ファットブルーム防止剤およびチョコレート製品

申请号 JP2017044073 申请日 2017-03-08 公开(公告)号 JP2018143205A 公开(公告)日 2018-09-20
申请人 第一工業製薬株式会社; 发明人 岩木 徹; 米田 直紀;
摘要 【課題】所定のショ糖 脂肪酸 エステルを含むことにより、たとえば食品(チョコレート製品等)におけるファットブルームを長期間にわたって抑制し得るファットブルーム防止剤、および、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むチョコレート製品を提供する。 【解決手段】ショ糖脂肪酸エステルを含むファットブルーム防止剤であり、ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含み、ステアリン酸は、パルミチン酸1モルに対し、1.2〜4モル含まれ、不飽和脂肪酸は、5〜35質量%含まれる、ファットブルーム防止剤。 【選択図】なし
权利要求

ショ糖脂肪酸エステルを含むファットブルーム防止剤であり、 前記ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含み、 前記ステアリン酸は、前記パルミチン酸1モルに対し、1.2〜4モル含まれ、 前記不飽和脂肪酸は、5〜35質量%含まれる、ファットブルーム防止剤。食品用である、請求項1記載のファットブルーム防止剤。ココアバターと、ショ糖脂肪酸エステルとを含み、 前記ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含み、 前記ステアリン酸は、前記パルミチン酸1モルに対し、1.2〜4モル含まれ、 前記不飽和脂肪酸は、5〜35質量%含まれる、チョコレート製品。さらに食用油脂(ただし、ココアバターを除く)を含む、請求項3記載のチョコレート製品。前記食用油脂は、ノンテンパー型食用油脂である、請求項4記載のチョコレート製品。

说明书全文

本発明は、ファットブルーム防止剤およびチョコレート製品に関する。より詳細には、本発明は、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むことにより、長期間にわたりファットブルームの発生を抑制し得るファットブルーム防止剤、および、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むチョコレート製品に関する。

従来、チョコレート製品等において、表面上に油脂の結晶が生じるファットブルームが問題視されている。ファットブルームは、たとえば保存時の温度変化によって油脂が表面に溶け出し、次いで、結晶化することによって生じる。ファットブルームが生じたチョコレートは、風味や食感(口どけ等)が低下しやすい。

また、チョコレート製品は、配合される油脂の種類によって、テンパー型と、ノンテンパー型とに大別される。テンパー型チョコレート製品は、テンパリングを必要とする。そのため、テンパー型チョコレート製品は、テンパリングが行われない場合、上記したファットブルームを生じやすい。一方、ノンテンパー型チョコレート製品は、テンパリングを要されないとされている。しかしながら、ノンテンパー型チョコレート製品に使用される油脂は、一般に、ココアバターとの相溶性が低い。そのため、配合によっては、ノンテンパー型チョコレート製品もまた、ファットブルームを生じやすい。特許文献1には、テンパー型チョコレート製品におけるファットブルーム防止剤が開示されている。一方、特許文献2には、ノンテンパー型チョコレートが開示されている。

特開平2−249452号公報

特開2016−129494号公報

特許文献1に記載のファットブルーム防止剤は、テンパー型チョコレート製品におけるファットブルームを抑制し得る期間が短い。また、特許文献2に記載のノンテンパー型チョコレートもまた、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制されない。

本発明は、これら従来の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むことにより、たとえば食品(チョコレート製品等)におけるファットブルームを長期間にわたって抑制し得るファットブルーム防止剤、および、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むチョコレート製品を提供することを目的とする。

上記課題を解決する本発明のファットブルーム防止剤およびチョコレート製品には、以下の構成が主に含まれる。

(1)ショ糖脂肪酸エステルを含むファットブルーム防止剤であり、前記ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含み、前記ステアリン酸は、前記パルミチン酸1モルに対し、1.2〜4モル含まれ、前記不飽和脂肪酸は、5〜35質量%含まれる、ファットブルーム防止剤。

