スポーツトラック上の事象を検知するための方法及びシステム

申请号 JP2013540296 申请日 2011-11-08 公开(公告)号 JP5894999B2 公开(公告)日 2016-03-30
申请人 エーエムビー アイ.ティー.ホールディング ビーブイ; 发明人 ファン レンス,バス ヤン エミール;
摘要
权利要求

スポーツイベント中のスポーツトラックにおけるバラツキを検知するための方法であって、 スポーツトラックの幅を横切る複数のトラックセグメントを、スポーツトラック上の、スポーツイベントへの参加者によって選択されるべき移動方向に対して直なライン上に配置するステップと、 少なくとも一つのトラックセグメントにおけるスポーツイベントの参加者の通過を検知して、特定の時間区間内に該トラックセグメントを通過した参加者の数である通過者数を得るステップと、 上記トラックセグメントについて得られた通過者数と上記複数のトラックセグメントについての既知のトラックセグメント通過分布とを比較するステップと、 得られた通過者数が既知のトラックセグメント通過分布から少なくとも予め定められた所定の偏差マージンだけ逸脱しているとき、上記バラツキを検知するステップとを備えていることを特徴とする方法。参加者の幅に応じてトラックセグメントの幅を選択するステップを備えることとする請求項1に記載の方法。少なくとも二つのマットを設けることによって、少なくとも二つのトラックセグメントを設けるステップを備え、それぞれのマットは、参加者の通過を検知するための検知器を有していることとする請求項1または請求項2に記載の方法。バラツキを検知してアラート信号を発生するステップと、該アラート信号をオペレータ装置に伝送するステップとを備えていることとする請求項1ないし請求項3のうちのうちのいずれか一つに記載の方法。少なくとも比較および解析のステップを遠隔の解析装置で実行するステップを備えていることとする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載の方法。バラツキが、スポーツイベントの参加者の通過を検知する検知システムの動作に関係づけられることとする請求項1ないし請求項5のうちの一つに記載の方法。スポーツトラックの幅を横切る第1の複数のトラックセグメントをスポーツトラックに沿った第1の位置に設けるステップと、 スポーツトラックの幅を横切る第2の複数のトラックセグメントをスポーツトラックに沿った第2の位置に設けるステップであって、第2の位置がスポーツトラックに沿った方向で第1の位置とは異なっているステップと、 第1の複数のトラックセグメントについての既知のトラックセグメント通過結果の分布が、第2の複数のトラックセグメントについて得られた通過者数から、予め定められた所定の偏差マージンだけ逸脱しているとき、第1の複数のトラックセグメントと第2の複数のトラックセグメントとの間のバラツキを検知するステップとを備えていることとする請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載の方法。既知のトラックセグメント通過結果の分布は、第1の複数のトラックセグメントについて参加者の通過を検知することにより得られることとする請求項7に記載の方法。スポーツイベント中のスポーツトラックにおけるバラツキを検知するためのシステムであって、 該スポーツトラックは、複数のトラックセグメントによって、スポーツトラックの幅を横切ってセグメント化されており、 複数のトラックセグメントは、スポーツトラック上の、スポーツイベントへの参加者によって選択されるべき移動方向に対して直角なライン上に配置されており、 該システムは、少なくとも一つのトラックセグメントについてスポーツイベントの参加者の通過を検知して、特定の時間区間内に該トラックセグメントを通過した参加者の数である通過者数を得るよう構成された少なくとも一つの検知器と、 上記トラックセグメントについて得られた通過者数と上記複数のトラックセグメントについての既知のトラックセグメント通過分布とを比較するよう構成された比較器と、 上記バラツキを検知するために、得られた通過者数が既知のトラックセグメント通過分布から少なくとも予め定められた所定の偏差マージンだけ逸脱しているかどうかを判定するように構成されたアナライザーとを備えていることを特徴とするシステム。トラックセグメントの幅は、参加者の幅に応じて選択されることとする請求項9に記載のシステム。トラックセグメントはマットを備え、それぞれのマットは参加者の通過を検知するための検知器を有していることとする請求項9または請求項10に記載のシステム。システムは、バラツキを検知してアラート信号を発生するよう構成された発生器と、上記アラート信号をオペレータ装置に伝送する送信機とを備えていることとする請求項9ないし請求項11のうちのいずれか一つに記載のシステム。少なくとも比較器及びアナライザーが遠隔の解析装置に設けられていることとする請求項9ないし請求項12のうちのいずれか一つに記載のシステム。バラツキは、スポーツイベントの参加者の通過を検知するための検知システムの動作に関係づけられることとする請求項9ないし請求項13のうちのいずれか一つに記載のシステム。スポーツトラックは、スポーツトラックに沿った第1の位置でスポーツトラックの幅を横切る第1の複数のトラックセグメントと、 スポーツトラックに沿った第2の位置でスポーツトラックの幅を横切る第2の複数のトラックセグメントとを備え、 第2の位置は、スポーツトラックに沿った方向で第1の位置とは異なっており、 アナライザーは、第1の複数のトラックセグメントと第2の複数のトラックセグメントとの間のバラツキを検知するために、第1の複数のトラックセグメントについてのトラックセグメント通過結果の既知の分布が、第2の複数のトラックセグメントについて得られた通過者数から、予め定められた所定の偏差マージンだけ逸脱しているかどうかを判定するように構成されていることとする請求項9ないし請求項14のうちのいずれか一つに記載のシステム。システムは、既知のトラックセグメント通過結果の分布が、第1の複数のトラックセグメントの参加者の通過を検知することにより得られるように構成されていることとする請求項15に記載のシステム。請求項9ないし請求項16のうちのいずれか一つに記載のシステムにインストールされ、かつ、実行されたとき、請求項1ないし請求項8に記載の方法のステップのうち一つ又はそれ以上を実行するように構成されたソフトウェアコード部分を備えているコンピュータ・プログラム。バラツキが検出されたときにスポーツトラック上で検知システムの検知構成要素の誤動作が生じたと判定するために請求項1ないし請求項11に記載の方法を使用する方法。

