Chocolate composition

申请号 JP2007541824 申请日 2005-11-22 公开(公告)号 JP2008520217A 公开(公告)日 2008-06-19
申请人 ネステク ソシエテ アノニム; 发明人 フィリップ ゴナス,; ティエリー, ディ. フィオックス,;
摘要 本発明は、脂肪相が少なくともカカオ脂と、場合により乳脂肪及び/又はカカオ脂同等物とを含み、チョコレートを、予備結晶化段階なしでブルームなく 液化 し、再 凝固 することができるチョコレート組成物に関する。
【選択図】 なし
权利要求
  • 少なくとも1種の結晶化改良型乳化剤を含み、脂肪相がカカオ脂、並びに場合によっては乳脂肪及び/又はカカオ脂同等物を含むチョコレート組成物であって、脂肪グラム当たり4ジュールを超える初期結晶化エンタルピーを有することを特徴とするチョコレート組成物。
  • 脂肪グラム当たり4〜12ジュールの間、好ましくは脂肪グラム当たり4〜10ジュールの間、最も好ましくは脂肪グラム当たり5〜8ジュールの間の初期結晶化エンタルピーを有する、請求項1に記載のチョコレート組成物。
  • 結晶化改良型乳化剤が、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、ラクチル化モノ−及びジ−グリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン誘導体、並びにモノ−及びジ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステルの少なくとも1種であり、好ましくは結晶化改良型乳化剤が、モノ−及びジ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、並びにポリオキシエチレンソルビタントリステアレートの少なくとも1種であり、最も好ましくは結晶化改良型乳化剤がソルビタントリステアレートである、請求項2に記載のチョコレート組成物。
  • 結晶化改良型乳化剤が脂肪相の0.6重量%〜3重量%の間の量で存在する、請求項3に記載のチョコレート組成物。
  • テンパリングされている、前記いずれかの請求項に記載のチョコレート組成物。
  • カカオ脂同等物が、イリッペ、ヤシ油、サラノキ、シア、コクムバター(kokum gurgi)、及びマンゴーカーネルの1種又は複数に由来する脂肪を含む、前記いずれかの請求項に記載のチョコレート組成物。
  • 脂肪相が、初期結晶性カカオ脂、STS、カカオ脂、及び場合によっては乳脂肪からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチョコレート組成物。
  • チョコレートフォンデュ、板チョコレート、又はチョコレートバーである、前記いずれかの請求項に記載のチョコレート組成物。
  • 丸ごと又は破片のナッツ類がチョコレートに添加されている、前記いずれかの請求項に記載のチョコレート組成物。
  • ブルーム耐性であって、高温下で形状安定である、前記いずれかの請求項に記載のチョコレート組成物。
  • チョコレート中におけるブルーム防止剤としての初期結晶性カカオ脂とSTSとの組合せの使用。
  • 说明书全文

    発明の詳細な説明

    [発明の分野]
    本発明は、予備結晶化ステップを必要とせずに、液化し、ブルームを形成せずに再凝固できるチョコレートに関する。

    [発明の背景]
    チョコレートの主な脂肪はカカオ脂である。 カカオ脂は、カカオ豆(通常発酵及び焙煎されたもの)を圧縮することにより、豆の中に含まれる脂肪を抽出して得られる。 この脂肪は多形性であり、それは結晶構造内では互いに異なるが、融解すると同じ液相が生じる、同一化学組成の複数の固相となって結晶化できることを意味している。 S. T. Beckett編集の教本Industrial Manufacture and Use(第3版)の218ページ及び219ページに、カカオ脂の多形6種が記載されている。 それらの特性を表1に示す。

    V型及びVI型は、カカオ脂の最も安定した型である。 チョコレートに適切にテンパリングすると、カカオ脂はV型に結晶化する。 テンパリングしていない、融解したチョコレートの塊を急冷すると、カカオ脂の比較的不安定な多形が生成される。 これらの低融点の多形はより安定な高融点型に転移する傾向がある。 この結晶再成長は、ファットブルームなど表面の欠陥となって現れる。 これは表面上の白みがかったもや(haze)又は斑点で、チョコレートが不味そうに見える。 テンパリングしていないチョコレート上のファットブルームは、急速に現れ、格別に甚だしい。 テンパリングしていないチョコレートの結晶構造により、チョコレートがざらざらした舌ざわりになる。 テンパリングしていないチョコレートは、結晶化するときにテンパリングしたチョコレートのようには収縮せず、そのため離型するのが難しい。

