芋菓子及びその製造方法

申请号 JP2013089102 申请日 2013-04-22 公开(公告)号 JP5622888B1 公开(公告)日 2014-11-12
申请人 株式会社薬膳壷焼本舗五行; 发明人 信夫 川瀬; 信夫 川瀬;
摘要 【課題】焼き芋と干し芋の長所を併せ持つ芋菓子を提供すること。【解決手段】焼き芋を作製する工程とその焼き芋を乾燥する工程とを経ることによって、焼き芋の 香味 と焦げ臭に加え、干し芋の自然な甘さを兼ね備えた芋菓子を作製することができる。【選択図】なし
权利要求
  • 焼き芋を作製する第1の工程と、前記焼き芋を そのまま除湿乾燥する第2の工程とを経て作製され 、前記焼き芋の表面の硬さと前記焼き芋の内部の硬さとが圧縮力5〜15Nで略等しく、Brix糖度が略60%以上であることを特徴とする芋菓子。
  • 前記焼き芋の原料であるサツマイモが紅はるか(紅天使)である、請求項1に記載の芋菓子。
  • 前記第2の工程 除湿乾燥を 50°Cで行うことを特徴とする、請求項1に記載の芋菓子。
  • サツマイモを放置して熟成させる工程と、
    前記熟成させたサツマイモを所定の温度にて一定時間焼く工程と、
    前記焼かれたサツマイモ を、表面の硬さと内部の硬さとが圧縮力5〜15Nで略等しくなるように除湿乾燥を50°Cで行って水分を蒸発させる工程と を具備することを特徴とする芋菓子の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、干し芋と焼き芋の長所を併せ持つ新規な芋菓子に関する。 更に詳しくは、栄養価に優れ、焼き芋の香味と焦げ臭を有すると共に、干し芋の自然の甘さが豊かな、サツマイモを使った新規な芋菓子に関する。

    サツマイモは、1605年に琉球に伝来し、その約100年後、薩摩に伝来したと言われ、鹿児島では、今なお「唐芋(カライモ)」と呼び慣わされている歴史ある食物である。

    特に、日本に多い火山灰性の土壌での栽培にも適している上、干ばつに強くて収量が多いため、江戸時代には救荒作物として全国に広がったが、「サツマイモの食文化」が花開いたのも江戸における「焼き芋」の出現を嚆矢とするものである。 現在のスナックと同じ感覚で焼き芋が食べられ、大正時代まで続いた。 第二次世界大戦中には、サツマイモからガソリン用の燃料アルコールが生産されたこともある。 また、戦後は、代替主食としての一定の役割を果たし、それぞれの時代の要請に適う品種の生産が行われてきた。

    しかしながら、食糧難時代の「救荒作物」、澱粉が豊富で「肥満のもと」というマイナスイメージが強く、特に、火山灰を土壌とする関東及び南九州の畑作地域の農業において、次に示すような様々な課題がある(非特許文献1〜3)。

    近年は、健康・安全・自然食品志向を背景に、さつまいもの需要はマクロ的には増加基調で、1人当たりの消費量が増えているものの、国内生産量は、1955年のピーク時の約700万tから減少の一途を辿り、現在はその約1/7の100万t程度の準でしかない。 これは、ジャガイモの約1/3でしかない。 また、作付面積も1962年以降は減少傾向が続いている。 これは、依然として零細な生産構造であること、生産農家の高齢化により担い手が不足していることに起因している。

    一方、サツマイモの用途を見ると、平成18年度では、青果用が44%、焼酎原料用が21%、でん粉原料用が18%、加工食品用が9%、飼料用が1%となっているが、消費者のライフスタイルの変化に伴って、調理機会が減少し、焼き芋、蒸し芋、大学芋等の青果用は減少傾向にあり、5年前の8割程度である。 また、干し芋(乾燥芋)、芋羊羹等の菓子としての加工食品用、春雨等のでん粉原料用はほぼ横這い状態にある。 すなわち、上述したマクロ的な消費量の増加は、低カロリーのお酒である近年の焼酎ブームによる焼酎原料用の堅調な需要に支えられ、加工食品や澱粉原料用の不足は、中国等からの干し芋、大学芋、蒸し芋、ペースト等の冷凍食品を中心とした輸入で補われているものと考えられる。

