コイリングマシンと、コイルばねの製造方法

申请号 JP2015036456 申请日 2015-02-26 公开(公告)号 JP2016155162A 公开(公告)日 2016-09-01
申请人 日本発條株式会社; 发明人 古瀬 武志; 熊川 友祐;
摘要 【課題】材料の 温度 にかかわらず、第1ピンおよび第2ピンの 位置 やカッティング位置を適正に保つことができる芯金レスのコイリングマシンを提供する。 【解決手段】コイリングマシン10は、材料ガイド12と、第1ピン13と、第2ピン14と、ピッチツール15と、カッティングツール16と、加熱装置17と、温度センサ18と、制御部とを有している。材料ガイド12の先端12aから連続的に送り出された材料2が第1ピン13と第2ピン14との間で曲がることにより、円弧部2aが形成される。前記制御部は、加工温度に応じた複数の制御用データのうち、温度センサ18によって検出された材料の温度に応じた制御用データを選択し、材料の温度が高いほど、第1ピン13と第2ピン14との間で成形される円弧部2aの 曲率 半径を大きくするように第1ピン13と第2ピン14の位置を制御し、かつ、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離が大きくなるようにカッティングツール16の位置を制御する。 【選択図】図2
权利要求

コイルばねの材料が挿入される材料ガイドと、 前記材料ガイドの先端から送り出された前記材料が接する第1ピンと、 前記第1ピンに対し前記材料の移動方向前側に配置され、前記第1ピンとの間で前記材料を曲げることにより前記第1ピンとの間に円弧部を形成する第2ピンと、 前記第2ピンに対し材料の移動方向前側に配置され前記材料が接するピッチツールと、 前記材料を加熱する加熱装置と、 前記材料の温度を検出する温度センサと、 成形すべきコイルばねの形状に応じた制御用データに基いて前記第1ピンと前記第2ピンの位置を変化させ、かつ、前記温度センサによって検出された前記材料の温度が高いほど、前記円弧部の曲率半径が大きくなるよう第1ピンと第2ピンとを移動させ、かつ、前記材料の温度が高いほど、前記円弧部の曲率中心からカッティングツールまでの距離が大きくなるよう前記カッティングツールを移動させる制御部と、 を具備したことを特徴とするコイリングマシン。コイルばねの材料を第1ピンと第2ピンとの間で円弧状に曲げてコイルばねを製造するコイルばねの製造方法において、 前記コイルばねを温間で加工する場合に、 前記材料を加熱し、 前記材料の温度を検出し、 検出された前記材料の温度が高いほど、前記第1ピンと前記第2ピンとの間で成形される円弧部の曲率半径が前記コイルばねを冷間で加工する場合よりも大きくなるよう前記第1ピンと前記第2ピンとを移動させ、かつ、前記円弧部の曲率中心からカッティングツールまでの距離が大きくなるよう前記カッティングツールを移動させ、 加熱された前記材料を材料ガイドの先端から前記第1ピンに向かって連続的に送り出しながら前記第1ピンと前記第2ピンとの間で曲げることにより前記コイルばねを成形し、 成形された1個分の前記コイルばねを前記カッティングツールによって切断することを特徴とするコイルばねの製造方法。

说明书全文

この発明は、コイルばねを冷間あるいは温間で製造する芯金レスのコイリングマシンと、コイルばねの製造方法に関する。

コイルばねを冷間で製造するコイリングマシンとして、例えば特許文献1に開示されているように、芯金を有しないコイリングマシン(芯金レスのコイリングマシン)が知られている。芯金レスのコイリングマシンは、材料ガイドの先端から送り出されたコイルばねの材料を、第1ピンと第2ピンとによって所定の曲率で曲げ、かつ、ピッチツールによってピッチ付けを行なうようにしている。

