回の中断にさらされることになる。 この試験において切削工具の靱性がその寿命にとって重要であることを示した。
    下記の切削データを使用した。
    切削速度V c :80m/分 切り込みa p :1.5mm
    水混和性金属加工液を使用した。

    切削送りを直線的に増加させた。 スタート値は0.15mm/回転であった。 切削の1分後、送り値は0.30mm/回転であり、切削の2分後、送り値は0.45mm/回転であった。

    切削力を測定するための設備を使用した。 インサート破損が起こると切削力がはっきりと増加し、機械は停止した。 試料当たり15個の切り刃を評価した。 15個の切り刃のそれぞれについての破損時における切削送りの実測値を記録した。 これら値を、各切り刃について最低破壊送り値から最高破壊送り値に仕分けした。 結果を表3に示す。 刃番号3の破壊時の送り、15個全体の刃の中央値、及び刃番号13の破壊時の送りを示す。

    クレータ摩耗試験は、約7.4のTC(0012)を有するα−Al 23層、約20のロッキングカーブのFWHM、及び約0.4〜0.7のI 220 /I 311値が、約5.4のTC(0012)を有するα−Al 23層、約36のロッキングカーブのFWHM、及び約1.1のI 220 /I 311値よりも高い耐クレータ摩耗性を与えることを示す。

    靱性試験は、0.2を超える差Δを与えるのに十分な噴射加工が、良好な性能の切削工具をもたらすことを示す。 さらに、これら結果が示すように噴射圧力が高いほど、より強靭な切削工具を与える。

    本発明を様々な例示的実施形態に関連して述べてきたが、本発明は、開示された例示的実施形態に限定されるべきではなく、それどころかこれは、特許請求の範囲の範囲内における種々の改良及び同等物の配置も対象として含むものであることを理解されたい。

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