Bioprocessing of crop grain

申请号 JP2009500666 申请日 2007-03-21 公开(公告)号 JP5076040B2 公开(公告)日 2012-11-21
申请人 プラグレイン プロプライエタリー リミテッドPuragrain Pty Ltd; 发明人 デイビッド サウザン、マイケル; ロナルド ブラッドナー、ジョン; ドラント ウィローズ、ロバート; ヒュー ロバーツ、トーマス; ジェームズ アトウェル、ブライアン;
摘要
权利要求
  • 作物穀粒の製粉性を高めるために作物穀粒を製粉前に処理する方法であって、作物穀粒の製粉性を高める1または複数の植物ホルモンに作物穀粒を暴露するステップを含み、前記1または複数の植物ホルモンが、オーキシンおよびアブシジン酸からなる群から選択される方法。
  • 作物穀粒が少なくとも胚乳とふすま層とを含む請求項1に記載の方法。
  • 作物穀粒が穀物である請求項2に記載の方法。
  • 穀物がコムギである請求項3に記載の方法。
  • 作物穀粒を1〜24時間処理する請求項1に記載の方法。
  • 作物穀粒を8〜18時間処理する請求項5に記載の方法。
  • 作物穀粒を14〜16時間処理する請求項6に記載の方法。
  • 作物穀粒が14〜17%の含水率を有する請求項1に記載の方法。
  • 植物ホルモンがアブシジン酸のみである請求項1に記載の方法。
  • 植物ホルモンを、0.5〜50mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加する請求項1に記載の方法。
  • 植物ホルモンの最終濃度が1〜20mg/kg作物穀粒である請求項10に記載の方法。
  • 植物ホルモンの最終濃度が2mg/kg作物穀粒である請求項11に記載の方法。
  • 作物穀粒を酵素に暴露するステップをさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  • 酵素が植物細胞壁分解酵素である請求項13に記載の方法。
  • 植物細胞壁分解酵素が、キシラナーゼ、セルラーゼおよびリパーゼからなる群から選択される請求項14に記載の方法。
  • 植物細胞壁分解酵素がセルラーゼである請求項15に記載の方法。
  • 酵素の最終濃度が50〜1000mg/kg作物穀粒である請求項13に記載の方法。
  • 酵素の最終濃度が100〜500mg/kg作物穀粒である請求項17に記載の方法。
  • 酵素の最終濃度が250mg/kg作物穀粒である請求項18に記載の方法。
  • コムギ穀粒の製粉性を高めるためにコムギ穀粒を製粉前に処理する方法であって、コムギ穀粒を、2mg/kg作物穀粒の最終濃度のアブシジン酸と250mg/kg作物穀粒の最終濃度のセルラーゼに、14〜16時間暴露して、コムギ穀粒の製粉性を高めるステップを含む方法。
  • 说明书全文

    本発明は、作物の穀粒(crop kernel)の製粉に関する。 さらに具体的に言えば、本発明は、高品質の粉(flour)を高収率で製造する改良型穀物製粉法に関する。

    粉を製造するための作物穀粒の製粉は、作物穀粒を2つの石の間で摺り潰す原始的な方法から高度に機械化された産業上重要な方法へと進化を遂げてきた。 しかし、製粉の主目的は変っておらず、依然として、穀粒をその基本成分に分離すること、および1または複数のこれらの成分を細かい粉末にすることである。 該方法は多くのステップを含む。 まず、作物穀粒を調質する(conditioning)前に、ごみや、石、葉などの大きな異物を除去するために作物穀粒を「精選する」(“clean”)。 調質後、微粉末が得られるまで、穀粒の破砕、ふるい分け、精製、および粉砕(reduction)を数回行う。

    製粉法の必須部分である作物穀粒の調質(または調整)の実施は、通常、穀粒に一定量の分を加えるステップ、次いで、最適な製粉性能(milling performance)(すなわち、ふすまの混入を最小限にしながら最高の粉収率を達成すること)が得られるように一定時間寝かせるステップを含む。 コムギの場合、コムギに加える水分の量は、コムギが硬質か軟質かによって異なり、硬質コムギの場合には、一般に含水率15.5〜17%、軟質コムギの場合には、含水率14〜15.5%に調質される。 加水(damping)と製粉の間の周囲温度下の寝かせ時間は、通常、8時間〜18時間であるが、寝かせ時間は、商業的な圧によってこの範囲外になることがある。

