【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、落岩、なだれおよび泥土滑りを防止するのに使用される土留めネットを製造する方法および装置に関する。 またそのようなネットは、 他の強固な土留め用および土壌浸食防止用にも適切である。 【0002】 【従来の技術】従来、上に概説した用途の土留めネットは、単一のマルチ・ストランド鋼製ケーブル(より線) が環状に通過するリングにより、そのケーブルを相互接続して、製造されている。 環状を形成するケーブルの端部は、圧着ブッシュとも呼ばれる圧縮ブッシュにより相互接続される。 土留めネットのこの形式の構造は、満足できることが判明している。 しかしながら、この従来の方法は比較的高価で複雑であるので、改良の余地がある。 【0003】さらに、リングから製造され、一旦設置された土留めネットは、例えばなだれまたは落岩を止めるために、かなりの力を受容できなければならない。 そのようなネットが満足すべき他の必要事項は、非常に高い耐食性である。 と言うのは、これらのネットは、道路などに沿って山側に設置されたときに、長期間にわたり、 数十年でも所定位置に存続する必要があるからである。 殊に、土壌浸食を防止するために、急な丘陵斜面と直接接触して設置されるネットは、大きい表面部位の泥土滑りを防止し、かつ腐食作用に耐えなければならない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記を考慮して、本発明の意図は、下記の目的を単一にまたは組み合わせて達成することにある。 すなわち、土留めネットを効率的に、したがって経済的に製造する方法と装置を提供すること、多数のリングの相互接続においてケーブル環状部の使用を避けること、土留めネットの初期弾性変形により、運動的またはむしろ動力学的負荷を受容し、かつ散逸できるように構成すること、および落岩のような負荷の受容に対応して伸張できるように土留めネットを構成することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明に従えば、予め作成されたリングが、同時に環状に形成されながら形成中のワイヤーリングにより相互に連結される。 その環状に形成されるワイヤーリングは、曲げ金型すなわち曲げ工具中に、単一のワイヤーを送入して、少なくとも2個の隣接する予め作成されたリングの開口部を通過する幾つかのワイヤー巻回部を形成するすることにより形成される。 【0006】本方法は、本発明に従う装置により実施され、その装置における曲げ金型すなわち曲げ工具は、送入されるワイヤーを弓状の形状に曲げ、ワイヤーの供給が継続するにつれて、幾つかの巻回部を有するリングを形成するように構成される。 その装置は、予め作成されたリングの主平面が曲げ工具でワイヤーを環状に形成するリングの平面と交差するように延びている位置で、予め作成されたリングを保持する懸垂部材をさらに備え、 その曲げ工具は、曲げ工具で形成中のリングの円形の巻回部が2個の隣接する懸垂されたリングの中央開口部を通過すなわち環状に通過するように、懸垂されたリングの横方向に配置される。 【0007】本発明の利点は、マルチ・ストランドを有するケーブル断面材を使用しないことである。 むしろこれらのケーブル断面材は、本発明によれば、締め具などにより半径方向に互いに順次保持される幾つかのゆるい巻回部を形成するように曲げられる単一のワイヤーから形成されるリングに置き換えられている。 そのような土留めネットは、高負荷の受容に適切である。 この能力は、例えば落岩などによりそのような土留めネットに加わる運動的または動力学的負荷により、最初に、当初は円形のワイヤーリングが、ほぼ正方形の形状に変形されるという事実により強化される。 この変形の結果、ネットは、伸張できるので、当初ネット上で有効であった動力学的力を徐々に散逸し、ついで動力学的負荷を保持できるようになる。 【0008】予め加工されたマルチ・ストランド・ケーブルではなく単一のワイヤーを使用することにより、本装置は、有利でしかも単純なリング形成を提供するので、ワイヤーは、所要の径のワイヤーリングを形成するように調整できる曲げ工具により円形の形状に形成される。 