動物飼料製造のための加分解および発酵工程

申请号 JP2014504395 申请日 2012-04-13 公开(公告)号 JP5980903B2 公开(公告)日 2016-08-31
申请人 エンサス・ユーケイ・リミテッド; Ensus UK Limited; 发明人 ワーウィック・ライウッド; ジョン・ピンクニー; ムハンマド・ジャベド; ジェイムズ・エドワーズ;
摘要
权利要求

動物飼料製品の生産方法であって、該方法は既存のバイオエタノール製造工程の一部として: a)発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の部分加分解、この部分加水分解は非澱粉多糖類を可溶性オリゴマーおよびモノマーに変換する、 b)部分加水分解された非エタノール副産物中の可溶性オリゴマーおよびモノマーを発酵して、既存のバイオエタノール生産工程と比較して追加のエタノールを生産する、および c)段階b)の発酵段階からの非エタノール副産物を回収して、改良された栄養成分をもつ動物飼料製品を製造する、 段階を含む、方法。発酵原料がヘミセルロース含有植物原料である、請求項1に記載の方法。部分加水分解が非澱粉多糖類を75%まで加水分解することを含む、請求項1または2に記載の方法。非澱粉多糖類が少なくとも50%のヘミセルロースを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。可溶性オリゴマーおよびモノマーがペントース糖を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。ペントース糖がキシロースおよび/またはアラビノースを含む、請求項5に記載の方法。段階a)において、発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物が、エタノール生産からの蒸留廃棄物(still bottom)または廃液(stillage)であるか、これらに由来する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。廃液が希薄廃液または濃厚廃液である、請求項7に記載の方法。動物飼料製品が、蒸留器粒(distillers grain)、蒸留器乾燥穀物(distillers dried grain)、蒸留器可溶性物(distillers soluble)、可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(distillers dried grain with soluble)または蒸留かす(vinasse)を含む、請求項7または8に記載の方法。部分加水分解が化学的および/または酵素的に実施される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。化学的部分加水分解が酸を使用する、請求項10に記載の方法。酸が硫酸硝酸または塩酸である、請求項11に記載の方法。酸が0.5から5%酸の濃度で使用される、請求項12に記載の方法。酸が100から150℃の間の温度にて使用される、請求項12または13に記載の方法。酸が20から120分間の間の期間使用される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。酵素がヘミセルラーゼおよび/またはセルラーゼを含む、請求項14に記載の方法。段階b)での可溶性オリゴマーおよびモノマーの発酵が部分的な有酸素条件下で実施される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。部分的な有酸素条件が、空気散布(air sparging)により得られる、請求項17に記載の方法。段階b)での可溶性オリゴマーおよびモノマーの発酵が好熱性細菌により実施される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。好熱性細菌が乳酸脱水素酵素活性を欠く、請求項19に記載の方法。好熱性細菌が、異種(heterologous)NAD結合ギ酸脱水素酵素を発現する、請求項19または20に記載の方法。好熱性細菌がゲオバチルス(Geobacillus)属である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。ゲオバチルスが、ゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)またはゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)を含む、請求項22に記載の方法。段階b)のエタノールが蒸発または蒸留により除去される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。段階c)の、発酵の非エタノール副産物の回収が: (a)蒸留廃棄物または濃厚廃液からの、希薄廃液および湿潤ケーキの遠心分離 (b)希薄廃液の蒸発 (c)蒸発で得られたシロップと湿潤ケーキの再度の組み合わせ (d)再度組み合わせられた原料を乾燥して、乾燥製品を製造する、 ことを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。段階c)の、発酵の非エタノール副産物の回収が、乾燥製品を生産するための蒸留廃棄物または濃厚廃液の乾燥を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。改良された栄養成分が、減少したレベルのペントース糖、増加したタンパク質濃度、減少した繊維濃度、減少したレベルの可溶性オリゴマーおよびモノマー、および減少したレベルの還元糖の1つ以上を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。10重量%未満のヘミセルロースまたは5重量%未満のペントース糖を含む、ヘミセルロース含有植物原料を含む発酵原料に実施される発酵工程の副産物としての動物飼料製品。

说明书全文

本発明の分野 本発明は動物飼料製品の製造のための工程および動物飼料製品に関する。特に、本発明は発酵原料または発酵工程からの非エタノール副産物の加分解および任意に得られる動物飼料製品の栄養成分を改善するための発酵による方法に関する。