    コムギの調質には2つの基本的な目的がある:すなわち、胚乳は砕けやすく、容易に粉砕可能でなければならないが、ふすまは固いままで、破砕に耐えなければならない。 水分量が高いと、胚乳はそのもろさを失うが、水分量が低いと、ふすまが壊れやすくなり、簡単に擦り減る。 実際には、調質はこれら両極端の折衷状態に相当する。

    したがって、コムギの調質は、最適な製粉性能を得て、粉砕工程で胚乳から外側ふすま層を分離して、ふすまの混入を最小限にしながら粉の収率を最大にするために不可欠である。 しかし、特に、高歩留(high extraction)粉または「一本挽」('straight run')粉の場合、製粉工程に関連する機械的せん断力のために、粉にいくらかふすまが混入するのは避けられない。 製粉業界がふすまの混入が極めて少ない高品質の粉を製造すると、有意な粉収率が犠牲にされる、すなわち、粉収率は78%から60%に、または40%もの低収率に低下する。

    製粉業界は、粉の品質に有害な影響を与えるとして、発芽または胚芽コムギの使用を避けている。 このために、穀物生産者は天候被害を受けたコムギに対しては低い報酬しか得られない。 被害度は条件が湿っているときには抑えられる。 生化学的変化の程度を制御するのは穀物が湿っている期間である。

    調質工程(およびオオムギでは初期の製麦段階)は、成熟したコムギへの軽い降雨をシミュレートしている。 これは、調質後のコムギの容積重の低下で明らかであり、ふすま層は膨らむが元のサイズには縮まらない。

    発芽には酵素が触媒する代謝変化が必要であり、そのような変化の多くは、内因性植物ホルモンによって調節されている。 これらの生物学的プロセスの中には組織特異的なものがあり、ある種の酵素は貯蔵化合物を分解し、他の酵素は新規組織を合成する。

    例えば、特許文献1は、作物穀粒、特にトウモロコシを、酸性プロテアーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、アラビノフラノシダーゼおよび脂肪分解酵素などの細胞分解酵素の存在下に1〜48時間処理する方法に関する。

    例えば、特許文献2は、粉砕した穀粒を酸性プロテアーゼで処理するステップを含む改良型の作物穀粒湿式製粉法に関する。
    例えば、特許文献3は、酵素製剤の添加による改良型穀粒調質法に関する。

    国際公開番号WO02/00910明細書

    国際公開番号WO02/00731明細書

    国際公開番号WO99/21656明細書

    品質および収率を低下させることなく高品質の粉を製造するための製粉性能の最適化が業界で求められている。 本発明者らは、高収率を犠牲にすることなくふすまの混入を最小限にしながら高品質の粉を製造する有効な方法を開発した。 本発明が提供する好ましい利点は、穀粒の前処理時間が短縮されることである。

    本発明は、1つの広い形式において、粉の製造における1または複数の植物ホルモンの利用に関する。
    本発明は、第1態様において、作物穀粒を1または複数の植物ホルモンに暴露するステップを含む、作物穀粒を製粉前に処理する方法を提供する。

    本発明は、第2態様において、作物穀粒を製粉前に1または複数の植物ホルモンで処理するステップを含む、粉の製造方法を提供する。
    本発明の好ましい目的は、作物穀粒を1または複数の植物ホルモンに暴露して、作物穀粒の製粉性を改良するステップを含む、作物穀粒の製粉性(millability)を改良するために作物穀粒を製粉前に処理する方法である。

    第1および第2態様の方法の好ましい実施形態において、該方法は、作物穀粒を酵素で処理するステップをさらに含む。
    酵素は植物細胞壁分解酵素であるのが好ましい。

    植物細胞壁分解酵素は、キシラナーゼ、セルラーゼおよびリパーゼからなる群から選択するのがなお好ましい。
    細胞壁分解酵素がセルラーゼであればさらに好ましい。

    本発明は、第3態様において、第2態様の方法に従って製造した粉を提供する。
    本発明は、第4態様において、第3態様の粉を使って製造した食品を提供する。
    本発明は、第5態様において、1または複数の第1態様の植物ホルモンと適当な担体または希釈剤とを含む、作物穀粒を製粉前に処理するための組成物を提供する。

    作物穀粒は、少なくとも胚乳とふすま層とを含むのが好ましい。
    特定の実施形態において、作物穀粒は、コムギなどの穀物である。
    作物穀粒は1〜24時間処理するのが好ましい。

