Golf club shaft

申请号 JP2002198664 申请日 2002-07-08 公开(公告)号 JP4125920B2 公开(公告)日 2008-07-30
申请人 Sriスポーツ株式会社; 发明人 仁志 尾山;
摘要 A golf club shaft composed of a laminate of prepregs obtained by impregnating reinforcing fibers with a resin, the weight (g) of the golf club shaft per unit length (mm) is less than 0.0385 g/mm. Prepregs, each including a reinforcing fiber having a high tensile modulus of elasticity not less than 300 GPa and a high tensile strength not less than 5000 MPa are disposed as a part of a straight layer in which the reinforcing fibers are parallel with the axial direction of the golf club shaft.
权利要求
  • 強化繊維に樹脂を含浸させて得られるプリプレグの積層体からなる繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトであって、
    少なくとも、強化繊維をシャフト軸方向に対して平行としているストレート層の一部に、引張弾性率が300GPa以上、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが積層されると共に、
    シャフト重量(g)/シャフト長さ(mm)の値が0.0385g/mm以下で あり、
    かつ、上記シャフトのTIP端からの距離が70mm以上150mm以下の位置からTIP端までの範囲に、先端厚肉部を設け、該先端厚肉部の肉厚を1.4mm以上2.8mm以下とすると共に、上記先端厚肉部の肉厚変化率を5/1000以下とし、
    上記先端厚肉部のBUTT端側に隣接して50mm以上150mm以下の長さ範囲の肉厚移行部を設け、
    上記先端厚肉部の肉厚変化率をT1、上記肉厚移行部の肉厚変化率をT2とすると、 3T1≧T2≧2T1の関係を満たしているゴルフクラブシャフト。
  • 強化繊維に樹脂を含浸させて得られるプリプレグの積層体からなる繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトであって、
    強化繊維をシャフト軸方向に対して平行としているストレート層の少なくとも一部に、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが積層され、かつ、該高弾性高強度強化繊維を有するストレート層の少なくとも一層がシャフト全長にわたって配置され、該高弾性高強度強化繊維を有するストレート層の内層側に、上記高弾性高強度強化繊維に比べ、引張強度が高い強化繊維を有するフープ層のプリプレグが積層されており、
    シャフト重量(g)/シャフト長さ(mm)の値が0.0385g/mm以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  • 上記高弾性高強度強化繊維が炭素繊維であり、上記ストレート層の全強化繊維の重量に対して、上記高弾性高強度強化繊維の重量が占める割合は50%以上である請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブシャフト。
  • 製品安全協会の定める「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(通商産業大臣承認5産第2087号)の3点曲げ試験に準ずる試験法で、T点曲げ強度が1600N以上である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、ゴルフクラブシャフトに関し、詳しくは、繊維強化樹脂製シャフトにおいて、プリプレグの構成を規定し、軽量性を維持しながら、適度な剛性と高強度とを実現するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    ゴルフクラブシャフトは、材料として繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを用いる場合、強化繊維をシャフト長軸に対して平行またはある度をつけた所謂ストレート層、アングル層等をマンドレルに巻き付けて成形することが一般に行われている。
    【0003】