前記第1ピンと第2ピンおよびピッチツール等の位置は、制御部に格納されたコンピュータプログラムと、コイルばねの形状に応じた制御用データなどに基いて制御される。すなわち、成形すべきコイルばねの形状に応じた制御用データに基いてカムやアクチュエータを駆動することにより、第1ピンおよび第2ピンをコイル径に応じた位置に移動させている。また特許文献2に開示されているコイリングマシンのように、第1ピンと第2ピンの位置を、マシンセンタを基準として制御する技術も提案されている。特許文献1,2をはじめとして、従来の芯金レスのコイリングマシンは、いずれも冷間(常温)でコイルばねを製造するものである。

ばね鋼の種類によっては、コイルばねを冷間加工よりも高い温度(温間域)で加工することによって、冷間加工よりも材料の硬度や強度が向上することが知られている。温間加工は、熱間加工よりも低い温度(材料の再結晶化温度以下)で行なわれる。例えば熱処理によって焼戻しマルテンサイトが形成されたコイルばねを300℃前後で温間加工すると、ばね鋼の種類によっては、動的ひずみ時効によって、降伏強さが向上するという知見が得られている。

しかも温間加工によってコイルばねを製造する場合には、温間加工の余熱を利用して、例えば歪取り焼鈍等の熱処理やホットセッチング等の後処理を行なうことができるため、コイリング後の再加熱が不要となり、その分、コイルばねの製造工程を簡略化することができる。これに対し、冷間加工によってコイルばねを製造する場合には、コイリング後に例えば歪取り焼鈍等の熱処理やホットセッチングのために再加熱する必要がある。

特開平11−197775号公報

特開2013−226584号公報

コイルばねを温間加工するために、芯金レスの従来の冷間加工用のコイリングマシンを使用することが考えられた。しかしコイルばねを温間加工するために材料を温間域まで加熱した場合、材料の温度によっては、成形されたコイルばねの形状が目標形状から大きくずれたり、カッティングツールの位置が合わなくなり、コイルばねの端をきれいに切断することができないなど改善の余地があった。

従って本発明の目的は、冷間加工だけでなく温間加工によってコイルばねを成形する場合も、目標形状との差が小さくすることができるようなコイリングマシンと、コイルばねの製造方法を提供することにある。

1つの実施形態のコイリングマシンは、コイルばねの材料が挿入される材料ガイドと、前記材料ガイドの先端から送り出された前記材料が接する第1ピンと、前記第1ピンに対し前記材料の移動方向前側に配置され、前記第1ピンとの間で前記材料を曲げることにより前記第1ピンとの間に円弧部を形成する第2ピンと、前記第2ピンに対し材料の移動方向前側に配置され前記材料が接するピッチツールと、前記材料を加熱する加熱装置と、前記材料の温度を検出する温度センサと、制御部とを具備している。前記制御部は、成形すべきコイルばねの形状に応じた制御用データに基いて前記第1ピンと前記第2ピンの位置を変化させ、かつ、前記温度センサによって検出された前記材料の温度が高いほど、前記円弧部の曲率半径が大きくなるよう第1ピンと第2ピンとを移動させ、かつ、前記材料の温度が高いほど、前記円弧部の曲率中心からカッティングツールまでの距離が大きくなるよう前記カッティングツールを移動させる。

本発明によれば、冷間加工だけでなく温間加工によっても目標形状との差が小さいコイルばねを製造することができる。

1つの実施例に係るコイリングマシンの一部で冷間加工時の正面図。

図1に示されたコイリングマシンの一部で温間加工時の正面図。

図1に示されたコイリングマシンの電気的構成を示すブロック図。

図1に示されたコイリングマシンの第1ピンおよび第2ピンの移動軌跡を模式的に示す図。

コイルばねの製造工程の一例を示すフローチャート。

コイルばねの一例を示す斜視図。

以下に、1つの実施形態に係るコイリングマシンとコイルばねの製造方法について、図1から図6を参照して説明する。 図6はコイルばね1の一例を示している。コイルばね1は、ばね鋼からなる材料2を所定のピッチP(一定とは限らない)で螺旋状に成形したものである。コイルばね1の形態は様々であり、例えばコイル径とピッチが巻数位置に応じて変化していてもよい。また、円筒コイルばねをはじめとして、たる形コイルばね、鼓形コイルばね、テーパコイルばね、不等ピッチコイルばね、マイナスピッチの部分を有するコイルばね等など、様々な形態のコイルばねであってもよい。

