輸送装置

申请号 JP2014542800 申请日 2012-11-20 公开(公告)号 JP6307023B2 公开(公告)日 2018-04-04
申请人 マティア ロボティクス メカトロニック システムラー エイアール − ジーイー ミュヘンディスリク ヤジリム サナイ ヴェ ティカレット アノニム スィルケティ; ; 发明人 ハチカドゥオウル, ネカティ; カニデミル, エネス;
摘要
权利要求

a.荷運搬体(10)と、 b.2つの中央歩行エレメント(90,100)、第1側部歩行エレメント(20)及び第2側部歩行エレメント(50)であって、前記2つの中央歩行エレメント(90,100)が前記2つの側部歩行エレメント(20,50)の間に配置される歩行エレメントと、を有し、 c.前記歩行エレメント(20,50,90,100)は前記荷運搬体(10)に前記歩行エレメントの各々の2つの地面接触部(24,54,94,104)が該荷運搬体(10)に対して上下に独立して移動可能に配設され、 d.前記側部歩行エレメント(20,50)の各々の前記2つの地面接触部(24,54)は垂直アクチュエータ(26,56)により中央歩行エレメント(90,100)の地面接触部(94,104)から独立に上下に移動することができ、 e.前記歩行エレメント(20,50,90,100)の前記地面接触部(24,54,94,104)は前記荷運搬体(10)に該荷運搬体(10)に対し平方向において前後に移動可能に配設され、前記第1側部歩行エレメント(20)の前記2つの地面接触部(24)は水平アクチュエータ(28,58)により前記第2側部歩行エレメント(50)の2つの地面接触部(54)の一群から独立に、かつ前記中央歩行エレメント(90,100)の各々の前記2つの地面接触部(94,104)から独立に、前後に一群として移動することができ、 f.前記荷運搬体(10)が、アクチュエータ支持部分(14)と、前記アクチュエータ支持部分(14)よりも低くかつ前記2つの中央歩行エレメント(90,100)の間に配置された1以上の低い部分(12)とを有する、 輸送装置(1)。a.前記側部歩行エレメント(20,50)は、当該輸送装置(1)が該側部歩行エレメント(20,50)だけで安定して立つことができるように、横方向の延長部を備えた地面接触部(24,54)を有し、 b.前記2つの中央歩行エレメント(90,100)は、当該輸送装置(1)が該中央歩行エレメント(90,100)だけで安定して立つことができるように、横方向及び直交方向の地面接触部(94,104)を有し、 c.前記横方向は前記歩行エレメント(20,50,90,100)の前後への移動方向に平行であり、前記直交方向は前記歩行エレメント(20,50,90,100)の前後への移動方向と直交する、 請求項1に記載の輸送装置。前記歩行エレメント(20,50,90,100)及び荷運搬体(10)の互いに対する運動を、床に対する当該輸送装置(1)及び荷の重心の投影(150)が荷重の掛けられた前記歩行エレメント(20,50,90,100)の下又は間に常にあるように制御するコントローラを有する請求項1又は請求項2に記載の輸送装置。車輪(32,62,112,164,184,370)を更に有し、当該輸送装置(1)が前記歩行エレメント(20,50,90,100)により歩くことができるか、又は前記車輪(32,62,112,164,184,370)により走行することができる請求項1ないし3の何れか一項に記載の輸送装置。前記歩行エレメント(20,50,90,100)の各々が、 a.各歩行エレメント(20,50,90,100)に対する長方形のプレートであって、前記中央歩行エレメントは前記側部歩行エレメント(20,50)とは異なる寸法を有するプレート、又は b.少なくとも1つの車輪(32,62,112)、又は c.少なくとも1つの円形プレート、 の形状の地面接触部(24,54,94,104)を有する請求項1ないし4の何れか一項に記載の輸送装置。2つの中央歩行エレメント(90,100)を有し、該2つの中央歩行エレメント(90,100)が、前記2つの側部歩行エレメント(20,50)に隣接して配置されると共に互いからは離隔される請求項1ないし5の何れか一項に記載の輸送装置。前記歩行エレメント(20,50,90,100)が歩行エレメント(20,50,90,100)毎に2以上の垂直アクチュエータを有し、これら垂直アクチュエータ(26,56,96,106)は前後の移動方向の同一直線上の異なる位置に配置される請求項1ないし6の何れか一項に記載の輸送装置。請求項1に記載の輸送装置を、障害物を乗り越えるように制御する方法であって、 a.少なくとも1つの歩行エレメント(20,50,90,100)を、該歩行エレメントを前方及び/又は後方に移動させるために水平に移動させるステップと、 b.少なくとも1つの歩行エレメント(20,50,90,100)を、該歩行エレメントを障害物上に移動させるために更に上方及び/又は下方に移動させるステップと、 c.前記輸送装置(1)及び荷の地面に対する重心の投影(150)を荷重の掛かった前記歩行エレメント(20,50,90,100)の下又は間に維持するために、前記荷運搬体(10)を前記歩行エレメント(20,50,90,100)から独立に水平に移動させるステップと、 を有する方法。前記輸送装置(1)が障害物上を通過する各フェーズにおいて地面の2つの高さレベルにのみ接触するか、又は前記輸送装置(1)が障害物上を通過する何れのフェーズにおいても地面の3以上の高さレベルに接触する請求項8に記載の輸送装置を制御する方法。請求項1ないし7の何れか一項に記載の輸送装置(1)と、人昇降/固定構造体とを有する身体障害者用輸送装置(2)であって、 a.前記荷運搬体(10)に回動可能に接続された回動アーム(210)と、 b.前記荷運搬体(10)に接続されたハンドグリップ装置(220)と、 c.前記回動アーム(210)の上端における胴部支持具(230)と、 を有する身体障害者用輸送装置。着座した人による使用の間において腰の高さより上に延びる前記輸送装置(2)の全てのエレメントは、腰の高さ又は腰の高さ以下に下降させることができる請求項10に記載の輸送装置(2)。請求項1ないし7の何れか一項に記載の輸送装置(1)であって、該輸送装置(1)は身体障害者用の屋内装置(300)のためのデッキとして働くと共に該屋内装置(300)を有し、前記屋内装置(300)は前記荷運搬体(10)に接続される一方、該荷運搬体(10)から分離可能であり、前記屋内装置(300)は該屋内装置(300)及び前記輸送装置(1)を操縦するための車輪(370)及び少なくとも1つのモータ、並びに回動アーム(310)を有し、前記屋内装置(300)は身体障害者が立位及び座位で動き回ることを可能にする輸送装置(1)。

