A compression coil spring, the manufacturing method of the coil spring

申请号 JP2009091191 申请日 2009-04-03 公开(公告)号 JP5322744B2 公开(公告)日 2013-10-23
申请人 日本発條株式会社; 发明人 俊雄 浜野; 秀樹 岡田; 健二 山本屋;
摘要 Bending deformation exceeding a yield stress is applied by winding a material for a coil spring on a mandrel at a temperature at which spring-back occurs. Coiling is performed simultaneously with the application of the bending deformation, and the load is removed after the coiling. This spring includes an outside surface region (W3) having a compressive residual stress and a compressive stress reduction region (W4) in which the compressive residual stress is reduced from the outside surface region (W3) toward the center of the material. A stress change portion (P1) at which a change from the compressive residual stress to a tensile residual stress occurs exists between the outside surface region (W3) and the center of the material. The spring further includes a tensile stress peak portion (P2), tensile stress reduction region (W5), and inside surface region (W6). The inside surface region (W6) has the tensile or compressive residual stress having an absolute value smaller than that of the outside surface region (W3).
权利要求
  • 棒状のばね材料を螺旋形に曲げてなる圧縮コイルばねであって、
    曲げ外側の表面に圧縮残留応力が残留し、
    前記曲げ外側の表面から材料中心に向って前記圧縮残留応力が減少し、かつ、
    前記曲げ外側の表面と材料中心との間に圧縮残留応力から引張残留応力に変化する応力変化部が存在するとともに該応力変化部と材料中心との間に前記引張残留応力が最大となる引張応力ピーク部が存在し、
    前記引張応力ピーク部から前記曲げ内側に向って前記引張残留応力が減少し、
    前記曲げ内側の表面に、前記曲げ外側の表面の前記圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力または圧縮残留応力が残留していることを特徴とする圧縮コイルばね。
  • 棒状のばね材料をA 変態点以下の温度で芯金に螺旋形に巻付けることにより降伏応力を越える曲げ変形を生じさせる曲げ工程と、
    前記曲げ変形と同時に前記材料に引張およびねじりの少なくとも一方の荷重を与えるストレス追加工程と、
    前記ストレス追加工程が行なわれた後に前記材料を前記芯金から取外して前記荷重を除荷することにより前記材料の曲げ外側の表面に圧縮残留応力を残留させるとともに前記材料の曲げ内側の表面に、前記曲げ外側の前記圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力または圧縮残留応力を生じさせる除荷工程と、
    を具備したことを特徴とするコイルばねの製造方法。
  • 说明书全文

    この発明は、例えば車両の懸架ばね等に使用される圧縮コイルばねと、コイルばねの製造方法に関する。

    コイルばねを製造する装置として、材料を熱間で成形するコイルばね製造装置と、材料を冷間で成形するコイルばね製造装置とが知られている。 例えば下記の特許文献1に開示されているコイルばね製造装置(熱間コイリング装置)は、加熱された材料を巻付ける芯金と、材料が所定のピッチで巻付くように材料を案内するガイド機構とを有している。 前記材料の先端部は、芯金に設けられているクランプ機構によってチャックされている。 材料の他端側すなわち芯金に巻付く前の部分は拘束されずに自由状態となっている。 前記材料は芯金に巻付けられることによって螺旋形に成形される。 成形後のコイルばねには、焼入れ、焼戻しなどの熱処理が行なわれている。 そして熱処理後にショットピーニングにより、ばねの表面に圧縮の残留応を生じさせている。

    また比較的線径の小さいコイルばねを製造する場合に、材料を冷間で芯金に巻付けるコイリング装置も知られている。 冷間で成形されたコイルばねは、スプリングバックを生じることなどにより、曲げ外側に圧縮の残留応力が生じるとともに、曲げ内側に引張の残留応力が生じる。 引張の残留応力はコイルばねの耐久性に悪影響を与えるため、必要に応じてひずみ取り焼鈍やショットピーニングによって、曲げ内側表面の引張残留応力を低減させたり、表面に圧縮の残留応力を生じさせている。

    特開昭61−20641号公報

    車両の懸架ばね等に使用されるコイルばねは、高応力化による重量軽減と耐久性を高めることが重要な課題である。 弾性変形を繰返す圧縮コイルばね等では、その変形時に発生する応力がばねの耐久性に大きく影響する。 特に、ばねの表面に発生する引張応力が小さいほど製品の耐久性が向上することが知られている。 そのため、ばねの表面に予め圧縮残留応力を与えておくことで、ばねの耐久性を向上させる方法が採用されており、その代表的な例がショットピーニングである。

