dna sequences in the protein to be issued in the mammary gland for the efficient secretion

申请号 JP3493388 申请日 1988-02-17 公开(公告)号 JP2863789B2 公开(公告)日 1999-03-03
申请人 ファーミング ビーヴィー; 发明人 JEFURII EMU ROOZEN;
摘要 Described is a method of targeting specific genes to the mammary gland which results in the efficient synthesis and secretion of biologically important molecules. Further, there is described as a composition of matter, a transgenic mammal having the ability to reproduce itself and being suitable for the secretion of biologically active agents into its milk. Additionally there is disclosed as a composition of matter, recombinant DNA gene complexes designed to integrate into a mammalian genome and to synthesize and secrete biological active agents into the milk. Furthermore methods of producing and using altered milk are disclosed.
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】乳腺に対して蛋白の発現を標的するための組換えDNA遺伝子複合体において、該遺伝子複合体が、 (a)乳腺特異的な遺伝子からのカゼインプロモーター配列、 (b)乳腺特異的な遺伝子からのカゼインエンハンサー配列、 (c)乳房分泌細胞において機能するシグナルペプチド配列、 (d)蛋白質をコードする遺伝子に由来するコード配列(該コード配列は天然にはプロモーターに結合されていない)、 (e)カゼイン遺伝子または該蛋白質をコードする遺伝子からのイントロン配列を含み、ここで上記のプロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチド配列及びイントロン配列は乳腺における上記コード配列の発現を促進するところの組換えDNA遺伝子複合体。
  • 【請求項2】請求項1の組換えDNA遺伝子複合体を含有する生殖細胞系を有し、乳腺において蛋白を合成するトランスジェニック非ヒト哺乳動物であって、該生殖細胞系は次世代へと受継がれるものであるところのトランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  • 【請求項3】乳腺からの乳中に蛋白を合成する方法であって、 請求項1の組換えDNA遺伝子複合体を非ヒト哺乳動物の胚の生殖細胞系中に挿入すること、 該胚を成長させて、上記遺伝子複合体を含む生殖細胞系を有する哺乳動物を作ること、及び 上記蛋白を含有する、上記哺乳動物により作られた乳を集めること の工程を含むところの方法。
  • 【請求項4】上記蛋白が静菌剤である請求項3の方法。
  • 【請求項5】乳から蛋白を精製する工程を更に含む請求項3又は4の方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 本発明はその乳に外来の化合物を分泌する遺伝子導入(transgenic)された哺乳動物と、薬学、医学、食料、
    農産物、ガン研究などの分野に有用な化合物を含む改良された乳を分泌する遺伝子導入された哺乳動物を作る方法に関する。

    発明の背景 カゼインは主要な乳蛋白であり、通常乳分泌期の間に合成され、乳腺にのみ分泌される。 カゼインの遺伝子の最初の詳細な性格付けは本発明者の研究室でなされた〔ユー・リー(Yu−Lee)等、 Nuc.Acids Res .,第14巻、
    1833〜1902頁(1986年)〕。

    その紹介以来、DNAを受精した一個の細胞である胚(e
    mbryo)の前核に微小注入することが多くの遺伝子をマウスの染色体に転入するのに使われてきた〔ゴードン(Gordon)等、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA ,第77巻、7380
    〜7384頁(1980年);パルミターとブリンスター(Palm
    iter and Brinster)、 Cell第41巻、343〜345頁(1985
    年);パルミターとブリンスター(Palmiter and Brins
    ter)、 Ann.Rev・Genet. ,約20巻、465〜499頁(1986
    年)〕。 この技術は遺伝子の発現と制御に関する特定のヌクレオチド配列の研究や家畜類の改良のための実用に有用である。 遺伝子導入されたヒツジやブタがいま作られている〔ハマー(Hammer)等、 Nature(London)第31
    5巻、343〜345頁(1985年)〕。 家畜での研究が進んでいる〔クレーマー(Kraemer)等、「ウシとヒツジにおける遺伝子移入」バンバリ報告、No.20、221〜227頁(1
    985年)〕。

    農業における実用的な遺伝子導入動物を作るためには外来の遺伝子を宿主動物の染色体に組みこみその子孫に移していかねばならない。 適当な組織で発現しなければならない。 またその発現が高率で、また正常なあるいは人為的な制御機構を受ける。 導入される遺伝子の発現の組織特異性はラットのエステラーゼI遺伝子、IgL鎖及びH鎖の遺伝子、ラットのミオシンL鎖遺伝子及びマウス/ヒトβ−グロビン遺伝子などのいくつかの遺伝子について報告されている〔スウィフト(Swift)等、 Cel
    l ,第38巻、639〜646頁(1984年),ストーブ(Storb)
    等、 Nature(London) 、第310巻き、238〜241頁(1984
    年);グロスシェルドル(Grosscheldl)等、 Cell ,第4
    1巻、885〜897頁(1984年);シャニー(Shani) Nature
    (London)第314巻、283〜286頁(1985年);チャダ(C
    hada)等、 Nature(London)第314巻、377〜380頁(198
    5年)〕。 組織特異的な発現を司どる要素は完全には解明されていない。 MMTVプロモーターとマウスのメタロチオネイン・プロモーターでの研究による証拠が5′−fl
    ankingDNAにおけるDNA配列が重要であることを示唆している〔スチュアート(Stewart)等、 Nuc.Acids Res.
    第12巻、3895〜3906頁(1984年)及びパルミターとブリンスター(Palmiter and Brinster)、 Cell ,第41巻、3
    43〜345頁(1985年)〕。

    この問題に対する鍵は遺伝子導入動物と細胞培養系の相方の研究から生じはじめている。 5′−側のDNAによる特定のエンハンサー配列−時には翻訳開始点よりはるか上流に位置している−とプロモーター自身の中あるいはそれに近いところの配列が組織特異的な遺伝子発現に関与していることは明らかである。 遺伝子導入されたマウスの遺伝子発現はβ−グロビン、エステラーゼ、α−
    フェトプロテイン、α−A−クリスタリンやインスリンなどの場合では相同遺伝子からの5′−側DNAまたは3′−側DNAを含めることによって適当な組織に向けられてきた〔マグラム(Magram等)、 Nature(London)
    第315巻、338〜340頁(1985年);オーニッツ(Ornit
    z)等、 Nature(London) 、第313巻、600〜602頁(1985
    年);クラムラウフ(Krumlauf)等、 Mol.Cell.Biol.
    第5巻、1639〜1648頁(1985年);オーバービーク(Ov
    erbeek)等、 Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 、第82巻、7815
    〜7819頁(1985年);ハナハン(Hanahan)、 Nature(L
    ondon) 、第315巻、115〜121頁(1985年)〕。