本発明の背景 好熱性ゲオバチルス(Geobacillus)生物を含む、ペントース(C5)およびヘキソース(C6)糖の混合またはC5糖そのままからバイオエタノールを生産するための微生物の開発が行われている。WO2007/110606は、エタノール製造を最大にするためにNAD結合ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子で形質転換された好熱性微生物を記載する。WO2006/117536およびWO02/29030はそれぞれ不活性化された乳酸脱水素酵素遺伝子を運ぶ好熱性微生物について説明する。

Linde(Bioresource Technology 99 (2008) 6506−6511)は、澱粉−エタノール工場での工程の流れから得られる残余の無澱粉セルロースおよびヘミセルロース画分のスラリーの、加熱処理に続く酵素的加水分解を適用することによる、エタノール収率の理論上の増加について研究した。研究された工程のスラリーは、小麦粉の、発酵前後の澱粉の糖化後のスラリーであった。追加のペントースおよびヘキソース糖の発酵が解放されると仮定して、澱粉のみの利用と比較して、14%のエタノール収率の増加が理論上得られた。セルロース加水分解は、容易にエタノールに発酵されるグルコースを生産する一方で、ヘミセルロース加水分解は、ペントース(C5)糖の大部分を生産する。ペントース糖は、現在工業的工程において使用されていない、ペントース発酵酵母を必要とする。リンデの工程は、唯エタノール収率を最大にするために実行される。

Cookman(Bioresource Technology 100 (2009) 2012−2017)は、高価値のタンパク質富化製品を得るための穀物副産物(DG)からの油およびタンパク質の抽出の実現可能性について研究した。タンパク質抽出は水性エタノール、アルカリ性エタノール、および水の酵素処理に基づいていた。後に残された炭水化物は、発酵性糖への変換が意図された。回収された蛋白質は、その価値を決定するために試験されなかった。

Misailidis(Chemical Engineering Research and Design 87 (2009) 1239−1250)は、小麦からのエタノールとアラビノキシラン(AX)製品の共生産の経済的な実現可能性について研究した。3個の計画;従来の小麦−バイオエタノール生産と、主要な副産物としてのDDGS;AX抽出のためのふすま(bran)の回収への従来のハンマーミルおよびふるい分けの利用による、AX共生産を伴うバイオエタノール生産;およびAX抽出のためのふすまを回収するための精白技術(pearling technology)の利用、がモデル化された。精白を経て除去されたふすまを直接的にDDGSに送ることは経済的ではなかった。

Srinivasan(Bioresource Technology 100 (2009) 3548−3555)は、DDGSからの繊維の除去のための研究室規模でのふるい分けおよび空気選別工程を記載する。

US2010/0196979は、エタノールおよび家畜飼料など他の製品の生産のためのバイオマス源としての廃醸造かす(spent brewers grain)の使用を記載する。

WO2010/107944は、リグノセルロース原料の発酵可能糖への変換および、動物飼料などの、そこから生産された追加の製品に関する。

US6444437は、農村のバイオマスおよび他のセルロース系材料をタンパク質富化動物飼料サプリメントに変換するための二段階工程に関する。

US2003/0232109は、始めの脱皮および発芽阻止段階(degermination step)の使用に基づくトウモロコシ内胚乳からの高消化性高タンパク質製品の生産方法を記載する。