このような構成によれば、ファットブルーム防止剤は、上記所定のショ糖脂肪酸エステルを含む。これにより、ファットブルーム防止剤は、対象となる食品等に添加されることにより、ファットブルームの発生を長期間にわたって抑制し得る。

(2)食品用である、(1)記載のファットブルーム防止剤。

このような構成によれば、ファットブルーム防止剤は、食品において、ファットブルームの発生を長期間にわたって抑制し得る。これにより、食品は、外観、風味、食感(口どけ等)等が長期にわたって保たれやすい。

(3)ココアバターと、ショ糖脂肪酸エステルとを含み、前記ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含み、前記ステアリン酸は、前記パルミチン酸1モルに対し、1.2〜4モル含まれ、前記不飽和脂肪酸は、5〜35質量%含まれる、チョコレート製品。

このような構成によれば、チョコレート製品は、上記所定のショ糖脂肪酸エステルを含む。これにより、チョコレート製品は、種々の効果が得られる。一例を挙げると、チョコレート製品は、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制され得る。その結果、チョコレート製品は、外観、風味、食感(口どけ等)等が長期にわたって保たれやすい。

(4)さらに食用油脂(ただし、ココアバターを除く)を含む、(3)記載のチョコレート製品。

このような構成によれば、チョコレート製品は、食用油脂の種類によって、テンパー型チョコレート製品またはノンテンパー型チョコレート製品のいずれにも加工され得る。得られるチョコレート製品は、上記所定のショ糖脂肪酸エステルが含まれているため、特に、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制され得る。

(5)前記食用油脂は、ノンテンパー型食用油脂である、(4)記載のチョコレート製品。

このような構成によれば、特に、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制されたノンテンパー型チョコレート製品が得られる。このようなノンテンパー型チョコレート製品は、テンパリングを要さないため、一般消費者等によっても取り扱われやすい。

本発明によれば、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むことにより、たとえば食品(チョコレート製品等)におけるファットブルームを長期間にわたって抑制し得るファットブルーム防止剤、および、所定のショ糖脂肪酸エステルを含むチョコレート製品を提供することができる。

<ファットブルーム防止剤> 本発明の一実施形態のファットブルーム防止剤は、ショ糖脂肪酸エステルを含む。ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含む。ステアリン酸は、パルミチン酸1モルに対し、1.5〜3モル含まれる。不飽和脂肪酸は、ファットブルーム防止剤中、5〜35質量%含まれる。以下、それぞれについて説明する。なお、本実施形態のファットブルーム防止剤は、食品(特にチョコレート製品)に対して好適に用いられる。しかしながら、ファットブルーム防止剤は、食品用途に限定されない。一例を挙げると、ファットブルーム防止剤は、口紅などの化粧品等の食品以外の分野において、油脂成分が表面に浮き上がり、結晶化する現象を抑制するために用いられてもよい。本実施形態では、これら食品以外の分野において、油脂が結晶化する現象を含めてファットブルームと称する。

(ショ糖脂肪酸エステル) ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸とのエステルである。ショ糖は、合成されてもよく、市販品が使用されてもよい。また、ショ糖は、ショ糖脂肪酸エステル製造時に未反応であったショ糖を回収したもの(回収糖)であってもよい。ショ糖の形態は、固体の状態であってもよいし、溶媒に溶解した溶液状態であってもよい。

脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸および炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含む。

ステアリン酸は、パルミチン酸1モルに対し、1.2モル以上となるよう含まれればよく、1.5モル以上となるよう含まれることが好ましく、1.7モル以上となるよう含まれることがより好ましく、1.9モル以上となるよう含まれることがさらに好ましい。また、ステアリン酸は、パルミチン酸1モルに対し、4モル以下となるよう含まれればよく、3モル以下となるよう含まれることが好ましく、2.8モル以下となるよう含まれることがより好ましく、2.5モル以下となるよう含まれることがさらに好ましい。パルミチン酸1モルに対するステアリン酸の含有量が1.2モル未満である場合、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームを長期間にわたって抑制できない。一方、パルミチン酸1モルに対するステアリン酸の含有量が4モルを超える場合、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームを長期間にわたって抑制できない。

