食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材 |
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申请号 | JP2016512610 | 申请日 | 2015-01-14 | 公开(公告)号 | JPWO2015156007A1 | 公开(公告)日 | 2017-04-13 |
申请人 | 不二製油株式会社; | 发明人 | 佐藤 友則; 友則 佐藤; 英樹 本池; 英樹 本池; 朋子 藤田; 朋子 藤田; 中村 靖; 靖 中村; | ||||
摘要 | 本発明は、あらゆる食場面を通じて蛋白質をより多く摂取することが可能となるように、各種食品の蛋白質含有量向上のため汎用的に使用することのできる大豆蛋白質素材を提供することを課題とする。以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材は、各種食品の蛋白質強化に汎用的に使用することができる。1.NSIが20〜50、2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、4. 粗蛋白 当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、5.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下。 | ||||||
权利要求 | 以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材。 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下。以下の要件を満たす、請求項1記載の、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材。 1.NSIが25〜45、 2. 0.22M TCA可溶化率が12〜26%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が50mg/100g以下。エクストルージョンクッキングによる、以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法。 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下。エクストルージョンクッキングによる、以下の要件を満たす、請求項3記載の、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法。 1.NSIが25〜45、 2. 0.22M TCA可溶化率が12〜26%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.マグネシウムの含有量が50mg/100g以下。蛋白質強化の対象となる食品がチョコレート様食品である、請求項1又は2に記載の食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材。請求項1又は2に記載の食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を7.5〜30重量%含有する食品。以下の要件を満たす大豆蛋白質素材を使用する、食品の蛋白質強化方法。 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下。以下の要件を満たす大豆蛋白質素材を使用する、請求項7記載の、食品の蛋白質強化方法。 1.NSIが25〜45、 2. 0.22M TCA可溶化率が12〜26%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が50mg/100g以下。蛋白質強化の対象となる食品がチョコレート様食品である、請求項7又は8に記載の食品の蛋白質強化方法。請求項7又は8において、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を7.5〜30重量%含有させる、食品の蛋白質強化方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材に関するものである。 高齢者はその食生活において、加齢による食欲減退等により、低栄養となる場合がある。特に蛋白質の摂取不足は筋肉の減少などを引き起こし、骨折などのリスクを高める場合がある。よって、あらゆる食場面を通じて、蛋白質をより多く摂取できるような、各種高蛋白食品の開発が望まれている。 チョコレートに代表されるチョコレート様食品は、その好ましい風味により、世界的に広く食されている。チョコレートは主に、カカオマス、砂糖、ココアバター、粉乳等を原料に製造される場合が多い。ミルクチョコレートにおいて、蛋白質の含有量は7.4重量%程度である。 チョコレート様食品に大豆蛋白質素材を使用する出願としては、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3が存在する。 特開2009−142222号公報 国際公開WO2007/116819号パンフレット 特開2000−270775号公報
