Method and its application to grant the initial tension to the coil spring

申请号 JP2009525484 申请日 2007-08-14 公开(公告)号 JP2010501801A 公开(公告)日 2010-01-21
申请人 コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー; 发明人 キム,ユン−バイ; ハン,ジョン−ヒョン; リー,クァン−ク;
摘要 コイルスプリングのコイル巻回方向を変更することによって初張 力 をより高める方法を提供する。 コイルスプリングには大きな初張力が 精度 よく付与される。 形状記憶 合金 を用いることにより、性能の優れたアクチュエータを作成することができる。 コイルスプリングの高温時および低温時の形態は可逆形状記憶効果によって調整され得る。
权利要求
  • コイルが時計方向または反時計方向に巻回され、外力が加えられないときにコイル間に所定の隙間を有するオープンコイルスプリングを用意すること、
    前記オープンコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更してコイル同士を密着させることにより、外力が加えられないときに前記逆向きのコイル巻回方向でコイル間が閉じられた形態を有するクローズドコイルスプリングを作成すること、
    を含む、コイルスプリングに初張力を付与する方法。
  • 前記オープンコイルスプリングの右側端部をその左側の第1のコイルに掛けるように配置し、前記第1のコイルを右方向に引っ張ることにより該第1のコイルを前記右側端部の右側にコイル巻回方向が逆向きの状態となるように密着させ、前記第1のコイルに繋がる第2のコイルを右方向に引っ張ることにより該第2のコイルを前記第1のコイルの右側にコイル巻回方向が逆向きの状態となるように密着させると共に、これらの処理を繰り返し行うことによって、前記オープンコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更する、請求項1に記載のコイルスプリングに初張力を付与する方法。
  • 前記オープンコイルスプリングの左側端部をその右側の第1のコイルに掛けるように配置し、前記第1のコイルを左方向に引っ張ることにより該第1のコイルを前記左側端部の左側にコイル巻回方向が逆向きの状態となるように密着させ、前記第1のコイルに繋がる第2のコイルを左方向に引っ張ることにより該第2のコイルを前記第1のコイルの左側にコイル巻回方向が逆向きの状態となるように密着させると共に、これらの処理を繰り返し行うことによって、前記オープンコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更する、請求項1に記載のコイルスプリングに初張力を付与する方法。
  • 前記オープンコイルスプリングの一端部を、これに隣接する第1のコイルと第2のコイルとの間に配置して前記一端部の位置と前記第1のコイルの位置とを入れ替え、さらに前記一端部と前記第1のコイルとのセットを前記第2のコイルと第3のコイルとの間に配置して前記セットの位置と前記第2のコイルの位置とを入れ替えると共に、これらの処理を繰り返し行うことによって、前記オープンコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更する、請求項1に記載のコイルスプリングに初張力を付与する方法。
  • 前記オープンコイルスプリングの内径とほぼ等しい外径を有する補助器具を用いて前記オープンコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更する、請求項4に記載のコイルスプリングの初張力を付与する方法。
  • 前記オープンコイルスプリングのバネ定数およびコイル密着状態からの変位量の少なくとも一方を調整することによって初張力の大きさが調整される、請求項1に記載のコイルスプリングに初張力を付与する方法。
  • 時計方向または反時計方向に巻回されたクローズドコイルスプリングが過剰に引っ張られたことによって永久変形したコイルスプリングを用意すること、
    前記永久変形したコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更しコイル同士を密着させることにより、コイル巻回方向が逆向きになったクローズドコイルスプリングを得ること、
    前記コイル巻回方向が逆向きになったクローズドコイルスプリングを過剰に引っ張り、その後、該クローズドコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更しコイル同士を密着させることにより、初期のクローズドコイルスプリングを得ること、
    を含む、永久変形したコイルスプリングを元の形態に戻す方法。
  • 請求項1に記載の方法で製造され、初張力が付与されると共に外力が加えられない状態において収縮方向の力を有する、コイルスプリング。
  • 前記コイルスプリングは、金属または形状記憶合金(SMA)から形成されている、請求項8に記載のコイルスプリング。
  • 前記コイルスプリングは、加熱時および冷却時のそれぞれの形態を可逆的に再現すると共に、加熱時または冷却時においてコイル同士が完全に密着した形態を有する、請求項8に記載のコイルスプリング。
  • 形状記憶合金で形成されたコイルスプリングと、
    変形に対して前記コイルスプリングの力とは逆向きの力を提供するバイアススプリングと、を含み、
    前記コイルスプリングは、請求項1に記載の方法で製造され、外力が加えられない状態において収縮方向の力を有する引張スプリングである、リニアアクチュエータ。
  • 前記バイアススプリングは、引張スプリングである前記コイルスプリング内に挿入されている、請求項11に記載のリニアアクチュエータ。
  • 说明书全文

