多層状傾斜コイルばねおよび関連する方法

申请号 JP2015122248 申请日 2015-06-17 公开(公告)号 JP2015166633A 公开(公告)日 2015-09-24
申请人 バル・シール・エンジニアリング・インコーポレイテッド; BAL SEAL ENGINEERING,INC.; 发明人 バルセルス,ピート; ガシリ,マジド; プーン,ダニエル; ビーマー,ラッセル; シェパード,ディック;
摘要 【課題】 多層状傾斜コイルばねおよび関連する方法を提供することである。 【解決手段】 ばねワイヤ60が、外層64により囲まれた内部コア62を含み、外層64は介在層(単数または複数)を有さず、コア62を完全に囲む。コア62は第1の材料組成を含み、外層64は第2の材料組成を含む。 【選択図】 図7A
权利要求

多層状の傾斜コイルばねを形成する方法であって、 第1の導電率を有する材料から内部コアを形成すること、 前記第1の導電率よりも小さい第2の導電率を有する材料からなる外層を前記内部コアの周囲に被覆またはめっきしてばねワイヤを形成すること、 前記ばねワイヤを複数のヘリカルコイルに形成すること、 前記ばねワイヤの各端部を接続して円環を形成すること、 前記ヘリカルコイルを傾斜させて前記傾斜コイルばねを形成すること、 前記傾斜コイルばねを、ハウジングの、底部及び2つの側壁を含む溝内に位置決めすること、 を含み、 前記内部コアが銅又は銅合金を含み、前記外層がステンレス鋼を含む方法。前記内部コアは流体を含む中空の内部コアである請求項1に記載の方法。前記流体は相変化冷却を可能にする請求項2に記載の方法。前記流体は、、エタノール、アセトン、ナトリウム、または水銀である請求項2に記載の方法。前記傾斜コイルばねは、純銅の導電率の少なくとも50パーセントである導電率を有する請求項1に記載の方法。多層状の傾斜コイルばねを形成する方法であって、 第1の導電率を有する材料から、銅又は銅合金を含む内部コアを形成すること、 前記第1の導電率よりも小さい第2の導電率を有する材料から第2の層を前記内部コアの周囲に被覆またはめっきしてばねワイヤを形成すること、 前記ばねワイヤを複数のヘリカルコイルに形成すること、 前記ばねワイヤの各端部を接続して円環を形成すること、 前記ヘリカルコイルを傾斜させて前記傾斜コイルばねを形成すること、 前記傾斜コイルばねを、ハウジングの、底部及び2つの側壁を含む溝内に位置決めすること、 を含み、 前記第2の層がステンレス鋼を含み、前記傾斜コイルばねが、純銅の導電率の少なくとも50パーセントである導電率を有する方法。前記内部コアは流体を含む請求項6に記載の方法。前記流体は相変化冷却を可能にする請求項7に記載の方法。前記流体は、水、エタノール、アセトン、ナトリウム、または水銀である請求項7に記載の方法。中空の内部コアを含み、複数のヘリカルコイルを画定するばねワイヤであって、各コイルがその各々の中心を通過するばね軸を囲み、前記ばね軸と垂直な線に対して度を成して傾くようにしてなるばねワイヤを備え、 前記内部コアの少なくとも一部を囲むチューブ状シェルを含む外層を更に備え、 前記外層は2つの異なりかつ混在しない材料を含み、前記材料のうちの第1の材料は、前記ばねワイヤの断面の孤における第1の部分に沿って配置され、前記材料のうちの第2の材料は、前記ばねワイヤの断面の孤における第2の部分に沿って配置される傾斜コイルばね。前記中空の内部コアは流体を含む請求項10に記載の傾斜コイルばね。前記流体は相変化冷却を可能にする請求項11に記載の傾斜コイルばね。前記流体は、水、エタノール、アセトン、ナトリウム、または水銀である請求項11に記載の傾斜コイルばね。前記中空の内部コアは第1の導電率を有する材料を含み、前記外層は第2の導電率を有する材料を含み、前記第2の導電率は前記第1の導電率よりも小さい請求項10に記載の傾斜コイルばね。前記中空の内部コアは銅または銅合金を含み、前記外層はステンレス鋼を含む請求項14に記載の傾斜コイルばね。前記孤の第1および第2の部分は各々180度である請求項11に記載の傾斜コイルばね。前記傾斜コイルばねは純銅の少なくとも50パーセントの導電率を有する請求項10に記載の傾斜コイルばね。内部コアおよび前記内部コアの少なくとも一部を囲む外層を含むばねワイヤを備えた多層状の傾斜コイルばねであって、 前記外層は2つの異なりかつ混在しない材料を含み、前記材料のうちの第1の材料は、コア断面の孤における第1の部分に沿って配置され、前記材料のうちの第2の材料は、前記コア断面の孤における第2の部分に沿って配置され、 前記ばねワイヤは複数のヘリカルコイルを画定し、各ヘリカルコイルはその中心を通過するばね軸を囲み、前記ばね軸と垂直な線に対して角度を成して傾くようにしてなる多層状の傾斜コイルばね。前記孤の第1および第2の部分は各々180度である請求項18に記載の傾斜コイルばね。前記内部コアは銅を含む請求項18に記載の傾斜コイルばね。前記傾斜コイルばねは、純銅の導電率の少なくとも50パーセントである導電率を有する請求項18に記載の傾斜コイルばね。