    テンパリングは予備結晶化と呼ばれることもあり、その目的は十分な個数の種結晶を成長させ、全脂肪相がV型として結晶化することを促すことである。 最も一般的に用いられるテンパリングの方法には、完全融解、結晶点への冷却、結晶化、及び不安定な結晶の完全溶解のステップが含まれる。 しかし、適切な多形の脂肪結晶源を直接加えるなど他のテンパリング方法も用いられており、この操作はシーディングと呼ばれている。

    ファットブルームはまた、テンパリング済みのチョコレートにも起こることがある。 これについては、V型からVI型への転移に関連している可能性がある。 テンパリング済みのチョコレート上のファットブルームは、充填される脂肪がチョコレートの中へ移動する際、あるいはチョコレートが保存温度の上昇又は変動を受ける際に起こる恐れがある。 当初適切にテンパリングしておいたチョコレートを液状にし、次いで再冷却すると、非テンパリングチョコレートの酷いブルームが現れることになる。 チョコレートを液状化し、冷却した後のこのブルームの問題は、高温地方の国々、又はチョコレート製品を適切ではない場所、例えば日光の当たる車の中に置いたままにした場合に起こり得る。

    長年にわたり、カカオ脂の代替として使用できる植物性脂肪が多数確認されてきた。 S. T. Beckett編集の教本Industrial Manufacture and Use(第3版)の307〜322ページでは、このような植物性脂肪は、カカオ脂と同様の化学的及び物理的特性を有する植物性脂肪であるために、任意のレシピでカカオ脂と置き換えて使用できるカカオ脂同等物(cocoa butter equivalent)(CBE)と、カカオ脂と同様の物理的特性を有するが、化学的特性が異なり、カカオ脂の代替としてより限定された用途でしか使用できない植物性脂肪であるカカオ脂代用物(cocoa butter replacer)(CBR)との2群に分けられている。

    多くの国で、「チョコレート」として販売されている物質の組成物は法により規制されている。 法律は国により異なるが、チョコレートとして販売されている物質は、カカオから抽出される脂肪だけを有するものか、又は、カカオから抽出される脂肪と規定されたカカオ脂同等物との混合物にしばしば限定されている。 カカオ以外の原料から得られる植物性脂肪を含むチョコレートの販売が合法である国々でさえ、消費者の嗜好はミルク及び/又はカカオに由来する脂肪だけで作られたチョコレートに対して強いことがある。

    ブルームはチョコレートに不快な外観を与えるため、ブルームの発生を遅延させようとする試みが多数行われている。 この問題を解決する最も一般的な方法の1つは、乳脂肪などのブルーム防止剤、又はPrestine(商標)(Loders Croklaan)などの専売品の植物性ファットブルーム防止剤を添加することである。 これらは、V型からVI型への転移により引き起こされるファットブルームを抑制するには幾分効果があるが、チョコレートを液状になる時点まで加熱し、その後冷ました後に起こるブルームは抑制しない。 言い換えれば、融解後の再テンパリングの必要性は排除されていないのである。

    不二製油の特開2003−299442号公報では、ブルーム耐性のある非テンパリングチョコレート組成物が記載されている。 しかし、この組成物には、ラウリン系油脂などの非カカオ脂肪が含まれており、そのため多くの国では法規上「チョコレート」としては許容されないと思われる。 シーディングによってテンパリングする組成物もまた入手可能である。 不二製油は1,3−ベヘノイル,2−オレオルグリセロール(oleolglycerol)に富むシーディング物質を提供している。 このトリグリセリドの融点は約53℃なので、この物質を含むチョコレートは通常の融点以上で、1,3−ベヘノイル,2−オレオルグリセロールの融点より低い温度で加熱でき、残留固体の1,3−ベヘノイル,2−オレオルグリセロールがチョコレートを再シーディングできるので、ブルームが発生せずに、さらに冷却することができる。 1,3−ベヘノイル,2−オレオルグリセロールの欠点は、カカオ脂に由来しないこと、及び欧州連合諸国などの国々ではチョコレート中に許可されていないことである。

