伸びフランジ成形部品の製造方法

申请号 JP2017505584 申请日 2016-08-24 公开(公告)号 JP6156608B1 公开(公告)日 2017-07-05
申请人 JFEスチール株式会社; 发明人 新宮 豊久; 佐藤 健太郎; 岸上 靖廣; 山▲崎▼ 雄司;
摘要 伸びフランジ成形を伴って製造される伸びフランジ成形部品を、伸びフランジワレを抑制しつつ低い成形荷重で製造する。第1凹状外周縁部(3a)を有する天板部(3)と縦壁部(5)に連続して天板部(3)側に屈曲し第2凹状外周縁部(7a)を有するフランジ部(7)を備える伸びフランジ成形部品を製造する製造方法である。ブランク材に対しフランジ部(7)となる 位置 の外側に第2凹状外周縁部(7a)に沿って稜線(9)が延び且つ板厚方向に屈曲した屈曲形状部(8)を形成する第1工程と、第1工程後に、天板部(3)となる位置を固定して縦壁部(5)と上記フランジ部(7)を曲げ成形する第2工程と、フランジ部(7)の外側部位をトリミングする第3工程と、を備える。
权利要求

外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有する天板部と、その天板部の上記凹状外周縁部に連続する縦壁部と、その縦壁部に連続して上記天板部側に屈曲するフランジ部とを備える伸びフランジ成形部品を製造する伸びフランジ成形部品の製造方法であって、 ブランク材に対し、上記フランジ部となる位置よりも外側に上記フランジ部の外周縁部となる位置に沿って稜線が延在し且つ板厚方向に屈曲した屈曲形状部を形成する第1工程と、 上記第1工程後に、上記天板部となる位置を固定して上記縦壁部と上記フランジ部を曲げ成形する第2工程と、 上記第2工程後に、上記フランジ部の外側の部位をトリミングする第3工程と、 を備えることを特徴とする伸びフランジ成形部品の製造方法。上記第2工程は、上記天板部の位置をパンチとパッドで挟持した状態で、上記パンチに沿ってダイを相対移動することで、上記凹状外周縁部、上記縦壁部、及び上記フランジ部の順番に連続して曲げ成形することを特徴とする請求項1に記載した伸びフランジ成形部品の製造方法。上記第2工程は、上記天板部となる位置をパンチとパッドで挟持して固定し、ダイで上記縦壁部と上記フランジ部を曲げ成形し、且つ、ブランク材を挟んで上記ダイと対向する面を有する第2のパンチを備え、 上記ダイ及び第2のパンチの上記ブランク材と対向する面であって、少なくとも上記屈曲形状部の屈曲による当該屈曲形状部の突出側の面には、上記屈曲形状部との接触を回避可能な凹状の逃がし部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した伸びフランジ成形部品の製造方法。

说明书全文

本発明は、天板部に外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有することで、フランジ部が伸びフランジ成形を伴って製造される伸びフランジ成形部品を製造する技術に関する。そのような伸びフランジ成形部品としては、例えば自動車の車体骨格部品として用いられるプレス成形部品であって、平面視でL字形状部又はT字形状部を有する部品が例示できる。本発明は、特に980MPa以上の超ハイテン材を素材としてプレス成形で製造する場合に好適な技術である。

自動車の車体骨格部品であるフロントピラーリンフォースメントやセンターピラーリンフォースメントなどL字形状部あるいはT字形状部を有する部品(図6及び図7参照)を、平板状の金属板(ブランク材)からプレス成形によって製造する場合、一般に絞り成形や曲げ成形が採用される。 絞り成形は、通常、パンチ、ダイ、およびブランクホルダーからなる金型を用いて行われ、金属板の周囲をダイとブランクホルダーで押さえた状態で、パンチとダイの間の距離を近づけて金属板に絞り加工を施す方法である。また、曲げ成形は、通常、パンチ、パッドおよびダイからなる金型を用いて行われ、金属板をパンチとパッドで挟んだ状態で、ダイを相対移動させることによって曲げ加工を施す方法である。

急激に曲がる形状となっているL字形状部あるいはT字形状部等の湾曲部を、上記のような絞り成形だけで成形すると、縦壁部が高くなるほどワレやシワなどが発生しやすい。特に近年、自動車車体の安全性向上および軽量化を達成するために、自動車車体の成形素材となる金属板の強度が益々高くなる傾向にある。このような高強度の金属板は、従来用いられていた軟質鋼板ほどの延性を期待できないため、プレス成形時のワレおよびシワへの対策が重要となっている。