说明书全文

本発明は、障害物上を通過する(通り抜ける)ことができる輸送装置に関する。特に、本発明による輸送装置は障害者が動き回り及び特には階段等の障害物を通過することを可能にする。

障害物を通過することができる輸送装置は従来技術において種々の実施態様で知られている。これら装置は、例えば、車輪又はキャタピラ等により駆動され得る。他の輸送装置は、脚を備え、歩行的に動き回ることができる。

障害者のための移動支援装置は、近年、車輪を備えた手動又は電動車椅子の種類で提供されている。このような移動支援装置により、身体障害者の移動性は日常生活において大きく改善された。しかしながら、電動又は手動車椅子は障害物を通過する能に欠けるという欠点を有し、建物の内外の幾つかの場所には殆ど又は全く接近することができない。身体障害者の日常生活における最も重要なことは、階段を登る能力である。

より新しい開発において、このような移動支援装置には障害を通過するための更なる装置が設けられている。しかしながら、このような装置は通常は構造が非常に複雑である。

国際特許出願公開第WO2009/051574A1号公報は、二足又は多脚ロボット装具又は外骨格システムを開示している。該システムは、人の歩行原理を用いている。

米国特許第5,653,301号公報は、階段を上り下り(登り降り)するために使用される車輪支援装置を開示している。このような装置により、身体障害者は介助者の助けなしで階段を上ることができる。この装置は、該装置の主フレーム内に配置されると共に該フレームに滑動可能に接続された第1キャリッジユニットを使用する。第2キャリッジユニットは該第1キャリッジユニットに滑動可能に相互接続されると共に、下側地面係合部を備えている。更に、該装置は、階段を上るために第1及び第2の伸長可能な脚を使用する。該装置は、階段を踏むために自身の車輪を付加的に使用するので、階段を上る間の該装置の安定性は低下される。更に、この方法は平坦な地面上では弱い転動特性を有する小さな車輪を必要とする。

国際特許出願公開第WO01/53137A1号公報は、非平坦な表面上を移動するための他の輸送装置を開示している。該輸送装置は当該車両の両側に、下端に駆動輪を備えた少なくとも3本のアクチュエータ脚を有している。階段を上るために、上記車輪は階段を踏むと共に、当該車輪を駆動する駆動モータにより前方に移動する。ここでも、この装置は上記車輪が小さな直径を有することを要し、これら車輪は平坦な地上では弱い転動特性を有する。更に、この解決策は、踏み段に対する上記車輪の転動接触により安定性が欠ける。

