ノンテンパー型チョコレート

申请号 JP2016568711 申请日 2016-06-15 公开(公告)号 JPWO2016204187A1 公开(公告)日 2017-06-29
申请人 日清オイリオグループ株式会社; 发明人 清美 大西; 清美 大西; 知洋 粟飯原; 知洋 粟飯原; 典子 村山; 典子 村山; 宗央 築山; 宗央 築山; 秀隆 上原; 秀隆 上原;
摘要 本発明の課題は、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少ないノンテンパー型チョコレートを提供することである。本発明の目的は、また、上記チョコレートの製造に適した、ハードバター、ならびに、チョコレートの添加剤を提供することである。本発明は、チョコレート中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満であるノンテンパー型チョコレートである。本発明は、また、前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%であるノンテンパー型チョコレートである。
权利要求
  • チョコレート中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満であるノンテンパー型チョコレート。
    ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  • 前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%である、請求項1に記載のノンテンパー型チョコレート。
    ただし、L、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールLM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  • 前記油脂に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項2に記載のノンテンパー型チョコレート。
  • 前記油脂が、エステル交換油脂を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載のノンテンパー型チョコレート。
  • 0.03〜15質量%のMMMと、0.03〜30質量%のL2MおよびLM2と、を含むハードバター。
    ただし、M、L、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロールL2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールLM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  • 前記ハードバターに占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項5に記載のハードバター。
  • 前記ハードバターが、エステル交換油脂を含む、請求項5または6に記載のハードバター。
  • 請求項5〜7の何れか1項に記載のハードバターを、油脂中に3〜100質量%含有するチョコレート。
  • 2〜70質量%のMMMと、20〜98質量%のL2MおよびLM2と、を含むチョコレート用添加剤。
    ただし、M、L、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロールL2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールLM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  • 前記チョコレート用添加剤に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項9に記載のチョコレート用添加剤。
  • エステル交換油脂であって、前記エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜24の飽和の脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂である、請求項9または10に記載のチョコレート用添加剤。
  • 請求項9〜11の何れか1項に記載のチョコレート用添加剤を、油脂中に0.05〜15質量%含むチョコレート。
  • 说明书全文

    本発明は、光沢に優れた、ノンテンパー型チョコレートに関する。

    チョコレートは、一般に、テンパー型とノンテンパー型に分類される。 テンパー型チョコレートは、チョコレートを構成する油脂が、主にカカオ脂および/またはカカオ脂とよく似た対称型トリアシルグリセロールの構造を持つカカオ代用脂(CBE)からなる。 テンパー型チョコレートにおける、対称型トリアシルグリセロールの結晶構造は、V型に調整される必要がある。 そのため、テンパー型チョコレートの製造においては、テンパリングという非常に煩雑な工程が必要となる。

    一方、ノンテンパー型チョコレートでは、チョコレートを構成する油脂は、カカオ脂と似た融解性状を有するが、全く異なる油脂構造を有する。 ノンテンパー型チョコレートを構成する油脂は、ラウリン酸型と非ラウリン酸型とに大きく分けられる。 ラウリン酸型及び非ラウリン酸型の何れも、カカオ脂との相溶性は低いが、カカオ脂と比べて価格が安い。 また、ノンテンパー型チョコレートは、煩雑なテンパリングが不要で作業性が良いため、製菓・製パン領域にて広く使用されている。

    ノンテンパー型チョコレートを主に構成する油脂(ハードバター)の内、ラウリン酸型ハードバターは、典型的には、パーム核油を分別して得られる硬質部(パーム核ステアリン)を素添加により極度硬化したものが知られている。 この種のハードバターの融解性状は極めてシャープではある。 しかし、カカオ脂との相溶性が極端に悪いため、ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートは、カカオ脂の配合を極少なくしなければならない。 よって、これを使用したチョコレートはカカオ風味に乏しい。 また、経時的にチョコレートの光沢が乏しくなる難点や、保存状態が悪くて加水分解が起こると風味が極端に悪くなる難点がある。

