機能性基板の製造方法および機能性基板、並びに半導体装置 |
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申请号 | JP2008525751 | 申请日 | 2006-07-19 | 公开(公告)号 | JPWO2008010270A1 | 公开(公告)日 | 2009-12-10 |
申请人 | 国立大学法人 熊本大学; 国立大学法人 熊本大学; | 发明人 | 伊東 繁; 繁 伊東; 修一 鳥居; 修一 鳥居; 睦 峠; 睦 峠; 和幸 外本; 和幸 外本; | ||||
摘要 | 簡単な工程で 基板 に機能性材料の粒子を埋め込み、機能領域を形成することができる機能性基板の製造方法を提供する。アルミニウム等よりなる基板(10A)の上にダイヤモンド粉末(21A)を配置し、保護材(30)で覆って封止する。これを爆薬(41)と共に 水 (W)中に設置し、爆薬(41)の爆発により衝撃波(SW)を与える。ダイヤモンド粉末(21A)は高速に 加速 されて基板(10A)に衝突・貫通し、基板(10A)の表面から厚み方向の少なくとも一部に埋め込まれ、機能領域が形成される。得られた機能性基板は放熱部材などとして好適である。機能領域におけるダイヤモンド粒子の含有量の分布は調整可能であり、例えば、基板(10A)の表面から厚み方向に向かって次第に減少させれば、従来の鋳造や粉末どうしの混合などの高温を利用した製造方法では極めて困難であった非平衡な機能領域が実現される。 | ||||||
权利要求 | 所定の厚みを有する基板の表面に機能性材料の粉末を配置する工程と、 衝撃波を与えることにより機能性材料を前記基板の表面から厚み方向の少なくとも一部に埋め込んで前記基板内に機能領域を形成する工程と を含むことを特徴とする機能性基板の製造方法。 前記基板として金属板、前記機能性材料としてダイヤモンド粒子を用いる ことを特徴とする請求項1記載の機能性基板の製造方法。 前記金属板はアルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも一種により構成されている ことを特徴とする請求項2記載の機能性基板の製造方法。 前記基板上の粉末を保護材により覆ったのち、衝撃波を与える ことを特徴とする請求項1記載の機能性基板の製造方法。 基板内の、前記基板の表面から厚み方向の少なくとも一部に機能性材料を含む機能領域を有し、 前記機能領域は、前記基板の表面に機能性材料の粉末を配置したのち前記粉末に衝撃波を与えることにより形成された ことを特徴とする機能性基板。 前記機能領域での機能性材料の含有量は、前記基板の表面から厚み方向に向かって均一である ことを特徴とする請求項5記載の機能性基板。 前記機能領域での機能性材料の含有量は、前記基板の表面から厚み方向に向かって次第に減少している ことを特徴とする請求項5記載の機能性基板。 金属板内にダイヤモンド粒子からなる機能領域を備えた ことを特徴とする請求項5記載の機能性基板。 前記金属板はアルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛からなる群のうちの少なくとも一種により構成されている ことを特徴とする請求項8記載の機能性基板。 放熱部材上に半導体素子を備えた半導体装置であって、 前記放熱部材は金属板であり、前記金属板はその表面から厚み方向の少なくとも一部にダイヤモンド粒子を含む機能領域を有し、かつ前記機能領域は、前記金属板の表面にダイヤモンドの粉末を配置したのち前記粉末に衝撃波を与えることにより形成された ことを特徴とする半導体装置。 |