    しかし、平成11年の食料・農業・農村基本法からも分かるように、日本における、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的発展、農村の振興という基本方針に鑑みると、土壌が肥沃とは言えない関東や南九州の畑作地域における地場産業を振興させるためには、サツマイモは必要不可欠な重要な作物である。

    それは、サツマイモが、生産コストの低減及び省化の観点から、農地利用集積による担い手の規模拡大を図ることや、担い手がいない地域における生産組織や農作業受託組織の育成を通じて地域の実情に応じた生産体制を確立することが比較的容易な作物と考えられるからである。 すなわち、サツマイモは、収穫時期までの手間がかからず、労力配分や前作後作の選定の自由度が高い粗放的作物であること、不良火山灰土や酸性土壌等でもある程度の収量が期持でき、窒素施肥量が少なくてすむ上、他の野菜などに比べて農薬の使用量が少ない環境保全的作物であること、茎葉が地表面を完全に覆うので土壌侵蝕・流亡を防ぐことができ、また土壌水分の蒸発をおさえ、干ばつ被害も軽減される上、低温による障害以外は、生産が安定していて豊凶差が少ない耐気象災害的作物であることに起因している。

    しかし、本発明者は、サツマイモの産業振興にとって最も重要なことは、江戸時代にサツマイモを繁栄させた「焼き芋」に匹敵する「新たなサツマイモの食文化」を築くことであると考え、本発明に至った。

    特に、サツマイモは、様々な栄養素を含んだ、高機能・低カロリー食材で、美容にも効果的であるということに加え、「おいしいサツマイモ」と消費者に認知される必要があると考えた。

    そこで、今も根強い人気があり、冬の風物詩としても有名な、焼き芋と干し芋に着目した。 特に、焼き芋は、町でも、昔ながらの独特な掛け声で売られており、コンビニエンスストアでも見かけられる。 最近では、真空パック入りで販売されているものもある。 また、保存食として日本の正月には欠かせない干し芋も、冬の芋菓子として、現在でも広く一般家庭で食されており、加工食品としては、干し芋の生産量が最も多い。

    これらの共通点は、サツマイモ自体が保有する特徴に由来するものである。 第1に、サツマイモを加熱する(焼き芋の場合は焼く、干し芋の場合は蒸す)ことによって、サツマイモに多く含まれる糖化酵素(β―アミラーゼ)が澱粉に作用し、麦芽糖(マルトース)が生成されるため、甘さが醸成される上、焼き芋でも、干し芋でも、水分が蒸発するため、一層甘さが増すのである。

    そのため、ノンカロリーのショ糖代替甘味料、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、ソルビトール、カンゾウ抽出物、ステビア等、清涼飲料水、調味料、お惣菜、お漬物等に幅広く使用されるものを使用する必要がなく、人工甘味料独特の甘さの味わいの問題や、身体に対する副作用の問題を考える必要がない。

    第2に、サツマイモは、加熱すると、澱粉の一部が食物繊維と似た非でんぷん性多糖類、レジスタントスターチが生成し、加熱前の総食物繊維の定量値が17〜40%増加する。

    第3にサツマイモのビタミンCは、糊化澱粉に保護され、加熱後の残存率が、他の野菜より高く、非常に安定である。

    逆に、焼き芋と干し芋を比較すると、次のような相違点がある。 第1に、干し芋は、蒸した後、天日干しにするため、上記β−アミラーゼの作用が長期間にわたって作用すると共に、焼き芋以上に水分が蒸発するため、焼き芋よりもはるかに甘さが醸成される。 100g当たりの糖質は、干し芋が、焼き芋の2倍以上ある。

    第2に、干し芋は、蒸す上に、皮をむいて細かく裁断されるので、焼き芋独特の香気及び表皮の焦げ臭を味わうことができない。

    第3に、この表皮の有無に基づき、抗酸化作用のために老化防止効果があると注目されているポリフェノールの含有量に大きな差がある。 表皮に多く含まれる、クロロゲン酸を主成分とするポリフェノールは、サツマイモ100g中228mg含まれており、コーヒー一杯あたりに匹敵する量であり、焼き芋の焦げ臭とコーヒーの香りが似ているのは、このことに起因している。 また、表皮の赤紫色は、アントシアニンで、ポリフェノールの一種であり、抗酸化作用が期待され、老化や生活習慣病の予防に効果的である。 しかし、干し芋は、皮をむくため、表皮独特の香気を楽しむことができないばかりか、このようなポリフェノールの効用を期待することはできない。