    しかしながらこうした従来の方法では、コイリング(塑性加工)とは別にショットピーニングのための設備や工程が必要となり、製品コストが高くなる原因となる。 またコイルばねの内面側にショットピーニングによって圧縮残留応力を十分生じさせることは容易でない。 このため可能であればショットピーニングを省略することが望まれている。

    本発明者達は、ばね材料を冷間で塑性加工を行なう際に、本来の塑性加工(コイリング)に必要な荷重の他に、引張やねじり等の意図的な荷重を負荷することで、加工後の残留応力分布をより好ましい分布に制御することを考えた。 特に、ばねの耐久性能に悪影響を与える引張残留応力を材料表面から材料内部にとどめるようにすることがポイントになっている。

    従って本発明の目的は、耐久性能を高める上で好ましい残留応力を有する圧縮コイルばねと、コイルばねの製造方法を提供することにある。

    本発明の圧縮コイルばねは、棒状のばね材料を螺旋形に曲げてなる圧縮コイルばねであって、曲げ外側の表面に圧縮残留応力が残留し、前記曲げ外側の表面から材料中心に向って前記圧縮残留応力が減少し、かつ、前記曲げ外側の表面と材料中心との間に圧縮残留応力から引張残留応力に変化する応力変化部が存在するとともに該応力変化部と材料中心との間に前記引張残留応力が最大となる引張応力ピーク部が存在し、前記引張応力ピーク部から前記曲げ内側に向って前記引張残留応力が減少し、前記曲げ内側の表面に、前記曲げ外側の表面の前記圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力または圧縮残留応力が残留しているものである。

    また本発明のコイルばねの製造方法は、棒状のばね材料を冷間すなわちA 変態(パーライト変態)点以下の温度で芯金に螺旋形に巻付けることにより降伏応力を越える曲げ変形を生じさせる曲げ工程と、前記曲げ変形と同時に前記材料に引張およびねじりの少なくとも一方の荷重を与えるストレス追加工程と、前記ストレス追加工程が行なわれた後に前記材料を前記芯金から取外して前記荷重を除荷することにより前記材料の曲げ外側の表面に圧縮残留応力を残留させるとともに前記材料の曲げ内側の表面に、前記曲げ外側の前記圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力または圧縮残留応力を生じさせる除荷工程とを具備している。 なお、必要に応じて除荷工程後のコイルばねにショットピーニングを行なってもよい。

    本発明によれば、コイルばねの塑性加工(コイリング)に伴って、曲げ内側に曲げ外側の圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力あるいは圧縮の残留応力を生じさせることができるため、圧縮コイルばねの耐久性を向上させることができる。 本発明によればショットピーニングを軽減あるいは省略することが可能であり、コイルばねの製造工程や製造設備の簡略化と製造コストの低減等を図ることができる。

    本発明の1つの実施形態に係るコイルばね製造装置の平面図。

    材料の弾性領域内で曲げ変形を与えたときに生じる応力と残留応力を示す図。

    材料に弾性領域を越える曲げ変形を与えたときの応力と残留応力を示す図。

    材料に弾性領域を越える曲げ変形を与えかつ引張荷重を与えたときの応力と残留応力を示す図。

    材料に図4よりも大きな引張荷重を与えたときの応力と残留応力を示す図。

    材料に図5よりもさらに大きな引張荷重を与えたときの応力と残留応力を示す図。

    材料に弾性領域を越える曲げ変形を与えかつねじりの荷重を与えたときの応力と残留応力を示す図。

    材料に弾性領域を越える曲げ変形を与えかつ引張とねじりの荷重を与えたときの応力と残留応力を示す図。

    以下に本発明の1つの実施形態に係るコイルばね製造装置について、図1を参照して説明する。
    図1に示すコイルばね製造装置10は、圧縮コイルばねWをA 変態点以下の温度(冷間または温間)でコイリングするための芯金11を有している。 芯金11の一例は円柱形であるが、その他の形状、例えば円錐形であってもよい。 この芯金11に、圧縮コイルばねWの材料W1が螺旋形に巻付くようになっている。 材料(ばね材料)W1はばね鋼からなり、棒状をなしている。 材料W1の断面は真円形でもよいし、楕円形、卵形あるいは複数の円弧をつなぎ合わせたような形状の断面等であってもよい。