    Industrial Manufacture and Useの317〜320ページには、テンパリングを必要としない、ラウリン系及び非ラウリン系両方のカカオ脂代用物が記載されている。 しかし、これらの脂肪は通常チョコレートとして販売される物質中には許可されていない。 相当多量のカカオ脂をこれらと混合すると、必ず軟質生成物を生じ、かつブルーム形成の可能性が出てくる。 これにより、カカオ脂代用物に基づくチョコレート様物質は、チョコレートの香味を賦与するために使用されるカカオパウダー中のカカオ脂と相容性がないため、チョコレートよりもブルームが発生しやすくなる恐れがある。 ラウリン系のカカオ脂代用物は5%までのカカオ脂を脂肪相中に許容でき、一方非ラウリン系のカカオ脂代用物は25%までのカカオ脂を脂肪相中に許容できる。

    チョコレートを消費する人気の高い一方法は、チョコレートフォンデュである。 チョコレートフォンデュでは、フルーツ片、ビスケット類又はナッツ類などの食品を、食する前に溶けたチョコレートの中に浸す。 従来、チョコレートの脂肪相が主に乳脂肪及び/又はカカオ脂である場合、チョコレートを冷却するとブルームを発生する。 消費者が残りのチョコレートの一部分を後日の他のチョコレートフォンデュ用にとっておきたい場合、チョコレートを単に室温で冷ましておくか、又は恐らく冷蔵庫の中に入れるであろう。 消費者はチョコレートのテンパリングを済ませていないと思われるので、ブルームが急激に発生することになろう。 ブルームは、害はないが、カビの成長と誤解され、食べる気がしないものとして消費者はチョコレートを捨ててしまう恐れがある。 同様に、消費者は後日食するために、又は贈答品として使用するために、そのチョコレート漬け食品の一部分を保管しておきたい場合があるが、冷えたときのチョコレート上のファットブルームの出現のために、チョコレート漬け食品の見栄えが悪くなろう。 包装済みのチョコレートフォンデュが多くの製造業者によって販売されている。 これらはしばしばチョコレート様物質を含むプラスチックカップから構成されている。 カップは、電子レンジ又は二重鍋の中に直接置いて、チョコレート様物質を約60℃の温度で溶かすことができる。 次いでカップをテーブルへ運び、食品をその中へ浸ける。 ブルームの問題を避けるために、これら包装済みの「チョコレートフォンデュ」は一般にミルク及び/又はカカオに由来する脂肪以外の脂肪を含んでおり、そのため多くの国でチョコレートとして販売することができない。

    脂肪相がカカオ脂及び/又は乳脂肪及び/又はカカオ脂並びに1種又は複数の乳化剤からなり、さらなる予備結晶化ステップなしに液化し、再凝固するチョコレートにおいて、ブルーム発生に対する解決策を発見する必要がある。

    [発明の概要]
    本発明はチョコレート組成物に関する。 (請求項1を参照)

    [発明の詳細な説明]
    したがって、本発明者等は、脂肪相がカカオ脂及び/又は乳脂肪及び/又はカカオ脂同等物、並びに1種類又は複数の乳化剤からなり、予備結晶化ステップなしに液化し、再凝固するチョコレートにおいて、ブルーム発生の問題に対する解決策を見出した。

    カカオ脂の物理的及び化学的特性は、異なる栽培地域間の自然変動、並びにカカオ脂を回収及び微粒化するために適用する技術的パラメーターによって異なる可能性がある。 テンパリングが良好な脂肪結晶化のための決定的なステップではないような、改良された結晶化挙動を示す初期結晶性微粒化カカオ脂が市販されている。 しかし、初期結晶性成分はカカオ脂に蝋様の舌ざわりを与え、そのためチョコレート製造には適していないと考えられている。

    カカオ脂は加熱処理、例えばConfectionery Fats Handbook、R. E. Timms、The Oily Press(2003)に記載されているように、真空下で1時間、250℃で加熱することもできる。 これにより、対称型トリグリセリドが減少し、トリ飽和トリグリセリドが増加するトリグリセリド組成物の変化が起き、出発原料よりも高い融解範囲をもたらす。 この方法で処理されたカカオ脂は、この物質を「加熱損傷を受けた」カカオ脂という描写をTimmsが用いたことで明らかなように、テンパリング性の悪さ及び蝋様の舌ざわりから、チョコレートに使用することが適していないと考えられている。