    ラウリン酸型ハードバターのこのような難点を改良するために、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とをエステル交換したハードバターが開発されている(特開2008−182961号公報参照)。 しかしながら、特開2008−182961号公報に記載のハードバターを使用したチョコレートは、経時的にチョコレートの光沢が乏しくなる難点がある。

    ノンテンパー型チョコレートを主に構成する油脂(ハードバター)の内、非ラウリン酸型ハードバターは、トランス酸型ハードバターとも言われる。 トランス酸型ハードバターは、典型的には、低融点パームオレイン又は大豆油等の液体油を異性化水素添加した油脂や、更に必要に応じて、それらの異性化水素添加した油脂を分別した高融点部又は中融点部が知られている。 非ラウリン酸型ハードバターは、融解性状はラウリン酸型ハードバターと比較してややシャープさに欠ける。 しかし、カカオ脂との相溶性はラウリン酸型ハードバターよりは良い。 非ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートは、ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートよりも比較的多く、カカオ脂を配合できる。 しかしながら、非ラウリン酸型ハードバターは、多量のトランス脂肪酸を含有するため、トランス脂肪酸の健康への悪影響が認識されるようになって以来、使用が敬遠されている。

    トランス脂肪酸を実質上含まない非ラウリン酸型ハードバターとしては、特定のトリグリセリドである、SSS、S2U、SU2及びUUUを特定量含み、SUS/SSUの質量比、および、構成脂肪酸組成におけるSt/Pの質量比、を特定した、ハードバターが開発されている(特開2009−284899号公報参照)。 しかしながら、特開2009−284899号公報に記載のハードバターを使用したチョコレートにおいても、経時的にチョコレートの光沢が乏しくなる難点がある。

    特開2008−182961号公報

    特開2009−284899号公報

    本発明の課題は、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少ないノンテンパー型チョコレートを提供することである。 本発明の目的は、また、上記チョコレートの製造に適した、ハードバター、ならびに、チョコレートの添加剤を提供することである。

    本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。 その結果、ノンテンパー型チョコレート中の油脂に、グリセロールに3分子の炭素数6〜10の脂肪酸(M)がエステル結合したトリアシルグリセロール(MMM)を少量含有させることにより、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少ないノンテンパー型チョコレートが得られることを見いだした。 それにより、本発明を完成するに至った。

    すなわち、本発明は以下のようなものを提供する。
    (1)チョコレート中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満であるノンテンパー型チョコレート。
    ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール(2)前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%である、(1)のノンテンパー型チョコレート。
    ただし、L、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールLM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール(3)前記油脂に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(2)のノンテンパー型チョコレート。
    (4)前記油脂が、エステル交換油脂を含む、(1)〜(3)の何れか1つのノンテンパー型チョコレート。
    (5)0.03〜15質量%のMMMと、0.03〜30質量%のL2MおよびLM2と、を含むハードバター。
    ただし、M、L、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロールL2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールLM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール(6)前記ハードバターに占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(5)のハードバター。
    (7)前記ハードバターが、エステル交換油脂を含む、(5)または(6)のハードバター。
    (8)(5)〜(7)の何れか1つのハードバターを、油脂中に3〜100質量%含有するチョコレート。
    (9)2〜70質量%のMMMと、20〜98質量%のL2MおよびLM2と、を含むチョコレート用添加剤。
    ただし、M、L、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロールL2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールLM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール(10)前記チョコレート用添加剤に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(9)のチョコレート用添加剤。
    (11)エステル交換油脂であって、前記エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜24の飽和の脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂である、(9)または(10)のチョコレート用添加剤。
    (12)(9)〜(11)の何れか1つのチョコレート用添加剤を、油脂中に0.05〜15質量%含むチョコレート。