パルミチン酸の含有量は、上記したステアリン酸との含有割合が維持されている限りにおいて特に限定されない。一例を挙げると、パルミチン酸の含有量は、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、パルミチン酸の含有量は、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸中、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。パルミチン酸の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームをより長期間にわたって抑制することができる。

ステアリン酸の含有量は上記したパルミチン酸との含有割合が維持されている限りにおいて特に限定されない。一例を挙げると、ステアリン酸の含有量は、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸中、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましい。また、ステアリン酸の含有量は、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸中、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることがさらに好ましい。ステアリン酸の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームをより長期間にわたって抑制することができる。

炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は特に限定されない。一例を挙げると、不飽和脂肪酸は、各種シス脂肪酸またはトランス脂肪酸であってもよく、具体的には、オレイン酸(シス−オレイン酸、トランス−オレイン酸(エライジン酸))、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)−リノレン酸、エリオステアリン酸、ステアリドン酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸、8,11−イコサジエン酸、5,8,11−イコサトリエン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、ミード酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸などの炭素数20の不飽和脂肪酸、エルカ酸(シス−エルカ酸、トランス−エルカ酸(ブラシジン酸))、ドコサジエン酸、アドレン酸、オズボンド酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸などの炭素数22の不飽和脂肪酸等である。不飽和脂肪酸は、併用されてもよい。これらのなかでも、ファットブルームをより長期間にわたって抑制できる点から、不飽和脂肪酸は、炭素数18の不飽和脂肪酸であることが好ましい。また、ショ糖脂肪酸エステルの酸化を抑制できることから、オレイン酸(エライジン酸を含んでもよい)およびエルカ酸(ブラシジン酸を含んでもよい)であることがより好ましい。

炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸中、5質量%以上含まれればよく、8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸中、35質量%以下であればよく、29質量%以下であることがより好ましい。炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が5質量%未満である場合、ファットブルームを長期間にわたって抑制できない傾向がある。一方、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が35質量%を超える場合、ファットブルームを長期間にわたって抑制できない傾向がある。

炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は、パルミチン酸1モルに対し、0.2モル以上となるよう含まれることが好ましく、0.3モル以上となるよう含まれることがより好ましく、0.4モル以上となるよう含まれることがさらに好ましい。また、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は、パルミチン酸1モルに対し、1.8モル以下となるよう含まれることが好ましく、1.6モル以下となるよう含まれることがより好ましく、1.4モル以下となるよう含まれることがさらに好ましい。パルミチン酸1モルに対する炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームをより長期間にわたって抑制することができる。また、パルミチン酸1モルに対する炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が1.8モル以下であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、チョコレートに使用した場合に、より適度な融点を付与することができる。

炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は、ステアリン酸1モルに対し、0.1モル以上となるよう含まれることが好ましく、0.2モル以上となるよう含まれることがより好ましい。また、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸は、ステアリン酸1モルに対し、0.8モル以下となるよう含まれることが好ましく、0.7モル以下となるよう含まれることがより好ましい。ステアリン酸1モルに対する炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームをより長期間にわたって抑制することができる。また、パルミチン酸1モルに対する炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が1.8モル以下であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、チョコレートに使用した場合に、より適度な融点を付与することができる。

本実施形態のファットブルーム防止剤は、上記脂肪酸を所定量含むほか、適宜、他の脂肪酸が含まれてもよい。他の脂肪酸は、炭素数6〜30の飽和または不飽和脂肪酸が例示される。炭素数は、8〜22が好ましい。飽和脂肪酸は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸等が例示される。不飽和脂肪酸としては、9−ヘキサデセン酸、セラコレイン酸、リシノール酸、cis−15−テトラドコサン酸、ネルボン酸、ニシン酸等が例示される。

ショ糖脂肪酸エステルの製造方法は、特に限定されない。ショ糖脂肪酸エステルは、従来公知の方法により製造され得る。一例を挙げると、ショ糖脂肪酸エステルは、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒中で、アルカリ触媒存在下、ショ糖と脂肪酸メチルエステルのような脂肪酸低級アルコールエステルとのエステル交換反応によって製造し得る。

ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度は、特に限定されない。一例を挙げると、平均エステル化度は、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、5.5以上であることがさらに好ましい。また、平均エステル化度は、8以下であり、7.5以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。平均エステル化度が上記範囲内であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームをより長期間にわたって抑制することができる。また、チョコレートに使用した場合に口どけ性がより優れたものとなる。

なお、本実施形態において、ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度は、以下の方法により算出し得る。

<平均エステル化度の算出方法> 平均エステル化度(=X)とする次式において、下記OHV、MwSug、MwFaを代入してXを算出する。 (ショ糖1分子中のOH基の数−X) =(サンプル1g中のOH基のモル数)/(サンプル1g中のショ糖脂肪酸エステルのモル数) =((OHV)/(1000×56.11))/{1/(MwSug+(MwFa−18)X)} OHV:ショ糖脂肪酸エステルの酸基価 MwSug:ショ糖の分子量 MwFa:構成脂肪酸の平均分子量

なお、上記したショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の組成は、ファットブルーム防止剤全体において、上記組成となっていればよい。そのため、上記脂肪酸の組成は、上記ショ糖脂肪酸エステル単独によって具備されていてもよく、複数のショ糖脂肪酸エステルを構成するそれぞれの脂肪酸の和によって具備されていてもよい。本実施形態のファットブルーム防止剤は、ファットブルームをより長期間にわたって抑制する観点から、上記ショ糖脂肪酸エステル単独によって上記脂肪酸の組成が具備されていることが好ましい。

本実施形態のファットブルーム防止剤におけるショ糖脂肪酸エステルの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、ファットブルーム防止剤中、1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、ファットブルーム防止剤中、100質量%であってもよい。

ショ糖脂肪酸エステルの含有量が100質量%でない場合、ファットブルーム防止剤は、適宜、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ジアシルグリセロール、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが配合され得る。これらは所望する物性に合わせて、適宜選択され得る。

本実施形態のファットブルーム防止剤の各種用途における使用量は特に限定されない。本実施形態のファットブルーム防止剤は、上記のとおり、食品(特にチョコレート製品)に対して好適に用いられる。また、ファットブルーム防止剤は、食品用途に限定されない。一例を挙げると、ファットブルーム防止剤は、口紅などの化粧品等の食品以外の分野において、油脂成分が表面に浮き上がり、結晶化する現象を抑制するために用いられてもよい。

より具体的には、本実施形態のファットブルーム防止剤(たとえば上記したショ糖脂肪酸エステル100質量%からなるファットブルーム防止剤)は、チョコレート製品に使用される場合、チョコレートの原料配合物中、0.05質量%以上となるよう含有されることが好ましく、0.1質量%以上となるよう含有されることがより好ましく、0.3質量%以上となるよう含有されることがさらに好ましい。また、ファットブルーム防止剤は、チョコレート製品に使用される場合、チョコレートの原料配合物中、10質量%以下となるよう含有されることが好ましく、5質量%以下となるよう含有されることが好ましく、3質量%以下以上となるよう含有されることがより好ましい。ファットブルーム防止剤の含有量が0.05質量%未満である場合である場合、ファットブルームの発生が充分に抑制できない可能性がある。一方、ファットブルーム防止剤の含有量が10質量%を超える場合、チョコレートの風味や口溶け性が低下しやすい。

以上、本実施形態のファットブルーム防止剤は、上記所定のショ糖脂肪酸エステルを含む。これにより、ファットブルーム防止剤は、対象となる食品等に添加されることにより、ファットブルームの発生を長期間にわたって抑制し得る。特に、ファットブルーム防止剤は、食品(たとえばチョコレート製品)に用いられることにより、ファットブルームの発生を長期間にわたって抑制し得る。これにより、食品は、外観、風味、食感(口どけ等)等が長期にわたって保たれやすい。