    驚くべきことに、本発明者等は、初期結晶性カカオ脂を標準的なカカオ脂とブレンドし、かつ結晶化改良型乳化剤の添加により、予備結晶化ステップなしにブルームを形成することなく液化でき、再凝固できるチョコレートを作製できることを見出した。 前記チョコレートは蝋様でなく、好ましい舌ざわりである。 初期結晶性カカオ脂又は結晶化改良型乳化剤のいずれか、あるいは両方がない場合は不満足な結果となった。

    チョコレートは、固体粒子が中で分散している脂肪マトリックスである。 本発明のチョコレートは、カカオリカー及び/又はカカオパウダー、カカオ脂及び/又は初期結晶性カカオ脂、砂糖及び/又は砂糖代用品、並びに少なくとも1種の乳化剤を含む。 さらに、物理的にも化学的にもカカオ脂と相容性のある乳脂肪及び/又は植物性脂肪、並びにチョコレート産業で通常使用される他の任意の成分を含むことができる。 こうした成分の例としては、脱脂乳固形分及び香料が挙げられる。

    本明細書において、「チョコレート」及び「チョコレート組成物」という用語は、同じ意味で用いられる。 法的にチョコレートと呼ばれるものに限定されず、多様な形で用いられるチョコレートを示す。 例えば、チョコレートフォンデュとして、又はテンパリング技術及び器具が恐らく利用可能でない家庭でチョコレート菓子を作る材料として使用することができる。 また成型チョコレートにも使用することができ、特にチョコレートのブルーム発生が大きな問題である高温気候又は熱帯気候で適している。 板チョコレート、チョコレートバー、チョコレートセンター、チョコレート型、又はチョコレートチップを作製するために使用できる。 本発明のチョコレートはまた、コーティングチョコレート又はエンローバーチョコレートとしても使用することができる。 例えば、チョコレートをウエハース、ビスケット、ムース、スポンジケーキ、シリアル、ナッツ、レーズン、アイスクリーム、ヨーグルトと、並びに一般の乳製品及び脂肪ベース又は砂糖ベースの菓子製品で、上掛け又はチョコレート層を作るために使用することができる。

    本発明のチョコレートの脂肪相は、カカオ脂及び場合によっては乳脂肪及び/又はカカオ脂同等の脂肪を含む。 本明細書では、チョコレート総量中1重量%以下の量で存在する乳化剤などの脂肪成分は、その成分に関して当業者にとって何か異例なことがない限り、脂肪相とは別に表示していない。 同様に、丸ごと、また破片のナッツの添加によって存在する脂肪を、脂肪相とは別に表示していない。 したがって、本明細書において脂肪相がカカオ脂、並びに場合によっては乳脂肪及び/又はカカオ脂同等物を含む、チョコレート又はチョコレート組成物について論じる場合、このチョコレート組成物は乳化剤を含んでいてもいなくともよく、かつナッツ由来の脂肪を含んでいてもいなくともよい。 カカオ脂同等脂肪は、ブレンド、微粒化、及び/又は分別の工程のみによって得られる非ラウリン系植物性脂肪である。 カカオ脂同等物は、パルミチン−オレイン−パルミチン、パルミチン−オレイン−ステアリン、及びステアリン−オレイン−ステアリン系の対称型モノ不飽和トリグリセリドに富んでいる。 これらはテンパリングを必要とし、カカオ脂とはいかなる割合においても相溶性があり、その物理的性質とも相容性がある。 ラウリン系脂肪、動物性脂肪、硬化脂肪、又はトリグリセリド構造が酵素修飾により変化した脂肪を加えることは、チョコレートとして販売されている物質には一般に許可されておらず、本発明の範囲外である。

    本明細書では、「ナッツ」はこの言葉の一般的な意味、すなわち、ナッツの構造と類似しているいかなる硬いフルーツをも意図し、単独又は組み合わせて、丸ごと又は破片の、クルミ、カシューナッツ、ココナツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ブナの木の実、ブラジルナッツ、クリ、セイヨウハシバミ、ハシバミ、マカダミア、落花生、ピーナッツ、ピーカン、又はピスタチオが挙げられる。

    本発明によるチョコレートは、実施例3で使用される方法により、オクタデカンが23.3℃±0.2℃で冷却時のトラフ最低値を示す条件で、5℃/分で60℃から冷却すると、35℃〜20℃の間に、脂肪グラムあたり4ジュール〜12ジュールの間の結晶化エンタルピーを示す。 略して、この方法で測定したエンタルピーを初期結晶化エンタルピーと称す。 本発明によるチョコレートは、初期結晶化エンタルピーが脂肪グラムあたり4〜10ジュールの間が好ましく、脂肪グラムあたり5〜8ジュールの間であるのがより好ましい。