    本発明によると、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少ないノンテンパー型チョコレートを提供することができる。 本発明によると、また、上記ノンテンパー型チョコレートの製造に適した、ハードバター、ならびに、チョコレートの添加剤を提供することができる。

    以下、本発明のチョコレートについて順を追って記述する。
    本発明においてチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)または法規上の規定等により規定されているチョコレートに限定されない。 すなわち、本発明におけるチョコレートは、食用油脂及び糖類を主原料とする。 主原料には、必要に応じてカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、および乳化剤等が加えられる。 このチョコレートは、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、および冷却工程等)の一部又は全部を経て製造される。 また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、およびミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレートおよびカラーチョコレートも含む。

    本発明のチョコレートは、好ましくは25〜65質量%の油脂を含有する。 本発明のチョコレート中の油脂の含有量は、より好ましくは28〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜45質量%である。 なお、本発明におけるチョコレート中の油脂は、配合される油脂以外に、含油原材料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)由来の油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。 例えば、一般的に、カカオマス中の油脂(ココアバター)の含有量は55質量%(含油率0.55)であり、ココアパウダー中の油脂(ココアバター)の含有量は11質量%(含油率0.11)であり、全脂粉乳中の油脂(乳脂)の含有量は25質量%(含油率0.25)である。 よって、チョコレート中の油脂の含有量は、チョコレート中の各原材料の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせた値の合計値となる。

    本発明のチョコレート中の油脂は、MMMを0.01質量%以上5質量%未満含有する。 以下、MおよびMMMは、次を意味する。 Mは、炭素数6〜10の脂肪酸である。 MMMは、グリセロール1分子に3分子のMがエステル結合しているトリアシルグリセロールである。 MMMの、これら3つの脂肪酸(M)は、すべて同一であってもよいし、異なる脂肪酸を含んでいてもよい。 さらに、MMMは、複数の異なる化合物の混合物であってもよい。 このような混合物の例として、トリオクタノイルグリセロールとトリデカノイルグリセロールとの混合物が挙げられる。 MMMを構成する炭素数6〜10の脂肪酸は、直鎖の飽和脂肪酸であることが好ましい。 チョコレートに含まれる油脂中のMMMの含有量は、好ましくは0.04〜4質量%、より好ましくは0.1〜3.6質量%、さらに好ましくは0.3〜3.2質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。 チョコレートに含まれる油脂中のMMMの含有量が上記範囲内にあると、チョコレートは、優れた光沢を有する。

    本発明のチョコレート中の油脂には、上記MMMが含まれる。 このMMMが有する構成脂肪酸全量のうち炭素数6の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。 さらに、上記MMMの有する構成脂肪酸全量のうち炭素数10の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。

    本発明のチョコレートの好ましい実施の形態の一例として、チョコレートに含まれる油脂の0.01質量%以上5質量%未満が、以下のMMMであるチョコレートが挙げられる。 すなわち、このMMMが有する構成脂肪酸全量のうち、95質量%以上を占める構成脂肪酸が、オクタン酸(炭素数8)、および/またはデカン酸(炭素数10)である。 さらに、この構成脂肪酸としてのオクタン酸と、デカン酸との質量比は、好ましくは100:0〜10:90であり、より好ましくは80:20〜20:80である。

    本発明のチョコレート中の油脂に含まれるMMMは、従来公知の方法を用いて製造できる。 例えば、炭素数6〜10の脂肪酸とグリセロールとを、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。 この縮合反応は、減圧下で行うのが好ましい。 上記縮合反応には、触媒を用いることができる。 しかし、無触媒下で、上記縮合反応を行うことが好ましい。

    本発明のチョコレート中の油脂は、L2MおよびLM2を合計で0.01〜10質量%含むことが好ましい。 以下、L、L2MおよびLM2は、次を意味する。 Lは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸である。 L2Mは、グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールである。 LM2は、グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロールである。 Lは、好ましくは炭素数16〜20の飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の飽和脂肪酸である。 また、Lは、好ましくは直鎖の飽和脂肪酸である。 本発明のチョコレート中の油脂は、L2MおよびLM2を合計で、より好ましくは0.1〜6質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは1〜4質量%含む。 チョコレート中の油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量(以下、L2M+LM2とも表す)が上記範囲内にあると、チョコレートの光沢の経日的な劣化が少なくなる。