本発明は、あらゆる食場面を通じて蛋白質をより多く摂取することが可能となるように、各種食品の蛋白質含有量向上のため汎用的に使用することのできる大豆蛋白質素材を提供することを課題とする。 上記課題について、本発明者は鋭意検討を行ったが、当初は具体的課題が何であるかも不明確な状態であった。 各種食品の蛋白質含有量の向上を目的とした検討において、まずターゲットとしてチョコレート様食品を設定した。これは、チョコレート様食品は世界的にも広く嗜好される食品であって、食す際にそれほど咀嚼を必要とせず、咀嚼力の衰えた高齢者でも、容易に食することができる食品であると考えたからである。 特許文献1は大豆ペプチドを含有するチョコレート類に関する出願である。この出願で使用されるペプチドはサーモリシンにより加水分解を行うことが特徴である旨記載されている。しかし、大豆ペプチドを調製することは煩雑であるし、コストアップにつながる場合が多い。また、酵素分解にともない、独特の風味が付加されるため、汎用的な素材として使うことが難しくなる場合がある。 特許文献2は粒度を特定の値とすることで、悪食感を改善した油性食品を製造することに関する出願である。しかし、1mmの粒径を示す可食物を含む場合は、いわゆるサクサクした食感を示す食品となり、口中で融解する、いわゆるチョコレート様食品とは相違する食感を示す食品である。 特許文献3は原料に熱凝固性たんぱくを含むものであるが、焼成工程を含むチョコレート菓子の製造法に関するものであり、通常のチョコレートの食感とは相違するものである。 チョコレート様食品はその製造工程から、本来の原材料以外の素材を比較的容易に添加することは可能であることはうかがえた。しかし、本発明者が実際に、従来の大豆蛋白質素材を含有させたチョコレート様食品を調製した場合、風味や食感の点で問題が生じる場合があることが確認された。具体的には、従来の大豆蛋白質素材を含有させたチョコレート様食品を食した場合、大豆蛋白成分が、口中に張り付くような感覚があり、それがチョコレート様食品の風味や食感を悪く感じさせる根本的な原因の一つとなっていることを見出した。 本発明者はさらに検討を行った。そして、大豆蛋白質素材のNSIを低下させることにより、大豆蛋白成分が口中に張り付くような感覚を低減させることができるのではないかと思い至り、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、 (1)以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下、 (2)以下の要件を満たす、(1)記載の、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、 1.NSIが25〜45、 2. 0.22M TCA可溶化率が12〜26%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が50mg/100g以下、 (3)エクストルージョンクッキングによる、以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下、 (4)エクストルージョンクッキングによる、以下の要件を満たす、(3)記載の、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、 1.NSIが25〜45、 2. 0.22M TCA可溶化率が12〜26%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.マグネシウムの含有量が50mg/100g以下、 (5)蛋白質強化の対象となる食品がチョコレート様食品である、(1)又は(2)に記載の食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、 (6)(1)又は(2)に記載の食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を7.5〜30重量%含有する食品、 (7)以下の要件を満たす大豆蛋白質素材を使用する、食品の蛋白質強化方法、 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下、 (8)以下の要件を満たす大豆蛋白質素材を使用する、(7)記載の、食品の蛋白質強化方法、 1.NSIが25〜45、 2. 0.22M TCA可溶化率が12〜26%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が50mg/100g以下、 (9)蛋白質強化の対象となる食品がチョコレート様食品である、(7)又は(8)に記載の食品の蛋白質強化方法、 (10)(7)又は(8)において、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を7.5〜30重量%含有させる、食品の蛋白質強化方法、 に関するものである。 また換言すれば、 (11)以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.粗蛋白当たりのN末端数が0.6mmole/g以下、 5.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下、 (12)エクストルージョンクッキングにより製造される、以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30%、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下、 (13)エクストルージョンクッキングによる、以下の要件を満たす、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、 1.NSIが20〜50、 2. 0.22M TCA可溶化率が10〜30、 3.大豆蛋白質の含有量が60〜99重量%、 4.マグネシウムの含有量が200mg/100g以下、 (14)蛋白質強化の対象となる食品がチョコレート様食品である、(11)又は(12)に記載の食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、 (15)(11)又は(12)に記載の食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を7.5〜30重量%含有する食品、 に関するものである。 なお、大豆蛋白質素材におけるNSIを低下させる方法としては、マグネシウム塩を添加する方法もあった。しかし、マグネシウム塩を用いた場合は、当該大豆蛋白質素材を使用した食品において、ざらつき感が感じられ、不適となる場合があった。 本発明により得られた大豆蛋白質素材は、チョコレート様食品はもとより、他の食品へ添加した場合でも、口中への張り付き感なく、元の食品の風味や食感を阻害せず、蛋白質を強化できるものであった。 本発明で言う、「食品の蛋白質強化用」とは、対象とする食品本来の食味や物性に最小限の影響しか与えずに、当該食品の蛋白質含有量を増強する用途に汎用的に用いられることをいう。 