コイルばね製造装置とコイルばねの製造方法

申请号 JP2015038709 申请日 2015-02-27 公开(公告)号 JP2016159314A 公开(公告)日 2016-09-05
申请人 日本発條株式会社; 发明人 市塚 遊; 森 有史;
摘要 【課題】コイルばねにマイナスピッチの部分を形成することができるコイルばね製造装置を提供する。 【解決手段】コイルばね製造装置10は、コイルばねの材料(素線W)を巻付ける芯金11と、芯金11に向けて素線Wを供給する供給機構12と、素線Wを案内するガイド部材15,16と、素線Wの先端W1を固定するチャック13と、素線Wの先端W1が芯金11に到達する手前で素線Wの長手方向の一部を両側から挟むクランプ機構71とを有している。クランプ機構71は、回動手段によって 支点 80を中心に回動するとともに、スライド手段によって芯金11の軸線X1に沿う方向にスライドすることができる。素線Wがクランプ機構71によって挟まれた状態において、クランプ機構71が回動し、かつ、必要に応じてスライドすることにより、素線Wの一部にコイルばねのマイナスピッチ部分のための曲げ部W2が成形される。 【選択図】図4
权利要求

素線を巻付ける芯金と、 前記芯金を回転させる芯金駆動ヘッドを有した回転機構と、 前記素線を前記芯金に向けて供給する供給機構と、 前記芯金駆動ヘッドに設けられ、前記素線の先端を前記芯金に固定するチャックと、 前記芯金の軸線に沿う方向に移動し、前記芯金に巻付く前記素線を案内するガイド部材と、 前記芯金と前記供給機構との間に配置され、前記素線の長手方向の一部を挟むクランプ機構と、 前記クランプ機構に前記素線が挿入された状態において前記素線を曲げる方向に前記クランプ機構を回動させる回動手段と、 を具備したことを特徴とするコイルばね製造装置。前記クランプ機構を前記芯金の軸線に沿う方向に移動させるスライド手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のコイルばね製造装置。前記クランプ機構が、 前記ガイド部材と前記供給機構との間に配置された第1のクランプ部材と、 前記第1のクランプ部材に対し前記素線の移動方向の上流側に配置された第2のクランプ部材とを有し、 前記回動手段が、 前記第2のクランプ部材の向きを変える第1の回動用アクチュエータと、 前記第1のクランプ部材を前記第2のクランプ部材とは反対の方向に変える第2の回動用アクチュエータと、 を具備したことを特徴とする請求項1に記載のコイルばね製造装置。前記スライド手段が、 前記第1のクランプ部材を前記軸線に沿う方向に移動させる第1のスライド用アクチュエータと、 前記第2のクランプ部材を前記軸線に沿う方向に移動させる第2のスライド用アクチュエータと、 を具備したことを特徴とする請求項2に記載のコイルばね製造装置。マイナスピッチの座巻部をコイリングするために前記芯金駆動ヘッドに取付ける第1のチャック部材と、 マイナスピッチ以外の座巻部をコイリングするために前記第1のチャック部材に代わって前記芯金駆動ヘッドに取付ける第2のチャック部材とを有し、 前記第1のチャック部材の前記軸線に沿う方向の長さが前記第2のチャック部材の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のコイルばね製造装置。芯金に向けて素線を供給し、 前記素線の先端が前記芯金に到達する前に前記素線の長手方向の先端部をクランプ機構によって両側から挟み、 前記素線の先端部が前記クランプ機構によって挟まれた状態において前記クランプ機構の向きを変え、かつ、前記クランプ機構を前記軸線に沿う方向に移動させ、 前記芯金に到達した前記素線の先端をチャックによって前記芯金に固定し、 前記芯金を回転させ、 前記素線をガイド部材によって前記芯金の軸線に沿う方向に案内しながら前記素線を前記芯金に巻付けることを特徴とするコイルばねの製造方法。

说明书全文

この発明はコイルばね製造装置とコイルばねの製造方法に係り、特にマイナスピッチの座巻部を有するコイルばねの製造に適した製造装置と製造方法に関する。

車両の懸架機構等に使用されるコイルばねを製造するために、コイルばねの材料(ばね鋼からなる棒状の素線)を熱間で成形(コイリング)するコイルばね製造装置が知られている。例えば特許文献1あるいは特許文献2に開示されたコイルばね製造装置は、芯金(マンドレル)と、芯金を回転させる回転機構と、加熱された素線を前記芯金に向かって供給する供給機構と、前記素線の先端を保持するチャックと、前記素線が所定のピッチで前記芯金に巻付くように前記素線を案内するガイド機構などを有している。