複数の巻回部を形成でき、またこれらの巻回部は、 それぞれが同一の径を有するので互いに平坦に押し付けられる。 巻回部を形成する環状部が、予め成形されたリングを通過して幾つかの巻回部を自動的に巻いてリングを形成させながら予め成形されたリングを相互に連結する。 他の利点は、その単一のワイヤーは、よじりケーブルの細い単一のストランドと比べて、比較的太いワイヤーでもよいという点にある。 太いワイヤーは、他の条件は同等であるが、細いワイヤーよりも耐食性がある。 【0009】 【実施例】図1を参照して、本発明を先ず説明する。 先ず、複数の個別のリング20A、20B、20Cおよび20Dなどは、任意の従来のリング形成方法により鋼製のワイヤーから予め成形される。 これらのリング20 A、20B、20Cおよび20Dは、図2に示される懸垂部材31により保持される。 図1に示される曲げ工具15は、図2に詳細に示される。 曲げ工具15は、送入される単一のワイヤー22を弓状の形状物22Aに曲げ、リンググループの第1のリング20Aを通過させる。 図1bに示されるようにワイヤー22の形状物22 Aは、リング20Aの開口部を通過し、成形が継続するにつれて、次に隣接するリング20Bの開口部を通過する。 図1cによれば、ワイヤー22の弓状の曲がりが完全なリング20を形成したのが分かる。 リング20は好ましくは、それぞれが実質的に同一の径を有する複数の巻回部から構成される。 図1dに示されるように、ここで曲げ工具15は、次の環状リングに予め成形されたリング20Bおよび20Cを通して挿入できるように、次の予め成形されたリング20Bと協働する位置までずらされる。 次のリング20'についてのリング形成は、リング20の形成の単なる繰り返しである。 その繰り返し回数は、相互に結合されたリング数と、および完成土留めネットの所期幅によって決まる。 1列のリングが相互に結合されると、ついでリングの相互結合された列は、 土留めネットの所要の長さが得られるまで、上記と同一の方法で次の列へ連結される。 図から分かるように、4 個の予め成形されたリング20A、20B、20Cおよび20Dは、3つの相互に環状形成される対、すなわち20Aと20B、20Bと20C、および20Cと20 Dが結合されるように、3個の相互結合リングを必要とする。 【0010】図2および3は、相互結合リング20および20'を製造する装置10を図示する。 装置10は、 テーブルトップ11と、ワイヤー供給器12と、ワイヤーの前進供給方向から見たときにワイヤー供給器12の下流に配置される曲げ工具15と、ワイヤー切断器25 と、および例えばテーブルトップ11上に取り付けられるローラー形状のワイヤーガイド18および19とから構成され、また装置10には、図2で最も良く分かるように垂直方向の配置を保持するように予め成形されたリング20A、20B、20C及び必要ならさらにリング20Xおよび20Yを懸垂させる、ほぼ中央に位置決めされる縦方向のスロット11'が設けられる。 リング2 0Xおよび20Yは、先に形成された環状形成リングである。 【0011】ワイヤー供給器12は、モーターで駆動されて、曲げ工具15へ向けて矢印Aの方向にワイヤー2 2を通す、幾つかの、好ましくは4個の供給ローラー1 3を備えている。 ローラー13は、ワイヤー22が通過する供給隙間を形成する。 ローラー13の少なくとも1 個は、ワイヤー22の所要の供給前進速度を選定できるように、図示されない回転数可変モーターにより駆動される。 ワイヤーが、曲げ工具15の曲げローラー16と17の間の隙間に入ると、図1に示される弓状の曲げ部22Aの形成が開始される。 少なくともローラー16 は、形成されるリングの径を変更できるように、その位置を半径方向に変えられる。 ワイヤー22は先ず、ワイヤー22の前端部において弓状の形状部22Aに曲げられる。 前方へ引き続き供給されると、ローラー18および19により案内され、ワイヤーリングが完成する。 