複合部材の製造装置

申请号 JP2012068306 申请日 2012-03-23 公开(公告)号 JP5909824B2 公开(公告)日 2016-04-27
申请人 グンゼ株式会社; 发明人 山本 政則; 大神 周併; 向井 聡史;
摘要
权利要求

芯材の外周面に表面部材が固着された複合部材を製造する製造装置であって、 前記芯材の外周面に表面部材を配設可能な表面部材配設手段と、 前記芯材を加熱し、加熱された前記芯材の熱によって、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材と前記芯材との対向領域の少なくともいずれか一方を溶融させ、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材の外表面形状を熱溶解によって損なうことなく前記表面部材と前記芯材とを融着させる加熱手段とを備え、 前記表面部材配設手段は、線材からなる表面部材を前記芯材の外周面に巻回することにより、前記芯材の外周面を前記表面部材で被覆するカバリング装置である複合部材の製造装置。芯材の外周面に表面部材が固着された複合部材を製造する製造装置であって、 前記芯材の外周面に表面部材を配設可能な表面部材配設手段と、 前記芯材を加熱し、加熱された前記芯材の熱によって、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材と前記芯材との対向領域の少なくともいずれか一方を溶融させ、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材の外表面形状を熱溶解によって損なうことなく前記表面部材と前記芯材とを融着させる加熱手段とを備え、 前記表面部材配設手段は、粒状或いは繊維状の表面部材を前記芯材の外周面に吹き付けることにより、前記芯材の外周面を前記表面部材で被覆する吹き付け装置である複合部材の製造装置。前記芯材は、導電性材料により形成されており、 前記表面部材は、前記芯材よりも磁性が低い材料により形成されており、 前記加熱手段は、前記芯材の外周面に配設された前記表面部材の外側から前記芯材を電磁誘導加熱方式で加熱する電磁誘導加熱装置である請求項1又は2に記載の複合部材の製造装置。前記表面部材配設手段は、前記加熱手段によって加熱された前記芯材の外周面に前記表面部材を配設するように構成される請求項1又は2に記載の複合部材の製造装置。外周面に表面部材が配設される前記芯材に対して、予め前記芯材の融点よりも低い融点を有する接着剤を前記芯材の外周面に塗布する接着剤層形成手段を更に備える請求項1から4のいずれかに記載の複合部材の製造装置。接着剤層形成手段は、前記芯材の外周面に塗布された接着剤を乾燥させる乾燥装置を更に備える請求項5に記載の複合部材の製造装置。

说明书全文

本発明は、複合部材の製造装置に関する。特に芯材の外周面に表面部材を固着して製造される複合部材の製造装置に関する。

従来、芯材となる部材の外表面に、芯材とは異なる材料により形成される被覆層を施して製造される種々の複合部材からなる器具が知られている。例えば、血管内治療に使用される医療用ガイドワイヤーや、放電加工に用いられる電極線、断熱配管等種々のものが知られている。

血管内治療に使用される医療用ガイドワイヤーは、金属製の線状芯材の表面を樹脂によって被覆し、かつ樹脂の表面には親性処理を施して製造される(例えば特許文献1)。芯材の表面を樹脂で被覆する手法としては種々のものを採用することができるが、例えば、高温下で液体状に生成した樹脂が貯留される貯留槽内に線状芯材を浸漬した後、冷却することにより線状芯材の表面に樹脂層を形成する方法が知られている。

ワイヤ放電加工用電極線は、例えば、Cu合金からなる芯材の周りに、Cu−Zn合金層を被覆して製造される(例えば特許文献2)。芯材の表面にCu−Zn合金層を形成する手法としては、芯材の表面にZnメッキを施す方法が知られている。

断熱配管としては、種々の形態のものが存在するが、例えば、放熱を防止しつつ液体を供給する際に用いられる断熱配管は、金属製の配管の外周面にシート状の断熱材を巻き付けて製造される。

特開2008−125628号公報

特開平5−339664号公報

上述のように、芯材となる部材の外表面に、芯材とは異なる材料により形成される被覆層を施して所望の複合部材を製造する方法は種々案出され、これに対応する製造装置も案出されている。本発明は、これらのような製造装置とは全く異なる新規な製造装置、特に、芯材の外周面に表面部材を固着して製造される複合部材の新規な製造装置を提供することを目的とする。

本発明の上記目的は、芯材の外周面に表面部材が固着された複合部材を製造する製造装置であって、前記芯材の外周面に表面部材を配設可能な表面部材配設手段と、前記芯材を加熱し、加熱された前記芯材の熱によって、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材と前記芯材との対向領域の少なくともいずれか一方を溶融させ、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材の外表面形状を熱溶解によって損なうことなく前記表面部材と前記芯材とを融着させる加熱手段とを備え、前記表面部材配設手段は、線材からなる表面部材を前記芯材の外周面に巻回することにより、前記芯材の外周面を前記表面部材で被覆するカバリング装置である複合部材の製造装置により達成される。或いは、芯材の外周面に表面部材が固着された複合部材を製造する製造装置であって、前記芯材の外周面に表面部材を配設可能な表面部材配設手段と、前記芯材を加熱し、加熱された前記芯材の熱によって、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材と前記芯材との対向領域の少なくともいずれか一方を溶融させ、前記芯材の外周面に配設される前記表面部材の外表面形状を熱溶解によって損なうことなく前記表面部材と前記芯材とを融着させる加熱手段とを備え、前記表面部材配設手段は、粒状或いは繊維状の表面部材を前記芯材の外周面に吹き付けることにより、前記芯材の外周面を前記表面部材で被覆する吹き付け装置である複合部材の製造装置により達成される。

