焼成油性菓子およびその製造方法 |
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申请号 | JP2015513734 | 申请日 | 2014-04-18 | 公开(公告)号 | JP6014755B2 | 公开(公告)日 | 2016-10-25 |
申请人 | 株式会社明治; | 发明人 | 廣田 典之; 松浦 正; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | HLBが1以上4.3以下であるソルビタン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする焼成チョコレート。ソルビタン脂肪酸エステルが、ソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリオレエートであることを特徴とする、請求項1に記載の焼成チョコレート。ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが1以上3以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の焼成チョコレート。センター部およびシェル部からなる焼成複合油性菓子であって、前記センター部は、HLBが1以上4.3以下であるソルビタン脂肪酸エステルを含有するチョコレートを含有し、前記シェル部は、ソルビタン脂肪酸エステルを含有しないチョコレートを含有することを特徴とする焼成複合油性菓子。HLBが1以上4.3以下であるソルビタン脂肪酸エステルを含有するチョコレート生地を用意する工程と、チョコレート生地を所定の形状に成形してチョコレートを得る工程と、チョコレートを焼成する工程とを含むことを特徴とする、焼成チョコレートの製造方法。ソルビタン脂肪酸エステルが、ソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリオレエートであることを特徴とする、請求項5に記載の焼成チョコレートの製造方法。ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが1以上3以下であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の焼成チョコレートの製造方法。前記チョコレート生地が水を含有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の焼成チョコレートの製造方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、焼成後にぼそぼそとせず良好な口溶けを有する焼成油性菓子に関するものである。 チョコレートは、主に砂糖、カカオマス、粉乳、ココアバター等からなり、これら原料を微粉砕して冷却し、固化させたものである。チョコレートは、常温では固形であるが、食したときには口中の熱によって口の中で溶ける。これは主にココアバターの物性の温度特性によるものである。 しかし、夏季等気温の高い状態にさらされると、チョコレートが溶けてしまったり、溶けたチョコレートをそのまま再度冷却固化しても、テンパリングされていない状態であるため表面がべとついたままであったり、保存中にいわゆるブルームが発生して食感および外観が悪くなったりするなど問題があった。 これを解決するため、耐熱性を付与する目的でチョコレート等を焼成した焼成油性菓子が開示されている(特許文献1)。 特開昭52−148662号公報
チョコレートを焼成すると、表面が硬く変質し、高温下でも保形性を有し、表面が手にべとつかなくなるという利点がある一方で、内部まで硬くぼそぼそとした食感となり、口溶けも悪く、チョコレートとしては好ましくない品質となってしまうという問題がある。 本発明が解決しようとする課題は、表面が硬く耐熱性を有しつつ、内部はチョコレート本来の口溶けの良い状態を保つ焼成油性菓子を得ることである。 本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の配合の油性菓子を焼成することで、表面は手にべとつかず耐熱性を有しつつ、内部は口溶けのよい状態を保つ新規な焼成油性菓子を得るに至った。すなわち、 (1) ソルビタン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする焼成油性菓子。 (2) ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが1以上5以下であることを特徴とする、(1)に記載の焼成油性菓子。 (3) ソルビタン脂肪酸エステルが、ソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリオレエートであることを特徴とする、(2)に記載の焼成油性菓子。 (4) ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが1以上3以下であることを特徴とする、(1)に記載の焼成油性菓子。 (5) 油性菓子生地を用いて得られる焼成油性菓子であって、前記油性菓子生地が、大豆レシチンを油性菓子生地全体の質量に対して0.9質量%以上含有することを特徴とする焼成油性菓子。 (6) センター部およびシェル部からなる焼成複合油性菓子であって、前記センター部は、ソルビタン脂肪酸エステルを含有する油性菓子からなり、前記シェル部は、ソルビタン脂肪酸エステルを含有しない油性菓子からなることを特徴とする焼成複合油性菓子。 (7) センター部およびシェル部からなる焼成複合油性菓子であって、前記センター部は、大豆レシチンをセンター部の油性菓子生地全体の質量に対して0.9質量%以上含有する油性菓子生地を用いて得られる油性菓子からなり、前記シェル部は、大豆レシチンをシェル部の油性菓子生地全体の質量に対して0.9質量%以上含有しない油性菓子生地を用いて得られる油性菓子からなることを特徴とする焼成複合油性菓子。 (8) ソルビタン脂肪酸エステルを含有する油性菓子生地を用意する工程と、油性菓子生地を所定の形状に成形して油性菓子を得る工程と、油性菓子を焼成する工程とを含むことを特徴とする、焼成油性菓子の製造方法。 (9) ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが1以上5以下であることを特徴とする、(8)に記載の焼成油性菓子の製造方法。 (10) ソルビタン脂肪酸エステルが、ソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリオレエートであることを特徴とする、(9)に記載の焼成油性菓子の製造方法。 (11) ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが1以上3以下であることを特徴とする、(8)に記載の焼成油性菓子の製造方法。 (12) 大豆レシチンを油性菓子生地全体の質量に対して0.9質量%以上含有する油性菓子生地を用意する工程と、油性菓子生地を所定の形状に成形して油性菓子を得る工程と、油性菓子を焼成する工程とを含むことを特徴とする、焼成油性菓子の製造方法。 (13) 油性菓子生地が水を含有することを特徴とする、(8)〜(12)のいずれか一つに記載の焼成油性菓子の製造方法。 本発明によれば、焼成油性菓子の表面が硬く耐熱性を有しつつ、内部が固くならず口溶けの良い状態を保った、良好な焼成油性菓子を提供することができる。 本発明を実施するための形態を以下詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。 本発明の一実施形態に係る焼成油性菓子は、ソルビタン脂肪酸エステルを含有する。 本実施形態において油性菓子としては、例えば、ホワイトチョコレート、ミルクチョコレート、スイートチョコレート等、いずれのチョコレートを用いてもよく、また、日本国公正取引委員会認定のルールである「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」に定めるチョコレートおよび準チョコレートに限らず、それらに該当しないテンパータイプ、ノンテンパータイプのファットクリーム、ナッツクリーム等、あらゆる種類の油性菓子を用いることができる。 本実施形態でソルビタン脂肪酸エステルを使用する場合、ソルビタン脂肪酸エステルのHLBは1以上5以下であることが好ましく、3以下であることがさらに好ましい。焼成油性菓子の内部の口溶けがより良好となるためである。 本実施形態で使用するソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート等があるが、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエートを使用することが好ましい。特にソルビタントリオレエートを使用することが好ましい。焼成油性菓子の内部の口溶けがより良好となるためである。 本実施形態で使用するソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、焼成用油性菓子生地全体の質量に対して0.05質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。含有量が0.05質量%以上であることによって本発明の効果が十分に得られやすい。