    本発明の好ましい一実施形態において、初期結晶性カカオ脂は、35℃での固形脂肪含有量が2%を超える(実施例5のように熱前処理をする方法で、パルス核磁気共鳴(pNMR)により測定した)。 本発明で使用される初期結晶性カカオ脂はまた、標準的なカカオ脂と比較して、冷却中に液状から最初の結晶が現れる温度が高い。 これは、示差走査熱量計(DSC)を使用し、ピークが20℃と35℃の間である顕著な発熱量により5℃/分で60℃から−20℃に脂肪を冷却中(実施例3で使用の方法)に観察されるが、(標準的なカカオ脂に関しては)この速度で冷却すると脂肪の主な発熱ピークが20℃と5℃の間で起こる。 初期結晶性カカオ脂の異なる供給源における初期結晶性成分の量は様々である。 したがって、本発明では、添加する初期結晶性カカオ脂の量ではなく、結晶化エンタルピーに関して述べる。

    本発明で用いられる初期結晶性カカオ脂の脂肪酸組成は、他のいずれのカカオ脂とも同等である。

    本記述及び本発明の目的に適する市販の初期結晶性カカオ脂の一例は、イタリア、パルマのEulipで販売されている「BC/50」である。

    本発明による結晶化改良型乳化剤は、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、ラクチル化モノ−及びジ−グリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン誘導体、並びにモノ−及びジ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)の少なくとも1種を含む。 結晶化改良型乳化剤は、DATEM、ソルビタンモノステアレート(SMS)、ソルビタントリステアレート(STS)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(POE−SMS)、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(POE−STS)のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。 最も好ましい結晶化改良型乳化剤はSTSである。

    STSは食品産業で一般に使用されている乳化剤であり、食用油中の抗結晶化剤及びマーガリン中のざらつき防止剤として用いられ、チョコレート中でブルーム防止剤として機能することができる。

    初期結晶性カカオ脂は、4〜12J/gの間の初期結晶化エンタルピーを示す量で存在するのが好ましい。 初期結晶性カカオ脂及び結晶化改良型乳化剤の相乗効果で、ブルームが発生しないだけではなく、許容できない蝋様の舌ざわりもないチョコレートを実現することが可能である。 例えば、初期結晶化エンタルピーが6.4J/gを示す脂肪相を有する、非テンパリングダークチョコレートは、多少ブルームが見られ、僅かに蝋様の舌ざわりがするであろう。 この組成物のチョコレートにSTSを加えることで、ブルーム耐性の点で優れた結果が得られ、かつ蝋様の舌ざわりが取り除かれよう。 初期結晶性成分の量が減少すると、チョコレートはブルームに対するその耐性を失うであろう。 初期結晶性成分が増加すると、チョコレートは許容できないほど蝋様になる。 初期結晶性カカオ脂なしでSTSを使用すると、チョコレートが融解し再凝固するとき、ブルームが防止されない。 本発明の指定範囲では、チョコレートは全く蝋様でないか、あるいはほとんど蝋様ではないが、それでもなお高い抗ブルーム効果が与えられる。

    最良の結果は、脂肪相に対し0.6〜3重量%の間のSTSとの組合せで、初期結晶化エンタルピーが4〜12J/gの間を示すような量で用いられる初期結晶性カカオ脂で得られる。 またさらに好ましくは、本発明によるチョコレートの脂肪相は、STS1.5重量%及び初期結晶化エンタルピーが5〜8J/gの間を示す量の初期結晶性カカオ脂を含む。

    本発明のチョコレートはテンパリングする必要がない。 しかし、テンパリングは光沢を高め、離型性を向上させるために特に、初期結晶性カカオ脂成分の量が少ない組成物では有利に利用できる。

    本発明のチョコレートはブルーム耐性がある。 ファットブルームは、表面上の脂肪結晶が臨界サイズ(約4〜5ミクロン)より大きくなると目に見えるようになる。 ブルーム耐性とは、予備結晶化ステップなしに、製品を約60℃に加熱し、その後冷却して戻した後、チョコレートの表面の25%未満、好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満が、可視的白色結晶で覆われることを意味する。