上記のプレス成形によって特にワレが発生しやすい部位は、湾曲部の伸びフランジ成形部である。この部位では、絞り成形の際に、材料端面が周縁方向に伸ばされながら材料が流入する変形状態となる。 これに対し、特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1に記載の技術は、L字形状を有する部品をプレス成形するに際し、金属素材の一部を、ダイ金型における天板部に対応する部位上でスライドさせながら縦壁部及びフランジ部を成形するというものである。 そして、この特許文献1には、L字形状部のL字下側部に対応する部位が縦壁部に向けて引き込まれるため、フランジ部において過度な引張りが発生するのが軽減され、ワレの発生を防止できると記載されている(特許文献1の段落番号0009を参照)。

特開2012−245536号公報

しかしながら、特許文献1では、天板部の一部に相当する部位の金属素材をスライドさせるため、金属素材の端面に応集中する箇所ができる。この結果、特許文献1では、湾曲部の伸びフランジワレに加えて端面のワレが発生しやすい。このため、特許文献1の方法は、強度が高い鋼板への適用は難しい。 また、絞り成形は成形荷重が高くなるため、980MPa以上の超ハイテン材の素材を絞り成形だけで製造しようとする場合、絞り成形ではプレス機の荷重不足が問題となるおそれがある。 本発明は、かかる課題に着目してなされたものであり、伸びフランジ成形を伴って製造される伸びフランジ成形部品を、伸びフランジワレを抑制しつつ低い成形荷重で製造できる伸びフランジ成形部品の製造方法を目的としている。

課題を解決するために、本発明の一態様の伸びフランジ成形部品の製造方法は、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有する天板部と、その天板部の上記凹状外周縁部に連続する縦壁部と、その縦壁部に連続して上記天板部側に屈曲するフランジ部とを備える伸びフランジ成形部品を製造する伸びフランジ成形部品の製造方法であって、ブランク材に対し、上記フランジ部となる位置よりも外側に上記フランジ部の外周縁部となる位置に沿って稜線が延在し且つ板厚方向に屈曲した屈曲形状部を形成する第1工程と、上記第1工程後に、上記天板部となる位置を固定して上記縦壁部と上記フランジ部を曲げ成形する第2工程と、上記第2工程後に、上記フランジ部の外側の部位をトリミングする第3工程と、を備えることを特徴とする。

本発明の態様によれば、仮に強度レベル980MPa級以上の超ハイテン材を使用したとしても、第1工程で、伸びフランジ割れが発生しやすいフランジ部の外周縁部を囲むように屈曲形状部を予め設けておくことで、第2工程での曲げ成形の際における伸びフランジ割れを抑制出来る。 更に、本発明の態様では、縦壁部を絞り成形で加工せずに、曲げ成形で成形するため、低い成形荷重で製造可能となる。 以上のことから、本発明の態様によれば、仮に強度レベル980MPa級以上の超ハイテン材から伸びフランジ成形を伴って伸びフランジ成形部品を製造する場合であっても、伸びフランジワレを抑制しつつ低い成形荷重で製造することが可能となる。 ここで、上記フランジ部は、天板部の第1凹状外周縁部に縦壁を介して連続し、縦壁部に対し天板部側に屈曲していることから、プレス成形による製造時に伸びフランジ成形を伴う。

また、成形材料となるプレス成形前の素板(ブランク材)は、通常、打ち抜き加工やレーザー加工で形成されるため、材料端面にはバリや微小なキズなどが残留しており、変形を加えたときに局所的な応力集中が発生しやすい状態になっている。そのため、材料端面には成形途中で伸びフランジワレと称する亀裂が発生し、超ハイテン材(強度レベルが980MPa級以上の高強度鋼板)の場合、その亀裂が急速に伝播して大きなワレが発生しやすい。 伸びフランジワレ対策として、端面を機械加工などにより均一に仕上げて、応力集中を防ぐ方法もあるが、量産品をプレス成形する場合において、一品ずつ端面の機械加工を行う必要がある。 このため、本発明の態様では、第2工程後にフランジ部の外側部位をトリミングして、フランジ部の外周縁を成形し、それに併せて、上記伸びフランジ割れを抑制するために設けた屈曲形状部を除去している。