図1と図2とは、いずれも、1つの実施例に係るコイリングマシン10の一部を模式的に表わしている。図1は、コイルばね1を冷間加工する際の状態を示している。図2は、コイルばね1を温間加工する際の状態を示している。

コイリングマシン10は、コイルばねの材料2を矢印F1で示す方向に移動させる少なくとも一対の材料送りローラ(フィードローラ)11と、材料2が挿入される材料ガイド12と、材料ガイド12の先端12aから送り出された材料2が最初に接する第1ピン13と、第1ピン13によって曲げられた材料2が接する第2ピン14と、ピッチツール15と、成形された1個分のコイルばねを切断するカッティングツール16などを備えている。

第1ピン13は、材料ガイド12の先端12aに対して材料2の移動方向前側(移動方向下流側)に配置されている。第2ピン14は、第1ピン13に対して材料2の移動方向前側に配置されている。材料ガイド12の先端12aから第1ピン13に向かって送り出された材料2は、材料ガイド12の先端12aが実質的な曲げ開始点となって、第1ピン13との接点13aまでの間で円弧状に曲げられる。さらにこの材料2は、第1ピン13を通ったのち、第2ピン14との接点14aに至る間にさらに円弧状に曲げられることにより、第1ピン13と第2ピン14との間に、曲率半径R1(図1に示す)あるいは曲率半径R1´(図2に示す)の円弧部2aが連続的に成形される。

冷間成形時(図1)に第1ピン13と第2ピン14との間で成形される円弧部2aの曲率半径R1は、第1ピン13と第2ピン14との間で最小になったあと、スプリングバックの影響により、第1ピン13から第2ピン14に近付くにつれて曲率半径R1が少しずつ増加してゆく。温間成形時(図2)に第1ピン13と第2ピン14との間で成形される円弧部2aの曲率半径R1´も、第1ピン13と第2ピン14との間で最小になったあと、ある程度のスプリングバックの影響により、第1ピン13から第2ピン14に近付くにつれて曲率半径R1´が少しずつ増加する。

ピッチツール15は、第2ピン14に対して材料2の移動方向前側に配置されている。このピッチツール15は、第2ピン14を通過した材料2に対して、接点15aにおいてコイルばね1の軸線方向から接することにより、コイルばね1のピッチ付けをなすようになっている。

カッティングツール16は可動刃16aと受け刃16bとを有し、成形された1個分のコイルばね1の後端(次に成形されるコイルばねの前端)を、可動刃16aと受け刃16bとの間で切断(剪断)する。可動刃16aは、材料送りローラ11が停止した状態において、受け刃16bに向かって矢印Z1方向(図1に示す)に移動することにより、材料2を切断する。またこのカッティングツール16は、受け刃16bをアクチュエータによって上下方向(図2に矢印Z2で示す方向)に移動させることにより、カッティング位置(カッティング高さ)を変えることができるようになっている。なお、可動刃16aと受け刃16bとの双方を上下方向に同じ量だけ同期して移動させることにより、カッティング位置を変えてもよい。カッティングツール16の好ましい例では、可動刃16aと受け刃16bとが、第2ピン14を通過した材料2の移動方向F2に沿って、材料2と同等の速度で移動しながら材料2を切断するように構成されてもよい。

材料2の移動方向(図1と図2に矢印F1で示す方向)に関して材料送りローラ11の上流側(材料の移動方向後側)に、加熱装置17が配置されている。加熱装置17の一例は高周波加熱装置である。コイルばね1を冷間加工する際には加熱装置17はオフであり、材料2は加熱されない。これに対し、コイルばね1を温間加工する際には、加熱装置17がオンとなり、高周波誘導加熱によって材料2が温間加工に適した温度に加熱される。

