混合物の分離方法及び分離装置

申请号 JP2013549263 申请日 2012-12-11 公开(公告)号 JP5704618B2 公开(公告)日 2015-04-22
申请人 宇部興産株式会社; 国立大学法人大阪大学; 发明人 西嶋 茂宏; 三島 史人; 海磯 孝二; 島川 敏弘;
摘要
权利要求

逆錐状又は略逆錐状に構成された分離管を用いて、種類が異なる第1粒子と第2粒子を含む混合物を種類別に分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離方法であって、 前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率は異なっており、 流体を前記分離管に上向きに流す工程と、 前記混合物を前記分離管内に導入して、前記第1粒子及び前記第2粒子を前記流体が流れている前記分離管内に保持する工程と、 前記分離管内に保持された前記第1粒子と前記第2粒子に勾配磁場を印加する工程とを含んでおり、 前記勾配磁場の磁場勾配は鉛直方向成分を有しており、 前記勾配磁場を印加した後においても、前記前記第1粒子と前記第2粒子は、前記分離管内に保持される混合物の分離方法。前記勾配磁場が印加されると、前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、 前記勾配磁場が印加された状態にて前記分離管内における前記流体の流れを変化させて、前記分離管内の前記第2粒子を前記分離管の外に移動させる工程を更に含む、請求項1に記載の混合物の分離方法。逆錐状又は略逆錐状に構成された分離管を用いて、種類が異なる第1粒子と第2粒子を含む混合物を種類別に分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離方法であって、 勾配磁場が印加された前記分離管に流体を上向きに流すと共に前記分離管内に前記混合物を導入して、鉛直方向について分布領域が離れた状態で、前記勾配磁場が印加された前記第1粒子と前記第2粒子とを前記流体が流れている前記分離管内にて保持する工程を含んでおり、 前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率とは異なっており、 前記勾配磁場の磁場勾配は鉛直方向成分を有しており、 前記流体は、前記勾配磁場が前記分離管に印加されない状態でも、前記第1粒子と前記第2粒子とが前記分離管内に保持されるように前記分離管を流れる混合物の分離方法。前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、 前記分離管内における前記流体の流れを変化させて、前記分離管内の前記第2粒子を前記分離管の外に移動させる工程を更に含む、請求項3に記載の混合物の分離方法。前記混合物が懸濁した前記流体を前記分離管に上向きに流す工程を含む、請求項1乃至4の何れかに記載の混合物の分離方法。前記流体はであり、前記第1粒子は常磁性体で形成されており、前記第2粒子は反磁性体で形成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の混合物の分離方法。種類が異なる第1粒子と第2粒子を含んでおり、前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率が異なっている混合物を分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離装置であって、 逆錐状又は略逆錐状に構成されており、流体が上向きに流される分離管と、 前記分離管に送られる前記流体の流量を調節する流量調節手段と、 磁場勾配が鉛直方向成分を有する勾配磁場を前記分離管に印加する磁場生成手段とを備えており、 前記分離管に送られる前記流体の流量は、前記混合物が前記分離管内に導入されると、前記第1粒子及び前記第2粒子が前記分離管内に保持されるように調整され、 前記分離管内に前記第1粒子と前記第2粒子が保持された状態で、前記第1粒子と前記第2粒子に前記勾配磁場が印加され、 前記勾配磁場を印加した後においても、前記前記第1粒子と前記第2粒子は、前記分離管内に保持される混合物の分離装置。前記勾配磁場が印加されると、前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、 前記勾配磁場が印加された状態にて、前記流量調節手段によって、前記分離管内における前記流体の流れが変化することで、前記分離管内の前記第2粒子が前記分離管の外に移動する、請求項7に記載の混合物の分離装置。種類が異なる第1粒子と第2粒子を含んでおり、前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率が異なっている混合物を分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離装置であって、 逆錐状又は略逆錐状に構成された分離管と、 前記分離管に送られる流体の流量を調節する流量調節手段と、 磁場勾配が鉛直方向成分を有する勾配磁場を前記分離管に印加する磁場生成手段とを備えており、 勾配磁場が印加された前記分離管に前記流体が上向きに流されると共に前記分離管内に前記混合物が導入されて、鉛直方向について分布領域が離れた状態で、前記勾配磁場が印加された前記第1粒子と前記第2粒子とが前記流体が流れている前記分離管内にて保持され、 前記分離管に送られる前記流体の流量は、前記勾配磁場が前記分離管に印加されない状態でも、前記第1粒子と前記第2粒子とが前記分離管内に保持されるように調整される混合物の分離装置。前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、 前記流量調節手段によって、前記分離管内における前記流体の流れが変化することで、前記分離管内の前記第2粒子が前記分離管の外に移動する、請求項9に記載の混合物の分離装置。前記混合物が懸濁した前記流体が前記分離管に上向きに流される、請求項7乃至10に記載の混合物の分離装置。前記流体は水であり、前記第1粒子は常磁性体で形成されており、前記第2粒子は反磁性体で形成されている、請求項7乃至11の何れかに記載の混合物の分離装置。

说明书全文

本発明は、複数種類の物質が混在する混合物を粒子の種類別に分離する、又は、当該混合物から特定の種類の粒子を分離する方法及び装置に関する。

分級とは、一般に、粒径が異なる粒子をそれらの粒径に応じて分別する操作を意味する。向流分級又は淘汰管分級は、分級手法の一種であって、鉛直方向に沿って配置した分級管又は淘汰管に、粒子が懸濁した液体を上向きに流すこと(或いは、上向きに流れる流体に粒子を投入すること)を特徴とする(特許文献1及び特許文献2参照)。