    上記L2MおよびLM2は、チョコレート中の油脂に占める、LM2の含有量に対するL2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、好ましくは0.05〜4.5である。 L2M/LM2は、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.55〜2.5である。 L2M/LM2が上記範囲内にあると、チョコレートの光沢の経日的な劣化がより少なくなる。

    上記L2MおよびLM2が有する構成脂肪酸中のMの全量のうち、炭素数6の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。 さらに、上記L2MおよびLM2が有する構成脂肪酸中のMの全量のうち、炭素数10の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましく20〜100質量%、さらに好ましくは40〜100質量%、最も好ましくは60〜100質量%である。

    本発明のチョコレート中の油脂に含まれるL2MおよびLM2としては、従来公知の方法を用いて製造できる、L2MおよびLM2含有油脂(L2MおよびLM2を合計で、40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する油脂)を使用してもよい。 L2MおよびLM2含有油脂は、例えば、10〜65質量部(より好ましくは20〜55質量部)のMMMと、35〜90質量部(より好ましくは45〜80質量部)のヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする、極度硬化油)との混合油脂をエステル交換した後、分別した油脂であってもよい。 また、MMMと、構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油など)との混合油脂をエステル交換した後、さらに極度硬化、次いで分別した油脂であってもよい。
    水素添加(硬化)反応、エステル交換反応、および分別は、従来公知の方法が適用できる。 エステル交換反応は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、ならびに、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも適用できる。 分別は、従来公知の、ドライ分別(自然分別)、乳化分別(界面活性剤分別)、ならびに、溶剤分別等の通常の方法が適用できる。
    L2MおよびLM2含有油脂は、また、L2M含有油脂とLM2含有油脂とを混合して調製してもよい。 L2M含有油脂(L2Mを40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する油脂)、もしくは、LM2含有油脂(LM2を40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する油脂)は、MMMとLの低級アルコールエステルとを、エステル交換し、脂肪酸エステルを蒸溜した後、残余の油脂を分別して調製してもよい。

    本発明のチョコレートは、チョコレート中の油脂が、MMMを0.01質量%以上5質量%未満含有する。 この条件が満たされている限り、本発明のチョコレートの製造にどのような油脂原料を使用してもよい。 例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン及びパームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、およびココアバター、ならびにこれらの混合油および加工油脂を使用してもよい。

    本発明のチョコレートはノンテンパータイプに適したチョコレートである。 本発明のチョコレートに含まれる油脂は、上記MMMに加えて、ノンテンパー型ハードバターを含有することが好ましい。 典型的なノンテンパー型ハードバターは、背景技術の部分ですでに概説したとおりである。

    本発明のチョコレートは、油脂中に、エステル交換油脂を含むノンテンパー型ハードバターを使用する場合に、本発明の効果が顕著に得られる。 また、エステル交換油脂を含むノンテンパー型ハードバターを使用することで、チョコレートのカカオ脂含有量を高めることができる。 そのため、風味の良いチョコレートが得られる。 上記エステル交換油脂は、エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占める炭素数6〜10の脂肪酸(M)の含有量が10質量%以下(好ましくは0〜5質量%)であれば、ラウリン系エステル交換油脂、非ラウリン系エステル交換油脂のいずれでもよい。

    上記ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が10質量%以上(好ましくは、15〜60質量%)であるエステル交換油脂である。 ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換の原料油脂として、ラウリン系油脂を含有することが好ましい。 ラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が30質量%以上の油脂である。 ラウリン系油脂としては、例として、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン、パーム核ステアリン等の分別油、これらをエステル交換した油脂、及びこれらの硬化油が挙げられる。 ラウリン系油脂は、ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂中に、これらから選ばれる1種又は2種以上が用いられてもよい。