材料2の移動方向に関して、材料送りローラ11の下流側(材料の移動方向前側)に、温度検出手段として機能する温度センサ18が配置されている。この温度センサ18は、材料2の温度(コイルばね1に加工される直前の材料2の温度)を検出し、検出された温度に関する信号を下記のCPU20に出する。

図3は、コイリングマシン10の電気的構成を示すブロック図である。コイリングマシン10は、コントローラとして機能するCPU(Central Processing Unit)20を備えている。このCPU20に、バスライン21を介してROM(Reed Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、通信インタフェース部24、表示/操作用ドライバ25、材料送り用ドライバ26、第1ピン移動用ドライバ27、第2ピン移動用ドライバ28、ピッチツール用ドライバ29、カッティングツール用ドライバ30、カッティング位置変更用ドライバ31、温度センサ18などが接続されている。

ROM22には、CPU20を制御するためのプログラムや各種の固定的データが格納されている。RAM23は、コイルばねを成形するのに必要な各種データと、後述する予測形状を得るのに必要な各種データを格納するための種々のメモリエリアを備えている。通信インタフェース部24は、通信回線(ネットワーク)を介して外部機器との間で行なうデータ通信を制御する。表示/操作用ドライバ25は、表示部(ディスプレイパネル)を備えた表示操作部35を制御する。表示操作部35を操作することにより、コイルばねの成形に必要な情報をRAM23等のメモリに格納することができる。

材料送り用ドライバ26は材料送りローラ11を回転させるためのモータ40を制御する。第1ピン移動用ドライバ27は、第1ピン13を駆動するためのアクチュエータを備えた第1ピン駆動機構41を制御する。第2ピン移動用ドライバ28は、第2ピン14を駆動するためのアクチュエータを備えた第2ピン駆動機構42を制御する。ピッチツール用ドライバ29は、ピッチツール15を駆動するためのアクチュエータを備えたピッチツール駆動機構43を制御する。カッティングツール用ドライバ30は、カッティングツール16を駆動するためのアクチュエータを備えたカッティングツール駆動機構44を制御する。カッティング位置変更用ドライバ31は、カッティングツール16の受け刃16bの位置(高さ)を変えるためのアクチュエータ45を制御する。

コイリングマシン10のCPU20を含む電気的構成は、材料送り機構の一部である材料送りローラ11の回転動作を制御する制御回路と、第1ピン13および第2ピン14の位置を第1ピン駆動機構41および第2ピン駆動機構42を介して制御する制御回路と、ピッチツール15の位置をピッチツール駆動機構43を介して制御する制御回路と、カッティングツール16の動作をカッティングツール駆動機構44を介して制御する制御回路などを含み、これらはコイリングマシン10の動作等を制御する制御部50として機能する。

本実施形態の制御部50には、通信インタフェース部24を介してパーソナルコンピュータ60を接続することができる。パーソナルコンピュータ60は、ディスプレイパネルを備えた表示部61と、キーボードを備えた入力操作部62と、マウス等のポインティングデバイス63などを含んでいる。パーソナルコンピュータ60は、必要に応じて着脱可能な記憶媒体64を備えている。制御部50の表示操作部35と、パーソナルコンピュータ60の入力操作部62とは、成形すべきコイルばねの形状に応じた形状データ(制御用データ)を入力する手段として機能する。

図4は、コイル径D1に応じて位置が変化する第1ピン13と第2ピン14の移動軌跡を模式的に示している。第1ピン13と第2ピン14の位置に関し、材料ガイド12の先端12aから材料2が送り出される方向F1をX軸、X軸と直交する方向をY軸とする。制御部50は、入力されたコイルばねの形状データ(例えばコイル径)に応じて、第1ピン13と第2ピン14のそれぞれのX位置とY位置が変化するように、第1ピン駆動機構41と第2ピン駆動機構42を制御する。

具体的には、マシンセンタM1(図1に示す)に対して、第2ピン14の接点14aと、第2ピン14を通過した材料2の曲率中心C2とを結ぶ線分のなす度θ1が、コイル径にかかわらず一定となるように、第1ピン13と第2ピン14の位置が制御される。マシンセンタM1は、便宜上、カッティングツール16の刃面の延長線(カッターライン)上に設定されている。しかし第1ピン13と第2ピン14の原点位置を特定することができれば、他の位置をマシンセンタとしてもよい。

