検体識別分取装置および検体識別分取方法

申请号 JP2013553180 申请日 2013-09-05 公开(公告)号 JPWO2014038640A1 公开(公告)日 2016-08-12
申请人 古河電気工業株式会社; 发明人 高橋 亨; 亨 高橋; 健 月井; 健 月井; 杰 徐; 杰 徐;
摘要 目的検体を分取する際に、目的検体のダメージと汚染を防止すると共に、分取処理の迅速化を実現することができる検体識別分取装置を提供することにある。制御手段64は、検体Sの光情報に基づいて目的検体の流速Vを算出すると共に、流速Vに基づいて、検体Sが分取ノズル先端に到達する時間Tを算出する。また、当該時間Tの経過前に分取ノズル先端が回収容器69内の液体に浸漬されるように、回収容器69を移動させる。その後、分取ノズル14の先端14bから排出された検体Sを含む分取溶液86を回収容器69へ分取する。
权利要求

液体に分散させた被測定対象である検体を識別し、識別結果に基づいて目的検体を分取する検体識別分取装置であって、 液体に分散させた検体を収容する検体収容部と、前記液体を流路に送液するための圧制御部と、検体に光を照射するための光照射部と、前記検体の光情報を測定する光情報測定部と、前記光情報に基づいて前記検体が目的検体か非目的検体であるか否かを判定する判定部と有する識別手段と、 前記識別手段の流路と連通する流路を有し、目的検体を含む分取溶液を回収容器へ分取する分取ノズルと、前記分取ノズル先端から排出された排液、または非目的検体や分取不可能と判定された検体を含む排液を吸引回収する排液回収部と、目的検体を含む分取溶液を回収する回収容器とを有する分取手段と、 前記分取ノズル及び前記回収容器の少なくとも一方を移動する移動手段と、 前記光情報測定部で測定された光情報に基づいて、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる制御手段と、を備え、 前記排液回収部は、前記分取ノズル先端から排出された非目的検体を含む排液、または非目的検体や分取不可能と判定された検体を含む排液を吸引する吸引ノズルを有することを特徴とする、検体識別分取装置。前記吸引ノズルは、複数の吸引路を有することを特徴とする、請求項1記載の検体識別分取装置。前記移動手段は、前記吸引ノズルを移動することを特徴とする、請求項1記載の検体識別分取装置。前記移動手段は、前記吸引ノズルを前記分取ノズルの側方から近接させることを特徴とする、請求項3記載の検体識別分取装置。前記制御手段は、目的検体の流速Vを算出すると共に、流速Vに基づいて、前記目的検体が前記分取ノズル先端に到達する時間Tを算出し、当該時間Tの経過前に前記分取ノズル先端が前記回収容器内の液体に浸漬されるように、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させることを特徴とする、請求項1記載の検体識別分取装置。前記吸引ノズルが前記分取ノズルに近接したとき、前記分取ノズル先端における最下端高さhが、前記吸引ノズル先端の内周面最上部高さHhighより低いことを特徴とする、請求項1記載の検体識別分取装置。前記吸引ノズルが前記分取ノズルに近接したとき、前記分取ノズル先端における最下端高さhが、前記吸引ノズル先端の内周面最上部高さHhighより低く、かつ前記吸引ノズルの先端の内周面最下部高さHlowより低いことを特徴とする、請求項6記載の検体識別分取装置。前記移動手段は、前記吸引ノズル先端での流れ方向が前記分取ノズル先端での流れ方向に対して所定度αとなるように、前記吸引ノズルを前記分取ノズルの側方から近接させ、 前記所定角度αが70°<α<110°を満たすことを特徴とする、請求項4記載の検体識別分取装置。前記制御手段は、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる際、目的検体の分取回数の増大に応じて、 前記分取ノズルの先端と前記回収容器との距離を増大させることを特徴とする、請求項1記載の検体識別分取装置。前記圧力制御部は、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる際、目的検体の分取回数の増大に応じて、前記目的検体を含む液体の送圧を増大させることを特徴とする、請求項1記載の検体識別分取装置。液体に分散させた被測定対象である検体を識別し、識別結果に基づいて目的検体を分取する検体識別分取方法であって、 液体に分散させた検体を収容する収容ステップと、 前記液体を流路に送液する送液ステップと、 検体に光を照射する照射ステップと、 前記検体の光情報を測定する測定ステップと、 前記光情報に基づいて、前記検体が目的検体か非目的検体であるか否かを判定する判定ステップと、 前記流路に連通する分取ノズルの先端から排出された排液、または非目的検体や分取不可能と判定された検体を含む排液を、吸引ノズルにて吸引回収する回収ステップと、 前記光情報に基づいて、前記分取ノズル先端を回収容器内に挿入するように、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる制御ステップと、 前記分取ノズル先端から排出された目的検体を含む分取溶液を、前記回収容器へ分取する分取ステップと、 を有することを特徴とする検体識別分取方法。

说明书全文

本発明は、液体に分散させた被測定対象である検体を識別し、識別結果に基づいて目的検体を分取する検体識別分取装置および検体識別分取方法に関する。

従来の検体識別分取装置は、細胞などの微小物検体を識別、分取するための装置として、医療分野の研究・検査などで広く使用されている。そして近年、研究・検査機関において、検体破壊を伴わない識別、分取を実現すると共に、これらの処理を迅速化することで研究・検査の効率を高めたいとの要望がある。

