コイルばね製造方法及びコイルばね製造装置

申请号 JP2017508595 申请日 2015-06-25 公开(公告)号 JPWO2016208033A1 公开(公告)日 2017-06-29
申请人 オリイメック株式会社; 发明人 赴仁 高橋; 赴仁 高橋;
摘要 線材(M)として種々のものを用いる場合であっても、コイルばねを的確に成形することができるコイルばね製造方法及びコイルばね製造装置(1)を提供する。送り出されてくる線材(M)を回転ローラ外周面(5a)に順次、圧接させることにより、線材(M)をコイル状に成形することを前提とする。この前提の下で、線材(M)の送り出しに伴い、回転ローラ(5)を、サーボモータ(20)の回転駆動 力 により、回転ローラ外周面(5a)のうち、線材(M)との圧接部分が、線材(M)の進み側に向けて移動するように回転駆動する。
权利要求
  • 送り出されてくる線材をコイル成形加工具としての回転体の外周面に順次、圧接させることにより、該線材をコイル状に成形するコイルばね製造方法において、
    前記線材の送り出しに伴い、前記回転体を、回転駆動源の回転駆動力により、該回転体における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に向けて移動するように回転駆動する、
    ことを特徴とするコイルばね製造方法。
  • 請求項1において、
    前記回転体の回転駆動に際して、該回転体における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとする、
    ことを特徴とするコイルばね製造方法。
  • 請求項2において、
    前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具を設け、
    前記ピッチ加工具を、ピッチ加工具用回転駆動源の回転駆動力により、前記線材の送り出しに伴い、該ピッチ加工具における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に向けて移動するように回転駆動する、
    ことを特徴とするコイルばね製造方法。
  • 請求項3において、
    前記ピッチ加工具の回転駆動に際して、該ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとする、
    ことを特徴とするコイルばね製造方法。
  • 請求項1において、
    前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具を設け、
    前記ピッチ加工具を、ピッチ加工具用回転駆動源の回転駆動力により、前記線材の送り出しに伴い、該ピッチ加工具における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に向けて移動するように回転駆動する、
    ことを特徴とするコイルばね製造方法。
  • 請求項5において、
    前記ピッチ加工具の回転駆動に際して、該ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとする、
    ことを特徴とするコイルばね製造方法。
  • 送り出されてくる線材を、順次、外周面に圧接させてコイル状に成形する回転体が備えられているコイルばね製造装置において、
    前記回転体に回転駆動源が、該回転体を該回転体の軸線を中心として回転させるように連係され、
    前記回転駆動源は、前記線材の送り出しに伴い、前記回転体を回転駆動すると共に、該回転体の回転駆動に関し、該回転体における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に移動するように設定されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 請求項7において、
    前記回転駆動源は、前記回転体における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとするように調整されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 請求項8において、
    前記線材を真っ直ぐに送り出す線材ガイドと、該線材ガイドに隣り合うようにして配置されて該線材ガイドから送り出される線材が巻回される巻回ツールと、が備えられていると共に、前記回転体が1つの回転体をもって構成され、
    前記巻回ツールが、前記線材ガイドから送り出される線材を巻回する円弧状の外周面を有し、
    前記1つの回転体が、前記巻回ツールにおける円弧状の外周面に前記線材を介して当接されるように配置されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 請求項8において、
    前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具が備えられ、
    前記ピッチ加工具にピッチ加工具用回転駆動源が、該ピッチ加工具を該ピッチ加工具の軸線を中心として回転させるように連係され、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記線材の送り出しに伴い、前記ピッチ加工具を回転駆動すると共に、該ピッチ加工具の回転駆動に関し、該ピッチ加工具用における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に移動するように設定されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 請求項10において、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとするように調整されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 請求項7において、
    前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具が備えられ、
    前記ピッチ加工具にピッチ加工具用回転駆動源が、該ピッチ加工具を該ピッチ加工具の軸線を中心として回転させるように連係され、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記線材の送り出しに伴い、前記ピッチ加工具を回転駆動すると共に、該ピッチ加工具の回転駆動に関し、該ピッチ加工具用における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に移動するように設定されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 請求項12において、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとするように調整されている、
    ことを特徴とするコイルばね製造装置。
  • 说明书全文

    本発明は、コイルばね製造方法及びコイルばね製造装置に関する。

    コイルばね製造装置には、特許文献1に示すように、コイル成形工具として、支持具に支持ピンを介して回転体を回転自在に支持し、その回転体の外周面に、送り出されてくる線材を、順次、圧接させて、その線材の移動により回転体を回転させつつ、その線材をコイル状に成形するものが提案されている。
    これによれば、線材をコイル状に成形するに際して、線材が圧接されて摩擦が問題となる回転体外周面に対する線材の摩擦抵抗を低減させることができ、コイルばね成形に当たって、線材に鍍金を施したり潤滑油を塗布したりしなくても、品質の低下を抑制することができる。

