低溶出性ピロロキノリンキノン組成物

申请号 JP2013090079 申请日 2013-04-23 公开(公告)号 JP2014214089A 公开(公告)日 2014-11-17
申请人 三菱瓦斯化学株式会社; Mitsubishi Gas Chemical Co Inc; 发明人 IKEMOTO KAZUTO;
摘要 【課題】ピロロキノリンキノンの溶出性を下げ、アスコルビン酸と併用しても変色し難いピロロキノリンキノン組成物及びその製造方法を提供する。【解決手段】シクロデキストリン、デンプン又はアガロースのいずれか1種以上とピロロキノリンキノン塩とを含む組成物及びその製造法。【選択図】なし
权利要求
  • シクロデキストリン、アガロースまたはデンプンいずれか1種以上とピロロキノリンキノン塩とを含む組成物。
  • ピロロキノリンキノン塩がジアルカリ金属塩である請求項1記載の組成物。
  • シクロデキストリンがβーシクロデキストリン又はγーシクロデキストリンのいずれかである請求項1又は2に記載の組成物。
  • ピロロキノリンキノン塩1に対してシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンが1から50重量倍である請求項1から3いずれかに記載の組成物。
  • 水を含むことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の組成物。
  • ピロロキノリンキノン塩とシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンの1種以上とを水の存在下で混合した後、乾燥して水を除去することを特徴とするピロロキノリンキノン組成物の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、一般式(1)で表される構造のピロロキノリンキノンの塩を含む組成物に関する。

    ピロロキノリンキノン(以下、PQQと記すことがある)は健康補助食品、化粧品などに有用な物質として注目を集めている。 さらには細菌に限らず、真核生物のカビ、酵母に存在し、補酵素として重要な働きを行っている。 また、PQQについて近年までに細胞の増殖促進作用、抗白内障作用、肝臓疾患予防治療作用、創傷治癒作用、抗アレルギ−作用、逆転写酵素阻害作用およびグリオキサラーゼI阻害作用−制癌作用など多くの生理活性が明らかにされている。

    一方、シクロデキストリン(以下、CDと略す場合がある)とはデンプンに酵素を作用させて得られる天然環状分子であり、例えばグルコースが6個繋がったαーシクロデキストリン、グルコースが7個繋がったβーシクロデキストリン、及びグルコースが8個繋がったγーシクロデキストリン等が知られている。

    シクロデキストリンは、分子内に他の機能性成分を取り込み、包接体と呼ばれる複合体を形成する。 シクロデキストリンの分子内は疎性であり、一般的に疎水性物質を包接し、包接体として親水性が向上し、疎水性物質の吸収性が向上することが考えられている。
    更に、熱や紫外線等の外部環境に対して不安定な機能性成分であっても、シクロデキストリン包接体を構成することにより、化学的に安定性が向上することが一般的に知られ、経口、皮膚に塗布する用途で広く使用されている。

    PQQは還元性物質、カルボニル化合物やアミノ基を有する化合物と反応しやすく、食品や薬のような多成分を混合した際の安定性の確保に懸念があるとされている。 食品にはアスコルビン酸のような還元剤やアミノ酸が含まれることが多く、PQQとの反応が心配される。 また、PQQは濃い赤色をしており、嗜好性の高い食品分野ではそれを弱める必要がある。

    これまでにシクロデキストリンとPQQを同時に使用することによりPQQを要求する酵素が安定化されるとして多くの報告がある(例えば、特許文献1)。 しかし、これは酵素の安定化を目的とするものである。 PQQのシクロデキストリン包接体は特許文献2に記載されているが、PQQのフリー体の形成が必要でありその製造方法は困難であった。 特許文献3にPQQを含む食品にシクロデキストリンを添加することが記載されているが、具体的な安定性に関する記載はない。

    特開2006−149378号公報

    特開2012−180319号公報

    特開2005−080502号公報

    ピロロキノリンキノンはアルカリ金属塩で提供されることが多く、すぐに溶解してしまう。 これは他の物質との反応性がある場合には変色する原因となりやすい。 また、その反応性は単純な物質にとどまらず、生体組織への着色を起こしてしまう問題がある。 ゆっくりと溶出してくる組成物が求められている。 本発明は溶解速度を落としたピロロキノリンキノンの提供とその効率的な製造方法を提供することにある。