検体識別分取装置は、一般的に、検出部と、分取部とから構成されている。検出部は、単一検体に光を照射することで得られる光情報を検出する。また、分取部は、検出結果に基づいて必要な検体を回収し、不要な検体を破棄するものである。

図17は、従来の検体識別分取装置における分取部の構成の一例を示す図であり、図18(a)〜(g)は、上記分取部の動作の一例を示す図である。

図17に示すような分取部では、分取ノズル101の先端にて、目的検体102を含む液滴103または液流が所定圧にて形成されている。この液滴103または液流は、非目的検体104を含んでいると、排液槽105へ排出されるが(図18(a))、目的検体102を含んでいると、排液槽105が下方向に退避してからさらに横方向に移動し(図18(b)〜(c))、不図示の移動手段により回収容器106を上下方向に移動して、液体107が満たされた回収容器106に挿入して、目的検体102の分取を行う(図18(d))。その後は上記動作の逆動作を行って、排液槽105を図18(a)の位置に戻し、分取処理を終了する(図18(e)〜(g))。本構成によれば、検体に対し、超音波、高電圧を用いて液滴を形成させずに、余計な負荷を与えずに分取できるため、例えば、生細胞を対象とした場合、分取後の高生存率が期待されている。

特許第4413921号

しかしながら、上記従来の構成では以下のような問題点がある。すなわち、目的検体が回収容器に入る前に分取ノズル先端から排出されているため、目的検体が分取ノズル先端の端面や外壁と接触することによるダメージや汚染の問題がある。また、目的検体が分取ノズル先端から排出される液滴の中心に位置しているとは限らず、当該液滴と外気の界面に位置している場合には、表面張力によるダメージを受ける場合がある。特に、目的検体が生細胞や脆弱細胞等である場合には、細胞破壊を伴う可能性があり、分取後の細胞生存率が低下して、作業効率の低下を招くこととなる。

また、非目的検体を排液槽にて回収する構成では、一つの目的検体を分取するために、排液槽の下方向移動および横方向移動、回収容器の上方向移動および下方向移動、並びに排液槽の横方向移動および上方向移動といった、多くの工程が必要となり、分取処理の迅速化を図ることが困難である。

本発明の目的は、目的検体を分取する際に、検体のダメージと汚染を防止すると共に、分取処理の迅速化を実現することができる検体識別分取装置および検体識別分取方法を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明に係る検体識別分取装置は、液体に分散させた被測定対象である検体を識別し、識別結果に基づいて目的検体を分取する検体識別分取装置であって、液体に分散させた検体を収容する検体収容部と、前記液体を流路に送液するための圧力制御部と、検体に光を照射するための光照射部と、前記検体の光情報を測定する光情報測定部と、前記光情報に基づいて前記検体が目的検体か非目的検体であるか否かを判定する判定部と有する識別手段と、前記識別手段の流路と連通する流路を有し、目的検体を含む分取溶液を回収容器へ分取する分取ノズルと、前記分取ノズル先端から排出された排液、または非目的検体や分取不可能と判定された検体を含む排液を吸引回収する排液回収部と、目的検体を含む分取溶液を回収する回収容器とを有する分取手段と、前記分取ノズル及び前記回収容器の少なくとも一方を移動する移動手段と、前記光情報測定部で測定された光情報に基づいて、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる制御手段と、を備え、前記排液回収部は、前記分取ノズル先端から排出された非目的検体を含む排液、または非目的検体や分取不可能と判定された検体を含む排液を吸引する吸引ノズルを有することを特徴とする。

また、前記吸引ノズルは、複数の吸引路を有するのが好ましい。 また、前記移動手段は、前記吸引ノズルを移動する。好ましくは、前記移動手段は、前記吸引ノズルを前記分取ノズルの側方から近接させる。

また好ましくは、前記制御手段は、目的検体の流速Vを算出すると共に、流速Vに基づいて、前記目的検体が前記分取ノズル先端に到達する時間Tを算出し、当該時間Tの経過前に前記分取ノズル先端が前記回収容器内の液体に浸漬されるように、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる。

さらに好ましくは、前記吸引ノズルが前記分取ノズルに近接したとき、前記分取ノズル先端における最下端高さhが、前記吸引ノズルの先端の内周面最上部高さHhighより低い。

さらに好ましくは、前記吸引ノズルが前記分取ノズルに近接したとき、前記分取ノズル先端における最下端高さhが、前記吸引ノズルの先端の内周面最上部高さHhighより低く、かつ前記吸引ノズルの先端の内周面最下部高さHlowより低い。 また、前記移動手段は、前記吸引ノズルの先端での流れ方向が前記分取ノズル先端での流れ方向に対して所定度αとなるように、前記吸引ノズルを前記分取ノズルの側方から近接させ、前記所定角度αが70°<α<110°を満たすのがさらに好ましい。

また、前記制御手段は、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる際、目的検体の検出回数の増大に応じて、前記分取ノズルの先端と前記回収容器との距離を増大させるのが好ましい。