WO82/01483は、廃棄原料からの有機または無機物質の回収のための方法および装置に関する。

WO2005/079190は、澱粉を可溶化し、繊維中のセルロースの酵素分解性を高める予備処理段階に関する。

US2010/0167367は、様々なセルロース系飼料原料からのエタノールの回収のための方法を記載する。

WO2009/079183は、配合飼料中のタンパク質レベルを高めるために、発酵工程の非エタノール性副産物のセルロースを加水分解する発酵の使用に依存する。

国際公開第2007/110606号

国際公開第2006/117536号

国際公開第02/29030号

米国特許公開第2010/0196979号明細書

国際公開第2010/107944号

米国特許第6,444,437号明細書

米国特許公開第2003/0232109号明細書

国際公開第82/01483号

国際公開第2005/079190号

米国特許公開第2010/0167367号明細書

国際公開第2009/079183号

Linde, Bioresource Technology 99 (2008) 6506−6511

Cookman, Bioresource Technology 100 (2009) 2012−2017

Misailidis, Chemical Engineering Research and Design 87 (2009) 1239−1250

Srinivasan, Bioresource Technology 100 (2009) 3548−3555

本発明の説明 可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(distillers dried grain and solubles)(DDGS)、小麦ふすま、トウモロコシ繊維およびシュガービートパルプなどの多くの副産物動物飼料原料は、大豆ミールのような他の動物飼料製品のような効率性で使用されない。この理由は、それらが以下を有するためである: ・低いタンパク質含量、 ・高い繊維量、 ・多量の可溶性非澱粉性多糖類(NSP)、 ・還元糖を含む。 高い繊維量は豚および家禽でタンパク消化率および代謝可能エネルギーを減少させる。より多量のNSPは、豚の後腸における発酵を引き起こし、それは、ブタと家禽でDDGS含有率を制限する。DDGS中のグルコース、マルトースおよびアラビノースなどの還元糖は、DDGSまたはふすまの乾燥工程の間に、メイラード反応によるリジン(必須アミノ酸)の分解を引き起こす。

発明者らは、(既存のバイオエタノール生産工程から起こる)副産物の流れの動物飼料の品質を高めるための、(既存のバイオエタノール生産工程でまたはその上の実施で)エタノールの追加発行段階の範囲を制御することを目的とする工程について考案した。結果、第一の態様によると、本発明は動物飼料製品生産の方法を提供し、該方法は: a)発酵原料または発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の部分加水分解、この部分加水分解は非澱粉多糖類を可溶性オリゴマーおよびモノマーに変換する、 b)部分加水分解された原料または非エタノール副産物中のオリゴマーおよびモノマーを発酵してエタノールを生産する、 c)段階b)の発酵段階からの非エタノール副産物を回収して、動物飼料製品、特に改良された栄養成分をもつ動物飼料製品を製造する、 工程を含む。 この方法は、特に発酵工程における副産物である、動物飼料製品を向上させるための方法として検討され得る。

関連する実施態様において、本発明はまた動物飼料製品、特に栄養成分の改良された動物飼料製品を製造する方法を提供し、該方法は: a)発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の部分加水分解、この部分加水分解は非澱粉多糖類を可溶性オリゴマーおよびモノマーに変換する、 b)段階a)からの部分加水分解された製品を回収し、可溶性オリゴマーおよびモノマーを除去して、動物飼料製品、特に改良された栄養成分をもつ動物飼料製品を製造する、 工程を含む。

この工程は、発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物に直接的に実施される、より一般的な工程のサブセットとして検討され得る。それゆえ、この方法は、発酵工程の副産物として製造される動物飼料製品を向上させる手段として、既存のバイオエタノール製造工場の「最終段階」に含まれ得る。部分加水分解およびそれに続く、解放された還元糖を含まない部分加水分解製品の回収は、動物飼料製品の相対的な栄養成分を改良する。

解放された可溶性オリゴマーおよびモノマーはエタノールに発酵され得る。それゆえ、特定の実施形態において、本方法は段階a)およびb)の間に、エタノールを生産するための、部分加水分解非エタノール副産物中の可溶性オリゴマーおよびモノマーの発酵をさらに含む。そのような実施形態において、段階b)は非エタノール副産物の発酵で実施される。代替の実施形態において、可溶性オリゴマーおよびモノマーを発酵するよりも、むしろそれらを単純に部分加水分解産物の残余から分離することができる。たとえば、不溶性産物は遠心分離により分離され、固形動物飼料製品を製造し得る。

いかなる好適な発酵原料が本発明の方法に適用し得る。多くのバイオエタノールプラントが、原料が発酵されてエタノールを生産するという範囲で存在する。特定の実施形態において、発酵原料はヘミセルロース含有原料、特に植物原料である。好適な例として、トウモロコシ、小麦、オオムギおよびシュガービートパルプが挙げられる。本発明は植物原料由来のヘミセルロース系糖などを発酵できる能を有する好熱性微生物に依存し得る。原料は追加でまたは代替でセルロース含有原料であり得る。発酵はそれゆえ、ペントースおよび/またはヘキソース糖の発酵であり得る。