このような複合部材の製造装置によれば、熱溶解させる部分が、表面部材と芯材との対向領域の少なくともいずれか一方(表面部材における芯材との対向領域、又は、芯材における表面部材との対向領域、或いは、その両方)であるため、芯材の表面に配設される表面部材の外表面の形状を熱溶解によって損なうこと無く当該表面部材を芯材の外周面上に確実に融着固定させることが可能となる。また、芯材の外周面上に表面部材を配置する段階において、液体状に生成することが困難な材料を表面部材として選択する場合であっても、線材状或いは粒子状等の形態に表面部材を形成することにより、このような表面部材を芯材の外周面上に融着させることが可能となる。

この複合部材の製造装置において、前記芯材は、導電性材料により形成されており、前記表面部材は、前記芯材よりも磁性が低い材料により形成されており、前記加熱手段は、前記芯材の外周面に配設された前記表面部材の外側から前記芯材を電磁誘導加熱方式で加熱する電磁誘導加熱装置であることが好ましい。

このような構成を採用することにより、芯材の外周面に配設された表面部材の外側から(複合部材の外側から)、内部に配置される芯材を簡便に加熱することが可能となり、複合部材の生産性を向上させることができる。

また、この複合部材の製造装置において、前記表面部材配設手段は、前記加熱手段によって加熱された前記芯材の外周面に前記表面部材を配設するように構成されてもよい。このような構成であっても、加熱された芯材の熱によって、芯材表面に配設される表面部材と芯材との対向領域の少なくともいずれか一方を熱溶解させて、表面部材を芯材に固着することができる。

また、外周面に表面部材が配設される前記芯材に対して、予め前記芯材の融点よりも低い融点を有する接着剤を前記芯材の外周面に塗布する接着剤層形成手段を更に備えることが好ましい。

このような接着剤層形成手段を備える場合、芯材を加熱することにより、例えば、表面部材として、芯材の融点よりも低い融点を有する部材を用いると共に、接着剤層形成手段において用いられる接着剤として、接着剤の融点が、表面部材の融点と略同等以下のものを採用した場合、芯材を加熱することにより、表面部材における芯材との対向領域及び表面部材と芯材との間に介在する接着剤を溶解させることができ、表面部材をより一層強固に芯材に固着することができる。具体的に説明すると、表面部材として、芯材の外周面に螺旋状に巻回して配置される線材や、或いは、吹き付けることにより芯材の外周面に配置される粒状或いは繊維状の部材を使用する場合には、溶解した接着剤が、隣接して配置される線材や粒状の部材の隙間に進入することになるため、確実に表面部材を芯材に固着させることが可能となる。

また、接着剤層形成手段は、前記芯材の外周面に塗布された接着剤を乾燥させる乾燥装置を更に備えることが好ましい。

このように、芯材の外周面に塗布した接着剤を乾燥させるように構成することにより、接着剤の接着が失われた状態で表面部材を芯材の外周面に配設することが可能となる。接着剤の接着力が存在する状況下、つまり、接着剤が乾燥していない状態でも表面部材を芯材の外周面上に配設してもよいが、接着剤が乾燥しておらず、接着剤が液体状或いは半液体状の状態で表面部材を芯材の外周面に配設する場合、配設された表面部材の周りから液体状(或いは半液体状)の接着剤が浸み出て、最終的に得られる複合部材の外表面に接着剤が残ってしまうおそれがある。或いは、液体状(或いは半液体状)の接着剤が芯材の外周面上に沿って流動し、接着剤が芯材の外周面上に均一に分布しなくなるおそれがある。このような場合、例えば、芯材Z1を加熱することにより接着剤及び/又は表面部材における芯材との対向領域を溶融させて、表面部材を芯材に固着する際に、接着剤が薄く芯材表面に塗布されている部分における表面部材と芯材との固着力が低下する恐れがある。一方、表面部材を芯材の外周面に配設する前段階において、芯材の外周面に塗布した接着剤を乾燥させた後に、表面部材を芯材の外周面に配設する場合には、上述したような事態(接着剤の浸出や、接着剤の不均一分布)が発生することを効果的に防止することができ、最終的に得られる複合部材の外表面に接着剤が残ってしまったり、表面部材と芯材との固着力が低下する部分が発生することを確実に防止することができる。

本発明によれば、芯材の外周面に表面部材を固着して製造される複合部材の新規な製造装置を提供することができる。

本発明の一実施形態に係る複合部材の製造装置を示す概略構成ブロック図である。

本発明に係る製造装置により製造される複合部材の断面図である。

本発明の一実施形態に係る複合部材の製造装置が備える表面部材配設手段ステップにおいて用いられるカバリング装置を示す概略構成図である。

本発明の一実施形態に係る複合部材の製造装置が備える加熱手段として用いられる電磁誘導加熱装置を示す概略構成図である。

本発明に係る複合部材の製造装置より表面部材が外周面に配設される芯材の例を示す概略構成断面図である。

図5に示す芯材の他の例を示す概略構成断面図である。

本発明の他の実施形態に係る複合部材の製造装置を示す概略構成ブロック図である。

本発明に係る製造装置の一実施例を示す概略構成図である。

図8に示す製造装置における加熱手段として使用される電磁誘導加熱装置を示す概略構成断面図である。

以下、本発明の実施形態にかかる芯材の外周面に表面部材Z2を固着して構成される複合部材の製造装置1について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る複合部材の製造装置1を示す概略構成ブロック図である。図1に示すように、本発明に係る複合部材の製造装置1は、前処理手段2と、表面部材配設手段3と、加熱手段4とを備えている。