    ラウリン系エステル交換油脂は、ラウリン系油脂のみがエステル交換された油脂でもよいし、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とを含む混合油脂がエステル交換された油脂でもよい。 非ラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%を超える油脂である。 例として、菜種油、高エルシン酸菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、カカオ脂、シア脂、サル脂、パーム油等、並びにこれらに水素添加した油脂が挙げられる。 ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂には、これらから選ばれる1種又は2種以上の非ラウリン系油脂が用いられてもよい。

    ラウリン系エステル交換油脂が、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とを含む混合油脂のエステル交換油脂である場合、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合比は、質量比で、好ましくは30:70〜60:40であり、より好ましくは35:65〜55:45であり、さらに好ましくは40:60〜50:50である。

    ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が10質量%以上(好ましくは、15〜60質量%)である。 ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換処理がなされていれば、エステル交換処理の前後で、分別、水素添加等の、加工処理が単回、もしくは複数回繰り返されてもよい。 ラウリン系エステル交換油脂のヨウ素価は、好ましくは0〜40であり、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは10〜25である。

    上記非ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が10質量%未満であるエステル交換油脂である。 ラウリン酸の含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%である。 非ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換の原料油脂として、非ラウリン系油脂を含有することが好ましい。 非ラウリン系油脂は、上述のとおりである。 非ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂には、1種又は2種以上の非ラウリン系油脂が用いられてもよい。

    非ラウリン系エステル交換油脂は、その原料油脂として、パーム系油脂を含有することが好ましい。 パーム系油脂としては、パーム油及びパーム油の分別油であれば何れも使用できる。 パーム系油脂の例として、(1)パーム油の1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン、(2)パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、(3)パームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)、並びに、それらの硬化油が挙げられる。 非ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂には、1種又は2種以上のパーム系油脂を使用してもよい。

    非ラウリン系エステル交換油脂の原料油脂に、パーム系油脂が含まれる場合、原料油脂に占めるパーム系油脂の含有量は、好ましくは20〜100質量%であり、より好ましくは40〜100質量%であり、さらに好ましくは60〜100質量%である。

    非ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が10質量%未満(好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%)である。 エステル交換処理がなされていれば、非ラウリン系エステル交換油脂は、エステル交換処理の前後で、分別、水素添加等の加工処理が単回、もしくは複数回繰り返されてもよい。 非ラウリン系エステル交換油脂のヨウ素価は、好ましくは10〜70であり、より好ましくは20〜55であり、さらに好ましくは25〜45である。

    上記、ラウリン系エステル交換油脂および非ラウリン系エステル交換油脂は、それぞれ単独で用いられてもよいし、併用されてもよい。 また、その他の油脂(例えば、ラウリン酸型ハードバター、トランス酸型ハードバター、ココアバターなど)と併用されてもよい。 本発明のチョコレートに含まれる油脂に占める、ラウリン系エステル交換油脂および/または非ラウリン系エステル交換油脂の含有量は、好ましくは3〜99.99質量%であり、より好ましくは30〜98質量%であり、さらに好ましくは50〜95質量%であり、最も好ましくは60〜90質量%である。

    本発明のチョコレートは、チョコレートの風味を高めるため、油脂中に、ココアバター(カカオ脂)を含むことが好ましい。 本発明のチョコレートに含まれる油脂に占めるココアバターの含有量は、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは2〜35質量%であり、さらに好ましくは4〜30質量%であり、最も好ましくは4〜25質量%である。

    本発明のチョコレートに含まれる油脂の、MMM含有量、L2M含有量およびLM2含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定することができる。

    本発明のチョコレートは、健康上懸念されるトランス脂肪酸の含有量を低減するという理由から、トランス脂肪酸含有量が好ましくは0〜5質量%であり、より好ましくは0〜3質量%であり、更に好ましくは0〜1質量%である。