说明书全文

本明細書に考察され、記載される傾斜コイルばねは、多様な材料組成からなる個々の層を有する多層状ばねワイヤから形成された傾斜コイルばね一般に関する。

図1〜図3は、傾斜コイルばね30、32、34の例を例解する。各コイルの輪郭36、38、40がばね軸と垂直な線に対して度を成して傾くように、傾斜コイルばねは傾斜するか、斜めに位置するばねである。図2に示すように、ばね軸42は各コイル36、38、40の中心点を通過する。一部の傾斜コイルばねは、図1および図3のばね30、34に示すように、ばねの各端部を、円環を形成するように互いに接続した長いコイルバネを含む。図1では、ばね端部は溶接部44において接続されるが、ばね端部を接続するための代替技術が当該技術分野に存在する。

多くのばねとは異なり、傾斜コイルばねは面に対して直角に作用する、またはばね軸が位置する面に直交する力によってのみばね軸と垂直な方向に圧縮される。この方向依存性は、図4に示す半径方向ばね46と図5に示す軸方向ばね48との2つの基本的な傾斜コイルばね構造をもたらす。半径方向ばね46は環軸50(図3)と垂直な半径方向に屈折するが、軸方向ばね48は環軸50と平行な軸方向に屈折する。図3に示す環軸50は、ばね環の内径の中心であり、ばね軸42と垂直な理論軸により画定される。

半径方向ばねおよび軸方向ばねの両方はまた、回転角を有してもよい。図6に示す回転角Θは、コイル主軸52と環軸50との角度である。より具体的には、コイル軸54が定位置に対するある角度でばね軸42の周りを回転するばね環は、回転角Θを有する。図6の点線で示す半径方向ばねコイル54の定位置は、環軸50と平行なばね環主軸52に概して関連する。軸方向ばねコイル(不図示)における定位置は、環軸50と垂直なばね環主軸に概して関連する。さらに、ばね環は回転角の向きに応じて凹状または凸状でもよい。この特徴により、連結器用途において挿入力および作動力の制御が可能になる。

傾斜コイルばねは、種々の用途において多様な特徴および利点を提供する。例えば、全体が大きく屈折するこのようなばねにより維持されるほぼ一定の力により、広温度範囲における大きな衝撃および振動環境において機能する構造が可能になる。さらに、ばねの各コイルは単独で機能する。コイルはそれ故、あわせ面間の複数の接触点を維持し、優れた導電率を保証することができる。この配置によりさらに、あわせ面間における大きな結合誤差、不均衡、および面むらをばねが補正可能になる。傾斜コイルばねの特徴にはさらに、特に、低接触抵抗、制御可能な挿入および除去力、放熱、低および高通電容量、並びに小型パッケージサイズの有用性が含まれる。傾斜コイルばねのこのような特徴は、下記のような用途において利点となる。

屈折し、荷重を発生する傾斜コイルばねの能力は、ラッチング、ロッキング、保持、および圧縮する用途に適切である。このような用途には、軸方向ばね、半径方向ばね、および/または回転角に配置されたばねが必要となる場合がある。ばねはコネクタアセンブリのハウジングと挿入物体との間の連結機構として機能する。アセンブリ構造には、通常、傾斜コイルばねを保持するハウジングまたは挿入物体のいずれかに空洞または溝が形成される。ばねの屈折により、ハウジングと挿入物体との間が直接接続される。

傾斜コイルばねは位置調節および整列の用途にも用いられる。例えば、傾斜コイルばねはシールとシャフトとの間に生じ得る不均衡を調節すること、すなわち、シャフト周囲におけるシールの位置調節に用いられる。ばねは十分なシール力を維持しつつ、公差、テーパ、および/または他の不規則形状に起因する種々の不均衡を吸収できる。

前述したものを含む傾斜コイルばねの多くの用途では、電気接触の用途のために、傾斜コイルばねの導電率を利用できる。このような用途では、傾斜コイルばねは導電体からなるばねワイヤから形成される。傾斜コイルばねは、各々が単独で機能する多くのコイルを用いて、多数の接触点を維持するそれらの能力に部分的に起因する電気的用途に適している。このような用途に用いられる一般的な導電体としては、銅および銅合金、貴金属および貴金属合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、並びに銀が挙げられる。

傾斜コイルばねは、空間内に閉じ込められる流体を必要とする、シール用途のためのばね付勢器としても用いられる。アセンブリ構造は傾斜コイルばねを保持する空洞と共に、シール内における空洞を通常は含む。傾斜コイルばねは、シールの外周を均一に屈折することにより、シールを結合物体に接触させる。

傾斜コイルばねは遮断および接地用途においても利点となる。ばねは外部電磁放射の抑制、または内部電磁放射の閉じ込めが要求される用途において、EMIガスケットとして動作可能である。傾斜コイルばねのEMIガスケットは、高振動および高導電の条件下における遮断として有効に機能することができる。

本発明の多層状傾斜コイルばねおよび関連する方法の種々の実施形態は、その各々が単独では所望の特質に関与しないいくつかの特徴を有する。下記の請求項により表現されるような本実施形態の範囲を制限することなく、それらのより顕著な特徴はここで簡潔に記載される。この考察後、特に項目「詳細な説明」を読んだ後に、当業者は本実施形態の特徴が本明細書に記載された利点をどのように提供するかを理解することになる。

本実施形態の一態様は、先行技術の傾斜コイルばねが金属合金のばねワイヤから通常は形成されるという認識を含む。この合金は、任意の構成要素単独から生じた合金の材料特性を改善するように選択された2以上の金属の混合体である。金属合金は特定の純金属の特性を大きく改善するが、それでもなお制限されることがある。この制限は不十分な耐食性、生体適合性の欠乏、可変摩擦力、応力緩和、極端な温度での不動作、大き過ぎるかまたは小さ過ぎる導電率、および耐摩耗性の欠乏を含み得る。例えば、金属合金は混合体であるため、合金は単独で存在する構成金属の一つよりもその表面が保護されない場合がある。