ここで、本発明に係る製造方法により製造される複合部材Zは、図2の断面図に示すように、コアとなる芯材Z1と、芯材Z1の外周面に固着される表面部材Z2とを備えている。なお、図2の断面図は、複合部材Zの軸心に沿って切断した断面図を表している。芯材Z1としては電気を通しやすい材料(導電性材料)から構成することが好ましい。芯材Z1の形状には特に限定はなく、棒状や線材状、円柱状、中空円筒状等、種々の形状を採用することができる。また、芯材Z1としては、その機能に応じて単一の材料から構成されるものであってもよく、或いは、複数の材料から構成されるものであってもよい。複数の材料から構成される芯材Z1としては、例えば、2種類の線材状の金属部材を撚ったものや、線材状の金属部材及び線材状の樹脂部材を撚ったもの、中心部分と表面部分とが異なる材料から形成されているもの(二層構造のもの、例えば、金属からなる中心部分の外表面に熱硬化性樹脂をコーティングして表面部分を構成したような部材)等、種々の構成を採用することができる。芯材Z1を複数の材料から構成する場合には、少なくとも一種類の材料が電気を通しやすい材料とし、芯材Z1全体として導電性を備えるように構成する。

表面部材Z2としては、種々のものを採用することができ、例えば、鉄やステンレス等の金属材料から形成してもよく、或いは、合成樹脂材料から形成してもよい。合成樹脂材料としては、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を好適に例示できる。また、複合部材Zに、例えば、耐食性機能、潤滑性機能、断熱性機能、耐疲労性機能といった各種機能から選択した1つの機能を付与する場合には、所望する機能を付与するに適した材料を表面部材Z2として選択すればよい。或いは、複数の機能を同時に付与するような場合には、所望の機能をそれぞれ発揮する複数の材料を表面部材Z2として選択すればよい。この表面部材Z2の形状も特に限定はなく、例えば、線材状や粒状、帯状、繊維状等、種々の形状を採用可能である。

前処理手段2としては、例えば、芯材Z1の外周面に付着する汚れや埃などを除去する異物除去処理装置や、芯材Z1の外周面に付着する鉱物油等の油脂成分を除去する脱脂処理装置、或いは、芯材Z1の外周面と表面部材Z2との密着性を向上させるために行われる表面加工処理装置等の各種装置を例示することができる。また、前処理手段2としては、異物除去処理装置、脱脂処理装置及び表面加工処理装置から選択した単一の装置を採用してもよく、或いは、複数の装置を組み合わせるようにして製造装置1を構成してもよい。ここで、異物除去処理装置としては、例えば、芯材Z1にエアーを吹き付けて外周面に付着する汚れや埃を除去するエアー処理装置や、水洗いにより汚れを除去する水洗い処理装置、芯材Z1の外周面上の汚れ等をウエス等により拭き取る拭き取り処理装置等を例示することができる。また、脱脂処理装置としては、例えば、脱脂用の処理槽等にアルコールやアセトン、シンナー等の脱脂処理液内に芯材Z1を浸漬させて、芯材Z1に付着した鉱物油等の油脂成分や汚れを取り除く溶媒脱脂装置を例示することができる。また、このような溶媒脱脂装置の他、熱を加えて芯材Z1表面の油脂成分を除去する加熱脱脂装置、或いは、超音波によって液体に生じた真空の気泡が破裂する際の衝撃波を利用した超音波脱脂装置、芯材Z1をアルカリ洗浄液中に浸漬しつつ、所定の電流密度の電解をかけて芯材Z1表面に付着している鉱物油等の油脂成分を除去するアルカリ電解脱脂装置等、種々の脱脂装置を適用することができる。また、表面加工処理装置としては、例えば、芯材Z1の外周面の凹凸性を向上させるためのブラスト加工装置を例示することができる。なお、前処理手段2は、芯材Z1と表面部材Z2との密着強度を高めるための手段(装置)であるため、本発明に係る製造装置1が、かかる前処理手段2を備えなくても十分な芯材Z1と表面部材Z2との密着強度を得られるような場合には、前処理手段2を省略して本製造装置1を構成することができる。

表面部材配設手段3は、導電性材料からなる芯材Z1の外周面に、表面部材Z2を配設する装置である。この表面部材配設手段3は、芯材Z1の外周面上に表面部材Z2を配設することができる種々の装置を採用することができるが、例えば、線材からなる表面部材Z2を芯材Z1の外周面に螺旋状に巻回することにより、芯材Z1の外周面を表面部材Z2で被覆するカバリング装置を表面部材配設手段3として採用することができる。このカバリング装置は、図3に示すように、線材が軸心に巻かれたスプール31と、当該スプール31をその軸心を中心として回転させる駆動装置(図示せず)とを備えている。スプール31の軸心は中空となるように形成されており、この中空部内に芯材Z1が挿入可能となるように構成されている。このカバリング装置の作動について説明すると、まず、スプール31に巻かれた線材(表面部材Z2)を引き出して、線材(表面部材Z2)の先端を芯材Z1の表面に固定する。次いで、駆動装置によってスプール31を回転させつつ、別途設けられる搬送手段(図示せず)により芯材Z1を所定の速度で移動(スプール31の軸心に沿った方向へ移動)させることにより、芯材Z1の外周面上に表面部材Z2である線材が螺旋状に巻回されて、図2に示すように芯材Z1の外周面が線材からなる表面部材Z2で被覆されることとなる。なお、搬送手段による芯材Z1の搬送速度(移動速度)や、スプール31の回転数を適宜調整することにより、芯材Z1の外周面に巻回される線材からなる表面部材Z2の粗密(芯材Z1単位長さ当たりの線材の巻回数)を調整することが可能となる。