また、前記圧力制御部は、前記分取ノズルの流路における液体の送圧を、前記制御手段からの信号に応じて変更し、前記制御手段は、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる際、目的検体の検出回数の増大に応じて、前記目的検体を含む液体の送圧を増大させるのが好ましい。

上記目的を達成するために、本発明に係る検体識別分取方法は、液体に分散させた被測定対象である検体を識別し、識別結果に基づいて目的検体を分取する検体識別分取方法であって、液体に分散させた検体を収容する収容ステップと、前記液体を流路に送液する送液ステップと、検体に光を照射する照射ステップと、前記検体の光情報を測定する測定ステップと、前記光情報に基づいて、前記検体が目的検体か非目的検体であるか否かを判定する判定ステップと、前記流路に連通する分取ノズルの先端から排出された排液、または非目的検体や分取不可能と判定された検体を含む排液を、吸引ノズルにて吸引回収する回収ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記分取ノズル先端を回収容器内に挿入するように、前記分取ノズル及び/又は前記回収容器を相対的に移動させる制御ステップと、前記分取ノズル先端から排出された目的検体を含む分取溶液を、前記回収容器へ分取する分取ステップとを有することを特徴とする。

本発明によれば、光情報に基づいて検体が目的検体か非目的検体であるか否かを判定すると共に、当該光情報に基づいて、分取ノズル先端を回収容器内に挿入するように、分取ノズル及び/又は回収容器を相対的に移動させる。そして、分取ノズルの先端から排出された目的検体を含む分取溶液を回収容器へ分取する。これにより、目的検体が分取ノズルの端面や外壁あるいは外気に接触することなく回収容器の液体に回収され、目的検体の汚染やダメージを防止することができる。また、分取ノズルの先端から排出された非目的検体を含む排液を分取ノズル側方から吸引ノズルにて吸引回収するので、従来構成と比較して、排液回収部を移動する機械的動作の移動距離や動作時間を短くすることができ、分取処理の迅速化を図ることが可能となる。特に、従来の構成では、排液回収部が分取ノズルの下方に配置されるため、分取時にはまず排液回収部を分取ノズルの下方より回避する必要があった。一方、本発明では、排液回収部が分取ノズル側方に配置されるため、目的検体分取時に排液回収部を分取ノズルの下方より回避させる必要がなくなり、分取処理全体の時間を格段に短くすることができる。

本発明の実施形態に係る検体識別分取装置全体の構成を概略的に示す斜視図である。

図1の検体識別分取装置における検体収容部から分取のノズルの先端部までを拡大して示す部分断面図である。

図1の検体識別分取装置の機能を説明するブロック図である。

(a)〜(d)は、図3における分取手段の動作を説明する図である。

(a)〜(d)は、図4に示す動作時の分取ノズル近傍の拡大図である。

(a)〜(b)は、分取ノズルの先端形状の変形例を示す図である。

図1の検体識別分取装置で実行される検体識別分取処理のフローチャートである。

(a)〜(b)は、排液回収時における分取ノズルの流れ方向と吸引ノズルの流れ方向との角度を説明する図である。

(a)〜(b)は、排液回収時における分取ノズル先端と吸引ノズル先端との位置関係を説明する図である。

分取ノズル先端と吸引ノズル先端との位置関係の変形例を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平方向の断面図である。

分取ノズル先端と吸引ノズル先端との位置関係の他の変形例を示す図である。

分取溶液回収時における分取ノズルの移動位置の変化を説明する図である。

検体識別分取処理の変形例を説明する図である。

(a)は吸引ノズルの変形例を示す側面図であり、(b)は、(a)の線A−Aに沿う断面図、(c)は、(a)の吸引ノズルの動作を説明する図である。

図14(b)の吸引ノズルの変形例を示す断面図である。

排液回収時における分取ノズル先端と吸引ノズル先端との位置関係の変形例を示す図である。

従来の検体識別分取装置における分取部の構成の一例を示す図である。

(a)〜(g)は、図17の分取部の動作の一例を示す図である。

以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。

図1は、本発明の実施形態に係る検体識別分取装置全体の構成を概略的に示す斜視図である。この検体識別分取装置は、流路内を流れる液体に分散させた被測定対象である細胞などの検体に励起光を照射することで、検体の光情報を測定し、光情報により検体の分取要否を判別し、判別結果により分取対象となる目的検体を回収容器へ分取するものである。 また、図1及び図2において、白丸で示す検体Sは分取対象となる目的検体であり、黒丸で示す検体SRは廃棄対象となる非目的検体である。

検体識別分取装置1は、図1及び図2に示すように、液体Aに分散させた検体S,SRを収容する検体収容部11と、液体Aが流れる流路12aを有するフローセル12と、フローセル12の流路12aと連通する流路14aを有し、検体Sを含む分取溶液を培養プレート13(回収容器)へ分取する分取ノズル14と、を備えている。液体Aは、検体S及び検体SRが溶液に分散されたサンプル懸濁液である。

検体収容部11はフローセル12の上方に配置されている。検体収容部11とフローセル12との間には導入ノズル15が配置されており、この導入ノズル15は、検体収容部11からフローセル12の流路12aへ液体Aを導入する直線状の流路15aを有している。フローセル12の下方には、その流路12a内を流れる液体Aを培養プレート13のウェルへ導入する直線形状の流路14aを有する分取ノズル14が配置されている。