図8(a)乃至(c)は、向流分級又は淘汰管分級の原理を説明するための説明図である。一般に、向流分級又は淘汰管分級に使用される分級管又は淘汰管(10)は、鉛直上方に向かって流路の断面積が大きくなるようにテーパー状又は逆錐状に形成される。図8(a)乃至(c)に示す例では、分級管(10)は、逆円錐状に形成されており、鉛直方向に沿って配置されている。分級管(10)には、流体(液体)が鉛直上向きに流される。流体の速度(流速)の分布が平面内でほぼ一様又は一定である場合(且つ、分級管(10)内における流速の時間変化が無視できる場合)、分級管(10)の流路径又は断面積が大きくなるにつれて、つまり、鉛直方向に高くなるにつれて、流体の流速は小さくなる。

第1粒子(粒径a1密度ρ1)(●で示す)と第2粒子(粒径a2、密度ρ2)(○で示す)とを含む混合物を流体に懸濁させて、図8(a)に示すように当該流体を分級管(10)に流すと、分級管(10)を流れる流体中の粒子には、重及び浮力が作用する一方で、流速と粒子の速度の差に比例した流体抵抗力、所謂ドラッグ力が作用する、分級管(10)を流れる流体に含まれる粒子の各々に働く鉛直方向(z方向)の力Fzは、以下のようになる(鉛直下向きを正とする)。 Fz=4/3πai3i−ρ0)g−6πηai(vf−vpi) ここで、gは重力加速度、aiは粒子の粒径、ρiは粒子の密度、ρ0は流体(液体)の密度、ηは流体の粘性係数、vfは流体の速度、vpiは粒子の速度である。なお、添字iは1又は2であり、第1粒子に係るパラメータと第2粒子に係るパラメータとを区別するのに使用される。

第1粒子と第2粒子の双方について、Fz=0が分級管(10)内で満たされるように(つまり、分級管(10)内にて、粒子に働くドラッグ力と、重力と、浮力とが釣り合う又は相殺するように)、分級管(10)の形状や分級管(10)に流す流体の流量を調節することで、第1粒子と第2粒子は、Fz=0となる高さにて(安定に)浮遊する。第1粒子と第2粒子が同一の物質で形成されている場合(ρ12である場合)、Fz=0となる高さ、つまり、粒子が浮遊する高さは、粒子の粒径に応じて異なる。例えば、a1

2である場合、図8(b)に示すように、分級管(10)内において、第1粒子は、第2粒子の浮遊高さよりも高い位置にて浮遊する。第1粒子の浮遊高さにおける流体の速度v

fは、第2粒子の浮遊高さにおける流体の速度v

fよりも小さい。また、特許文献1及び2に記載された分級装置のように、分級管(10)内を上方に流れる流体に分級管(10)の外から混合物が導入される場合には、第1粒子についてF

z<0となり、且つ、第2粒子についてF

z>0となるように

分級管(10)に流れる流体の流量を調節することで、第1粒子及び2粒子を分離して、分級管(10)の上端及び下端から夫々回収することができる。

このようにして、大きさが異なる同種の粒子(同じ物質で形成された粒子)が、分級管(10)を用いて、粒子の粒径に応じて分離又は分級される。上式から理解できるように、粒子に働く鉛直方向の力Fzは、粒子の密度ρiにも依存しているので、分級管(10)内で粒子が浮遊する高さや移動する向きは、粒子の密度ρiにも依存する。故に、例えば、密度、つまり形成物質が異なる複数種類の粒子を含む混合物を流体に懸濁させて、分級管(10)に上向きに流すことで、それら粒子を種類別に分離することが可能である。

特開平2−31845号公報

特開平4−243559号公報

しかしながら、形成物質が異なる複数種類の粒子を含む混合物を、分級管(10)を用いて種類別に分離する場合、物質の違いによる粒子の密度(又は比重)の差が小さく、さらには、粒子の粒径の差も小さいと、図8(c)に示すように、これら粒子は、混在した状態でほぼ同じ高さに浮遊する事態が起こる。このような場合、種類別に粒子を分離し、さらには回収することが困難となる。

本発明は、上記の問題を解決するものであって、粒子の種類の違いによる粒子の密度の差と粒径の差が小さい場合でも、向流分級又は淘汰管分級の手法を用いて、複数種類の粒子を含む混合物を種類別に分離すること、又は、当該混合物から特定種類の粒子を分離することを可能とする混合物の分離方法及び分離装置を提供する。

本発明の混合物の第1の分離方法は、逆錐状又は略逆状に構成された分離管を用いて、種類が異なる第1粒子と第2粒子を含む混合物を種類別に分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離方法であって、前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率は異なっており、流体を前記分離管に上向きに流す工程と、前記混合物を前記分離管内に導入して、前記第1粒子及び前記第2粒子を前記流体が流れている前記分離管内に保持する工程と、前記分離管内に保持された前記第1粒子と前記第2粒子に勾配磁場を印加する工程とを含んでおり、前記勾配磁場の磁場勾配は鉛直方向成分を有する。

さらに、本発明の混合物の第1の分離方法において、前記勾配磁場が印加されると、前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、前記勾配磁場が印加された状態にて前記分離管内における前記流体の流れを変化させて、前記分離管内の前記第2粒子を前記分離管の外に移動させる工程が更に含まれてよい。

本発明の混合物の第2の分離方法は、逆錐状又は略逆状に構成された分離管を用いて、種類が異なる第1粒子と第2粒子を含む混合物を種類別に分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離方法であって、勾配磁場が印加された前記分離管に流体を上向きに流すと共に前記分離管内に前記混合物を導入して、鉛直方向について分布領域が離れた状態で、前記勾配磁場が印加された前記第1粒子と前記第2粒子とを前記流体が流れている前記分離管内にて保持する工程を含んでおり、前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率とは異なっており、前記勾配磁場の磁場勾配は鉛直方向成分を有しており、前記流体は、前記勾配磁場が前記分離管に印加されない状態でも、前記第1粒子と前記第2粒子とが前記分離管内に保持されるように前記分離管を流れる。