図2に示されるローラー18は、曲げ工具15と実質的に対向して、下からワイヤー巻回部を支持する。 ローラー19は、ワイヤー巻回部を半径方向に保持する。 【0012】曲げ工具15のローラー16および17 は、ワイヤー22の両側に位置決めされる。 1つのワイヤー巻回部が完了すると、所要数の巻回部が形成されるまで、ワイヤーの前方への供給が継続されるので、全ての巻回部は実際に同一の径を有する。 所要数の巻回部が形成されると直ちに、ワイヤーは、曲げ工具15の下流に位置するワイヤー切断器25により切断される。 【0013】そのようにして形成された巻回部は、リング20および20'などを形成するためにワイヤー巻回部を完全に丸く囲むように、圧着工具により確実に圧着されるC形締め具のような半径方向に有効な保持締め具21により、その周辺で相互に接続される。 当初は横方向に開いている締め具は、圧着変形後に完全に閉じられて、O形締め具を形成する。 この結果、リング20および20'は閉じられ、また所要数の巻回部は、ねじられることなく互いに保持されるので、得られたリングは、 1本の中断されない巻かれたワイヤー22の幾つかの巻回部から構成される。 好ましくは、ワイヤー巻回部を互いに保持する圧着された締め具21を形成する圧着工具は、ワイヤー切断器25の一部である。 【0014】ワイヤー22は好ましくは、所要の耐食性を有するように、断面が円形である、高温亜鉛メッキ鋼線材か、またはステンレス鋼から製造される。 リング2 0は好ましくは、3〜15個の巻回部から構成され、またワイヤーの径は、1〜5mmの範囲が好都合である。 例えば図4は、250〜300mmの範囲のリング径と3mmのワイヤー径を有する幾つかの巻回部から構成されるリング20を示す。 そのリングは、この例では高温亜鉛メッキ鋼線から製造される。 【0015】図1を参照して上に説明したように、ワイヤー22が、リング20を形成しながらリング20A、 20Bを通して環状形成ができるように、幾つかの予め成形されたリング20A、20Bは1列に懸垂される。 予め成形されたリング20A、20Bおよび20Cなどは好ましくは、環状連結リング20、20'と同一の材料から製造される。 【0016】図2を参照すると、相互連結は、予め成形されたリング20A、20Bを懸垂部材31から懸垂することにより、容易に実施される。 複数のそのような懸垂部材31は好ましくは、1列に配置され、かつ回転自在の軸32へ確実に取り付けられ、ついでその軸はテーブルトップ11を通る縦方向のスロット11'に平行に、テーブルトップ11上方へ取り付けられる。 これらの懸垂部材31のそれぞれは、かつ予め成形されたリング20A、20Bを懸垂するフック30を形成する2つの横方向に開口するスロット33および34を両側に有する。 これらのフック30は、図3で最も良く分かるように、予め成形されたリング20A、20Bを1列に保持する。 望むならば、図3で最も良く分かるように、2 列のリングを互いに平行に懸垂してもよい。 リング20 X、20Yの第2の列は点線で示される。 第2の列20 X、20Yは、連結リング、または予め成形されたリングである。 【0017】軸32は、1列のリングの相互連結が完了した後にフック30. . . からリング20A、. . . を離脱するために、矢印Bにより示されるように時計方向または反時計方向に十分回転可能である。 【0018】図2および3において分かるように、懸垂部材31から懸垂されるリングは、テーブルトップ11 の表面に直角に、従ってテーブルトップ11上で成形されるリング20へ実質的に直角に延びるように配置されている。 このようにして、テーブルトップ11が水平方向に延びると、リング20A、20B、20Cが垂直方向の配向になるので、リング20A、20B、20Cの主平面は、リング20、20'の主平面に対して直角方向に延びる。 図3で最も良く分かるように、ガイドローラー19と協働して工具15により形成される環状部は、懸垂されたリング20A、20Bの中央開口部を通過する。 一旦、テーブルトップ11上のリング20に所要数の巻回部が形成されて、締め具21がワイヤー巻回部上に圧着された後、リング20は、手操作、または図示されない吊り上げ機構によりテーブルトップ11から吊り上げられる。 