    特許第3124489号公報

    しかし、上記コイルばね製造装置においては、回転体外周面に接する線材が移動することに伴い回転体が回転することになっていることから、回転体外周面に対する線材の摩擦力が、支持具(支持ピン)に対する回転体の回転抵抗力(最大静止摩擦力)を超えない限り、線材は回転体の外周面に対してスリップし、回転体は回転しない。 このため、線材は、支持具に対して回転体が回転するまで(支持具に対する回転体の摩擦力が最大静止摩擦力を経て動摩擦力になるまで)耐えられる強度を有するものでなければならず、線材として、そのような強度を有しないものを用いた場合には、製品としてのコイルばねが、低品質のものになったり、コイルばねの成形自体が困難となるおそれがある。

    本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、線材として種々のものを用いる場合であっても、コイルばねを的確に成形することができるコイルばね製造方法を提供することにある。
    第2の目的は、線材として種々のものを用いる場合であっても、コイルばねを的確に成形することができるコイルばね製造装置を提供することにある。

    前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、
    送り出されてくる線材をコイル成形加工具としての回転体の外周面に順次、圧接させることにより、該線材をコイル状に成形するコイルばね製造方法において、
    前記線材の送り出しに伴い、前記回転体を、回転駆動源の回転駆動力により、該回転体における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に向けて移動するように回転駆動する構成とされている。

    この構成によれば、回転駆動源による回転体の回転駆動に基づき、回転体を回転させるために、駆動力として、回転体外周面と線材との間で摩擦力を発生させる必要がなくなり、その摩擦力の発生に起因する線材強度の制限を排除できる。

    本発明(第1の発明)の好ましい構成態様として、本発明(第1の発明)の前記構成を前提として、次の態様をとることができる。
    (1)前記回転体の回転駆動に際して、該回転体における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとする構成をとることができる。
    これによれば、線材と回転体とがスリップすることを極力抑制することができ、線材に関し、支持具に対して回転体が回転し始めるまで(支持具に対する回転体の摩擦力が最大静止摩擦力を経て動摩擦力になるまで)耐えられる強度を有することが必要でなくなるばかりか、支持具に対して回転する回転体の回転抵抗力(動摩擦力)を超える強度すらも必要でなくなり、一層、低い強度の線材を用いる場合であっても、コイルばねを製造することができる。
    また、回転体の外周面に対する線材のスリップを極力抑えることができることから、その線材の外周面が傷付くことを高い確実性をもって抑えることができる。 これに伴い、線材が被覆線である場合には、スリップに基づく傷付きを要因とした被膜の剥がれを抑制できることになる。

    (2)上記(1)を前提として、
    前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具を設け、
    前記ピッチ加工具を、ピッチ加工具用回転駆動源の回転駆動力により、前記線材の送り出しに伴い、該ピッチ加工具における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に向けて移動するように回転駆動する構成をとることができる。
    これによれば、成形されたコイルばねにピッチを施すことができるだけでなく、このピッチ加工具においても、その軸線を中心として回転させるために、駆動力として、ピッチ加工具外周面と線材との間で摩擦力を発生させる必要がなくなり、ピッチ加工具を設ける場合においても、その摩擦力の発生に起因する線材強度の制限を排除できる。

    (3)上記(2)を前提として、
    前記ピッチ加工具の回転駆動に際して、該ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとする構成をとることができる。
    これによれば、回転体の場合に加えて、ピッチ加工具も同様の構成となり、ピッチ加工具が設けられる場合においても、コイルばねを的確に成形することができ、さらには、ピッチ加工具の外周面に対する線材のスリップを極力抑えて、その線材の外周面が傷付くことを高い確実性をもって抑えることができる。

    (4)前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具を設け、
    前記ピッチ加工具を、ピッチ加工具用回転駆動源の回転駆動力により、前記線材の送り出しに伴い、該ピッチ加工具における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に向けて移動するように回転駆動する構成をとることができる。
    これによれば、成形されたコイルばねにピッチを施すことができるだけでなく、このピッチ加工具においても、その軸線を中心として回転させるために、駆動力として、ピッチ加工具外周面と線材との間で摩擦力を発生させる必要がなくなり、ピッチ加工具を設ける場合においても、その摩擦力の発生に起因する線材強度の制限を排除できる。

    (5)上記(4)を前提として、
    前記ピッチ加工具の回転駆動に際して、該ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとする構成をとることができる。
    これによれば、回転体の場合に加えて、ピッチ加工具も同様の構成となり、ピッチ加工具が設けられる場合においても、コイルばねを的確に成形することができ、さらには、ピッチ加工具の外周面に対する線材のスリップを極力抑えて、その線材の外周面が傷付くことを高い確実性をもって抑えることができる。

    前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、
    送り出されてくる線材を、順次、外周面に圧接させてコイル状に成形する回転体が備えられているコイルばね製造装置において、
    前記回転体に回転駆動源が、該回転体を該回転体の軸線を中心として回転させるように連係され、
    前記回転駆動源は、前記線材の送り出しに伴い、前記回転体を回転駆動すると共に、該回転体の回転駆動に関し、該回転体における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に移動するように設定されている構成とされている。

    この構成により、回転体を、回転駆動源の回転駆動力により、線材の送り出しに伴い、回転体における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側に向けて移動するように回転駆動することになり、前述のコイルばね製造方法(第1の発明)を実施するコイルばね製造装置を提供できる。