    作物穀粒は8〜18時間処理するのがなお好ましい。
    作物穀粒は約14〜16時間処理するのがさらに好ましい。
    植物ホルモンは、ジベレリン、アブシジン酸およびオーキシンからなる群から選択するのが好ましい。

    植物ホルモンがアブシジン酸であればなお好ましい。
    植物ホルモンは、0.5〜50mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように加えるのが好ましい。

    植物ホルモンは、1〜20mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように加えるのがなお好ましい。
    植物ホルモンは、約2mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように加えるのがさらに好ましい。

    特に好ましい実施形態において、方法は、植物ホルモンと植物細胞壁分解酵素とを含有する溶液に作物穀粒を暴露する複合ステップを含む。
    本明細書においては、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、用語「含む」は、記載された整数または整数群を含むが、他の整数または整数群を排除するものではない。

    本発明者らは、粉を商業生産するための改良型作物穀粒処理方法を開発した。 本発明の産物は、高い粉収率と、最低限のふすま混入である。 本発明の方法は、ふすまを胚乳から分離しやすくする穀粒の外側ふすま層の強化と、製粉を助ける胚乳の軟化を選択的に増進させる。 本発明は、製粉法のこの重要なステップにおける従来技術の方法の主要な不利点を克服する。

    「作物穀粒」(“crop kernel”)とは、胚乳やふすま層を含む種子または穀粒(但し、それらには限定されない)などの作物産物を意味する。
    粉は、多様な作物、主として、穀物または他のデンブン食物源から製粉し得る。 非限定的な例は、コムギ、トウモロコシ、ライムギ、コメ、オオムギに加えて、他のイネ科植物および野菜やナッツなどの種子生成作物である。

    作物は穀物であるのが好ましい。
    穀物がコムギであればなお好ましい。
    さまざまなタイプの粉はさまざまな割合の穀物成分を有する。 例えば、白色粉が胚乳だけでできているのに対し、全粒粉は穀粒全体から、また胚芽粉は胚乳と胚芽からできている。 その結果として、高品質の白色粉を製造する場合、胚乳からふすま層と胚芽をできる限り効率的に分離することは重要なステップである。 その好ましい方法は、発芽開始時に生じるものと類似の構造変化を穀物の外層に誘発させることである。

    作物穀粒を「暴露するステップ」は、「一定期間浸み込ませるステップ」(steeping)、「作物穀粒の中まで完全に浸漬するステップ」(soaking)、「浸たすステップ」(immersing)、「飽和するステップ」(saturating)、「湿潤するステップ」(wetting)および「噴霧するステップ」(spraying)を含むのが好ましい。 作物穀粒は湿潤するのがなお好ましい。 好ましい実施形態では、含水率が14〜17%になるように作物穀粒を湿潤する。

    作物穀粒を水分に暴露する期間は、それが穀物内の生化学的変化の程度を制御するので重要な変数である。 穀物が長時間湿っていると、発芽が進んで発芽完了に至り、穀物は製粉には役立たないものとなるであろう。 穀物は、1〜24時間水分に暴露するのが好ましい。 穀物は、8〜18時間水分に暴露するのがなお好ましい。 穀物は、約14〜約16時間水分に暴露するのがさらに好ましい。

    特定の理論に拘束されることは意図しないが、穀物の発芽開始は、さまざまな物理的および/または化学的刺激によっても促進させ得ると提唱される。 発芽は化学的刺激で促進させるのが好ましい。 発芽はホルモンで促進させるのがなお好ましい。 発芽は植物ホルモンで促進させるのがさらに好ましい。

    本発明に利用するホルモンの文脈における「植物ホルモン」とは、酵素活性を調節するか、植物の遺伝子発現パターンを変える有機小分子クラスを意味する。 植物ホルモンには、5種の主要クラス:オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸およびエチレンがある。 当然のことながら、植物ホルモンは、天然または化学源を含めた多様な源由来であり得る。 本発明には、植物ホルモンの合成アナログも使用し得ると考えられる。

    植物ホルモンは、ジベレリン、アブシジン酸およびオーキシンからなる群から選択するのが好ましい。
    植物ホルモンは、0.5〜50mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加されるアブシジン酸であるのがなお好ましい。 植物ホルモンは、1〜20mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加するのがさらに好ましい。 特に好ましい実施形態において、植物ホルモンは、1、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、9.0、10、12、14、16、18または20mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加する。