说明书全文

本発明は、スポーツトラック上の事象を検知するための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、ランニングイベントやアイススケーティング等のスポーツトラック上で行われるアクティブなスポーツイベントにおいて、タイムモニタリングのために使用されるタイムモニタリング機器の誤動作を検知する方法及びシステムに関する。

スポーツイベントの参加者のタイムモニタリングのための方法及びシステムは、この10年間でますます発達してきた。

MYLAPS Sports Timingは、非常に信頼性の高いタイムモニタリングシステムでスポーツ計時を行うために、技術仕様書付きのWhitepaper BibTag System(UHF)を発行した。このシステムは、グラウンドに設置でき、かつ、トラックの幅を横切ってスポーツトラックをセグメント化する軽量モジュール式マットを備えるマット構成を有するものである。このマットは、それぞれ、参加者が胸部に着用しているタグと高周波通信が可能な少なくとも一つのアンテナを内蔵している。タグが検知マットの近くに来ると、該タグは、マット内のアンテナによる起動の結果として、固有のIDを有するメッセージの連続的な送信を開始する。マット内のアンテナは、固有のIDを有するこれらのメッセージを受信し、メッセージをデコーダー(アナライザー)に転送する。デコーダーは、マットのうちの一つ又はそれ以上に接続されており、一般にマットの近くに(例えば、スタートライン、中間ライン及びフィニッシュラインの少なくとも一方に、又はその近くに)配置されている。デコーダーは、受信した信号の信号強度を用いて、固有のIDを有するタグの通過時刻を判定するようプログラムされている。マット内のアンテナによって作り出された電磁場は、マットの中心上が最も強いので、例えば、適度の正確さを有するデコーダー内の適切なアルゴリズムを用いて、アンテナの中央部での正確な通過を判定することが可能である。このようなタイムモニタリングの進歩したシステムの出現の結果として、スポーツイベントの組織者及び参加者達は、ますますこれらのシステムに依存し、したがって、イベント全体を通して適切な、そして、確実な動作をこれらのシステムに求めている。したがって、上記のMYLAPSシステムのようなタイムモニタリングシステムにおいては、タイムモニタリング用に配備されたトラックセグメントの故障又は誤動作が、できるだけ速やかに検知されることが重要である。

本明細書では、スポーツイベント中のスポーツトラックにおける事象を検知するための方法を開示する。スポーツトラックは、スポーツトラックの幅を横切る一つ又はそれ以上のトラックセグメントにセグメント化される。一つ又はそれ以上のトラックセグメントは、スポーツトラック上の、スポーツイベントへの参加者による選択的な移動方向に対して実質的に直なライン上に配置することができる。一つ又はそれ以上のトラックセグメントのアセンブリは、実質的に、スポーツトラックの全幅にわたらせることができる。

スポーツイベントへの参加者の通過は、一つ又はそれ以上のトラックセグメントのそれぞれに対して検知され、一つ又はそれ以上のトラックセグメントのそれぞれに対して、少なくとも一つのトラックセグメント通過結果が得られる。トラックセグメント通過結果は、例えば、特定の時間区間内にトラックセグメントを通過した参加者の数にすることができる。得られたトラックセグメント通過結果は、同じトラックセグメントに対する既知のトラックセグメント通過結果と比較される。既知のトラックセグメント通過結果は、例えば、システムによって算出することができ、システムに記憶させることができ、あるいは、システムにおいて利用することができる。得られたトラックセグメント通過結果が、少なくとも一つのトラックセグメントにおける既知のトラックセグメント通過結果から少なくともある偏差マージンだけ逸脱している場合、スポーツトラック上の事象が検知される。そのステップは、例えば、トラックセグメント又は接続されているシステムから検知信号を受信するデコーダー(アナライザー)によって実行することができる。

本発明はまた、スポーツトラック上におけるタイムモニタリング機器の誤動作を検知する方法を実行するためのコンピュータ・プログラム及び該方法の使用にも関する。

スポーツイベント中のスポーツトラック上の事象を検知するためのシステムも開示されている。スポーツトラックは、既述したように、スポーツトラックの幅を横切って配置された一つ又はそれ以上のトラックセグメントを備えている。システムは、一つ又はそれ以上のトラックセグメントのそれぞれについてスポーツイベントの参加者の通過を検知し、その一つ又はそれ以上のトラックセグメントのそれぞれにおける少なくとも一つのトラックセグメント通過結果が得られるよう構成された少なくとも一つの検知器を有している。システムはまた、得られたトラックセグメント通過結果の少なくとも一つと、同じトラックセグメントにおける既知のトラックセグメント通過結果とを比較するよう構成された比較器も備えている。また、スポーツトラック上の事象を検知するために、少なくとも一つのトラックセグメントについて、得られたトラックセグメント通過結果が既知のトラックセグメント通過結果から少なくともある偏差マージンだけ逸脱しているかどうかを判定するアナライザーが構成されている。

スポーツトラックの幅を横切って一つ又はそれ以上のトラックセグメントを設け、トラックセグメントにおける参加者の通過を検知することによって、検知された通過の結果と、例えば、システムに対して内部のあるいは外部の記憶装置から利用できる、例えば、予想された、予測された、統計的な、または算出された(即ち、既知の)通過結果との比較を行うことができる。検知結果と既知の結果との間の特定の偏差マージンを超える偏差は、スポーツイベント中に生じた事象、例えば、バラツキの直接的な兆候として用いることができる。上記バラツキは、例えば、タイムモニタリングシステムの一又はそれ以上の要素(例えば、マット又はデコーダーモジュール)の誤動作に、あるいは、参加者による逸脱した挙動(例えば、或る参加者が、他の参加者がその選択した移動方向を変えざるをえないようにグラウンド上に横たわる挙動)に関係づけることができる。結果として、通過の検知結果を得てこれらを既知の通過の結果と比較するために、参加者自体(参加者自体が着用しているタグ)を利用することにより、スポーツイベント中に生じた事象についての情報が迅速に得られ、即時の処置を取ることができる。偏差の検知、あるいは、偏差それ自体を、一階又は二階微分値の解析に基づいたものとすることもできる。