    本発明は、コイルスプリングに関し、特にコイルスプリングに大きな初張精度よく付与する方法に関する。

    初張力は、外力によって変形される前に収縮しようとする引張スプリングの力である。 図1に示すように、引張スプリングは、その初張力に相当する力が加えられることで変形が開始する。 この初張力を利用することによって引張スプリングの長さを短くすれば、空間を効率的に活用することができると共に部品サイズを最小化することができる。
    引張スプリングが初張力を有するためには、コイルスプリングがマイナスピッチで巻回されなければならない。

    しかし、マイナスピッチでコイルを巻回する場合には次のような問題がある。
    すなわち、マイナスピッチは目視できないので、大きな初張力を精度よく実現することは難しい。
    また、残留応力を利用する従来の方法においては、コイルスプリングが加熱工程にて巻回されたときに、または、コイルスプリングが冷却工程で巻回された後に加熱処理されたときに残留応力が開放される。 そのため、コイルスプリングに初張力を付与することは非常に難しい。
    従って、本発明の目的は、コイルスプリングに大きくて正確な初張力を付与する方法を提供することにある。

    このような目的を達成するため、本発明は、コイルスプリングに大きな初張力を精度よく付与する方法を提供する。 この方法は、コイルが時計方向又は反時計方向に巻回され、外力が加えられないときにコイル間に所定の隙間(間隔)を有するオープンコイルスプリングを用意すること、および、前記オープンコイルのコイル巻回方向を逆向きに変更し、外力が加えられないときにコイル同士が密着した形態を維持するクローズドコイルスプリングを作成すること、を含む。

    本発明の他の側面によると、本発明は、永久変形したコイルスプリングを元の形態に戻す方法を提供する。 この方法は、時計方向又は反時計方向に巻回されたクローズドコイルスプリングが過剰(弾性限界を超えて)引っ張られてことによって永久変形したコイルスプリングを用意すること、前記コイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更しコイル同士を密着させることにより、コイル巻回方向が逆向きになったクローズドコイルスプリングを得ること、および、前記コイル巻回方向が逆向きになったクローズドコイルスプリングを過剰に引っ張り、その後、該クローズドコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きに変更しコイル同士を密着させることにより、初期のクローズドコイルスプリングを得ること、を含む。

    本発明のさらに他の側面によると、本発明は、初張力が付与されたコイルスプリングを提供する。 このコイルスプリングは、上記したようなコイルスプリングに大きな初張力を精度よく付与する方法によって製造され、外力が加えられない状態において収縮方向の力(コイル間の密着力)を有する。

    本発明のさらに他の側面によると、本発明は、リニアアクチュエータを提供する。 このリニアアクチュエータは、形態記憶合金で形成されたコイルスプリングと、変形に対して前記コイルスプリングの力とは逆向き(反対方向)の力を提供するバイアススプリングとを含み、前記コイルスプリングは、上記したようなコイルスプリングに大きな初張力を精度よく付与する方法で製造されて、外力が加えられない状態において収縮方向の力を有する。

    本発明によるコイルスプリングは次のような効果を有する。
    第1に、コイルスプリングに大きな初張力を精度よく付与することができる。
    第2に、形態記憶合金(SMA)を用いて形成されたアクチュエータの移動距離を増加することができる。
    第3に、永久変形したコイルスプリングを元の形態に戻すことができる。
    第4に、形態記憶合金で形成されたSMAコイルスプリングは、可逆形態記憶効果と所望のコイル形態とを得ることができる。
    第5に、コイルスプリングの引張方向および圧縮方向を温度に応じて変更することができる。