車両の懸架機構に使用されるコイルばねは、下側の座巻部と上側の座巻部との間で圧縮されることによって反を生じる。コイルばねの形態は懸架機構の仕様に応じて様々であるが、例えば図8に示されたコイルばね1のように、反力線位置(FLP:force line position)を最適化するために、マイナスピッチの座巻部1aを有するコイルばね1も知られている。マイナスピッチの座巻部1aは、コイルばね1の中心軸Xと直な線分Yに対してマイナスのピッチ角(−θ)となっている。

マイナスピッチの座巻部を成形するための1つの手段として、非公開であるが、素線の移動経路の途中に一対のクランプ部材を配置し、素線が芯金に巻付く直前で素線の先端部を前記クランプ部材によって挟むことにより、素線の先端部にマイナスピッチの座巻部のための曲げ部を形成するコイルばね製造装置も提案された。

特開昭61−20641号公報

特開2010−242835号公報

しかし単にクランプ部材によって素線の先端部を挟むだけでは、マイナスピッチの座巻部のための曲げ部の長さや角度がクランプ部材の形状や配置によって制約されてしまう。このため従来のコイルばね製造装置では、成形可能なマイナスピッチの部分の長さやマイナスピッチの角度が小さいなど、マイナスピッチの部分を形成する上で改善の余地があった。

従って本発明の目的は、コイルばねに形成するマイナスピッチの部分の長さやマイナスピッチの角度を従来よりも大きくすることができるコイルばね製造装置と製造方法を提供することにある。

本発明の1つの実施形態のコイルばね製造装置は、素線(コイルばねの材料)を巻付ける芯金と、前記芯金を回転させる芯金駆動ヘッドを有した回転機構と、前記素線を前記芯金に向けて供給する供給機構と、前記芯金駆動ヘッドに設けられ前記素線の先端を前記芯金に固定するチャックと、前記芯金の軸線に沿う方向に移動し前記芯金に巻付く素線を案内するガイド部材と、前記芯金と前記供給機構との間に配置され前記素線の長手方向の一部(例えばマイナスピッチにする座巻部)を挟むクランプ機構と、前記クランプ機構に前記素線が挿入された状態において前記素線を曲げる方向に前記クランプ機構を回動させる回動手段とを具備している。

この実施形態において、前記クランプ機構を前記芯金の軸線に沿う方向に移動させるスライド手段をさらに備えていてもよい。また前記クランプ機構は、前記ガイド部材と前記供給機構との間に配置された第1のクランプ部材と、前記第1のクランプ部材に対し前記素線の移動方向の上流側に配置された第2のクランプ部材とを有し、前記回動手段は、前記第2のクランプ部材の向きを変える第1の回動用アクチュエータと、前記第1のクランプ部材を前記第2のクランプ部材とは反対の方向に変える第2の回動用アクチュエータとを具備してもよい。また前記スライド手段は、前記第1のクランプ部材を前記軸線に沿う方向に移動させる第1のスライド用アクチュエータと、前記第2のクランプ部材を前記軸線に沿う方向に移動させる第2のスライド用アクチュエータとを具備してもよい。

1つの実施形態では、マイナスピッチの座巻部をコイリングするために前記芯金駆動ヘッドに取付ける第1のチャック部材と、マイナスピッチ以外の座巻部をコイリングするために前記第1のチャック部材に代わって前記芯金駆動ヘッドに取付ける第2のチャック部材とを有し、前記第1のチャック部材の前記軸線に沿う方向の長さが前記第2のチャック部材の長さよりも大きい。

本発明のコイルばね製造装置と製造方法によれば、コイルばねの素線の一部(例えば座巻部)にマイナスピッチの部分のための曲げ部を形成することができ、かつ、マイナスピッチの部分の長さや角度を従来よりも大きくすることができる。