ここで使用されている「スポーツイベントへの参加者」は、スポーツイベントに参加する何らかのあらゆる物体をも含んでおり、必ずしも人間に限らないことを理解すべきである。物体は、自転車、スポーツカー、オートバイ、ボート等、人間によって使われる装置を含むことができる。

トラックは、さらに、様々なやり方で、幅を横切ってセグメント化することができ、セグメント化は、必ずしも構造的なセグメント化に限らないことを理解すべきである。トラックのセグメント化機能は、トラックセグメント通過結果を得るための検知機能と一致してもしなくてもよい。検知機能と一致するスポーツトラックの構造的なセグメント化の一例としては、スポーツイベントへの参加者の通過の(電)磁気検知のためのアンテナを収容している複数のマットが挙げられる。

参加者とトランスポンダーを用いた参加者とシステムとの間の電磁気通信の他に、光による光学的検知、電気的検知、磁気検知、熱検知、超音波検知、機械的検知(例えば、圧検知)、電気機械的検知(例えば、圧電センサー検知)、コンピュータ支援視野検知(例えば、トラックセグメント内のカメラの視野を仮想的にセグメント化したカメラを用いる検知)等の他の形態の検知を追加的に、あるいは、代替して行うことができることも理解すべきである。

また、多数のトラックセグメントの場合は、トラックセグメントは、実質的にスポーツトラックの全幅にわたるように互いに隣接させて配置することができることに注目すべきである。一例としては、スポーツイベントへの参加者の選択した移動方向に対して直角をなす線上に、複数のトラックセグメントが設けられる。検知される事象は、トラックセグメントの直ぐ近傍で発生した事象である。

検知されたトラックセグメント通過結果と既知の結果との比較は、特定の関数(例えば、分布曲線)との比較、履歴データ(例えば、新しいデータで頻繁に更新されるデータベースからのもの)との比較、以前に得られたデータとの比較、別のトラックセグメント(例えば、隣接トラックセグメント)との比較、一定の値との比較、等を含む(しかしこれらに限定されない)様々なやり方で行うことができる。

ここで使用される「得られたトラックセグメント通過結果と既知のトラックセグメント通過結果との間の偏差マージン」は、閾値の基準を定義するものであり、その基準に一致すると事象が検知されず、一方、基準に一致しないと事象が検知されることになる(あるいは基準の定義によりその逆となる)。偏差マージンは、ゼロに設定することができるが、参加者の予想された挙動からの変動(これはスポーツレース中の事象の兆候では必ずしもない)を考慮して、一般に、より高い値(例えば予想された平均又は分布からの、例えば、あるパーセンテージ偏差)に設定されることになる。

さらに、ここで使用される「スポーツトラック」は、閉ループスポーツトラック(例えば、短距離陸上競技又はアイススケーティングで使用されるもの)であっても、あるいは、開放スポーツトラック(例えば、マラソン又はクロスカントリーレースに使えるもの)であってもよい。一実施形態では、単一のトラックセグメント(例えば、誘導計測ループ)のみが、スポーツトラックの幅を横切って設けられていることに注目すべきである。この実施形態では、ある時間区間について得られたトラックセグメント通過結果は、対応する時間区間についての既知のトラックセグメントの通過分布と比較することができる。事象は、得られたトラックセグメント通過結果が、既知のトラックセグメントの通過分布から或る時間偏差マージンだけ逸脱している時に検知される。時間区間の継続時間は、オペレータがどのような事象を検知したいかにより選択することができる。時間区間の継続時間は、スポーツイベントの継続時間に対して、例えば、1秒の範囲からの選択時間とすることができる。

一実施形態では、検知されたトラックセグメント通過結果と既知のそれは、トラックセグメント(複数も可)について検知された通過数及び既知の通過数(これらの数の導関数及び等価量を含む)に関係づけることができることにも注目すべきである。

一実施形態では、複数のトラックセグメントについて得られたトラックセグメント通過結果は、対応する複数のトラックセグメントについての既知のトラックセグメント通過結果と比較される。事象は、得られたトラックセグメント通過結果(の分布)が、既知のトラックセグメント通過結果の既知の分布から閾値偏差だけ逸脱している場合に検知される。偏差は、例えば、(離散)ガウス分布等の予想された(既知の)統計分布からの有意な偏差に関係づけることができる。事象検知は、検知結果を既知の分布に関係づけることによって容易になる。

トラックセグメントのそれぞれについて個々に偏差が検知されること、及びトラックセグメントの各偏差が事象の個々の検知(及びアラート又はデータ通信)を生ずることの少なくとも一方は、必要ではない。様々なトラックセグメントについての方法及びシステムから得られた結果は、単一の事象検知及びアラート又はデータ通信の少なくとも一方となるように組み合わせることができる。

一実施形態では、スポーツトラックの幅は、50個未満のトラックセグメントにセグメント化することができる。トラックセグメントの数は、スポーツトラックの幅で決まり、トラックの幅を横切って必要とされる通過分解能と、例えば、デコーダーやアナライザーに接続され得るトラックセグメントの数との間でバランスを見出すべきである。一般に、トラックセグメントの数は、単一のトラックセグメントのみについて通過検知が可能なスポーツイベントの参加者の(平均)幅に基づいて選択することができる。

一実施形態では、トラックセグメントは、グラウンドに設置でき、かつ、トラックの幅を横切ってスポーツトラックをセグメント化するマットを使用することによって得られる。マットは、それぞれ、例えば、参加者が胸部に、あるいは靴内や靴上に着用するタグとそれぞれ高周波電磁気通信又は低周波磁気通信が可能な少なくとも一つのアンテナを内蔵している。マットは、スポーツトラック内に部分的に埋設してもしなくてもよく、また、マットが濡れたときに滑りやすくなることを避けるため、滑り止め被膜を有していてもよい。