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说明书全文 | 本発明は、例えば放熱機能などの機能領域を有する機能性基板の製造方法、および機能性基板、並びにこの機能性基板を放熱部材として用いた半導体装置に関する。 半導体装置の放熱部材(ヒートシンク)には、熱伝導率が高いことに加えて、それに接合される半導体素子の構成材料であるSiやGaAsとの熱膨張係数差をできるだけ小さくすることが求められる。 このような要請に応えて、従来より、銅(Cu)とタングステン(W)あるいはモリブデン(Mo)との合金、または銅とダイヤモンドとの複合材料などが開発され、それらの製造方法についても研究が行われている。 例えば、特許文献1には、銅または銀の粒子とタングステンまたはモリブデンの粒子とを機械的に攪拌混合して、銅または銀の粒子の表面がタングステンまたはモリブデンの粒子で被覆された複合粒子を作製し、これを射出成形法により成形したのち焼結するという方法が記載されている。 また、特許文献2は、ダイヤモンド粒子,Ag−Cu合金粉末およびチタン(Ti)粉末の混合粉末を加圧成形したものと、Ag−Cu合金を加圧成形したものとを接触させながら加熱することにより、ダイヤモンド粒子表面にTiC層を形成して密着性を高めると共にダイヤモンド粒子間隙にAg−Cu合金を無負荷で溶浸し緻密体とする方法を開示している。 A. モリ(A. Mori )、外2名,「マテリアルズ サイエンス フォーラム(Materials Science Forum )」,トランス テック パブリケーションズ インク(Trans Tech Publications Inc.),スイス,2004年,第465−466巻,p. 307 B. クロスランド(Crossland, B. )著,「金属の爆発圧接とその応用(Explosive Welding of Metals and Its Application )」,オクスフォードユニバーシティプレス(Oxford University Press ),英国,1982年,p. 95 しかしながら、これらの従来方法はいずれも工程が複雑であるという問題があった。 また、得られた合金または複合材料は、銅または銀の母材中にタングステンあるいはモリブデンの粒子またはダイヤモンド粒子が均一に分散されていた(特許文献1の図1および特許文献2の図1参照。)。 分散される粒子の体積含有率は数十vol%と極めて高く、少量の粒子では所望の熱伝導率または熱膨張係数などの特性を得ることができなかった。 本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、基板内に放熱などの機能領域を簡単な工程で形成することができる機能性基板の製造方法を提供することにある。 本発明の第2の目的は、少量の機能性材料により所望の特性を得ることができ、放熱部材などとして好適な機能性基板を提供することにある。 また、本発明の第3の目的は、放熱部材の熱伝導性を高め、熱放散効率を向上させることができる半導体装置を提供することにある。 本発明による機能性基板の製造方法は、所定の厚みを有する基板の表面に機能性材料の粉末を配置する工程と、衝撃波を与えることにより機能性材料を基板の表面から厚み方向の少なくとも一部に埋め込んで基板内に機能領域を形成する工程とを含むようにしたものである。 この機能性基板の製造方法では、基板の表面に機能性材料の粉末が配置されたのち、衝撃波が与えられることにより、機能性材料の粉末が高速に加速されて基板に衝突・貫通し、機能性材料が基板の表面から厚み方向の少なくとも一部に埋め込まれて機能領域が形成される。 機能領域での機能性材料の含有量の分布は調整可能であり、基板の表面から奥に向かって均一にすることもできるし、また、基板の表面から奥に向かって次第に減少するようにして、従来の鋳造や粉末どうしの混合などの高温を利用した製造方法では極めて困難であった非平衡な機能領域を実現することもできる。 なお、基板は板状に限らずどのような形状でもよく、また、その平面形状も任意である。 本発明による機能性基板は、基板内の、基板の表面から厚み方向の少なくとも一部に機能性材料を含む機能領域を有し、機能領域は、基板の表面に機能性材料の粉末を配置したのち粉末に衝撃波を与えることにより形成されたものである。 