    芯金11の一方の端部11aは、芯金ホルダ15によって回転自在に支持されている。 芯金ホルダ15は可動ベース16に取付けられている。 可動ベース16はガイド17に沿って、図1中に矢印X1で示す方向に移動することができる。 芯金ホルダ15と可動ベース16は、シリンダ機構18によって矢印X1方向に往復移動させられる。

    芯金11の他方の端部11bは、芯金駆動ヘッド20によって着脱可能に保持されている。 この芯金駆動ヘッド20は、減速歯車機構21とブレーキ22およびクラッチ23などを介して、モータ24によって回転駆動される。 芯金11は図1中に矢印R1で示す方向に回転する。 減速歯車機構21には芯金駆動ヘッド20の回転度を検出するための第1の検出器25が設けられている。 減速歯車機構21とブレーキ22とクラッチ23とモータ24などは、芯金11を回転させるための芯金駆動機構28を構成している。

    芯金駆動ヘッド20に、材料固定機構として機能するチャック30が設けられている。 チャック30は、シリンダ機構31によって芯金11の径方向に移動し、材料W1の先端部W2を固定することができるようになっている。 芯金11が芯金駆動機構28によって矢印R1方向(図1に示す)に回転すると、材料W1が芯金11に螺旋形に巻付く。 このため材料W1が芯金11に向って矢印Fで示す方向に移動しつつ、材料W1が矢印R2で示す方向に自転する。

    芯金11の側方にストレス追加機構40が設けられている。 ストレス追加機構40は、芯金11に巻きつく材料W1に引張の荷重やねじりの荷重を加えることができるように構成されている。

    例えば前記ストレス追加機構40は、材料W1の矢印R2方向への回転を規制することによってねじりの荷重を材料W1に与えるトルク発生機構や、材料W1の矢印F方向への移動にブレーキをかけることによって引張の荷重を材料W1に与える制動機構などを備えている。 このストレス追加機構40に、材料W1を積極的にねじるようなトルク発生機構や、材料W1を積極的に引張るテンション機構が内蔵されていてもよい。

    ストレス追加機構40は可動台41に取付けられている。 可動台41は送りねじ42を回転させることにより、ガイド43に沿って芯金11の軸線Xに沿う方向(図1に矢印X2で示す方向)に往復移動する。 送りねじ42は、アクチュエータの一例としてのサーボモータ45によって回転駆動される。 サーボモータ45の一例はDCサーボモータであるが、ACサーボモータ、パルスモータ、油圧サーボモータなどが使用されてもよい。

    送りねじ42の回転角度は、第2の検出器46により検出される。 この検出器46によって検出された回転角度に基いて、可動台41の位置がカウンタ47に入力される。 カウンタ47に入力した信号は、サーボ増幅器48を介してサーボモータ45にフィードバックされる。 前記送りねじ42やサーボモータ45等は、ストレス追加機構40を芯金11の軸線X方向に移動させるための移動機構50を構成している。

    芯金駆動機構28とサーボモータ45とストレス追加機構40を制御するために、制御手段として機能するコンピュータ等の情報処理装置からなる制御装置60が設けられている。 制御装置60には、第1の検出器25からの信号、すなわち芯金駆動ヘッド20の回転角度に関する信号が入力される。 予め入力されているコイルばねWに関するデータと、芯金駆動ヘッド20の回転角度等に基いて、芯金駆動機構28とサーボモータ45が制御されることにより、ストレス追加機構40の位置(矢印X2方向の位置)が制御される。 制御装置60にはクラッチ・ブレーキ駆動ユニット61が接続され、予め設定されたタイミングでブレーキ22とクラッチ23を作動させるようになっている。

    次に前記コイルばね製造装置10の作用について説明する。
    コイルばねWの材料W1をストレス追加機構40に挿通させ、芯金11に向かわせる。 材料W1の温度は冷間または温間、すなわちばね鋼のA 変態点以下である。 A 変態点以下は、スプリングバックが発生する材料温度を意味する。 この材料W1の先端部W2を芯金11とチャック30との間に挿入する。 制御装置60にスタート信号を送ると、シリンダ機構31が作動し、チャック30によって材料W1の先端部W2がクランプされる。