本発明に基づく実施形態に係る伸びフランジ成形部品の例を説明する斜視図である。

本発明に基づく実施形態に係る屈曲形状部付きブランク材を説明する斜視図である。

本発明に基づく実施形態に係る屈曲形状部の例を示す模式図である。

本発明に基づく実施形態に係る第2工程で用いる金型の一部断面を含む斜視図である。

本発明に基づく実施形態に係る第2工程の説明図である。

Aピラーを示す図である。

センターピラーを示す図である。

次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。 本実施形態では、980MPa級以上の超ハイテン材をプレス成形前の素板(ブランク材)として用いて、伸びフランジ成形部となる部位を有する伸びフランジ成形部品を製造する場合を例に挙げて説明する。本発明の製造方法は、強度が980MPa以下の金属板からなる素材であっても適用可能である。 なお、伸びフランジ成形部となる部位を有するフランジ成形部品としては、例えばAピラー(図6参照)やセンターピラー(図7参照)が挙げられる。 また、以下においては、伸びフランジ成形部品における伸びフランジ成形部となる部位を含む部分に着目して説明するものとし、各図においては当該部分のみを図示している。そして、当該部分を「伸びフランジ成形部1」という。なお、金型においても当該部位を成形する部位のみを図示している。他の部位も同時に成形しても良いことは勿論である。

本実施形態の製造方法で製造される伸びフランジ成形部1は、図1に示すように、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部3aを有する天板部3と、天板部3における凹状外周縁部3aに沿って成形された縦壁部5と、縦壁部5に連続して天板部3側に屈曲し且つ外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部7aを有するフランジ部7を有している。そして、フランジ部7がプレス成形の際に伸びフランジ成形となる部位である。なお、フランジ部7の外周縁の形状は、凹むように湾曲した形状である必要はないが、通常、凹状外周縁部3aに沿った形状に加工される。 ここで、本実施形態では、天板部3の凹状外周縁部3aを第1凹状外周縁部3aと、フランジ部7の凹状外周縁部7aを第2凹状外周縁部7aとも呼ぶ。この第1凹状外周縁部3aの輪郭形状と第2凹状外周縁部7aの輪郭形状とは、通常、一致若しくは似た輪郭形状となっている。勿論、第1凹状外周縁部3aの輪郭形状の湾曲の曲率形状と第2凹状外周縁部7aの輪郭形状の湾曲の各曲率形状は異なっていても良い。 ここで、湾曲のプロフィールは、一定の曲率である必要はなく、またその延在方向に沿って曲率が急峻する曲率急峻部が無いことが好ましい。

本実施形態の伸びフランジ成形部品の製造方法は、第1工程、第2工程、及び第3工程の3工程を備え、この工程順に成形の処理が実行される。 第1工程では、プレス成形前の平板状の素板(ブランク材)に対し、フランジ部7となる位置の外周部位に屈曲形状部8を付与する。すなわち第1の工程は、図2に示すような屈曲形状部付きブランク材を製造する工程である。 図2では、屈曲形状部8より外方の素材部分を省略し、また、第2凹状外周縁部7aとなる位置を一点鎖線で図示している。他の図においても、見やすくするために適宜、屈曲形状部8より外方の素材部分を省略している。 第2工程では、天板部3の第1凹状外周縁部3aを形成すると共にその第1凹状外周縁部3aに沿って縦壁部5とフランジ部7を曲げ成形する。すなわち第2工程は、屈曲形状部付きブランク材を中間部品とする工程である。 第3工程では、中間部品から屈曲形状部8をトリミングする。すなわち、第3工程は、フランジ部7の外周縁を成形して、上記の伸びフランジ成形部品とする工程である。

以下、各工程について詳細に説明する。 [第1工程] 第1工程は、プレス成形前の平板状の素板(ブランク材)に対し、図2に示すように、フランジ部7となる位置より外周位置に屈曲形状部8を形成する。その屈曲形状部8は、第2凹状外周縁部7aに沿って稜線9が延在し且つ板厚方向に屈曲した形成となっている。本実施形態の屈曲形状部8は、例えば板厚方向に屈曲したステップ状の段部形状からなる。 屈曲形状部8の形成は、ダイとパンチによるプレス成形で形成しても良いし、他の加工方法によって形成しても良い。 成形する屈曲形状部8のステップの高さ(板厚方向の突出高さ)は3mm以上10mm以下が好ましい。