    近年、シャフトの軽量化が進んでおり、軽量シャフトにおいて、目標のシャフトの剛性、高強度を達成することが要求されている。 よって、上記のようなプリプレグを用いて形成されるシャフトにおいて、プリプレグの材質や積層構成を改良し、軽量シャフトの強度等を向上させるための種々の提案がなされている。
    【0004】
    例えば、特開平5−49717号では、炭素繊維を強化繊維とするストレート層を2層構造とし、内層ストレート層を高弾性炭素繊維、外層ストレート層を高強度炭素繊維とすることにより、シャフト全体重量が45インチ長さ換算で63g以下である軽量で剛性の優れたゴルフクラブシャフトが提案されている。
    【0005】
    【発明が解決しようとする課題】
    しかしながら、特開平5−49717号では、高弾性ではあるが中強度、高強度ではあるが中弾性の強化繊維を有する別種のプリプレグを組み合わせて用いているため、適度な剛性と高強度を実現するには、必然的にプリプレグの枚数が多くなり重量増を招くという問題がある。 また、高弾性高強度のプリプレグとして記載されているプリプレグでも、強度が不十分である。 よって、曲げ強度は強度の低い高弾性炭素繊維に影響され、上記のような構成では充分な強度が得られないという問題がある。
    【0006】
    このように、シャフトを軽量化するには、使用する強化繊維量を減少させる必要があるが、繊維量を減少させると強度が低下するという問題がある。 従来のシャフトに用いられる強化繊維においては、引張弾性率のみが高く剛性が向上するものの十分な強度を得にくい、あるいは引張強度のみが高く強度は向上するものの剛性が低くなるという問題がある。 これらを適宜組み合わせることにより、両者の利点を生かすような積層構成が提案されてはいるが、軽量性をも実現するのは困難である。 よって、できる限り強化繊維や積層するプリプレグの量を減らしながらも、十分な強度を有し、かつシャフトとしての適度な剛性(撓み)も兼ね備えたシャフトの開発が望まれている。
    【0007】
    本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、シャフトの軽量性を維持しながら、適度な剛性と高強度を両立させたゴルフクラブシャフトを提供することを課題としている。
    【0008】
    【課題を解決するための手段】
    上記課題を解決するため、本発明は、第一に、強化繊維に樹脂を含浸させて得られるプリプレグの積層体からなる繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトであって、
    少なくとも、強化繊維をシャフト軸方向に対して平行としているストレート層の一部に、引張弾性率が300GPa以上、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが積層されると共に、
    シャフト重量(g)/シャフト長さ(mm)の値が0.0385g/mm以下であり、
    かつ、上記シャフトのTIP端からの距離が70mm以上150mm以下の位置からTIP端までの範囲に、先端厚肉部を設け、該先端厚肉部の肉厚を1.4mm以上2.8mm以下とすると共に、上記先端厚肉部の肉厚変化率を5/1000以下とし、
    上記先端厚肉部のBUTT端側に隣接して50mm以上150mm以下の長さ範囲の肉厚移行部を設け、
    上記先端厚肉部の肉厚変化率をT1、上記肉厚移行部の肉厚変化率をT2とすると、 3T1≧T2≧2T1の関係を満たしているゴルフクラブシャフトを提供している。
    第二に、強化繊維に樹脂を含浸させて得られるプリプレグの積層体からなる繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトであって、
    強化繊維をシャフト軸方向に対して平行としているストレート層の少なくとも一部に、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが積層され、かつ、該高弾性高強度強化繊維を有するストレート層の少なくとも一層がシャフト全長にわたって配置され、該高弾性高強度強化繊維を有するストレート層の内層側に、上記高弾性高強度強化繊維に比べ、引張強度が高い強化繊維を有するフープ層のプリプレグが積層されており、
    シャフト重量(g)/シャフト長さ(mm)の値が0.0385g/mm以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフトを提供している。
    【0009】
    本発明者は、軽量で適度の剛性があり、かつ高強度であるシャフトを得るために種々の強化繊維材料及びプリプレグの積層構成を検討した結果、上記のような高引張弾性率と高引張強度の強化繊維を有するプリプレグを、少なくともシャフトの曲げ強度に最も寄与するストレート層の一部に積層することにより、適度な剛性(たわみ)と高強度を兼ね備えたシャフトを実現できることを見出した。