ここで対象とする食品は特に問わないが、本発明が特に高齢者の蛋白質摂取量向上を目的としていることから、咀嚼の必要性が少なく、また、食欲の低下する高齢者でも好んで食すような、嗜好性の強い食品であることが望ましい。そのような観点からは、チョコレート様食品が最も望ましい。チョコレート様食品は嗜好性も強く、元来、油分や糖質を多く含んだ食品である。よって、これに蛋白質を強化することができれば、油脂、糖質、蛋白質の三大栄養素を摂取できる食品となる。 蛋白質の強調表示をするためには、表示の内容により食品100g中に蛋白質が7.5〜15gの基準値以上含有している必要がある。本発明では、対象とする食品に大豆蛋白質素材を、蛋白質として7.5〜30重量%含有させることが望ましく、より望ましくは10〜28重量%であり、更に望ましくは12〜25重量%である。 そして、本発明において「食品の蛋白質強化用」と言えるためには、大豆蛋白質素材を蛋白質として最低限7.5重量%含有させても、当該食品の本来の食味や物性に最小限の影響しか与えないことと定義する。具体的手法は実施例に記載する。 本発明でいうチョコレート様食品とは、一例を挙げると、チョコレート類が該当する。また、ここで言うチョコレート類とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、チョコレート利用食品だけでなく、油脂類を必須成分とし、必要により糖類、粉乳類、カカオ原料(カカオマス、ココア、ココアバター)、果汁粉末、果実粉末、呈味材、乳化剤、香料、着色料等の副原料を任意の割合で配合したものを言う。 使用することができる油脂類としては、カカオ脂の他に大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ごま油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、ババス油、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等が例示できる。 なお、チョコレート類の風味は、カカオ原料、粉乳類、糖類が主成分であるスイートチョコレート類、ミルクチョコレート類、ホワイトチョコレート類に限らず、コーヒー風味、キャラメル風味、抹茶風味、果実風味、野菜風味、塩味系風味などの風味バラエティー品も、当然その範囲に入る。 本発明でいうNSI(Nitrogen soluble index)とは、窒素溶解度指数のことである。すなわち、所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表したものであり、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。 (NSIの測定法) 試料3.5gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1,400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1,400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。 本発明においては、NSIは20〜50であることが必要であり、より望ましくは25〜45である。NSIが低すぎる場合は、ざらつきが感じられる場合があり、NSIが高すぎる場合は、ねちゃついた食感となる場合がある。 分離大豆蛋白におけるNSIを下げるためには、マグネシウム塩を使用する方法もある。しかし、マグネシウム塩を使用してNSIを下げた場合は、ざらつきが発生するため、本発明では、マグネシウムの量は、大豆蛋白素材中200mg/100g以下とする必要がある。この値は、より望ましくは、150mg/100g以下であり、さらに望ましくは100mg/100g以下である。最も望ましくは50mg/100g以下である。 本発明における食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材は、当該大豆蛋白質素材を含む食品を食す際に、ざらつき等を感じない程度の粒度であることが望ましい。それは、本発明が、当該食品本来の食感に影響を与えることなく、蛋白質量を向上することを目的としているからである。 本発明に係る大豆蛋白質素材は、0.22M TCA可溶化率が10〜30%である必要があり、より望ましくは11〜28%であり、さらに望ましくは12〜26%である。0.22M TCA可溶率が高すぎると、異風味が感じられる場合があり、低すぎると、ざらつきが感じられる場合がある。 0.22M TCA可溶率は蛋白粉末を蛋白質分が1.0重量%になるように水に分散させ十分撹拌した溶液に対し、全蛋白に対する0.22Mトリクロロ酢酸(TCA)可溶性蛋白の割合をケルダール法、ローリー法等の蛋白定量法により測定したものである。 食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材における大豆蛋白質の含有量は、60〜99重量%である必要があり、より望ましくは70〜95重量%であり、さらに望ましくは80〜90重量%である。望ましい大豆蛋白質の含有量であれば、効率的に食品の蛋白質を強化することが可能となる。 また、食品の蛋白質強化用大豆蛋白質素材における粗蛋白当たりのN末端数は0.6mmole/g以下である必要がある。このような大豆蛋白質は、エクストルージョンクッキングのような過剰な物理的作用を受けていることが想定され、好ましい食感の食品が得られる蛋白質強化用大豆蛋白質素材と判断できる。 本発明に係る大豆蛋白質素材は、エクストルージョンクッキング工程を経て製造されることが望ましい。エクストルージョンクッキング工程は、具体的には1軸ないし2軸のエクストルーダーを用い、大豆蛋白質を含有する素材を高温、高圧下で混捏し、大気圧中に押し出すことにより膨化するものである。ここで使用する大豆蛋白質素材は、事前に酵素分解等により、TCA可溶率を調整したものを用いる必要がある。 本発明では、エクストルージョンクッキング工程を経た後、粉砕機で粉砕して使用するのが好ましい。