図2では、第2凹状外周縁部7aに沿って該第2凹状外周縁部7a若しくは第1凹状外周縁部3aと平行若しくは略平行に稜線9が延びるように、屈曲形状部8が形成された場合を例示している。しかし、屈曲形状部8は、第2凹状外周縁部7a若しくは第1凹状外周縁部3aと平行若しくは略平行に稜線9が延在していなくても良い。また、屈曲形状部8は、第2凹状外周縁部7aに沿って断続的に形成されていても良い。また、屈曲形状部8は、第2凹状外周縁部7aの全周に沿って稜線9が延びるように形成されていなくても良い。第1凹状外周縁部3aのうち、湾曲の曲率が大きい、つまり成形解析などで伸びフランジ割れが発生すると予想される箇所及びそれに続く近辺だけに沿って稜線9が延在するように屈曲形状部8を形成しても良い。 屈曲形状部8の形状の他の例を図3に示す。図3では、屈曲形状部8を下側に突出するように屈曲させた場合の例であるが、屈曲形状部8を上方に突出するように板厚方向へ屈曲させても良い。

ここで、第1工程において、屈曲形状部8を形成するのに併せて、天板部3となる位置に対し、図6や図7に示されるような、伸びフランジ成形部品の天板部に付与される補強用その他のための凹凸形状を形成するように、プレス加工を施しても良い。もっとも、天板部3となる位置に形成する凹凸形状は、最終製品の天板部に付与する形状と同一形状でなくても良いが、最終製品の天板部3に付与する形状に近い形状であることが好ましい。また、凹凸形状は、最終製品の天板部3に付与する形状の一部の成形形状だけであっても良い。 このように第1工程で天板部3となる位置に凹凸形状を形成する場合、第2工程の金型で天板部3となる位置を挟持する面に、その凹凸形状に対応する形状を付与しておくと良い。この場合、第1工程で付与した凹凸形状が、第2工程において、屈曲形状部付きブランク材を金型に設置する際における、位置合わせ及び位置ずれ防止の作用を有することになる。

[第2工程] 第2工程は、第1工程で成形した、図2に示すような屈曲形状部8を付与した屈曲形状部付きブランク材を、中間部品に曲げ成形する工程である。 この第2工程では、第1工程で形成した屈曲形状部付きブランク材の天板部3を、パンチ30とパッド31で挟んだ状態で、ダイ32をパンチ30に沿って相対移動させることで、縦壁部5を曲げ成形すると共に、フランジ部7を天板部3側に屈曲するように曲げ成形する。

<第2工程用金型> 第2工程で用いる第2工程用金型について、図4を参照して説明する。図4では、第1凹状外周縁部3a位置が分かるように、第2工程で縦壁部5の一部が成形された状態を示している。 ここで、以下の説明では屈曲形状部8が上側に突出するように屈曲成形されている場合で説明する。 第2工程用金型は、図4に示すように、下型を構成するパンチ30と、上型を構成するダイ32、及び屈曲形状部付きブランク材における天板部3に相当する部位を挟圧するパッド31とを有している。

<パンチ> パンチ30は、天板部挟圧用の立上り部30Aと、パンチ延長部30Bとを有する。パンチ延長部30Bは、立上り部30Aとは別体になっていても良い。天板部挟圧用の立上り部30Aが第1のパンチとなり、パンチ延長部30Bが第2のパンチを構成する。そのパンチ延長部30Bは、立上り部30Aの下端部分に連続してブランク材の少なくともフランジ部7の形成位置に下側から対向可能なフランジ対向面30aを有する。 立上り部30Aの上面は、パッド31と協働して被成形材の天板部3を狭圧する狭圧面になっている。 また、立上り部30Aの側面30bは、第1凹状外周縁部3aと同じ曲率の湾曲面が形成されており、伸びフランジ成形部における縦壁部5を成形する形状になっている。即ち、立上り部30Aの側面の高さは、縦壁部5と同じ高さに設定されている。