    次いでクラッチ23が作動し、モータ24の動力が減速歯車機構21を経由して芯金駆動ヘッド20に伝わり、芯金11が矢印R1方向に回転する。 一方、芯金駆動ヘッド20の回転角度が第1の検出器25によって検出され、検出された信号が制御装置60に入力される。 制御装置60には予め所定の方法(例えキーボード入力、記録媒体等)によって、コイルばねWのピッチ角に関するデータや、ストレス追加機構40のためのねじり荷重や引張荷重に関するデータが入力されている。 これらのデータに基いて、ストレス追加機構40が制御されることにより、材料W1に曲げ変形を与えると同時に、材料W1にねじりトルクや引張荷重が付加される。 またサーボモータ45が回転し、ストレス追加機構40が矢印X2方向に移動することにより、芯金11の回転角度に対応してコイルばねWのピッチが形成される。

    芯金11に材料W1が巻き終わると、制御装置60によってクラッチ・ブレーキ駆動ユニット61に信号が送られ、芯金11の回転が停止する。 またサーボモータ45がリターン動作を行なって、ストレス追加機構40が元の位置に復帰する。 同時にシリンダ機構18が動作し、芯金ホルダ15が図1において右方向に移動する。 これにより芯金11からコイルばねWを取出すことができるようになる。 コイルばねWが取出されたのち、再び芯金11がシリンダ機構18によって軸線X方向に移動し、芯金11の端部11bが芯金駆動ヘッド20に嵌合する。

    ストレス追加機構40は、コイルばねWを塑性加工(コイリング)する際に、曲げと同時に行なわれるストレス追加工程において、引張の荷重またはねじりの荷重の少なくとも一方を付加することにより、除荷工程後のコイルばねWの曲げ外側と曲げ内側に、通常の曲げ変形を与えたときとは異なる残留応力を生じさせることができる。 以下にストレス追加機構40によってコイルばねWに生じる残留応力について説明する。

    図2〜図8の各図において、横軸は材料の径方向の断面の位置を表わしている。 材料の断面が真円の場合には、横軸の中央が断面の中心、すなわち材料中心となる。 以下の説明では材料の断面が真円の場合について述べるが、真円以外(例えば楕円や卵形)の断面でも同様のことが言える。

    図2〜図8において縦軸は主応力を示している。 材料力学の慣例にならい、正(+)の主応力を引張、負(−)の主応力を圧縮とする。 以下の説明では図2〜図8の横軸の左側が曲げ外側、横軸の右側が曲げ内側である。

    図2〜図8中の実線Aは、曲げ変形を与えたときの応力分布を示している。 斜め方向に延びる直線Bは、曲げ変形を与えたときの荷重を除荷した際に、どこまで曲げ戻せば内部の弾性エネルギーが最小になるかを示している。 従って成形後のコイルばねには、曲げ変形を与えたときの応力(実線A)と直線Bとの差が残留応力として残ることになる。 図2〜図8中の1点鎖線Cが残留応力を示している。 図2〜図8中の上下の鎖線D1,D2は降伏応力を示している。 曲げ変形を与える前後を問わず、材料内部の応力がこの値を越えることはない。

    図2に弾性領域内での曲げ・戻しの際の応力分布を示す。 曲げ変形を与えたときの応力は降伏応力D1,D2に達しない。 従って曲げ変形を与えたときの応力分布Aは直線となり、除荷後に戻るべき直線Bと一致する。 このため除荷後の残留応力Cはゼロとなる。

    塑性加工を伴う場合も同様に考えることができる。 ただしこの場合には、曲げ外側と曲げ内側の一部が塑性域に入っているため、曲げ荷重を除荷した後も完全に元に戻ることはない。 図3にこの場合の応力分布を示す。 除荷後に弾性エネルギーを最小化する戻し(スプリングバック)が発生するが、内部の応力分布によって弾性歪が残る。 これが残留応力を発現する。 図3に示したとおり、曲げ外側の表面付近に「圧縮残留応力」が残留し、曲げ内側の表面付近に「引張残留応力」が残留する。

    ここで、降伏応力を越える曲げ変形と同時に、ストレス追加工程によって引張の荷重を与えて加工を行なった場合に、興味深いことが起こる。 図4にその際の応力分布を示す。 図4に示されるように引張の荷重を加えた分は曲げの応力分布Aを押上げるが、この応力は降伏応力D1,D2の値で頭打ちとなるため、曲げ外側と曲げ内側の塑性域のバランスが変化する。