    本発明のチョコレートは、油脂以外に、好ましくは糖類を含有する。 糖類としては、例えば、ショ糖(砂糖および粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、およびデキストリン等が使用できる。 本発明のチョコレート中の糖類の含有量は、好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは25〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜50質量%である。

    本発明のチョコレートには、油脂および糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用できる。 具体的には、例えば、全脂粉乳および脱脂粉乳等の乳製品、カカオマスおよびココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、およびコーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、乳化剤、酸化防止剤、着色料、ならびに香料を使用できる。

    本発明のチョコレートは、従来公知の方法により製造できる。 本発明のチョコレートの製造には、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳製品、および乳化剤等を原料として使用できる。 本発明のチョコレートは、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、および冷却工程等を経て、製造できる。

    本発明のチョコレートは、チョコレートの用途の全てに使用できる。 例えば、型抜きまたはカッティングされたチョコレート塊として、そのまま食することができる。 その他、製菓製パン製品、例えば、パン、ケーキ、洋菓子、焼き菓子、ドーナツ、およびシュー菓子に使用できる。 本発明のチョコレートは、製菓製パン製品に、コーティング材料、フィリング材料、または、生地へ混ぜ込むチョコチップとして、使用できる。

    本発明は、また、本発明のチョコレートの製造に適した、本発明のハードバターを提供する。 本発明のハードバターは、0.03〜15質量%のMMMと、0.03〜30質量%のL2MおよびLM2と、を含む。 本発明のハードバターに占めるMMMの含有量は、好ましくは0.2〜10質量%であり、より好ましくは0.4〜6質量%である。 本発明のハードバターに占めるL2MおよびLM2の含有量の合計は、好ましくは0.2〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。 本発明のハードバターの、MMM、および、L2MおよびLM2、の含有量が上記範囲内にあると、本発明のハードバターを使用したチョコレートは、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少ない。

    本発明のハードバターは、また、上述のエステル交換油脂を含むことが好ましい。 ハードバターに占めるエステル交換油脂の含有量は、好ましくは20〜99.94質量%であり、より好ましくは50〜99.6質量%であり、さらに好ましくは60〜98.6質量%である。 ハードバターに占めるエステル交換油脂の含有量が、上記範囲内にあると、本発明のハードバターを使用したチョコレートは、カカオ脂をチョコレートの油脂中に10質量%以上使用できる。 さらにチョコレートは、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少なくなる。

    本発明のハードバターは、チョコレートの油脂中に、好ましくは3〜100質量%、より好ましくは30〜98質量%、さらに好ましくは50〜95質量%、最も好ましくは60〜90質量%含まれる。 また、本発明のハードバターは、チョコレートの油脂中に、ココアバター100質量部に対して、10〜2000質量部使用されてもよい。

    本発明は、また、本発明のチョコレートの製造に適したチョコレート用添加剤を提供する。 本発明のチョコレート用添加剤は、2〜70質量%のMMM、および、20〜98質量%のL2MおよびLM2を含む、MMM、L2MおよびLM2含有油脂であってもよい。 本発明のチョコレート用添加剤に占めるMMMの含有量は、好ましくは4〜40質量%、より好ましくは8〜25質量%である。 本発明のチョコレート用添加剤に占めるL2MおよびLM2の合計含有量は、好ましくは40〜94質量%、より好ましくは55〜88質量%である。

    本発明のチョコレート用添加剤は、構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10(好ましくは炭素数8〜10)の脂肪酸が25〜65質量%を占め、炭素数16〜24(好ましくは炭素数16〜18)の飽和の脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂であってもよい。 当該エステル交換油脂は、構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10(好ましくは炭素数8〜10)の脂肪酸が占める割合が、好ましくは30〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%である。 また、構成脂肪酸全量のうち、炭素数16〜24(好ましくは炭素数16〜18)の飽和脂肪酸が占める割合が、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは45〜65質量%である。 上記エステル交換油脂は、MMM、L2MおよびLM2を適当量含むので、そのまま、チョコレートの添加剤として使用できる。