<パッド> パッド31は、パンチ30における立上り部30Aの上面に対して離接可能に設けられており、屈曲形状部付きブランク材における天板部3に相当する部位を、パンチ30の立上り部30A上面と協働して挟圧可能となっている。即ち、パッド31は、下面が天板部3の第1凹状外周縁部3aに沿った形状を有して、天板部3における少なくとも第1凹状外周縁部3a側に沿った部分を、パンチ30と一緒に挟み込み可能となっている。 本実施形態のパッド31における第1凹状外周縁部3a側の位置は、図4に示すように、上面視で、パンチ30の立上り部30Aの側面30bよりも後退している。このため、図4に示すように、パンチ30における立上り部30Aの上面とパッド31とで、天板部3に相当する部位を挟持した際に、天板部3に相当する部位における第1凹状外周縁部3a側が、上方に向けて露出した状態になる。

<ダイ> ダイ32のパンチ側側面は、立上り部30Aの側面30bと協働して縦壁部5を成形する湾曲面になっている。そのダイ32のパンチ側側面は、その上部側面に外方(パンチ30側)に張り出した張出部32aが形成されている。その張出部32aがパンチ30の上面に、素材を介して当接することで、それ以上、ダイ32が下方に移動することが規制される。すなわち、その規制位置が、ダイ32を下降させたときの成形下死点の位置となる。また、その張出部32aから下端位置までのダイ側面の高さが、縦壁部5の高さに設定されている。 また、ダイ32におけるフランジ部7に対向する下面に、段部32bを設けることで、凹状の逃がし部32dが設けられている。逃がし部32dを有することで、ダイ32が成形下死点まで移動するまでの間、ダイ32の下面が、屈曲形状部8を狭圧しない、好ましくは接触しない構造となっている。段部32bの下面32cの幅は、フランジ部の幅以下の幅になっている。

成形下死点の位置までダイ32を下げた状態で、パンチ30のフランジ対向面30aとダイ32の逃がし部32dの底面との高低差(隙間)は、屈曲形状部付きブランク材に形成した屈曲形状部8の高さと等しいか該高さよりも大きくなるように設定しておく。 このように設定することで、ダイ32の逃がし部32dによりできる空隙(凹部)内に屈曲形状部8が配置される結果、屈曲形状部8が、第2工程の曲げ成形中に拘束、狭圧されることがない。このように、曲げ成形中に屈曲形状部8を含む部位が拘束されず自由に変形することで、フランジ部について、特定の部位に応力集中することが低減し、ワレの発生をより防止することができる。 なお、屈曲形状部8がパンチ30のフランジ対向面30a側に凸となる場合は、フランジ対向面30aの側に、上述のような逃がし部用の凹部形状を設定すればよい。

以上のように構成された第2工程用金型を用いた第2工程について、第2工程用金型の動作を、図5を参照して説明する。 図5(a)は、パンチ30とパッド31で屈曲形状部付きブランク材の天板部3を狭圧した状態を、図5(b)はダイ32を相対的にプレス成形下死点まで移動させたときの状態を示している。 まず、図5(a)のように、屈曲形状部付きブランク材の天板部3をパンチ30の上面に載置して、パンチ30とパッド31で挟持する。なお、パッド31は、伸びフランジ成形部における天板部3に相当する部位の全面に配置するのではなく、パンチ30の第1凹状外周縁部3aに対応した湾曲を有する側面から内方に少しずれた位置に配置する。

この状態で、図5(b)の位置まで、ダイ32を、パンチ30の側面に沿って、フランジ対向面30aに向けて相対移動させることで、第1凹状外周縁部3a、縦壁部5、及びフランジ部7を曲げ成形する。 すなわち、第2工程におけるダイ32の相対移動によって、屈曲形状部付きブランク材は、先ず、第1凹状外周縁部3aの部分が曲げ成形される。続けて、縦壁部5となる箇所が、第1凹状外周縁部3aに連続する上側から順番に下側に向けて曲げ成形され、更に、ブランク材のフランジ部7側がパンチ延長部30Bのフランジ対向面30aに接触して、縦壁部5下端部とフランジ部7との境界部が曲げ成形される。このように、本実施形態では、天板部側から順番且つ連続して曲げが加えられることとなる。