    【0010】
    このような高弾性高強度の強化繊維を有するプリプレグを少なくともストレート層に積層することにより、様々な種類の強化繊維を有するプリプレグを組み合わせて用いることなく、効率良く容易に、所望の剛性と高い強度を実現でき、重量増を招くこともない。 よって、軽量シャフトの作製において、設計の自由度を向上することができ、シャフト重量g/長さmmの値が0.0385g/mm以下の軽量シャフトにおいても、非常に高性能なシャフトが可能となった。
    【0011】
    上記高弾性高強度強化繊維の引張弾性率を300GPa以上としているのは、300GPa未満だと充分な剛性(硬さ)が得られないためである。 また、上記高弾性高強度強化繊維の引張強度を5000MPa以上としているのは、5000MPa未満であると充分な強度が得られないためである。 よって、上記のような高弾性高強度の強化繊維を用いることにより、軽量性を維持しながら適度な剛性と高強度を実現することができる。 なお、上記高弾性高強度強化繊維の引張弾性率も引張強度も、上記規定値より大きな値であれば、大きい方が好ましい。 また、高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグの形状・厚み・配置位置・積層枚数・巻き回数等は要求性能に応じて適宜調整することができる。
    【0012】
    本発明のシャフトは、シャフトの単位長さ当たりの重量であるシャフト重量(g)/シャフト長さ(mm)の値が0.0385g/mm以下である軽量シャフトとしている。 なお、好ましくは0.0255g/mm以上であるのが良い。
    【0013】
    上記高弾性高強度強化繊維が炭素繊維であり、補強層をも含む上記ストレート層の全強化繊維の重量に対して、上記高弾性高強度強化繊維の重量が占める割合は50%以上であることが好ましい。 これは、上記割合が50%未満だと、軽量と適度な剛性及び高強度を達成しにくくなるためである。 上記割合は好ましくは60%以上80%以下、さらには70%以上85%以下が良い。
    【0014】
    製品安全協会の定める「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(通商産業大臣承認5産第2087号)の3点曲げ試験に準ずる試験法で、T点曲げ強度が1600N以上であることが好ましい。 このように、T点曲げ強度を1600N以上とすることで、一般ゴルファーが安心して使用できる強度を有することができる。 1600N未満であると、ネック近傍で打撃した時にシャフト折れし易くなり、打点の安定しないアベレージゴルファーが安心して使用しにくいためである。
    【0015】
    上記第一の発明では、シャフトのTIP端からの距離が70mm以上150mm以下の位置からTIP端までの範囲に、先端厚肉部を設け、該先端厚肉部の肉厚を1.4mm以上2.8mm以下とすると共に、上記先端厚肉部の肉厚変化率を5/1000以下としている。 このように、シャフトのTIP(ヘッド)側に、上記先端厚肉部を設けることにより、軽量性を維持しながら適度な剛性と高強度とを効率良く実現することができる。
    【0016】
    上記先端厚肉部を上記シャフトのTIP端からの距離が70mm以上150mm以下の位置からTIP端までの範囲としているのは、先端厚肉部が、TIP端から70mm未満の位置までだと厚肉部が短すぎ補強効果がなくなり充分な強度が得にくくなるためである。 一方、TIP端から150mmより長い位置までだと厚肉部が長くなりすぎ軽量化を実現しにくくなると共に先端部分が固くなりすぎて球の上がりにくい難しいシャフトとなるためである。
    【0017】
    上記先端厚肉部の肉厚を上記範囲としているのは、肉厚が1.4mm未満であると、充分な強度を得にくいためであり、肉厚が2.8mmより大きいと軽量化が困難になると共に、シャフトのTIP端側が固くなりすぎて球が上がりにくい難しいシャフトとなるためである。
    【0018】
    上記肉厚変化率を5/1000以下としているのは、5/1000より大きいと強度の変化が大きくなるため、シャフト折れしない強度を確保する必要が生じ、この場合に余分な重量を付加することとなり軽量化の妨げになることがあるためである。
    【0019】
    上記先端厚肉部のBUTT端側に隣接して50mm以上150mm以下の長さ範囲の肉厚移行部を設け、上記先端厚肉部の肉厚変化率をT1、上記肉厚移行部の肉厚変化率をT2とすると、3T1 T2 2T1の関係を満たすようにしている。 これにより、重量増を招くことなく、効率良く先端部の剛性を高めることができる。
    【0020】