さらに、本発明の混合物の第2の分離方法において、前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、前記分離管内における前記流体の流れを変化させて、前記分離管内の前記第2粒子を前記分離管の外に移動させる工程が更に含まれてよい。

本発明の混合物の第1及び第2の分離方法は、前記混合物が懸濁した前記流体を前記分離管に上向きに流す工程を含んでよい。

本発明の混合物の第1の分離装置は、種類が異なる第1粒子と第2粒子を含んでおり、前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率が異なっている混合物を分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離装置であって、逆錐状又は略逆状に構成されており、流体が上向きに流される分離管と、前記分離管に送られる前記流体の流量を調節する流量調節手段と、磁場勾配が鉛直方向成分を有する勾配磁場を前記分離管に印加する磁場生成手段とを備えており、前記分離管に送られる前記流体の流量は、前記混合物が前記分離管内に導入されると、前記第1粒子及び前記第2粒子が前記分離管内に保持されるように調整され、前記分離管内に前記第1粒子と前記第2粒子が保持された状態で、前記第1粒子と前記第2粒子に前記勾配磁場が印加される。

さらに、本発明の混合物の第1の分離装置では、前記勾配磁場が印加されると、前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、前記勾配磁場が印加された状態にて、前記流量調節手段によって、前記分離管内における前記流体の流れが変化することで、前記分離管内の前記第2粒子が前記分離管の外に移動してよい。

本発明の混合物の第2の分離装置は、種類が異なる第1粒子と第2粒子を含んでおり、前記第1粒子を形成する物質の磁化率と、前記第2粒子を形成する物質の磁化率が異なっている混合物を分離する、又は前記混合物から特定の種類の粒子を分離する混合物の分離装置であって、逆錐状又は略逆状に構成された分離管と、前記分離管に送られ流体の流量を調節する流量調節手段と、磁場勾配が鉛直方向成分を有する勾配磁場を前記分離管に印加する磁場生成手段とを備えており、勾配磁場が印加された前記分離管に前記流体が上向きに流されると共に前記分離管内に前記混合物が導入されて、鉛直方向について分布領域が離れた状態で、前記勾配磁場が印加された前記第1粒子と前記第2粒子とが前記流体が流れている前記分離管内にて保持され、前記分離管に送られる前記流体の流量は、前記勾配磁場が前記分離管に印加されない状態でも、前記第1粒子と前記第2粒子とが前記分離管内に保持されるように調整される。

さらに、本発明の混合物の第2の分離装置では、前記第1粒子は前記分離管内にて略同じ高さに集められ、前記流量調節手段によって、前記分離管内における前記流体の流れが変化することで、前記分離管内の前記第2粒子が前記分離管の外に移動してよい。

本発明の混合物の第1及び第2の分離装置では、前記混合物が懸濁した前記流体が前記分離管に上向きに流されてよい。

また、本発明の混合物の分離方法及び分離装置では、前記流体は水であり、前記第1粒子は常磁性体で形成されており、前記第2粒子は反磁性体で形成されてよい。

分離管内に第1粒子と第2粒子が混在して保持された状態で、分離管内の領域に勾配磁場を印加することで、第1粒子と第2粒子の磁化率の差に応じて、第1粒子と第2粒子とが分離される。故に、本発明によれば、第1粒子と第2粒子の密度の差と粒径の差とが小さい場合でも、向流分級又は淘汰管分級の手法を用いてこれら粒子を種類別に分離でき、又は、第1粒子と第2粒子の何れかを混合物から分離できる。また、本発明は、第1粒子と第2粒子の密度差が小さく、第1粒子及び第2粒子の粒径分布が重なり合っている場合でも、これら粒子を種類別に分離でき、又は、第1粒子と第2粒子の何れかを混合物から分離できる。

また、第1粒子と第2粒子を鉛直方向に分離した状態で(勾配磁場を印加することなく) 分離管内にて保持可能であっても、本発明によれば、分離管内の領域に勾配磁場を印加することで、第1粒子の分布領域と第2粒子の分布領域を鉛直方向に、より離間させることができる。これにより、分離能や分離精度が向上し、第1粒子と第2粒子の回収がより容易に行える。

本発明は、分離管内の流体に勾配磁場に印加して混合物を分離することを特徴としているが、磁場を利用して混合物を分離する方法としては、磁気フィルタを用いた磁気分離方法が知られている。磁気フィルタを用いた磁気分離方法では、分離対象の粒子を含む流体を磁気フィルタに流すことで当該粒子を磁気フィルタで捕捉することが一般的に行われているが、当該粒子の磁化率が比較的小さい場合(例えば、粒子が常磁性体で形成されている場合)、流体の流れに抗じて磁気フィルタに粒子を吸着させようとすると、大きい磁場を磁気フィルタに印加して励磁する必要がある。本発明では、分離対象である粒子に作用する正味の力が(ほとんど)ない状態で、勾配磁場を印加して粒子に磁気力を作用させるので、従来の磁気分離方法と比較して、磁化率が小さい粒子を分離するのに要する磁場の大きさを低減できる。

磁気フィルタを用いた従来の磁気分離方法では、2種類の粒子を含む混合物を種類別に分離して回収しようとすると、一方の種類の粒子は磁気フィルタで捕捉されるが、この磁気フィルタと別個に設けた収集手段を用いて、他方の種類の粒子を収集する必要がある。本発明では、分離管に勾配磁場を印加することで、混合物を種類別に分離できるので、従来の磁気分離方法と比較して効率的に混合物の分離が行える。