本発明の方法の一実施形態は、多層状傾斜コイルばねを形成する方法を含む。この方法は、第1の導電率を有する内部コア材料の形成を含む。この方法は、コアの周囲における第2の導電率を有する材料からなる外層を被覆またはめっきし、ばねワイヤを形成することをさらに含む。第2の導電率は第1の導電率よりも小さい。この方法は、ばねワイヤを複数のヘリカルコイルに形成することをさらに含む。この方法は、コイルを傾斜させて、傾斜コイルばねを形成することをさらに含む。

本発明の方法の別の実施形態は、多層状傾斜コイルばねを形成する方法を含む。この方法は、第1の導電率を有する内部コア材料の形成を含む。コアは空洞である。この方法は、コアの周囲における第2の導電率を有する第2の層材料を被覆またはめっきし、ばねワイヤを形成することをさらに含む。第2の導電率は第1の導電率よりも小さい。この方法は、ばねワイヤを複数のヘリカルコイルに形成することをさらに含む。この方法は、コイルを傾斜させて、傾斜コイルばねを形成することをさらに含む。

本発明の傾斜コイルばねの一実施形態は、中空コアを囲むチューブ状シェルを含むばねワイヤを備える。ばねワイヤは複数のヘリカルコイルを画定する。各コイルはその中心を通過するばね軸を囲む。各コイルはばね軸と垂直な線に対して角度を成して傾くように傾斜する。

本発明の多層状傾斜コイルばねの一実施形態は、内部コアおよび当該コアの少なくとも一部を囲む外層を含むばねワイヤを備える。外層は互いに異なるおよび混在しない2つの材料を含む。そのうちの第1の材料は、コア断面の孤における第1の部分に沿って配置される。そのうちの第2の材料は、コア断面の孤における第2の部分に沿って配置される。ばねワイヤは複数のヘリカルコイルを画定する。各コイルはその中心を通過するばね軸を囲む。各コイルはばね軸と垂直な線に対して角度を成して傾くように傾斜する。

本発明の多層状傾斜コイルばねおよび関連する方法の種々の実施形態が、有利な特徴を強調することを意図してここで詳細に記載される。これらの実施形態は、単に例示目的のために、新規のおよび進歩性のない多層状傾斜コイルばねの両方を添付図面に示す。これらの下記の図面では、同じ部品には同じ数字が付される。

環状の傾斜コイルばねの正面図である。

傾斜コイルばねにおけるばね軸の位置を示す、直線の傾斜コイルばねの正面図である。

環状の傾斜コイルばねにおける環軸の位置を示す、環状の傾斜コイルばねの正面斜視図である。

傾斜コイル半径方向ばねの正面図である。

傾斜コイル軸方向ばねの側面図である。

簡潔さのために一つのみのコイルを示す、回転角を有する傾斜コイル半径方向ばねの側面断面図である。

本発明の多層状コイルばねおよび関連する方法に用いられるように構成された一実施形態の多層状ワイヤの断面図である。

本発明の多層状コイルばねおよび関連する方法に用いられるように構成された別の実施形態の多層状ワイヤの断面図である。

本発明の多層状コイルばねおよび関連する方法に用いられるように構成された別の実施形態の多層状ワイヤの断面図である。

本発明の多層状コイルばねおよび関連する方法に用いられるように構成された別の実施形態の多層状ワイヤの断面図である。

本発明の多層状コイルばねおよび関連する方法に用いられるように構成された別の実施形態の多層状ワイヤの断面図である。

本発明の多層状コイルばねおよび関連する方法に用いられるように構成された別の実施形態の多層状ワイヤの断面図である。

シールアセンブリ用のばね付勢器として用いられる傾斜コイルばねの正面斜視図である。

傾斜コイルばねにおける一取り付け構成を示す、シャフトとハウジングとの間のコネクタとして用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねにおける別の取り付け構成を示す、シャフトとハウジングとの間のコネクタとして用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内の平底溝に保持される、完全挿入前(図11A)におけるピンを示す、ピンとハウジングとの間の保持に用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内の平底溝に保持される、完全挿入後(図11B)におけるピンを示す、ピンとハウジングとの間の保持に用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のテーパ付き底溝に保持される、完全挿入前(図12A)におけるピンを示す、ピンとハウジングとの間の保持に用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のテーパ付き底溝に保持される、完全挿入後(図12B)におけるピンを示す、ピンとハウジングとの間の保持に用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のV底溝に保持される、完全挿入前(図13A)におけるピンを示す、ピンとハウジングとのラッチングに用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のV底溝に保持される、挿入中(図13B)におけるピンを示す、ピンとハウジングとのラッチングに用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のV底溝に保持される、完全挿入後(図13C)におけるピンを示す、ピンとハウジングとのラッチングに用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のテーパ付き底溝に保持される、完全挿入前(図14A)におけるピンを示す、ピンとハウジングとのロッキングに用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のテーパ付き底溝に保持される、挿入中(図14B)におけるピンを示す、ピンとハウジングとのロッキングに用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねがハウジング内のテーパ付き底溝に保持される、完全挿入後(図14C)におけるピンを示す、ピンとハウジングとのロッキングに用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