加熱手段4は、外周面に表面部材Z2が配設された芯材Z1を加熱する装置である。この加熱手段4の作用により加熱された芯材Z1の熱によって、表面部材Z2と芯材Z1との対向領域Z3a,Z3bの少なくともいずれか一方が溶融し、表面部材Z2を芯材Z1に融着させることが可能となる。

本実施形態においては、加熱手段4として電磁誘導加熱装置を採用している。電磁誘導加熱装置とは、電磁調理器(IHクッキングヒーター)や高周波溶接等に利用されている加熱装置の一種であり、コイルに交流電流を流すことにより磁界(磁束密度)の変化を生じさせ、その磁界内に置いた導電性物質に誘導電流(渦電流)を発生させて、その抵抗により導電性物質自体を発熱させる原理を利用した加熱装置である。電磁誘導加熱装置を加熱手段4として使用する場合、複合部材Zを構成する芯材Z1は、導電性材料から形成する。また、表面部材Z2は、芯材Z1よりも磁性が低い材料により形成する。芯材Z1よりも磁性が低い材料とは、芯材Z1よりも磁性が弱い材料の他、磁性が無い材料を含む概念である。この表面部材Z2は、電気を通しやすい材料によって形成してもよく、あるいは、電気を通さない材料によって形成してもよい。なお、芯材Z1を単一の材料から構成するのではなく、複数の材料から構成する場合(2種類の線材状の金属部材を撚ることにより構成する場合や、線材状の金属部材及び線材状の樹脂部材を撚ることにより構成する場合等)には、少なくとも一種類の材料が電気を通しやすい材料となるように構成する。

このように、芯材Z1を導電性材料から構成し、表面部材Z2を芯材Z1よりも磁性の低い材料により構成することにより、電磁誘導加熱装置による電磁誘導加熱によって、表面部材Z2よりも芯材Z1の方の発熱量が大きくなり、表面部材Z2の温度よりも芯材Z1の温度の方が高くなる。これにより、表面部材Z2と芯材Z1との対向領域Z3a,Z3bの少なくともいずれか一方(表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3a、又は、芯材Z1における表面部材Z2との対向領域Z3b、或いは、その両方)を溶融させることが可能となる。例えば、表面部材Z2の融点が芯材Z1の融点よりも低い場合には、芯材Z1が発した熱が表面部材Z2に伝わって、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域(接触領域)Z3aが溶融することとなる。また、電磁誘導加熱された芯材Z1に生じる誘導電流の密度は、芯材Z1の中心からその表面に近いほど高くなることから、芯材Z1の内部に比べてその表面の方が早く加熱(集中して加熱)されることとなる。したがって、芯材Z1の融点が表面部材Z2の融点よりも低い場合には、集中して加熱される芯材Z1の表面(芯材Z1における表面部材Z2との対向領域(接触領域)Z3bが)が溶融することとなる。ここで、電磁誘導加熱装置に流れる電流(コイルに流れる交流電流)の周波数を高く設定することにより、芯材Z1において発熱する部位をその表面に集めることができ、逆に、電流の周波数を低く設定することにより芯材Z1の内部も均一に発熱させることができるため、電磁誘導加熱装置に流れる電流の周波数を適宜変更できるように、電磁誘導加熱装置を構成することが好ましい。

電磁誘導加熱装置としては、例えば、図4に示すように、中空筒状型の形状のものを好適に使用することができる。中空筒状型電磁誘導加熱装置の中央部における空間部41に、外周面上に表面部材Z2が配設された芯材Z1を配置して電磁誘導加熱を行う。所定時間の電磁誘導加熱が終了した後、中空筒状型電磁誘導加熱装置の中央部における空間部41から、外周面上に表面部材Z2が配設された芯材Z1を取り出す、或いは、電磁誘導加熱装置を停止させることにより、表面部材Z2や芯材Z1の温度が低下し、溶解していた領域が固化して、表面部材Z2と芯材Z1とが互いに固着される。

上記実施形態に係る複合部材Zの製造装置1は、表面部材配設手段3によって導電性材料からなる芯材Z1の外周面に芯材Z1よりも磁性が低い表面部材Z2を配設した後、表面部材Z2の外側から芯材Z1を電磁誘導加熱して、加熱された芯材Z1の熱によって表面部材Z2と芯材Z1との対向領域Z3a,Z3bの少なくともいずれか一方を溶融させて、表面部材Z2を芯材Z1に融着させる加熱手段4とを備えるように構成しているため、芯材Z1の表面に配設された表面部材Z2の外表面の形状を熱溶解によって損なうこと無く当該表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に確実に融着固定させることが可能となる。従って、複合部材Zの外側に配設される部材(芯材Z1の外周面上に固着される表面部材Z2)の材料的特性と、複合部材Zの外表面の形状的特性とを組み合わせた機能を複合部材Zに付与することが可能となる。例えば、上記製造装置1により、長尺状の金属製線材からなる芯材Z1の外周面に、表面部材Z2として耐食性のある材料からなる線材を螺旋状に巻回して製造した複合部材Zは、表面部材Z2の材料的特性である耐食性に加えて、複合部材Zの外表面の形状的特性から得られる優れた可撓性機能を有するものとなる。つまり、単に芯材Z1の外周面に耐食性コーティングを施して製造した複合部材Zよりも、より一層可撓性に優れたものとなる。また、このようにして得られる複合部材Zの外表面に潤滑油を浸潤させるような場合には、複合部材Zの外表面の凹部Z4(図2参照)に潤滑油が入り込むことになるため、この複合部材Zは、潤滑油を長期間保持することができるという機能を発揮することができる。