    上記肉厚移行部の長さを上記範囲としているのは、上記範囲より短いとシャフト全体として厚肉になり軽量化を図りにくくなるためであり、上記範囲より長いとグリップ側の強度に影響が出ることがあるためである。
    また、T2が3T1より大きいと肉厚の変化が急になりすぎ肉厚変化率が変化する点で応集中によるシャフト折れが生じやすくなる。 一方、T2が2T1より小さいと肉厚移行部が長くなり軽量化しにくくなる。
    【0021】
    上記高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが少なくとも一層シャフトの全長に渡って積層されると共に、上記高弾性高強度強化繊維に比べ、引張弾性率が低く、かつ引張強度が高い強化繊維を有するストレート層のプリプレグが、TIP側補強層として積層されていることが好ましい。 このような積層構成とすることにより、シャフト全体として適度な剛性と高強度を実現し、さらに、軽量性を維持しながら、シャフトのTIP側において、より効率良く強度も高めることができる。
    【0022】
    また、上記高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが少なくとも一層シャフトの全長に渡って積層されると共に、高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグの内層側に、高弾性高強度強化繊維に比べ、引張弾性率が高い強化繊維を有するアングル層のプリプレグが積層されていることが好ましい。 なお、高弾性高強度強化繊維に比べ、上記アングル層のプリプレグの強化繊維は、引張強度が低い方が好ましい。
    上記第二の発明のゴルフクラブシャフトでは、上記高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが少なくとも一層シャフトの全長に渡って積層されると共に、高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグの内層側に、高弾性高強度強化繊維に比べ、引張強度が高い強化繊維を有するフープ層のプリプレグ積層している 。 なお、高弾性高強度強化繊維に比べ、上記フープ層のプリプレグの強化繊維は、引張弾性率が低い方が好ましい。 上記構成により、シャフトをさらに軽量化することができる。
    【0023】
    上記高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグの外層側に、他のストレート層が積層される場合には、該他のストレート層のプリプレグの強化繊維は、上記高弾性高強度強化繊維に比べ引張強度が高いことが好ましい。 これにより、高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグの積層による高強度性をより高めることができる。
    【0024】
    本発明のゴルフクラブシャフトは、プリプレグを積層した中空パイプ状の積層体からなる繊維強化樹脂製である。 具体的には、プリプレグの強化繊維の繊維方向がシャフト軸方向に平行なストレート層、シャフト軸方向に対して角度を持たせたアングル層、あるいはシャフト軸方向に垂直なフープ層を適宜組み合わせて構成することができる。 また、要求性能に応じて、プリプレグの形状・厚み・配置位置・積層枚数・巻き回数等を適宜調整することができる。 なお、上記高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグ以外のプリプレグの強化繊維の繊維方向・引張弾性率、引張強度等は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜設定可能である。 また、高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグをアングル層、フープ層として用いることもでき、補強層に用いることもできる。
    【0025】
    シャフトのグリップ取付側(手元側)の硬さの指標である順式フレックスの値は、120mm以上135mm以下、好ましくは125mm以上130mm以下であるのが良い。
    上記範囲としているのは、上記範囲より小さいと硬すぎてシャフトがしならず、飛距離が得られない上に、フィーリングが悪く(硬く)なりやすいためである。 一方、上記範囲より大きいと軟らかすぎて方向性が悪くなりやすい上に、タイミングが取り難くなるためである。
    【0026】
    また、シャフトのヘッド取付側の硬さの指標である逆式フレックスの値は、上記順式フレックスと同様の理由により、110mm以上130mm以下、好ましくは115mm以上125mm以下であるのが良い。
    【0027】
    上記シャフトの長さは、850mm以上1250mm以下、好ましくは1000mm以上1170mm以下であるのが良い。 これにより、プレーヤーにとって非常に使い易い上に、適度な剛性と強度を有するシャフトを得ることができる。