ここで使用する粉砕機は特に限定されず、たとえば、石臼式粉砕機、衝撃式粉砕機を例示できる。 粉砕時の大きさは特に限定されず、対象とする食品を調製する段階で、あわせて本発明に係る大豆蛋白質素材もさらに粉砕され、最終的に、食感に違和感のない程度の大きさになればよい。 以下、実施例等により本発明の実施形態をより具体的に記載する。 「検討1 蛋白質素材の調製」 実施例1〜6、比較例1〜5 表1の配合にて、以下に示す「組織化大豆蛋白質素材の調製法」に従い、組織化大豆蛋白質素材を調製した。その後粉砕して、蛋白質素材を調製した。なお、表1においてエクストルージョンクッキングなし、とされているものは、原料として記載する分離大豆蛋白そのものを指す。 得られた大豆蛋白質素材はNSI,TCA可溶化率(TCAと略する場合がある)を、それぞれ以下の方法で測定した。また、TNBS法によりN末端数を測定し、蛋白当たりの数値を割り出した。 測定結果は、表2に示した。蛋白量はケルダール法により測定した。(蛋白係数6.25) 表1 配合表 ○組織化大豆蛋白質素材の調製法 (エクストルージョンクッキング「あり」の場合、以下の工程を実施した。) 1 配合に従い、原料を粉体混合した。 2 幸和工業(株)製二軸エクストルーダーを用いて組織化した。 水の添加量はダイから押し出される組織化物が膨化するようにバルブを調整し、原料中の水分を約7〜30重量%の間で調整した。 スクリュー回転数は200rpmとした。 先端バレル温度は160〜180℃であった。先端バレルの圧力は0〜20kg/cm2の間で変化させた。 3 得られた膨化物は、長さ5〜10mm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断した。 4 タバイ(株)製ESPEC PV-221乾燥機にて水分3〜6重量%となるよう80℃の熱風で乾燥を行った。 5 乾燥品を石臼式粉砕機である有限会社ウエスト社製ミクロ・パウダー MPW-G008にて粉砕を行ない、大豆蛋白質素材を得た。 ○0.22M TCA可溶化率の測定法 1 大豆蛋白質素材に10倍量の水を加え、プロペラ撹拌した。 2 濾紙(No.5)透過液を得、これに対し、等量の0.44M TCA溶液を加えた。 3 濾紙(No.6)透過液中の窒素をケルダール法で測定し、重量で除して百分率で表した。 ○NSIの測定法 1. 試料3.5gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出した。 2. 1,400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得た。 3. 残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1,400×gにて10分遠心分離し、上清2を得た。 4. 上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとし、No.5Aろ紙にてろ過した。 5. ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定した。 6. 試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとした。 ○TNBS法によるN末端数測定 A,B,C,D各試薬を調製した。 A 0.1M Na2SO3溶液 B 0.1M Na2B4O7 NaOH溶液 C 1.5mlの溶液Aに、98.5mlの水を加えたもの。 D 0.275M TNBS(2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸) 1 0.2重量%の蛋白質素材懸濁液1mlにBを1ml、Dを0.04ml添加した。 2 5分間放置した。 3 Cを4ml添加した。 4 420nmの吸光度を測定した。 5 グルタミン酸ナトリウムの標準曲線から、N末端数を割り出した。 「検討2 チョコレート様食品の調製」 実施例7〜12、比較例6〜11 検討1で調製したサンプル等を用い、チョコレート様食品の調製を行った。 配合は表2に示した。チョコレート様食品の調製法は以下に記載した。 得られたチョコレート様食品は、パネラー5名による官能評価を行った。具体的な方法は以下に記載した。 得られた結果を表3にまとめた。 表2 チョコレート様食品の配合 ○チョコレート様食品の調製法 ・ロールフレークの作製 表2の配合に従い、大豆蛋白素材、融解したカカオマス、砂糖、ココアバターの一部、バニリンを配合し、ミキサー(愛工舎株式会社製AM30)にてドウ状になる程度(8〜10分)に撹拌してロールリファイナー投入生地を作製し、ロールリファイナー投入生地をロールリファイナー(BUHLER社株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微細化し、ロールフレークを得た。ロールフレークの粒度は21μmであった。 なお、用いたカカオマスのタンパク含量は13.5重量%であった。 ・コンチング 得られたロールフレークをコンチングマシン(株式会社品川工業所製)にて60℃で180分間ドライコンチングを行い、残りのココアバターを追油し、レシチンを添加したのち、リキッドコンチングを60分行い、最終的なチョコレート様食品を得た。 ○チョコレート様食品の官能評価 それぞれの項目について、パネラー5名の合議により、比較例11との比較において採点を行った。 評価は、口中への張り付き感、風味、ざらつきの各項目について行い、全ての項目で3点以上となったものを合格とした。 5点 コントロールよりも勝るもの。 4点 コントロールと同等のもの。 3点 コントロールよりわずかながら劣るが、差はごくわずかと判断されるもの。 2点 コントロールより明確に劣るもの。 1点 コントロールよりもかなり劣るもの。 なお、3点以上であれば、「チョコレート様食品本来の食味や物性に最小限の影響しか与えない」と判断された。 表3 官能評価結果 考察 表3記載の通り、本発明に係る大豆蛋白素材を用いることで、食品の食味や物性に最小限の影響しか与えない中で、当該食品の蛋白質を強化できることが明らかとなった。 |