一実施形態では、事象の検知でアラート信号がトリガされる。アラート信号は、システムのオペレータに事象を警告することができる。一実施形態では、事象は、スポーツイベントの参加者の通過を検知するための検知システムの動作に関係づけられる。アラート信号(可能的には、ステータス及び故障情報の少なくとも一方と組み合わされている)は、システムへの物理的に近接することが不要となるよう、オペレータのオペレータ装置(例えば、スマートホン又はラップトップ・コンピュータ)に無線で送信できる。一実施形態では、オペレータ装置は、オペレータが直接手動操作しないでも、システムの正しい動作を回復させるために、システムの設定を修正するための、あるいは、システムをリセットするための動作が可能である。

一般に、アラート信号は、特定の装置に対する制御目的を含む各種の目的に使用することができる。例としては、緊急呼出しのための呼出しシステム、あるいは、事象の検知によってカメラが、事象が検知された方向に自動的に向いたり、ズームインしたりするようにカメラの方位を制御するための制御システムが挙げられる。

一実施形態では、スポーツトラックに沿った第1の位置において、スポーツトラックの幅を横切って第1の一つ又はそれ以上のトラックセグメントが設けられており、また、スポーツトラックに沿った第2の位置において、スポーツトラックの幅を横切って第2の一つ又はそれ以上のトラックセグメントが設けられている。第1及び第2のトラックセグメントは、スポーツトラックに沿った方向で異なる位置に存在させることができる。上述の実施形態においては、検知されるべき事象は、トラックセグメントにおいて、あるいは、その直ぐ近くで発生した事象であるが、本実施形態では、第1の一つ又はそれ以上のトラックセグメントと第2の一つ又はそれ以上のトラックセグメントとの間の事象を検知することが可能である。詳細には、このような事象は、第1の一つ又はそれ以上のトラックセグメントにおけるトラックセグメント通過結果の既知の分布が、第2の一つ又はそれ以上のトラックセグメントの、トラックセグメント通過結果について得られた分布からある偏差マージンだけ逸脱している場合に検知される。トラックセグメント通過結果の既知の分布は、第1の一つ又はそれ以上のトラックセグメントの参加者の通過を検知することで得ることができる。

この実施形態の特定の例においては、第1及び第2のトラックセグメントは、例えば、10メートルの距離(例えば、3〜5メートルも可)で互いに近接して設けられている。このような構成は、一般に、第1の一つ又はそれ以上のトラックセグメントが、メイン・フィニッシュラインを構成し、かつ、第2の一つ又はそれ以上のトラックセグメントが、バックアップ・フィニッシュラインを構成している場合に、フィニッシュラインの近くで用いられる。これら二つのラインのトラックセグメント通過結果の間の偏差マージンは、やや低く設定することができ、偏差マージンを超える位置又は時間のいかなる偏差も、検知される事象(例えば、誤動作又は事故)に左右される確率が非常に高い。

事象は、参加者が、トラックセグメントを通過中に、例えば、トランスポンダーからの固有のIDによって特定される場合は、特定の参加者に関係づけることができることに注目すべきである。

本発明の実施形態によるスポーツトラック上の事象を検知するシステムの概略説明用平面図である。

本発明の実施形態によるスポーツトラック上の事象を検知するシステムの概略説明用平面図である。

本発明の一実施形態による事象を検知するための方法のステップを示すフローチャートである。

本発明の実施形態による図2に示した方法の実行例である。

本発明の実施形態による図2に示した方法の実行例である。

本発明の実施形態による図2に示した方法の実行例である。

図1Bのシステムの実際の応用の概略説明図である。

スポーツトラック上の事象を検知するための別の実施形態の概略説明用平面図である。

スポーツトラック上の事象を検知するためのまた別の実施形態の概略説明用平面図である。

以下、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。しかしながら、これらの実施形態は、本発明に対する保護の範囲を限定するものと解釈することはできないことを理解すべきである。

図1Aは、アクティブなスポーツイベント中のスポーツトラック2(一部のみを示す)上の事象を検知するシステム1の概略説明図である。スポーツトラック2は、閉ループスポーツトラック(例えば、短距離陸上競技やアイススケーティングで使用されるもの)であっても、あるいは、開放スポーツトラック(例えば、マラソン又はクロスカントリーレースに使えるもの)であってもよい。

以下、スポーツイベントは、ランニングイベントであると仮定するが、本発明は、このようなスポーツイベントに限定されない。このランニングイベントには、参加者A〜Hが参加している、と仮定している。参加者A〜Hは、多くの参加者、例えば、マスランニングイベント中の10〜数千又は1万人の参加者を代表し得ることを理解すべきである。

スポーツトラック2は、該スポーツトラック2の幅Wを横切ってトラックセグメントI〜IVによってセグメント化されている。トラックセグメントI〜IVは、互いに他に対して一線に、かつ、隣接して配置されて、参加者A〜Hにより選択された移動方向Mに対して直角にスポーツトラック2の幅Wにわたっている。トラックセグメントI〜IVは、ランニングイベントの場合、スタートライン上やフィニッシュライン上に設けられる。しかしながら、トラックセグメントI〜IVは、途中時刻における情報を得るため、スポーツトラック2上の中間的な位置に設けることもできる。図1Aは、スポーツトラック2を4セグメントにセグメント化した場合を示しているが、スポーツトラック2の幅Wは、例えば、50トラックセグメント以内、例えば、2、4、8、10、12、16、20、30、又は40セグメントに、あるいは、任意の中間数のセグメントにセグメント化することができることに注目すべきである。トラックセグメントI〜IVの数は、スポーツトラックの幅Wで決まり、トラックの幅Wを横切って必要とされる通過分解能と、例えば、システム1に接続され得るトラックセグメントの数との間でバランスを見出すべきである。一般に、トラックセグメントの数は、単一のトラックセグメントのみについて通過検知が可能なスポーツイベントの参加者の(平均)幅に基づいて選択することができる。