    【0028】
    さらには、シャフトのTIP端(ヘッド取付側端)の外径(直径)を8.5mm以上10.5mm以下とし、シャフトのBUTT端(グリップ取付側端)の外径を15.0mm以上17.0mm以下とするのが良い。
    TIP端の外径を上記範囲としているのは、上記範囲より小さいとネックでの折れが発生しやすく、コントロール性が低下しやすいためである。 一方、上記範囲より大きいと軽量化を図りにくくなる上に、ヘッド側の剛性値が高くなりすぎ、しなり設計が難しくなるためである。
    また、BUTT端の外径を上記範囲としているのは、上記範囲より小さいと適度な剛性を得にくい上に、握り難くなりやすいためである。 一方、上記範囲より大きいと軽量化を図りにくい上にグリップ部が太くなりすぎ握り難くなりやすいためである。
    【0029】
    本発明のシャフトにおいて積層されるプリプレグの1枚分の厚みは0.01mm以上0.15mm以下、好ましくは0.02mm以上0.12mm以下であるのが良い。
    上記範囲としているのは、上記範囲より小さいとプリプレグの巻き付け枚数が多く必要となり生産性が悪くなるためである。 一方、上記範囲より大きいとプリプレグ層間の段差ができやすく強度が低くなる場合があるためである。
    【0030】
    プリプレグに用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられ、これらを単独、あるいは組み合わせて用いることができる。 強度と剛性の点より熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ系樹脂が好ましい。 エポキシ系樹脂の他、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂(ビニルエステル樹脂)等が挙げられる。 また、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
    【0031】
    強化繊維としては、一般に高性能強化繊維として用いられる繊維が使用できる。 炭素(カーボン)繊維以外にも、例えば、ガラス繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子ポリエチレン繊維等が挙げられる。 また、金属繊維を用いても良い。 軽量で高強度であることから炭素繊維が好ましい。 これらの強化繊維は、長繊維、短繊維のいずれであっても良く、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。 強化繊維の形状や配列については限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物(クロス)状、組み紐状等のいずれの形状・配列でも使用可能である。
    【0032】
    また、本発明のゴルフクラブシャフトは、ウッド型クラブ、アイアン型クラブ、パター等のあらゆる種類のゴルフクラブに適用することができる。
    【0033】
    【発明の実施の形態】
    以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
    図1乃至図3は本発明の第1実施形態のゴルフクラブシャフトを示し、シャフト1は、繊維強化プリプレグの積層体からなり、中空部を有する中空パイプ状であり、シャフト1の小径端側にヘッド2が取り付けられ、大径端側にグリップ3が取り付けられている。 シャフト1は、ヘッド取付側からグリップ取付側にかけて直線状に拡径したテーパ形状としている。
    【0034】
    シャフト1は、引張弾性率が300GPa以上、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグをストレート部の一部に用いている。 シャフト1は、全長が1168mm、シャフトの重量が44gであり、シャフトの単位長さ当たりの重量の値が0.0377g/mmである。 シャフト1のTIP端1aの外径を9.0mmとし、BUTT端1bの外径を15.6mmとしている。
    【0035】
    シャフト1は、シートワインディング製法により作製されており、図2に示すプリプレグ11〜19を芯金(図示せず)に、順次、内周側から(プリプレグ11→12→…19)巻き付けて積層した後、ポリプロピレンン樹脂製等のテープでラッピングしてオーブン中で加熱加圧して樹脂を硬化させて一体的に成形し、その後、芯金を引き抜いて、シャフト1を形成している。 これら繊維強化プリプレグ11〜19の強化繊維F11〜F19はいずれも炭素繊維を用い、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いている。
    【0036】