<チョコレート製品> 本発明の一実施形態のチョコレート製品は、ココアバターと、ショ糖脂肪酸エステルとを含む。以下、それぞれについて説明する。なお、本実施形態のチョコレート製品は、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)または法規上の規定により限定されない。本実施形態のチョコレート製品は、ココアバターとショ糖脂肪酸エステルとを含んでいればよい。また、チョコレート製品は、適宜、後述する食用油脂、糖類、カカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品(全脂粉乳、脱脂粉乳等)、香料、乳化剤等を含んでもよい。これにより、チョコレート製品は、ブラックチョコレート、ビターチョコレート、スイートチョコレート、セミスイートチョコレート、ミルクチョコレート、ハイミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート、チョコレート飲料等に分類され得る。また、本実施形態において、ノンテンパー型チョコレートは、テンパリングまたその代用であるシーディング(以下、テンパリング等ともいう)を行わずに製造したチョコレートであり、テンパー型チョコレートは、テンパリング等を行って製造したチョコレートである。

(ココアバター) ココアバターは、カカオ豆の脂肪分であり、主にカカオリカーから圧搾して製造され得る。ココアバターは、カカオ豆中、40〜50%(カカオマス中では約55%)含まれる。そのため、本実施形態のチョコレート製品は、所望されるチョコレート製品の分類に従って、カカオマスやココアパウダーが配合されることによって結果的にカカオバターを含有してもよく、カカオバターそのものが配合されてもよい。

(ショ糖脂肪酸エステル) ショ糖脂肪酸エステルは、ファットブルーム防止剤の実施形態において上記したショ糖脂肪酸エステルと同様である。すなわち、ショ糖脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、および、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸を含む。ステアリン酸は、パルミチン酸1モルに対し、1.2〜4モル含まれる。不飽和脂肪酸は、5〜35質量%含まれる。また、ショ糖脂肪酸エステルのその他の構成(たとえばそれぞれの成分の好ましい例、物性等)は、いずれも上記したとおりである。

ショ糖脂肪酸エステルの含有量は特に限定されない。ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、所望する効果に基づいて、適宜決定され得る。一例を挙げると、ショ糖脂肪酸エステルは、ファットブルームを抑制するためには、チョコレート製品中、0.05質量%以上となるよう含有されることが好ましく、0.1質量%以上となるよう含有されることがより好ましく、0.3質量%以上となるよう含有されることがさらに好ましい。また、ショ糖脂肪酸エステルは、チョコレート製品中、10質量%以下となるよう含有されることが好ましく、5質量%以下となるよう含有されることが好ましく、3質量%以下となるよう含有されることがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの含有量が0.05質量%未満である場合である場合、得られるチョコレート製品は、ファットブルームの発生が充分に抑制できない可能性がある。一方、ショ糖脂肪酸エステルの含有量が10質量%を超える場合、チョコレートの風味や口溶け性が低下しやすい。

また、本実施形態のチョコレート製品は、ショ糖脂肪酸エステルを含有することにより、ファットブルームを抑制する効果以外に、チョコレートの溶融時の粘度がより低下するため、作業性に優れるという効果も発揮し得る。そのため、ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、チョコレートの溶融時の粘度がより低下するため、作業性に優れるという効果を得るためには、チョコレート製品中、0.1質量%以上となるよう含有されることが好ましく、0.5質量%以上となるよう含有されることがより好ましい。また、ショ糖脂肪酸エステルは、チョコレート製品中、10質量%以下となるよう含有されることが好ましく、5質量%以上となるよう含有されることがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のファットブルーム防止剤は、作業性が優れる粘度に調整されやすい。

(任意成分) 本実施形態のチョコレート製品は、適宜、任意成分が配合されてもよい。任意成分は、食用油脂、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリンなどの糖類、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、ココアバター成分以外のカカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、ナッツ類の粉砕物、果汁パウダー、果物凍結乾燥チップ、コーヒーチップ、キャラメル、抹茶、カカオニブ、膨化型スナック食品、ビスケットチップ、キャンディーチップ、チョコレートチップ、ドライフルーツ、マシュマロ等の呈味剤、酸化防止剤、着色料、香料等である。これらの中でも、チョコレート製品は、食用油脂を好適に含む。