第1の実施形態に係るコイルばね製造装置の平面図。

図1に示されたコイルばね製造装置のクランプ機構を拡大した平面図。

図2に示されたクランプ機構が回動した状態の平面図。

図1に示されたコイルばね製造装置を模式的に示す平面図。

第2の実施形態に係るコイルばね製造装置の平面図。

図5に示されたコイルばね製造装置を模式的に示す平面図。

マイナスピッチ以外の座巻部を形成する場合に用いるチャックの平面図。

マイナスピッチの座巻部を有するコイルばねの一部を示す斜視図。

以下に第1の実施形態に係るコイルばね製造装置について、図1から図4を参照して説明する。 図1に示すコイルばね製造装置10は、コイルばね1の材料(ばね鋼からなる棒状の素線W)を巻付ける芯金(マンドレル)11と、素線Wを芯金11に供給する供給機構12と、素線Wの先端W1を芯金11に固定するチャック13と、芯金11を回転させる回転機構14と、芯金11の近傍で芯金11から離れた位置に配置された一対のガイド部材15,16と、クランプユニット20と、制御手段として機能するコンピュータ等の情報処理装置からなる制御部30を含んでいる。

供給機構12は、モータによって回転する複数の送りローラを有し、素線Wを芯金11に向かって移動させる。素線Wの断面は真円形でもよいし、楕円形、卵形あるいは複数の円弧をつなぎ合わせたような形状の断面等であってもよい。芯金11の一例は円柱形であるが、その他の形状、例えば円錐形であってもよい。

芯金11の一方の端部11aは、回転機構14の芯金駆動ヘッド40によって保持されている。芯金駆動ヘッド40は、減速歯車機構41とブレーキ42およびクラッチ43などを介して、モータ44によって回転駆動される。減速歯車機構41には芯金駆動ヘッド40の回転角度を検出する検出器45が設けられている。

チャック13は、ボルト等の固定手段48(図4に示す)によって、芯金駆動ヘッド40に着脱可能に固定されている。チャック13は、アクチュエータ47によって芯金11の径方向に移動し、素線Wの先端W1を固定することができるようになっている。チャック13は、芯金駆動ヘッド40の端面40aから芯金11の軸線X1方向に延びている。 本実施形態のチャック13は、マイナスピッチの座巻部をコイリングする際に芯金駆動ヘッド40に取付ける第1のチャック部材13a(図4と図6に示す)と、マイナスピッチ以外の座巻部をコイリングする際に第1のチャック部材13aに代わって芯金駆動ヘッド40に取付ける第2のチャック部材13b(図7に示す)とを含んでいる。第1のチャック部材13aの軸線X1に沿う方向の長さL1(図4に示す)は、第2のチャック部材13bの長さL2(図7に示す)よりも大きい。

減速歯車機構41とブレーキ42とクラッチ43とモータ44等によって、芯金11を回転させる回転機構14が構成されている。ブレーキ42とクラッチ43とは、制御部30によって制御されるクラッチ・ブレーキ制御部46によって、予め設定されたタイミングで作動する。例えばクラッチ43が作動することによってモータ44の動力が減速歯車機構41を介して芯金駆動ヘッド40に伝わる。右巻きのコイルばねを成形する際に、芯金11が図1に矢印R1で示す方向に回転する。左巻きのコイルばねを成形する際には、矢印R2で示す方向に芯金11が回転する。

芯金11の他方の端部11bは、芯金ホルダ50によって回転自在に支持されている。芯金ホルダ50は、シリンダ機構51によって、ガイドロッド52に沿って芯金11の軸線X1に沿う方向(図1に矢印X2で示す方向)に移動する。

ガイド部材15,16は、芯金11に巻付く素線Wを案内する機能を有している。ガイド部材15,16は、ボールねじとサーボモータを備えた駆動機構によって芯金11の軸線X1に沿う方向に移動し、成形すべきコイルばね1のピッチ角に応じて芯金11の軸線X1に沿う方向に移動し素線Wを案内する。マイナスピッチの座巻部を形成する際には、素線Wをマイナスピッチ方向に傾ける必要があるため、図4および図6に矢印E1で示すように、ガイド部材15,16を軸線X1と平行な基準位置Zからマイナスピッチ相当分だけ回動させる。