    好ましい実施形態において、アブシジン酸は、約2mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加する。
    したがって、本発明の1つの広い形式は、作物穀粒を1または複数の植物ホルモンに暴露して、製粉性を高めるステップを含む、作物穀粒の製粉性を高めるために作物穀粒を製粉前に処理する方法である。

    「製粉性」(“millability”)とは、作物穀粒の粉への製粉適性を意味する。 作物穀粒の製粉性は、穀粒の硬度、胚乳とふすまの割合およびふすまの分離しやすさに関連するが、それらには限定されない。 通常、製粉工程は、出発材料が胚乳からふすまを分離しやすいものであれば、得られる粉の移動性が高く、ふるい分けが容易なので、簡単であるが、必ずしもそうとは限らない。 一般に、最適な製粉性は、ふすまの混入を最小限にしながら、最高の粉収率を達成することである。 本明細書において、製粉性は「製粉性能」(“milling performance”)と互換的に用いられる。

    当業者には、本発明の方法が従来の製粉装置に適用可能であることが分かるであろう。
    本発明の好ましい実施形態において、製粉工程に酵素を添加し得る。 酵素添加の目的は、製粉時に胚乳の放出を助けるためである。 酵素が植物細胞壁分解酵素であれば最も適切である。 そのような酵素の非限定例としては、ペントサナーゼ、フルクタナーゼ、アラビナーゼ、マンノシダーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼおよび脂肪分解酵素が挙げられる。 酵素活性は、キシラナーゼ、セルラーゼおよび脂肪分解酵素からなる群から選択するのが好ましい。 酵素がセルラーゼであればなお好ましい。

    酵素は、50〜1000mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加するのが好ましい。 酵素は、100〜500mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加するのがなお好ましい。 特に好ましい実施形態において、酵素は、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、33
    0、340または350mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加するのがさらに好ましい。

    好ましい実施形態において、酵素は、約250mg/kg作物穀粒の最終濃度になるように添加する。
    通常、植物細胞壁分解酵素は、真菌またはバクテリアなどの生物由来であるが、酵素を組み換え法により得ることも考えられる。

    組み換え酵素は、例えば、サムブルック(Sambrook)およびラッセル(Russell)、MOLECULAR CLONING. A Laboratory Manual(第3版)(Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク)の特に16および17セクション;CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、アウスベルら(Ausubel et al)編(John Wiley & Sons,Inc.1995年−1999年)の特に10および16章;CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE、コリガンら(Coligan et al)編(John Wiley & Sons,Inc.1995年−1999年)の特に1、5および6章に記載されているような標準プロトコルを用いて当業者が調製するのが便利であろう。 上記3文献はすべて本明細書に文献援用される。

    上記から分かるように、好ましい実施形態において、本発明は、コムギ穀粒の製粉性を高めるために、コムギ穀粒を製粉前に処理する方法を提供し、該方法は、コムギ穀粒を、約2mg/kg作物穀粒の最終濃度のアブシジン酸と、約250mg/kg作物穀粒の最終濃度のセルラーゼとに約14〜約16時間暴露して、コムギ穀粒の製粉性を高めるステップを含む。

    組成物を溶液として穀粒に与えるのが好ましい。 作物穀粒は、植物ホルモンと細胞壁分解酵素とを含有する水溶液に暴露するのがなお好ましい。
    好ましい実施形態において、本発明は、製粉性を高めるためにコムギ穀粒を製粉前に処理するための組成物を提供し、該組成物は、約2mg/kg作物穀粒の最終濃度のアブシジン酸と、約250mg/kg作物穀粒の最終濃度のセルラーゼと、適当な担体または希釈剤とを含む溶液である。

    本発明を用いて製造した粉が、パン、ペストリー、ビスケット、ケーキなどの焼いた食品や、アジアヌードル、中国の饅頭、中東のフラットブレッド、パスタおよび例えばリコライス等のある種の菓子類の製造に用いられることは容易に分かるであろう。 粉のさらなる用途としては、ビールを醸造するためのイーストフードとしての用途が挙げられる。

    粉の2つの最も重要な成分であるデンプンとグルテンは、食品産業やそれ以外の分野で多様な用途を有する。 例えば、デンプンはコーンフラワーとして利用したり、または、菓子類や他の食品の製造に使用するグルコースや他の糖類に転化させたりし得る。 また、デンプンは添加剤やガムの原料にもなる。 グルテンは、その結合性および吸収性により、ソーセージ等の加工肉(smallgoods)、パンおよび植物性タンパク質製品の重要な成分となる。