    本発明のチョコレートは、熱帯気候又は砂漠気候で直面する可能性があるような高温(最高50℃)の条件下で、例えば、中国特許第399891号に記載されているような非結晶糖の使用、又は欧州特許第0637420号に記載されているようなポリオール添加により、形状安定化することができる。

    本発明のチョコレートはさらに着色及び/又は着香することができる。

    実施例1
    一連のプレーンチョコレート8種を、従来通り以下の一般的な組成で製造した。


    砂糖 46.9
    減脂肪カカオパウダー(脂肪10〜12%) 21.0
    脂肪/乳化剤添加混合物 32.0
    レシチン 0.1
    香料 <0.05

    初期結晶性カカオ脂(BC−50、Eulip)、標準的なカカオ脂(「Astra A」 Pure Prime Pressed Cocoa Butter、ADM Cocoa B.V.)、乳脂肪及びソルビタントリステアレート(GRINDSTED(登録商標)STS 30 KOSHER)を異なる割合で混合して、一般的な上記組成の「脂肪/乳化剤添加混合物」を形成した。 AからHのラベルを貼ったチョコレート8種の脂肪相の組成(減脂肪カカオパウダーはカカオ脂を11%含むものとし、レシチンは無視する)を以下の表に示す。

    50℃のチョコレートを、表面を滑らかにした熱交換器に通し、20℃に設定した冷却でチョコレートを約30℃まで冷却した時点で、プラスチックカップに充填し、17℃で凝固させた。

    実施例2
    1日後、室温(20℃)で、実施例1のチョコレートを、5つの試料に関する舌ざわりの分類記述に同意する少人数の「官能分析コンセンサスパネル」により食味した(表2)。

    各チョコレートのカップを電子レンジ内で60℃まで加熱し、チョコレートフォンデュの調製を模倣した。 カップが冷めた後、分析するまで、20℃で2週間保存した。 ブルーム発生の程度を記録し(表2)、写真を撮影した。 経時的なブルームの発生を示すために、試料G及びHの写真を連続して撮影した(図17)。

    初期結晶性カカオ脂の量を減少させる全体的な効果は、蝋様の舌ざわりを減少させるが、ブルームを増加させることであることがわかる。 STSを添加しないと、チョコレートは、すでに僅かに蝋様である(試料D)初期結晶性カカオ脂の量で、ブルームが発生することとなる。 驚くべきことに、STSを添加することで(試料C)、ブルームと蝋様の舌ざわりの両方が排除される。 乳脂肪は、ブルーム耐性及び許容できる舌ざわりを得るために不可欠というわけでない(試料H)。

    実施例3
    実施例1のチョコレート試料を、示差走査熱量測定(DSC)及びガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析した。

    示差走査熱量測定で、試料及び基準物質を制御速度で加熱又は冷却し、試料と基準物質の間における熱流量の差を測定した。 通常通り本研究においても、基準物質は空の皿である。 例えば結晶化現象により、試料が熱を放つ場合、本研究に対するDSC軌跡線のトラフで示される発熱流量を測定し、一方、例えば融解により、試料が基準物質より多量の熱を必要とする場合、DSC軌跡線のピークで示される吸熱流量を測定する。 DSC分析は、データを分析するパーキンエルマー(Perkin Elmer)Pyrisソフトウェアを有するパーキンエルマーDSC7を用いて行った。 DSCはインジウム標準を用い、通常通り較正した。

    DSC分析の前に、チョコレートを20℃で2ヶ月保存した。 チョコレートの小試料を秤量し、アルミニウム皿の中に密閉した。 熱分析には、試料を5℃/分の速度で15℃から60℃へ加熱し、その間得られた熱流量を記録し(融解曲線)、試料を60℃で3分間保持し、その後試料を5℃/分の速度で−30℃まで冷却し、熱流量を記録する(冷却曲線)ことが含まれた。 同様の熱分析がオクタデダン(octadedane)の試料(Fluka Octadecane 74691 Puriss p.a.GC用標準規格)にも適用された。

    得られた軌跡線を図2〜15及び18〜19に示す。 初期結晶性カカオ脂の効果は、試料G(図14)では存在しない初期結晶性成分により、冷却曲線(図9)に35℃〜20℃の間の有意なトラフを有する試料A中で最も明確に見られる。 試料Aに関する融解曲線もまた、標準的なカカオ脂の試料G(図7)では存在しない33℃を超える2つの融解ピーク(図2)を示している。