次の相互結合リングを成形するために、曲げ工具15を備えるテーブルトップ11は、次の2個のリング20Bと20Cが次の相互環状形成作業のための所定位置になるまで、例えば回転可能な軸32と平行に延びる軸駆動部37により矢印Cの方向にずらされる。 先に作成された相互結合リング20は、手操作、 または対応する吊り上げ器により懸垂器具31のスロット34中に入れられるので、これらのリングは、次の2 個の予め成形されたリング20Bと20Cが、テーブルトップ11上の工具15のずれた位置で相互に環状形成されるときに、じゃまにならない。 ついで上述の操作は繰り返されるので、次の相互結合リング20'は、リング20Bと20Cを結合させる。 この記述された操作は、製造されるネットの幅が、対応する数の環状形成されるリングにより得られるまで、繰り返される。 所要数のリングを有する列が形成された後、軸32は、約90 °だけ反時計方向に回転する。 懸垂部材31は、軸32 と共に回転し、この部材は軸32に確実に固定されているので、スロット33に保持されていたリング20A、 20B、20Cは落下する。 相互結合リング20および20'は、スロット34内に入れらているので、これらで予め成形されたリング20A、20Bおよび20Cを共に保持する。 【0019】ついで軸32は、逆回転して当初位置へ戻り、またテーブルトップ11も、軸駆動部37を反対方向に回転することにより、逆にずらされて当初位置へ戻る。 ついで曲げ工具15は、スロット34に懸垂されるリングを通過する新しいリング巻回部を製造する。 これらの巻回されたリングは、回転させられ、空となっているスロット33から懸垂されるように、垂直方向の所定位置に手または図示されない吊り上げ器具で吊り上げられる。 相互連結したリング20および20'が、テーブルトップ11内のスロット11'中に延びて、垂直方向位置になることができるように、軸32は懸垂部材31 と共に、吊り上げられるか、またはテーブルトップ11 が下げられる。 代わりにテーブルトップ11は、これらのリングを垂直方向に整合するために、横方向にずらすこともできる。 ついで上述の環状形成操作段階は、第2 の列の環状形成されたリングが形成されるまで繰り返される。 このようにして第2の列のリングが相互連結されると、軸32は反時計方向に回転するので、スロット3 4内のリングは離脱される。 このようにして、互いに重ねて配置される三番目の相互連結リングが形成される。 このようにして、任意の長さのネットを形成することが可能となる。 図1に図示される実施例での相互連結は、 図1リング20A、20B・・を相互連結するリング2 0、20'が新しいリング20A、20Bとなってさらに継続されネットが形成される。 【0020】予め成形されたリングがスロット33および34内で保持される上記の変形により、2列のリングの形成が同時にできる。 と言うのは、相互結合リングが4個のリングを一度に通過するからである。 【0021】別の変形は、幾つかの曲げ工具を互いに平行に配置して、部分的なネットを形成して、ついで互いに相互連結させることができる。 このようにして、任意のサイズのネットを効率的に形成できる。 【0022】本発明を、特定の実施例を参照して説明してきたが、上記特許請求の範囲内の全ての変更および相当例を包含する意図があることは明らかである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明によってリングを相互接続する状態を示した図である。 【図2】 相互連結される土留めネットを成形する、本発明に従う装置を通る概略断面図である。 【図3】 図2の装置の平面図であるが、予め成形されたリングを保持する懸垂器具を省略した図である。 【図4】 圧着された締め具により互いに保持された幾つかのワイヤー巻回部を有する相互結合リングの平面図である。 【符号の説明】 20A、20B,20C…予め形成されたリング、2 0、20'…相互連結リング、22…相互連結リングを作るためのワイヤ。 |