この機能性基板では、基板内に、衝撃波を用いて形成された機能領域を有しているので、機能領域での機能性材料の含有量の分布が調整可能となっている。 よって、機能性材料としてダイヤモンド粉末を選択することにより、少量の機能性材料で機能領域の熱伝導性を飛躍的に高め、半導体装置の放熱部材等として利用することができる。 本発明による半導体装置は、放熱部材上に半導体素子を備えたものであって、放熱部材は金属板であり、金属板はその表面から厚み方向の少なくとも一部にダイヤモンド粒子を含む機能領域を有し、かつ機能領域は、金属板の表面にダイヤモンドの粉末を配置したのち粉末に衝撃波を与えることにより形成されたものである。 この半導体装置では、半導体素子から発生した熱は、ダイヤモンド粉末を含む熱伝導率の高い機能領域を介して効率良く放散される。 本発明の機能性基板の製造方法によれば、衝撃波を用いるようにしたので、簡単な工程で機能性材料の粉末を基板に埋め込み、機能領域を形成することができる。 また、本発明の機能性基板によれば、基板内に、衝撃波を用いて形成された機能領域を有するので、機能領域での機能性材料の含有量の分布が調整可能となっている。 よって、機能性材料としてダイヤモンド粉末を選択することにより少量の機能性材料で機能領域の熱伝導性を飛躍的に高め、半導体装置の放熱部材等として利用することができる。 更に、本発明の半導体装置によれば、本発明の機能性基板を放熱部材として備えるようにしたので、放熱部材の熱伝導性が高く、熱放散効率を向上させることができる。 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 なお、図において各構成要素は本発明が理解できる程度の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示したものであり、実寸とは異なっている。 図1は本発明の一実施の形態に係る機能性基板の全体構成を表し、図2および図3はその断面構造を表すものである。 この機能性基板10は、基板10A内に機能性材料として例えばダイヤモンド粒子21を含む機能領域20を形成したものであり、例えば半導体装置やコンピュータ部品等の放熱部材として用いられる。 基板10Aは、例えば、全体の厚みが1.5mmの金属板であり、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも一種により構成されている。 この基板10A内の、基板10Aの表面から厚み方向に数百μmないし1mm程度の領域が、機能領域20となっている。 機能領域20は、母材である基板10Aの強度、熱伝導性または熱膨張係数などの特性を機能性材料により変化させ、機能性材料に応じた機能を持たせたものである。 例えば機能性材料としてダイヤモンド粒子21を含む場合、機能領域20は、物質の中でも最高の2500W/m・Kという熱伝導率を有するダイヤモンドにより、熱伝導性が著しく高くなり、優れた放熱機能を有するものとなる。 ダイヤモンド粒子21の直径は、例えば約10μmないし20μmである。 また、機能性材料はSiC粒子でもよい。 その場合、機能領域20は、ダイヤモンドにつぐモース硬さ9.5を有する極めて硬いSiCにより、強度や安定性が高まり、優れた耐熱性、耐摩耗性能を有するものとなる。 このような機能領域20は、後述するように、基板10Aの表面にダイヤモンド粉末を配置したのち、衝撃波を与えてダイヤモンド粉末を基板10Aの表面から厚み方向の一部に埋め込むことにより形成されたものである。 これにより、この機能性基板10では、機能領域でのダイヤモンド粒子21の含有量の分布が調整可能となっており、少量のダイヤモンド粒子21により機能領域20の熱伝導性を飛躍的に高めることができるようになっている。 機能領域20でのダイヤモンド粒子21の含有量は、例えば図2に示したように、基板10Aの表面から厚み方向に向かって均一であることが好ましい。 このようにすれば、熱伝導率をより高めることができる。 