    本発明(第2の発明)の好ましい構成態様として、本発明(第2の発明)の前記構成を前提として、次の態様をとることができる。
    (1)前記回転駆動源は、前記回転体における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとするように調整されている構成をとることができる。
    これによれば、前記第1の発明における(1)の方法を実施するコイルばね製造装置を提供できる。

    (2)上記(1)を前提として、
    前記線材を真っ直ぐに送り出す線材ガイドと、該線材ガイドに隣り合うようにして配置されて該線材ガイドから送り出される線材が巻回される巻回ツールと、が備えられていると共に、前記回転体が1つの回転体をもって構成され、
    前記巻回ツールが、前記線材ガイドから送り出される線材を巻回する円弧状の外周面を有し、
    前記1つの回転体が、前記巻回ツールにおける円弧状の外周面に前記線材を介して当接されるように配置されている構成をとることができる。
    これによれば、通常の大きさのコイルばねを成形するに当たり、線材ガイド先端、1つの回転体、巻回ツールをもって、線材を的確にコイル状に巻くことができることは勿論、成形すべきコイルばねの径が極めて小さいものであっても、複数の回転体を用いる場合とは異なり、回転体同士の干渉が問題になることをなくすことができる。 このため、極めて小さい径をなすコイルばねを成形する場合であっても、的確に成形することができる。

    (3)上記(1)を前提として、
    前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具が備えられ、
    前記ピッチ加工具にピッチ加工具用回転駆動源が、該ピッチ加工具を該ピッチ加工具の軸線を中心として回転させるように連係され、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記線材の送り出しに伴い、前記ピッチ加工具を回転駆動すると共に、該ピッチ加工具の回転駆動に関し、該ピッチ加工具用における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に移動するように設定されている構成をとることができる。
    これによれば、前記第1の発明における(2)の方法を実施するコイルばね製造装置を提供できる。

    (4)上記(3)を前提として、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとするように調整されている構成をとることができる。
    これによれば、前記第1の発明における(3)の方法を実施するコイルばね製造装置を提供できる。

    (5)前記線材をコイル状に成形するに際して、該線材に圧接して該線材を成形すべきコイルばねの軸線方向に変位させることにより、ピッチ加工を行う軸状のピッチ加工具が備えられ、
    前記ピッチ加工具にピッチ加工具用回転駆動源が、該ピッチ加工具を該ピッチ加工具の軸線を中心として回転させるように連係され、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記線材の送り出しに伴い、前記ピッチ加工具を回転駆動すると共に、該ピッチ加工具の回転駆動に関し、該ピッチ加工具用における外周面のうち、該線材との圧接部分が、該線材の進み側と同じ側に移動するように設定されている構成をとることができる。
    これによれば、前記第1の発明における(4)の方法を実施するコイルばね製造装置を提供できる。

    (6)上記(5)を前提として、
    前記ピッチ加工具用回転駆動源は、前記ピッチ加工具における外周面の周速度を、前記線材の送り出し速度を目標値として、該線材の送り出し速度に近づけたものとするように調整されている構成をとることができる。
    これによれば、前記第1の発明における(5)の方法を実施するコイルばね製造装置を提供できる。

    以上の内容から、本発明によれば、線材として種々のものを用いる場合であっても、コイルばねを的確に成形することができるコイルばね製造方法及びコイルばね製造装置を提供できる。

    第1実施形態に係るコイルばね製造装置を示す平面図。

    図1の正面図。

    第1実施形態に係るコイルばね製造装置を示す全体構成図。

    第1実施形態において用いられる線材ガイドを説明する分解斜視図。

    第1実施形態に係る回転ローラと線材との関係を示す部分拡大斜視図。

    第1実施形態におけるコイルばね成形を説明する説明図。

    比較例におけるコイルばね成形を説明する説明図。

    本発明を説明する概念図。

    第1実施形態とは異なる態様でのコイルばね成形を説明する説明図。

    図9におけるコイルばね製造装置の線材ガイド、芯金及び回転体の配置、構成等を示す説明図。

    第1実施形態に係るコイルばね製造装置の制御例を示すフローチャート。

    第2実施形態に係るコイルばね製造装置を示す全体構成図。

    第2実施形態に係るコイルばね製造装置の制御例を示すフローチャート。

    第3実施形態に係るコイルばね製造装置を説明する説明図。

    以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
    先ず、成形素材としての線材をコイルばねに成形するコイルばね製造方法について説明するに先立ち、その方法を使用するコイルばね製造装置について説明する。
    コイルばね製造装置1は、図1〜図3に示すように、一対の送りローラ2a,2b、線材ガイド3、巻回ツールとしての芯金4、回転体(コイル成形加工具)としての回転ローラ5、ピッチ加工具6(図1、図2では図示略)、切断具としてのカッタ7(図1、図2では図示略)を備えている。 一対の送りローラ2a,2b、線材ガイド3、芯金4、回転ローラ5は、コイルばね製造装置1の一方側から他方側(図1〜図3において、左側から右側)に向けて順に配置され、ピッチ加工具6は、線材ガイド3の上方に配置され、カッタ7は、芯金4の上方に配置されている。