また、含有量が1質量%以下であることによって、乳化剤の味が焼成油性菓子の味に影響を及ぼしにくい。 本発明の別の実施形態に係る焼成油性菓子は、焼成用油性菓子生地全体の質量に対して0.9質量%以上の大豆レシチンを含有する。本発明の焼成油性菓子は、大豆レシチンを油性菓子生地中0.9質量%以上含有することにより、ソルビタン脂肪酸エステルを用いた場合と同様に、得られる焼成油性菓子の表面が硬く耐熱性を有しつつ、内部が固くならず口溶けの良い状態を保つことができる。 大豆レシチンの含有量は、焼成用油性菓子生地全体の0.9質量%以上であり、1.2質量%以上であることが好ましい。大豆レシチンの含有量は、油性菓子全体の3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。大豆レシチンは、HLBが3〜5であることが好ましい。焼成油性菓子が上記範囲の大豆レシチンを含有する場合、同時にソルビタン脂肪酸エステルを含有していてもよい。 以下に本実施形態の焼成油性菓子の製造について一例を説明する。まず、カカオマス、砂糖、ココアバター、レシチン、全粉乳等を使用し、定法により、原料混合、レファイニング、コンチング工程等を経て、ベースとなるチョコレート生地を得る。もし必要ならば、得られたチョコレート生地に、油脂、副原料等を後から追加してもよい。 ソルビタン脂肪酸エステルを含有する焼成油性菓子を製造する場合、チョコレート生地にソルビタン脂肪酸エステルを含有させる方法には特に制限はないが、例えば、チョコレート生地の原料混合時に添加してもよいし、得られたチョコレート生地に後から添加してもよい。 次に、得られたソルビタン脂肪酸エステル含有チョコレート生地を所定の形状に成形および冷却固化し、焼成用油性菓子としてチョコレートを得る。必要であれば、成形する前にテンパリングを行ってもよい。テンパリングは、ハンドテンパリングでもよいし、シード剤を添加する方法をとってもよい。チョコレートを所定の形状に成形する方法はどんな方法でもよい。例えば、チョコレート生地をモールドに注入して冷却固化してもよい。または、デポジッター等を用いて平板の上に所定の形状に成形して冷却固化してもよい。ミキサーを用いてチョコレートを含気させ、含気チョコレート生地を上記方法等で成形してもよい。 焼成用油性菓子生地中0.9質量%以上の大豆レシチンを含有する焼成油性菓子を製造する場合、ソルビタン脂肪酸エステルに代えて、大豆レシチンを合計0.9質量%以上となるように含有させる他は、上述の方法と同様の方法により焼成用油性菓子としてチョコレートを得ることができる。大豆レシチンをチョコレート生地に含有させる方法としては、ベースのチョコレート生地の原料混合時に、レシチンが通常加えられるタイミングで所望の量を一度に添加してもよく、また、予め少量の大豆レシチンを含有するチョコレート生地に、大豆レシチンのチョコレート生地中の含有量が0.9質量%以上となるように、後から添加してもよい。 本実施形態においては、得られたチョコレートの表面にさらに別のチョコレート等の油性菓子および/または澱粉性原料を被覆することで得られる、配合および/または組成の異なる2種以上の菓子を組み合わせた複合油性菓子を焼成用油性菓子としてもよい。本実施形態に係る焼成複合油性菓子は、焼成複合菓子の中心部に位置するセンター部と、そのセンター部の周囲の一部または全部を被覆するように位置するシェル部とからなる。センター部用のチョコレートをシェル部用の油性菓子および/または澱粉性原料で被覆する方法には制限はなく、例えばレボルビングパンを用いてチョコレートの表面に油性菓子および/または澱粉性原料を被覆してもよいし、油性菓子または澱粉性原料生地を満たした槽にチョコレートを浸漬してもよい。また、特にチョコレートに油性菓子を被覆する場合には、モールド型を用いて油性菓子のシェルを作成し、その内部に、上記チョコレート生地を注入する方法を用いてもよいし、いわゆるワンショットデポジッター法を用いてもよい。 上述の方法により得られた、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/または0.9質量%以上の大豆レシチンを含有するチョコレートの表面に、ソルビタン脂肪酸エステルおよび0.9質量%以上の大豆レシチンをいずれも含有しない油性菓子、特にHLBが3以下のソルビタン脂肪酸エステルを含有しない油性菓子を被覆し焼成すると、焼成されサクサクとした食感のシェル部と、チョコレート本来の口溶けを保つセンター部との境界がはっきりするため、より効果を奏し好ましい。 次に、得られたチョコレートをオーブン等で焼成する。チョコレートを100℃以上300℃以下で焼成することが好ましく、160℃以上250℃以下で焼成することがより好ましい。