    インスリンの遺伝子は最も精的に解析されている。
    ラットのインスリンI遺伝子はハムスターのインスリノーマ(HIT)細胞において標識遺伝子の発現をBHK細胞と比べると−103から−133の間のエンハンサー領域とプロモータ領域自体の両方を必要としている〔エドランド(Edlund)等、 Science 、第230巻、912〜916頁(1985
    年)〕。 さらにラットのインスリンII遺伝子は遺伝子導入マウスの膵臓のβ−細胞にSV40のオンコジーンを発現させるのに530bpの5′−側配列を必要としている〔ハナハン(Hanahan)、 Nature(London) 、第315巻;115〜
    121頁(1985年)〕。

    最近のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子の発現にはネズミのα−A−クリスタリンの−364から+45までのDNA断片にCAT遺伝子をコードしている配列を結合することによって眼のレンズに向けられてきた〔オーバービーク(Overbeek)等、 Pro
    c.Natl.Acad.Sci.,USA 、第82巻、7815〜7819頁(1985
    年)〕。

    特定の遺伝子を乳腺に向けさせる能力が効果的な蛋白合成と分泌をもたらし窮極にはバイオテクノロジーや薬学、医薬、食品科学やガン研究の分野に影響を与えることになろう。 例えば、多くの発現ベクターがバクテリアや酵母で効果的に蛋白を合成するために開発されているものの、これら蛋白を正しく加工できないために多くの場合、これらの蛋白の生物活性は損われている。 哺乳動物細胞培養系の開発がもう一つの戦略を提供するがこのような細胞培養の費用のために実現しにくい。 乳腺は1
    日当り何グラムの蛋白を合成、分泌するための非常に効率のよい生体のモデルを提供している。 哺乳動物の一生の中の授乳期の間分泌を続ける。 加えて、乳腺は蛋白の分割燐酸化、糖鎖修飾などに必要な翻訳後の修飾系をもっている。 それ故、このやり方を使うと、生物的に重要な分子を効率的に合成し分泌することが可能となろう。
    例えば、蛋白、ホルモン、成長因子、薬剤、脂質、炭化物などが合成され分泌され、医薬品の新しい道具を提供する。 この方法論はまた乳腺液(=ミルク)の蛋白、
    糖質、脂質の組成を変え、また静菌剤を含ませることによってその組成を操作する方法を提供している。 この変換は農業や食糧工学の科学に重大な変化を示すだろう。
    さらに、オンコジーン(oncogene)(発がん遺伝子のこと)を乳腺に集める能力はそれが乳腺上皮細胞の形質転換の基本的メカニズムを解析するためのモデルを提供するために基礎的な乳癌研究を可能にするだろう。 生物体外(in vitro)での細胞培養系を用いたのではこの方法論は利用できない。

    本発明は乳腺に遺伝子の発現をおこさせるばかりでなく授乳期にこれら蛋白を効率的に分泌するのに使われている方法を提供している。

    発現の要約 本発明の対象は生物学的に活性のある作用物、すなわち蛋白を乳の中に合成させる組換えDNA遺伝子複合体である。

    本発明のもう一つの対象はその乳腺に生物的に活性のある作用物を分泌する遺伝子導入哺乳動物を開発することである。

    本発明のさらにもう一つの対象は医薬品、ガン研究、
    農業、食料生産に使われる改良された乳を分泌する遺伝子導入動物を開発することである。

    本発明の別の対象はそれ自身で繁殖する遺伝子導入動物を開発することである。

    かくして、本発明は下記の組換えDNA遺伝子複合体である。

    乳腺に対して蛋白の発現を標的するための組換えDNA
    遺伝子複合体において、該遺伝子複合体が、 (a)乳腺特異的な遺伝子からのカゼインプロモーター配列、 (b)乳腺特異的な遺伝子からのカゼインエンハンサー配列、 (c)乳房分泌細胞において機能するシグナルペプチド配列、 (d)蛋白質をコードする遺伝子に由来するコード配列(該コード配列は天然にはプローモーターに結合されていない)、 (e)カゼイン遺伝子または該蛋白質をコードする遺伝子からのイントロン配列を含み、ここで上記のプロモーター配列、エンハンサー配列、シグナルペプチド配列及びイントロン配列は乳腺における上記コード配列の発現を促進するところの組換えDNA遺伝子複合体。

    本発明のもう一つの一面は、コード配列の5′及び3′未満の夫々に結合された5′非翻訳mRNA配列及び3′非翻訳mRNA配列をさらに含む、上記の組換えDNA遺伝子複合体を開発することである。 この5′及び3′隣接配列は組換えDNA遺伝子複合体によって合成されたメッセンジャーRNAの安定性を増加する。

    本発明のもう一つの局面は組換えDNA遺伝子複合物を含む生殖細胞系(germ line)をもった、乳腺でペプチドを合成するための遺伝子導入哺乳動物を本件の内容として開発することである。 この生殖細胞系はその次の世代に移行しうるものである。 遺伝子導入哺乳動物のもう一つの面はどんな哺乳動物でもよいということである。
    望ましい例はヒト以外の哺乳動物である。

    本発明のもう一つの面は、組換えDNA遺伝子複合物を哺乳動物の生殖細胞系に挿入する段階を含む少くとも一つの特定の遺伝子のペプチドの合成を乳腺に向けさせる方法である。 その他の実施態様は分化成長して個体とする環境下で胚を成長させる方法を含んでいる。 さらに実施態様は生殖細胞系統の中に遺伝子の複合物を安定にとり込ませる段階を含んでいる。 また別の実施態様は、コードしている配列の発現を哺乳動物からとった乳腺組織や乳で検査するステップを含んでいる。 さらにまた遺伝子複合体に適当な機能をもたせることを確立するステップを含んでいる。

    本発明の付加的な意図は乳腺特異的遺伝子から選ばれたプロモータ配列、エンハンサー配列、シグナルペプチド配列及び生物学的に活性の作用物をコードしている遺伝子からのコード配列を結合するステップを含む乳腺特異的遺伝子複合物を構成する方法である。 実施例ではさらに5′−の非翻訳mRNAと3′−の非翻訳mRNA配列を結合するステップも含んでいる。

    もう一つの本発明の意図によれば、組換えDNA複合物を構築し哺乳動物の胚の生殖細胞系にこの遺伝子複合物を挿入し、その胚を成熟するまで成育させ、その生物学的に活性のある作用物のための遺伝子複合物をもつ哺乳動物によって作られる乳を検定するステップを含む乳腺に生物活性物を合成する方法を提供している。

    本発明のもう一つの意図は静菌的なコード配列を含む組換えDNA遺伝子複合体を哺乳動物の胚の生殖細胞系に挿入するステップを含む乳の細胞汚染を防ぐ方法である 本発明の別の意図はオンコジーンを含む組換えDNA遺伝子複合体を哺乳動物の胚の生殖細胞系統に挿入するステップを含む哺乳動物のガンの機構を検討し、その結果として生ずるガン性の組織の発生を解析する方法である。

    この発現の別の意図するところは市乳を分泌する遺伝子導入した哺乳動物の系統株を開発することである。 市乳は自然にある化合物の濃度を変えたり、外来の化合物を含ませることができる。 外来の化合物は薬剤、ホルモン、ペプチド、蛋白、脂質、炭水化物、抗菌剤などでありうる。 これら外来の化合物は細菌、動物あるいはヒトの染色体から由来する遺伝子から合成される。