芯金11に向かって移動する素線Wの移動経路の途中には、素線Wの移動方向に関してガイド部材15,16の上流側に、素線Wのガイドを兼ねたクランプユニット20が配置されている。クランプユニット20は、芯金11の軸線X1に沿う方向に延びるフレーム60と、フレーム60に設けられたボールねじ61と、ボールねじ61を回転させるサーボモータ62と、ボールねじ61の回転を検出する検出器63と、ボールねじ61によって芯金11の軸線X1に沿う方向に移動するベース部材70と、ベース部材70上に配置されたクランプ機構71と、サポート部材72,73などを含んでいる。なお、ボールねじ61を回転させるサーボモータ62の代わりに、駆動源としてエアシリンダ等の流体圧シリンダによってクランプユニット20を駆動してもよい。またマイナスピッチの座巻部を形成する際に、マイナスピッチの角度の大きさによってはサポート部材72,73が素線Wの移動の妨げになることがあるため、その場合には少なくとも一方のサポート部材72を外してもよい。

ベース部材70は、ボールねじ61とサーボモータ62と検出器63などから構成される移動機構によって、芯金11の軸線X1に沿う方向(図1に矢印X3で示す方向)に移動する。ボールねじ61の回転位置が検出器63によって検出される。検出されたボールねじ61の回転位置に基いて算出されるベース部材70の位置が、サーボモータ62にフィードバックされる。サーボモータ62の一例はDCサーボモータであるが、ACサーボモータ、パルスモータ、油圧サーボモータなどが使用されてもよい。

図2は、クランプ機構71の一部を拡大して示す平面図である。クランプ機構71は、支点80を中心に矢印Aで示す方向に回動する可動台81と、可動台81上に配置された一対のクランプ部材82,83と、可動台81を回動させる回動用アクチュエータ84と、可動台81を矢印Bで示す方向にスライドさせるスライド用アクチュエータ85(図1に示す)と、クランプ部材82,83をクランプ位置とアンクランプ位置とに駆動するクランプ用アクチュエータ86などを含んでいる。

可動台81は、回動用アクチュエータ84によって支点80を中心に矢印A(図2に示す)方向に回動する。すなわちこの可動台81は、芯金11の軸線X1に沿う面内で回動する。可動台81が支点80を中心に回動すると、クランプ部材82,83が芯金11の軸線X1に沿う面内で回動し、クランプ部材82,83の向きが変わる。回動用アクチュエータ84は、クランプ部材82,83の向きを変えるための回動手段として機能する。

また可動台81は、スライド用アクチュエータ85(図1に示す)によって、芯金11の軸線X1に沿う方向に移動する。スライド用アクチュエータ85は、クランプ部材82,83を芯金11の軸線X1に沿う方向(図2に矢印Bで示す方向)に移動させるためのスライド手段として機能する。

少なくとも一方のクランプ部材82は、クランプ用アクチュエータ86によって、図2に矢印C1で示す第1の方向と、矢印C2で示す第2の方向とに駆動される。すなわちクランプ機構71は、素線Wをクランプする位置(クランプ位置)と、素線Wを開放する位置(アンクランプ位置)とに移動する。クランプ用アクチュエータ86は、クランプ部材82をクランプ位置とアンクランプ位置とに移動させる手段として機能する。

回動用アクチュエータ84と、スライド用アクチュエータ85と、クランプ用アクチュエータ86は、それぞれ、例えばボールねじとサーボモータを用いた電動アクチュエータを採用することができるが、電動アクチュエータに代わって油圧サーボモータ等の流体圧アクチュエータが採用されてもよい。

図1と図4に示されるように、クランプ部材82,83の上流側(素線Wの移動方向に関して上流側)に、サポート部材72,73が配置されている。供給機構12によってサポート部材72,73に送られてきた素線Wは、サポート部材72,73の間を通り、さらにクランプ部材82,83の間を通る。このときクランプ部材82,83はアンクランプ位置にある。さらにこの素線Wはガイド部材15,16の間を通って、芯金11に向かう。

制御部30(図1に示す)は、回転機構14やクランプユニット20等を制御する機能を有している。例えば検出器45によって検出された芯金駆動ヘッド40の回転位置に関する信号が制御部30に入力される。制御部30には予め所定の方法(例えキーボード入力、記録媒体等)によって、成形すべきコイルばねの形状やピッチ角等に関するデータが入力されている。制御部30に入力されたコイルばね1のピッチ等に関するデータと、芯金駆動ヘッド40の回転位置に基いて、ガイド部材15,16とクランプユニット20の位置(芯金11の軸線X1に沿う方向の位置)が制御される。