国際特許出願公開第WO2009/051574A1号公報

米国特許第5,653,301号公報

国際特許出願公開第WO01/53137A1号公報

上述した従来技術に基づいて、本発明の課題は、障害物を通過することができ、改善された安定性を有し、構造が余り複雑でなく、少ない空間しか必要とせず、汎用的に使用可能であり、特に身体障害者のための移動支援装置として使用されることを可能にする輸送装置を提供することである。

上記課題は、請求項1に記載の輸送装置により、請求項14に記載の輸送装置を制御する方法により、及び請求項16に記載の身体障害者用輸送装置により解決される。

特に、上記課題は荷運搬体、少なくとも1つの中央歩行エレメント、第1側部歩行エレメント及び第2側部歩行エレメントを有する輸送装置により解決され、上記少なくとも1つの中央歩行エレメントは上記2つの側部歩行エレメントの間に配置され、上記歩行エレメントは上記荷運搬体に該荷運搬体に対して上下に移動可能に配設され、上記側部歩行エレメントは垂直アクチュエータにより上記中央歩行エレメントから独立に上下に移動することができ、上記歩行エレメントは上記荷運搬体に該荷運搬体に対し平方向において前後に移動可能に配設され、上記側部歩行エレメントは水平アクチュエータにより上記中央歩行エレメントから独立に前後に移動することができる。

該輸送装置は如何なる種類の物品及び身体障害者を輸送するためにも使用することができる。該輸送装置は、例えば輸送ボックス、座席、起立している人を支持する装置等を取り付けることにより所望の使用状況に非常に柔軟に適合することが可能な荷運搬体を有する。特に、該輸送装置は、好ましくは電動車輪を持つ身体障害者用の屋内装置のためのデッキ(荷台)として使用することができる。このような屋内装置は該輸送装置に接続することができると共に、該輸送装置から分離することができる。

本発明の基本原理は、一方においては、荷運搬体に対して上下及び前後に移動可能な歩行エレメントを設けることにより、一方において障害物を通過することを可能にするような当該輸送装置の歩行運動を実行することが可能になるという事実に存在する。更に、この構成により、床に対し荷運搬体を水平方向において前後に移動させて、実際に地面に接触する歩行エレメント上で重心を移動させることが可能になる。このように、荷運搬体並びに搭載された物体及び/又は人を歩行エレメントとは独立に移動させることができ、床に対する重心の投影を、この時点で地面に接している歩行エレメント上又は斯かる歩行エレメントの間で移動させることができる。従って、該輸送装置は常に安定的にバランスされたままとなり、例えば階段等の障害物上を安全に歩行することができる。

その時点で荷重が掛かっていない歩行エレメントは、当該輸送装置の他のエレメントから独立に前後及び上下に移動することができる。この構成により、当該輸送装置を、一方においては異なる荷重の配分に、他方においては該輸送装置が移動している地面の現在の形状に適合させることが可能になる。これにより、勿論、全体の系のバランスが維持されることを保証することができる。

好ましくは、全ての歩行エレメントは互いに独立に上下及び/又は前後に移動することができるものとする。従って、該輸送装置は、特定の状況に対応するために登る方法を変化させることができる。例えば、異なるタイプの階段の踏み段(ステップ)、畝等を通過することができる。このことは、特に人を運搬する際の変化する荷重分布に鑑みて有利である。

好ましくは、前記側部歩行エレメントは、当該輸送装置が該側部歩行エレメントで単独に安定して立つことができるように、横方向の延長部を備えた地面接触部を有し、前記少なくとも1つの中央歩行エレメントは、当該輸送装置が該中央歩行エレメントで単独に安定して立つことができるように、横方向及び直交方向の地面接触部を有する。これにより、該輸送装置は中央歩行エレメントだけで又は側部歩行エレメントだけで立つ場合でさえ、当該移動の如何なるフェーズにおいても安定である。