傾斜コイルばねが基部内の平底溝に保持される、圧縮前(図15A)における構成要素を示す、基部と接続部との間の圧縮に用いられる傾斜コイルばねの側面断面図である。

傾斜コイルばねが基部内の平底溝に保持される、圧縮後(図15B)における構成要素を示す、基部と接続部との間の圧縮に用いられる傾斜コイルばねの側面断面図である。

シールとシャフトとの間の位置調節および整列に用いられる傾斜コイルばねの側面部分断面図である。

ヘリカル圧縮ばねの正面図である。

ヘリカル引張ばねの正面図である。

リボン型ヘリカルばねの正面図である。

片持ちばねの側面図である。

図17Aの片持ちばねの正面図である。

接面における直線の全長に取り付けられており、タブを収容するように構成された2つの傾斜コイルばねの正面斜視図である。

溶接しない、ばね端部間の別の機械的接合を示す、傾斜コイルばねの正面断面図である。

下記の詳細な説明において、図面を用いて本実施形態を記載する。図面では、本実施形態の構成要素に参照番号が付される。これらの参照番号は、下記では対応する図面における特徴に関連して同じ番号が用いられる。

本発明の多層状傾斜コイルばねおよび関連する方法の実施形態が図面に関連して下に記載される。これらの図面、およびそれらの記載された説明は、装置の特定の構成部品が一体形成され、特定の他の構成部品が個々の要素として形成されることを示す。一体形成されるものとして本明細書に示されかつ記載されている構成部品を、別の実施形態では個々の要素として形成することができることを、当業者は理解することになる。当業者は、個々の要素として本明細書に示されかつ記載されている構成部品を、別の実施形態では一体形成することができることをさらに理解することになる。さらに、本明細書に用いられる用語は全体として単一ユニットまたは単一の部品を表し、単一の部品は単独形成された鋳型または鋳造などの、単独形成された単一部品であることが意図される。

図7Aは本発明の多層状傾斜コイルばねに用いられるように構成された一実施形態のばねワイヤ60の断面を示す。ばねワイヤ60は外層64により囲まれた内部コア62を含む。示す実施形態では、外層64は介在層(単数または複数)を有さず、コア62を完全に囲む。コア62は第1の材料組成を含み、外層64は第2の材料組成を含む。別の実施形態では、外層64はコア62を完全には囲まずに、コア62の1つ以上の部分を露出させてもよい。

一実施形態では、コア62は銅または銅合金などの高導電性金属を含んでもよく、外層64は内部コア62よりも導電率は低いが、コア62よりも高い抗張力特性などの高い機械的特性を有する材料を含んでもよい。一例では、外層は鋼鉄またはステンレス鋼である。この実施形態は高温環境において導電率が要求される用途に適している。銅は高導電率を提供し、ステンレス鋼は有利な機械的特性を有する保護用の外部遮断として機能する。例えば、ステンレス鋼の外層64は銅のコア62と比較して抗張力特性を維持し、それ故ばね力をより維持できる。さらに、ステンレス鋼の外層64は極端な温度および/または腐食剤などの周囲環境に対するより改善された耐性を有し得る。ステンレス鋼の外層64はそれ故、周囲環境から銅のコア62を保護し、厳しい条件下でさえもばね60はその導電性を維持できる。例えば、極端な高温下ではステンレス鋼の強度は銅よりも低下し、これにより、ばねワイヤ60はステンレス鋼の外層64を有さない銅ワイヤと比較してより高温下での導電に有効となる。ステンレス鋼の外層64は銅および銅合金よりも導電率は低くても依然として導電性を有する。このため、外層64はさらに下記に論じられているように、銅のコア62を流れる電流を伝導し、ばねワイヤ60において有効な導電率を維持することができる。最終的に、傾斜コイルばねワイヤ60は高温においてより長期間動作可能であり、より大きな耐食性を有しつつ、信頼性のある導電率を有する。他の実施形態では、内部コアは貴金属および貴金属合金、アルミニウムおよびアルミ合金、並びに銀などの異なる導電性金属から形成される。

さらに、前述の材料組成は、特に高温化において、傾斜コイルばねワイヤ60の応力緩和を改善することができる。銅合金およびアルミ合金などの特定の金属は、高温下にさらされると応力変化に起因する所望しないばねの変形が生じる。このような条件では、これらの材料から形成されたばねコイルは、ばね全体の性能に顕著に影響するばねコイル角、ばねコイル断面、ばね回転の変化などの寸法の偏差を生じる傾向がある。所望しないばねの変形を低減または除去するために、ばねワイヤ60は、銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミ合金などの高導電性金属からなるコア62、およびコア62よりも導電率は低いが、鋼鉄またはステンレス鋼などの高い機械的特性を有する材料からなる外層64を備えてもよい。

例えば耐食性が重要となる他の用途では、外層64は特定のステンレス鋼などの耐食金属を含んでもよい。外層64はそれ故、ばねワイヤ60の酸化に耐性を有し、より腐食し易いコア62を保護する。耐食性は酸性環境、過酷な環境、および導電性用途などの多くの用途において重要な要素となる。例えば、過酷な環境下での導電性用途では、耐食性が接触面領域における酸化を低減することにより、十分な導電性を維持できる。それ故このような接触領域を流れる電流を改善し、全体の導電性を改善できる。

他の用途では、本発明のばねは電解腐食性を有する材料を含んでもよい。電解腐食は、一つの金属が異なる種類の金属と電気接触する際に選択的に腐食し、両方の金属が電解液に浸される電気化学過程である。例えば、ベリリウム銅と炭素鋼とは電解的な相性がよくない。それ故、ベリリウム銅からなるコイルばねは特に過酷な環境に配置される場合には、炭素鋼ハウジング内での取り付けが要求される用途では腐食する。ただし、スズは炭素鋼と電解的な相性がよい。それ故炭素鋼ハウジングを用いる用途では、ベリリウム銅のコア62と炭素鋼ハウジングとの接触を防止して腐食を低減または防止するために、ベリリウム銅のコア62およびスズの外層64を備えるばねワイヤ60を用いてもよい。