なお、ここで「均一」とは完全に均一である場合のみでなく、ある程度ばらつきがある場合も含む。 また、図3に示したように、機能領域20でのダイヤモンド粒子21の含有量は、基板10Aの表面から厚み方向に向かって次第に減少していることも好ましい。 このようにダイヤモンド粒子21が基板10Aの表面に集中していれば、基板10Aの表面からの放熱効率を極めて高くすることができる。 また、ダイヤモンドの硬度が極めて高いので、表面の耐摩耗性能を向上させることができる。 この機能性基板は、例えば、次のようにして製造することができる。 まず、図4に示したように、例えば、厚みが1.5mmのアルミニウム(Al)よりなる基板10Aの上に、直径が例えば約10μmないし20μmのダイヤモンド粉末21Aを配置し、保護材30で覆うと共に周囲を封止層31により封止する。 保護材30はダイヤモンド粉末21Aの散逸(飛散、流出など)を防止するためのものであり、例えば、基板10Aと同様に、厚みが1.5mmのアルミニウム(Al)などの金属板を用いることができる。 なお、衝撃波SWは保護材30を介してダイヤモンド粉末21Aに与えられるので、保護材30の厚みや質量は、衝撃波SWによるダイヤモンド粉末21Aの加圧条件を考慮して設定する必要がある。 封止層31としては、例えば厚みが0.5mmの市販の粘着テープを用いることができる。 次いで、衝撃波発生源40として爆薬41を準備する。 この爆薬41は、例えば、電気雷管42により起爆される板状の爆薬であり、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)よりなる支持板42に配設されている。 なお、衝撃波発生源40としては、例えば、化学的エネルギーを利用するものとして爆薬、電気的エネルギーを利用するものとして電気パルス発生装置が挙げられる。 また、機械的エネルギーを利用するものとして、液体中への金属球の打ち込みを利用して衝撃波SWを発生させる手法などが挙げられる。 もちろん、衝撃波発生源40は、上記以外の他のエネルギーを利用して衝撃波SWを発生させるものであってもよい。 続いて、伝達媒体Mとして水Wが満たされた水槽50を用意し、基板10Aと保護材30との間にダイヤモンド粉末21Aを封入したものを、衝撃波発生源40と共に水槽50の水W中に設置する。 伝達媒体Mは、衝撃波SWに伴う圧力を伝達させるためのもの(圧力伝達媒体)である。 この伝達媒体Mは、例えば、気体または液体などの圧縮性流体や、ゴムなどの弾性体である。 なお、衝撃波SWは、伝達媒体M中において高速(音速を超える速度)で伝播する強い圧力変化の波であり、圧力、温度および密度などの物理的因子を瞬間的に急激に変化させる性質を有するものである。 特に、水Wを伝達媒体Mとする水中衝撃波SWを用いることが好ましい。 試料にかかる熱の影響を減少することができ、試料が焼けるおそれがないからである。 また、水中衝撃波SWは作用時間が長くなるといわれており、圧力を比較的長い時間試料に負荷することができるからである。 ダイヤモンド粉末21Aに係るダイヤモンド粉末21A上にある保護材30上に作用する水中衝撃波SWの圧力は、保護材30と爆薬41との間の距離twを変化させることにより比較的容易に制御することが可能であり、例えば約1GPa〜3GPaとすることが好ましい。 また、距離twは例えば5mm以上40mm以下とすることが好ましい。 そののち、爆薬41を爆発させることにより衝撃波SWを発生させる。 発生した衝撃波SWは水Wを媒体として伝播し、保護材30を介してダイヤモンド粉末21Aに与えられる。 これにより、ダイヤモンド粉末21Aは高速に加速されて基板10Aに衝突・貫通し、基板10Aの表面から厚み方向の一部に埋め込まれ、機能領域20が形成される。 以上により、図1ないし図3に示した機能性基板10が完成する。 このように本実施の形態では、衝撃波SWを用いるようにしたので、簡単な工程でダイヤモンド粉末21Aを基板10Aに埋め込み、機能領域20を形成することができる。 