    本発明のもう一つの意図は市乳を乳製品の製造に用いるステップを含む乳製品の生産を可能にする過程である。

    本発明のもう一つの別の意図は遺伝子導入された哺乳動物から作られる市乳を含む食料品である。

    その他の目的、特徴及び利点はこの発明の実施例について以下に記載しているものから明らかであろう。

    実施例の詳細な記述 本件の構成として本発明の一例はプロモータ、エンハンサー、シグナルペプチド及びコードしている配列を含む組換えDNA遺伝子複合物である。 この組み合わせにおいてプロモータ、エンハンサー、シグナルペプチド配列は乳腺に特異的な遺伝子から由来し、コード配列は生物的に活性な作用物に対するコードをもっている。 乳腺に特異的な組換えDNA遺伝子複合物を構成させる通常の方法はプロモータ、エンハンサー、シグナルペプチド及びコード配列を一緒に結合させることを含んでいる。 第1
    図Aは本発明の一例を示しており、エンハンサー配列(E)と遺伝子プロモータ配列(P)をフランキング配列により結合していることが示されている。 これらの配列は通常乳組織にのみ特異的に発現される遺伝子から由来される。 例えば、これらの配列はα−カゼイン、β−
    カゼイン、γ−カゼイン、χ−カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、ホエーの酸性蛋白などをコードしている遺伝子から得ることができる。

    それから、プロモータ−エンハンサ−複合物はシグナルペプチドのエクソン配列に結合されている。 乳腺に特異的ないろいろなシグナルペプチドエクソンが利用できる。 シグナルペプチドのエクソンは効率のよい転位、認識、除去、乳への蛋白の分泌などに役立っている。 蛋白、炭水化物、ペプチド、脂質などが一たび乳に分泌されると標準的な分離法がその成分を精製するために使われる。 シグナルペプチドは翻訳後の修飾を可能にするけれども、いくつかの合成される分子のもっている特徴が乳への分泌を妨げることもあろう。 従って、乳組織を集めて、関心のある分子を組織から精製しなければならない。 乳組織を集めることは問題の化合物を継続して生産することを妨げるし、組織から成分を分離することは乳から分離するよりも困難な方法であるので上記のアプローチに満足できるものでない。 特定の実施例でα−、β
    −、及びγ−カゼイン遺伝子のエクソンIIとホエーの酸性蛋白遺伝子のエクソンIが使われている。

    問題としている遺伝子のコード領域が(cDNA)がイントロン配列によってプロモータ−エンハンサー−シグナルペプチド複合物に接続されている。 コード領域はどんな遺伝子でもあるいは一つの分子をコードしている遺伝子の一部でもよい。 それには遺伝子のイントロン領域及びエクソン領域を含んでいてもよい。 例えば、蛋白、乳蛋白、脂質、炭水化物、ホルモン、バクテリアの生産物(薬剤や抗生物質)、抗体抗原、酵素などをコードしている遺伝子がプロモータ−エンハンサー−シグナル複合物に結合される。

    望ましい実施例では、コード配列はα−カゼイン、β
    −カゼイン、γ−カゼイン、χ−カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、ホエーの酸性蛋白、ホルモン、薬剤、蛋白、脂質、炭水化物、成長ホルモン、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラーゼ、抗菌物質などから成る群から選ばれた生物的に活性のある作用物をコードしている遺伝子から選ばれている。 実施例では乳腺特異的な遺伝子はα−カゼイン、β
    −カゼイン、γ−カゼイン、χ−カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、ホエー酸性蛋白の群から選択されている。

    その他の例ではプロモータ配列、エンハンサー配列、
    シグナルペプチド配列を生み出すのに同じ遺伝子が使われている。 別の特定の具体例ではβ−カゼイン遺伝子のプロモータ、エンハンサー、シグナルペプチド配列とβ
    −カゼイン遺伝子またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のコード配列とが使われている。

    本件を構成するものとしてのもう一つの具体例では第1図Bに示された組換えDNA遺伝子である。 この例はプロモータ−エンハンサー−シグナル複合体に結合した遺伝子のコード領域に連結したメッセンジャーRNA(mRN
    A)の5′−非翻訳配列(untranslated sequence)
    (5′−UT)と3′−非翻訳配列(3′−UT)を含んでいる。 非翻訳mRNA配列はイントロンによって連結されることができる。 これらの翻訳がされないmRNA配列は転写されmRNAに結合される。 これらの非翻訳領域はコード領域のmRNAを迅速な分解から保護するのに役立っている。
    そのmRNAの寿命が短いところの自然にある遺伝子はこれらの非翻訳領域のよい候補者となる。 これらを構築するのに使われる非翻訳領域の例はβ−カゼイン、β−グロビン、ビテロゲニンのmRNAの非翻訳mRNA配列が含まれる。 β−カゼイン遺伝子配列が好ましい例を提供している。

    エンハンサー−プロモータ−シグナルペプチド配列と、エンハンサー−プロモータ−5′−非翻訳mRNA配列−シグナルペプチド−3′−非翻訳mRNA配列の構成がベクターにくみこまれる。 そこで必要なときにいろいろな
    cDNAがくみこまれることができる。 cDNAは、乳中に化合物を特異的に分泌するように設計されたDNA配列に挿入されるカセットのようなものである。 かくして多種のくみ換えDNA遺伝子複合体が容易に形成される。

    一たびくみ換えDNA遺伝子複合体(外来遺伝子複合体)が作られると、非翻訳配列があってもなくても、それは宿主哺乳動物の染色体(生殖細胞系)の中にくみ込まれる。 生殖細胞系の中に外来の遺伝子複合体をくみ込むことは本件の構成として遺伝子導入動物を創造する。
    さらに生殖細胞系へのくみこみは子孫へ外来の遺伝子複合体を移送させる。 かくして、外来遺伝子をもった哺乳動物の系統が維持される。 外来の遺伝子複合体はどの哺乳動物の染色体にも含ませられる。 一例ではヒト以外の哺乳動物が使われている。

    哺乳動物の胚の卵子系統に組換えDNA遺伝子複合物を挿入することによって生物性のある作用物の合成も乳腺で行わせることができる。 もう一つの具体例には哺乳動物に、胚を分化成長させる適当な環境の中で胚を挿入するステップが含まれている。 哺乳動物が生後、外来遺伝子複合体の宿主染色体への安定な組み込みができるようにするために染色体をスクリーニングする付加的なステップが行われる。 哺乳動物が成人に達した後、乳分泌腺について外来遺伝子複合体のmRNAまたは分子合成が乳腺で起っているかどうかを確める検査がされる。 このステップは組換え遺伝子複合体が正しく機能するかどうかを確めるために使われる。 組みこまれる外来遺伝子の特性に応じていろいろなスクリーニング法が使用される。 スクリーニング法にはプローグ解析、mRNA解析、酵素分析、細菌検査、抗体スクリーニング、蛋白、炭水化物、
    脂質分析などが含まれる。