    上記エステル交換油脂は、従来公知の方法を用いて製造できる。 例えば、25〜65質量部(より好ましくは30〜60質量部)のMMMと、35〜75質量部(より好ましくは40〜70質量部)のヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする極度硬化油)との混合油脂をエステル交換したエステル交換油脂であってもよい。 また、MMMと、構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油など)との混合油脂をエステル交換した後、極度硬化した油脂であってもよい。 水素添加(硬化)反応およびエステル交換反応は、従来公知の方法が適用できる。 エステル交換反応は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、ならびに、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも適用できる。

    本発明のチョコレート用添加剤は、チョコレートに含まれる油脂中に、好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは0.1〜12.7質量%、さらに好ましくは0.2〜8質量%、最も好ましくは0.4〜5.5質量%含まれる。 本発明のチョコレート用添加剤を使用したチョコレートは、光沢に優れ、経日的な光沢の劣化が少ない。

    本発明の、ハードバターおよびチョコレート用添加剤に含まれる、上記L2MおよびLM2は、LM2の含有量に対するL2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、好ましくは0.05〜4.5であり、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.55〜2.5である。 L2M/LM2が上記範囲内にあると、ハードバター、もしくは、チョコレート用添加剤を使用したチョコレートは、光沢の経日的な劣化がより少なくなる。

    次に実施例により本発明を説明する。 しかし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

    〔分析方法〕
    油脂のMMM含有量、L2M含有量およびLM2含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定した。
    油脂のトランス脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準じてガスクロマトグラフィー法で測定した。
    チョコレートの光沢は、分光測色計(CM−700d コニカミノルタ製)により、ターゲットマスク(φ3mm)を使用して、8°のグロス値を測定した。 グロス値が大きいほど、光沢に優れる。

    〔MMMの調製〕
    (MMM−1):構成脂肪酸がカプリル酸とカプリン酸であり、その質量比が3:7であるMMMを合成し、(MMM−1)とした。

    〔L2M含有油脂の調製〕
    (L2M−1):1モルのトリカプリリンと6モルのステアリン酸エチルとを混合した。 次いで、1,3−位特異性リパーゼによりエステル交換して、エステル交換混合物を得た。 エステル交換混合物より脂肪酸エチルを蒸留した後、蒸溜残渣を溶剤分別することにより、(L2M−1)を得た。 (L2M−1)はL2Mに該当するS8S(1,3−ジステアロイル−2−カプリルグリセロール)含有量が96.8質量%である。

    〔L2MおよびLM2含有油脂の調製〕
    (L2M+LM2−1):86質量部の菜種油と14質量部の(MMM−1)とを混合した。 次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。 エステル交換油脂を極度硬化した後、溶剤分別することにより、(L2M+LM2−1)を得た。 (L2M+LM2−1)は、L2MおよびLM2の合計含有量が95.4質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が4.1である。
    (L2M+LM2−2):50質量部の菜種油と50質量部の(MMM−1)とを混合した。 次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。 エステル交換油脂を極度硬化した後、溶剤分別することにより、(L2M+LM2−2)を得た。 (L2M+LM2−2)は、L2MおよびLM2の合計含有量が97.2質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7である。

    〔MMM、L2MおよびLM2含有油脂の調製〕
    (MMM+L2M+LM2−1):50質量部の菜種油の極度硬化油と50質量部の(MMM−1)とを混合した。 次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換することにより、(MMM+L2M+LM2−1)を得た。 (MMM+L2M+LM2−1)は、MMMの含有量が19.9質量%、L2MおよびLM2の合計含有量が74.6質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7である。