    前記一対の送りローラ2a,2bは、線材Mを線材ガイド3に向けて送り出すべく、上下関係をもって配置されている。 一対の送りローラ2a,2bは、その各回転軸線O1が、線材Mの送り出し方向(図1〜図3中、右方向)を横切る方向(図1〜図3において、紙面直方向)に向けられており、その両送りローラ2a,2bの周面は、その周面の幅方向を回転軸線O1の方向に向けつつ近接されている。 この送りローラ2a,2bの少なくとも一つに回転駆動源としてのサーボモータ8が連結されており、このサーボモータ8の駆動力により一対の送りローラ2a,2bが互いに相反する方向に回転され、その一対の送りローラ2a,2bの回転によりその両者2a,2b間からコイルばね製造装置1の他方側に向けて線材Mが送り出される。

    前記線材ガイド3は、一対の送りローラ2a,2bから送り出された線材Mを真っ直ぐに伸びるようにガイドするべく、図4に示すように、一対のガイド部材9a,9bを合わせた構造とされている。 一対のガイド部材9a,9bの各合わせ面10a,10bにはガイド溝11a,11bがそれぞれ形成されており、線材ガイド3内部には、ガイド溝11a,11bに基づき、線材Mがほぼ通り抜けるためのガイド孔12(図6も参照)が形成される。

    前記芯金4は、図1〜図3、図5、図6に示すように、上記線材ガイド3、後述の回転ローラ5と協働して、線材ガイド3から送り出される線材Mを所定のコイル形状に成形するものであり、この芯金4の外周面には、成形時において、線材Mがコイル状に巻回される。
    芯金4は、本実施形態においては、図示を略す取付け部材に一体的に取付けられている。 この芯金4は、軸形状をもって、前記送りローラ2a,2bの軸線O1と同方向に伸ばされ、その芯金4の先端部は、線材ガイド3に隣り合いつつ、その線材ガイド3のガイド孔12先端開口よりも上方に位置するように配置されている。 この芯金4は、図6における正面視において、略半円状に形成されており、この芯金4の外周面は、平坦面をなした状態で線材ガイド3側に向けられたカッタ案内面13と、残りの円弧状の成形加工面14と、を有している。 成形加工面14は、線材ガイド3から送り出される線材Mの巻回方向(図6中、反時計方向)に向けて順に、第1外周面部14a、第2外周面部14bを有しており、第2外周面部14bの曲率半径R2は、第1外周面部14aの曲率半径R1よりも大きくなっている。
    また、この芯金4の径は、成形すべきコイルばねの内径に応じたものとなっており、成形すべきコイルばねの内径を極めて小さくする場合には、それに伴い、1mm以下の極めて小さな径を有する芯金4が用いられることもある。
    尚、図6においては、線材ガイド3が簡略化して示されている。

    前記回転ローラ5は、線材ガイド3から送り出された線材Mを芯金4と協働して湾曲成形するべく、図1、図2に示すように、回転軸15、軸受け16を介してベース17に設けられている。
    ベース17としては、帯板状の部材が用いられ、そのベース17は、その長手方向をコイルばね製造装置1の伸び方向(図1〜図3中、左右方向)に向けた状態の下で、その一端側が前記線材ガイド3及び芯金4に近接するように配置され、その他端側が図示を略す取付け部材に取付けられている。 軸受け16はベース17の一端側上面に固定され、その軸受け16の軸線O2は、前記送りローラ2a,2bの軸線O1と同じ方向に向けられている。 回転軸15は、軸受け16を貫通した状態で該軸受け16に回転可能に支持されており、その回転軸15の一端部に回転ローラ5が取付けられ、その回転軸15の他端部にプーリ18が取付けられている。

    回転ローラ5は、図6に示すように、その外周面5aの下部を前記線材ガイド3におけるガイド孔12の先端開口P1に臨むようにしつつ、その部分よりも上側の周面部分P2を前記芯金4の第1外周面部14aに近接するようにして配置されている。 これにより、この回転ローラ5は、前述の芯金4及び線材ガイド3と協働して、線材Mの送り出しに伴い、その線材Mをコイル状に成形することになる。

    具体的には、線材Mがガイド孔12の先端開口P1から回転ローラ5における外周面上の点P2にまで導かれた状態においては、線材Mは、回転ローラ5の外周面5aに圧接されることに基づき、第1外周面部14aに沿うように湾曲成形される。 この線材Mがさらに送り出されて、その点P1と点P2で湾曲成形された湾曲成形部分が、線材Mの巻回方向(図6中、反時計方向)における第2外周面部14bの終端P3に至ると、第2外周面部14bの曲率半径R2が第1外周面部14aの曲率半径R1よりも大きいことに基づき、その第2外周面部14bの終端P3と湾曲成形部分とが当接し、その湾曲成形部分の曲率半径が若干、大きくされる。 このような成形が、線材Mの送り出しに伴い、順次行われ、線材Mはコイル状に成形される。

    この回転ローラ5の外周面5aには、図5に示すように、案内溝19が全周に亘って形成されている。 この案内溝19は、回転ローラ外周面5aに導かれた線材Mを案内する機能を有しており、線材Mが回転ローラ外周面5a上の点P2(回転ローラ外周面5aに対する線材Mの圧接点)にあるときには、その線材Mの一部が案内溝19に入り込み、その点P2において、回転ローラ5と芯金4の第1外周面部とが線材Mを介して確実に当接されるようにされ、その後、その部分の送り出し方向が点P3を向くように案内される。 これにより、上述の成形(線材Mをコイル状に成形すること)が的確に行われることになる。