トラックセグメントI〜IVは、それぞれ、トラックセグメントI〜IVのうちの一つと対応する検知器3を含む構造的なセグメントI〜IVである。トラックセグメントI〜IVは、例えば、ランニングイベントへの参加者A〜Hの通過の電磁気検知のための検知器3としてアンテナを内蔵するマットにすることができる。

トラックセグメントI〜IVはまた、スポーツトラック2の他のタイプの構造的なセグメント化、例えば、参加者がセグメントの下を通過するスタートライン上やフィニッシュライン上に配列された壁境界付きの廻廊又はセグメントとして設けることもできる。参加者A〜Hとシステム1との間で電磁気通信を用いることの他に、光による光学的検知、電気的検知、磁気検知、熱検知、超音波検知、機械的検知(例えば、圧力検知)、電気機械的検知(例えば、圧電センサー検知)、コンピュータ支援視野検知(例えば、トラックセグメント内のカメラの視野を仮想的にセグメント化したカメラを用いる検知)等の他の形態の検知を追加的に、あるいは代替して行うことができることも理解すべきである。

使用された検知方法(複数も可)が何であれ、スポーツイベントへの参加者A〜Hの通過は、トラックセグメントI〜IVのそれぞれについて検知される。図1Aには、トラックセグメントI〜IVのそれぞれについてトラックセグメント通過結果を得るため、各検知器3が、システム1に伝達的に接続されている状態が示されている。トラックセグメント通過結果、例えば、特定のトラックセグメントI〜IVの通過が検知された参加者の数は、トラックセグメントI〜IVから得てもよく、あるいは、トラックセグメントI〜IVに関連した検知器のそれぞれから受信された検知信号に基づいてシステム1内で算出されてもよい。

信号処理の一例は、参加者A〜Hが一つのトラックセグメントに割り当てられるべきか、あるいは、隣接するトラックセグメントに割り当てられるべきかの判定に関係づけることができる。これは、例えば、電磁気検知を用いる場合に問題になり得るが、それは、参加者A〜Hからの電磁気信号が複数のアンテナによって検知され得るからである。トラックセグメントI〜IVに参加者を割り当てる一つの方法は、最も強い信号の検知に基づく方法である。信号強度、時間及び他の物理的なパラメータのうちの少なくとも一つの関数を含む他のアルゴリズムが使用できる。

図1Aの実施形態では、プロセッサ10は、トラックセグメントI〜IVのそれぞれに対して、トラックセグメント通過結果を得るために、トラックセグメントI〜IVからの検知信号を受信して処理する。システム1は、トラックセグメントI〜IVのそれぞれについての既知のトラックセグメント通過結果を有するデータベース11、あるいは、例えば、演算によって既知のトラックセグメント通過結果を利用できるようにする何らか他の手段をさらに備えている。例として、既知のトラックセグメント通過結果は、関数として、あるいは、履歴的な、かつ(あるいは)、実際のレースのデータに基づいて、算出することができ、また、例えば、スポーツイベントの種類、天候、参加者の数、スポーツイベントの展開等に関係づけられる他のデータで補足することができる。比較器12は、トラックセグメントI〜IVから得られたトラックセグメント通過結果の少なくとも一つと、同じトラックセグメントI〜IVについてデータベース又は他の手段11から得られた既知のトラックセグメント通過結果とを比較するよう構成されている。また、スポーツトラック上の事象を検知するために、トラックセグメントI〜IVについて得られたトラックセグメント通過結果が、既知のトラックセグメント通過結果から少なくともある偏差マージンだけ逸脱しているかどうかを、少なくとも一つのトラックセグメントについてのデータベース11から判定するように構成されたアナライザー13が設けられている。

図1Aの実施形態では、システム1は、システム出力14、15をさらに備えている。システム出力14は、ラップトップ16やスマートホン17などのオペレータ装置に情報を無線で伝送するよう構成された送信機である。システム出力15は、ディスプレイ、照明構成要素、音声出力等にすることができる。

システム出力14、15は、システム1が事象を検知した場合、アラート信号ERRORを出力することができる。アラート信号は、システム1のオペレータに、警告するものである。図1Aの実施形態では、事象は、スポーツイベントの参加者の通過を検知する検知システムの動作に関係づけられる。アラート信号(可能的には、ステータス及び故障情報のうち少なくとも一方と組み合わされている)は、システム1への物理的に近接していることが不要となるように、オペレータのラップトップ16又はスマートホン17に無線で送信される。一実施形態では、オペレータ装置16、17は、オペレータが直接手動操作しないでも、システムの正しい動作を回復するために、システム1の設定を修正するための、あるいはシステム1をリセットするための動作が可能である。

システム出力14、15は、遠隔の位置においてシステム1の一つ又はそれ以上の機能を実行するために、データ通信目的に使用することもできる。このような一実施形態の例を、図1Bに開示する。

図1Bのシステムでは、システム1は、検知システム18及び遠隔解析装置(例えば、ラップトップ16又はスマートホン17)を有している。事象検知のためのインテリジェンスの一部は、遠隔解析装置16、17に再配置されている。特に、検知システム18は、トラックセグメントI〜IVのそれぞれについてトラックセグメント通過結果を得るために、トラックセグメントI〜IVから検知信号を受信して処理するレシーバ/プロセッサ10を備えている。レシーバ/プロセッサ10は、トラックセグメントからトラックセグメント通過結果を受信してもよく、検知器3から受信した検知信号に基づいてトラックセグメント通過結果を算出してもよい。結果(即ち、データ)は、次いで、図1Aの実施形態とは対照的に、図1Bでデータリンクによって示したシステム出力14を用いて、遠隔解析装置16、17に転送される。リンクは、有線又は無線の直リンク(例えば、Ethernet(登録商標)又はBluetooth(登録商標)を使用する)であってもよく、あるいは、無線アクセスネットワーク(例えば、WLAN又はGPRS/UMTS/LTEネットワーク)を介してもよい。これに代えて、レシーバ/プロセッサ10は、トラックセグメントI〜IVについて検知されたトラックセグメント通過結果を遠隔の場所で得るために、検知器3から受信した信号(無処理又は前処理済みのどちらか)を遠隔解析装置16、17に直接転送することもできる。