他の用途では、本発明のばねは生体適合性を有する材料を含んでもよい。生体適合性は埋め込み型装置または医療機器などの用途において所望される。このような用途では、コア62は銅または銅合金を有し得、外層64はチタニウムを有し得る。これにより、人体は埋め込みを拒絶せず、もしくは医療機器に対して不利に反応しない。

図7Bは本発明の多層状傾斜コイルばねに用いられるように構成されたばねワイヤ70の別の実施形態の断面図を示す。この例でも、ばねワイヤ70は外層74に囲まれた内部コア72を含む。図7Aの実施形態と同様に、コア72は銅または銅合金を含み得、外層74は鋼鉄またはステンレス鋼を含み得る。ただし、図7Bでは外層74の厚さが図7Aの実施形態よりも厚い。コア72および/または外層74の厚さを異ならせること、並びに/またはコア72および外層74の相対的な断面積の比率を異ならせることにより、異なる用途に適するように、ばねワイヤ70の特性を調整することができる。

図7Cは本発明の多層状傾斜コイルばねに用いられるように構成されたばねワイヤ80の別の実施形態の断面図を示す。この例でも、ばねワイヤ80は外層84に囲まれた内部コア82を含む。ただし、図7Cの実施形態は、外層84の下でコア82を囲む中間層86をさらに含む。3つの層82、84、86を、材料組成および/または相対的な厚さおよび/または断面積比率において、異なる用途に適するようにばねワイヤ80の特性を調整するために変化させることができる。例えば、一部の実施形態では、3つの層82、84、86は3つの異なる材料組成を有し得る。他の実施形態では、コア82および外層84は同じ組成を有し得、一方、中間層86はコア82および外層84とは異なる組成を有し得る。前述の実施形態と同様に、例えば導電性、耐温度性、耐食性、電解腐食の低減、摩擦、ばね硬度などの所望の物理的特性を有するばねワイヤ80を提供するために、コア82および/または外層84の厚さおよび/または相対的な断面積比率を調整することができる。一実施形態では、コア82は銅または銅合金を含み得、中間層86は鋼鉄またはステンレス鋼を含み得、そして外層84は銀を含み得る。銀の外層84は導電率を改善し、摩擦を低減する。

図7Dは本発明の多層状傾斜コイルばねに用いられるように構成されたばねワイヤ90の別の実施形態の断面図を示す。この例でも、ばねワイヤ90は外層94に囲まれた内部コア92を含む。ただし、図7Dの実施形態では、外層94は単一ではなく、むしろ第1の部分96および第2の部分98を含む。第1の部分96はばねワイヤ断面の孤における第1の部分に沿って配置され、第2の部分98はばねワイヤ断面の孤における第2の部分に沿って配置される。示す実施形態では、孤における第1および第2の部分は共に180度である。ただし、別の実施形態では、孤の各部分は任意の大きさでもよい。さらなる別の実施形態では、外層94は例えば3以上、4以上、または任意の他の数以上の2よりも多い部分を有してもよい。さらに、外層94はコア92を完全には囲まなくともよい。

図7Dの実施形態では、外層94の種々の部分は異なる材料組成を有してもよく、同じ組成を有してもよい。例えば、内部コア92は銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金、金、金合金、銀、銀合金、真鍮、または真鍮合金などの導電体を有してもよく、外層は異なる外側部に沿った異なるステンレス鋼、異なる外側部に沿った同一のステンレス鋼、または異なる外側部に沿った異なる高抗張力材料を含んでもよい。

本発明における図面は実物大ではない。それ故、例えば図7A〜図7Dに示す層の相対的な厚さはこれに限定されない。

図8Aは本発明の多層状傾斜コイルばねに用いられるように構成されたばねワイヤ100の別の実施形態の断面図を示す。ばねワイヤ100は中空コア104を囲むチューブ状シェル102を含む。本明細書に用いられる用語「多層状」は中空コア104を囲む単層102を含み、図8Aのワイヤを十分に含むように広く解釈される。

図8Bは本発明の多層状傾斜コイルばねに用いられるように構成されたばねワイヤ110の別の実施形態の断面図を示す。この例でも、ばねワイヤ110は中空コア114を囲むチューブ状シェル112を備える。ただし、図8Bの実施形態では、ばねワイヤ110はチューブ状シェル112を囲む外層116をさらに備える。外層116はチューブ状シェル112とは異なる材料組成を有してもよい。前述の実施形態と同様に、外層116の材料組成を、例えば導電性、耐食性、電解適合性、摩擦などの所望の機械的特性を有するように選択することができる。

図8Aおよび図8Bの実施形態は、チューブ状シェル102、112の材料が銅などの高熱伝導性金属である用途に適している。中空コア104、114は、第1の結合物体からばねを通る第2の結合物体までの潜熱の伝達を援助する作動流体により、部分的にまたは完全に満たされてもよい。1つ以上の作動流体の組成は、動作温度範囲などの、用途における種々のパラメータに応じて異なり得る。例示の作動流体は、、エタノール、アセトン、ナトリウム、水銀、または任意の他の流体を含む。同様に、チューブ状シェル102、112および/または外層116の組成は、用途における種々のパラメータに応じて異なり得る。例えば、外層116を、所望の導電性、耐食性、電解適合性、摩擦などに応じて選択することができる。