このとき、屈曲形状部付きブランク材における屈曲形状部8が形成されている部位(フランジ部となる位置より外側)は、伸びフランジ成形となって周縁方向の引張応力が作用する。しかし、当該部位は、プレス成形前の素板の端面と異なり、屈曲形状部8の稜線9が周方向に連続した形状で存在しているので、ワレの起点が存在せずワレが発生しにくい。また、屈曲形状部8の稜線9が周方向に連続した形状であることから、当該部位には、応力集中することなく均一な引張応力が付加されることから、この点でも、伸びフランジ部にワレが発生しにくい。 さらに、本実施形態の屈曲形状部8は、平面視において第2凹状外周縁部7aに沿って延在しているので、屈曲形状部8に作用する引張応力をより均一化させることができる。

また、上記で規定した屈曲形状部8を第1工程において、少なくとも伸び成形されるフランジ部の湾曲部近傍に成形することで、第2凹状外周縁部7aとなる部分が第2工程時に伸びフランジ変形を受けた場合でも、屈曲形状部8の形状剛性によりひずみが分散し易く、第2凹状外周縁部7aとなる部分にひずみが集中することを防ぐことができる。 さらに、上記で規定した屈曲形状部8を第1工程において成形することで、第2凹状外周縁部7aが第2工程時に伸びフランジ変形を受けた際に、屈曲形状部8を一定の高さで形成することで第2凹状外周縁部7aとなる部分が平坦化して、線長差を稼ぐことができる。そのため、第2凹状外周縁部7aに強い周縁方向の引張応力が作用し難い。 このように、第2凹状外周縁部7aとなる部分に作用する引張応力を均一化することで、屈曲形状部8の外側の端面に対しても均一化された応力が作用することになり、端面にバリや微小なキズなどが残留していても応力集中が緩和して、この点においてもワレ抑制効果を奏することができる。

また、成形途中において、屈曲形状部8を含む部位は金型で拘束されていないため3次元的に自由に変形する(移動する又は逃げる)ことができ、この点でも成形途中の部品の端面に集中して作用する引張応力をより緩和することができる。 以上のようにして、ワレが発生することなく中間部品が成形される。 ここで、屈曲形状部8が上方に突出する場合で説明したが、屈曲形状部8が下方に突出する場合には、パンチ30のパンチ延長部30B側に屈曲形状部を逃がす凹部形状を形成しても良い。又、パンチ30のパンチ延長部30Bとダイ32の対向する両方の面に屈曲形状部を逃がすための凹部形状を形成しても良い。

[第3工程] 第3工程では、中間部品のフランジ部7の外側の部位をトリミングして、第2凹状外周縁部7aを形成する。これによって、伸びフランジ成形部を含む伸びフランジ成形部品が製造される。このトリミングされる部位には、屈曲形状部8が含まれる。 以上のように、本実施形態においては、第1工程で屈曲形状部8を形成し、第2工程で、その屈曲形状部付きブランク材を中間部品に曲げ成形し、第3工程で中間部品におけるフランジ部7の外側の部位をトリミングするので、プレス成形前の素板として980MPa級以上の超ハイテン材を用いた場合であっても、ワレを抑制でき、良好に伸びフランジ成形部を含む伸びフランジ成形部品を製造することができる。

[本実施形態の効果] (1)ブランク材に対し、フランジ部7よりも外側位置に第2凹状外周縁部7aに沿って稜線9が延び且つ板厚方向に屈曲した屈曲形状部8を形成する第1工程と、第1工程後に、天板部3となる位置を固定して上記縦壁部5と上記フランジ部7を曲げ成形する第2工程と、を備える。 この構成によれば、仮に強度レベル980MPa級以上の超ハイテン材を使用したとしても、第2工程の曲げ成形で縦壁部5が形成可能になると共に、伸びフランジ割れが発生しやすい第2凹状外周縁部7aに沿って屈曲形状部8を予め設けておくことで、第2工程での曲げ成形の際における伸びフランジ割れを抑制出来る。 更に、縦壁部を絞り成形で加工せずに、曲げ成形で成形するため、低い成形荷重で製造可能となる。 以上のことから、本実施形態によれば、仮に強度レベル980MPa級以上の超ハイテン材から伸びフランジ成形を伴って伸びフランジ成形部品を製造する場合であっても、伸びフランジワレを抑制しつつ低い成形荷重で製造することが可能となる。