制御部50は、図4に示されるように、コイル径D1が大きくなるほど、材料ガイド12の先端12a(曲げ開始点)から第1ピン13の接点13aまでの距離と、第2ピン14の接点14aまでの距離が大きくなるように、第1ピン13と第2ピン14を移動させる。また、マシンセンタM1に対する第2ピン14の接点14aの巻数位置(図1に示す角度θ1に対応する)と、ピッチツール15の接点15aの巻数位置(図1に示す角度θ2に対応する)の関係が概ね一定となるよう、第1ピン13と第2ピン14の位置を制御する。

第1ピン13の移動軌跡の一例では、図4に線分L1で示すように、X位置が大きくなるとY位置も大きくなり、かつ、X位置の増加率に対してY位置の増加率が僅かに低減するように湾曲した円弧状の軌道を描く。第2ピン14の移動軌跡は、線分L2で示すように、X位置が増加するとY位置が大きく増加し、かつ、X位置の増加率に対してY位置の増加率が低減する僅かに湾曲した軌道を描く。

制御部50のCPU20は、成形すべきコイルばねの形状データに基いて、第1ピン13と第2ピン14のX位置とY位置を算出する。例えばコイル径が大きくなるほど、材料ガイド12の先端12a(曲げ開始点)から第1ピン13までの距離と第2ピン14までの距離が大きくなるとともに、マシンセンタM1に対する第2ピン14の接点14aの巻数位置がコイル径にかかわらず一定となるよう第1ピン13と第2ピン14の位置が制御される。その際にピッチツール15の接点15aの巻数位置も概ね一定となるように第2ピン14の位置が制御される。

図1に示されるように、第1ピン13と第2ピン14との間で曲げられた材料2は、第2ピン14を通った直後に解放されてスプリングバックを生じるため、第2ピン14を通った材料2の曲率半径R2は、第1ピン13と第2ピン14との間の円弧部2aの曲率半径R1よりも大きくなる。そこでCPU20は、第2ピン14を通った後の曲率中心C2が、コイリングマシン10のマシンセンタM1上に位置するように、スプリングバック量を加味して第1ピン13と第2ピン14の位置を制御する。これにより、マシンセンタM1に対して第2ピン14がなす角度θ1と、マシンセンタM1に対してピッチツール15の接点15aがなす角度θ2との関係がコイル径にかかわらず概ね一定(θ2は少し変化する)となる。第1ピン13と第2ピン14の最適位置は、予め実験によって求めておくことができる。

制御部50には、加工温度に応じた複数の制御用データが格納されている。本実施形態では加工温度に応じた制御用データの数が5の場合について説明するが、制御用データの数は5以外であってもよい。例えば第1の制御用データは、材料2の温度が第1の温度域(冷間の温度域)にあるときのスプリングバック量を加味して、第1ピン13および第2ピン14の位置を制御するとともに、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離を最小とする。

第2の制御用データは、材料2の温度が第1の温度域よりも高い第2の温度域にあるときのスプリングバック量を加味して、第1ピン13および第2ピン14の位置を制御するとともに、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離を冷間加工時よりも少し大きくする。

第3の制御用データは、材料2の温度が第2の温度域よりも高い第3の温度域にあるときのスプリングバック量を加味して、第1ピン13および第2ピン14の位置を制御するとともに、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離を第2の温度域の時よりも大きくする。

第4の制御用データは、材料2の温度が第3の温度域よりも高い第4の温度域にあるときのスプリングバック量を加味して、第1ピン13および第2ピン14の位置を制御するとともに、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離を第3の温度域の時よりも大きくする。

第5の制御用データは、材料2の温度が第4の温度域よりも高い第5の温度域にあるときのスプリングバック量を加味して、第1ピン13および第2ピン14の位置を制御するとともに、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離を最大とする。