    〔エステル交換油脂の調製〕
    (非ラウリン系エステル交換油脂−1):8.8質量部のハイオレイックヒマワリ油、48.4質量部のパームステアリン(ヨウ素価36)、18.8質量部の大豆油の極度硬化油及び24.0質量部のパーム油を混合した。 得られた混合油(パルミチン酸含有量40.9質量%、ステアリン酸含有量20.0質量%、オレイン酸含有量30.6質量%、リノール酸含有量6.3質量%、リノレン酸含有量0.2質量%、トランス型脂肪酸含有量0質量%)を、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換することにより、エステル交換油脂を得た。 得られたエステル交換油脂を36〜38℃でドライ分別することにより、高融点部を除去して、低融点部を得た。 得られた低融点部を0〜2℃でアセトン分別することにより、低融点部を除去して、高融点部(ヨウ素価32)を得た。 得られた高融点部を(非ラウリン系エステル交換油脂−1)とした。
    (ラウリン系エステル交換油脂−1):15質量部のパームステアリン(ヨウ素価15)、35質量部のパーム油中融点画分(ヨウ素価45)及び50質量部の極度硬化パーム核油を混合した。 得られた混合油(ラウリン酸含有量21.4質量%、トランス脂肪酸含有量0質量%)を、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換することにより、エステル交換油脂を得た。 得られたエステル交換油脂を(ラウリン系エステル交換油脂−1)とした。

    〔チョコレートの調製1〕
    表1および表2の配合に従って、比較例1および実施例1〜8のチョコレートを調製した。 すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練した。 精錬後の融液状態のチョコレートを型に流し込み、冷却固化して、板状のチョコレートを得た。 得られた各チョコレートの表面の光沢を、製造直後および20℃で2ヵ月保存後に、以下の評価基準に従って、目視にて評価した。 また、分光測色計を用いて、グロス値を測定した。 結果を、表1および表2に示した。

    光沢の評価基準 ◎:光沢に非常に優れている ○:光沢に優れている △:ふつう ▲:少しくすんで見える ×:光沢が無くなっている

    〔ハードバターおよびチョコレートの調製〕
    94質量部の(非ラウリン系エステル交換油脂−1)に、3.0質量部の(MMM−1)、および、3.0質量部の(L2M+LM2−1)を混合して、ハードバターAを得た。 ハードバターAの組成を表3に示した。
    また、97質量部の(非ラウリン系エステル交換油脂−1)に、3.0質量部の(MMM+L2M+LM2−1)を混合して、ハードバターBを得た。 ハードバターBの組成を表3に示した。
    表3の配合に従って、実施例9〜10のチョコレートを調製した。 すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練した。 精錬後の融液状態のチョコレートを型に流し込み、冷却固化して、板状のチョコレートを得た。 得られた各チョコレートの表面の光沢を、製造直後および20℃で2ヵ月保存後に、〔チョコレートの調製1〕と同様の評価基準に従って、目視にて評価した。 また、分光測色計を用いて、グロス値を測定した。 結果を、表3に示した。

    〔チョコレート用添加剤〕
    上記実施例1〜9で使用したMMM、L2M含有油脂、および、L2MおよびLM2含有油脂を、実施例1〜9における配合割合で予め混合したものは、チョコレート用添加剤として使用できる。 実施例1〜9において、チョコレート用添加剤とした場合の各混合物の組成を表4および表5に示した。 なお、実施例10でハードバターに配合した(MMM+L2M+LM2−1)(MMMの含有量が19.9質量%、L2MおよびLM2の合計含有量が74.6質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7)は、それ自体が本発明のチョコレート用添加剤である。

    〔チョコレートの調製2〕
    表5の配合に従って、比較例2〜3および実施例11〜12のチョコレートを調製した。 すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練した。 精錬後の融液状態のチョコレートを型に流し込み、冷却固化して、板状のチョコレートを得た。 得られた各チョコレートの表面の光沢を、製造直後および20℃で2ヵ月保存後に、〔チョコレートの調製1〕と同じ評価基準に従って、目視にて評価した。 また、分光測色計を用いて、グロス値を測定した。 結果を、表5に示した。

    *1;極度硬化パーム核ステアリン*2;ブルーム有り

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