検体収容部11は、液体Aが導入される開口部11aを上部に有し、かつ底壁11bに吐出口11cを有する円筒状の容器である。すなわち、検体収容部11は、液体Aに分散させた検体を収容する機能を有している。また、検体収容部11の開口部11aには、開閉可能な蓋16が載置されている。この蓋16には、所定圧力に調整された加圧エアを検体収容部11内に導入するパイプ17が設けられている。このパイプ17から加圧エアが検体収容部11内に導入されることで、液体Aが所定圧力で流路15aに送液される。

液体Aを検体収容部11に導入するには、例えば、検体収容部11が導入ノズル15と接続配置された状態であれば、蓋16を開けて、開口部11aから液体Aをピペット等で検体収容部11内に導入する。

導入ノズル15は、所定の断面形状を有する筒状の部材であり、下端側にテーパ部15bを有している。導入ノズル15の上端部は、その流路15aの入口側が検体収容部11の吐出口11cと連通するように、検体収容部11の底壁11bに固定されている。また、導入ノズル15のテーパ部15bは、フローセル12の上端部に形成され流路12aと連通したテーパ孔12bに、圧入或いはねじ結合等により固定されている。なお、テーパ部15bおよびテーパ孔12bの代わりに、テーパが付かない直線部および孔が形成されてもよい。

フローセル12には、直線状の流路12aと連通し、検体を含まない液体(シース液)Bを流路12aに導入するためのシース液導入孔18が設けられている。また、フローセル12には、所定の圧力に調整されたシース液Bをシース液導入孔18に導入するためのシース液導入部19が設けられている。

フローセル12の流路12a内では、液体Aに分散させた検体S,SRが個別に流れるように、液体Aをシース液Bで囲むようにしている。液体Aの流れをサンプル流と呼び、サンプル流を包み込むような形のシース液Bの流れをシース流と呼ぶ。

また、フローセル12の下端部には、その流路12aと直線形状の流路14aとが連通するように、分取ノズル14が固定されている。フローセル12と分取ノズル14は、別体で設けられてもよいし、一体に形成された形態であってもよい。

このように、検体収容部11の吐出口11cに導入ノズル15の直線状の流路15aが連通し、この流路15aにフローセル12の直線状の流路12aが連通し、かつこの流路12aに分取ノズル14の直線状の流路14aが連通している。これにより、検体収容部11から分取ノズル14の先端部までの流路が直線形状の流路になっている。

また、検体識別分取装置1は、フローセル12の流路12a内を流れる液体Aに含まれる検体S,SRに励起光を照射して検体の光情報を測定する測定系30,40を備えている。測定系30、40は、図1及び図2に示すように、フローセル12の流路12a内を流れる液体Aに含まれる検体S,SRの進行方向(サンプル流の流路内での流れ方向D)に対して2箇所の異なる位置となるように流路12aの周囲に配置された二つの測定系である。各測定系30,40により、検体の進行方向における異なる位置で検体に励起光を個別に照射して検体の光情報を測定するようになっている。

測定系30は、フローセル12の流路12a内を流れる検体に励起光を照射する光照射部と、その励起光が検体を透過した透過光を受光する透過光受光部と、検体からの側方散乱光及び蛍光を受光する側方散乱光受光部とを備えている。

測定系30の光照射部は、所定の波長のレーザ光(例えば、488nmの光)を励起光として出射する半導体レーザ素子31と、そのレーザ光を伝搬して、流路12a内を流れる液体Aの流れ(サンプル流)の近傍で出射する照射光ファイバ32とを備えている。

測定系30の透過光受光部は、検体からの透過光をサンプル流の近傍で受光する光ファイバ33と、光ファイバ33を伝搬した透過光を受光する受光素子34とを有する。

測定系30の側方散乱光受光部は、検体からの側方散乱光をサンプル流の近傍で受光する光ファイバ35と、光ファイバ35に設けられ、側方散乱光及びこれに含まれる蛍光を波長毎に分離する三つの光学フィルタ36a乃至36cと、各光学フィルタで分離された光を受光する四つの受光素子37a乃至37dとを備えている。

受光素子37aは、光学フィルタ36aで反射された側方散乱光を受光する。受光素子37bは、光学フィルタ36aを透過しかつ光学フィルタ36bで反射された蛍光を受光する。受光素子37cは、光学フィルタ36bを透過しかつ光学フィルタ36cで反射された蛍光を受光する。そして、受光素子37dは、光学フィルタ36cを透過した蛍光を受光する。

測定系40は、フローセル12の流路12a内を流れる検体に励起光を照射する光照射部と、その励起光が検体を透過した透過光を受光する透過光受光部と、検体からの蛍光を受光する蛍光受光部とを備えている。

測定系40の光照射部は、所定の波長のレーザ光(例えば、635nmの光)を励起光として出射する半導体レーザ素子41と、そのレーザ光を伝搬して、サンプル流の近傍で出射する照射光ファイバ42とを備えている。なお、本実施形態では光源として半導体レーザ素子を採用しているが、特定波長の光を出射する光源であってもよい。