    具体的な一例では外来の遺伝子複合体が、単一細胞の時期に哺乳動物の卵子系統に挿入される。 もしこの組み込みが単一細胞時期に行われれば外来遺伝子複合体に対するプローグがどの細胞を調べるために利用できようがもし組み込みが発生のより遅い時期に起これば検査すべき組織は組み込みが行われた細胞系統から発達してきたものに限られる。 注入された卵母細胞(oocyte)はそれから同じ卵子系統をもった宿主動物の卵管の中に挿入される。

    外来遺伝子複合体の実施例 7.2kbのラットβ−カゼイン遺伝子を含むゲノムDNAの
    34.4kbの領域が特徴づけられた。 ジョーンズ(Jones)
    等、 J.Biol.Chem. ,第260巻、7042−7050頁(1985年)
    の記載を参考に取上げる。 遺伝子全体と5′−側面の(フランキング)のDNAの1,3または2.3kbのいずれかを単一のファージクローンからKpn I−BamH IまたはBamH
    I−BamH I分解のいずれかによって分離しサブクローン化した〔ジョーンズ(Jones)等、 J.Biol.Chem. ,第260
    巻、7042−7050頁(1985年)〕。 この構成物はさらにλ
    DNAの1kb(Kpn I−BamH Iの場合)または5kb(BamH I−
    BamH Iの場合)を含んでいる。 第2図は1kbの5′側面D
    NAと1kbのλDNAを伴うβ−カゼイン遺伝子を含むKpn I
    −BamH I消化断片を示している。 一方、ファージB12からのBamH I−Sal I断片をファージB99からのSal I−Bam
    HI断片に連結することによって原核性のDNAのない14.6
    kbのBamH I−BamH I断片が分離される。 この構成は7kb
    の5′−側面DNA、全遺伝子及び400bpの3′−側面配列を含んでいる。

    組換えDNA遺伝子複合体の例はマウスの乳腺腫瘍ウィルスの長い末端のくり返し構造からのグルココルチコイド応答因子(GRE)を含んでいる。 これは乳腺特異的なエンハンサー配列へ5′挿入されている。 この付加は適当な制限酵素リンカーをつけ加えることによって可能になる。 GREは隣り合った遺伝子にグルココルチコイド誘導能を授けることのできる340bp断片を生むために、Xho
    IIで消化することによってプラスミドpTK2A1から作られる〔ゴドウスキー等(Godowski et al.) Nature 、第3
    25巻、365−368頁(1987年)〕。 GREは授乳の期間存在するグルココルチコイドの量が増加することによって隣りの遺伝子をさらに10〜20倍誘導させる。

    遺伝子導入したマウスで効率的な組織特異的な発現を引き出すために使われる組換えDNA遺伝子複合体の一例は7kbの5′−側面のDNAを含み原核性のベクター配列を欠いているラットのβ−カゼイン遺伝子の全体である。
    カゼイン遺伝子の大きなそして複雑な性質は複数の部位で遺伝子を分解することなしにλDNA配列に作用しうる制限酵素分解部位を少ししか残していない。 かくして、
    Kpn I−BamH I断片からλ配列の除去にはBal31による消化とそれに続くサブクローニングとDNAの配列決定が必要である。 マニアティス等(Maniatis et al)、 Molecu
    lar Cloning:A Laboratory Manual 、コールドスプリングハーバー出版207−209頁(1982年)の記載を参考に取り上げる。 さらに、全遺伝子とその大きな側面に位置する配列が組織特異的な制御にとって重要である。

    β−カゼイン−CAT融合遺伝子を使ってもう一つの組換えDNA遺伝子複合体が作られた。 ビスビー、ローゼン(Bisbee and Rosen)分子及び細胞生物学に関するUCLA
    シンポジウム「転写制御(Transcriptional Contro
    l)」(1986年)この記述を参考とする。 この構成物は
    2.3kbまでの5′−側面DNAを含んでいる。 これは独特な
    Nde IとBamH I部位を使ってベクターDNAから都合よく作り出される。 そのベクターDNAを含まない直鎖状の断片が使われている。 β−カゼイン−CAT複合体の別の構成はカゼイン−CAT融合遺伝子の構成に使われるXba Iリンカーへさらに5′−側面配列は結合されている。 7kbの5′−側面DNAにほんのわずかしかXba I部位が存在しないのでBamH I−Xba I(部分分解)断片は失われる上流の配列を含んで生成されている。 遺伝子の中に組織特異的なエンハンサー配列が存在するときの組換えDNA遺伝子複合体を作るもう一つの方法は遺伝子から切り出される制限酵素断片を分析し、適当なリンカーでベクターの中へクローニングすることによってエンハンサー配列を検索することである。 CATの場合にはベクターはSV 1 CAT
    ベクターである。 ゴーマン等(Gorman et al) Mol.Cel
    l.Biol. ,第2巻、1044−1051(1982年)この記述を参考に供する。 このベクターはSV40からの構成的プロモーターを含んでいるがSV40のエンハンサー配列を欠いている。 それ故これはいろいろなDNA断片のプロモーターに依存しないエンハンサー活性を検索するのに有用である。 さらに511bpの5′−側面DNAしか含まないβ−カゼイン−CAT構造が利用しうる。 遺伝子導入マウスにおいて転移された遺伝子(ラットのβ−カゼインとCAT)の再配列されていないコピーが発現について解析される。

    発現を乳腺に向けこれらの蛋白を授乳の間に効率的に分泌されるために、シグナルペプチドを複合体に結合しなければならない。 一例はCATのところに63bpのカゼインシグナルペプチドのエクソン配列を結合させるものである。 そのカゼインのためのシグナルペプチドは哺乳動物の発生の間十分に保たれていることが示されている。
    ユーリー等(Yu−Lee et al.) Nuc.Acids.Res. ,第14
    巻、1833−1902頁(1986年)にありその記載は参考に提供される上で論議した他のシグナルペプチドが使用できるけれど、乳腺に効率的に分泌させるために高度に保たれる配列を使うことが有利である。 外来の分泌性蛋白をコードしているDNAを制御を受けた分泌細胞の中に移入されるのは分泌小胞に入る蛋白の種類に特異性があることが示されている。 〔ケリー(Kelly)、Science、第23
    0巻、25−32頁(1985年)〕この記載は参考にされる。
    例えば、β−カゼイン遺伝子の第2エクソン(エクソン
    II)を含むHind III断片が分離される。 Hind III部位は成熟したカゼインの+2アミノ酸に対する14bpの3′とエクソンIIの開始点に対する548bpの5′である〔ジョーンズ等(Jones et al) J.Biol.Chem. ,第260巻、7042
    −7050頁(1985年)〕。 +2アミノ酸に対するAGT3′のところで終止コドンを脱落させるためBal31消化を行いH
    ind IIIリンカーを挿入している。 この断片はSV 2 CATベクターのHind III部位に挿入される。 ゴーマン等(Gorm
    an et al)、 Mol.Cell.Biol. ,第2巻、1044−1051頁(1982年)とローゼン等(Rosen et al)「膜の受容体と細胞制御(Membrane Receptors and Cellular Regula
    tion)」、アラン・R.リス編(Alan.R.Liss)ニューヨーク、385−396頁(1985年)の記載があり、参考に供される。