本発明は、発酵原料または発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の部分加水分解、またはその両方に依存し、この部分加水分解は非澱粉多糖類を可溶性オリゴマーおよびモノマーに変換する。加水分解は部分的であり、動物飼料製品が向上していながら、加水分解なしで達成された場合と比較してエタノール収率が上昇していることを確実にする重要なバランスを示す。加水分解を最大にすることによるエタノール収率の最大化は、動物飼料製品の品質に損失を与え得る。同様に、大規模な加水分解は加工費を非経済的とする程度まで上げ得る。それゆえ、特定の実施形態において、部分的な加水分解は非澱粉多糖類(発酵工程の発酵原料エタノール副産物中に見出される)の約75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%または約10%までの加水分解を含む。

部分的な加水分解はいかなる適当な手段でも実行され得る。ある実施形態において、部分的な加水分解は化学的および/または酵素的に実施される。典型的に、化学的加水分解が利用されていると、発酵は、異なった反応条件下で別々に実施される必要があろう。特定の実施形態において、特に酵素の加水分解が実施されるところで、同時に、部分的な加水分解と発酵を実施できる。そのような工程は同時の糖化発酵(SSF)と呼ばれ得る。また、化学的および酵素的加水分解の組み合わせは特定の実施形態において実施され得る。

化学的部分加水分解はいかなる適切な条件下で実施できる。ある実施形態において、化学的部分加水分解は酸を使用する。特定の実施形態において、酸は硫酸または硝酸または塩酸を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。濃縮された酸は所望のレベルの加水分解を達成するために、当業者によってあらかじめ設定されるように、適切な量で使用され得る。特定の実施形態において、酸は約1〜10%の酸、またはより具体的には0.5〜5%の酸の濃度で使用され得る。適切な酸加水分解状態は本明細書で説明される。

また、部分的な加水分解は適温で実行され得る。室温(または大気温度)より上に上げられた温度は、加水分解工程を容易にし得る。それゆえ、特定の実施形態において、(化学的な)部分加水分解は約50から200摂氏度(℃)、より具体的には約100から150℃の間、さらにより具体的には、約120から140℃の間の温度にて実施される。それゆえ、酸は発酵原料または発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の加水分解のためにこれらのいずれの温度にて使用され得る。

同様に、部分加水分解は、所望のレベルの非でんぷん多糖類の可溶性オリゴマーおよびモノマーへの変換を確実にするために適切な期間の間、実施される。ある実施形態において、化学的部分加水分解は、約10分から5時間の間、より具体的には約20分から3時間の間、さらにより具体的には約30分から120分間の期間実施される。それゆえ、酸は、発酵原料または発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の加水分解のためにこれらのいずれの期間にて使用され得る。

酵素加水分解は化学的加水分解の代わりに、または共に実施され得る。両方のアプローチが組み合わされる場合、それらは同時に、連続でまたは別々に実施され得る。温度、時間、および濃度条件は、当業者によって十分に理解されるように、取られるアプローチによって、調整される必要があり得る。例えば、酵素は低温で効率的に機能しないことや、より高い温度で(不可逆的に)変性し得る。用いられる酵素の型は発酵原料、または発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の性質によるであろう。典型的に、グリコシダーゼ酵素が用いられる。特定の例において、そのような酵素はグリカン加水分解酵素E.C.3.2.1および/またはエンド−β−グルカナーゼおよびβグリコシダーゼなどのセルラーゼを含む。

起源発酵原料に従って、非澱粉多糖類はヘミセルロースを含むか、から本質的になるか、または、からなり得る。特定の実施形態において、非澱粉多糖類は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%のヘミセルロースを含む。同様に、特定の実施形態において、非澱粉多糖類は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%のセルロースを含む。セルロースおよびヘミセルロースは、ある実施形態において、非澱粉多糖類の合計を補い得る。ペクチン、グルカン、ガム類およびイヌリンなどの原料の起源によって、他の多糖類が存在し得る。

本明細書で詳細で説明されるように、本発明の工程はペントース糖の発酵を可能にするために特異的に適合され得る。それゆえ、ある実施形態において、部分加水分解は、ペントース糖を含むか、から本質的になるか、またはからなる可溶性オリゴマーおよびモノマーを生成する。本発明の好ましい微生物はペントースおよびヘキソース糖の両方を発酵でき、可溶性オリゴマーおよびモノマーは典型的にヘキソースおよびペントース糖の両方を含むであろう。特定の実施形態において、ペントース糖はキシロースおよび/またはアラビノースを含むか、から本質的になるか、またはからなる。可溶性オリゴマーはセロビオースなどの二糖類を含み得る。