好ましくは、当該輸送装置は上記歩行エレメント及び荷運搬体の互いに対する運動を、床に対する該輸送装置及び荷の重心の投影が常に荷重の掛けられた歩行エレメントの下又は間にあるように制御するコントローラを有する。床に対する当該輸送装置及び荷の重心の投影が常に荷重の掛けられた歩行エレメントの下又は間にある場合、該輸送装置は安定した条件にある(即ち、一方向に傾き又は倒れない)。上記コントローラは歩行エレメント及び荷運搬体の移動を制御し、これにより当該系が該移動の全てのフェーズにおいて安定したままでいることを可能にする。そのようにするために、上記コントローラは、力センサ、距離センサ、光センサ、カメラ、傾斜センサ又は当該コントローラに対して地面の現在の状態及び荷を含む当該輸送装置の現在の力分布を通知する他の適切なセンサと協働することができる。このような力センサ及び/又は距離センサは、好ましくは、上記歩行エレメントに組み込まれる。

好ましい実施態様において、当該輸送装置は車輪を更に有し、該輸送装置は前記歩行エレメントにより歩くことができるか、又は上記車輪により走行することができる。これにより、移動原理を地面の表面に従って選択することができる。平坦な表面が与えられた場合、該輸送装置は自身の車輪で走行することができ、これは上記歩行エレメントで歩くよりも大幅に速くなる。一方、表面が非平坦であるか、又は階段等の障害物を有する場合、当該輸送装置は、車輪では不可能であろう斯様な障害物を乗り越えるために自身の歩行エレメントを使用することができる。

好ましくは、上記歩行エレメントは、各歩行エレメントに関して長方形の形状の(その場合、中央歩行エレメントは好ましくは側部歩行エレメントとは異なる寸法を有する)、及び/又は少なくとも1つの車輪の形状の、及び/又は少なくとも1つの円形プレートの形状の地面接触部を有する。これら歩行エレメントの地面接触部は、異なる形態、形状及び/又は寸法を有することができる。特に、プレート状の地面接触部を備えた実施態様に対しては、中央歩行エレメントが2つの側部歩行エレメントのものより大きな寸法の地面接触部を有し、該中央歩行エレメント単独で安定に立つようにすることが好ましい。

好ましくは、当該輸送装置が車輪を有する場合、これら車輪は長方形プレート及び円形プレートと組み合わすことができるものとする。この場合、上記車輪は当該輸送装置が平らな地上を移動している際に代替的移動方法を提供する一方、上記プレートは障害物を通過するために使用される。

好ましくは、当該輸送装置は車輪を有し、該車輪は外側側部パネルを介して荷運搬体により支持することができ、及び/又はプレート状の地面接触部により支持することができ、及び/又は歩行エレメントのシャフト及び/又は上記荷運搬体に接続されると共に該荷運搬体から分離することができる屋内装置により支持することができる。当該輸送装置に車輪を、該輸送装置がプレートでの歩行又は車輪での走行から切り替えることができるように取り付ける幾つかの方法が存在する。1つの構造的代替法を選択することにより、当該輸送装置はユーザの特定の要件に適合させることができる。最も容易な方法において、車輪は荷運搬体に対して、歩行及び走行の間の切り替えが歩行エレメントを単に引っ込めることにより実行されるように、支持される。

車輪がプレート状地面接触部に取り付けられる場合、これらは好ましくは別のアクチュエータにより上下に移動可能なものとする。従って、歩行エレメントの調整された伸長により当該荷運搬体が水平のままで、斜面を上下に走行することが可能となる。

好ましくは、当該輸送装置は2以上の中央歩行エレメント(好ましくは2つの中央歩行エレメント)を有し、該2以上の中央歩行エレメントは、前記2つの側部歩行エレメントに隣接して配置されると共に互いからは離隔される。本発明は、1つのみの中央歩行エレメントを備える実施態様に限定されるものではない。荷運搬体がどの様に形成されるか及び荷がどの様に運搬されるかの方法が一層柔軟となるように、2以上の中央歩行エレメントを設けることも可能である。このことは、当該輸送装置を特定の使用事例に適合させることを可能にする。

好ましくは、上記荷運搬体は高い(上寄りの)アクチュエータ支持部分と、1以上の低い(下寄りの)部分とを有する。特に物品又は人を運搬するために設計された実施態様の場合、荷運搬体に対して荷重を可能な限り地面に対し低く掛けることが好ましい。このような用途の場合、2つの側部歩行エレメント及び1つの中央歩行エレメント、並びに上記中央歩行エレメントと各一方の側部歩行エレメントとの間の、人が足を置くことができる当該荷運搬体の2つの低い部分(低下部分)を有することが有益であり得る。