    前記回転軸15のプーリ18には、図1、図2に示すように、回転駆動源としてのサーボモータ20が関連付けられている。 サーボモータ20は、その出力軸20aを前記回転軸15の軸線方向他端側と同方向に向けつつ、ベース17の他端側上面に固定され、その出力軸20aにプーリ21が取付けられている。 このプーリ21と回転軸15のプーリ18とにベルト22が巻回され、サーボモータ20の駆動力が回転軸15を介して回転ローラ5に伝達されることになっている。

    前記ピッチ加工具6は、コイルばねを成形するに当たり、そのコイルばねにピッチを施すべく、図3に示すように、軸状をもって形成されて、その一端側部分が、成形すべきコイルばねの斜め上方からその領域内に入り込んだ状態で配置されている。 このピッチ加工具6は、コイルばねの成形に当たり、そのピッチ加工具6全体が、そのコイルばねの軸線方向において、回転ローラ5の案内溝19よりも前方(図3中、紙面手前方向)に変位され、ピッチ加工具6の外周面がコイル状に巻かれた線材Mの後側に当接される。 これにより、線材Mが順次、芯金4に巻回されるに伴い、成形すべきコイルばねにおいて、その軸線方向にピッチが順次、形成される。

    前記カッタ7は、所定軸線方向長さに成形されたコイルばねと、それに続く線材Mとを切り離すべく、図3に示すように、往復動変換機構23を介して回転駆動源としてのサーボモータ24に連結されている。 カッタ7は、サーボモータ24の駆動力によりカッタ7が上下方向に往復動できることになっており、カッタ7が下方に移動したときには、カッタ7と前述のカッタ案内面13とが、協働して、芯金4(点P3)上の線材Mを切断し、成形されたコイルばねを線材Mから切断することになっている。

    このコイルばね製造装置1においては、線材Mとして、種々のものを用いることができる。 具体的には、材質の観点からは、ステンレス線、ピアノ線等に代表されるばね用鋼線や、銅線、プラチナ線等に代表される軟線を用いることができ、径の観点からは、用途に応じて、一般的な0.3〜5.0mmの範囲のものだけでなく例えば0.3mm未満の極小径のものをも用いることができ、さらには、線材Mとして、芯材を樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等)により被覆した被覆線をも用いることができる。

    コイルばね製造装置1は、図3に示すように、サーボモータ8,20,24を制御すべく、制御ユニットUを備えている。
    このため、制御ユニットUには、操作入力部25からの入力情報、サーボモータ8におけるエンコーダ26からの入力情報(線材Mの送り情報)が入力され、その制御ユニットUからは、サーボモータ8、サーボモータ20、サーボモータ24に対して制御信号が出力されることになる。

    制御ユニットUには、図3に示すように、コンピュータとしての機能を確保すべく、記憶部27と、制御演算部28とが備えられている。
    記憶部27には、コイルばねの成形に必要な各種プログラム、設定情報等が格納されており、これら各種プログラム等は、必要に応じて、制御演算部28により読み出されることになる。 また、必要な情報が適宜、記憶される。

    制御演算部28は、図3に示すように、記憶部27から読み出されたプログラムの展開に基づき、設定部29と、制御部30として機能する。
    設定部29は、所定のコイルばねを成形するに当たっての線材Mの送り出し長さ、送りローラ2a,2bによる線材Mの送り出し速度、回転ローラ外周面5aの周速度等を設定することになり、制御部30は、各種プログラムの下で、設定部29における設定情報に基づき、各種制御信号をサーボモータ8、サーボモータ20、サーボモータ24に出力することになる。

    次に、本実施形態に係るコイルばね製造装置1の具体的作用を、そのコイルばね製造装置1において使用されるコイルばね製造方法と共に説明する。
    線材Mが所定のコイルばねに成形されると、その所定のコイルばねと、それに続く線材Mとが、点P3(図6参照)において切断され、その線材Mの切断端は、新たなコイルばねのための製造開始端となる。 このため、以下の説明においては、線材ガイド3から引き出された線材Mが、芯金4と回転ローラ5との間を通り、その先端が点P3に至っている状態を開始点とする。

    コイルばね製造装置1が、新たなコイルばねの成形を開始すべきと判断したときには、一対の送りローラ2a,2bが回転駆動されて、線材Mが線材ガイド側に送り出されることになり、その送り出された線材Mは、線材ガイド3と芯金4と回転ローラ5とにより、順次、湾曲成形されて、コイル状とされる(図6参照)。 この際、本実施形態においては、ピッチ加工を行うことになっており、ピッチ加工具6が、成形すべきコイルばねの軸線方向に変位される。
    この後、コイルばね製造装置1が、一対の送りローラ2a,2bの回転により線材Mが所定長さだけ送り出されて所定のコイルばねが成形されたと判断すると、一対の送りローラ2a,2bの回転駆動が停止され、続いて、芯金4(点P3)上に載っている線材Mがカッタ7により切断される。