従来、100℃以上で焼成するとチョコレートが硬く変質し口溶けが悪くなるが、本発明の製造方法によれば、得られる焼成油性菓子の口溶けが改善され、100℃以上で焼成する場合に特に効果を奏する。 可能であれば、チョコレート生地を所定形状に成形した後、冷却固化せずに焼成してもよい。 本実施形態において、油性菓子生地は水を含有してもよい。油性菓子生地に水を含有させる方法には特に制限はない。例えば、油性菓子生地の原料混合時に水分を添加してもよいし、得られた油性菓子生地に後から水分を添加してもよい。水を添加することで、焼成時の油性菓子生地の保形性が向上する。得られた油性菓子生地に後から水分を添加する方が、油性菓子生地の凝集や過度の増粘を起こしにくく、焼成時の油性菓子生地の保形性の向上効果が高いため、好ましい。また、従来の油性菓子であれば水を添加すると口溶けが悪くなってしまうが、本実施形態に係る焼成油性菓子は、ソルビタン脂肪酸エステルまたは特定量の大豆レシチンの効果により、水を添加しても焼成油性菓子の内部が油性菓子生地本来の柔らかく良好な口溶けを保つことができる。 本実施形態において、油性菓子生地に添加される水の量は、焼成用油性菓子生地全体の質量に対して0.1質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。添加する水の量が0.1質量%以上であると、焼成時の油性菓子生地の保形性を有する効果が十分に得られる。また、3質量%以下であると、油性菓子生地の過度の粘度上昇を抑えて作業性を良好に保ち、本発明の効果を十分に得ることができる。 本実施形態において、油性菓子生地は、添加される水以外の、その他の原料に由来する水分を含有していてもよい。油性菓子生地に含有される水分の総量は油性菓子生地全体の質量に対して0.5〜3.0質量%であることが好ましく、0.8〜2.0質量%であることがより好ましい。 以下、実施例を挙げて更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (製造例1) カカオマス18質量部、砂糖40質量部、全粉乳20質量部、ココアバター21質量部、大豆レシチン0.5質量部、香料0.5質量部を用い、チョコレート製造の定法により混合、粉砕およびコンチングし、油分36質量%のミルクチョコレートベース生地を得た。 (実施例1) 製造例1で得られたミルクチョコレートベース生地92質量部、ショートニング(商品名:メラノSS、不二製油製)7.5質量部およびHLBが2.1のソルビタントリオレエート(商品名:エマゾールO−30V、花王ケミカル製)0.5質量部を混合し、焼成用油性菓子生地Aを得た。 得られた焼成用油性菓子生地Aの水分は、焼成用油性菓子生地Aの全体の質量に対して1.0質量%であった。 得られた焼成用油性菓子生地Aを定法によりテンパリングした後、成形および冷却固化し、1辺が約1.6cm、質量が4.4gである略立方体の焼成用油性菓子を得た。 得られた油性菓子を熱風オーブンによって200℃で3分焼成し、実施例1の焼成油性菓子を得た。得られた焼成用油性菓子の水分は、焼成用油性菓子の全体の質量に対して1.0質量%であった。 得られた焼成油性菓子の表面は焼成により固化し、手にべとつかず耐熱性を有し、かつ内部は油性菓子本来の柔らかく良好な口溶けを有しており、良好な品質であった。 (試験例1) 添加する乳化剤の種類以外は実施例1と同じ方法で、各種乳化剤を含有した焼成油性菓子を得た(実施例2〜4、比較例1〜9)。得られた焼成油性菓子について実施例1と同様に官能試験を実施した。結果を表1に示した。 A:良好な口溶け B:やや良好な口溶け C:劣った口溶け D:ぼそぼそとしており、かなり劣った口溶け ショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸エステル、ポリグリセリン酸エステル、またはソルビタン脂肪酸エステルを添加した焼成油性菓子では、何も添加していない焼成油性菓子に比べ、口溶けが改善された。中でもHLBが5以下のソルビタン脂肪酸エステルを添加したものが特に口溶けが良く、HLB3以下のソルビタン脂肪酸エステルを添加したものがさらに口溶けが良かった。また、ベースのチョコレート生地に更に大豆レシチンを添加した焼成油性菓子も、口溶けが良かった。 (実施例5) 製造例1で得た、ソルビタン脂肪酸エステルを含有せず0.5重量部の大豆レシチンを含有するミルクチョコレートベース生地をテンパリング後、内容積3.7ml、略立法体の樹脂製モールド型に2.2g充填した。次に−20℃に冷却された金属製押し型によってチョコレートベース生地がモールド型内内壁全体に行き渡るように押し広げた。金属製押し型を抜き取り、モールド内にミルクチョコレートベース生地からなるカップ状の油性菓子を得た。 