    以下、プリプレグ11〜19の積層構成を示す。 なお、各プリプレグ11〜19は、図中に示すply数で巻き回している。
    プリプレグ11は、強化繊維F11がシャフト軸線に対してなす繊維角度を0°(ストレート層)とし、引張弾性率を294GPa、引張強度を5490MPaとし、シャフト軸線方向において長辺の長さを200mm、短辺の長さを100mm、プリプレグ厚みを0.085mmとしている。 TIP側に配置されTIP側補強層としている。
    【0037】
    プリプレグ12、13は、強化繊維F12、F13がシャフト軸線に対してなす繊維角度を各々−45°、+45°(アングル層)とし、引張弾性率を382GPa、引張強度を4900MPaとし、シャフト全長に渡る1168mm長さとし、プリプレグ厚みを0.057mmとしている。
    【0038】
    プリプレグ14は、強化繊維F14がシャフト軸線に対してなす繊維角度を90°(フープ層)とし、引張弾性率を294GPa、引張強度を5490MPaとし、シャフト全長に渡る長さとし、プリプレグ厚みを0.050mmとしている。
    【0039】
    プリプレグ15は、強化繊維F15がシャフト軸線に対してなす繊維角度を0°とし、引張弾性率を320GPa、引張強度を5200MPaとし、シャフト軸線方向において長辺の長さを350mm、短辺の長さを250mm、プリプレグ厚みを0.085mmとしている。 グリップ側に配置され、グリップ側補強層としている。 即ち、高弾性高強度強化繊維を用いている。
    【0040】
    プリプレグ16、17、18は、強化繊維F16、F17、F18がシャフト軸線に対してなす繊維角度を0°とし、引張弾性率を320GPa、引張強度を5200MPaとし、シャフト全長に渡る長さとし、プリプレグ厚みを0.085mmとしている。 即ち、高弾性高強度強化繊維を用いている。
    【0041】
    プリプレグ19は、強化繊維F19がシャフト軸線に対してなす繊維角度を0°とし、引張弾性率を294GPa、引張強度を5490MPaとし、プリプレグ長さを250mm、プリプレグ厚みを0.105mmとしている。 TIP側に配置されTIP側補強層としている。
    【0042】
    シャフト1は、補強層も含めたストレート層の全強化繊維の重量に対して、引張弾性率が300GPa以上、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維の重量が占める割合を75%としている。 また、製品安全協会の定める「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(通商産業大臣承認5産第2087号)の3点曲げ試験に準ずる試験法で、T点曲げ強度は1890Nである。 また、シャフトの順式フレックスの値が127mmであり、逆式フレックスの値が118mmである。
    【0043】
    シャフト1には、図3に示すように、シャフト1のTIP端1aからの距離が100mmの位置からTIP端1aまでの範囲に先端厚肉部Lを設けている。 先端厚肉部Lの肉厚の最大値は2.2mm、最小値は1.8mmとし、先端厚肉部Lの肉厚変化率T1は4/1000としている。 また、先端厚肉部LのBUTT端側に隣接して100mmの長さ範囲に渡って肉厚移行部Sを設け、肉厚移行部Sの肉厚変化率T2を10/1000としている。 即ち、肉厚移行部Sは、TIP端1aからの距離が100mm〜200mmの範囲としている。
    【0044】
    このように、ストレート層のプリプレグ15〜18において、強化繊維F15〜F18は、引張弾性率が300GPa以上である上に引張強度が5000MPa以上である高弾性高強度強化繊維としている。 よって、軽量性を維持しながら、剛性と強度のバランスのとれたシャフトを得ることができ、適度な剛性(フレックス)と高強度を実現している。 また、高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグ16〜18がシャフトの全長に渡って積層されると共に、高弾性高強度強化繊維に比べ、引張弾性率が低く、かつ引張強度が高い強化繊維を有するストレート層のプリプレグ11、19が、TIP側補強層として積層されているため、効率良くヘッド側の補強を行うことができる。
    【0045】
    以下、本発明のゴルフクラブシャフトの実施例、比較例について詳述する。
    下記の表1、表2に示すように、シャフトの長さや重量、シャフトの先端厚肉部等を設定した。 なお、肉厚移行部の肉厚変化率はいずれも0.010とした。 いずれもプリプレグの強化繊維はカーボン繊維を用い、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いた。 また、プリプレグに用いた具体的な材料を下記の表3に示す。
    【0046】
    【表1】