    この場合、本実施形態においては、回転ローラ5が、送りローラ2a,2bの回転駆動と同期して回転駆動される。 この本実施形態の態様を、比較例として、回転ローラ5が回転駆動源により駆動されず単に支持具31に支持ピン32を介して回転自在に支持されている態様のもの(図7参照)との比較の上で詳述する。 尚、比較例を示す図7においては、本実施形態と同一構成要素については同一符号が付されている。

    (1)比較例の態様の場合(図7参照)
    線材ガイド3から引き出されている線材Mが回転ローラ5の外周面に圧接されている状態の下で、一対の送りローラ2a,2bにより線材Mが送り出されると、その線材Mの移動に伴い、図8に示すように、線材Mと回転ローラ5の外周面との間に摩擦力が生じることになるが、その摩擦力が、支持ピン32に対する回転ローラ5の最大静止摩擦力を超えない限り、線材Mは回転ローラ5の外周面に対してスリップして移動し、回転ローラ5は回転しない。 このため、この比較例の態様の下で、回転ローラ5の回転に基づく低摩擦力(動摩擦力)を利用するためには、線材Mと回転ローラ5外周面との間の摩擦力が、支持ピン32に対する回転ローラ5の最大静止摩擦力を超えて、支持具に対して回転ローラ5が回転状態とならなければならず、この回転状態なって初めて、その際の動摩擦力(低摩擦力)が利用できることになる。 このことから、線材Mは、支持ピン32に対して回転ローラ5が回転するまで(支持ピン32に対する回転体の摩擦力が最大静止摩擦力を経て動摩擦力になるまで)耐えられる強度を有するものでなければならず、線材Mとして、そのような強度を有しないものを用いた場合には、製品としてのコイルばねが、低品質のものになったり、座屈等によりコイルばねの成形自体が困難となるおそれがある。

    このため、線材Mとして、前述の軟線、さらには、線材Mの径が0.3mm未満であるもの等、線材強度が特に低いものについては、座屈等の発生により、コイルばねを成形することは容易ではない。
    また、支持ピン32に対する回転ローラ5の摩擦力が最大静止摩擦力になるまでは、回転ローラ5外周面に対する線材Mがスリップすることになり、そのスリップに基づいて線材Mの外周面に傷が付くおそれがある。 このため、線材Mが、芯材を樹脂コーティングした被覆線である場合については、その被膜において、スリップに基づく傷付きを要因とした剥がれを起こすおそれがある。 特に、回転ローラ5の外周面に案内溝(本実施形態における案内溝19に相当)が形成されている場合には、被覆線の外周面に案内溝19開口縁等が局部的に作用し、その間で発生するスリップにより、上記被膜の剥がれが促進されるおそれがある。

    (2)本実施形態の態様の場合(図6参照)、
    (i)これに対して、本実施形態においては、回転ローラ5が、送りローラ2a,2bの回転駆動に同期して、サーボモータ20により、回転ローラ外周面5aのうち、線材Mとの圧接部分が線材Mの進み側と同じ側に移動するように回転駆動(図6中、時計方向に回転駆動)される。 このため、本実施形態においては、駆動力として、線材Mと回転ローラ5の外周面5aとの間の摩擦力を最大静止摩擦力にまで上げる必要がなくなり、図8に示すように、回転ローラ5外周面に対する線材Mの摩擦力を大幅に減らすことができ、線材Mとしての必要強度は、比較例の態様の場合に比して、著しく低くすることができる。

    (ii)特に、回転ローラ5の回転駆動に際して、その回転ローラ外周面5aの周速度を、線材Mの送り出し速度を目標値として、該線材Mの送り出し速度にできるだけ近づけた場合(最も好ましくは、線材Mの送り出し速度と回転ローラ外周面5aの周速度とを等しくする場合)には、線材Mと回転ローラ外周面5aとがスリップすることをほとんどなくすことができ、線材Mに関し、支持具に対して回転ローラ5が回転し始めるまで(支持具に対する回転体の摩擦力が最大静止摩擦力を経て動摩擦力になるまで)耐えられる強度を有することが必要でなくなるばかりか、前述の支持ピン32に対して回転する回転ローラ5の回転抵抗力(動摩擦力)を超える強度すらも必要でなくなり、極めて低い強度の線材Mを用いる場合であっても、コイル ばねを製造することができることになる。

    (iii)このため、線材Mとして、前述の軟線、さらには、線材Mの径が0.3mm未満であるもの等、線材強度が特に低いものを用いる場合であっても、その線材Mを、座屈等を生じさせることなく、的確にコイルばねとして成形することができる。

    (iv)この場合、線材Mとして、径が0.3mm未満であるものを用いて、1mm前後の内径を有するコイルばねを成形した場合、そのコイルばねをコンタクトプローブ、カテーテル等として用いることができるが、このような極小径のコイルばねを成形するに当たっては、回転ローラ5が1つだけ設けられた前述のコイルばね製造装置1(図1〜図3、図6参照)を用いるのが好ましい。 回転ローラ5が1つの場合には、成形すべきコイルばねの径が小さくなっても、回転ローラ5を複数(一般的には2つ)設けるようなコイルばね製造装置(特許文献1の図1参照)の場合とは異なり、回転ローラ5同士の干渉の問題が生じないからである。