遠隔解析装置16、17は、検知システム18からのデータ通信を受信するレシーバ19を有している。装置16、17は、トラックセグメントI〜IVのそれぞれについて、既知のトラックセグメント通過結果を有するデータベース11を有しているか、あるいは、それに対するアクセス権を有している。装置16、17における比較器12は、トラックセグメントI〜IVから得られたトラックセグメント通過結果の少なくとも一つと、同じトラックセグメントI〜IVについてデータベース11から得られた既知のトラックセグメント通過結果とを比較するよう構成されている。装置16、17には、アナライザー13が設けられており、アナライザー13は、スポーツトラック上の事象を検知するために、トラックセグメントI〜IVについて得られたトラックセグメント通過結果が、データベース11から得られた既知のトラックセグメント通過結果から少なくともある偏差マージンだけ逸脱しているかどうかを、少なくとも一つのトラックセグメントについて判定するように構成されている。

図1A及び1Bの実施形態では、プロセッサ10、データベース11、比較器12及びアナライザー13について既述した機能のいくつかを一つのモジュールに組み合わせることができ、かつ(あるいは)、プロセッサで動作するソフトウェアとして実行することができることを理解すべきである。本発明の一実施形態は、コンピュータシステムとともに使用するための非一時的なプログラム製品として実行することができる。プログラム製品のプログラム(複数も可)は、実施形態(ここで説明した方法を含む)の機能を定義し、かつ、コンピュータで読み取り可能な各種の記憶媒体に記憶させることができる。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体の例としては、(i)情報が永久的に記憶される書込み不能な記憶媒体(例えば、適切なドライブによって読取り可能なCD−ROM、DVD、ブルーレイディスク等のコンピュータ内のリードオンリーメモリー装置、ROMチップ、又は、何らかのタイプのソリッドステート不揮発性半導体メモリー)、及び(ii)変更できる情報が記憶される書込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピー(登録商標)ディスク又はハードディスクドライブもしくは何らかの種類のソリッドステート・ランダムアクセス半導体メモリー、フラッシュメモリー)が挙げられるが、これらには限定されない。

既知のトラックセグメント通過結果は、例えば、データベース11から電子的に利用できるものであるが、それに代えて、以前のスポーツイベントから得られた経験あるいは歴史的データに基づいて人間(例えば、システム1のオペレータ)によって知られている(即ち、予想されたあるいは予測された)ものであってもよいことを理解すべきである。この一実施形態では、オペレータは、例えば、検知されたトラックセグメント通過結果をディスプレイ15上で(例えば、各トラックセグメントに対するバーを有するバーチャートとしてグラフィカルに、あるいは、数値で)単に観察して、これらの結果と通常の状況において予想されるものとの偏差を知ることができる。

図2は、ランニングイベント中のスポーツトラック2における事象(例えば、検知器3の誤動作)を検知するための図1A及び1Bのシステム1の操作のステップを示すフローチャートである。図1A及び1Bを参照して既に例示したように、異なる装置では、異なるステップを実行することが可能であろう。

第1のステップ2−Iでは、トラックセグメントI〜IVのそれぞれについてトラックセグメント通過結果を得るために、各トラックセグメントI〜IVの検知器3は、参加者A〜Hの通過を検知する。トラックセグメント通過結果は、例えば、トラックセグメントI〜IVに割り当てられた参加者の数(もしくは導関数又はその等価物)である。上記のように、信号強度又は別のアルゴリズムに基づいて、参加者A〜HをトラックセグメントI、II、III又はIVに割り当てることができる。

第2のステップ2−IIでは、得られたトラックセグメント通過結果は、同じトラックセグメントについての既知のトラックセグメント通過結果と比較される。既知のトラックセグメント通過結果は、システム1に利用できる記憶装置に記憶させておいてもよく、算出してもよく、あるいは、システム1のオペレータがその知識から得てもよい。

第3のステップ2−IIIでは、事象は、各トラックセグメントI〜IVについて得られたトラックセグメント通過結果が、対応するトラックセグメントI〜IVについての既知のトラックセグメント通過結果から少なくともある偏差マージンだけ逸脱している場合に検知される。得られたトラックセグメント通過結果と既知のトラックセグメント通過結果との間の偏差マージンは、閾値の基準であり、基準と一致すると事象が検知されず、一方、基準と一致しないと事象検知がトリガされることになる(あるいは基準の定義によりその逆となる)。偏差マージンは、ゼロに設定することができるが、参加者の予想された挙動(スポーツレース中の事象の徴候では必ずしもない)からの変動を考慮して、一般に、より高い値又はパーセンテージに設定されることになる。

したがって、スポーツトラック2の幅を横切って複数のトラックセグメントI〜IVを使用し、トラックセグメントに対する参加者の通過を検知することにより、検知された通過の結果と、例えば、システムに対して内部的なあるいは外部的な記憶装置から利用できる、算出できる、あるいは、評価できる、例えば、予想された、予測された、統計的な又は算出された(即ち、既知の)通過の結果との間の比較を行うことができる。上述したように、比較はまた、検知されたトラックセグメント通過結果を、例えば、オペレータ装置16、17の画面上に表示し(例えば、グラフィカルに、あるいは、数値で表示し)、次いで、オペレータが、例えば、経験に基づいて、検知された結果が通常予想されるものからかなり逸脱していることを認識することによって、視覚的に行うことも可能であることに注目すべきである。検知結果と既知の結果との間の特定の偏差マージンを超える、もしくは、その外にある偏差は、スポーツイベント中に生じたバラツキの直接的な兆候として用いることができる。バラツキは、例えば、タイムモニタリングシステムの一つ又はそれ以上の構成要素(例えば、検知器3又はプロセッサ10)の誤動作に、あるいは、参加者A〜Hによる逸脱した挙動(例えば、参加者が、他の参加者がその選択した移動方向を変えざるをえないようにグラウンド上に横たわる挙動)に関係づけることができる。