上述のように、発酵原料の発酵はエタノールおよび非エタノール副産物を生成する。これは図1に図式的に示される。工程は、それゆえ、部分的な加水分解は、動物飼料副産物製品の品質を減少させ、発酵させるか別に除去できる還元糖を含む、追加の糖を解放するために実施され得るような多くの状態を提供する。上述のように、それは製粉の前後、または水との混合の前後または一部、または発酵の間などのような、好適な段階において発酵原料に実施され得る。非エタノール副産物の発酵で実施されるとき、部分加水分解は発酵が実施された後のいかなる段階でも実施され得る。それゆえ、特定の実施形態において、段階a)において、発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物は、エタノール生産の蒸留廃棄物(still bottoms)または廃液(stillage)であるかまたは由来する。特定の実施形態において、部分加水分解は、希薄廃液および/または濃厚廃液を含むか、から本質的になるか、またはからなる廃液に実施され得る。

上述のように、発酵原料または発酵原料に実施される発酵工程の非エタノール副産物の部分加水分解に続いて、部分加水分解された原料または非エタノール副産物(または発酵物)中の可溶性オリゴマーおよびモノマーが発酵されてエタノールを生産する。適当な発酵方法は、当業者によく知られており、エタノール製造を最適化するために容易に適用される。発酵は典型的に嫌気性であるが、本明細書で議論されるように、ある実施形態において部分的に有酸素条件下で実施され得る。上述のように、発酵はペントース糖の発酵を含み得る。それゆえ、特定の実施形態において、発酵は、例えば細菌または酵母であり得る、ペントース糖を発酵できる微生物を用いることで実施される。より具体的な実施形態において、発酵は、好熱性微生物、特にペントース糖を発酵できる好熱性細菌、を用いることで実施される。好熱性細菌は乳酸脱水素酵素活性を欠いてもよい。乳酸欠失変異体がエタノールを増加した収率で生産できることが以前に示された。ldh遺伝子(乳酸脱水素酵素をコードする)を不活性化するための適当な技術は、例えば、それぞれの関連する開示が全体として本明細書に組み込まれるWO2007/110608、WO02/29030、およびWO2006/117536に記載される。それゆえ、ldh遺伝子は挿入、削除または置換変異を通して不活性化され得る。乳酸生成が停止し、過剰なピルビン酸が主に成長に繋がるピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)経路に回る。それゆえ、好熱性細菌はピルビン酸ギ酸リアーゼを通常発現する。しかしながら、非常に高い糖濃度および/または酸性pHにて、PFL経路流(PFL pathway flux)が減少し、次いで過剰なピルビン酸が嫌気性ピルビン酸脱水素酵素(PDH)経路にオーバーフローし、究極的にはエタノールおよびCO2のみを得る。したがって、高いエタノール収率を得る好ましい状態は、PFL経路を通る流れを減少させ、PDH経路を通る流れを増加させるものであり得る(Hartley, B.S. and Shama, G. Proc. Roy. Soc. Lond. 321, 555−568 (1987))。残念ながら、そのような条件のもとで、細胞は、ATP生産減少、およびNAD/NADHおよびCoA/アセチルCoA比における電位の不均衡を伴う代謝的負荷を被り得る。

この、特に高い糖レベル(部分加水分解によって生成される)の条件下での、酸化還元不均衡の可能性の問題、に対処するため、ある実施形態において、好熱性細菌は異種(heterologous)NAD結合(またはNAD依存)ギ酸脱水素酵素(FDH)を発現する。NAD結合FDHをコードする多くの遺伝子が当業者に知られており(例えば、Nanba et al (Biosci. Biotechnol. Biochem. 67(10), 2145−2153 (2003))、好適な好熱性細菌を形質転換するために使用され得る。それゆえ、好熱性細菌はfdh遺伝子、特にfdh1遺伝子)によって形質転換され得る。好熱性細菌は、ある実施形態において、熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子を組み込み得る。他の実施形態において、好熱性細菌は、ヌクレオチド配列が好熱性細菌による発現を容易にするために最適化されたコドンをもつ遺伝子によって形質転換され得る。そのような熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素の製造は、その関連する開示が本明細書に全体として組み込まれるWO2007/110608に詳細に記載される。特定の実施形態において、NAD結合ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子は、配列番号1に記載されるヌクレオチド配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる。さらなる実施形態において、好熱性細菌は、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素をコードする、((ゲオ)バチルス細菌における発現のため)コドン最適化された遺伝子を組み込み得る。この配列は、好適なDNA構築物への遺伝子のクローニングを促進するために、基本的な熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素配列に加えて、プロモーターおよびターミネーター領域、およびXba1部位などの適当な制限部位も含む。