    図9、図10をもって具体的に説明する。 図9、図10には、2つの回転ローラ5を備えたコイルばね製造装置1が示されている。 このコイルばね製造装置1においても、前述のコイルばね製造装置1(図1〜図3、図6)と同様の構成要素が備えられており、同一構成要素については同一符号が付されている。
    このコイルばね製造装置1においては、成形すべきコイルばねの軸線を通る平線に対して2つの回転ローラ5が上下略45度の角度をもってそれぞれ配置され、その各回転ローラ5に対して線材Mが湾曲した状態で圧接されることになっている。 これにより、このコイルばね製造装置1においても、線材Mに対する2つの回転ローラ5による圧接点P2−1,P2−2と、線材Mに対する線材ガイド3のガイド孔12先端開口での点P1とにより(3点)、線材Mをコイルばねに的確に成形することができる(図10においては、カッタ7及びピッチ加工具6については、図示略)。 勿論この場合も、2つの回転ローラ5が、前記同様、サーボモータ20により回転駆動される場合には、線材Mとして、強度が弱いものを用いる場合であっても、そのような線材Mをコイルばねに成形することができる。
    しかし、線材Mとして、例えば、径が0.3mm未満であるものを用いて、各回転ローラ5の径と同等以下の径のコイルばねを成形する場合には、成形すべきコイルばねの径が小さくなるに伴って、芯金4の径を小さくすることができるものの、2つの各回転ローラ5の外径をさほど小さくすることができない一方で、その2つの回転ローラ5の配置関係(水平線に対して上下略45度の角度位置からそれぞれ線材Mに圧接)を、成形すべきコイルばねの径が小さくなろうとも、変更することができない。 このため、上記2つの回転ローラ5を備えるコイルばね製造装置においては、成形すべきコイルばねの径を小さくするに伴って、両回転ローラ5が干渉する可能性が高まることになる(図10中、両ローラ5,5間の矢印をもって示す間隔を参照)。 このことから、上記のような回転ローラ5の径と同等以下の径を形成するコイルばねを成形する場合には、前述のコイルばね成形装置1(図1〜図3、図6参照)を用いることが好ましい。

    (v)また、回転ローラ外周面5aの周速度を線材Mの送り出し速度にほぼ等しくする場合には、回転ローラ外周面5aに対する線材Mのスリップがほとんどなくすことができ、スリップに基づく線材M外周面の傷付きを防止できることになる。 これに伴い、線材が被覆線である場合には、スリップに基づく傷付きを要因とした被膜の剥がれを防止でき、回転ローラ外周面5aに案内溝19が形成されている下では、その案内溝19に基づく被覆線における被膜の剥がれを防止できる。

    次に、本実施形態に係るコイルばね製造方法及びそのコイルばね製造方法を使用するコイルばね製造装置1の具体的作用を、制御ユニットUの制御例を示す図11のフローチャートの下で、より具体的に説明する。 尚、Sはステップを示す。 また、説明に当たっては、前述した如く、線材Mの先端が点P3にある状態を開始時点とする。
    コイルばね製造装置1が起動されると、S1において、送りローラ2a,2bによる1回当たりの線材Mの送り長さ、送りローラ2a,2bによる線材Mの送り速度、回転ローラ外周面5aの周速度(送りローラ2a,2bによる線材Mの送り速度にほぼ等しい速度)等の各種情報が読み込まれ、その読み込みを終えると、S2において、送りローラ2a,2b及び回転ローラ5の各回転が同時に開始される。 この場合、送りローラ2a,2bによる線材Mの送り速度と回転ローラ5における外周面5aの周速度がほぼ等しくなっており、回転ローラ外周面5aに対する線材Mの摩擦力をほとんどなくすことができる。 このため、線材Mとして、通常の径(通常の強度)のものだけでなく、線材強度の低いもの、特に成形すべきコイルばねの径が極めて小さくする際に用いるものも含め、種々のものを成形できることになる。

    次のS3においては、サーボモータ8におけるエンコーダ26からの出力信号に基づき、送りローラ2a,2bが線材Mを所定長さだけ送り出したか否かが判別される。 所定軸線長さのコイルばねが成形されたか否かを判断するためである。 このS3がNOのときには、このS3の判別が繰り返されて、コイルばねの成形が続行される一方、S3がYESのときには、S4において、送りローラ2a,2b及び回転ローラ5の回転駆動が停止される。 所定軸線長さのコイルばねが成形されたと判断したためである。
    続いて、S5において、カッタ7が下降動され、カッタ7と芯金4(カッタ案内面13)とは、協働して、成形されたコイルばねとそれに続く線材Mとを切断する。 このS5が終了すると、次のコイルばねを成形するべく、前記S2にリターンされる。

    図12、図13は第2実施形態、図14は第3実施形態を示す。 この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。