測定系40の透過光受光部は、検体からの透過光をサンプル流の近傍で受光する光ファイバ43と、光ファイバ43を伝搬した透過光を受光する受光素子44とを有する。

測定系30,40の各光ファイバ32,33,35,42,43は、光ファイバ保持部材38,39に保持され、光ファイバ保持部材38,39をフローセル12に位置決めして固定されている。光ファイバ保持部材38,39の位置は、検体の流れに対して任意に調整可能である。

測定系40の蛍光受光部は、検体からの蛍光をサンプル流の近傍で受光する光ファイバ45と、光ファイバ45を伝搬した蛍光を受光する受光素子46とを備えている。

また、検体識別分取装置1は、検体が目的検体であるか非目的検体であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、目的検体が分取ノズル14の先端14bに到達する前に培養プレート13を移動させ、目的検体を含む分取溶液を培養プレート13のウェルWへ分取するように構成されている。具体的には、検体識別分取装置1は、分取ノズル14に対して培養プレート13を移動可能に支持する不図示のステージと、このステージを駆動する後述の駆動モータとを備えている。

検体識別分取装置1は、分取ノズル14の先端14bから排出された非目的検体を含む排液を回収する排液回収部50を備えている。排液回収部50は、排液回収部本体51と、排液回収部51の側面から側方に延出して設けられ、分取ノズル先端から排出された非目的検体を含む排液を流路52aを介して吸引する吸引ノズル52とを有している(図2)。また、検体識別分取装置1は、分取ノズル14に対して吸引ノズル52を移動可能に支持する不図示のステージと、このステージを駆動する後述の駆動モータとを有している。ここで、排液あるいは分取溶液とは、液体A、シース液Bあるいはこれらの混合液が分取ノズル14の端面14bから外部に排出された液体をいう。

図3は、図1の検体識別分取装置の機能を説明するブロック図である。

図3において、検体識別分取装置1は、識別手段61、分取手段62、移動手段63および制御手段64を備えている。

識別手段61は、液体に分散させた検体を収容する検体収容部11と、液体を流路に送液するための圧力制御部65と、検体に光を照射するための光照射部66と、検体の光情報を測定する光情報測定部67と、光情報に基づいて検体が目的検体か非目的検体であるか否かを判定する判定部68と有している。光情報測定部67は、図1の測定系30,40に対応する機能ブロックである。

分取手段62は、識別手段61の流路と連通する流路を有し、目的検体を含む分取溶液を後述の回収容器へ分取する分取ノズル14と、分取ノズル先端から排出された非目的検体を含む排液を吸引回収する排液回収部50と、目的検体を含む分取溶液を回収する回収容器69とを有している。なお、回収容器69は上記実施形態における培養プレート13に対応している。

移動手段63は、排液回収部50を駆動する駆動モータ70と、回収容器69を駆動する駆動モータ71とを有しており、駆動モータ70,71が不図示のステージを介して排液回収部50と回収容器69を移動する。

制御手段64は、測定系30,40の各受光部、つまり、各受光素子34,44、37a乃至37d及び46で得られた光情報(透過光、側方散乱光及び蛍光の各情報)に基づいて、検体が目的検体(検体S)であるか非目的検体(検体SR)であるかを判定する。また、制御手段64は、測定系30,40の各受光素子34,44で得られた光情報の測定時差と、各受光素子34,44の間隔とから検体S,SRの流速Vを測定すると共に、測定された流速Vに基づき、検体S,SRが分取ノズル14の先端部に到達する時間Tを算出することが可能となっている。なお本実施形態では、制御手段64の一部が判定部68を構成しているが、制御手段64と判定部68とが別個に設けられてもよい。

そして制御手段64は、検体が検体Sであると判定した場合、算出された時間Tが経過する前に駆動モータ71を駆動制御する。これにより、回収容器69が上方向に移動し、分取ノズル14の先端14bが回収容器69内の液体に挿入され、その後、先端14bにある検体Sを含む分取溶液50が回収容器69内の液体に分取される。すなわち、制御手段64は、光情報測定部67で測定された光情報に基づいて検体Sの流速Vを算出すると共に、流速Vに基づいて、検体Sが分取ノズル14の先端14bに到達する時間Tを算出する。そして制御手段64は、当該時間Tの経過前に分取ノズル14の先端14bが回収容器内の液体に浸漬されるように、回収容器69を移動させる。

図4(a)〜(d)は、図3における分取手段62の動作を説明する図であり、図5(a)〜(b)は、図4に示す動作時の分取ノズル近傍の拡大図である。

先ず、スタンバイ状態では、吸引ノズル52は、分取ノズル14の側面14cと接触しない位置から1mm程度までの近接位置で停止しており、分取ノズル先端から排出された排液または非目的検体SRや分取不可能と判定された目的検体Sを含む排液を吸引する(図4(a))。このとき、排液は、所定圧力にて分取ノズル14の先端14bから排出されて下方向に凸形の排液80aとなり(図5(a))、さらに分取ノズル14の表面張力の作用により外側壁14cに沿って上方向に引き上げられ、略球形の排液80bとなる(図5(b))。その後、排液80bは、吸引ノズル52の吸引力により、先端14bから先端52bに向かって流れる排液81となる(図5(c)の矢印E)。このとき、吸引ノズルの先端52bの端面は、分取ノズル14内の流れ方向に略平行に設けられるのが好ましい。これにより、排液を確実に吸引することができる。