図1(a)及び(b)は、本発明の混合物の分離方法によって混合物が粒子の種類別に分離される模様を説明する説明図である。

図2(a)及び(b)は、本発明の混合物の分離方法によって混合物が粒子の種類別に分離される模様を説明する説明図である。

図3(a)及び(b)は、本発明の混合物の分離方法によって混合物が粒子の種類別に分離される模様を説明する説明図である。

図4(a)及び(b)は、本発明の混合物の分離方法によって混合物が粒子の種類別に分離される模様を説明する説明図である。

図5(a)及び(b)は、本発明の混合物の分離方法によって混合物が粒子の種類別に分離される模様を説明する説明図である。

図6(a)及び(b)は、本発明の混合物の分離方法によって混合物が粒子の種類別に分離される模様を説明する説明図である。

本発明の一実施形態である混合物の分離装置を模式的に示す説明図である。

図8(a)乃至(c)は、分級管の原理を説明する説明図である。

以下、本発明について詳述する。本発明では、第1粒子と第2粒子を含む混合物を流体を用いて分離管に導入し、磁場勾配を有する磁場(以下、「勾配磁場」と称する)を分離管内に印加することで(又は、勾配磁場を分離管内の領域に印加して混合物を含む流体を分離管に流すことで)、勾配磁場が印加された第1粒子と第2粒子とが種類別に分離され、或いは、当該混合物から第1粒子又は第2粒子が分離される。混合物に含まれる第1粒子と第2粒子を構成する物質の磁化率(体積磁化率)の値は異なっている。第1粒子又は第2粒子を形成する物質は、強磁性体、常磁性体、反磁性体及び反強磁性体の何れかであってよく、第1粒子と第2粒子は共に、強磁性体、常磁性体、反磁性体又は反強磁性体で形成されていてもよい。

本発明では、鉛直方向に沿って配置された分離管に流体が上向きに流されて、この流体の流れ、つまり重力の向きと反対に流れる向流を用いて混合物が分離管に導入される。そして、(図8(a)乃至(c)を参照して説明した原理に基づいて)分離管内に第1粒子と第2粒子が保持された状態で(つまり、分離管内で、各粒子に働くFzが0にされて)、勾配磁場が印加されてこれら粒子が種類別に分離される。このようなことから、本発明は、第1粒子と第2粒子の粒径、粒径分布及び/又は密度には、(例えば、図8(c)に示すように)第1粒子と第2粒子が分離管だけで分離又は分別されるほどの差が存在しない場合に効果的に適用される。本発明の作用効果が得られる限りにおいて、第1粒子と第2粒子の粒径(平均粒子径)や粒径分布、及び密度は限定されないが、第1粒子と第2粒子の粒径又は平均粒子径は、数μm〜数mm程度にされるのが好ましいであろう。

本発明の分離管には、逆錐状又は略逆状に構成された管や筒が、或いは、上方に広がるようにテーパー状又は略テーパー状に形成されて鉛直に配置された管や筒が使用される。例えば、分離管は、図8(a)乃至(c)に示した分級管(10)のように、逆円錐状に形成されてよい。本発明の作用効果が得られる限りにおいて、分離管の形状は限定されず、例えば、特許文献2に示されたような複数のテーパー部分が直管部分で連結されたような略逆状又は略テーパー状の分離管が使用されてもよい。本発明の分離管は、従来の向流分級装置で使用されている分級管又は淘汰管、つまり、逆錐状、略逆状、テーパー状又は略テーパー状に形成されており、先に説明したような分級機能を有している分級管又は淘汰管であってよい。分離管の断面形状は円であるのが好ましいが、楕円形や多形などであってもよい。分離管は、非磁性材料(例えば、非磁性の金属材料や樹脂(非磁性のステンレスやアクリル樹脂など))で形成されるのが好ましい。

本発明では、分離管内に第1粒子と第2粒子が保持された状態で、又は、分離管内に第1粒子と第2粒子が導入される前に、磁場勾配を有する磁場が、分離管に印加される。勾配磁場の磁場勾配は、鉛直方向成分を有している。このような勾配磁場が印加されると、分離管内に存在する第1粒子又は第2粒子に働く力Fzは、以下のようになる(鉛直下向きを正とする)。 Fz=4/3πai3i−ρ0)g−6πηai(vf−vpi)−4/3πai3i−χ0)/μ0・B∂B/∂z ここで、χiは、第1粒子又は第2粒子の磁化率(体積磁化率)(i=1 or 2)、χ0は、流体の磁化率(体積磁化率)、μ0真空中の透磁率、Bは磁場(磁束密度)、∂B/∂zは磁場勾配である(その他のパラメータについては、先述の式と同様)。

勾配磁場が印加されない場合、第1粒子及び第2粒子の粒径ai及び密度ρiに顕著な差がないと、例えば、図8(c)を参照して説明したように、これら粒子は、4/3πai3i−ρ0)g−6πηai(vf−vpi)がゼロとなる高さにて、混在した状態で浮遊する。勾配磁場が印加されると、第1粒子又は第2粒子の浮遊高さは、4/3πai3i−χ0)/μ0・B∂B/∂zなる項の効果により変化する。この項は、粒子の磁化率に依存しており、第1粒子を形成する物質の磁化率と、第2粒子を形成する物質の磁化率とは異なっているので、勾配磁場を印加することで、混在していた第1粒子と第2粒子は、磁化率に応じて異なる高さに浮遊して、種類別に分離される。第1粒子と第2粒子の磁化率の差が比較的小さい場合でも、磁場と磁場勾配の積を大きくすることで、第1粒子と第2粒子を(分離して個別に回収可能なように)異なる高さに浮遊させることが可能である。第1粒子の各々又は第2粒子の各々は、分離管内にて略同じ高さに浮遊する。本発明は、第1粒子及び第2粒子の粒径ai又は密度ρiに、第1粒子と第2粒子が分離管でそれらの分布領域が離間した状態で保持されるほどの差がある場合であっても、分離能や分離精度を向上させたり、第1粒子と第2粒子の分布領域をより離間させてそれらの回収を容易にするのに適用されてもよい。