    【0047】


    【表2】


    【0048】


    【表3】


    【0049】


    (実施例1)


    上記第1実施形態と同様のプリプレグの積層構成とした。 具体的には、表3の材料を用い、プリプレグ15〜18をUM33(高弾性高強度)、プリプレグ11、14、19をM30S、プリプレグ12、13をUM40とした。


    (実施例2)


    プリプレグ16、17をUM33(高弾性高強度)とし、プリプレグ15、18はM30Sとした。 その他は実施例1と同様とした。 ストレート層の全強化繊維の重量に対して、高弾性高強度強化繊維の重量が占める割合を46%とした。


    (実施例3)


    プリプレグ11を3回巻きとした。 その他は実施例1と同様とした。


    【0050】


    (比較例1)


    プリプレグ15〜18をM30Sとした。 その他は実施例1と同様とした。


    (比較例2)


    プリプレグ15〜18をUM40とした。 その他は実施例1と同様とした。


    【0051】


    上記実施例及び比較例のゴルフクラブシャフトについて、後述する方法により、剛性(フレックス)、3点曲げ強度、耐久性の評価を行った。 評価結果を表1、表2に示す。


    【0052】


    (フレックスの測定方法)


    上記順式フレックスとはシャフトのグリップ側(手元側)の硬さの指標であり、W45インチのポジションで測定した。 図4(A)に示すように、先端から799mmの位置を支点P1とし、この支点P1からグリップ端Aよりの140mmの位置を固定点P2とし、ヘッド取付端Dから64mmの位置に2.7kgの錘W1を吊り下げ、ヘット取付端Dの撓み量を測定して得たものである。 逆式フレックスはシャフトのヘッド取付側の硬さの指標であり、図4(B)に示すように、ヘッド取付端Dから152mmの位置を支点P1'とし、この支点P1'からヘッド取付側へ140mmの位置を固定点P2'とし、ヘッド取付端Dから798mmの位置に1.3kgの錘W2を吊り下げて、グリップ取付端Aの撓み量を測定して得たものである。


    【0053】


    (3点曲げ強度試験)


    3点曲げ強度とは、製品安全協会が定める破壊強度である。 図5に示すように、3点でシャフト50を支え、上方から荷重Fを加え、シャフト50が破断した時の荷重値(ピーク値)を測定した。 測定点は、シャフトの細径端から90mm(T点)、175mm(A点)、525mm(B点)、の各位置を、太径端から175mm(C点)の4ヶ所について行った。 支持点51のスパンをT点測定時のみ150mmとし、A〜C点測定時は300mmとした。


    【0054】


    (耐久性テスト)


    シャフトにヘッドを取り付け、(株)ミヤマエ社製のスイングロボット(ショットロボIII)を使用して、ヘッドスピードを50m/sに設定し、打点をフェースセンターからヒール30mm上10mmの条件でスイングテストを行い耐久性を評価した。 3000打でも折れなかったものを「◎」、2000〜3000打未満で折れたものを「○」、1000〜2000打未満で折れたものを「△」、1〜1000打未満で折れたものを「×」とした。


    【0055】


    表1、表2に示すように、実施例1〜3は、ストレート層の一部に、引張弾性率が300GPa以上、引張強度が5000MPa以上の高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが積層されているため、順式・逆式フレックスの値が好ましく、かつ3点曲げ強度、耐久試験の結果も良好であり、シャフトの軽量性を維持しながら適度な剛性と高強度とを実現していることが確認できた。


    【0056】


    また、実施例2は、実施例1に比べてやや剛性が低く(フレックスが大きく)なった。 実施例3は、プリプレグ11の巻き回数を減らしているため、実施例1よりも強度はやや劣るものの問題のない範囲としながら、さらなる軽量化を実現できた。


    【0057】


    一方、比較例1は、充分な剛性(フレックス)が得られていないために打撃した時に頼りなく、タイミングが合わないと共に、飛球方向が安定しないシャフトをなった。 比較例2は、充分な剛性(フレックス)は得られているが、強度が低くなり、シャフト折れが発生した。


    【0058】


    【発明の効果】


    以上の説明より明らかなように、本発明によれば、上記のような引張弾性率が300GPa以上、引張強度が5000MPa以上の高引張弾性率と高引張強度の強化繊維を有するプリプレグを、少なくともシャフトの曲げ強度に最も寄与するストレート層の一部に積層している。 このため、非常に効率良く、所望の剛性と高い強度を実現でき、重量増を招くことなく、非常に高性能な軽量シャフトを得ることができる。


    【0059】


    このような高弾性高強度強化繊維を有するプリプレグが積層されることにより、シャフトの設計自由度を向上することができ、他の性能を有するプリプレグと適宜組み合わせることにより、所望の性能の軽量シャフトを得ることができる。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】 本発明のゴルフクラブシャフトを用いたゴルフクラブの概略図である。


    【図2】 第1実施形態のゴルフクラブシャフトに用いるプリプレグの積層構成を示す図である。


    【図3】 シャフトのTIP側の概略断面図である。


    【図4】 (A)は順式フレックス測定方法を示す図であり、(B)逆式フレックス測定方法を示す図である。


    【図5】 3点曲げ強度の測定方法を示す図である。


    【符号の説明】


    1 シャフト2 ヘッド3 グリップ11〜19 プリプレグL 先端厚肉部S 肉厚移行部

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