別の実施形態では、図8Aおよび図8Bに示す中空ばねワイヤ100、110は、ヒートパイプ構造に類似する相変化冷却用に構成される。ヒートパイプは温度がわずかに相違する熱い本体から冷たい本体に多量の熱を伝達できる熱伝達機構である。熱い本体はパイプの第1の端部を加熱して高温端にする。液体がヒートパイプの高温端で蒸発すると、それが液化して、高温端に戻る場合に、低温端に自然に熱を運ぶ。凝縮流体は熱を冷たい本体に移動させる。

中空コアを有する傾斜コイルばねは、傾斜コイルばねのヒートパイプにおけるシールパイプとして有利に機能することができる。このようなヒートパイプを形成するために、ばねの中空コア104、114がくり抜かれ、作動流体が追加されて中空コア104、114を部分的に充填する。例えば、コア104、114はその全容積の約30〜40パーセント充填されてもよい。ばねワイヤ100、110はその後シールされる。生じた傾斜コイルばねのヒートパイプは部品を動かさずに、有効な熱伝達機構を提供する。特定の用途では、傾斜コイルばねのヒートパイプは熱い本体と冷たい本体との間の機械的コネクタとしても機能する。これにより、ばねヒートパイプは連結と冷却との2つの目的を達成する。

1IACS−国際軟銅規格。標準軟銅伝導体に関連する金属および合金における導電率の単位。IACS値100%は、5.80×107ジーメンスパーメータの導電率(58.0MS/m)を表す。 2金属に関する統一番号方式

前述の表1は、銅コアおよびステンレス鋼の外層を有する本実施形態により達成された予期しない結果を示す。例えば、表1は銅コアおよびステンレス鋼の外層(国際軟銅規格60〜63パーセント)を有するばねワイヤの導電性が、ステンレス鋼のコアおよび銅の外層(国際軟銅規格35パーセント以下)を有するばねワイヤの導電性よりも大きいことを示す。多層状ばねワイヤの外側に銅が存在すると、外側に障害物がなく、それ故高導電性が当然もたらされるために、電流は容易に伝導すると考察される。このため、これは当業者の期待とは正反対の結果である。これに対して、銅が多層状ばねワイヤの内側に存在すると、低導電性のステンレス鋼の外層により遮断されるため、銅が外側に存在する場合よりもワイヤの導電性が改善される結果が示される。例えば、高導電性の銅コアを通過するためには、電流はまずは低導電性のステンレス鋼の外層を通過し、そして銅に到達する。それ故、銅コアおよびステンレス鋼の外層を有するばねワイヤの導電性が、ステンレス鋼のコアおよび銅の外層を有するばねワイヤの導電性よりも実際に大きいことが予期される。実際、銅コアおよびステンレス鋼の外層を有するばねワイヤは、逆の構成が純銅の導電率の約42パーセントのみを提供するのに対して、純銅の導電率の少なくとも50パーセントを提供する。例えば、内部コアとして導電層、および外層として高抗張力材料を有するワイヤは、少なくとも60および62パーセントなどの、純銅の導電率の55パーセントよりも大きい導電率を有する。これらの期待しない結果は、電池端子などの高温下での電気的用途において、設計者が高温流、歩留まり、および変形に対する耐性などの機械的完全性を保証しつつ、本明細書に記載される傾斜コイルばねを組み込むことを可能にする。

図9〜図20は本発明の傾斜コイルばねにおける種々の用途を示す。これらの用途は完全性を意図するものではない。現在種々のさらなる用途があり、後により多く開発される可能性もある。下記の例示は限定的であると解釈されるべきではない。

図9は環状のシールアセンブリ120においてばね付勢器として用いられる本発明の傾斜コイルばねの実施形態を示す。アセンブリ120を、例えば、円筒シャフト(不図示)の周囲に配置することができる。アセンブリ120では、シール122はばね126を収容および保持する環状空洞124を含む。傾斜コイルばね126はシール122の外周を均等に屈折させるように、シール122を結合物体に接触させる力を加える。ばね126の外層の材料組成を、例えば、生体適合性、電解適合性、および/またはシール122が触れる作動流体に関連する耐食性を有するように調整することができる。

図10Aは、シャフト130とハウジング132との間のコネクタ128として用いられる本発明の傾斜コイルばねの実施形態の側面部分断面図である。ハウジング132はばね136を収容および保持する環状溝134を含む。示す実施形態では、ハウジング132における環状溝134は、底138と、シャフト130の長手方向軸と垂直である側壁142とを連結するテーパ付き壁140を有する平底138を含む。停止構成では、シャフト130の完全挿入前は、ばね136の内部直径はシャフト130の外部直径よりも若干短い。シャフト130はテーパ付き端部144が先導する軸方向においてハウジング132に挿入される。シャフト130の全長を収容するように伸長する際にばね136は変形する。最終的に、ばね136は、シャフト130内の浅環状溝135に定着すると若干緩む。シャフト130内の環状溝135の外部直径は、停止構成におけるばね136の内部直径よりも大きい。シャフト130およびハウジング132に対してばね136により及ぼされるばね力は、それ故、ハウジング132からのシャフト130の引き込みに抵抗する。別の実施形態では、側壁142の一つはシャフトの軸と90度にならないようにテーパが付く。これによりシャフト130は例えば側壁と垂直方向よりも容易にテーパ付き側壁の方向にハウジングから引き込まれて取り除かれる。