    初張力を概念的に説明する図である。

    本発明によるコイルスプリングに初張力を付与する原理を示す図である。

    本発明によるコイルスプリングに初張力を付与する原理を示す図である。

    本発明によるコイルスプリングの巻回方向を変更してコイルスプリングに初張力を付与する方法を示す図である。

    本発明によるコイルスプリングの巻回方向を変更してコイルスプリングに初張力を付与する方法を示す図である。

    本発明によるコイルスプリングの巻回方向を変更してコイルスプリングに初張力を付与する方法を示す図である。

    本発明によるコイルスプリングの巻回方向を変更してコイルスプリングに初張力を付与する方法を示す図である。

    補助器具を利用してコイルスプリングの巻回方向を容易に変更する処理を示す図である。

    補助器具を利用してコイルスプリングの巻回方向を容易に変更する処理を示す図である。

    補助器具を利用してコイルスプリングの巻回方向を容易に変更する処理を示す図である。

    補助器具を利用してコイルスプリングの巻回方向を容易に変更する処理を示す図である。

    本発明によりコイルスプリングに初張力を付与する原理を概略的に示す図である。

    本発明によりコイルスプリングに初張力を付与する原理を概略的に示す図である。

    本発明によりコイルスプリングに初張力を付与する原理を概略的に示す図である。

    25℃で測定されたサンプルAおよびBの特性曲線を示す図である。

    温度に応じたサンプルAおよびサンプルBの変位(変形量)を示す図である。

    永久変形したコイルスプリングを元の状態に戻す原理を示す概略図である。

    永久変形したコイルスプリングを元の状態に戻す原理を示す概略図である。

    永久変形したコイルスプリングを元の状態に戻す原理を示す概略図である。

    永久変形したコイルスプリングを元の状態に戻す原理を示す概略図である。

    永久変形したコイルスプリングを元の状態に戻す原理を示す概略図である。

    可逆形状記憶効果を有するコイルスプリングの形態を調節する方法を示すグラフである。

    可逆形状記憶効果を有するコイルスプリングの形態を調節する方法を示すグラフである。

    可逆形状記憶効果を有するコイルスプリングの形態を調節する方法を示す図である。

    可逆形状記憶効果を有するコイルスプリングの形態を調節する方法を示す図である。

    可逆形状記憶効果を有するコイルスプリングの形態を調節する方法を示す図である。

    以下、添付図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
    本発明によるコイルスプリングに初張力を付与する原理を図2および図3を参照して説明する。 図2を参照すると、オープンコイルスプリングは膨張力(expansion force)、すなわち、圧縮に対する反発力を有している。 このオープンコイルスプリングのコイル位置を変更すると、図3に示すように、オープンコイルスプリングはクローズドコイルスプリングとなる。 ここで、オープンコイルスプリングの前記膨張力(expansion force)は、クローズドコイルスプリングの初張力(initial tension)である収縮力(compression force)、すなわち、コイルの密着力に変化する。 また、コイル位置を変更することは、コイルスプリングのコイル巻回方向が変化することを意味する。 すなわち、図2においてコイルスプリングは反時計方向に巻回され、図3においてコイルスプリングは時計方向に巻回されている。 なお、図2,3においては、コイルスプリングにおけるコイル巻回方向をより明確にするために別の度から見た形態を小さな図で示している。

    本実施形態においては、コイルが時計方向又は反時計方向に巻回されたオープンコイルスプリングを逆方向に巻回し直してクローズドコイルスプリング(引張スプリング)を作成することにより、コイルスプリングに初張力を付与する。

