【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鋳物砂ボリュウム増加材回収法と、鋳物砂ボリュウム増加材回収装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、鋳物は鋳物枠内に木型を配置し、鋳物枠内に鋳物砂を入れ、鋳物砂を硬化させて木型を抜取り、木型を取り除いて形成される空隙部分に溶解した金属(一般に、「湯」という)を鋳込(一般に、 「注湯」という)んで、急凍し冷却した後の金属すなわち鋳物を取り出す解枠作業を行っている。 【0003】鋳造作業に使用する鋳物砂の倹約や解枠時間を少なくしたり、解枠時の振動音を少なくするために、砂に替えて鋳物砂のボリュウム増加材が使用されているが、経済的な(適当な)回収方法がないため、あまり実用化されていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】鋳物砂ボリュウム増加材として金属を埋設したセラミック体が用いられているが、解枠時に発生する湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片との分離にマグネットを使用する方法では、両者共磁性を有するためどうしても分離が困難である。 【0005】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記の事情に鑑み、ボリュウム増加材の中空金属球と湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片との分離・回収を可能とすべく、造型時に使用した鋳物砂のボリュウム増加材としての中空金属球と、解枠時に発生する湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片とを分離し、中空金属球を回収する鋳物砂ボリュウム増加材回収法であって、中空金属球と金属片との中間の比重を有する液体に、中空金属球と金属片とを投入し、中空金属球を液面上に浮遊させ、金属片を液中に沈下させ、浮遊した中空金属球を掻き板あるいは風力で回収するようにした鋳物砂ボリュウム増加材回収法とした。 【0006】また、鋳物砂ボリュウム増加材と、湯道、 押湯、鋳物バリ等の金属片との分離を可能とすべく、造型時に使用した鋳物砂のボリュウム増加材の中空金属球と、解枠時に発生する湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片との中間の比重を有する液体を収容し、中空金属球と金属片とを投入させ、中空金属球を液面上に浮遊させ、金属片を液中に沈下させる容器と、浮遊した中空金属球を掻き板あるいは風力などの回収手段とよりなる鋳物砂ボリュウム増加材回収装置とした。 【0007】 【発明の実施の態様】本発明を添付する図面に示す具体的実施例に基づいて以下詳細に説明する。 本発明に係るボリュウム増加材としての中空金属球を用いた鋳造作業を説明する。 まず、木型を鋳物枠で囲い、これに鋳物砂を最小厚さ10〜15cm程度充填する。 この鋳物砂に振動を与える等をして適当につき固め、その上にボリュウム増加材としての中空金属球を充填し、さらにその上に鋳物砂を入れる。 そしてこれを30分程放置すると、 珪砂にフラレ樹脂、硬化材を混入させ鋳物砂が自然に固まり図示の硬化した鋳物砂5となり、木型を抜き取ることが可能になる。 然してその後、木型を抜き取ると、空隙ができ、このようにしてできた上枠と下枠を、図1に示すように、重ね合わせて鋳型を形成する。 【0008】ここで、溶解した金属を鋳込む。 図1において、鋳造して冷却した後の金属、すなわち鋳物1には湯道2、それに押湯3が連なっている。 ここで、符号4 は鋳物枠、符号5は硬化した鋳物砂、符号6は中空鉄球である。 鋳物1を取り出す作業を解枠作業というが、この解枠作業の中で鋳物1と鋳物枠4と鋳物砂5と中空鉄球6とを分離する工程が主体であるが、その中で、鋳物1に付随する湯道、押湯、鋳物バリ等の鉄片と中空鉄球4との分離が、困難であったのを、本発明は解決した。 【0009】なお、中空鉄球は図2に示すとおりで半球6 1・6 2を二枚プレス仕上げし、嵌め合い部Aにて接合する。 そして、嵌め合い部Aは数箇所点溶接を行って真の球形にできるだけ近づける。 中空鉄球4の嵌め合い部Aは水が入らないように、殆ど隙間無しとする。 ただし、全面溶接ではないので、最高800℃くらいまで中空鉄球6の温度が上がっても中空鉄球6の内部の空気が膨張して中空鉄球6が爆発するようなことはない。 【0010】中空鉄球6の大きさは鋳物枠4の大きさとバランスで決定すれば良いが、通常外径7〜10cm程度で、中空鉄球6の肉厚は変形が生じない程度でできるだけ薄く、通常1.2〜1.6mm程度で、重さ100 〜200gである。 中空鉄球6のコストも1個100円内外で極めて安価である。 中空鉄球6の比重は水より小で水に浮き、鉄片の比重は水より大きく水に沈む。 【0011】図3および図4により、中空鉄球6の回収について説明する。 まず、図3に解枠装置の全体の概略を示す。 床面11から掘り込んでピット12を設け、ピット12内にシェーカー(振動篩)13を設け、そのシェーカー13の上には鋳物枠4を載置させ、シェーカー13の下方のピット12内にオシレートコンベヤー14 を設け、このオシレートコンベヤー14の終端側にバケットエレベーター15を垂直状に起立させて設け、バケットエレベーター15の上端側にベルトコンベヤー16 を設ける。 