またさらなる実施形態において、NAD結合ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子は、fdh1遺伝子である。fdh1遺伝子はいかなる好適な起源に由来し、好ましくは関連する好熱性細菌の発現のためにコドン最適化される。

発酵は、それゆえ、適切な好熱性細菌のコドン選択の使用による最適な遺伝子発現のために設計された、合成のNAD結合ギ酸脱水素酵素を利用し得る。合成遺伝子は乳酸脱水素酵素遺伝子への挿入を補助するために設計された制限部位を含み得る。その結果、ldh遺伝子の不活性化とfdh遺伝子の発現が一回の操作で達成される。特定の実施形態において、熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素は60℃またはそれより高い温度において機能を維持する。熱安定酵素は好熱性細菌での発現のためにコドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされ得る。ギ酸脱水素酵素は、その関連する開示が本明細書に全体として組み込まれるWO2007/110608に記載される、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなり得る。ここで、特定の熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素は、シュードモナス sp 101(Pseudomonas sp101)ギ酸脱水素酵素アミノ酸配列(配列番号:3)を基にして、コドン最適化されたゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)の使用を通して設計された。当業者は、この基本的な配列の派生物が機能性を有することを理解するであろう。例えば、保存的または準保存的置換が熱安定NAD結合ギ酸脱水素酵素をもたらし得て、これらの派生物は、好熱性細菌を使用するエタノール生産において有用となるような有効な触媒作用および耐熱性を保有して、本発明で提供される範囲内に該当することが意図される。同様に、アミノ酸のわずかな削除、および/または、追加は、適切な機能性を保有する派生物を作り出し得る。

ある実施形態において、酸化還元不均衡の可能性の問題に対処するため、発酵工程が部分的に有酸素条件下で行われ得る。PDH経路もまたその操作が細胞集団の生産に主につながる、有酸素条件下で操作するように、上述した代謝的負荷は、空気の部分的な散布(sparging)、一般に最適な空気散布速度で実行することにより緩和される。最適な空気散布速度によるとは、有酸素PDH経路に低レベルの流れが通ることを許容することによって、代謝的負荷を軽減するために十分(正当)な散布速度を意味する。この低レベルの流れは、しかしながら、嫌気生活、およびそれゆえに工程の嫌気性PDH経路において、いかなる有意な減少も許容しない。これは、エタノール製造レベルの有意な減少があるべきでないことを意味する。さらに、空気に面したPFL経路の厳しい感度により、この空気散布は、PFL経路を通る流れを減少させ、嫌気性PDH経路を通る流れをさらに増加し、しかし微生物を代謝的負荷の下に置くことがないという、追加の利益を有し得る。好適な空気散布速度は、最適なエタノール生産レベルをもたらし、および/またはギ酸および酢酸の生産を最小化するいかなる具体的な発酵工程の文脈において調査することにより、当業者によって容易に決定できる。空気散布は、周期的であるか、または連続であり得、それに従って、速度を調整できる。当業者はまた、所望の効果を発揮するために、限定された量の空気に発酵を露出するため、散布へ類似の技術を用いられることを理解するであろう。また、当業者は、それに従って、所望であれば空気が酸素源に置き換わってもよく、速度をそれに従って、変更(減少)できることを理解するであろう。それゆえ、さらなる態様において、本発明はC5およびC6糖からの最適な空気散布レベルの下でのエタノール製造に関する。最適化は、比較的最も高いレベルのエタノール濃度が工程で達成されながら、最も低いギ酸および酢酸レベルが発酵から生じる酸化還元レベルをモニターすることによって、達成される。

いかなる好適な好熱性細菌が本発明の方法において用いられ得る。特定の実施形態において、好熱性細菌はバチルス科ファミリーであり、より具体的には好熱性細菌はゲオバチルス属である。特定の実施形態において、ゲオバチルスはゲオバチルス・サーモグルコシダシウスまたはゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)を含み、より具体的な株としてNAD結合ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子で形質転換されたゲオバチルスはゲオバチルス・サーモグルコシダシウスまたはゲオバチルス・ステアロサーモフィルスを含む。