検体が分取可能と判断された検体Sであると判定された場合、所定のタイミングにて駆動モータ70を駆動することで、吸引ノズル52が上方向に移動する(矢印82)(図4(b))。この吸引ノズル52の動作は、斜め上方向、あるいは鉛直上方向に移動する一動作で行われる。また、吸引ノズル52の上方向への移動と同時に、駆動モータ71により回収容器69が上方向に移動し(矢印83)、分取ノズル14の先端14bが回収容器69内の液体に挿入される位置で、回収容器69が停止する。すなわち、分取ノズル14は、検体Sが分取ノズル14から排出される前に回収容器69に挿入される。吸引ノズル52が移動を開始してから分取ノズル14が回収容器69内の液体に挿入されるまでに要する時間は、例えば40msである。また、検体Sが分取ノズル14の先端より排出される時間Tは例えば70msである。その後、検体Sを含む分取溶液86が回収容器69に分取される(図4(c))。このとき、検体Sを含む分取溶液86は、外気や先端14bの端面と接触することなく回収容器69内の液体Fと混合される(図5(d))。

検体Sが分取されると、駆動モータ71により回収容器69が下方向に移動する(矢印84)(図4(d))。また、回収容器69の下方向への移動と同時もしくは移動開始後に、駆動モータ70により吸引ノズル52が下方向に移動する(矢印85)。この吸引ノズル52の動作は、斜め下方向、あるいは鉛直下方向に移動する一動作で行われる。回収容器69が移動を開始してから吸引ノズル52が停止するまでに要する時間は、例えば120msである。本動作より、吸引ノズル52および回収容器69がスタンバイ位置に戻り、吸引ノズル52は分取ノズル14の先端14bから排出された検体SRを含む排液を再び吸引する。

なお、回収容器69の下方向への移動の際、回収容器69内の液体Fが分取ノズル14の外側壁14cや先端14bの端面に付着し、この付着した液体Fの一部が回収容器69に垂下して、目的検体Sの汚染を招く原因となる場合がある。また、目的検体Sを含む液滴が分取ノズル14に付着することで、回収容器69内に目的検体Sが分取されず、分取精度が低下してしまう場合がある。そこで、分取ノズル14の変形例として、端部にテーパ部53aを有する分取ノズル53を採用してもよい(図6(a))。これにより、テーパ部53aや端面53bに付着した液体の水切れが向上し、液体の垂下による目的検体Sの汚染を抑制することが可能となる。また、端部が流れ方向に対して所定角度で切断された切断面54aを有する分取ノズル54を採用してもよい(図6(b))。本形状によっても、テーパ部54aや端面54bに付着した液体の水切れを向上することができる。

図7は、図1の検体識別分取装置1で実行される検体識別分取処理のフローチャートである。

先ず、液体Aに分散させた検体S,SRを検体収容部11に収容し(ステップS11)、吸引ノズル52の先端52bを、分取ノズル14の先端14bに近接させて、スタンバイ位置で停止させる(ステップS12)。そして、パイプ17から所定圧力を加えて、液体Aを流路14aに送液する(ステップS13)。

次に、流路14aを流れる検体S,SRに励起光を照射して(ステップS14)、各受光素子にて受光した光情報を測定し、この光情報に基づいて、流路14aを流れる各検体が目的検体である検体Sであるか、非目的検体としての検体SRであるかを判定する(ステップS17)。

流路14aを流れる各検体が、目的検体としての検体Sである場合、吸引ノズル52をスタンバイ位置から退避させて、吸引ノズル52の先端52bを、分取ノズル14の先端14bから離反させる(ステップS18)。また、吸引ノズル52の退避と共に、回収容器69を移動して、分取ノズル14の先端14bを回収容器69内の液体に浸漬させる(ステップS19)。そして、検体Sを含む分取溶液を回収容器69内に分取し、検体Sを回収容器69で回収する(ステップS20)。その後、回収容器69を移動してスタンバイ位置まで退避させると共に(ステップS21)、吸引ノズル52を再度スタンバイ位置に移動して、吸引ノズル52の先端52bを、分取ノズル14の先端14bに近接させて(ステップS22)、本処理を終了する。

上述したように、本実施形態によれば、検体Sの光情報に基づいて目的検体の流速Vを算出すると共に、流速Vに基づいて、検体Sが分取ノズル先端に到達する時間Tを算出する。また、当該時間Tの経過前に分取ノズル先端が回収容器69内の液体に浸漬されるように、回収容器69を移動させる。その後、分取ノズル14の先端14bから排出された検体Sを含む分取溶液86を回収容器69へ分取する。これにより、検体Sが分取ノズル14の端面や外壁あるいは外気に接触することなく回収容器69の液体に回収され、検体Sが分取ノズル14や外気に接触することによるダメージや汚染を防止することができる。また、分取ノズル14の先端14bから排出された検体SRを含む排液を吸引回収するので、従来構成と比較して、排液回収部を上方向および下方向に移動する機械的動作の移動距離や動作時間を格段に短くすることができ、分取処理の迅速化を図ることが可能となる。