本発明の作用効果が得られる限りにおいて、分離管に流される流体は限定されないが、分離される混合物の磁性や密度を考慮して選択されるのが好ましい。本発明で使用される流体としては、例えば、水又は蒸留水(反磁性)や常磁性無機塩の水溶液(塩化マンガン水溶液や塩化ガドリニウム水溶液など)(常磁性)が使用される。流体の磁性と、第1粒子及び第2粒子の少なくとも何れかの磁性とは異なっているのが好ましい。本発明では、分離管に流される流体に気体を用いることも可能である。

勾配磁場を生成する磁場生成手段としては、例えば、分離管を囲うように配置される超伝導又は常伝導ソレノイド電磁石や、分離管の下方に配置される超伝導バルク磁石や永久磁石が使用される。勾配磁場は、分離管内における磁場勾配が、鉛直方向成分を有するように生成される。勾配磁場の向きは特に制限されないが、例えば、鉛直上向き又は下向きにされてよい。例えば、鉛直方向に沿って磁場の大きさが単調減少するような、鉛直上向き又は下向きの勾配磁場が分離管内に印加される。

次に、本発明の混合物の分離方法を用いて混合物に含まれる粒子が種類別に分離される幾つかのケースについて、図を用いて説明する。

流体が反磁性を有しており(例えば、流体は水である)、密度に顕著な差がない第1粒子及び第2粒子(以下のケースでも、同様)が共に常磁性体で形成されているケース(χ12>>χ0)を考える。第1粒子及び第2粒子を含む混合物が懸濁した流体が、鉛直に配置された(逆円錐状の)分離管(1)の下端から上方に向けて分離管(1)内を流れる。図1(a)に示すように、分離管(1)内にて第1粒子(●で示す)及び第2粒子(○で示す)が混在して浮遊した状況下にて、磁場生成手段(3)を用いて、磁場勾配が鉛直方向成分を有する(例えば、鉛直下向きの)勾配磁場が印加されると、図1(b)に示すように、第1粒子及び第2粒子は分離管(1)内を移動して、異なる高さに浮遊して種類別に分離される。粒子は、磁場と磁場勾配の積(B∂B/∂z)の正負に応じて上下に動き、第2粒子よりも磁化率の高い第1粒子は、第2粒子よりも大きく移動する。第1粒子の各々又は第2粒子の各々は、分離管(1)内にて略同じ高さに浮遊する。分離管(1)内にて分離された第1粒子と第2粒子は、例えば、第1粒子と第2粒子の浮遊高さに合わせて分離管(1)に設けられた吸引ノズルを用いて、分離管(1)の外へと回収されてよい。

流体が反磁性を有しており(例えば、流体は水である)、第1粒子が常磁性体で、第2粒子が反磁性体で形成されているケース(χ1>>χ2≒χ0)を考える。このケースにて、図2(a)に示すように分離管(1)内にて第1粒子及び第2粒子が混在して浮遊した状況下にて、磁場生成手段(3)を用いて、磁場勾配が鉛直方向成分を有する(例えば、鉛直下向きの)勾配磁場が印加されると、図2(b)に示すように、第1粒子の浮遊高さが変化することで、これら粒子が種類別に分離される。第2粒子の浮遊高さは(ほとんど)変化しない。これは、流体と第2粒子が共に反磁性を有することで、勾配磁場が印加された第2粒子について、上記のFzにおける4/3πai3i−χ0)/μ0・B∂B/∂zなる項の影響が極めて小さいことによる(χ2−χ0の値が非常に小さい)。

流体が常磁性を有しており(例えば、流体は塩化マンガン水溶液である)、第1粒子が常磁性体で、第2粒子が反磁性体で形成されているケース(χ10>>χ2、又はχ01>>χ2)を考える。このケースにて、図3(a)に示すように分離管(1)内にて第1粒子及び第2粒子が混在して浮遊した状況下で、磁場生成手段(3)を用いて、磁場勾配が鉛直方向成分を有する(例えば、鉛直下向きの)勾配磁場が印加されると、図3(b)に示すように、第2粒子の浮遊高さが変化することで、これら粒子が種類別に分離される。第1粒子の浮遊高さはほとんど変化しない(又は、第1粒子の浮遊高さの変化は、第2粒子の浮遊高さの変化と比較して非常に小さい)。これは、流体と第1粒子が共に常磁性を有することで、第1粒子について、上記のFzにおける4/3πai3i−χ0)/μ0・B∂B/∂zなる項の影響が小さいことによる(χ1−χ0の値は小さい)。