また、芯材Z1の外周面上に表面部材Z2を配置する段階において、液体状に生成することが困難な材料を表面部材Z2として選択する場合であっても、線材状或いは粒子状等の形態に表面部材Z2を形成することにより、このような表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に融着させて固着することが可能となる。

また、上記実施形態においては、電磁誘導加熱装置(加熱手段4)として中空筒状型のもの(断面リング状の形態のもの)を採用し、表面部材Z2が外周面上に配設された芯材Z1を中央部の空間部41に配置して電磁誘導加熱を行うように構成している。つまり、芯材Z1の外周面上に配設された表面部材Z2の周囲を取り囲んで電磁誘導加熱するように構成しているため、芯材Z1の外周面全域から均一に熱が発せられ、熱溶解させようとする領域(表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3a、又は、芯材Z1における表面部材Z2との対向領域Z3b、或いは、その両方)の全体を均一に熱溶解させることが可能となる。この結果、芯材Z1の外周面に配設される表面部材Z2と芯材Z1とをムラなく均一な固着力でもって結合することができる。

また、このような複合部材Zの製造装置1において、表面部材Z2の融点が、芯材Z1の融点よりも低くなるように、表面部材Z2及び芯材Z1の材料を選定することにより、電磁誘導加熱される芯材Z1の熱によって、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域(接触領域)Z3aを芯材Z1よりも先に溶融させることが可能となるため、芯材Z1の形状を熱溶解によって損なうことなく、表面部材Z2のみを確実に溶解させて、当該表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に融着固定させることが可能となる。

また、このような複合部材Zの製造装置1において、例えば、図5に示すように、中心部分Z11と表面部分Z12とが異なる材料となるように芯材Z1を形成し、芯材Z1における表面部材Z2との対向領域Z3bに相当する芯材Z1の表面部分Z12が、加熱によって熱溶解するように構成してもよい。このような構成であっても、芯材Z1の表面部分Z12が、熱溶解した後、冷却して固化する結果、表面部材Z2と芯材Z1とを強固に融着(固着)させることができる。

具体的には、例えば、芯材Z1の中心部分Z11を鉄やステンレス等の比較的融点が高い材料により形成すると共に、芯材Z1の表面部分Z12を中心部分Z11よりも融点の低い亜鉛や錫等の金属材料により形成する。このような芯材Z1を、加熱手段4において加熱した場合に、中心部分Z11よりも融点の低い表面部分Z12が先に熱溶解することとなり、この表面部分Z12の材料が冷却されて固化することによって、芯材Z1の外周面に配設されている表面部材Z2(芯材Z1の表面部分Z12上に配設された表面部材Z2)が、芯材Z1と固着することとなる。芯材Z1をこのような構成とする場合、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3aが熱溶解するように表面部材Z2の材料を選定してもよく、或いは、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3aが熱溶解しないような表面部材Z2を選定してもよく、表面部材Z2の材料選択の幅が広がることとなる。

また、図5に示す芯材Z1は、中心部分Z11と表面部分Z12とを備える2層構造を有するものであるが、例えば、図6に示すように、中心部分Z11が、それぞれ異なる材料により構成される複数の層Z11a,Z11b,Z11cを備えるように芯材Z1を構成してもよい。また、芯材Z1としては、表面部分Z12の材料が中心部分Z11よりも融点が低くなるように構成すると共に、芯材Z1全体として導電性を備えるように構成すればよいため、中心部分Z11を電気を通しにくい材料により構成し、表面部分Z12を導電性材料により構成してもよく、或いは、中心部分Z11を導電性材料により構成し、表面部分Z12を電気を通しにくい材料により構成してもよい。

以上、本発明に係る複合部材Zを製造する製造装置1について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、電磁誘導加熱装置(加熱手段4)として、図4に示す中空筒状型の形状のものを採用しているが、このような構成に特に限定されず、表面部材Z2が配設された芯材Z1に対して磁界(磁束密度)を変化させて芯材Z1に渦電流を発生させることができる構成であれば、どのような形状のものであってもよい。例えば、電磁調理器(IHクッキングヒーター)に用いられるような、プレート状のものを電磁誘導加熱装置として採用し、当該プレート状電磁誘導加熱装置の近傍に表面部材Z2が配設された芯材Z1を配置することにより芯材Z1を加熱するように構成してもよい。

また、上記実施形態においては、加熱手段4として電磁誘導加熱装置を採用しているが、この電磁誘導加熱装置にかえて、例えば、芯材Z1の所定の2箇所に電極を接続し、当該電極間に電流を流すことにより芯材Z1がジュール熱を発生するように構成してもよい。