    もう一つのアプローチは独特な制御酵素リンカーを含む45bpのオリゴヌクレオチドを直接合成することである。 これはβ−カゼイン−CATベクターのHind III部位に直接結合される。 よりよい効率と正確性のために分解するところの配列をコントロールできるのでオリゴヌクレオチドによるアプローチは望ましい。

    構成されるあるいは合成されるベクターがCOMMA−ID
    細胞の中に移入され、そしてCATが効率的に発現される。 ビスビー、ローゼン(Bisbee and Rosen):分子及び細胞生物学に関するUCLAシンポジウム「Transcriptio
    nal Control」(1986年)。 この構造はCATのアミノ末端に融合された付加的な14個のアミノ酸を含むCAT融合蛋白となりあとでシグナルペプチドの分解が起こる。

    もう一つの具体例ではカゼインのシグナルペプチド−
    CAT構造に組織特異的な発現を引き出すために必要な予め決められたシス作動性の制御配列が上記の例示した構成に結合される。 これはAcc IとSph Iを使って上の構成からSV40 72bpのエンハンサーを削除(これは本質的にS
    V 1 CATベクターを生ずる)し、乳腺特異的なエンハンサー断片を挿入することによるかまたは、カゼイン特異的プロモーター、エクソンI、イントロンA及びエクソン
    IIを含む断片を産生するために−330bpのところの上流のHind III部位での部分的なHind III消化を使うことによって完成される。 どちらの場合も原核性のベクター配列を欠いた直鎖状のDNA断片が遺伝子導入マウスを産むのに使われている。

    CAT活性は培地(=乳)、細胞質や組織の抽出物での酵素的分析を含むいろいろな方法や、ドットブロット法を使った免疫学的方法によって定量される。

    カゼインのシグナルペプチド配列は特に分泌が例えば内在的な疎水性のような多くの要因に左右されるので、
    すべての蛋白の分泌を標的するには十分でないだろう。
    かくして、他のシグナルペプチドやまたは側につく領域について変更することが分泌のために必要であろう。 成長ホルモンや組織プラスミノーゲン活性化因子のような通常は分泌される蛋白のもっているシグナルペプチドがカゼインのシグナルペプチドの代りに含められうる。 あるいは、膜に蛋白をつなぎとめるのに関わるカルボキシ末端のアミノ酸は離脱させねばならないだろう。

    例示の構造が信頼に足ることは制限酵素によるマッピングとDNA配列決定によって確められる。

    遺伝子導入された哺乳動物の産生 遺伝子導入した哺乳動物は宿主の染色体に外来のDNA
    配列をとり込ませる過程によって作り出される。 この方法は胚を集めること、DNAをその胚に注入すること、その生き残った胚を代理の母親に移し、その子孫を外来の遺伝子がくみこまれ発現しているかどうかを検索することから成り立っている。 遺伝子導入された哺乳動物は薬物を生産するために哺乳動物に挿入されたバクテリアの遺伝子、乳に生物学的化合物をg単位の量で生産するために非ヒト哺乳動物に挿入されたヒトの遺伝子、酪農の動物にとり込まれたヒトの成長因子、マウスにとり込まれたラットのDNA、酪農用動物にとり込まれたラットまたはウシのDNA、及びウシに挿入されたヤギ、ヒツジまたはブタの乳蛋白をコードしているDNAなどを含ませることができる。

    特定の具体例では、哺乳動物の胚の卵子系統にくみ換えDNA遺伝子複合体を挿入することによって、乳中の有害汚染菌を防ぐ方法を含んでいる。 別の具体例ではオンコジーンを含むくみ換えDNA遺伝子複合体を哺乳動物の胚の卵子系統の中に挿入することを含んでいる。 このできた遺伝子導入された哺乳動物を検定し、ガン組織の発生の機構を解析できる。 この方法も、家畜からとった乳を生産にとり入れることによって酪農産物を作ることを可能にしている。 この市販乳は生物活性のある作用物を含めることができ、食料、薬品、化粧品、ホルモン、炭水化物、脂肪、アミノ酸、蛋白などの多種の生産物を生み出すのに使うことができる。

    ラットのβ−カゼインのマウスへの取り込みの特定例 1. 胚の採集 1個の細胞である胚はゴナドトロピン投与で過度排卵にされた雌のマウスの卵管を水で洗い出すことによって採取される。 ゴナドトロピン管理は系統によってかわるが本質的には妊娠しているウマの血清(PMS)のゴナドトロピンの腹腔内(ip)投与した後、ヒトの絨毛膜ゴナドトロピン(hCG)をip投与することによっている。
    最後のゴナドトロピン投与後、雌マウスは雄と交尾される。 雌マウスはhCG投与後、約18〜20時間で屠殺され、
    卵管を洗滌され1細胞の胚が注入のために準備される。

    特別の具体例では、約14〜18gのICR系雌マウスが約5I
    U(国際単位)のPMS、次いで約48時間後に約5IUのhCG投与される。 若い未成熟のマウスの方が年老いた動物よりも過度排卵によく応答する。 しかしながらどれを使ってもよい。 雌のB6マウスが交尾に使われる。

    2. 胚の注入 胚を一滴の培養液の中におく〔クイン(Quinn), JR
    eprod.Fert .,第66巻、161−168頁(1982年)を参考として取上げる〕。 そして5μg/mlのサイトカラシンBを加えておく、培地はパラフィン油で覆われ、その胚はホフマン光学系を使った倒立型顕微鏡で観察される。 ラットのβ−カゼイン遺伝子複合体の注入は支持用マイクロピペットで一細胞胚を固定してβ−カゼイン遺伝子複合体を細くひっぱった注入用マイクロピペットによって雄性前核に注入することによって達せられる。 マイクロピペットを通しての液の流れのコントロールは、テフロン管でマイクロピペットにストールティングマイクロメーター・シリンジにつなぐことで行われる。 全体をパラフィン油で満たし、注入のための陽圧をかけまた胚を微妙なコントロールの下で注入できるよう固定するための陰圧にできるようにしている。

    注入されるラットのβ−カゼイン遺伝子複合体は10mM
    のトリス(pH7.5)と0.25mMのEDTAの溶液中に約2ng/μ
    の濃度に溶解される。 ブリンスター等〔(Brinster e
    t al)、 Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 、第82巻、4438−444
    2頁(1985年)〕の記載を参考とする。 約1〜2plのβ−
    カゼイン遺伝子複合体溶液を前核に注入する。 注入後の胚の生存は正常な形態上の外観をしているかどうかで判定される。

    3. 胚の転移 マイクロインジエクションに生き残った胚をHT6培地におき、6〜8週齢の雌マウスの卵管に移す準備をする。 受容側のマウスはPMSをip投与された後hCGを与えられ、精管切断された雌マウスとともに置かれる。 マイクロインジェクトされる胚を受入れるたすけとするためにゴナドトロピン投与と交尾は投与側のマウスのスケジュールに一致される。