図1乃至図3に例示したケースの説明では、第1粒子と第2粒子の粒径の分布は考慮されていないが、第1粒子及び第2粒子の粒径分布が狭い場合には、説明したように分離管(1)内にてこれら粒子が分離される。本発明は、第1粒子及び/又は第2粒子の粒径分布が広く、さらにはこれら粒径分布が重なっている場合でも、これら粒子を種類別に分離できる点で効果的である。例えば、流体が反磁性を有しており(例えば、流体は水である)、第1粒子及び第2粒子が共に常磁性体で形成されているケース(χ12>>χ0)において、第1粒子と第2粒子の粒径分布が広く、さらには重なっている場合、混合物を含む流体を分離管(1)に流すと、図4(a)に示すように、第1粒子と第2粒子は、分離管(1)内にて(分布領域が重なるように)鉛直方向に広がって分布し、混在する。この状況下にて、磁場生成手段(3)を用いて、磁場勾配が鉛直方向成分を有する勾配磁場が印加されると、図4(b)に示すようにつまり粒子の磁化率に応じて異なる高さで浮遊するように集まって、これら粒子は種類別に分離される。4/3πai3i−χ0)/μ0・B∂B/∂zなる項による磁気力が作用することで、第1粒子と第2粒子の鉛直方向の分布は狭くなる。

例えば、流体が反磁性を有しており(例えば、流体は水である)、第1粒子が常磁性体で、第2粒子が反磁性体で形成されているケース(χ1>>χ2≒χ0)にて、第1粒子と第2粒子の粒径分布が広く、さらには重なっている場合、混合物を含む流体を分離管(1)に流すと、図5(a)に示すように、第1粒子と第2粒子は、分離管(1)内にて(分布領域が重なるように)鉛直方向に広がって分布し、混在する。この状況下にて、磁場生成手段(3)を用いて、勾配磁場が印加されると、図5(b)に示すように、第1粒子が移動して略同じ高さで浮遊するように集まることで、第1粒子と第2粒子が種類別に分離される。勾配磁場が印加されても、第2粒子の分布領域は(ほとんど)変化しない。

図5(a)に示す状況下において、磁場生成手段(3)を用いて勾配磁場が印加される場合、分離管(1)内の流体の流れの乱れなどに起因して、第2粒子の分布領域が広がると、図6(a)に示すように、第2粒子の分布領域内にて、第1粒子が略同じ高さで浮遊するように集まることが起こり得る。このようなケースでは、磁場生成手段(3)を用いて勾配磁場を印加したまま、分離管(1)内の流体の流れを制御することで(例えば、分離管(1)に入る流体の流量を低下させることで)、図6(b)に示すように、第2粒子だけ沈降させて、分離管(1)の外に排出させることができる。これにより、第1粒子と第2粒子が種類別に分離される。浮遊位置は変化するものの、4/3πai3i−χ0)/μ0・B∂B/∂zなる項による磁気力の効果により第1粒子は分離管(1)内に保持される。

本発明で処理される混合物には、第1粒子と第2粒子に加えて、これら粒子と異なる種類の1又は複数の種類の粒子が更に含まれていてもよい。1又は複数の種類の粒子の磁化率は、第1粒子の磁化率及び第2粒子の磁化率と異なっている。或いは、1又は複数の種類の粒子の密度は、第1粒子の密度及び第2粒子の密度と異なっている。例えば、図1(a)及び(b)に例示したケースにて常磁性である第3粒子が混合物に含まれており、分離管(1)内にて第1乃至第3粒子が混在している場合、磁場生成手段(3)を用いて勾配磁場が印加されると、第3粒子は、第1及び第2粒子の浮遊高さと異なる高さに浮遊し、第1乃至第3粒子は種類別に分離される。

本発明は、第1粒子と第2粒子と含む混合物を種類別に分離するだけでなく、当該混合物から特定の種類の粒子、つまり第1粒子又は第2粒子を分離するのにも使用できる。第1粒子と第2粒子に加えて、これら粒子と異なる種類の1又は複数の種類の粒子が混合物に含まれている場合、分離対象ではない種類の粒子は、勾配磁場が印加されても混在していてよい。

上記のケースでは、分離管(1)に混合物を導入して保持した状態で、分離管(1)内に勾配磁場が印加されているが、分離管(1)内に勾配磁場が印加された状態で、分離管(1)に流体を流して、その流れを用いて混合物が分離管(1)内に導入されてもよい。この場合、流体の流れは、図1(a)、図2(a)、図3(a)、図4(a)や図5(a)に例示したように、勾配磁場が印加されない状態にて混合物(又は第1及び第2粒子)を分離管(1)内に保持するように流される。つまり、勾配磁場が印加された分離管(1)に送られる流体の流量は、勾配磁場が分離管(1)に印加されない状態でも、図1(a)、図2(a)、図3(a)、図4(a)や図5(a)に例示したように、第1粒子と第2粒子とが分離管(1)内に保持されるように、流量調節手段により調整される。

上記のケースでは、混合物が懸濁した流体が分離管(1)の下端から導入されて上方へと分離管(1)内を流れているが、混合物を含まない流体が分離管(1)の下端から導入されて分離管(1)内を流されると共に、混合物が分離管(1)内に別途導入されてよい。例えば、混合物を含む同じ流体が、例えば分離管(1)の側壁に接続された管路を介して分離管(1)内に別途導入されてよい。混合物が一定量導入されて分離管(1)内に保持された後に、分離管(1)内に勾配磁場が印加されてよく、分離管(1)内に勾配磁場が印加されている状態で、混合物が分離管(1)内に導入されてもよい。分離管(1)内に勾配磁場が印加されている状態で、分離管(1)の側壁に接続された管路を介して混合物が分離管(1)に導入される場合、第1粒子と第2粒子の浮遊位置の間に配置されるように管路の放出口が分離管(1)に設けられるのが好ましい。