食用油脂は、上記したココアバターを含まない、ココアバター代用油脂であればよく、特に限定されない。一例を挙げると、食用油脂は、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、米油、魚油、脂、豚脂、乳脂、ココアバター、サル脂、シア脂、イリッペ脂、パーム核油、ヤシ油、およびこれらの硬化油脂、白絞油、分別油脂、エステル交換油脂等である。食用油脂は併用されてもよい。なお、ココアバター代用油脂としては、ココアバター代用脂、ココアバター代替脂、ココアバター置換脂、ココアバター類似脂、ココアバター相溶脂、ココアバター増量脂、ココアバター改善脂などが挙げられる。

また、食用油脂は、テンパー型食用油脂であってもよく、ノンテンパー型食用油脂であってもよい。そのため、チョコレート製品は、食用油脂の種類によって、テンパー型チョコレート製品またはノンテンパー型チョコレート製品のいずれにも加工され得る。

テンパー型油脂は、テンパリング等を行わないと結晶型が安定型(β型)にならない油脂である。テンパー型油脂は、カカオ脂、パーム油分画精製油脂(パーム油を融点別に分画したもので、パーム核油とは異なり、パルミチン酸、オレイン酸グリセリンエステルが主成分で、パーム中融点分画油脂ともいう)、サル脂およびシア脂等の植物性油脂が例示される。一方、ノンテンパー型油脂は、テンパリング等を行わなくても、単に冷却することによって結晶型が準安定型(β’型)になる油脂である。ノンテンパー型油脂は、パーム油等の分画軟質部や大豆油等の液状油をトランス異性化硬化して得られるトランス酸型油脂、各種食用油脂をエステル交換して得られるエステル交換油、ヤシ油、パーム核油、ババス油のようなラウリン酸基を多く含むグリセリドからなる油脂およびその分画油より得られるラウリン酸型油脂(CBS)、1,2−ジ飽和脂肪酸−3−モノ不飽和脂肪酸グリセリド(SSU)といった非対称型グリセリドや、それを2−不飽和脂肪酸−1,3−ジ飽和脂肪酸のトリグリセリドといったSUS型のグリセリドと共存させた油脂等が例示される。本実施形態のチョコレート製品は、食用油脂としてノンテンパー型食用油脂が含有される場合であっても、上記所定のショ糖脂肪酸エステルが含まれているため、特に、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制され得る。これにより、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制されたノンテンパー型チョコレート製品が得られる。また、このようなノンテンパー型チョコレート製品は、テンパリングを要さないため、一般消費者等によっても取り扱われやすい。

テンパー型食用油脂が含有される場合、テンパー型食用油脂の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、テンパー型食用油脂は、チョコレート製品中、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、テンパー型食用油脂は、チョコレート製品中、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。テンパー型食用油脂が上記含有量の範囲内であることにより、得られるチョコレート製品は、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制されやすい。

ノンテンパー型食用油脂が含有される場合、ノンテンパー型食用油脂の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、ノンテンパー型食用油脂は、チョコレート製品中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、ノンテンパー型食用油脂は、チョコレート製品中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。ノンテンパー型食用油脂が上記含有量の範囲内であることにより、得られるチョコレート製品は、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制されやすい。

本実施形態のチョコレート製品の製造方法は特に限定されない。チョコレート製品は、常法に従って各原料がミキシングされ、リファイニングされ、コンチング等が行われることにより調製され得る。チョコレート製品は、コンチング後に、ホイップ処理、エアレーション処理が施されてもよい。また、チョコレート製品は、適宜、テンパリングが行われてもよい。