    一例では約20〜22gのICR系雌マウスに約2IUのPMS、次いで48時間後に2IUのhCGのip投与を行った。 精管切断された雄と一緒にされた後、腔栓をもった雌を受容動物として用いた。 受容雌マウスは麻酔され、卵管を背側切開で露出し、細くひいたパスツールピペットを使って卵管の釆を通して胚を置く。 卵管を腹腔に戻して傷口を閉じる。

    胚転移の成功は転移後約19〜21日でマウスが誕生することで判定される。 マイクロインジェクションの成功はマウスの尾の生検試料から採取されたDNAをサザンハイブリダイゼーション解析によって評価される。

    細菌のCATのマウスへの組み込みの特定例 1. 胚の採取−ラットのβ−カゼインの例と同じ方法による。

    2. 胚の注入 バクテリアのCAT遺伝子複合体が単一細胞胚の雄前核に注入される以外はラットのβ−カゼインの例と同じ方法がとられる。 注入されるバクテリアのCAT遺伝子複合体は10mMのトリス(pH7.5)と0.25mM EDTAの溶液に約2n
    g/μの濃度で溶解される。 バクテリアのCAT遺伝子複合体液の約1〜2plが前核に注入される。 注入後の胚の生存は正常な形態上の外観で判定される。

    3. 胚の転移 β−カゼイン遺伝子複合体の場合と同じ方法が用いられる。 胚の転移の成功は転移後約19〜21日でマウスが生まれるかどうかで判定される。 バクテリアのCATのマイクロインジェクションの成功はマウスの尾の生検試料からとったDNAのサザンハイブリダイゼーション解析によって評価される。

    組換えDNA遺伝子複合体のウシ、ヒツジ、ブタの胚へのくみこみの特定例 胚の採取と注入方法は既述のとおりである。 ハマー等(Hammer et al) Nature(London) 、第315巻343−345
    頁(1985年)、クレーマー等(Kraemer et al)、「ウシ、ヒツジにおける遺伝子転移」バンベリーレポート、
    11月20日、221−227頁(1985年)の記載を参考にする。
    マウスとウシ、ヒツジ、ブタとの大きな違いは、前核の観察の際にウシ、ヒツジ、ブタでは卵子がはっきりしないことである。 みえるようにするには約3分間約15,000
    gで遠心分離することで可能となる。 この遠沈法は細胞質を層状にし、原核と核を位相差顕微鏡でみえるようにする。

    転移された遺伝子の構造と発現の解析 1. DNAの分離 小さな組織検体をSET緩衝液(150mM NaCl、20mMトリス、1mM Na 2 EDTA、ph7.8)中で37℃、1晩ブリンクマン・ポリトロンによってホモゲナイズし、フェノール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール及びクロロホルム/イソアミルアルコールで抽出する。 DNAはエタノール沈殿或いは糸状にまきつけること(spoolin
    g)で回収される。 DNA濃度は特殊な蛍光法で定量される。 ラバルカとペイゲン(Labarca and Paigen) Anal.B
    iochem.第102巻、344−352頁(1980年)の記載を参考とする。 マウスでは尾の1〜2cmを切りとって分析される。

    2. サザン法とDNAドットブロット分析 はじめにそう思われる遺伝子導入動物がサザンブロット法(Southern blotting)によって転移された遺伝子の存在が検索される。 外来のDNAを供給する対照生物、
    対照の宿主及び転移された宿主からの染色体DNA10μg
    が制限エンドヌクレアーゼで消化され、アガロースゲル電気泳動で分離され、ニトロセルロースに転写され、そして特有の遺伝子プローブとハイブリダイズされる。

    例えば、ラットのβ−カゼイン遺伝子がマウスにとり込まれる場合には1.9KbのEcoR I遺伝子プローブが使われる。 β−カゼインくみこみの状況は例えばKph IとBam
    HIのような他の制限エンドヌクレアーゼでDNAを消化し、1.9Kb断片で2.8Kbの5′−EcoR I断片と同様検定される。 転移した遺伝子のコピー数はラットの染色体DNA
    標準物を使ったDNAドットブロット法によって定量される(第3図)。 カファトス等(Kafatos et al) Nucl.Ac
    id Res .,第7巻、1541−1553頁(1979年)の記載を参考とする。

    3. 乳腺の生検、RNA分離とノーザンブロット(Norther
    n Blot) 授乳期の哺乳動物を麻酔し、乳腺組織の生検試料を採り、グアニジンチオシアネート−CsCl法でRNA抽出にかける。 チャーグウィン等(Chirgwin et al)Biochemist
    ry、第18巻、5294−5299頁(1979年)の記載を参考とする。 生検試料と対照組織からの乳腺のRNAをグリオキサール−アガロースゲル電気泳動で分離しニトロセルロースまたはナイロンの膜に転写し、cRNAのリボプローブとハイブリダイズする。 ジン等(Zinn et al.), Cell .,
    第34巻、865−879頁(1983年)の記載を参考とする。

    例えば、遺伝子導入マウスを麻酔し、第4乳腺をとり出し、RNA抽出にかける。 ラットのβ−カゼイン遺伝子のmRNAをラットの3′−cRNAリボプローブとハイブリダイズすることによってニトロセルロース上で、検出された(第7図)。

    4. RNアーゼとS1ヌクレアーゼによるマッピング 導入された外来の遺伝子複合体が正しく開始停止されるかどうかはRNアーゼとS1ヌクレアーゼでのマッピングによって決められる。

    例えば、ラットのβ−カゼイン遺伝子のRNアーゼマッピングでは、5′側面、第1エクソン及びイントロンA
    の部分をカバーする800bpのリボプローブかジン等(Zin
    n et al., Cell ,第34巻、865−879頁1983年)の方法に従ってRNA試料とハイブリダイズされ、RNアーゼAとRN
    アーゼT1による消化が行われる。 残った断片を8%ポリアクリルアミド/尿素の系のシーフェンシングゲル上で解析される。

    例えば、ラットのβ−カゼイン遺伝子のS1ヌクレアーゼマッピングにおいては2つの異なるプローブが使われる(第5図)。 第1のプローブはポリヌクレオチドキナーゼによって3′末端に標識したPvu II−Nco I断片である。 第2のプローブはDNAポリメラーゼIのクレノー断片によって3′末端に標識されたエクソンIXの3′末端をカバーしているNco I−EcoR I染色体断片である。 R
    NAはこれらのプローブとハイブリダイズされ、S1ヌクレアーゼで消化され5%ポリアクリルアミド/尿素ゲルで分析される〔マニアティス等(Maniatis et al) Molecu
    lar CloningA Laboratory Manual ,207−209頁(1982
    年)〕。 組みこまれた外来の遺伝子には夫々特殊なプローブが必要であろう。