    一方、サツマイモをペーストやパウダーにすることなく、そのものの素材を生かした菓子としては、特開平6−121641号公報、特開2002−142707号公報、特開2003−047429号公報、特開2005−168394号公報等が提案されているが、従来の芋菓子の甘さを増強したり、色調を改善したりする技術である。

    特開平6−121641号公報

    特開2002−142707号公報

    特開2003−047429号公報

    特開2005−168394号公報

    進藤智子,徳田和子,竹原小菊,福司山エツ子,外西壽鶴子,「鹿児島のさつまいもの変遷と活用−さつまいもの品種の変遷とその利用(2)−」,鹿児島純心女子短期大学研究紀要,第37号,153−167(2007). 鹿児島純心女子短期大学 日本いも類研究会,「さつまいもMiNi白書 Ver.3.0」,平成20年3月. 川越いも友の会・焼き芋文化チーム編,「焼き芋小百科」,2005年,9月,13日.

    本発明は、干し芋と焼き芋の長所を併せ持つ芋菓子を提供することを目的とする。 更に詳しくは、栄養価に優れ、焼き芋の香味及び焦げ臭を有すると共に、干し芋の自然の甘さが豊かな、サツマイモを使った新しい芋菓子を提供することである。

    本発明者らは、1)焼き芋を作製する工程、2)焼き芋を乾燥する工程、を経ることによって得られた芋菓子が、焼き芋に独特であるサツマイモ表皮に豊富なポリフェノールと共に、焼き芋の香味と焦げ臭を有し、干し芋と同等の甘さと、乾燥させるにも関わらず、焼き芋の柔らかさを保持している芋菓子となることを見出し、本発明を完成した。

    本発明により、サツマイモの加熱加工食品が有する、各種ビタミン、ミネラル、及び、食物繊維が豊富に含まれている上に、サツマイモの表皮に独特なポリフェノールやアントシアニンが豊富に含まれている、栄養価に優れた新規な芋菓子が得られる。 特に、ビタミンCはりんごの約10倍、ビタミンEは小豆の約3倍、カリウムは米の約18倍含まれている。

    更に、本発明により、焼き芋に独特の香味と焦げ臭と、人工甘味料を用いることなく、干し芋のような甘さを有する芋菓子を得られる。

    本発明は、従来の一般的な方法で作製した焼き芋から、更に水分を蒸発させるという簡便な方法で製造することができる芋菓子である。

    本発明に用いるサツマイモとしては、特に制限はない。 「紅赤」、「富の川越芋」、「農林一号」、「高系14号」、「紅さつま」、「宮崎紅」、「紅こまち」、「パープルスイートロード(紫芋)」、「クイックスイート」、「あやこまち(オレンジ芋)」、「玉豊」、「いずみ」、「玉乙女」、「人参芋」、「安納芋」、「あやむらさき(紫芋)」、「太白芋」、「金時芋」、「ほしきらり」、「紅あずま」、「紅まさり」、「種子島芋(紫芋)」、「紅はるか」(茨城県では、「紅天使」)、「紅隼人」、「小金千貫」、「鳴門金時」、「大栄愛娘」、「五郎島金時」、「紫唐芋」、「栗黄金」、及び、「カイアポ芋」等を用いることができる。 中でも、干し芋に適した、「玉豊」、「いずみ」、及び、「玉乙女」、焼き芋に適した、「農林一号」、「高系14号」、「紅さつま」、「紅あずま」、「紅あさり」、「安納芋」、及び、「紅こまち」、また、(独)九州沖縄農業研究センターによって外観が優れる「九州121号」に皮色や食味が優れる「春こがね」を交配させ、2010年3月に品種登録された新しい品種である「紅はるか」が好ましい。 更に、外観及び風味とも優れる「紅はるか」を用いることが最も好ましい。

    本発明の芋菓子は、第1の工程として、焼き芋を、例えば、次のような方法で作製する。 まず、掘り起こしたサツマイモを涼しい場所に放置して熟成する。 熟成によっても、上述したβ−アミラーゼの働きで澱粉が麦芽糖になり、甘さを醸成させることができるからである。 その熟成期間に限定はないが、2週間以上が好ましい。 更に好ましくは、1ヶ月以上である。