次に本実施形態のコイルばね製造装置10の作用について説明する。 図2はクランプ機構71が第1の位置(初期位置)で待機している状態を示している。図3は、クランプ機構71が支点80を中心に矢印A1で示す方向に回動した状態、すなわちクランプ機構71が第2の位置に移動することによって、クランプ部材82,83の向きが変わった状態を示している。図4は、マイナスピッチの座巻部をコイリングする際のコイルばね製造装置10の一部と素線Wの一部を模式的に表わしている。

芯金11に供給される素線Wは、予め加熱炉によってA1変態点以上の温度に加熱される。加熱された素線Wが供給機構12によって芯金11に向かって移動すると、素線Wの先端がサポート部材72,73間を通ってクランプ部材82,83間に挿入される。

例えばマイナスピッチの座巻部を有するコイルばねをコイリングする場合には、素線Wの先端W1から所定長さ分がクランプ部材82,83に到達した時点で素線Wの供給が一旦停止する。そしてクランプ部材82,83がクランプ位置に移動することにより、素線Wがクランプ部材82,83によって挟まれる。この状態のもとで、図4に示すようにクランプ部材82,83が支点80を中心に矢印A1で示す方向に向きを変え、かつ、必要に応じてクランプ部材82,83が矢印B1で示す方向にスライドすることにより、素線Wの先端部が曲げられ、マイナスピッチの座巻部のための角度−θの曲げ部W2が形成される。

素線Wに曲げ部W2が形成されたのち、クランプ部材82,83が第1の位置(図2に示す初期位置)に戻り、かつ、クランプ部材82,83がアンクランプ位置に移動することにより素線Wが開放され、素線Wが芯金11に向かって移動する。そして素線Wの先端W1がチャック13に挿入され、チャック駆動アクチュエータ47が作動することによって、素線Wの先端W1がチャック13によって芯金11に固定される。

素線Wの先端W1がチャック13によって固定された状態のもとで、供給機構12によって素線Wが芯金11に向かって供給されながら芯金11が回転する。また芯金11の回転に同期して、ガイド部材15,16とクランプユニット20が芯金11の軸線X1に沿う方向に移動することにより、素線Wがガイド部材15,16によって案内されながら芯金11に所定ピッチで巻付いてゆく。

図4に示されるように予め素線Wの先端部に曲げ部W2が形成された場合には、この曲げ部W2が芯金11に巻付くことにより、マイナスピッチの座巻部1a(図8に示す)が形成される。

芯金11に素線Wが巻き終わると、制御部30によってクラッチ・ブレーキ制御部46に信号が送られ、芯金11の回転が停止する。またサーボモータ62がリターン動作を行なって、ガイド部材15,16とクランプユニット20が初期位置に戻る。さらにシリンダ機構51が動作し、芯金ホルダ50が芯金11の端部11bから離れる方向に移動することにより、コイルばねを芯金11から取出すことができるようになる。コイルばねが芯金11から取出されたのち、シリンダ機構51によって芯金ホルダ50が元の位置に復帰し、最初の状態に戻る。

本実施形態のコイルばね製造装置10は、支点80を中心に方向を変えるクランプ機構71を有し、しかもこのクランプ機構71は、芯金11の軸線X1に沿う方向にスライドすることができる。このクランプ機構71により、素線Wが芯金11に巻付く前に、素線Wの一部に予め曲げ部W2を形成しておくことができる。このためコイルばねのマイナスピッチ部分(例えばマイナスピッチの座巻部)の長さとマイナスピッチの角度を、従来のコイルばね製造装置よりも大きくすることができる。

以上説明した本実施形態のコイルばねの製造方法は、 (1)芯金11に向けて素線Wを供給すること、 (2)素線Wの先端W1が芯金11に到達する前に素線Wの長手方向の先端部をクランプ機構71によって両側から挟むこと、 (3)素線Wの先端部がクランプ機構71によって挟まれた状態においてクランプ機構71の向きを変え、かつ、クランプ機構71を芯金11の軸線X1に沿う方向に移動させること、 (4)芯金11に到達した素線Wの先端W1をチャック13によって芯金11に固定すること、 (5)芯金11を回転させること、 (6)素線Wをガイド部材15,16によって芯金11の軸線X1に沿う方向に案内しながら素線Wを芯金11に巻付けること、 を含んでいる。