本発明は、検知されたトラックセグメント通過結果に対する絶対数と、トラックセグメントの一つ又はそれ以上についての既知のトラックセグメント通過結果とを比較することによって事象検知を行うこと可能にするものであるが、一般に、検知されたトラックセグメント通過結果をモニターし、これらと既知のトラックセグメントの分布とを比較するのが、能率的である。分布は、時間の分布及びスポーツトラック2の幅Wを横切る位置の分布のうち少なくとも一方とすることができる。分布を用いる一実施形態では、以下の例から明らかなように、検知されたトラックセグメント通過結果と既知のトラックセグメントの分布形状とを比較して事象を検知することができる。

図3〜5は、図2のフローチャートで概略的に示した方法の例である。

図3においては、レースのスタート(T=0)におけるトラックセグメントI〜IV(横軸)のそれぞれについて検知されたトラックセグメント通過結果N(縦軸)を示す図が描かれている。このような図は、例えば、遠隔解析装置16、17のディスプレイ15で表示することができる。図1A及び1Bに示した場合において、検知された参加者A〜Hの数Nは、レースのスタートでは、各トラックセグメントに対して等しくなる(これは各トラックセグメントI〜IVについて高さが等しいバーで示してある)。予想される分布形状(太い破線、これは必ずしも表示されない)は、一般に予想されるように実質的に平坦であるが、これは、参加者A〜Hという多数が参加するランニングレースでは、参加者は、通常、スポーツトラック2の全幅Wにわたって、スタートラインに並ぶことになるためである。

レースイベント中のより後の時刻t1では、参加者の集団は、広がった状態となり、予想されたトラックセグメントの通過分布の形状は、図4にて太い破線で示したようなものになる可能性がある。参加者の大多数は、(状況によっては、その下に掲げる図5のように)トラック2の中心の近くのトラックセグメントを有するラインを横切り、したがって、トラックセグメントII及びIIIと関連した検知器3によって検知されることになる。トラック2の縁部においては、より少ない参加者が通過して、検知器3で検知されることになる。したがって、このような正規分布は、適切な検知のために十分に参考となる。

図4の左側の図では、検知されたトラックセグメント通過結果は、レース中の時刻t1における既知のトラックセグメントの通過分布の形状に従っており(即ち、設定された偏差マージンDMに対して重大な偏差はなく)、したがって、事象は、検知されない。しかしながら、右側の図では、第3のトラックセグメントIIIについては、いかなる検知結果も得られていない。既知の分布形状から推察できるように、そして、図4の左側の図に示したように、トラックセグメントIIIに関連した検知器3は、相当数の参加者の通過を検知することが予想され、結果として、既知の分布からの偏差が偏差マージンDMより大きいので、事象が検知される(そして例えば、トラックセグメントIIIの検知器3の誤動作に関係付けられる)。事象の検知は、図1Aに示したように、スマートホン17へのERROR信号の伝送を生じさせることができる。スマートホン17のオペレータは、これに対して検知器3及び関連電子回路の状態をチェックし、そして恐らくは、検知システムの設定を適切な時点でリセットあるいは修正することができる。これに代えて、図1Bを参照して説明したように、ラップトップ16又はスマートホン17のディスプレイに(正規分布形状付きで、あるいは、それ無しに)、図4の右側の図を表示させ、したがって、オペレータに上記したような動作をさせることができる。

図3及び4では、事象の検知は、スポーツトラック2の幅Wの方向における既知の通過の結果からの場所(位置)の偏差に基づいて説明したが、同じ図により、既知の通過の結果からの時間の偏差に基づいて事象を検知させることもできる。図3は、T=0における検知されたトラックセグメント通過結果を示すが、図4は、これらの結果を異なる時刻T=t1において示すものである。参加者による通過の数は、外側のトラックセグメントI及びIVでは、T=0からT=t1にわたって減ることが予想されるが、内側のトラックセグメントII及びIIIでは、その数は増加することが予想される。この既知の挙動からの偏差は、該偏差が或る時間偏差マージン(図示せず)を超えたとき、事象の検知を行わせることができる。

予想されたトラックの通過分布の形状は、ここで図5を参照して説明するように、レースの特定の状況及び検知ラインの位置の少なくとも一方に依存する場合がある。参加者A〜Hが、検知ラインの近くで風を受けることが予想される場合は、参加者A〜Hは、レース中に避難場所を捜し、したがって、トラック2の縁の近くを走る可能性がある。したがって、トラックセグメントI〜IVについて検知されたトラックセグメント通過結果は、図5の左側の図に示したバー群のようになる可能性がより高い。検知されたトラックセグメント通過結果は、図4に示した正規分布からかなり逸脱しているが、この偏差は、検知システムの誤動作に起因するものではないことは明らかである。したがって、予想されるトラックセグメントの分布の形状(太破線で示す)は、レースの状況に合わせて適応されるべきである。一般に、参加者の大部分は、労力を最小限に留めるために、湾曲したトラックの内側縁の近くを走る傾向にあるので、検知ラインがレーストラック2のカーブに配置されている場合にも同じことが言えるであろう。図5の右側の図では、トラックセグメントIについては、いかなる通過の結果も検知されないことが分かる。しかしながら、偏差マージンDMは、事象検知が行われないように設定されている。