また、上記実施形態における複合部材の製造装置1は、芯材Z1の外周面に表面部材Z2を配設した後、芯材Z1を加熱手段4により加熱することにより、表面部材Z2を芯材Z1の外周面に融着させる構成を有するものであるが、例えば、予め芯材Z1を加熱手段4により加熱した後、表面部材配設手段3が、加熱された芯材Z1の外周面に表面部材Z2を配設するように製造装置1を構成してもよい。このような構成を採用する場合、加熱手段4としては、上述の電磁誘導加熱装置や、芯材の所定の2箇所に接続した電極間に電流を流すことにより芯材を加熱する装置の他、熱風を芯材に当てて当該芯材を加熱する熱風発生器や、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置等も利用することができ、製造装置1の汎用性を高めることができる。このような構成を採用した場合でも、表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に配設した際に、予め加熱された芯材Z1の熱によって、芯材Z1の外周面に配設される表面部材Z2と芯材Z1との対向領域Z3a,Z3bの少なくともいずれか一方(表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3a、又は、芯材Z1における表面部材Z2との対向領域Z3b、或いは、その両方)を熱溶解させることが可能であり、表面部材Z2を芯材Z1の外周面に固着させた複合部材を製造することができる。

また、上記実施形態において、図7の概略構成ブロック図に示すように、接着剤層形成手段5を備えるようにして製造装置1を構成してもよい。この接着剤層形成手段5は、芯材Z1の外周面に表面部材Z2が配設される前段階において、予め芯材Z1の融点よりも低い融点を有する接着剤を芯材Z1の外周面に塗布するための手段であり、塗布装置51と乾燥装置52とを備えている。塗布装置51は、芯材Z1の融点よりも低い融点を有する接着剤を芯材Z1の外周面に塗布する装置である。芯材Z1の外周面に接着剤を塗布する具体的方法としては、スプレーガン等により霧化した接着剤を芯材Z1の外周面に吹き付けることにより芯材Z1の外周面上に接着剤層を形成する方法(スプレー方式)や、接着剤が貯留される貯留槽内に芯材Z1を浸漬させて芯材Z1の外周面(外表面)に接着剤層を形成する方法(ディッピング方式)等を採用することができる。なお、接着剤層形成手段5において用いられる接着剤としては、その接着力により、芯材Z1の外周面の所望位置に表面部材Z2を配設した状態を維持できれば特に限定されず、例えば、接着剤の融点が、表面部材Z2の融点と略同等以下のものを採用してもよく、或いは、接着剤の融点が、表面部材Z2の融点以上のものを採用してもよい。ここで、接着剤として、その融点が表面部材Z2の融点よりも大きいものを採用する場合、加熱された芯材Z1の熱を、効率よく表面部材Z2に伝えることができる熱伝導性の高いものを選定することが好ましい。また、接着剤としては、種々の機能を有するものを選択することができる。例えば、接着剤として断熱性に富むものを採用した場合には、芯材が発揮する機能及び表面部材が発揮する機能の他、接着剤が発揮する断熱機能を更に有する複合部材を製造することが可能となる。また、接着剤としては、熱可塑性樹脂を主成分としたホットメルト接着剤を使用することもできる。このホットメルト接着剤を使用する場合には、当該ホットメルト接着剤を加熱溶融させた後、芯材Z1の外周面に塗布する。

乾燥装置52は、芯材Z1の外周面に塗布された接着剤を乾燥させる装置であり、例えば、送風機により、接着剤が塗布された芯材Z1に対して所定風量の風を当てて接着剤の乾燥を行うように構成される。なお、送風機が発熱体を備えるように構成し、接着剤が塗布された芯材Z1に対して温風を吹き付けるように構成してもよい。なお、自然乾燥によって接着剤を乾燥させる場合には、この乾燥装置52を設けることなく本発明に係る製造装置1を構成することができる。

このように、製造装置1が塗布装置51を備えるように構成した場合、表面部材Z2の外側から芯材Z1を電磁誘導加熱することにより、例えば、表面部材Z2として、芯材Z1の融点よりも低い融点を有する部材を用いると共に、接着剤層形成手段5において用いられる接着剤として、接着剤の融点が、表面部材Z2の融点と略同等以下のものを採用した場合、芯材Z1を電磁誘導加熱することにより、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3a及び表面部材Z2と芯材Z1との間に介在する接着剤を溶解させることができ、表面部材Z2をより一層強固に芯材Z1に固着することができる。具体的に説明すると、表面部材Z2として、芯材Z1の外周面に螺旋状に巻回して配置される線材や、或いは、吹き付けることにより芯材Z1の外周面に配置される粒状或いは繊維状の部材を使用する場合には、溶解した接着剤が、隣接して配置される線材や粒状の部材の隙間に進入することになるため、確実に表面部材Z2を芯材Z1に固着させることが可能となる。また、表面部材Z2として、芯材Z1の融点よりも高い融点を有する部材を用いた場合には、芯材Z1を加熱することにより表面部材Z2と芯材Z1との間に介在する接着剤が溶解し、この溶解した接着剤が、隣接して配置される表面部材Z2の隙間に進入して、表面部材Z2と芯材Z1とを確実に固着させることが可能となる。また、接着剤として、表面部材Z2の融点よりも高い融点を有するものを用いた場合であっても、芯材Z1の熱が、接着剤層を介して表面部材Z2に伝わることにより、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域13aを溶解させることが可能であり、この溶解した対向領域13aが冷却されることにより、接着剤層を介して、表面部材Z2を芯材Z1上に固着させることができる。