    図12、図13に示す第2実施形態においては、ピッチ加工具6は、成形すべきコイルばねの軸線方向に変位動されるだけでなく、そのピッチ加工具6の軸線O3を中心として回転駆動されることになっている。
    具体的には、ピッチ加工具6にピッチ加工具用サーボモータ33が、そのピッチ加工具6をその軸線O3を中心として回転させるように連係され、そのサーボモータ33は、線材Mの送り出しに伴い、ピッチ加工具6を回転駆動すると共に、そのピッチ加工具6の回転駆動に関し、ピッチ加工具6における外周面のうち、線材Mとの圧接部分が、その線材Mの進み側と同じ側に移動するように設定されている。 しかも、ピッチ加工具6における外周面の周速度も、送りローラ2a,2bによる線材Mの送り出し速度にほぼ等しく設定されている。
    これにより、成形されたコイルばねにピッチを施すことができるだけでなく、このピッチ加工具6においても、その軸線O3を中心として回転させるために、駆動力として、ピッチ加工具6外周面と線材Mとの間で摩擦力を発生させる必要がなくなり、ピッチ加工具6を設ける場合においても、その摩擦力の発生に起因する線材M強度の問題を排除できる。

    図13は、第2実施形態に係る制御ユニットUの制御例を示すフローチャートを示している。 その内容は、基本的には、前記第1実施形態におけるフローチャート(図11参照)と同じとされているが、ピッチ加工具6の動作が追加されている。 このため、第2実施形態に係るフローチャートについては、第1実施形態に係るフローチャートのステップと相違するステップに関し、そのステップ符号に「´」を付して説明する。
    先ず、最初のS1´においては、各種情報として、前述の第1実施形態のものの他に、ピッチ加工具6外周面におけるその軸線を中心とした周速度(送りローラ2a,2bによる線材Mの送り速度にほぼ等しく設定)も読み込まれ、S2´において、送りローラ2a,2b、回転ローラ5及びピッチ加工具6の回転が開始され、線材Mに対してコイルばね成形が開始される。 この場合、回転ローラ5外周面の周速度及びピッチ加工具6外周面の周速度が送りローラ2a,2bによる線材Mの送り速度にほぼ等しいことから、回転ローラ5だけでなく、ピッチ加工具6についても、その外周面と線材Mとの間の摩擦力をかなり低く抑えることができる。
    上記S2´の処理を終え、次のS3の判別において、線材Mが所定長さだけ送り出されて所定軸線長さのコイルばねが成形されたと判断されると、S4´に進み、そのS4´において、送りローラ2a,2b、回転ローラ5及びピッチ加工具6の回転駆動が停止される。 そして、次のS5において、成形されたコイルばねとそれに引き続く線材Mとが切断された後、新たなコイルばねを製造すべく、前記S2´にリターンされる。

    図14に示す第3実施形態は、第1実施形態に係るコイルばね製造装置1の変形例を示す。
    この第3実施形態に係るコイルばね製造装置1においては、円柱状の芯金4が、線材ガイド3からの線材Mの送り出し方向(図14中、右方向)を横切るように配設され、その芯金4は、その軸線を中心として回転可能に取付け部材(図示略)が支持されている。 この芯金4の外周面に回転ローラ5が、線材ガイド3から送り出された線材Mを介して当接されている。 このため、回転ローラ5がその軸線を中心として回転駆動されると、芯金4がその軸線を中心として、回転ローラ5とは反対方向に回転されることになり、これにより、線材ガイド3から送り出された線材Mは、コイル状に成形され、そのコイル状に成形された線材Mが芯金4の外周面に巻回されることになる(コイルばねの成形)。 この後、線材Mが、所定軸線長さになるまでコイル状に成形されると、回転ローラ5の回転駆動が停止され、そのコイル状に成形された線材と、それに続く線材とがカッタ7により切り離される。
    この場合、芯金4を回転駆動源により独立に回転駆動し、その芯金4外周面の周速度を回転ローラ外周面5aの周速度に等しくしてもよい。

    以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
    (1)一対のガイド部材9a,9bのうち、一方のガイド部材9a(9b)の合わせ面10a(10b)にのみガイド溝11a(11b)を形成し、そのガイド溝11a(11b)により線材ガイド3内部においてガイド孔12を構成すること。
    (2)線材ガイド3として、一体成形物がガイド孔12として貫通孔を有するものを用いること。
    (3)回転体として、回転軸15等を用いること。
    (4)ピッチ加工具の配置を、成形すべきコイルばねの巻回方向に応じて決めること。 すなわち、成形すべきコイルばねが右巻きばねの場合には、斜め上方から、その成形すべきコイルばね内に進入させ(図1〜図3参照)、成形すべきコイルばねが左巻きばねの場合には、斜め下方から、その成形すべきコイルばね内に進入させること。
    これに伴い、成形すべきコイルばねが左巻きばねの場合には、カッタ7は、その成形すべきコイルばねの下方側に配置されることになる。

    1 コイルばね製造装置 2a,2b 送りローラ 3 線材ガイド 4 芯金(巻回ツール)
    5 回転ローラ(回転体)
    5a 回転ローラの外周面 6 ピッチ加工具 8 サーボモータ(回転駆動源)
    20 サーボモータ(回転駆動源)
    33 サーボモータ(ピッチ加工具用回転駆動源)
    O1 回転ローラの軸線 O3 ピッチ加工具の軸線 U 制御ユニット

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