(2)第2工程後に、上記フランジ部7の外側の部位をトリミングする第3工程を備える。 予め、プレス成形前の素板(ブランク材)に対し、打ち抜き加工やレーザー加工でトリミングすると、材料端面にはバリや微小なキズなどが残留するため、変形を加えたときに局所的な応力集中が発生しやすい状態になっている。そのため、材料端面には成形途中で伸びフランジワレと称する亀裂が発生し、超ハイテン材(強度レベルが980MPa級以上の高強度鋼板)の場合、その亀裂が急速に伝播して大きなワレが発生しやすい。 これに対し、第2工程後にフランジ部7の外側部位をトリミングして、フランジ部7の外周縁を成形することで、更にフランジ部7の端面に伸びフランジワレが生じ難くなる。

(3)また、第2工程用の金型に、屈曲形状部8を逃がす逃がし部32dを設ける。 この構成によれば、屈曲形状部8を含む部位が、成形中に、第2工程用の金型で拘束されていないため3次元的に自由に変形する(移動する又は逃げる)ことができ、この点でも成形途中の部品の端面に集中して作用する引張応力をより緩和することができる。 (4)屈曲形状部8のステップの高さは3mm以上10mm以下とする。 この範囲に屈曲形状部8の高さを規定することで、仮に強度レベル980MPa級以上の超ハイテン材を使用したとしても、伸びフランジ割れをより確実に抑えることが可能となる。

<発明例1> 980MPa級冷延鋼板(板厚1.6mm)をブランク材として用いて、図7に示すAピラーと同一形状の部品を製造するに際して、上記実施形態で示した第1工程、第2工程、第3工程を経る3段階の製造方法によって本発明例1の成形品を製造した。 すなわち、加工工程は、上記のように第1工程で屈曲形状部8を形成した。次に第2工程で、第1凹状外周縁部3a、縦壁部5及びフランジ部7の順番で連続して曲げ成形した。その後、第3工程として、フランジ部7の外側の部位をトリミングして、本発明例1の成形品とした。なお、縦壁部の高さを100mmとした。 一方、図6に示すAピラーと同一形状の部品を、一工程の絞り成形だけで縦壁部を形成し、その後、フランジ部の外側の部位をトリミングして比較例1の成形品を製造した。なお、比較例1では、屈曲成形部を設けなかった。 本発明例1の成形品と比較例1の成形品の伸びフランジ部品を比較した。その評価結果は、本発明例1では、湾曲部のフランジ部において、全くワレが発生しなかったのに対して、比較例1では図6に示す部位にワレが発生していた。 以上のように、Aピラーを製造するに際して、本発明例1の比較例1に対する優位性を明らかにできた。

<発明例2> 1180MPa級冷延鋼板(板厚1.6mm)をブランク材として用いて、図6に示すセンターピラーと同一形状の部品を製造するに際して、上記実施形態で示した第1工程、第2工程、第3工程を経る3段階の製造方法によって本発明例2の成形品を製造した。 すなわち、加工工程は、上記のように第1工程で屈曲形状部8を形成した。次に第2工程で、第1凹状外周縁部3a、縦壁部5及びフランジ部7の順番で連続して曲げ成形した。その後、第3工程として、フランジ部7の外側の部位をトリミングして、本発明例2の成形品とした。なお、縦壁部の高さを100mmとした。 一方、図7に示すセンターピラーと同一形状の部品を、一工程の絞り成形だけで縦壁部を形成し、その後、フランジ部の外側の部位をトリミングして比較例2の成形品を製造した。なお、比較例2では、屈曲成形部を設けなかった。 本発明例2の成形品と比較例2の成形品の伸びフランジ部品を比較した。その評価結果は、本発明例2では、湾曲部のフランジ部において、全くワレが発生しなかったのに対して、比較例2では図7に示す部位にワレが発生していた。 以上のように、センターピラーを製造するに際して、本発明例2の比較例2に対する優位性を明らかにできた。

以上、本願が優先権を主張する、日本国特許出願2015−169227(2015年8月28日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。 ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。

1 フランジ成形部 3 天板部 3a 第1凹状外周縁部 5 縦壁部 7 フランジ部 7a 第2凹状外周縁部 8 屈曲形状部 9 稜線 30 パンチ 30A 天板部挟圧用の立上り部(第1のパンチ) 30B パンチ延長部(第2のパンチ) 31 パッド 32 ダイ 32d 逃がし部

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