図5は、コイリングマシン10を用いてコイルばね1を冷間あるいは温間で製造する製造方法の一例を示すフローチャートである。以下にこのフローチャートを参照しながらコイルばねの製造方法について説明する。

コイルばねを冷間で加工する場合には加熱装置17はオフであり、材料2は加熱されない。これに対しコイルばねを温間で加工する場合には加熱装置17がオンとなり、材料2が加熱される。

図5中のステップS1において、材料2の温度Txが温度センサ18によって検出される。冷間加工の場合には、材料2の温度Txが第1の温度T1(例えば30℃)以下であるため、ステップS2において“YES”となり、ステップS3に移る。ステップS3では、冷間加工のための第1の制御用データが呼び出され、第1ピン13と第2ピン14とが第1の制御用データに基いて冷間加工に適した位置に移動する。さらにステップS4において、カッティングツール16が第1の位置(第1のカッティング位置)に移動することにより、円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離が最小となる。

図1は、冷間加工時の第1ピン13および第2ピン14と、カッティングツール16との位置を模式的に示している。材料ガイド12の先端12aから第1ピン13に向けて送り出された材料2が、第1ピン13と第2ピン14とによって円弧状に成形されることにより、第1ピン13と第2ピン14との間に曲率半径R1の円弧部2aが形成される。第2ピン14を通過してスプリングバックを生じた材料2の曲率半径R2は、円弧部2aの曲率半径R1よりも大きくなる。カッティングツール16の受け刃16bの上面は、第2ピン14を通過した材料2の移動軌跡上にほぼ位置している。この状態のもとで、材料ガイド12の先端12aから材料2が連続的に送り出され、1個分のコイルばね1が成形されると、材料2の移動が一旦停止し、カッティングツール16の可動刃16aが作動することにより、コイルばね1の後端(次に成形されるコイルばねの前端)が切断される。

コイルばね1を温間加工する場合には、材料2が加熱装置17によって加熱される。温度センサ18によって検出された材料の温度Txが第1の温度T1を越えると、図5中のステップS2において“No”の判定となり、ステップS5に移る。ステップS5では、材料の温度Txが第2の温度T2(例えば100℃)と比較され、材料の温度Txが第2の温度T2以下であればステップS6に移る。ステップS6では第2の制御用データが呼び出され、第1ピン13と第2ピン14とが第2の温度域に適した位置に移動する。さらにステップS7においてカッティングツール16が第2の位置に移動する。

ステップS5において材料の温度Txが第2の温度T2を越えていれば、ステップS8に移る。ステップS8では、材料の温度Txが第3の温度T3(例えば200℃)と比較され、材料の温度Txが第3の温度T3以下であればステップS9に移る。ステップS9では第3の制御用データが呼び出され、第1ピン13と第2ピン14とが第3の温度域に適した位置に移動する。さらにステップS10においてカッティングツール16が第3の位置に移動する。

ステップS8において材料の温度Txが第3の温度T3を越えていれば、ステップS11に移る。ステップS11では材料の温度Txが第4の温度T4(例えば300℃)と比較され、材料の温度Txが第4の温度T4以下であればステップS12に移る。ステップS12では第4の制御用データが呼び出され、第1ピン13と第2ピン14とが第4の温度域に適した位置に移動する。さらにステップS13においてカッティングツール16が第4の位置に移動する。

ステップS11において材料の温度Txが第4の温度T4を越えていれば、ステップS14に移る。ステップS14では材料の温度Txが第5の温度T5(例えば400℃)と比較され、材料の温度Txが第5の温度T5以下であればステップS15に移る。ステップS15では第5の制御用データが呼び出され、第1ピン13と第2ピン14とが第5の温度域に適した位置に移動する。さらにステップS16においてカッティングツール16が第5の位置に移動する。

ステップS14において材料の温度Txが第5の温度T5を越えている場合には、温間加工に適さない温度に加熱されていると判断し、ステップS17に移る。ステップS17では異常を示す表示や警報等のアラームを、例えば表示部61(図3に示す)などに出力することにより、オペレータに知らせる。