図10Bはシャフト150とハウジング152との間のコネクタ148として用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。シャフト150はばね156を収容および保持する環状溝154を含む。示す実施形態では、溝154は比較的深く、底158と、シャフト150の長手方向軸と垂直である側壁162とを連結するテーパ付き壁160を有する平底158を含む。停止構成では、シャフト150の完全挿入前は、ばね156の外部直径はハウジング152の内部直径よりも若干長い。シャフト150は軸方向においてハウジング152に挿入される。ハウジング152の内部全長を収容するように圧縮する際にばね156は変形する。最終的に、ばね156はハウジング152における浅環状溝164に固定されると若干緩む。ハウジング152における環状溝164の直径は、停止構成におけるばね156の外部直径よりも短い。シャフト150およびハウジング152に対してばね156により及ぼされるばね力は、それ故、ハウジング152からのシャフト150の引き込みに抵抗する。別の実施形態では、側壁162の少なくとも一つはシャフト150の軸と垂直にならないようにテーパが付く。

一用途では、図10Aおよび図10Bのコネクタ128、148はハウジング132、152とシャフト130、150との間に電流を伝導させる傾斜コイルばね136、156と共に、電気コネクタを備えてもよい。極端な温度、酸性環境などを含む種々の環境および条件下でも有効となるように、ばね材料を前述のように調整することができる。一実施形態では、ばねは導電性内部コアおよび比較的高い抗張力の外層を備える多金属ばねである。例えば、ばねは銅または銅合金の内部コア、およびステンレス鋼の外層を含んでもよい。

図11Aおよび図11Bは、ピン172とハウジング174との間のコネクタ170として用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。ハウジング174は内部平底溝178を有するボア176を含む。ただし、内部溝178はV底溝またはテーパ付き底溝などの、任意の断面形状を有してもよい。半径方向傾斜コイルばねなどの傾斜コイルばね180は平底溝178に配置される。ピン172は円筒状であり、ハウジングボア176への挿入のためのテーパ付き突出部182を含む。図11Aはピン172がハウジング174に挿入される組立前の位置を示す。図11Bは組立後の位置を示す。停止構成では、ピン172の完全挿入前は、ばね180の内部直径はピン172の外部直径よりも若干短い。ピン172はテーパ付き突出部182が先導する軸方向においてハウジング174に挿入される。ピン172の全長を収容するように伸長する際にばね180は変形する。ピン172およびハウジング174に対してばね180により及ぼされるばね力は、ハウジング174からのピン172の引き込みに抵抗する。

図12Aおよび図12Bは、ピン192とハウジング194との間のコネクタ190として用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。図12Aおよび図12Bの実施形態は図11Aおよび図11Bの実施形態に類似するが、ただし、ハウジング194の溝196がテーパ付き底を含む。テーパ付き底溝はばね180を回転させる。このため、その主軸はシャフトの軸と平行ではなくなる。

図13A〜図13Cは、ピン200とハウジング202とのラッチングの用途に用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。ハウジング202はばね206を収容および保持する環状溝204を含む。示す実施形態では、ハウジング202における環状溝204はV字形である。ピン200は環状溝208をさらに含む。ピン溝208は底210からピン200の外面まで延在するテーパ付き壁212を有する平底210を含む(図13A)。ピン200はテーパ付き突出部214を含む。停止構成では、ピン200の完全挿入前は、溝204におけるばね206の内部直径はピン200の最大の外部直径よりも若干短いが、基部210におけるピン200の外部直径と実質的に等しい。ピン200はテーパ付き突出部214が先導する軸方向においてハウジング202に挿入される(図13A)。ピン200の全長を収容するように伸長する際にばね206は変形する(図13B)。最終的に、ばね206はピン200における環状溝208に固定されると緩む(図13C)。ピン溝208のテーパ付き側壁212は、ピン200が軸方向に移動する場合に、ピン200およびハウジング202に及ぼされるばね力を増大させる。ばね206はそれ故、ハウジング202からのピン200の引き込みに抵抗する。ばね206は、本明細書の他の箇所に記載される他のばねと同様に、多金属ワイヤから形成される。ばねは導電性材料からなる内部コアと、高抗張力の鋼鉄からなる外層とを備えることが好ましい。一例として、内部コアは銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金、金、金合金、銀、銀合金、真鍮、または真鍮合金から形成されてもよく、外層は鋼鉄またはステンレス鋼から形成されてもよい。

図14A〜図14Cは、ピン220とハウジング222とのロッキングの用途に用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。ハウジング222はばね226を収容および保持する環状溝224を含む。示す実施形態では、ハウジング222における環状溝224はテーパ付き底を有する。ピン220は環状溝228をさらに含む。ピン溝228はピン220の長手方向軸と垂直である側壁232を有する平底230を含む(図14A)。ピン220はテーパ付き突出部234を含む。停止構成では、ピン220の完全挿入前は、ばね226の内部直径はピン220の最大の外部直径よりも若干短いが、溝230におけるピン220の外部直径と実質的に等しい。ピン220はテーパ付き突出部234が先導する軸方向においてハウジング222に挿入される(図14A)。ピン220の全長を収容するように伸長する際にばね226は変形する(図14B)。最終的に、ばね226はピン220における環状溝230に固定されると緩む(図14C)。ばね226がピン溝230に到達すると、ピン220の環状段部236がハウジング222に接触する。ピン220の長手方向軸と垂直である、ピン溝230の側壁232は、ハウジング222からのピン220の引き込みを防止する。この例でも、ばね226は多金属ワイヤから形成されることが好ましい。例えば、内部コアは銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金、金、金合金、銀、銀合金、真鍮、または真鍮合金から形成されてもよく、外層は鋼鉄またはステンレス鋼から形成されてもよい。