    図4〜図7を参照してオープンコイルスプリングにおけるコイルの巻回方向を変更する方法を詳細に説明する。

    まず、コイルが時計方向に巻回され、外力が加えられないときに、コイル間に所定の隙間を有してコイルが密着していない形態(すなわち、オープン形態)を維持するコイルスプリングを用意する。 なお、この実施形態においては、コイルが時計方向に巻回されたコイルスプリングを用意しているが、コイルが反時計方向に巻回されたコイルスプリングを用意することもできる(図4を参照)。 次に、上記コイルスプリングの右側端部をその左側の第1のコイルにかけるように配置する(図5を参照)。 次に、この第1のコイル(最も右側となったコイル)を右側(右方向)に引っ張る。 これにより、この第1のコイルは上記右側端部の右側にコイル巻回方向が反時計方向となって密着する。 次に、上記第1のコイルに繋がる第2のコイルを右側に引っ張り、コイル巻回方向を反時計方向として上記第1のコイルの右側に密着させる。 次に、上記第2のコイルに繋がる第3のコイルを右側に引っ張り、コイル巻回方向を反時計方向として上記第2のコイルの右側に密着させる(図6を参照)。 なお、図6は、異なる角度から見た形態を示す2つの図面である。 これらの処理を繰り返すと、図7に示すように、コイルスプリングのコイル巻回方向が反対方向(逆向き)に変更され、オープン形態にあったコイルスプリングがクローズ形態へと変化する。 すなわち、上記の処理を経た後においては、コイルが時計方向に巻回されたオープンコイルスプリングの右側端部は、コイルが反時計方向に巻回されたクローズドコイルスプリングの左側端部に位置することになる。

    なお、この実施形態においては、オープンコイルスプリングの右側端部を左側に移動させているが、オープンコイルスプリングの左側端部を右側に移動させることもできる。

    図8〜図11を参照すると、オープンコイルスプリングは、該オープンコイルスプリングの内径とほぼ同じ外径を有する補助器具を用いることにより、そのコイル巻回方向を逆向きに変更することができる。

    より詳しくは、オープンコイルスプリングの左側端部およびこの左側端部に繋がる第1のコイルの内側に図8に示すような補助器具を挿入する。 次に、オープンコイルスプリングの左側端部を、第1のコイルとこの第1のコイルの右側の第2のコイルとの間に配置(移動)し左側端部の位置と第1のコイルの位置とを入れ替える(図9を参照)。 次に、左側端部および第1のコイルのセットを、第2のコイルとこの第2コイルの右側の第3のコイルとの間に配置(移動)し前記セットの位置と第2のコイルの位置とを入れ替える。 そして、これらの処理を繰り返すことにより、オープンコイルスプリングのコイル巻回方向が逆向きに変更されて、クローズドコイルスプリングを得ることができる(図10、図11を参照)。

    図12〜図14を参照して本発明によるコイルスプリングに初張力を付与する方法について説明する。

    密着状態からδ1だけ変位した状態でコイル間に隙間を有する(オープン状態となっている)オープンコイルスプリング(ここでは、コイルが反時計方向に巻回されている)のバネ定数がK1であると仮定する。 このコイルスプリングを圧縮によって変形させるためには、−F1の圧縮力が必要となる(図12を参照)。 このコイルスプリングのコイル巻回方向を逆向き(時計方向)に変更すると、−F1は逆向きの力であるF1に変化する。 このとき、コイルスプリングは、F1の力で縮もうとしている形態となる(図13を参照)。 すなわち、クローズドコイルスプリングは、外部応力が加えられる前においてF1に相当する収縮力(密着力)を有することになる。 この収縮力(密着力)はクローズドコイルスプリング初張力を意味する。 図14は、F1の初張力を有するコイルスプリングが変形されるときの該コイルスプリングのふるまいを示す。 すなわち、コイルスプリングは、初期には無限大のバネ定数を有するが、初張力を超えると有限の値を有する。 この初張力は、K1とδ1とを乗算(F1=K1×δ1)して得られるので、K1およびδ1を調節することで精度よく初張力を付与することができる。

    [実施例1]
    有効巻数が10、バネ定数が2N/mmの引張コイルスプリングを用意する。 ここで、変形が小さい領域においては、圧縮スプリングのバネ定数と引張スプリングのバネ定数とが同一であるものとする。 50Nの初張力を得るために、密着形態からδ1=25mmだけ変位してオープン状態となっているオープンコイルスプリングを用意した。 このオープンコイルスプリングのコイル巻回方向を上記したように逆向きに変更することにより、初張力が50Nであるクローズドコイルスプリングを得ることができた。