図6は、トラックセグメントが、参加者Pがその上を走るマット20として設けられている実際のシステムの概略説明図である。軽量モジュール式マット20は、グラウンドに設置されて、トラックの幅Wを横切ってスポーツトラック2をセグメント化している。マット20は、それぞれ、参加者Pがその胸部に着用しているタグ21と高周波通信できる少なくとも一つのアンテナ(図1Bの検知器3に対応するもの)を有している。タグ21が検知マット20の近傍に来ると、該タグ21は、マット20におけるアンテナ3による起動の結果として、固有のIDを有するメッセージの連続的な送信を開始する。マット20におけるアンテナ3は、固有のIDを有するこれらのメッセージを受信して、そのメッセージをデコーダー18に転送する。デコーダー18は、一つ又はそれ以上のマット20に接続されており、一般に、マットの近くに(例えば、フィニッシュラインに、あるいは、その近くに)配置されている。デコーダー18は、受信された信号の強度を用いて、固有のIDを有するタグ21の通過時刻を判定するようプログラムされている。マット内のアンテナによって作り出された電磁場は、マットの中心上が最も強いので、例えば、適度の正確さを有するデコーダー18の適切なアルゴリズムを用いて、アンテナの中央での正確な通過を判定することが可能である。検知されたマットの通過の結果は、既述したように、さらなる解析のため、データリンクを越えて遠隔解析装置17に送られる。事象は、例えば、タグ21からの固有の識別子を用いて、特定の参加者に関係づけることができる。

図7は、二つの検知ラインの間の事象を検知するためのシステム1の使用の概略説明図である。

第1の複数のトラックセグメントI〜VIIIは、スポーツトラックの幅Wを横切って、スポーツトラック2に沿った第1の位置FPに設けられており、かつ、第2の複数のトラックセグメントI〜VIIIは、スポーツトラック2の幅Wを横切って、スポーツトラック2に沿った第2の位置SPに設けられている。第1及び第2の複数のトラックセグメントは、スポーツトラックに沿った方向において異なる位置に存在している。既述の実施形態では、検知されるべき事象は、トラックセグメントI〜IVで、あるいはその近接位置で生ずる事象(例えば、マット20内の検知器3の誤動作)であるが、図7の実施形態では、位置FPにおける第1の複数のトラックセグメントI〜VIIIと位置SPにおける第2の複数のトラックセグメントI〜VIIIとの間の事象を検知することができる。詳しくは、このような事象は、位置FPにおける第1の複数のトラックセグメントI〜VIIIについてのトラックセグメント通過結果の既知の分布が、位置SPおける第2の複数のトラックセグメントI〜VIIIについて得られたトラックセグメント通過結果から、ある偏差マージンだけ逸脱しているときに検知される。トラックセグメント通過結果の既知の分布は、第1の複数のトラックセグメントの参加者の通過を検知することから得ることができる。

図7で分かるように、二つの検知ラインの間には、障害物(太い×印で図示)があり、これは、参加者Aを通常のコース(破線で図示)から逸脱させるものである。通常のコースでは、(図5を参照して説明した特定の状況を除き)予想された正規分布(太い破線で示したもの)が生じ、これは、第1の部分FPにおけるトラックセグメントI〜VIIIのトラックセグメント検知器によって検知される。通常のコースからの偏差は、第2の位置SPにおけるトラックセグメントI〜VIIIのトラックセグメント検知器での検知結果ではっきりと分かる。この偏差は、偏差マージンDMより大きく、したがって、事象検知を行わせるものである。

この実施形態の特定の例においては、第1及び第2のトラックセグメントI〜VIIIは、例えば、10メートルの距離(例えば、3〜5メートルも可)で互いに近接して設けられている。このような構成は、一般に、第1の一つ又はそれ以上のトラックセグメントが、メイン・フィニッシュラインを構成し、かつ、第2の一つ又はそれ以上のトラックセグメントが、バックアップ・フィニッシュラインを構成しているフィニッシュラインの近くで用いられる。バックアップ・フィニッシュラインは、メイン・フィニッシュラインが誤動作する場合に備えた、タイムモニタリングのための冗長ラインである。

これら二つのラインのトラックセグメント通過結果の間の偏差マージンは、やや低く設定することができ、偏差マージンを超える位置又は時間のいかなる偏差も、検知される事象(例えば、誤動作又は事故)に左右される確率が非常に高い。一例としては、特定の参加者Aは、事象が起こらない場合、通常は、その通常のコース及び通常のスピードの少なくとも一方から逸脱しようとしない。

最後に、図8は、システム1の使用の概略説明図であり、この場合、スポーツトラックは、(おそらくは、スポーツトラック2に沿った異なる位置FP、SPにおいて)単一のトラックセグメントIしか備えていない。トラックセグメントIは、参加者が着用しているトランスポンダーと通信する誘導計測ループを備えることができる。

単一のトラックセグメントIは、特定の時間偏差マージンを超える、観測された時間偏差に基づく事象を検知するのに特に有用である。以下は、図8の構成を用いた例である。

一例では、時間内での参加者の通過の流れを検知可能である。マスイベントのスタートでは、例えば、第1の時間に対して、スタートラインを横切る1分当りの参加者の数は、おそらくは、かなり一定であり、最初の1時間程度(もちろん参加者の数による)におけるこの既知の挙動及び予想された挙動の少なくとも一方からのいかなる時間偏差も事象を示すことができる。

別の例では、スポーツトラック2に沿った異なる位置に複数の単一のトラックセグメントIを設けることによって(あるいは、同等には、一つのトラックセグメントの複数の通過で)、参加者の合計数に関係づけられる事象を検知することができる。例えば、100人の参加者が第1のラインで検知され、90人が第2のラインで検知され、第3のラインでは95人に増加した場合、時間区間が、レースの継続時間に設定されていれば、事象の検知ができる。別の例は、既述したようなメイン・フィニッシュライン及び冗長なバックアップラインの従来の構成に再び関係づけられる。

さらに別の例では、参加者の(平均)スピードが既知であると仮定して、FPにおける検知ループの通過時刻で、SPにおける検知ループ(これらは、閉じたスポーツトラックにおいては、実際に同じループであり得る)の通過の予想時刻の算出が可能であり、したがって、(偏差マージンをゼロと仮定して)参加者が予想された時刻に検知されない場合、事象を検知することが可能である。事象が関係づけられる特定の参加者は、例えば、トランスポンダーIDから知ることができる。

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