    5. CATの酵素分析及び免疫的分析 CAT酵素活性は14 C−クロラムフェニコールをそのアセチル誘導体に変換することによって測定される〔ゴーマン等(Gorman et al) Mol.Cell.Biol. ,第2巻、1044−
    1051頁(1982年)〕。 その結果は試験された組織または細胞のDNAまたは蛋白含量の函数として表わされる。 またある場合にはDNAドットブロット法で定量されたくみこまれたCAT遺伝子のコピー数当りで表わされる。 乳中のCAT活性は蛋白mg当りで表わされる。 またはポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使ったりウェスタンドットブロット法を使ってCAT蛋白を測定できる。 この技術に通じた者はこの蛋白またはその活性を検出するその他の方法が利用できることを認識しよう。 細胞培養でのCAT分泌の測定はインスリン(約5μg/ml)、ハイドロコーチゾン(約1μg/ml)、プロラクチン(約1μg/
    ml)を含む5%ウシ胎児血清中に浮かせたI型コラーゲンゲル上に72時間生育させた若い継代のCOMMA−ID細胞をゲルからはがして用いられる。 この条件下では、β−
    カゼインのmRNAは授乳期の組織にみられるレベルの5〜
    10%である。 ローゼン等〔(Rosen et al) Annals NY
    Acad.Sci. ,第478巻、63−76頁(1986年)〕の記載を参考とする。 比較しうる条件下でカゼインは浮遊させたコラーゲンゲル上に生育させたマウス乳腺細胞の初代培養細胞から効率よく分泌される。 リー等〔(Lee et al) P
    roc.Natl.Acad.Sci.USA 、第82巻、1419−1423頁(1985
    年)〕の記載を参考とする。

    ラットβ−カゼインのマウスへのとり込みの分析 β−カゼイン構成の解析での大きな困難はホルモンで制御されるカゼイン遺伝子の発現を示す細胞系統がクローン化されていないことである。 初代培養細胞でのカゼイン遺伝子の発現は細胞同志及び細胞−基質間の相互作用によっている〔レビンとストックデール(Levine and
    Stockdale) J.Cell.Biol. ,第100巻、1415頁(1985
    年)、リー等(Lee et al) Proc.Natl.Acad.Sci.,USA
    第82巻、1419−1423頁(1985年)〕。 カゼインもホエーの酸性蛋白(wap)もその遺伝子発現は移植培養系での無血清培地ではホルモンによって制御されるがWAP遺伝子の発現については用いられる培養条件によらず初代培養あるいは細胞系統においてはみられない〔ホッブス等(Hobbs et al) J.Biol.Chem. ,第257巻、3598−3605
    頁〕。 かくして遺伝子導入マウスは乳腺においてシス作動性DNA配列の機能的役割を解析するための別のin vivo
    の系を提供している。

    Kpn I−BamH I断片を使っていくつかの遺伝子導入マウスが生産された(第2図、第3図)。 ラットのβ−カゼイン遺伝子の移入と発現は染色体DNAをブロッティングした上で1.9kbのEcoR Iプローブを用いて分析された。 このプローブの特異性はラットのプローブと10KbのマウスDNAのEcoR I断片との間でごく弱い交差ハイブリダイゼーションしかみられないことによって示される。
    3段階の濃度のラットの染色体DNA、マウスのDNA、異なるFoマウスから分離した4種のDNAが第3図に示されている。 マウス11.2は期待される1.9Kbの断片を含んでいた。 さらに詳細に分析すると、ほゞ4コピーの再配列されていない全体のKpn I−BamH I断片が11.2マウスに存在していることが示された。 くみこまれたラットβ−カゼイン遺伝子の移入は第4図に総括されているように一連のF 1 、F 2マウスでの尻尾でブロット法を行って分析された。 F 1世代では22の中11が一つの部位でのくみこみを示唆する変化をうけていないコピー数の遺伝子を受けついでいた。 陽性のF 1マウスの中2匹はホモ接合体を確立するために交配された。 F 2世代のうちで9匹の中8匹は陽性で、データはこれらマウスのいくつかはホモ接合体であることが示唆している。

    授乳中のマウスから乳腺の生検を行った。 マウス11.2
    −2.4を屠殺し、その他の組織もカゼイン遺伝子発現について分析した。 はじめにラットのβ−カゼインmRNAの3′−非コード領域から合成したSP6リボプローブを使ってRNAブロッティングが行われた。 正しい大きさのmRN
    A(1.1Kb)の発現が11.2−2.0及び−2.4マウスからとった授乳性のRNAにRNAブロットが観察された。 肝や脳からとったRNAでは発現はみられず、腎からのRNAでも殆んど検出できる兆候はみられなかった。 ラットとマウスのβ
    −カゼインmRNAの大きさは同一であるのでラットβ−カゼインmRNAの3′−非コード領域を使った特異的なS1ヌクレアーゼ分解性実験を開発した。 このプローブは検出されたβ−カゼインのmRNAの発現が転移されたラットの遺伝子によるもので、内在性のマウスの遺伝子によるものでないことを確めるために使われた。

    予め特有のNco I部位で標識された一本鎖の448NIプローブを調製した。 成熟したmRNAからの保護で280NTの断片が生産される。 もし前駆mRNAが作られなければ144NT
    断片ができる。 第5図に示されるように、授乳しているラットの乳腺からとったRNA1μgは280NTの主要バンドと144NTの弱いバンドを示す。 遺伝子導入マウス11.2−
    2.0と−2.4の2匹に280NTが分泌されている兆候がみられるが144NTにはもっと濃いバンドがみられる。 RNAは夫々50μg分析にかけられた。 対照及び陰性の遺伝子導入マウスのいずれもそれから分離したあるいはt−RNAを使っても授乳期RNAの存在はみられなかった。

    腎から抽出されたRNAではもっと長時間おくことで280
    NTのうすい存在の兆候がみられたが肝からはみられなかった。 これらの結果は移入されたラットのβ−カゼイン遺伝子は授乳中の乳腺に選択的に発現されるが内在性のマウスの遺伝子よりもずっと低いレベルであることを示している。 RN.アーゼとS1保護実験はラットβ−カゼイン遺伝子転写産物が正しく開始され加工されるかどうかを調べるのに使われる。

    組織特異的な導入遺伝子の発現の程度について原核生物性のベクター配列が阻害的な効果があると報告されておりまた、その遺伝子に対してさらに5′或いは3′に位置しているエンハンサー配列がある可能性があるために、3.5Kbの5′側に隣り合うDNAと3.0Kbの3′側にあるDNAを伴うラットのβ−カゼインの全遺伝子を含みベクター配列のない染色体のクローンを単離し、遺伝子導入マウスの造成に使った。 第6図に示されているように、期待される1.9KbのEcoR I DNA断片は5匹のマウスに示されている(他の3匹の陽性のマウスは示されていない)。 3匹の雌のFoマウスの授乳時の乳腺の生検試料からRNAを抽出し、特異的なRN.アーゼの分解性試験を使って第7図に示されるようにカゼイン遺伝子の発現を解析した。 3匹のマウスの中1匹はラットのβ−カゼイン導入遺伝子を発現した(第7図、第F列)。 このマウスはコントロールラットの授乳期のRNA試料にもみられる予期どおりの450NTの分解されない断片を示した(第7
    図、第B列)。 F 1世代の試験では8匹のFo遺伝子導入された雌の中7匹はその子孫に外来の遺伝子複合体を伝播していた。