図7に、本発明の一実施形態である混合物の分離装置の概要を模式的に示す。分離装置は、流体(液体)が貯留される貯槽(11)と、貯槽(11)から送られた流体が流れる逆錐状又はテーパー状の分離管(13)とを備えている。分離管(13)は、逆円錐形の形状を備えており、鉛直方向に沿って配置される。貯槽(11)に貯留された流体は、供給用ポンプ(15)により、分離管(13)の下端の流入口から。分離管(13)に送られる。分離管(13)の下方には、回収容器(17)が設けられており、当該回収容器(17)は第1ストップバルブ(19)が設けられた管路を介して分離管(13)の下端と接続されている。分離管(13)と第1ストップバルブ(19)の間にて、当該管路には、供給用ポンプ(15)の吐出口に繋がった管路が接続される。この管路には、分離管(13)に送られる流体の(単位時間当たりの体積)流量を調節する流量調節バルブ(21)が設けられる。分離管(13)の上端の流出口は、貯槽(11)と管路で繋がっており、分離管(13)を上向きに流れた流体は、貯槽(11)に戻されて、流体は、貯槽(11)と分離管(13)の間を循環する。流量調節バルブ(21)は、本発明に係る流量調節手段を構成する。また、供給用ポンプ(15)は、流量調節手段を構成すると共に、分離管(13)に流体を供給する供給手段を構成する。

貯槽(11)と分離管(13)の間を流体が循環している状態にて、貯槽(11)内の流体に、磁化率が異なる第1粒子(●)と第2粒子(○)を含む混合物が投入される。混合物はそのままの形態で、又は流体に懸濁した形態で貯槽(11)に入れられる。これにより、貯槽(11)から分離管(13)に向かう流体の流れを介して、第1粒子と第2粒子を含む混合物が分離管(13)に導入される。流量調節バルブ(21)を用いて分離管(13)に送られる流体の流量を適切に与えることによって、分離管(13)に送られた第1粒子と第2粒子が分離管(13)内にて保持されるように(第1粒子と第2粒子についてFzが0となるように)、分離管(13)内における流体の流速(又は流速分布)は調整される。第1粒子と第2粒子が除かれた流体が、分離管(13)から貯槽(11)に戻される。

分離装置は、分離管(13)内の領域に勾配磁場を印加する磁場生成手段(23)を備えている。勾配磁場の磁場勾配は、鉛直方向成分を有している。本実施形態では、磁場生成手段(23)として超伝導ソレノイド電磁石を用いており、分離管(13)は、超伝導ソレノイド電磁石のボア内に、超伝導ソレノイド電磁石のコイルと同軸になるように配置される。分離管(13)はガラス、アクリルや非磁性金属などの非磁性材料で形成されており、磁場生成手段(23)、つまり超伝導ソレノイド電磁石を励磁すると、分離管(13)内の領域には、鉛直方向に沿って大きさが変化する鉛直上向き又は下向きの勾配磁場が印加される。

貯槽(11)内の流体に投入された第1粒子と第2粒子が、例えば、図1(a)、図2(a)、図3(a)、図4(a)、又は図5(a)に示すように分離管(13)に保持されると、第1粒子と第2粒子を含まない流体が貯槽(11)と分離管(13)の間を循環した状態で、磁場生成手段(23)が励磁されて分離管(13)内に勾配磁場が印加される。これにより、例えば、図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、又は図5(b)に示すように、分離管(13)内にて第1粒子と第2粒子が分離される。貯槽(11)には、第1粒子を回収するための吸引管(25)が設けられており、該吸引管(25)の一端は、第1粒子の浮遊高さに合わせて分離管(13)内に配置されている。吸引管(25)の他端は、第2ストップバルブ(27)と吸引ポンプ(29)を介して図示を省略した第1粒子用の貯蔵槽と繋がっている。勾配磁場が印加されて、図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、又は図5(b)に示すように分離管(13)内にて第1粒子と第2粒子が種類別に分離されると、第2ストップバルブ(27)が開状態にされて吸引ポンプ(29)が駆動されることで、分離管(13)内にてほぼ一定の高さに集められた第1粒子が吸引管(25)により回収されて、第1粒子用の貯蔵槽に送られる。

分離管(13)内の第1粒子が回収されると、第2ストップバルブ(27)が閉状態にされると共に、流量調節バルブ(21)が調節されて(又は供給用ポンプ(15)が停止して)、分離管(13)に送られる流体の流量がゼロに又は小さくされ、さらに、必要に応じて(例えば、第2粒子が常磁性体で形成されている場合)磁場生成手段(23)が消磁される。これによって、分離管(13)内を第2粒子が沈降し、分離管(13)から排出される。第1ストップバルブ(19)が開状態にされると、分離管(13)の下端から排出された第2粒子が回収容器(17)内に貯められて、回収される。なお、第1粒子のように吸引管を用いて第2粒子が回収されてもよい。

例えば、勾配磁場が印加されて、図6(a)を用いて説明したように第1粒子が第2粒子の分布領域内にて集まって浮遊したような場合、勾配磁場が印加された状態で、流量調節バルブ(21)が調節されて、分離管(13)に送られる流体の流量がゼロに又は小さくされる。これにより、図6(b)に示すように、第1粒子が分離管(13)内に保持されたまま、第2粒子が沈降して分離管(13)から排出されて、第1粒子と第2粒子とが種類別に分離される。第1ストップバルブ(19)が開状態にされると、分離管(13)の下端から排出された第2粒子が回収容器(17)に回収される。その後、吸引管(25)を用いて第1粒子が回収される。

上記の実施形態の混合物の分離装置では、貯槽(11)と分離管(13)の間を流体が循環している状態にて、勾配磁場が分離管(13)内に印加されてよい。そして、その状況下にて、第1粒子と第2粒子を含む混合物が貯槽(11)に投入されて、分離管(13)に送られてもよい。その際に分離管(13)に送られる流体の流量は、勾配磁場が印加されない状態でも、分離管(13)に送られた第1粒子と第2粒子が分離管(13)内にて保持されるように、流量調節バルブ(21)を用いて調整される。貯槽(11)に混合物を投入して、分離管(13)を上向きに流れる流体の向流を利用して混合物を導入する代わりに、分離管(13)の側壁に接続された管路などを用いて、向流とは別個に混合物が分離管(13)に導入されてもよい。