    前記ストレス追加工程が行なわれたのち、前記材料W1を芯金11から取外すことにより除荷工程が行なわれる。 この除荷工程において前記荷重(曲げと引張の荷重)が除荷された場合の残留応力は、図3の「曲げ変形を与えるのみ」の例と比較すると明らかなように、曲げ外側の圧縮残留応力はより大きく、曲げ内側の引張残留応力はより小さくなる。 これは成形後のコイルばねの耐久性を高める上で大変好ましいことである。

    図4に示された残留応力Cを有する圧縮コイルばねは、曲げ外側の表面に圧縮残留応力が残留し、曲げ外側の表面から材料中心に向って圧縮残留応力が減少し、曲げ外側の表面と材料中心との間に、圧縮残留応力から引張残留応力に変化する応力変化部P1が存在している。 しかも応力変化部P1と材料中心との間に引張残留応力が最大となる引張応力ピーク部P2が存在し、かつ、引張応力ピーク部P2から曲げ内側に向って引張残留応力が減少している。 曲げ内側の表面には、曲げ外側の表面の圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力が残留している。 このように曲げ変形を与えることと同時に引張の荷重を与えることにより、コイルばねの耐久性を向上させることができる。

    この効果をさらに高めるためには、ストレス追加工程において、曲げ変形と同時に付与する引張荷重を大きくすることが考えられる。 引張荷重を大きくすると、図5に示すように、曲げ外側の圧縮残留応力はさらに大きくなり、曲げ内側の引張残留応力はさらに小さくなる。 引張荷重をさらに大きくしていくと、図6に示すように除荷工程後のコイルばねの曲げ内側の残留応力も圧縮残留応力となる。 このためショットピーニングを軽減あるいは省略してもコイルばねの耐久性を向上させることが可能である。

    またねじりによる応力は、ねじり中心からの距離に比例して大きくなる。 前述したコイルばねの例では、材料中心からの距離に比例する応力が発生する。 このねじりの状態に、曲げによる応力を加えた場合の一例を図7に示す。 前述したコイルばね製造装置10のストレス追加機構40によって適切なねじり荷重(トルク)を選択すると、除荷工程後のコイルばねの曲げ内側の引張残留応力を十分小さな値にすることができる。

    図7に示された残留応力Cを有する圧縮コイルばねは、曲げ外側の表面に圧縮残留応力が残留し、曲げ外側の表面から材料中心に向って圧縮残留応力が減少している。 また曲げ外側の表面と材料中心との間に、圧縮残留応力から引張残留応力に変化する応力変化部P1が存在する。 また応力変化部P1と材料中心との間に引張残留応力が最大となる引張応力ピーク部P2が存在し、この引張応力ピーク部P2から材料中心に向って引張残留応力が減少している。 材料中心では圧縮残留応力となっている。 曲げ内側の表面には、曲げ外側の表面の圧縮残留応力よりも絶対値が小さい引張残留応力が残留している。 この場合もコイルばねの耐久性を向上させることができる。

    前記ストレス追加工程において、曲げ変形を与えることと同時に引張とねじりの荷重を与えても同様の効果を期待できる。 その場合の応力の例が図8に示されている。 図8に示された残留応力Cを有する圧縮コイルばねは、ストレス追加工程によって曲げと同時に引張とねじりの荷重が与えられ、さらに除荷工程を経ることによって、曲げ外側の表面に圧縮残留応力が残留し、曲げ外側の表面から材料中心に向って圧縮残留応力が減少し、かつ、曲げ外側の表面と材料中心との間に圧縮残留応力から引張残留応力に変化する応力変化部P1が存在している。 この応力変化部P1と材料中心との間に、引張残留応力が最大となる引張応力ピーク部P2が存在し、引張応力ピーク部P2から曲げ内側に向って引張残留応力が減少している。 曲げ内側の表面には、圧縮残留応力が残留している。 この場合もコイルばねの耐久性を向上させることができる。

    なお本発明を実施するに当たり、圧縮コイルばねの形態をはじめとして、芯金やストレス追加機構などコイルばね製造装置や製造方法の具体的な形態を、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更して実施できることは言うまでもない。

    W1…材料 10…コイルばね製造装置 11…芯金 28…芯金駆動機構 30…チャック(材料固定機構)
    40…ストレス追加機構 50…移動機構 60…制御装置

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