    その結果、初張力は従来技術に比べて5倍以上大きくなり、また、初張力を精度よく調節することが可能となった。 さらに、コイルスプリングのコイル巻回方向を変更するものであり、コイルスプリングは熱処理にも容易に適用し得るものであった。

    [実施例2]
    コイルスプリングのコイル巻回方向を変更して初張力を向上させる技術を形態記憶合金(SMA)からなるコイルスプリングに適用すると、次のような利点がある。
    形態記憶合金(SMA)は、形態を記憶させるために最終的に熱処理を行うので、従来の方法で初張力を与えることは難しい。

    組成が50.5Ni−Tiであり、厚さ0.75mm、幅2.0mmのコイルを用いてコイル径22.0mm、有効巻数10のコイルスプリングを用意した。 比較対象は、クローズドコイルスプリング(サンプルA)であり、本実施形態によるコイルスプリングは、コイル間の距離が12mmになるように巻回されている(サンプルB)。 サンプルAおよびサンプルBを800℃で30分間の熱処理を施して形態記憶処理を行った。 サンプルBについてはコイル巻回方向を逆向きに変更してクローズドコイルスプリングとした。

    50.5Ni−Ti組成のSMAは25℃の高温相を有する。 図15を参照すると、25℃ではサンプルBの方がサンプルAよりも大きなバネ定数を有する。 すなわち、本実施形態によるサンプルBはバネ定数が19gf/mmであるが、サンプルAはバネ定数が2gf/mmである。 バネ定数は、実際は無限の値であるが、SMAが所定速度で変形されるため、有限の値として示された。 本実施形態においては、SMAからなるコイルスプリングが適用されたが、一般的な金属からなるコイルスプリングに本発明に適用し、コイル巻回方向を変更してバネ定数を大きくすることもできる。

    図16は、25℃および−20℃にて測定したサンプルA,Bの特性曲線(引張曲線)を示している。 サンプルAは高温相を有し、サンプルBは低温相を有する。 高温でのバネ定数は図15に示すように増加する。 −20℃において、サンプルBはサンプルAよりも大きなバネ定数を有するが、降伏強さはサンプルAとほぼ同じである。

    一般的な金属からなる圧縮スプリング(弾性係数2gf/mm、変形量(全たわみ)200mm)をSMAからなるコイルスプリング内に挿入した。 この圧縮スプリングは、図16に示すように、温度に依存せずに変形量(圧縮量)に応じて直線的に変形する。 従って、温度に応じて、SMAコイルスプリングの収縮力と圧縮スプリングの反発力とが等しくなる位置でSMAコイルスプリングの密着状態からの変位が決定される。

    25℃および−20℃において、圧縮スプリングが挿入されたSMAコイルスプリングの変位を測定した。 サンプルAの変位は、25℃で95mm、−20℃で160mmであり、その移動距離(moving distance)、すなわち、スプリング長さの変化量は約65mmであった。 これに対し、サンプルBの変位は、25℃で18mm、−20℃で145mmであり、その移動距離は、サンプルAの移動距離(スプリング長さの変化量)の約2倍に相当する約127mmであった。

    SMAは、高温では弾性変形を、低温では塑性変形を利用する。 従って、バネ定数が大きくなっても降伏強さは大きく変化しない。 このため、コイルスプリングの位置は、低温ではほとんど変わらないが、高温では大きく変化する。 その結果、コイルスプリングの上記移動距離(変化量)を大きく増加させることができる。 このようにコイルスプリングの移動距離が増加することにより、優れた性能のアクチュエータを作成することができる。

    [実施例3]
    実施形態において、永久変形したコイルスプリングを元の形態に戻すことができる。
    コイルが時計方向に巻回されて密着した状態の引張スプリング(図17を参照)を、その弾性限界を超えて変形させる(引っ張る)と(図18を参照)、引張スプリングは永久変形する(図19を参照)。 元の密着した形態の引張スプリングに戻すためには、過剰な圧縮を行わなければならないが、従来の技術では元の形態に戻すことができなかった。