    次いで、サツマイモを水で洗い、徐々に加熱していき、200℃の温度で、約1時間かけてじっくり焼く。 最後に、温度を上げて、表皮に香ばしい焦げ目をつけると共に、水分を蒸発させて糖度を上げる。 熱源としては、炭火やセラミックヒーターを用いることができる。 ガス炉を使用する場合は、岩石を敷いて間接的に加熱する。 また、遠赤外線の併用もより好ましい。 このような加熱に用いるオーブンは、トンネル式及びラック式何れも使用することができる。

    第1の工程によって得られた焼き芋は、そのまま、水を蒸発させる第2の工程に移す。 水を蒸発させる方法としては、ヒーターを用いない、天日干し、高周波誘電加熱、マイクロ波誘電加熱、及び、除湿乾燥を用いることができる。

    しかし、この乾燥工程は、焼き芋の丸干しであるため、天日干しでは、3週間以上かかる上、天候の影響を受けるという問題があり、また、高周波誘電加熱やマイクロ波誘電加熱の場合も、表面の乾燥が早く、内部は軟らかくても表皮がやや硬くなる傾向にあり、食感という観点からは、除湿乾燥が好ましい。

    除湿乾燥は、表面と内部の硬さが均一で、天候の影響を受けることなく乾燥させることができる。 この除湿乾燥に加え、天日干し、高周波誘電加熱、或いは、マイクロ波誘電加熱のいずれか1つの方式を併用することができる。 除湿乾燥後、高周波誘電加熱或いはマイクロ波誘電加熱を採用する場合、除湿乾燥した焼き芋を密閉した容器乃至は袋等に封入して乾燥させることが、表面と内部の硬さを均一にする上で好ましい。

    以上の方法を用いることによって、最終製品の芋菓子は、焼き芋独特の香味、焦げ臭、食感を有する上、干し芋と同等の甘さ有する新規な芋菓子とすることができる。 特に、食感は、イマダデジタルフォースゲージDS2−200Nでピンゲージを用いて測定した圧縮力が、2〜30Nが好ましく、4〜20Nであることが更に好ましく、5〜15Nであることがより更に好ましい。 また、甘さは、アタゴ社製ポケット糖度計PAL−Patissierを用いて測定したBrix糖度で、40%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることがより更に好ましい。

    以上、焼き芋の製造工程とその乾燥工程を説明したが、これらの方法は代表例であり、これに限定されるものではなく、これら2つの工程を経ることによって得られる芋菓子が、焼き芋と干し芋の長所を兼ね備えていることを見出し、本発明の完成に至ったのである。

    それでは、本発明を、実施例により具体的に説明する。

    第1の工程では、サツマイモとして、20℃で1ヶ月以上熟成した、糖度27以上の紅はるかを20kg用い、次のようにして焼き芋を作製した。 水洗した紅はるかをラック式オーブンに投入し、昇温速度100℃/hrで、200℃まで昇温し、1時間加熱した。 その後、焦げ目をつけるため、更に、昇温速度100℃/hrで250℃まで昇温して焼き芋が得られた。

    第2の乾燥工程では、除湿乾燥方式とマイクロ波誘電加熱方式を併用した。 除湿乾燥機としては、オリオン機械社製RDF350Aを用い、設定温度50℃で、3日焼き芋を乾燥した。 更に、このようにして得られた焼き芋をポリエチレンの袋に500gずつ密封し、それぞれ、電子レンジで3分処理した。

    その結果、焼き芋独特の香味と焦げ臭が程良く残り、干し芋と同等以上の自然な甘さを焼き芋の食感で味わうことができる新しい芋菓子が得られた。 この芋菓子の硬さは、上記フォースゲージで8Nを示し、糖度は、上記糖度計で63%であった。

    上記のとおり、本願によれば、干し芋と焼き芋の長所を併せ持つ芋菓子として、栄養価に優れ、焼き芋の香味及び焦げ臭を有すると共に、干し芋の自然の甘さが豊かな、サツマイモを使った新しい芋菓子が提供される。

    したがって、本願発明は、食品産業等において、利用可能性が高い。

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