ここで、吸引ノズル52は、分取ノズル14からの排液を吸引するのに十分な圧力にて吸引を行うため、この吸引圧が分取ノズル14の流路14aを流れる液体Aやシース液Bに対して影響を与える可能性がある。つまり吸引の力により、先端14b近傍での検体の流れに加速度を与えることで流速Vが変化してしまい、制御手段64で算出された時間Tよりも早いタイミングで検体Sが分取ノズル14から排出されてしまう可能性がある。また、分取ノズル14に対して吸引ノズル52の位置が不適切であると、分取ノズル14からの排液を効果的に吸引することができない。

そこで先ず、本実施形態では、排液回収時における分取ノズル14の流れ方向と吸引ノズル52の流れ方向との角度を、以下のように設定する。すなわち、図8に示すように、移動手段63は、吸引ノズル52の先端52bでの流れ方向89が分取ノズル14の先端14bでの流れ方向88に対して所定角度αとなるように、吸引ノズル52を分取ノズル14の側方から近接させる。好ましくは、所定角度α1は70°より大きく180°より小さく設定され(図8(a))、好ましくは、所定角度α2は70°より大きく110°より小さく設定される(図8(b))。これにより、吸引ノズル52の吸引力が分取ノズル14の流路14aを流れる液体Aやシース液Bに及ぼす作用を大幅に抑制することができ、正確な分取処理を実行することが可能となる。さらに、所定角度αが80°より大きく90°より小さい場合には、吸引ノズル52の吸引力が分取ノズル14の流路14aを流れる液体Aやシース液Bに及ぼす作用を抑制できると共に、排液が吸引ノズル52の先端52b近傍から落下するのを抑制することができる。

また、吸引ノズル52による吸引作用は、排液回収時における分取ノズル14の先端14bと吸引ノズル52の先端52bとの位置関係によっても抑制することが可能である。実際には、図5(b)に示すように、分取ノズル14の先端14bにできる液滴は、表面張力の作用により外側壁14cに沿って幾分上方に上がっているため、この液滴の上昇分を考慮して、分取ノズル14の先端14bと吸引ノズル52の先端52bとの位置関係を決定するのがよい。

図9(a)および(b)は、排液回収時における分取ノズル14の先端14bと吸引ノズル52の先端52bとの具体的な位置関係を説明する図である。なお、図9(a)および(b)は、図8(a)および(b)に対応する図であり、それぞれα1=80°、α2=100°の場合を示す。

吸引ノズル52が分取ノズル14に近接したとき、分取ノズル14の先端14bにおける最下端高さhが、吸引ノズル52の先端52bにおける内周面最下部高さHlowより高く、かつその内周面最上部高さHhighより低く設定され、さらにHlowがHdより低く設定される。この内周面最下部高さとは、吸引ノズルの内側面52cのうち最も低い部分の高さをいい、内周面最上部高さとは、吸引ノズルの内側面52cのうち最も高い部分の高さをいう。また、Hdとは、分取ノズル14の先端14bで形成される球状液滴の上端部高さをいう。このような位置関係によれば、表面張力で分取ノズル側方に上がった液滴部分を吸引するので、分取ノズル14の側壁によってサンプル流に対する吸引ノズル52の吸引力に起因した外乱が緩和される。よって、流路14aを流れる液体Aやシース液Bに及ぼす作用を更に抑制することができ、より正確な分取処理を実行することが可能となる。

また、図9(a)および(b)では、α1=80°、α2=100°の場合を例に説明したが、分取ノズル14の最下端高さhが、h

highかつH

low

また、分取ノズル14の先端14bにおける最下端高さhが、吸引ノズル52の先端52bの内周面最下部高さHlowより低く設定されてもよい(図10(a))。h

low の場合には、分取ノズル14の外側壁14cに沿って上がった液滴80b(図10(b))の近傍の空気が、吸引ノズル52に吸引されることによって、ノズル周辺に円筒周りの空気の流れGが形成されることとなる(図10(c))。この空気の流れGの作用により、液滴80bは、吸引ノズル52の中心付近にて空気と共に吸引される。これにより、ノズル側方に上がった液滴のほぼ全てが吸引される。この位置関係によれば、分取ノズルの外側壁14cに残る、非目的検体SRや分取不可能と判定された目的検体Sを含む可能性のある液滴がほぼなくなる。したがって、サンプル流に影響を与えずに排液を吸引することができ、加えて、分取ノズル14周りの液滴が残らないように排液を吸引することが可能となる。この結果、正確な分取処理を実行することが可能となる。

さらに、Hlow

次に、分取処理において、回収容器69の同一ウェルWに分取ノズル14が複数回浸漬される場合、回収容器69内の溶液量は常に一定ではなく、分取回数に応じて増大することとなる。したがって、分取時における分取ノズル14と回収容器69との位置関係が一定の場合、分取ノズル14の先端14bにおける圧力が、回収容器69内の溶液の水圧に伴って変動することとなり、この水圧が分取ノズル14の流路14aを流れる液体Aやシース液Bに対して影響を与える可能性がある。