実施例1で用いた焼成用油性菓子生地Aをテンパリングし、1.6gを前記カップ状の油性菓子の凹部に充填した。 さらに、その上から、テンパリングした製造例1で得たミルクチョコレートベース生地1.0gを、前記凹部に充填した焼成用油性菓子生地Aを覆うように、カップ状油性菓子内に充填した。充填したチョコレート生地の上面がモールド型と同じ高さになるようにスクレーパーを用いて余剰のチョコレート生地を取り除き、冷却および固化した後、モールドを剥離し、ミルクチョコレートベース生地からなるシェル部と、焼成用油性菓子生地Aからなるセンター部とからなる、焼成用複合油性菓子Xを得た。 得られた焼成用複合油性菓子Xの質量は4.39gであった。 得られた焼成用複合油性菓子Xを220℃、3分間焼成し、焼成複合油性菓子X’(実施例5)を得た。焼成終了直後の焼成複合油性菓子X’の中心部温度は140℃であった。 (比較例10) 使用する焼成用油性菓子生地にHLBが2.1のソルビタン脂肪酸エステルが含まれていない以外は実施例5と同じ方法で、焼成用複合油性菓子Yおよび焼成複合油性菓子Y’(比較例10)を得た。 (試験例2) 得られた焼成用複合油性菓子X,Yおよび焼成複合油性菓子X’,Y’の硬度を測定した。測定方法は直径2mmの円柱状プランジャーを進入速度2mm/秒、進入長4mmで焼成複合油性菓子に突き刺したときの最大応力を比較した。測定時の品温は20℃であった。測定結果を表2に示す。
X’,Y’とも、シェル部は十分に焼成されており、手にべとつかず耐熱性を有しており、また、サクサクとした良好な食感を有していた。センター部にソルビタン脂肪酸エステル及び追加の大豆レシチンを添加していない焼成複合油性菓子Y’は、焼成前に比べて極度に硬くなっており、センター部はぼそぼそとして口溶けがかなり劣っており好ましくなかった。一方、センター部にソルビタン脂肪酸エステルを添加している焼成複合油性菓子X’は、そのセンター部はチョコレート本来の良好な口溶けを保っており、良好な品質であった。 (製造例2) 乳糖31質量部、全粉乳25質量部、砂糖10質量部、ショートニング(商品名:メラノSS、不二製油製)33質量部、大豆レシチン0.5質量部を用い、チョコレート製造の定法により混合、粉砕およびコンチングし、油分36質量%の油性クリームベース生地を得た。 (実施例6) 製造例2で得られた油性クリームベース生地74質量部、ショートニング(商品名:メラノSS、不二製油製)16質量部、シード剤(商品名:BOBスター、不二製油製)3質量部、ココアパウダー5質量部、大豆レシチン1質量部、水0.6質量部、HLBが2.1のソルビタントリオレエート(商品名:エマゾールO−30V、花王ケミカル製)0.5質量部を混合し、焼成用油性菓子生地Bを得た。 得られた焼成用油性菓子生地Bの水分は焼成用油性菓子生地B全体の質量に対して1.5質量%であった。 得られた焼成用油性菓子生地Bを成形および冷却固化し、1辺が約1.6cm、質量が4.4gである略立方体の焼成用油性菓子を得た。 得られた油性菓子を熱風オーブンによって200℃で3分焼成し、実施例6の焼成油性菓子を得た。得られた焼成用油性菓子の水分は、焼成用油性菓子の全体の質量に対して1.5質量%であった。 実施例6で得られた焼成油性菓子は、加熱による変形もなく良好な形状を有していた。得られた焼成油性菓子の表面は焼成により固化し、手にべとつかず耐熱性を有し、かつ内部は油性菓子本来の柔らかく特に良好な口溶けを有しており、特に良好な品質であった。 (試験例3) 大豆レシチン、HLBが2.1のソルビタントリオレエートおよび水の添加量を表3に示すとおりとした以外は実施例6と同じ方法で、乳化剤を含有した焼成油性菓子を得た(実施例7〜9)。得られた焼成油性菓子について実施例1と同様に官能試験を実施した。結果を表3に示した。なお、表3に示す大豆レシチン添加量は、製造例2で得られた油性クリームベース生地に含まれる大豆レシチンとは別に、更に添加する量である。表3中の数値の単位は質量部である。 A+:特に良好な口溶け A:良好な口溶け B:やや良好な口溶け C:劣った口溶け D:ぼそぼそとしており、かなり劣った口溶け 実施例7〜10で得られた焼成油性菓子は、加熱による変形もなく良好な形状を有していた。得られた焼成油性菓子の表面は焼成により固化し、手にべとつかず耐熱性を有し、かつ内部は油性菓子本来の柔らかく良好な口溶けを有しており、良好な品質であった。大豆レシチンおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルの添加量が多い焼成油性菓子ほどより良好な口溶けを有し、大豆レシチンの追加の添加量が1質量部、ソルビタン脂肪酸エステルの添加量が0.5質量部である焼成油性菓子は特に良好な口どけを有しており、特に良好な品質であった。 |