また、機能領域20におけるダイヤモンド粒子21の含有量の分布は調整可能であり、機能性材料としてダイヤモンド粒子21を選択することにより、少量のダイヤモンド粒子21で機能領域20の熱伝導性を飛躍的に高め、半導体装置の放熱部材等として好適に利用することができる。 以下、本発明の機能性基板の具体的な適用例について説明する。 図5は、本発明の機能性基板を用いた半導体装置の一例を表すものである。 この半導体装置は、放熱部材110上に半導体素子120を配設したものであり、放熱部材110は上記実施の形態で説明した機能性基板10により構成されている。 すなわち、放熱部材110は、アルミニウム(Al)などの金属板である基板10A内に、基板10Aの表面から厚み方向の一部に、機能性材料としてダイヤモンド粒子21を含む機能領域20を有している。 機能領域20は、基板10Aの表面にダイヤモンド粉末を配置したのち、衝撃波SWを与えてダイヤモンド粉末を基板10Aの表面から厚み方向の一部に埋め込むことにより形成されたものである。 これにより、この半導体装置では、放熱部材110の熱伝導性が高く、熱放散効率を向上させることができるようになっている。 半導体素子120は、はんだなどの接着層(図示せず)を間にして放熱部材110に接合されている。 なお、半導体素子120の種類は特に限定されず、レーザあるいは発光ダイオードなどの半導体発光素子、コンピュータのCPU(Central Processing Unit ;中央処理装置)などが挙げられる。 この半導体装置では、半導体素子120から発生した熱は、ダイヤモンド粒子21を含む熱伝導率の高い機能領域20を介して効率良く放散される。 このように本実施の形態では、本発明の機能性基板10を放熱部材110として備えるようにしたので、熱放散効率を向上させることができる。 更に、本発明の具体的な実施例について説明する。 (実施例1) また、基板10Aおよび保護材30として2枚の工業用純粋アルミニウム板(厚み1.5mm,JIS A1050−O,(>99.5 mass% Al))を用意し、これらを0.1mmの空気の間隙をおいて対向配置すると共にその間にダイヤモンド粉末21Aを配置し、周囲を封止層31により封止した。 次いで、基板10Aと保護材30との間にダイヤモンド粉末21Aを封入したものと、衝撃波発生源40とを、伝達媒体Mとして水Wが満たされた水槽50中に、互いに平行に設置した。 衝撃波発生源40の爆薬41としては、旭化成社製SEP(商品名)(爆速約7km/s、密度約1300kg/m 3 )を用いた。 爆薬41の厚みは5mmに固定し、保護材30と爆薬41との間の距離tw=40mmとした。 続いて、爆薬41を爆発させることにより衝撃波SWを発生させ、ダイヤモンド粉末21Aに対して衝撃波SWを与えてダイヤモンド粉末21Aを基板10Aの表面から厚み方向の一部に埋め込み、機能領域20を形成した。 この衝撃波SWの最大圧力を別途評価したところ、その値は数的シミュレーション(非特許文献1参照。)により約1GPaであった。 そののち、得られた機能性基板10を回収し、その断面を調べた。 図7はその写真を表すものであるが、基板10Aにダイヤモンド粒子21が埋め込まれていた。 すなわち、ダイヤモンド粉末21Aに対して衝撃波SWを与えることにより、ダイヤモンド粉末21Aを基板10Aの表面から厚み方向の一部に埋め込んで機能領域20を形成することができることが分かった。 機能領域20の厚みは約数百μmであり、表面から深さ1mmよりも深く貫通したダイヤモンド粒子21はほとんどなかった。 深さ200μmないし1mmの間に存在するダイヤモンド粒子21を点算法により測定したところ、2vol%〜4vol%であり、機能領域20でのダイヤモンド粒子21の含有量は基板10Aの表面から厚み方向に向かって次第に減少していた。 表面から200μm(0.02mm)に30vol%以上のダイヤモンド粒子21が認められた。 