そこで本実施形態では、制御手段64は、図7のステップS16にて検体Sを検出した回数を記憶し、検体Sの検出回数に応じて、回収容器69の移動位置を変更することが可能に構成されている。

具体的には、1回目の分取処理では、分取ノズル14の先端14bと、回収容器69におけるウェルWの底面との距離がL1となるように回収容器を移動する(図12(a))。2回目の分取処理では、分取ノズル14の先端14bと、回収容器69におけるウェルWの底面との距離がL2(L1

また、分取時における分取ノズル14と回収容器69との位置関係が一定の場合には、分取ノズル14の先端14bにおける送圧を変化させてもよい。この場合、圧力制御部65は、分取ノズル14の流路14bにおける液体の送圧を、制御手段64からの信号に応じて変更するように構成される。そして、制御手段64は、回収容器69を移動させる際、検体Sの検出回数の増大に応じて、検体Sを含む液体の送圧を増大させる。送圧の変化量は一定であってもよいし、検出回数に応じて増大又は減少させてもよい。

例えば、図13に示すように、1回目の分取処理が図13(a)に示すような位置関係で実行される場合、2回目の分取処理時には、分取ノズル14の先端14bの深さに対応するΔP1を通常の制御圧Pに加える圧力制御を実行する(図13(b))。同様に、3回目の分取処理時には、分取ノズル14の先端14bの深さに対応するΔP2を制御圧Pに加える圧力制御を実行する(図13(c))。 本構成によれば、回収容器69内の溶液量が増大して分取ノズル14の先端14bにおける水圧が増大した場合でも、当該水圧に応じた送圧にて分取ノズル14の先端14bから液体を分取することで、正確な分取処理を実行することができる。

なお、上記実施形態では、吸引ノズル52を有する排液回収部50が設けられるが、本発明の分取処理におけるステップS19,S20が実行される構成であれば吸引ノズルは必ずしも必要ではない。排液回収部50の代わりに、分取ノズル先端から排出された排液または非目的検体SRや分取不可能と判定された目的検体Sを含む排液を回収する排液槽を設けてもよい。この排液槽は、従来の構成と同様のものを用いることができ、本構成によっても上記効果を奏することが可能である。

また、上記分取処理の際、分取ノズル14を固定しつつ回収容器69を移動するが、これに限らず、分取ノズル14を駆動する不図示の駆動モータを設け、分取ノズル14を移動させて、回収容器69を固定してもよい。また、分取ノズル14と回収容器69の双方を相対的に移動させてもよい。

また、上記実施形態では、1つの吸引ノズルに1つの吸引路が設けられているが、これに限らず、1つの吸引ノズルに2つ以上の吸引路を設けてもよい。 例えば、図14(a)および(b)に示すように、吸引ノズル90は、互いに異なる方向の中心軸X1,X2を有し、且つ一端側の開口部91a,92aが互いに近接されてなる2つの吸引孔91,92を備えた、一体化部品で構成されてもよい。好ましくは、平面視において、中心軸X1,X2のなす角度は0°より大きく180°未満である。吸引孔91,92の他端側には、負圧によって排液を吸引するための不図示のパイプ等が接続される。排液吸引の際、吸引ノズル90の開口部91a,92aを、分取ノズル14の先端14b近傍に近接させるよう移動し、分取ノズル14から出る排液を吸引孔91,92を介して2方向から吸引する。また、分注時には、吸引ノズル90を斜め上方に移動して待避させ、回収容器を上方に移動させる(図14(c))。

本構成によれば、1つの吸引ノズルで吸引する場合と比較して、排液の吸引精度を向上することが可能となる。また、1つの吸引ノズルの場合、分取ノズル14に関して吸引ノズル90の先端が配置される位置の反対側にデッドスペースが生じ、このデッドスペースに排液が残って、吸引ムラが生じることがある。一方、2つの吸引孔91,92を上記角度となるように配置して吸引すれば、デッドスペースの発生を防止することができる。よって、吸引ムラを防止して、ソーティング精度を向上することが可能となる。 なお、図14の吸引ノズル90には、2つの吸引孔91,92が設けられているが、これに限らず、図15に示すように、互いに異なる方向の中心軸X3,X4を有し、先端93a,94aが互いに近接されてなる2つの吸引管93,94が設けられてもよい。このように、2つの吸引路が別体で設けられた構成によっても、上記同様の効果を奏することができる。

また、上記実施形態では、分取ノズル14の先端14bにおける最下端高さhが、吸引ノズル52の先端52bにおける内周面最下部高さHlowより高く、かつその内周面最上部高さHhighより低く設定されるか(図9)、あるいは分取ノズル14の先端14bにおける最下端高さhが、吸引ノズル52の先端52bの内周面最下部高さHlowより低く設定されているが(図10(a))、これに限られない。図16に示すように、分取ノズル14の先端14bにおける最下端高さhが、吸引ノズル52の先端52bにおける内周面最下部高さHlowより高く、かつその内周面最上部高さHhighより高く設定されてもよい。

以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。

1 検体識別分取装置 11 検体収容部 14 分取ノズル 50 排液回収部 61 識別手段 62 分取手段 64 制御手段 65 圧力制御部 66 光照射部 67 光情報測定部 68 判定部 69 回収容器

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