    蝋様へのSTSの影響は、試料B(図3)の融解曲線中に見られ、試料A(図2)に存在する40℃を超えるピークは存在しない。 しかし初期結晶性カカオ脂のこの量では、チョコレートはまだ蝋様に感じる。

    初期結晶性カカオ脂の影響は、当然試料Cでは低下しているが、冷却中の35℃〜20℃の間のトラフはまだ見えており(図11)、この発明の特徴である35℃〜20℃の間の特有のトラフを示すために試料Gと試料Cとの間の直接比較を図16に作成した。 試料Cに関する35℃〜20℃の間のトラフの面積は、(右側から基線を延ばす)2.159J/gと測定される。 試料Cは脂肪34%を含むチョコレートなので、35℃〜20℃の間の結晶化エンタルピーは約6.4J/g脂肪である。

    35℃〜20℃の間の結晶化エンタルピーは、同じ方法で他の試料に関しても測定することができる。 例えば、試料Bはエンタルピーが脂肪ベースで12.6J/g、及び試料Hはエンタルピーが脂肪ベースで7.5J/gである。 標準的なカカオ脂及びSTS(試料F、図13)では、STSの存在により結晶化トラフが僅かに広がり、カカオ脂だけ(図14)の値を僅かに超えていることがわかる。 しかし、この場合、35℃〜20℃の間の結晶化エンタルピーは、脂肪ベースで僅か3.3J/gと測定されている。

    これら条件下でのオクタデカンに関する冷却ピークの最小値は23.3℃であった(図8)。

    実施例4
    実施例1のチョコレート試料に存在する脂肪はソックスレー抽出により抽出され、次いでガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、存在するトリグリセリドを同定及び定量化した。

    ヘキサン1mlを融解脂肪一滴(約10mg)に加え、次いで完全に混合した。 水素炎イオン化検出器を有するGCにより分析を行った。 使用したカラムは、DB17−HT((50%−フェニル)−メチルポリシロキサン被覆、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.15μm)であった。 試料1μlを手作業で注入した。 入り口温度を360℃に設定し、スプリットモードを使用し、オーブンの温度は340℃まで上昇させた。 トリグリセリド種の同定は、外部標準と保持時間を比較することにより行った。 標準対照試料混合物から算出された応答係数が適用される。 トリグリセリドのプロファイル又はトリグリセリドの定量化を、総ピーク面積に対する各検知種の百分率により決定した(100%へ規格化)。

    選択したトリグリセリド(測定2回の平均)を下記の表に示す。

    通常のカカオ脂(試料G)と比較して、本発明のチョコレート(試料C)では、対称型トリグリセリド(POP、POS及びSOSのような、飽和−不飽和−飽和型)が僅かに減少し、トリ飽和トリグリセリド(PPP、PPS、PSSなど)が増加しているのがわかる。

    実施例5
    実施例1のチョコレート試料の固形脂肪含有量(抽出した脂肪)を、低解像度のパルス核磁気共鳴(pNMR)を用いて分析した。 80℃で60分、60℃で30分、0℃で90分、26℃で40時間、及び0℃で90分の熱前処理を行った。 次いで各試料を、測定前に各測定温度で30分間平衡化した。 チョコレートC及びGの結果を下記の表に示す。

    チョコレートフォンデュの調製を模倣するために、電子レンジ内で60℃まで加熱し、次いで冷めた後に20℃で2週間保存した、実施例2に記載のチョコレートの写真である。

    実施例3に記載の、チョコレートAにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートBにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートCにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートEにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートFにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートGにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、オクタデカンにおけるDSC冷却軌跡線のグラフフ

    実施例3に記載の、チョコレートAにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートBにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートCにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートEにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートFにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートGにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、オクタデカンにおける加熱曲線のグラフ

    チョコレートG及びCについて冷却曲線を組み合わせたグラフである。

    チョコレートフォンデュの調製を模倣するために電子レンジ内で60℃まで加熱し、次いで冷めた後に20℃で2週間保存した、実施例2に記載の2つのチョコレートを様々な時間間隔で上方から撮影した写真である。

    実施例3に記載の、チョコレートHにおけるDSC加熱軌跡線のグラフ

    実施例3に記載の、チョコレートHにおけるDSC冷却軌跡線のグラフ

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