図8は、機能性基板10の表面から0.5mmにおけるダイヤモンド粒子21の拡大光学顕微鏡写真である。 ダイヤモンド粒子21の直径は約10μmであり、元の寸法を維持していた。 このことは、ダイヤモンド粉末21Aが基板10Aに高速衝突する際にダイヤモンド粉末21Aの細片化が生じなかったことを示唆している。 また、図8から分かるように、ダイヤモンド粒子21の中には、基板10Aを貫通する際の擦過によりシャープエッジが消滅してしまったものが見られた。 また、機能性基板10の断面には、ダイヤモンド粉末21Aの貫通により形成された穴の跡は観察されなかった。 このことは、高圧下の極めて高いひずみ速度での材料の液状作用により、変形後に穴が閉じられたことを示唆している。 図9は、このようなダイヤモンド粉末21Aの衝突および貫通の過程を概略的に表したものである。 高速に加速されたダイヤモンド粉末21Aの粒子はアルミニウムよりなる基板10Aに衝突し(図9;右)、基板10Aを貫通するが(図9;中央)、穴10Bは柔らかいアルミニウムの流動化により短期間に閉じられたものと推定される(図9;左)。 回収後の機能性基板10の重量変化を測定したところ、重量増加はダイヤモンド粒子21の平均体積含有率から見込まれる重量増加よりも小さいことが確認された。 このことは、流動アルミニウムの一部が水滴のように飛沫10Cとして外部に飛散したことを示唆している(図9;左)。 また、この結果は、極めて高いひずみ速度での液状作用も示唆している。 ダイヤモンド粉末21Aの速度の評価または測定は現在では極めて難しいが、このような流動を考えると、ダイヤモンド粉末21Aは数百m/sに加速されていたはずである。 なぜなら、このような激しい流動により接着された爆発圧接がその速度で達成されているからである(例えば、非特許文献2参照。)。 なお、同様な貫通が保護材30にも生じていた。 また、得られた機能性基板10を熱源としてシリコンラバーヒータに載せて、機能領域20、その周囲のダイヤモンド粒子21を含まない領域および熱源側の3箇所に熱電対を貼り、温度を測定した。 その結果を図10に示す。 図10から分かるように、機能領域20は、その周囲の領域よりも温度が高かった。 すなわち、基板10Aの内部に、衝撃波SWを用いて形成された機能領域20を有するようにすれば、機能領域20の熱伝導率を高めることができることが分かった。 (実施例2−1〜2−7) (実施例3−1) また、基板10Aおよび保護材30として2枚のマグネシウム−アルミニウム−亜鉛合金AZ31(Mg−3Al−1Zn)よりなる板を用意し、これらを0.5mmの空気の間隙をおいて対向配置すると共にその間にダイヤモンド粉末21Aを配置し、周囲を封止層31により封止した。 ダイヤモンド粉末21Aを配置する際には、溶媒としてエタノールに混合させたダイヤモンド粉末21Aを基板10Aに流した後に、溶媒を乾燥させた。 ダイヤモンド粉末21Aを配置した面積は900mm 2となるようにし、その周囲に厚み0.5mmの防水テープを貼ることにより、基板10Aと保護材30との間隙を保持すると共に防水を行った。 次いで、基板10Aと保護材30との間にダイヤモンド粉末21Aを封入したものと、衝撃波発生源40とを、伝達媒体Mとして水Wが満たされた水槽50中に、互いに平行に設置した。 衝撃波発生源40の爆薬41としては、旭化成ケミカルズ社製SEP(商品名)(爆速7000km/s、密度約1310kg/m 3 )を用いた。 爆薬41の厚みは5mmに固定し、保護材30と爆薬41との間の距離twは15mmとした。 なお、基板10Aと保護材30との間にダイヤモンド粉末21Aを封入したものは、水槽50の底に設けられた軟鋼板よりなる支持体(図示せず)上に設置した。 続いて、爆薬41を爆発させることにより衝撃波SWを発生させ、ダイヤモンド粉末21Aに対して衝撃波SWを与えてダイヤモンド粉末21Aを機能性基板10の表面から厚み方向の一部に埋め込み、機能領域20を形成した。 (実施例3−2〜3−6) 得られた機能性基板10を回収し、機能領域20の形成状況を調べたところ、実施例3−1〜3−6の全ての機能性基板10の表面において、ダイヤモンド粒子21が被膜された機能領域20が形成されていた。 機能領域20が形成された機能性基板10の写真を図13、表面SEM写真を図14、表面X線回折の解析結果を図15にそれぞれ示す。 また、図16には、実施例3−4で得られた機能領域20の断面顕微鏡写真を示す。 図14から分かるように、機能領域20の表面にはダイヤモンド粒子21が隙間なく並んでいたが、このダイヤモンド粒子21の寸法や形状は図12に示した埋め込み前のダイヤモンド粉末21Aと同じであり、外形のシャープなエッジもそのまま残存していた。 また、図15から分かるように、機能領域20からは、AZ31の合金とダイヤモンド以外のピークは確認されなかった。 更に、図16から分かるように、実施例3−4で得られた機能領域20には、ダイヤモンド粉末21Aの打ち込みが開始される表面近傍約50μmの深さまで、ダイヤモンド粒子21が集中して存在していた。 他の実施例についても、深さに差異はあるが、同様にAZ31表面近傍でのダイヤモンド粒子21の存在を確認することができた。 すなわち、ダイヤモンド粉末21Aに対して衝撃波SWを与えることにより、ダイヤモンド粉末21Aを基板10Aの表面から厚み方向の一部に埋め込むようにようにすれば、ダイヤモンド粉末21Aの外形寸法や形状を保持しつつ、ダイヤモンド粉末21Aおよび基板10Aの性質を変えずに機能領域20を形成することができることが分かった。 なお、実施例3−1〜3−6ではtwを最大40mmとしたが、tw=40mmを超えても機能性基板10の形成は可能であると考えられる。 予想ではtw=60mm程度が機能性基板10の形成可能な範囲となる。 実施例3−1〜3−6で得られた機能性基板10について、機能領域20の磨耗実験を行い、実験前と実験後との重量変化を測定した。 磨耗試験の条件としては、測定負荷30g、測定速度382rpm、測定半径2.5mm、測定時間1000s、測定温度室温、測定距離1Kmとした。 得られた結果を表1に示す。 比較例として、機能領域20を形成しない未処理のAZ31合金よりなる板についても、上記実施例と同一条件で摩耗実験を行い、実験前と実験後との重量変化を測定した。 その結果も表1に合わせて示す。 表1から分かるように、衝撃波負荷により表面をダイヤモンド粒子21によって処理され、機能領域20が形成された上記実施例の機能性基板10は、機能領域20を形成していない比較例と比べて質量減少量が極めて小さく、はるかに削れ難くなっていた。 すなわち、衝撃波SWにより機能領域20を形成した機能性基板10では、機能領域20を形成しないものに比べて耐磨耗性を著しく高めることができることが分かった。 (実施例4) 以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。 例えば、機能領域20を、基板10Aの表面から厚み方向の一部に形成する場合について説明したが、衝撃波SWによるダイヤモンド粉末21Aの加圧条件等によっては基板10Aの表面から厚み方向の全部に形成することも可能である。 また、上記実施の形態および実施例では、機能性基板10の構成を具体的に挙げて説明したが、機能性基板10の構成は上記実施の形態および実施例に限られない。 例えば、機能領域20は必ずしも図1に示したように機能性基板10の表面の一部のみに形成されている必要はなく、機能性基板10の表面の全面にわたって形成されていてもよい。 更に、各構成要素の材料および厚み、または衝撃波SWによるダイヤモンド粉末21Aの加圧条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の加圧条件としてもよい。 加えて、保護材30としてアルミニウム(Al)板の代わりに銅(Cu),チタン(Ti)またはステンレス鋼などの他の材料を用いることも可能である。 【0002】 【0003】 |