得られたチョコレート製品は、適宜、他の食品と組み合わされてもよい。他の食品は特に限定されない。一例を挙げると、他の食品は、ホイップクリーム、ムース、プリン、ゼリー、パフェ、ババロア等のデザート、シュー菓子(エクレア、シュークリーム等)、パイ、ワッフル等の洋生菓子、スポンジケーキ類(ショートケーキ、ロールケーキ、デコレーションケーキ、トルテ、シフォンケーキ等)、バターケーキ類(パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等)、ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツェル、ウェハース、サブレ、ラングドシャ、マカロン、ラスク等の焼菓子、シュトーレン、ブリオッシュ、ドーナツ、デニッシュ等である。

以上、本実施形態のチョコレート製品は、上記したショ糖脂肪酸エステルを含む。これにより、チョコレート製品は、種々の効果が得られる。一例を挙げると、チョコレート製品は、ファットブルームの発生が長期間にわたって抑制され得る。その結果、チョコレート製品は、外観、風味、食感(口どけ等)等が長期にわたって保たれやすい。また、チョコレート製品は、上記ショ糖脂肪酸エステルが含有されることにより、ファットブルームを抑制する以外に、チョコレートの溶融時の粘度がより低下するため、作業性が優れる。

以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。

使用した原料を以下に示す。 硬化パームオレイン:ヨウ素価59mgKOH/g カカオマス:ココアバターを55質量%含む。 ココアパウダー:ココアバターを11質量%含む。 レシチン:SLP−ペースト、辻製油(株)製

(ショ糖脂肪酸エステル1) ショ糖15.7g、パルミチン酸メチル16.9g、ステアリン酸メチル46.3g、オレイン酸21.1gをDMSO100gに溶解し、90〜110℃、減圧下で10時間反応させた。溶媒を留去後、精製、乾燥を経てショ糖脂肪酸エステル1を得た。

(ショ糖脂肪酸エステル2〜12) 表1に記載の原料および割合とした以外は、ショ糖脂肪酸エステル1と同様の操作を行い、ショ糖脂肪酸エステル2〜12を得た。

得られたショ糖脂肪酸エステル1〜12における各脂肪酸の割合(質量比)は、以下の表2のとおりであった。

(実施例1) 硬化パームオレイン28質量部、カカオマス10質量部、ココアパウダー15質量部、砂糖46質量部、レシチン0.4質量部、ショ糖脂肪酸エステル1を0.6質量部を、80℃に加熱し、溶融混合した。これを、2cm×2cm×2cmの容器に入れて15℃で1時間冷却し、さらに20℃で24時間静置することにより、チョコレート製品を作製した。

(実施例2〜8、比較例1〜4) ショ糖脂肪酸エステル1に代えて、以下の表3に示される処方にしたがってショ糖脂肪酸エステル2〜12をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様の方法によりチョコレート製品を作製した。

(実施例9) ショ糖脂肪酸エステル1の使用量を1質量部に、硬化パームオレインの使用量を27.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりチョコレート製品を作製した。

実施例1〜9および比較例1〜4において得られたチョコレート製品について、以下の評価方法により、ファットブルームが発生するまでの期間を評価した。結果を表3に示す。

(ファットブルーム発生日) それぞれのチョコレート製品を、15℃で12時間、25℃で12時間を1サイクルとする環境下に静置した。7日(7サイクル)毎にチョコレート表面を観察し、ファットブルームの有無を確認し、最初にファットブルームが生じた日数を評価結果とした。

表3に示されるように、本発明のチョコレート製品は、いずれも長期間にわたってファットブルームを生じることがなかった。一方、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸の含有量が本発明の範囲外であったショ糖脂肪酸エステルを用いた比較例1および比較例2のチョコレート製品は、いずれも1〜3週間程度でファットブルームを生じた。また、パルミチン酸を含んでいないショ糖脂肪酸エステルを用いた比較例3のチョコレート製品は、2週間でファットブルームを生じた。また、ステアリン酸を含んでいないショ糖脂肪酸エステルを用いた比較例4のチョコレート製品は、2週間でファットブルームを生じた。以上より、本発明は、パルミチン酸に対して所定量のステアリン酸が含まれ、かつ、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸が所定量含まれるショ糖脂肪酸エステルが用いられることにより、ファットブルーム発生が長期間にわたって抑制されることが分かった。

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