図5と図6は、第2の実施形態に係るコイルばね製造装置10´を示している。この実施形態のコイルばね製造装置10´のクランプユニット20´は、第1の支点80A(図6に示す)を中心に回動する第1のクランプ機構71Aと、第2の支点80B(図6に示す)を中心に回動する第2のクランプ機構71Bとを有している。

第1のクランプ機構71Aは、第1のクランプ部材82A,83Aと、第1の回動用アクチュエータ84Aと、第1のスライド用アクチュエータ85Aと、第1のクランプ用アクチュエータ86Aとを有している。第1の回動用アクチュエータ84Aは、第1のクランプ部材82A,83Aの向きを変えるための第1の回動手段として機能する。第1のスライド用アクチュエータ85Aは、第1のクランプ部材82A,83Aを芯金11の軸線X1に沿う方向に移動させるための第1のスライド手段として機能する。第1のクランプ用アクチュエータ86Aは、第1のクランプ部材82A,83Aをクランプ位置とアンクランプ位置とに駆動させる。

第2のクランプ機構71Bは、第2のクランプ部材82B,83Bと、第2の回動用アクチュエータ84Bと、第2のスライド用アクチュエータ85Bと、第2のクランプ用アクチュエータ86Bとを有している。第2の回動用アクチュエータ84Bは、第2のクランプ部材82B,83Bの向きを変えるための第2の回動手段として機能する。第2のスライド用アクチュエータ85Bは、第2のクランプ部材82B,83Bを芯金11の軸線X1に沿う方向に移動させるための第2のスライド手段として機能する。第2のクランプ用アクチュエータ86Bは、第2のクランプ部材82B,83Bをクランプ位置とアンクランプ位置とに駆動させる。

図6に示されるように、素線Wの長手方向の一部(マイナスピッチにする部分)が第1のクランプ機構71Aと第2のクランプ機構71Bとに挟まれた状態において、第1のクランプ機構71Aを矢印A1で示す方向に回動させるとともに、第1のクランプ機構71Aを矢印B1で示す方向にスライドさせる。さらに第2のクランプ機構71Bを第1のクランプ機構71Aとは反対方向(矢印A2で示す方向)に回動させるとともに、必要に応じて矢印B2で示す方向にスライドさせる。このように第1のクランプ機構71Aと第2のクランプ機構71Bの動きを制御することにより、マイナスピッチの座巻部等の部分を形成するための曲げ部W2の角度−θをさらに大きくすることができる。

マイナスピッチ以外(ゼロピッチあるいはプラスピッチ)の座巻部をコイリングする場合には、図7に示すように、第2のチャック部材13bを芯金駆動ヘッド40に取付けてコイリングを行なう。第2のチャック部材13bの長さL2(図7に示す)は、第1のチャック部材13aの長さL1(図4に示す)よりも短い。プラスピッチの座巻部を形成する場合には、ガイド部材15,16をマイナスピッチとは逆方向(図7に矢印E2で示す方向)に回動させる。

なお本発明を実施するに当たり、コイルばねの形態をはじめとして、素線の供給機構や芯金、芯金の回転機構、素線を案内するガイド部材、クランプ機構をはじめとして、コイルばね製造装置の具体的な形態について、発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々に変更して実施できることは言うまでもない。また本発明のコイルばね製造装置は、座巻部以外のマイナスピッチの部分を形成する場合に使用することもできる。

1…コイルばね、1a…座巻部、10,10´…コイルばね製造装置、11…芯金、12…供給機構、13…チャック、13a…第1のチャック部材、13b…第2のチャック部材、14…回転機構、15,16…ガイド部材、20…クランプユニット、30…制御部、70…ベース部材、71…クランプ機構、71A…第1のクランプ機構、71B…第2のクランプ機構、72,73…サポート部材、80…支点、82,83…クランプ部材、82A,83A…第1のクランプ部材、82B,83B…第2のクランプ部材、84…回動用アクチュエータ(回動手段)、84A…第1の回動用アクチュエータ(第1の回動手段)、84B…第2の回動用アクチュエータ(第2の回動手段)、85…スライド用アクチュエータ(スライド手段)、85A…第1のスライド用アクチュエータ(第1のスライド手段)、85B…第2のスライド用アクチュエータ(第2のスライド手段)、W…素線、W1…先端、W2…曲げ部。

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