好熱性細菌がエタノールへの低寛容を有する一方で、これは通常のまたは連続したエタノールの除去により、発酵において容易に解決できる。これは、発酵におけるエタノール濃度が好熱性細菌のエタノール寛容より低く保たれることを確実にする。エタノールは、例えば膜および/または穏やかな真空蒸発などの蒸発または蒸留によって、(高温)発酵から連続しておよび都合良く除去され得る。発酵は、いくつかの実施形態において、約50℃から70℃の間といった、約40℃から80℃の間、の温度範囲内で実施され得る。

本発明の方法では、エタノールは部分加水分解産物の発酵で生成される。本発明は、非エタノール副産物の発酵に由来する改良された動物飼料製品をもたらす、特徴の組み合わせに基づく。特定の実施形態において、部分加水分解の後または間に行われる発酵段階に続く、発酵の非エタノール副産物の回収は: −蒸留廃棄物または濃厚廃液からの、希薄廃液および湿潤ケーキの遠心分離 −希薄廃液の蒸発 −蒸発で得られたシロップと湿潤ケーキの再度の組み合わせ −再度組み合わせられた原料を乾燥して、乾燥製品を製造する、 ことを含む。

代替的な実施形態において、発酵の非エタノール副産物の回収は、乾燥製品を生産するための蒸留廃棄物または濃厚廃液の乾燥を含む。

動物飼料製品の性質は、本発明の工程で用いられた発酵原料および発酵の後に実施された段階により決定される。それゆえ、ある実施形態において、動物飼料製品は蒸留器粒(distillers grain)(DG)、蒸留器乾燥穀物(distillers dried grain)(DDG)、蒸留器可溶性物(distillers soluble)(DS)、可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(distillers dried grain with soluble)(DDGS)、および/または、蒸留かす(vinasse)を含む。蒸留かすはシュガービート蒸留かすであり得る。

本明細書に記載の通り、本発明の方法は非栄養物のレベルの減少によって、改良された栄養成分もつ動物飼料製品を製造する。より具体的に、部分加水分解を通した還元糖および/またはペントース糖の解放およびそれに続くこれらの糖のエタノールへの発酵が、発酵の非エタノール副産物から得られた動物飼料製品の品質を向上する。それゆえ、特定の実施形態において、(動物飼料製品の)改良された栄養成分は、減少したレベルのペントース糖、比較的増加したタンパク質濃度、比較的減少した繊維濃度、減少したレベルの可溶性オリゴマーおよびモノマー、および減少したレベルの還元糖の1つ以上を含む。

本発明は、したがって、本発明の方法により生産された動物飼料製品にも関する。同様に、本発明は、約10、9、8、7、6または5重量%未満または以下のヘミセルロース、または約5、4、3、2または1重量%の、キシロースなどの還元糖を含む、発酵原料で実施される発酵工程の副産物として生産される動物飼料製品もまた供給する。この動物飼料製品は、本明細書にて特定された発明の方法により同様に製造され得る。

本発明はさらに以下の非限定的な実施例を参照して説明されるであろう。

図1は、穀類バイオエタノールプラントの最終段階の概要のフローチャートである。

図2は、未処理の希薄廃液のクロマトグラムである。

図3は、硝酸で加水分解された希薄廃液のクロマトグラムである。

図4は、未処理(破線)および硝酸処理された(実線)希薄廃液試料のクロマトグラムの重ね合わせである。

図5は、24時間50℃の温度にてpH5.0で酵素処理された希薄廃液のクロマトグラムである。

図6は、未処理(破線)および酵素処理された(実線)希薄廃液試料のクロマトグラムの重ね合わせである。

本発明の好ましい実施形態の説明

実施例1 希薄廃液の酸および酵素加水分解

導入 バイオエタノールプラント(Ensus)から希薄廃液を得た。図1は、Ensusの工程および希薄廃液が工程のどのポイントで生産されるかを示す。水分含量百分率(wt/wt)は工程の各段階に示される。希薄廃液はエタノール工程の準固体残渣の流れであり、残渣から湿潤ケーキを除去した後に得られる。希薄廃液が澱粉およびグルコース無しであると予想され、炭水化物は、主にセルロースおよびヘミセルロース残渣であろう。最適条件下での、その加水分解が、これらの原料から糖の大部分を最適の状態で放出すると予想される。