    アスコルビン酸はビタミンCとして知られ、多くの食品、サプリメントで使用されており、PQQと併用して使用される可能性が非常に高い。 粉末での混合だけでなく、溶液として接触する可能性が高い。 本発明者がこれらを混合した組成物を作製した際に黒く変色してしまい、経口摂取等の際に口の中が黒くなってしまう等の問題がある。 そのため、アスコルビン酸とPQQを併用した際でも変色しない組成物が求められている。

    本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下に示す項目によって解決できることを見出した。
    [1]シクロデキストリン、アガロースまたはデンプンの1種以上とピロロキノリンキノン塩とを含む組成物。
    [2]ピロロキノリンキノン塩がジアルカリ金属塩である[1]記載の組成物。
    [3]シクロデキストリンがβーシクロデキストリン又はγーシクロデキストリンのいずれかである[1]又は[2]に記載の組成物。
    [4]ピロロキノリンキノン1に対してシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンが1から50倍である[1]から[3]いずれかに記載の組成物。
    [5]水を含むことを特徴とする[1]から[4]いずれかに記載の組成物。
    [6]ピロロキノリンキノン塩とシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンの1種以上とを水の存在下で混合した後、乾燥して水を除去することを特徴とするピロロキノリンキノン組成物の製造方法。

    本発明により、溶出性の改善したピロロキノリンキノン組成物の提供とその効率的な製造方法も提供することを可能とした。 これによりアスコルビン酸と併用した際の変色を抑えることも可能になる。

    本発明は、シクロデキストリン、アガロースまたはデンプンいずれか1種以上とピロロキノリンキノン塩とを含む組成物である。

    PQQの塩は下記式(1)で表される構造式の塩である。

    PQQの塩としては、金属塩、とくにジアルカリ金属塩が好ましい。 使用できる物質はモノナトリウム塩、ジナトリウム塩、トリナトリウム塩、モノカリウム塩、ジカリウム塩、トリカリウム塩、モノリチウム塩、ジリチウム塩、トリリチウム塩等が挙げられる。 特に入手しやすい、ジナトリウム体、ジカリウム体が使用しやすい。
    フリー体をアルカリ金属化合物と混合して塩を形成させて使用することもできる。

    シクロデキストリンはα、β、γーシクロデキストリンのどれでも特に制限はない。 より好ましくは本発明の効果が高いことからγーシクロデキストリンである。
    デンプンはどの種類のデンプンでも使用できる。 デンプンの由来はトウモロコシ、じゃがいも、小麦、コメ、サツマイモ、タピオカ等、どれでも問題がない。
    アガロースは精製したものだけでなく棒寒天等も使用できる。

    本発明の組成物は、溶出速度の観点より、PQQの塩1に対してシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンのいずれか1種以上を重量比で1から50倍で含むことが好ましい。 より好ましくは5倍から30倍である。

    本発明の組成物は水を含んでも効果を有する。 溶液状態においても効果的であり、水の存在量に特に制限はないが、粉末状態の場合は50重量%以下であることが好ましい。

    本発明の組成物は、PQQの塩とシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンのいずれか1種以上を混合することにより製造することが出来る。 混合方法としては湿式混合で行うことで混合性が高い状態となり好ましい。 湿式混合の際は、水の存在が必要であり、PQQの塩とシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンのいずれか1種以上をより混合性が高い状態を作ることができる。 水存在下でPQQの塩とシクロデキストリンを2分〜数時間攪拌混合して、続いて、乾燥させて水を蒸発させることで、当該組成物を得ることが出来る。
    若しくはPQQの塩とシクロデキストリン、アガロースまたはデンプンのいずれか1種以上との混合物に水を少量加えてペースト状にして、よく攪拌し、続いて乾燥させて水を蒸発させる方法でも可能である。 乾燥には、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥法等の一般的な乾燥方法を用いることができる。

    本発明の組成物を製造する方法について具体的に説明する。
    PQQの金属塩、例えばPQQのアルカリ金属塩を原料として用いた場合、PQQのアルカリ金属塩の水溶液とγーシクロデキストリンを混合させ、エバポレーター等の乾燥器で水分を蒸発させることで得ることができる。