【0012】一方、オシレートコンベヤー14の中間部下方に振動格子17を配置し、この振動格子17の下方にベルトコンベヤー18を設け、ベルトコンベヤー18 の終端側にサンドクラッシャー19を設け、サンドクラッシャー19の下流側にバケットエレベーター20を垂直状に起立させ、バケットエレベーター20の上端にサンドタンク21を配置し、さらにサンドタンク21の下流側にサンドリクレーマー22を配置し、さらにサンドリクレーマー22の下流側にベルトコンベヤー23を配置する。 【0013】ここで、シェーカー13の振動により解枠され、中空鉄球6と鉄片31とはオシレートコンベヤー14によりバケットエレベーター15まで運ばれ、バケットエレベーター15によりベルトコンベヤー16に中空鉄球6と鉄片31とが供給される。 この中空鉄球6と鉄片31とは、図4に示す、中空鉄球6と鉄片の分離装置に供給される。 【0014】一方、オシレートコンベヤー14の途中に設けた振動格子17により解枠された時に含まれる硬化した鋳物砂5の塊は、ベルトコンベヤー18によりサンドクラッシャー19に供給される。 サンドクラッシャー19により破砕され、破砕された鋳物砂5−1はバケットエレベーター20によりサンドタンク21に供給され、さらに、サンドリクレーマー22に供給され、ベルトコンベヤー23を経て鋳物砂5−1として回収される。 【0015】次に、図4により中空鉄球6と鉄片31との分離装置について説明する。 前記ベルトコンベヤー1 6の下流側には、水41を収容した容器42が配置されていて、その水面上方の中空鉄球6が掻き取れる位置に掻き板装置43が設けられ、水面上に浮遊した中空鉄球6を風力により移動させる送風機44が容器42の側方に配置されている。 なお、容器42の水位を一定にするために、水位計と水の補給装置(両者とも図示せず)を設け、両者を連動させる。 すなわち、水位が下がると水を補給して常時、一定の水位を保持させる。 また、容器42で使用する液体は、鉄片31と分離しやすいので、 水より比重の小さいものが望ましい。 【0016】容器42の下流側にはボール収納容器45 あるいはベルトコンベヤー46が配置され、ベルトコンベヤー46の終端にはバケットエレベーター47が配置され、バケットエレベーター47の上端にはベルトコンベヤー48が配置され、ベルトコンベヤー48の終端にはボールフィーダータンク49が配置され、ボールフィーダータンク49の下方には造型機50が配置されている。 【0017】ここで、ベルトコンベヤー16により送られてきた中空鉄球6と鉄片31とは容器42の水中に投入され、中空鉄球6は比重が水より小さいので、水面上に浮遊し、一方、比重が水より大きい鉄片31は容器4 2内に沈下する。 ここで、掻き板装置43を駆動して中空鉄球6をボール収納容器45側へ移動させ、中空鉄球45をボール収納容器45に収納する。 あるいは送風機44の風圧により中空鉄球6をボール収納容器45側へ移動させ、中空鉄球45をボール収納容器45に収納する。 【0018】容器42からベルトコンベヤー46に供給された中空鉄球6は、バケットエレベーター47によりベルトコンベヤー48を経てボルーフィーダタンク49 に供給され、ボールフィーダータンク49より造型機5 0に供給される。 【0019】 【発明の効果】本発明は、上述のように、造型時に使用した鋳物砂のボリュウム増加材としての中空金属球と、 解枠時に発生する湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片とを分離し、中空金属球を回収する鋳物砂ボリュウム増加材回収法であって、中空金属球と金属片との中間の比重を有する液体に、中空金属球と金属片とを投入し、中空金属球を液面上に浮遊させ、金属片を液中に沈下させ、浮遊した中空金属球を掻き板あるいは風力で回収するようにした鋳物砂ボリュウム増加材回収法であるので、ボリュウム増加材である中空金属球と湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片との分離ができ、中空金属球の回収が可能となった。 【0020】また、本発明は、上述のように、造型時に使用した鋳物砂のボリュウム増加材の中空金属球と、解枠時に発生する湯道、押湯、鋳物バリ等の金属片との中間の比重を有する液体を収容し、中空金属球と金属片とを投入させ、中空金属球を液面上に浮遊させ、金属片を液中に沈下させる容器と、浮遊した中空金属球を掻き板あるいは風力などの回収手段とよりなる鋳物砂ボリュウム増加材回収装置であるので、鋳物砂ボリュウム増加材と、湯道、押湯、金属バリ等の金属片との人力によらない分離を可能とし、中空金属球の回収が自動化された。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る中空金属球を使用した鋳型の縦断面図である。 【図2】本発明に係る中空金属球の(a)外観図と、 (b)要部の分解図と、(c)要部の組み上がった断面図との三面図である。 【図3】解枠装置の全体の概要を示す概要図である。 【図4】中空鉄球と鉄片との分離装置概要図である。 【符号の説明】 1…鋳物 2…湯道 3…押湯 4…鋳物枠 5…硬化した鋳物砂 5−1…回収処理をして塊の粉砕された鋳物砂 6…中空鉄球 11…床面 12…ピット 13…シェーカー 14…オシレートコンベヤー 15…バケットエレベーター 16…ベルトコンベヤー 17…振動格子 18…ベルトコンベヤー 19…サンドクラッシャー 20…バケットエレベーター 21…サンドタンク 22…サンドリクレーマー 23…ベルトコンベヤー 31…鉄片 41…水 42…容器 43…掻き板装置 45…ボール収納容器 46…ベルトコンベー 47…バケットエレベータ 48…ベルトコンベヤー 49…ボールフィーダータンク 50…造型機 |