原料および方法 希薄廃液 希薄廃液はEnsusにより、そのバイオエタノールプラントから利用可能となった(導入部および図1を参照)。

希薄廃液の酸加水分解 約12.5mlの希薄廃液を含む100mlのDuranボトル中に、0.125mlの濃縮硝酸または0.136mlの硫酸を加え、121℃30分で加水分解(オートクレーブ)した。

希釈廃液の酵素加水分解 約50〜100mlの希釈廃液(pH4から5に調整)を含む250mlコニカルフラスコ中に、異なる濃度の酵素を、下記の表1に従って添加した。フラスコをその後60〜60C℃でさまざまな期間で培養した。試料をフラスコから引き出し、HPLCで分析した。

希薄廃液中の乾燥不溶性固形分 希薄廃液中の全固形分を、希釈廃液を4000rpmで10から20分間遠心分離し、上清を除去して65℃で48時間乾燥して計算した。

希薄廃液中の乾燥可溶性物+不溶性固形分 希薄廃液を、定量が得られるまで(約8分間)121℃で保持した。

希釈廃液の分析 加水分解または非加水分解希釈廃液を二重で14000rpmにて5分間遠心分離し、その後0.2ミクロンフィルターでろ過し、周囲温度で保持されたDionex CarboPAC PA1カラムを装着し、グラジエント移動相[100%A(50mM NaOH)で20分間、次いで100%B(250nM NaOAc/250mM NaOH)で10分間、次いで100%Aで15分間カラム再生]で溶出する、Dionex HPLC機器を通して分析した。全時間は45分間であり、流速は1ml/分である。

あるいはまた、試料は、65℃で保持されるBio−rad Aminex−HPX−87Hカラムを装着し、25分間0.6ml/分の流速で5mM硫酸で溶出する島津HPLC機器を用いることで分析された。

結果 希薄廃液中の全固形分 希薄廃液中の全固形分(可溶性+不溶性からの)は、希薄廃液を120℃8分間乾燥したときに、60から85g/lの間であり、大部分の希釈廃液バッチで約80g/lの全固形分含量を有した。全不溶性固形分は、固形分をまず残渣から分離し、次いで残渣を65℃で48時間乾燥したときに、約45g/lであることが見出された。

希薄廃液の酸加水分解による炭水化物放出 表2(および図2)の結果は、非常に少ない量の糖が希薄廃液に存在する(1.7g/lのモノマー糖および3g/lのダイマー糖のみ)ことを示す。単純なオートクレーブは非常に少ない量のモノマー糖(約1.8g/l)を放出した。しかしながら、酸加水分解は有意な量の糖を希薄廃液中に放出した。1%硝酸との121℃、30分間の加水分解は可溶性モノマー糖を1.7g/lから約26g/lまで上昇させ、一方でダイマー糖を3g/lから0.1g/l未満まで減少させた(図3および4)。類似のダイマーレベルの減少は1%硫酸処理で達成され、一方で、22.5g/lへのモノマー糖の増加はわずかに硝酸で達成された物よりも低かった。

希薄廃液の酵素加水分解による炭水化物放出 図5および6に明確に示された定性的結果は、かなりの量のモノマー糖が酵素加水分解の間放出されたことを示す。異なる酵素での希薄廃液の加水分解の量的な結果は表3に示される。アクセレラーゼ1500、アクセレラーゼDuet、オプティマッシュGB、およびオプティマッシュTBGはかなりの量の糖を放出し、希薄廃液から最大約25g/lの糖が放出できた。一方で、アクセレラーゼXCおよびアクセレラーゼXYもまた希薄廃液からいくつかの糖を放出する。

結論 ・希薄廃液の乾燥不溶性固形分含量は約45g/lである ・希薄廃液の乾燥固形分(可溶性+不溶性)は60から85g/lの間である ・1%硫酸で約21g/lの糖が、1%硝酸で約23g/lの糖が希薄廃液の加水分解から放出された。 ・酵素加水分解もまた、希薄廃液から有意な量の糖を放出した。

希薄廃液の固形分は45g/lであった。

本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態で範囲を制限されない。実に、本明細書の記載に追加して、本発明の様々な変更は、当業者により上述の記載および併記される図面から明らかになるであろう。そのような変更が添付された請求の範囲に該当することが意図される。さらに、本明細書に記載された全ての実施形態がより広く適用できるものであるとみなされ、適宜、他のあらゆる実施形態を結合可能であるとみなされる。

様々な刊行物が本明細書で引用され、それらの開示の全体が参照として本明細書に組み込まれる。

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