以下、本発明の混合物の分離方法及び分離装置の実施例について説明する。

吸引管(25)、第2ストップバルブ(27)及び吸引ポンプ(29)が省略されている点を除いて、図7に示す分離装置と同様な構成を有する分離装置を試作した。試作した分離装置では、アクリル製の逆錐状の分離管(13)が使用された。分離管(13)は逆円錐形をしており、その長さは、800mm、下端の内径は3.2mm、上端の内径は48mmであった。磁場生成手段(23)としては、最大10Tの磁場を生成可能な超伝導ソレノイド電磁石(ボア径100mm、長さ460mm)を用いた。分離管(13)は、超伝導ソレノイド電磁石のコイルと同軸状に、超伝導ソレノイド電磁石のコイル中心点と分離管(13)の中心点(下端から400mm離れた分離管(13)の中心軸上の点)が一致するように配置された。流体として蒸留水(反磁性)を使用し、毎分2Lの(体積)流量で分離管(13)に蒸留水を流した。

実施例では、常磁性体である黒色ガラス球(佐竹ガラス株式会社製のカラーフリットG22(黒))と、反磁性体である黄色ガラス球(佐竹ガラス株式会社製のカラーフリットG34(黄))とをそれぞれ粉砕分級して粒径が180μm〜240μmとしたものをそれぞれ1gずつ混合することで、処理対象物である混合物を調整した。黒色ガラス粒子の比重は3.20、体積磁化率(SI単位系)は、3.17×10−4であった。黄色ガラス粒子の比重は3.21、体積磁化率(SI単位系)は、−9.27×10−6であった。

毎分2Lの流量で分離管(13)に蒸留水が供給されるように、貯槽(11)と分離管(13)の間で蒸留水を循環させた。そして、上述のように調整した混合物(の全量)を貯槽(11)内の流体に投入した。投入した混合物は、流体の流れを介して分離管(13)に運ばれて、黒色ガラス粒子と黄色ガラス粒子とは、図5(a)に示すように混在した状態で分離管(13)内に保持された。そして、コイル中心における磁場(磁束密度)が5.3Tとなるように、勾配磁場を分離管(13)内の領域に印加した。すると、鉛直方向についてコイル中心より±50mm内の領域(鉛直方向の幅が100mm)に分布又は懸濁していた黒色ガラス粒子は、図5(b)に示すように、コイル中心から60mm下方の高さに集まって浮遊した(黒色ガラス粒子は第1粒子に対応)。黄色ガラス粒子は、鉛直方向についてコイル中心より±50mm内の領域に分布又は懸濁したままであった(黄色ガラス粒子は第2粒子に対応)。

次に、印加した勾配磁場を維持した状態で、分離管(13)に流入する流体の流量を流量調節バルブ(21)で制御して、分離管(13)内の流体の流速を低下させた。分離管(13)内に黒色ガラス粒子が保持される一方、黄色ガラス粒子は沈降して、分離管(13)の下端から排出された。これにより、分離管(13)内に混在していた黒色ガラス粒子と黄色ガラス粒子は種類別に分離された。第1ストップバルブ(19)が開状態にされて、排出された黄色ガラス粒子は、回収容器(17)に回収された。

次に、第1ストップバルブ(19)を閉状態にして回収容器(17)を交換した。そして、超伝導ソレノイド電磁石を消磁して、分離管(13)内の黒色ガラス粒子を沈降させて、分離管(13)の下端から排出した。第1ストップバルブ(19)が開状態にされて、排出された黒色ガラス粒子は、交換された回収容器(17)に回収された。

回収容器(17)に回収された黄色ガラス粒子の重量を計測するとほぼ1gであり、交換後の回収容器(17)に回収された黒色ガラス粒子の重量を計測するとほぼ1gであった。このように、本発明により、粒径分布と密度(比重)に差がないが、磁化率が異なる2種類の粒子を含む混合物を、粒子の種類別に分離回収できることが実際に確認された。

上記の実施例では、分離管(13)内の流体の流れを制御して黄色ガラス粒子を分離管(13)から排出することで、混在していた黒色ガラス粒子と黄色ガラス粒子が種類別に分離されている。黒色ガラス粒子の比重又は密度及び粒径分布とよく似た比重又は密度及び粒径分布を有するが、黒色ガラス粒子の磁化率と異なる磁化率を有する常磁性体粒子が(このような粒子は、例えば、ガラスに含まれる顔料を選択・調整することで得られる)、反磁性体である黄色ガラス粒子の代わりに混合物に含まれている場合には、勾配磁場を印加することで、図1(b)や図4(b)に示すように、黒色ガラス粒子と常磁性体粒子とが種類別に分離されることは容易に理解できる。このように、本発明を実施して、図5(b)に加えて図1(b)乃至図4(b)及び図6(b)に例示したケースのように混合物を分離できることは、上記実施例から明らかであろう。

本発明は、例えば、産業廃棄物や家庭ゴミ等のリサイクル処理における物質の分離回収に利用され得る。より具体的には、光学レンズや液晶ディスプレイのガラス基板研磨に使用される研磨剤と、研磨により発生したガラス粒子とを含む混合物から、研磨剤とガラス粒子を分離して個々に回収するのに利用できる。

上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。

(1) 分離管 (3) 磁場生成手段 (11) 貯槽 (13) 分離管 (15) 供給用ポンプ (17) 回収容器 (21) 流量調節バルブ (23) 磁場生成手段

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