図2は、温間加工時の第1ピン13および第2ピン14と、カッティングツール16との位置を模式的に示している。冷間加工時と同様に、材料ガイド12の先端12aから連続的に送り出された材料2が、第1ピン13と第2ピン14とによって円弧状に成形されることにより、第1ピン13と第2ピン14との間に曲率半径R1´の円弧部2aが形成される。

温間加工時に生じるスプリングバック量は、冷間加工時に生じるスプリングバック量よりも小さい。このため温間加工された円弧部2aの曲率半径R1´を、冷間加工による円弧部2aの曲率半径R1と同じにすると、温間加工時に第2ピン14を通過した材料2の曲率半径R2´(図2に示す)は、冷間加工時に第2ピン14を通過した材料2の曲率半径R2(図1に示す)よりも小さくなる。しかも温間加工時のカッティングツール16の位置が材料2の移動軌跡からずれてしまう。

これに対し本実施形態のコイリングマシン10は、コイルばねを温間加工する際に、同一径のコイルばねを冷間加工する場合と比較して、円弧部2aの曲率半径R1´が冷間加工時の円弧部2aの曲率半径R1よりも大きくなるように、材料2の温度に応じた制御用データが選択され、加工温度に適した位置に第1ピン13と第2ピン14とカッティングツール16が移動する。このため、温間加工されたコイルばねのスプリングバック後の曲率半径R2´を、冷間加工されたコイルばねのスプリングバック後の曲率半径R2と実質的に同じにすることができる。しかも温間加工時のカッティングツール16の受け刃16bを材料2の移動軌跡上に位置させることができる。

このため本実施形態のコイリングマシン10によれば、温間加工によって製造されるコイルばねを冷間加工の場合と同様に、第1ピン13と第2ピン14とによって正確な形状に成形することができ、かつ、適正なカッティング位置においてコイルばねを切断することができる。

本実施形態のコイリングマシン10は、温間加工時に加熱装置17によって加熱される材料の温度が何らかの原因によって変動しても、材料の温度にかかわらず一定の形状のコイルばねを製造することができる。またこのコイリングマシン10は、冷間加工する場合に用いることもできるし、コイルばねを温間加工する場合に用いることもできる。

以上説明したように本実施形態のコイルばねの製造方法は、コイルばね1を温間で加工する場合に、下記の工程を含んでいる。 (1)コイルばね1の材料2を加熱し、 (2)加熱された材料2の温度を検出し、 (3)検出された材料2の温度が高いほど、第1ピン13と第2ピン14との間で成形される円弧部2aの曲率半径R1´が、冷間加工時のコイルばねの円弧部2aの曲率半径R1よりも大きくなるよう第1ピン13と第2ピン14とを移動させ、かつ、 (4)材料2の温度が高いほど、前記円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離が、冷間加工時の円弧部2aの曲率中心C1からカッティングツール16までの距離よりも大きくなるようカッティングツール16を移動させ、 (5)加熱された前記材料2を材料ガイド12の先端12aから第1ピン13に向かって連続的に送り出しながら第1ピン13と第2ピン14との間で材料2を曲げることによりコイルばね1を成形し、 (6)成形された1個分のコイルばね1をカッティングツール16によって切断する。

なお、前記実施形態では、加工温度に応じた制御用データの数が5の場合について説明したが、制御用データの数は5以外であってもよい。あるいは、連続的に変化する加工温度に応じて連続的に変化する制御用データを用いてもよい。また本発明を実施するに当たって、材料ガイドや第1ピンおよび第2ピン、ピッチツール、カッティングツール、加熱装置、温度センサをはじめとして、コイリングマシンを構成する各要素の構成や配置等の態様を必要に応じて種々に変更して実施できることは言うまでもない。

1…コイルばね、2…材料、2a…円弧部、10…コイリングマシン、12…材料ガイド、12a…材料ガイドの先端、13…第1ピン、14…第2ピン、15…ピッチツール、16…カッティングツール、16a…可動刃、16b…受け刃、17…加熱装置、18…温度センサ、50…制御部。

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