また、接着剤層形成手段5が、芯材Z1の外周面に塗布された接着剤を乾燥させる乾燥装置52を備えるように構成しているため、接着剤の接着力が失われた状態で表面部材Z2を芯材Z1の外周面に配設することが可能となる。接着剤の接着力が存在する状況下、つまり、接着剤が乾燥していない状態でも表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に配設してもよいが、接着剤が乾燥しておらず、接着剤が液体状或いは半液体状の状態で表面部材Z2を芯材Z1の外周面に配設する場合、配設された表面部材Z2の周りから液体状(或いは半液体状)の接着剤が浸み出て、最終的に得られる複合部材Zの外表面に接着剤が残ってしまうおそれがある。或いは、液体状(或いは半液体状)の接着剤が芯材Z1の外周面上に沿って流動し、接着剤が芯材Z1の外周面上に均一の厚さで分布しなくなるおそれがある。このような場合に芯材Z1の加熱を行うと、例えば、接着剤及び/又は表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3aを溶融させて表面部材Z2を芯材Z1に固着する際に、接着剤が薄く芯材Z1表面に塗布されている部分において表面部材Z2と芯材Z1との固着力が低下する恐れがある。これに対し、表面部材Z2を芯材Z1の外周面に配設する前段階において、芯材Z1の外周面に塗布した接着剤を乾燥させ、その後に表面部材Z2を芯材Z1の外周面に配設する場合には、上述したような接着剤の浸出や接着剤の厚み分布が不均一になることを効果的に防止することができ、最終的に得られる複合部材Zの外表面に接着剤が残留することや、表面部材Z2と芯材Z1との固着力が低下する部分が発生することを確実に防止することができる。

また、上記実施形態においては、表面部材配設手段3としてカバリング装置を採用する構成について説明したが、例えば、芯材Z1を回転させることにより、線材状或いは帯状の表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に螺旋状に巻回して、芯材Z1の外周面を表面部材Z2で被覆する芯材巻き付け装置を表面部材配設手段3として採用してもよい。なお、帯状の表面部材Z2を芯材Z1上に巻回して配設する場合、巻回するピッチについては、表面部材Z2が重なってもよく、或いは重ならなくてもよい。ここで、芯材Z1の径が比較的太い棒状の形状を有する場合、このように芯材Z1を回転させながら帯状等の表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に螺旋状に巻回する芯材巻き付け装置を採用することにより、効率よく表面部材Z2を芯材Z1上に配設することができる。また、芯材Z1の外周面に、粒状或いは繊維状の表面部材Z2を吹き付けることにより、芯材Z1の外周面を表面部材Z2で被覆する吹き付け装置を表面部材配設手段3として採用することができる。このような吹き付け装置を用いて、粒状或いは繊維状の表面部材Z2を芯材Z1の外周面上に配設する場合、例えば、芯材Z1の外表面がプラスの電荷を有するように帯電させると共に、粒状或いは繊維状の表面部材Z2がマイナスの電荷を有するように帯電させて、当該粒状或いは繊維状の表面部材Z2を芯材Z1の外周面に向けて吹き付けて付着させるように構成することが好ましい。或いは、上記接着剤層形成手段5における塗布装置51のみを備えるようにして(乾燥装置52を省略するようにして)複合部材Zの製造装置1を構成し、乾燥していない接着剤層に向けて粒状或いは繊維状の表面部材Z2を吹き付けるように構成することが好ましい。

次に、本製造装置1の実施例について図8を用いて説明する。図8に示す複合部材Zの製造装置1は、連続的に線材状の複合部材Zを製造する装置であり、巻出リール6、接着剤層形成手段5、表面部材配設手段3、加熱手段4及び巻取リール7を備えている。なお、この製造装置1においては、複合部材Zを構成する芯材Z1に対して脱脂処理等を行う前処理手段2を省略している。ここで、複合部材Zを構成する芯材Z1は、線材状の形状を有しており、導電性材料により形成されている。表面部材Z2も、線材状の形状を有しており、芯材Z1よりも磁性が低く、その融点が芯材Z1の融点よりも低い材料から形成されている。また、接着剤層形成手段5と表面部材配設手段3との間には、第1フィードロール装置81及び第1速度・張力調整装置82が配置されており、加熱手段4と巻取リール7との間には、第2フィードロール装置83及び第2速度・張力調整装置84が配置されている。第1及び第2フィードロール装置81,83は、芯材Z1を巻出リール6から連続的に引き出し、芯材Z1を、接着剤層形成手段5、表面部材配設手段3、加熱手段4に導くための移送手段である。第1及び第2速度・張力調整装置82,84は、線材状の芯材Z1に対して一定の張力を加えるように制御するために設けられる装置である。具体的には、第1速度・張力調整装置82が、表面部材配設手段3及び加熱手段4における処理が完了するまでの芯材Z1の張力が一定となるように制御しており、第2速度・張力調整装置84が、巻取リール7に巻き取られる張力が一定になるように制御している。また、第1速度・張力調整装置82及び第2速度・張力調整装置84は、それぞれの前後に配置される各装置において、芯材Z1又は複合部材Zの送り速度の差が発生したときにその速度差を調整し、芯材Z1又は複合部材Zが過不足なく供給できるように制御している。

巻出リール6には、線材状の芯材Z1が巻回されており、そのリール軸61を中心に回転して芯材Z1を引き出し可能に構成されている。引き出された芯材Z1は、第1フィードロール装置81、第1速度・張力調整装置82、第2フィードロール装置83及び第2速度・張力調整装置84の作用により、接着剤層形成手段5、表面部材配設手段3及び加熱手段4の順に導かれて巻取リール7により巻き取られる。なお、巻取リール7のリール軸71には駆動装置(図示せず)が接続しており、巻取リール7がリール軸71周りに回転できるように構成されている。