    本発明の組成物は、溶解性を制御された組成物である。 溶解性が制御されるのは包接作用だけではなく、糖鎖による網目の中に閉じ込められ、溶解速度が下がるためと考えられる。

    本発明の組成物は、薬剤学的に許容されている他の製剤素材を常法により適宜添加混合してもよい。 添加しうる製剤素材としては特に限定されず、例えば、乳化剤、緊張化剤、緩衝剤、溶解補助剤、矯臭剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤などが挙げられる。

    本発明の組成物の保存方法としては、特に限定されず、低温保存、密閉容器による嫌気的保存、遮光保存などを用いることができる。 これにより、析出物なく安定に保存できる。

    本発明の組成物は、医療用、化粧用、食品用、園芸用、酪農用など広い範囲で使用できる。 具体的な形態としては注射剤、輸液、液剤、点眼剤、内服用液剤、ローション剤、ヘヤートニック、化粧用乳液、スプレー液、エアロゾル、ドリンク液、液体肥料、保存用溶液などが挙げられる。

    以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
    PQQジナトリウムは三菱ガス化学製を使用した。

    実施例1 20倍量γ―シクロデキストリン組成物の製造2g/L PQQジナトリウム水溶液: PQQジナトリウム1gを水500mlに溶かす。
    ナスフラスコに2g/LPQQジナトリウム水溶液50g加える。 ここにγ―シクロデキストリン2gを混合する。 エバポレーターで水を除去した。 さらに減圧乾燥した。 ピンク色の粉末2.1gを得た。

    実施例2ー5 PQQ含有湿式混合組成物の製造実施例1と同様に2g/L PQQジナトリウム水溶液50mlと表1に示す粉末状の各糖類を混合してエバポレーターで水を除去した。 さらに減圧乾燥した。
    サンプル名と混合比率等を以下の表1に示す。

    エバプレーターで混合することで均一な粉末組成物が得られた。 本発明の組成物は安価で入手しやすいピロロキノリンジナトリウムを使用して、pH調整や特殊な単離操作もなしに製造することができた。

    実施例6、比較例1 PQQ含有乾式混合組成物の製造PQQジナトリウム粉末と表2に示す粉末状の各糖類をポリ袋に入れ、手でよくふって混合した。 塊がある場合、手で押しつぶし、混合を均一になるように行った。 混合物は容易に製造することができた。

    溶出速度測定上記の調製した各サンプル20mgを水2mlに加え、混合した後に1時間後にサンプリングして遠心分離し、固形分を除去した後に濾過してリン酸バッファーで100倍から20000倍に希釈して溶解量(24時間後の吸光度を100として算出)をUVスペクトルメーターで吸光度が0−2に範囲に入る波長(おもに250nm)で測定した。 その結果を以下の表3に示す。

    本発明の組成物は溶解性を抑えることができた。 とくにγ―シクロデキストリンとデンプンは有効であった。 乾式混合よりも湿式混合の方が効果が高い。 ショ糖やα―シクロデキストリンは溶解性の制御に有効でなかった。

    アスコルビン酸との反応性試験 実施例12
    L−アスコルビン酸(和光純薬製)を水にとかし、20重量%の水溶液を作製した。 実施例1で得られた湿式20倍γ−CD粉末10mgと20重量%アスコルビン酸水溶液100μLを混合し、室温で色の変化を観察した。 30分後、溶けだした溶液の色は赤色であった。 1時間後も変化がなく、安定な組成物であった。

    比較例5
    ピロロキノリンキノンジナトリウム粉末10mgと20重量%アスコルビン酸水溶液100μLを混合し、室温で色の変化を観察した。 混合してすぐ黒く変化し始め、30分後、黒色の混合物になった。 1時間後も黒色の混合物で析出物があった。

    実施例13、14
    実施例2の湿式20倍デンプン、実施例5の湿式20倍アガロースについても実施例12と同様にそれぞれ試験した。 30分後、上澄みはやや黄色く、黒い析出物等は存在しなかった。
    本発明の組成物は変質を抑える効果があることが分かった。

    本発明は、ヒト用または動物用として、医薬品、医薬部外品、食品、機能性食品又は飼料等として幅広く利用することができる。

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