    当業者は、以下の非限定的実施例を参照することにより、本発明をより容易に理解し、実施することができるであろう。

    実施例1
    植物ホルモンを組み込んだ実験室規模の製粉材料および方法 主要植物ホルモン、すなわち、ジベレリン酸(GA ),インドール酢酸(IAA)、またはアブシジン酸(ABA)の添加が粉の収率または品質に影響を及ぼすかどうかを調べるために、実験室用BuhlerテストミルでWheat cv. Wedgetailを製粉した。

    1.5mg/kg作物穀粒の濃度の全3種のホルモンのサンプルとコントロールサンプルを12、16、20および24時間の調質後の公称時間で製粉するマトリックス設計実験を行った。 Wedgetailなどの硬質コムギの標準調質時間は16時間である。

    このテストの結果を、表Iと、図1のグラフで示す。 コントロールサンプルの粉収率は16時間の調質後が最高であった。 興味深いことには、最高の粉収率は、ABA処理からわずか14時間の調質時間によって得られた。 ABAは、12、16、20および24時間の調質時間で最高またはそれに等しい粉収率を実現した。

    すべてのサンプルは、同じミルで、同じオペレーターおよび処理により製粉したが、製粉温度変化による差異を最小限にするために各時点に関して同じ順序で製粉した。 粉の水分、ふすま、タンパク質および灰分、デンプン損傷、色度、粉のMinolta測定色(flour Minolta colour),吸水率、生地生成時間、持続性、伸展性、生地の強さおよび粉の粘度を含めた粉の分析を行ったが、ホルモン処理による悪影響はなかった。
    結論 上記結果は、調質時に、作物穀粒1kg当たり1.5mg/kgのABAでコムギを処理すると、粉の収率がわずかに増大し、調質時間が短縮されるようであることを示している。 潜在的な商業的価値は、粉の品質に悪影響を与えず、短い調質時間で粉の収率を増大させることである。
    実施例2
    細胞組織、粉の収率および品質に対する酵素の影響材料および方法 標準的な光学顕微鏡検査法を用いて細胞組織に対する酵素の影響を調べた。 ミクロトーム上で穀物粒を切り出し、染色して、光学顕微鏡で検査した。

    顕微鏡検査で穀物組織に影響を与えると判明した酵素が粉の収率または品質に影響を及ぼすかどうかを調べるために、Wheat cv. Wedgetailを実験室用Buhlerテストミルで製粉した。

    それぞれ、250mg/kg作物穀粒のセルラーゼおよびキシラナーゼと、100mg/kg作物穀粒のリパーゼのサンプルと、コントロールサンプルとを、調質後12、16、20および24時間の公称時間で製粉した。 Wedgetailなどの硬質コムギの標準調質時間は16時間である。
    細胞組織に対する細胞壁分解酵素の影響 図2のA〜Dに、ふすま層と胚乳に対するキシラナーゼ、セルラーゼおよびリパーゼ添加の影響を示す。 さらに、酵素濃度を(図2で使用した濃度に比べて)5倍に薄めても、効果は明らかである。 特に興味深いのは、市販のリパーゼ製剤の添加により生じたふすま層およびアリューロン細胞に対する効果である。 高倍率にして見ると、ふすま層はコントロールに見られるものよりも「緩んでいる」('relaxed')兆候が顕著である。 さらに、アリューロン細胞の破砕は、これらの細胞に、通常の状態では発見できない機械的脆弱性が存在することを示唆している。
    粉の収率に対する細胞壁分解酵素添加の影響 粉収率に対する調質時の酵素の影響を図3および4に示す。 セルラーゼは、調質後12〜24時間の酵素処理で最高の粉収率増大をもたらした。 セルラーゼは粉収率に最も大きな効果を及ぼすので、2種のセルラーゼ源:一方のウエストン(Weston)社の食品用セルラーゼと、もう一方のマッコーリ大学(Macquarie University)の非食品用セルラーゼとを比較した。 類似活性をもたらす濃度で添加した2種の酵素サンプルは、16時間の調質後にコントロールを越える類似した粉収率増大をもたらした。