    そこで、永久変形したコイルスプリング(図19を参照)におけるコイル巻回方向を反時計方向に変更し、それからコイルスプリングを強く引っ張る(図20)。 この動作は、コイルが時計方向に巻回された変更前のコイルスプリングを過剰に圧縮することに相当する。 適切に引っ張られたコイルスプリングのコイル巻回方向を再び時計方向に戻すと、図17又は図21に示すような元の密着したコイルスプリングが得られた。

    [実施例4]
    SMAの可逆形態記憶効果に関する実験を行った。
    可逆形態記憶効果とは、加熱処理及び冷却処理が繰り返されると、対象の形態が可逆的に変わる現象をいう。 この可逆形態記憶効果は、電位または析出物を発生させることにより実現される。 図22は、電位による可逆形態記憶効果を示している。 密着したコイルスプリング(o)を大きく引っ張り(a)、その後に加熱すると、元の形態(o)には戻らずに(b)の形態に戻る。 次に、コイルスプリングを冷却すると、(c)の形態となる。 加熱処理と冷却処理とを繰り返すことにより、コイルスプリングは、(b)および(c)の形態に変化する。 これを可逆形態記憶効果という。 この可逆形態記憶効果は、変形中に加えられた電位によって実現されるが、これは回復できない量の変形をひき起こすことにもなる。 このため、従来技術においては、可逆形態記憶効果の実現によって完全に密着した形態を得ることができなかった。 ここで、オープン状態よりもクローズド状態にあるコイルスプリングを広げる方が都合がよい。 可逆形態記憶効果を有するコイルスプリングの高温および低温での形状(形態)は、従来技術では調節することができなかった。 しかしながら、本発明による技術を用いると、そのようなコイルスプリングの形態を調節することができる。

    本実施形態において、コイルスプリングのコイル巻回方向を変更することで、加熱時に完全に密着することになる可逆形態記憶効果を示すコイルが得られた。 図23に示すように、元の形態(o′)を有するコイルを用意し、(a′)の形態まで変形させた。 コイルは、加熱時には(b′)に戻り、冷却時には(c′)の形態に戻る。 コイルの形態は、加熱処理および冷却処理により、(b′)および(c′)の形態に変化する。 このように、本示威し形態においては、可逆形態記憶効果を有すると共に、高温にて完全に密着する状態となるコイルスプリングが作成された。 すなわち、従来技術においては、コイルスプリングを密着状態よりもさらに収縮方向に変形させることはできなかった。 しかしながら、本実施形態においては、コイルスプリングのコイル巻回方向を変更させることにより、あたかもコイルを密着状態よりもさらに変形させたような状態にすることができ、可逆形態記憶効果を有するコイルスプリングの形態を自由に調節することができる。

    冷却時には完全密着する一方、高温ではコイル同士が離れるコイルスプリングを製造することは難しい。 図24に示すように、コイル同士が離れた形態(o)のコイルスプリングを圧縮した後に加熱すると、コイルスプリングは(b)の形態となる。 冷却すると、コイルスプリングは(c)の形態となる。 従って、コイルは、低温でもコイル同士が離れた形態を維持する。

    本実施形態においては、コイルスプリングのコイル巻回方向を変更させることによってこのような従来の問題を解決できる。 すなわち、図25に示すように、コイルスプリングを元の形態(o′)からコイル巻回方向を逆向きにして(a′)に変形した。 このコイルスプリングは、加熱すると(b′)の形態となり、冷却すると(c′)の形態となった。 これにより、冷却時にはコイルが完全に密着し、加熱時にはコイル同士が離れるコイルスプリングを製造することが可能となった。

    また、本実施形態によるコイルスプリングの動作方向は変更し得る。 すなわち、図26に示すように、可逆形状記憶効果を示すコイルスプリングは、加熱時にコイル同志が離れた状態にすることができると共に、コイルスプリングのコイル巻回方向を逆向きにすることにより冷却時にもコイル同志が離れた状態とすることができる。

    本発明は、その精神や範囲から外れることなく、様々な変形や変更を行うことが可能であることは当業者にとって明らかであろう。 従って、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で行われるすべての変更や変形、並びに特許請求の範囲に記載の発明の均等物は本発明の範囲に含まれる。

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