接着剤層形成手段5は、塗布装置51及び乾燥装置52を備えている。塗布装置51は、霧化した接着剤を芯材Z1の外周面に吹き付けることにより芯材Z1の外周面上に接着剤層を形成することができるスプレーガンにより構成している。なお、このようなスプレー方式によって接着剤層を形成する方法の他、例えば、内部に液状の接着剤を貯留する容器を塗布装置51として構成し、この容器内を芯材Z1が通過できるように構成してもよい。このような構成の場合、容器の側壁部や底部に、芯材Z1が挿通できる大きさの穴を形成し、この穴を介して、接着剤が貯留される容器内に芯材Z1を通過させて、芯材Z1の外周面に接着剤を塗布できるように構成する。

乾燥装置52は、左右の両端部が閉塞される筒状ケース52aと、この筒状ケース52a内に温風を供給可能な送風機52bとを備えている。筒状ケース52aの左右閉塞壁52c,52dには、芯材Z1が通過可能な大きさの穴が形成されており、芯材Z1が筒状ケース52a内を通過できるように構成されている。

表面部材配設手段3としては、線材からなる表面部材Z2を芯材Z1の外周面に螺旋状に巻回することにより、芯材Z1の外周面を表面部材Z2で被覆する上述のカバリング装置(図3)を採用している。芯材Z1は、カバリング装置が備えるスプール31の中空軸心内を挿通するように配置されている。

加熱手段4としては、図9に示すような電磁誘導加熱装置を採用している。この電磁誘導加熱装置は、芯材Z1に渦電流を発生させるための電磁誘導コイル45と、電磁誘導コイル45を内部に収納するケーシング46と、ケーシング46内にガスを供給するガス供給装置47と、温度監視用の温度センサ48とを備えている。ケーシング46は、左右の両端が閉塞された二重円管状に構成されており、内側の円管46aの周りを巻回するように電磁誘導コイル45が配置されている。また、内側の円管46aの内側領域(空間部41)に、表面部材Z2が外周面に配設された芯材Z1が挿通するように構成されている。ケーシング46の内側の円管46aは、例えば、耐熱エポキシガラス等の材料から形成されている。ガス供給装置47は、交流電流を流すことにより発熱する電磁誘導コイル45を冷却するために設けられるものである。なお、電磁誘導コイル45としては、電線により構成するタイプの他に、銅パイプにより構成するタイプもあり、このような銅パイプを用いて電磁誘導コイル45を構成する場合には、銅パイプ内に冷却水が流通できるように構成する。

このような構成の複合部材Zの製造装置1の作動について説明すると、まず、巻出リール6から芯材Z1を引き出し、塗布装置51を介して、乾燥装置52における筒状ケース52a内を芯材Z1が通過するように、筒状ケース52aの左右閉塞壁52c,52dに形成された穴に芯材Z1を通す。更に、カバリング装置におけるスプール31の中空軸心内を通過させ、加熱手段4におけるケーシング46の内側円管の内側領域(空間部41)を通過させる。次いで、芯材Z1の引き出し先端を巻取リール7に接続する。

その後、カバリング装置におけるスプール31に巻回されている線材(表面部材Z2)を引き出して、線材(表面部材Z2)の先端を芯材Z1表面に固定する。

上記準備が完了した後、乾燥装置52における送風機、カバリング装置、加熱手段4、巻取リール7、第1フィードロール装置81、第1速度・張力調整装置82、第2フィードロール装置83、第2速度・張力調整装置84を駆動する。第1フィードロール装置81、第1速度・張力調整装置82、第2フィードロール装置83、第2速度・張力調整装置84の作用により引き出された芯材Z1は、塗布装置51に導かれて芯材Z1の外周面に接着剤が塗布され、その後、乾燥装置52において塗布された接着剤を乾燥する。そして、接着剤が塗布された芯材Z1に対して線材(表面部材Z2)が巻回されて芯材Z1の外周面に表面部材Z2が配設(被覆)される。次いで、電磁誘導加熱装置により、外周面に表面部材Z2が配設された芯材Z1が加熱され、当該芯材Z1の熱によって、芯材Z1の外周面に配設された表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3a及び接着剤が熱溶解する。その後、電磁誘導加熱装置の外部に導かれることにより、表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3aや芯材Z1の温度が低下し、溶解していた表面部材Z2における芯材Z1との対向領域Z3aや接着剤が固化して表面部材Z2と芯材Z1とが固着され、複合部材Zが完成する。完成した複合部材Zは、巻取リール7に巻き取られることとなる。なお、図8に示す本製造装置1の実施例においては、接着剤層形成手段5、表面部材配設手段3、加熱手段4等を水平方向に並べて配置し、芯材Z1を水平方向に移送しつつ表面部材Z2を芯材Z1の表面に固着するように構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、接着剤層形成手段5、表面部材配設手段3、加熱手段4等を鉛直方向に並べて配置し、芯材Z1を鉛直方向に移送しつつ表面部材Z2を芯材Z1の表面に固着するように構成してもよい。

1 複合部材の製造装置 2 前処理手段 3 表面部材配設手段(カバリング装置) 31 スプール 4 加熱手段 41 空間部 45 電磁誘導コイル 46 ケーシング 47 ガス供給装置 48 温度センサ 5 接着剤層形成手段 51 塗布装置 52 乾燥装置 81 第1フィードロール装置 82 第1速度・張力調整装置 83 第2フィードロール装置 84 第2速度・張力調整装置 Z 複合部材 Z1 芯材 Z11 中心部分 Z12 表面部分 Z2 表面部材 Z3a 表面部材における芯材との対向領域 Z3b 芯材における表面部材との対向領域 Z4 凹部

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