    これらの結果は遺伝子導入されたマウスでラットのβ
    −カゼイン遺伝子が移入され発現することを示している。 効果的な組織特異的な遺伝子発現をひき出すために5′−または3′側の配列を付加することによって発現の程度を増やしうる。 5′フランキング配列の保存がCA
    P部位の最初の2〜3百bp上流にみられたけれど、このことが、この領域をはずれる他の配列が組織特異的な発現と制御に重要な役割をもつということを妨げるものでない。 このことは大多数の遺伝子でそうではないのに、
    一方、マウスのα−フェトプロティン遺伝子の5〜7Kb
    上流の遺伝子導入マウスにおいて効率的な組織特異的な発現に必要であることが観察されている〔ハマー等(Ha
    mmer et al.) Science ,235巻、53−58頁(1987年)〕。

    CATくみ込みの分析 pSVoCAT発現ベクターはバクテリアの酵素クロラムフェニコール・アセチルトランスフエラーゼをコードする遺伝子を含んでいる。 特定の遺伝子配列による遺伝子の発現の促進と昂揚は真核細胞には全くバックグラウンドのない非常に鋭敏な酵素的試験であるCAT活性を測定することによって容易に調べることができる。 一連のβ−
    及びγ−カゼイン−CAT融合遺伝子が構築されている(第8図)。 これらはホルモン的に制御されたプロモータ活性についていろいろな乳腺細胞系統や初代培養細胞で調べられている〔ビスビーとローゼン(Bisbee and R
    osen)「分子及び細胞生物学に関するUCLAシンポジウム−転写の制御」(1986年)〕。 遺伝子導入された動物でカゼイン−CAT融合遺伝子を使うことは組織特異性のプロモータとエンハンサーの機能についての迅速で敏感な測定法を提供している。

    この技術に精通する者は乳腺と乳の中に蛋白を分泌するためにこの他の外来遺伝子複合体系を使えることを認識するだろう。 ここには公表のために本発明の具体的な実施例が与えられているが、この分野の技術に通じるものにとって本発明の精神の中に包含され付記する特許請求の範囲で示されている中での変化やそれ以外の利用ができるであろう。

    【図面の簡単な説明】

    第1図Aは組換DNA遺伝子複合物を示す。 Eはエンハンサー配列、Pはプロモータ配列を表わしている。 シグナルペプチドは組織に特異的な配列を表わす。 cDNAは合成された特定の遺伝子を表わしている。 細い線(−)は側面につながる配列を表わし、太線

    はイントロン配列を表わしている。 第1図Bはもう一つの別の組換えDNA遺伝子複合物を示す。 記号は同じであるが5′UTは5′の非翻訳mRNA、


    3′UTが3′の非翻訳mRNAを表わしていることが追加されている。 第2図は移入されたラットのβ−カゼイン遺伝子の構造を示す。 このものはB14プラスミドでATCC寄託番号40420


    号として寄託されている。 図は約1.3kbの5′側面につながるDNAと1kbのλDNAを伴う全遺伝子を含んでいる。


    この構造は単一のファージクローンから

    Kpn I

    BAM HI


    による消化によって分離されサブクローン化された。 染色体DNAを解析するために使われる1.9kbの

    Eco R Iプローブも示されている。 第3図は生物の形態を表わす写真であり、ラットのβ−


    カゼインの遺伝子導入マウスへの移入に関するものであり、マウスの胚に挿入した後1.9kbの

    Kpn I

    Ban HI断片の解析を示す。 ラットやマウスのDNAが対照として使われている。 第4図は遺伝子導入マウス11.2におけるラットのβ−カゼイン遺伝子の限定された系図である。 ○は雌を□は雄を表わす。 黒くぬりつぶした記号はラットのβ−カゼイン遺伝子を含むマウスを示す。 尻尾の試料のDNAブロット(転写)をF

    1及びF

    2世代のマウスについて行った。 第5図は生物の形態を表わす写真であり、遺伝子導入したマウスにおけるβ−カゼイン遺伝子の発現に関するものであり、肝、脳、腎からとったRNA分離物についてRNA


    転写の結果を示している。 ラットのβ−カゼインのmRNA


    の3′−非コード領域を使った特異的なS1ヌクレアーゼ防護測定法がラットとマウスのmRNAを区別するのに使われた。 第6図は生物の形態を表わす写真であり、ラットのβ−


    カゼイン遺伝子の遺伝子導入マウスへの移入に関するものである。 ラットのβ−カゼイン遺伝子全体と3.5kbの5′側に連なるDNAと3.0kbの3′側のDNAを含む染色体クローンをマウスの胚に挿入した。 5匹のマウスがいくつかの数のコピー数をもった転移遺伝子(transgene)


    のあることを示している。 第7図は生物の形態を表わす写真であり、遺伝子導入したマウスからとった乳腺RNAのリボヌクレアーゼによる分解性試験に関するものである。 3匹の雌のF

    0マウスから生検試料として得た授乳期の乳組織からRNAを抽出した。 ラットのβ−カゼインの転移遺伝子が発現していることはリボヌクレアーゼによる分解性試験を使ってRNA


    において検出された。 文字は次のようなことを表わしている;すなわち、A列(プローブだけ)、B列(ラットの授乳期中のRNA0.5μg)、C列(注入されていない対照からとった授乳期のRNA50μg)、D、E、F列(陽性の遺伝子導入マウスからとったRNA50μg)、G列(t


    RNAの50μg)。 第8図はカゼイン−CAT融合遺伝子の構成。 pSV

    0 CATの発現ベクターの構造を示す。 2.3kbの5′側面DNAとある場合には5′−非翻訳エクソンIとこれらの遺伝子のイントロンAの一部を含んでいる4つのβ−カゼイン−CAT


    融合遺伝子と1つのγ−カゼイン−CAT融合遺伝子が示されている。 図中CATプラスミドβ−511/+535は、ATCC


    寄託番号40421号として、又、β−2300/+535は、ATCC


    寄託番号40419号として、それぞれ寄託されている。 数字の相対的でカゼインのmRNAのCAP部位を+1としている。 構成遺伝子配列はエクソンを黒色でイントロンを白色で示されている。

    フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−291(JP,A) 特表 平1−500162(JP,A) Journal of Cell B iology,Vol. 103,No. 5, Part2(1986)p. 313a UCLA Symposium on Molecular and Cel lular Biology:Tran scriptional Contro l Mechanism,Vol. 52 (1987)p. 313−323 Trends in Biotech nology,Vol. 5,No. 1 (1987.Jan)p. 20−24 (58)調査した分野(Int.Cl. 6 ,DB名) C12N 15/00 - 15/90 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

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