図15Aおよび図15Bは、圧縮用途に用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。この実施形態は、片面244に円形の平底溝242を有する基部240を含む。円形の傾斜コイルばね246は溝242に配置される。圧縮力Fは面244に対して連結部248に力を加え(図15B)、溝242内のばね246を圧縮する。ばね246は、軸方向または半径方向に傾斜し得る。別の実施形態では、V底またはテーパ付き底などの異なる溝を有する基部が用いられてもよい。概略的に、溝242は中央部240を有する略円形の境界を備えてもよい。他の実施形態では、溝242は略長方形の境界、略楕円形の境界、または略正方形の境界を備えてもよい。さらに他の実施形態では、溝242は2つの略平行の溝などのように相互に接続しなくてもよく、U字形の境界などの閉ループでないものでもよい。

図16はシール250とシャフト252との位置調節および整列の用途に用いられる本発明の傾斜コイルばねの別の実施形態の側面部分断面図である。この実施形態はその各々の短軸の向きに荷重をかけられる2つの円形の半径方向ばね254が、シャフト252と同心のシール250の内径を維持する、ばねで留められたクリアランスシールを形成する。さらに、O環256がシール250の外径における固定シールとなる。クリアランスシール250は、シール250とシャフト252との内径間の流体の流れを制御する。半径方向傾斜コイルばね254はシール250の回転を防止するのに十分な力を有し、さらには、シャフト252に生じ得る不均衡により引き起こされる偏心および不規則を吸収するための十分な力を維持する。この例でも、ばね254は多金属ワイヤから形成されることが好ましい。例えば、内部コアは銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金、金、金合金、銀、銀合金、真鍮、または真鍮合金から形成されてもよく、外層は鋼鉄またはステンレス鋼から形成されてもよい。

図17A〜図17Cは、傾斜コイルを有さない本発明のばねの実施形態の側面図である。図17Aは圧縮荷重を受けて全長がより小さく圧縮されるか、引張荷重を受けて伸張する能力を有するヘリカル圧縮ばね260である。図17Bは引張荷重を受けて全長がより長くなるように伸長する能力を有するヘリカル引張ばね262である。図17Cは圧縮または拡張ばねと同様の機能を有するリボン型ヘリカルばね264である。ただし、リボン型ヘリカルばね264のばねワイヤは、円形断面を有するワイヤではなく、平坦の長方形のバンドである。

図18Aは片持ちばね270の端面図であり、図18Bは側面図である。片持ちばね270を、図18Aの端面図に示すように、そのV字形のために半径方向に圧縮することができる。加えられた圧縮力により生じたばねの復元力を、シャフトシールの用途等において、面に対してシールを押し込むために利用することができる。片持ちばね270は全長がばねでもよく、ばね環に溶接されてもよい。図17A〜図18Bに示すばねは多金属コイルまたはリボンから形成されてもよい。例えば、多金属コイルまたはリボンは、銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金、金、金合金、銀、銀合金、真鍮、または真鍮合金から形成された内部コアまたはリボンにおける内層と、鋼鉄またはステンレス鋼から形成された外層とを含んでもよい。

図19は各ばね280の端部が接続されていない直線の全長を有する2つの傾斜コイルばね280(一つが視認可能)の斜視図である。ばね280はハウジング282に取り付けられており、圧縮適合において平坦コネクタ284を収容する。示すように、ばね280はナイフエッジ接触により組み込まれ、アセンブリはナイフエッジコネクタとも称される。

前述のいかなるばねの何れも、本明細書に記載された材料組成を含んでもよい。さらに、本発明の傾斜コイルばねのばねコイルは、種々の断面形状を具現化できる。例えば、ばねコイルは円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または任意の他の形の断面形状を有してもよい。ばねコイルの形状を多様化することにより、ばねコイルとハウジングまたは挿入物体との間の接触域を制御できる。種々の傾斜コイルばね構造の例は、米国特許第7055812号に記載されており、その全ての内容は参照として本明細書に組み込まれる。

本発明の傾斜コイルばねの端部を、図1に示す溶接部44などの溶接部を用いて共に機械的に結合することができる。代替的に、本発明の傾斜コイルばねの端部を、溶接部がなくとも共に機械的に結合することができる。例えば、ばね端部を、スナップ作用、ネジ切り、直線押圧、またはねじりと押圧との組み合わせにより共に保持することができる。例えば、図20の傾斜コイルばね290では、ばね端部は円形の中間コイルおよび円形のスナップ式端部コイルを用いて機械的に結合される。傾斜コイルばねの端部を結合する種々の技術の例は、米国特許第5791638号に記載されており、その全ての内容は参照として本明細書に組み込まれる。

前述の実施形態のいくつかでは、本発明の傾斜コイルばねはハウジングおよび/またはシャフトにおける溝内に配置されるように示す。これらの溝の多くは異なる断面形状を有する。ただし、示す溝の形状はこれらに限定されない。本発明の傾斜コイルばねは任意の形状の溝と共に用いられるように構成される。

前述の詳細な説明は、関連する当業者がこれらのばねおよび関連する方法を利用および使用可能なように、本発明の多層状傾斜コイルばねおよび関連する方法を実行するために意図された最良の形態、これらを利用および使用するための方法およびプロセスを十分、明白、簡潔に、そして正確な用語により記載する。しかしながら、これらのばねおよび関連する方法は、前述の完全な均等物からの変形例および代替的な構成でもよい。その結果、これらのばねおよび関連する方法は開示する特定の実施形態により限定されない。それどころか、これらのばねおよび関連する方法は、ばねおよび関連する方法の主題を特に示し、かつ明確に主張する下記の請求項により概して示される、ばねおよび関連する方法の精神および範囲内の全ての変形例および代替的な構成を含む。

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