    各酵素処理の粉品質をテストした。 セルラーゼ処理は強力粉の生地強さを低下させた(図5)のに対し、リパーゼ処理は粉の粘度を増大させた(図6)ことがはっきり分かる。 実施例3
    最終製品の品質に対する酵素の影響 製パン性に対する酵素処理の効果を調べるために、cv. Wedgetail由来の粉に、250mg/kg作物穀粒のセルラーゼを添加するか、100mg/kg作物穀粒のリパーゼを添加するか、または1.5mg/kg作物穀粒のABAを添加したサンプルとコントロールサンプルを実験室用Buhlerテストミルで製粉し、ラピッド生地としてテストベイクした。

    製パン性に対する調質時の各酵素およびABAの影響を図7に示す。 コントロールのスコア範囲は67.5〜73.3であった。 調質水に処理を加えた後のラピッド生地スコアは、この範囲内、すなわち、68.5〜71.6であった。 平均コントロールスコアは70.0であった。 ABAおよびセルラーゼ処理は、平均コントロールスコアよりわずかに高いスコアを達成した。 これは、粉の収率を増大させた処理、すなわち、ABAおよびセルラーゼが、製パン性に悪影響を及ぼさないことを示している。
    実施例4
    ABAを用いた多くの観察にわたる粉収率の増大 図8に示すデータは、この棒グラフの値が、コントロールサンプルの場合には9回の観察、セルラーゼ処理したサンプルの場合には5回の観察、ABA処理サンプルの場合には4回の観察の平均である上記データに基づいている。

    図9は、数回の観察にわたって、コムギに対して作物穀粒1kg当たり2mgのABAを用いた場合の粉収率の増大を示している。 斜線模様の棒は6回の観察の平均値、黒抜き棒は4回の観察の平均値、波模様の棒は4回の観察の平均値、垂直破線模様の棒は2回の観察の平均値である。 さらに、2mg/kg作物穀粒では、製粉したコムギサンプルが2kgまたは5kgのとき粉収率が増大したが、5kgサンプルの場合には、コントロールサンプルの粉収率の方が高い。 1mg/kg作物穀粒の場合には粉収率の増大は認められなかった。 4mg/kg作物穀粒では、粉収率が増大した。

    本明細書を通じて、その目的は、本発明をいずれかの実施形態または特定の特徴群に限定することなく、本発明の好ましい実施形態を説明することであった。 本明細書に説明、図解した実施形態には、本発明の広範な趣旨および範囲を逸脱することなく、さまざまな変更および変形を施すことが可能である。

    本明細書に記載したすべてのコンピュータープログラム、アルゴリズム、科学文献および特許文献はそのまま本明細書に援用される。

    粉収率に対する植物ホルモンの効果。 データ点は以下の通り:●はコントロール、◆はアブシジン酸、■はジベレリン酸、▲はインドール酢酸。

    ふすま層および胚乳に対する細胞壁分解酵素添加の効果。 A=コントロール(水)、B=キシラナーゼ(100mg/ml希釈剤)、C=セルラーゼ(100mg/ml希釈剤)、D=リパーゼ(2mg/ml希釈剤)。

    粉の収率に対するキシラナーゼおよびセルラーゼの効果。 データ点は以下の通り:●はコントロール、■はキシラナーゼ、▲はセルラーゼ。

    粉の収率に対するリパーゼの効果。 ●はコントロール、■はリパーゼ。

    生地の強さに対するキシラナーゼおよびセルラーゼの効果。 明るい色調のクロス斜線入り棒はコントロール、中間色調のクロス斜線入り棒はキシラナーゼ、暗い色調のクロス斜線入り棒はセルラーゼ。

    粉ペースト粘度に対するリパーゼの効果。 明るい色調のクロス斜線入り棒はコントロール、中間色調のクロス斜線入り棒はリパーゼ。

    ラピッド生地合計スコア(Rapid Dough Total Score)に対する調質添加剤の効果。 処理1=1.5mgのアブシジン酸(ABA)/kg作物穀粒、処理2=250mgのセルラーゼ/kg作物穀粒、処理3=100mgのリパーゼ/kg作物穀粒。 黒抜き棒はコントロール、斜線模様棒は処理。

    コムギ粉収率に対するセルラーゼおよびアブシジン酸の効果。

    粉の収率に対するさまざまな濃度のABAおよびさまざまなコムギ量の効果。 1ppm=作物穀粒1kg当たり1mgのABA。

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