好ましくは、中央歩行エレメントは、荷運搬体に対する中央歩行エレメントの垂直軸の周りでの回転のための回転アクチュエータを有する。このような回転アクチュエータの使用により、当該輸送装置の輸送の間における歩行又は走行方向を変えることができる。該中央回転エレメントは、好ましくは、荷運搬体と中央水平アクチュエータとの間、又は垂直アクチュエータと該中央歩行エレメントのシャフトとの間に配置することができる。

好ましくは、前記歩行エレメントは歩行エレメント毎に2以上の垂直アクチュエータを有し、これら垂直アクチュエータは前後の移動方向に順に配置される。本発明は、歩行エレメント毎に1つの垂直アクチュエータしか備えない実施態様に限定されるものではない。例えば、1つの大きな強力なものより、より小さなパワーの2つのアクチュエータを使用することが望まれ得る。このことは、更に、当該輸送装置が斜面上を歩行し、荷運搬体を水平に保つことができることを可能にする。

好ましくは、歩行エレメント毎の上記2以上のアクチュエータは、該2以上の垂直アクチュエータが回動可能に取り付けられた歩行エレメント毎の1つの共通の地面接触部分を有するか、又は該2以上の垂直アクチュエータの各々が自身の地面接触部分を有する。この構成は、非平坦な地面、特には移動方向に傾斜された地面を補償することを可能にする。上記2以上のアクチュエータは、荷運搬体を水平に維持しながら、上記地面接触部を地面に対して平行となるよう調整することができる。従って、該輸送装置は、例えば地面が傾斜していても、中央歩行エレメントだけで安定に立つことができる。傾斜の補償は、各アクチュエータの高さを荷運搬体が水平に留まるか又は何れかの所望の向きに配されるように調整することにより実行される。

好ましくは、1つの地面接触部が2以上の垂直アクチュエータに取り付けられる場合、該地面接触部の垂直アクチュエータに対する接続は、ピッチ軸の周りでの回転運動を可能にするヒンジにより実施されるものとする。他の代替例では、各アクチュエータが自身の小さな点状の地面接触部を有する。

好ましくは、中央歩行エレメントはアクチュエータと地面接触部との間にロック可能なヒンジを有し、該ロック可能なヒンジは前後移動方向の回転軸を有する。当該輸送装置が2つの側部歩行エレメントだけて立っている場合、前後方向に直交する方向の傾斜は、これら2つの側部歩行エレメントを異なる高さに調整することにより補償することができる。また、このような傾きを補償するために、当該輸送装置が中央歩行エレメントのみで立っている場合、該輸送装置はアクチュエータと地面接触部との間に、前後移動方向の回転軸を持つロック可能なヒンジを有する。好ましくは、このヒンジは、中央歩行エレメントが床に下降される場合にロック解除される(即ち、回転することができる)。該中央歩行エレメントの地面接触部が地面に完全に接触し、これにより該地面の向きに順応した場合、該ヒンジはロックされる。このようにして、当該輸送装置が中央歩行エレメントのみで立つ場合においても、該輸送装置はわきに傾くことはあり得ず、荷運搬体は所望の度に維持される。

前述した課題は、上述した輸送装置を、障害物を通過するように制御する方法によっても解決され、該方法は、 (a)少なくとも1つの歩行エレメントを、該歩行エレメントを前方及び/又は後方に移動させるために水平に移動させるステップと、 (b)上記少なくとも1つの歩行エレメントを、該歩行エレメントを障害物上に移動させるために上方及び/又は下方に移動させるステップと、 (c)当該輸送装置及び荷の床に対する重心の投影を、荷重の掛かった前記歩行エレメント(又は複数のエレメント)の下又は間に維持するために、前記荷運搬体を前記歩行エレメント(又は複数のエレメント)から独立に水平に移動させるステップと、 を有する。

前記輸送装置及び荷の床に対する重心の投影を、荷重の掛かった前記歩行エレメント(又は複数のエレメント)の下又は間に維持することにより、荷を含む当該輸送装置全体が常に安定な状態にあることが保証される。荷運搬体の位置を歩行エレメントから独立に変化させることにより、当該輸送装置は水平面における移動軸に直交する軸の周りでのバランスを確実にする。

好ましくは、当該輸送装置は障害物を通過する各フェーズにおいて2つ以下の高さレベルにしか接触しないものとする。一代替例において、当該輸送装置の歩行方法は2つの異なるフェーズを有する。第1フェーズにおいて、該輸送装置は2つの側部歩行エレメントで立ち、次いで、少なくとも1つの中央歩行エレメントは別の位置に移動され、第2フェーズにおいて、該輸送装置は該中央の脚で立つ。続いて、荷運搬体が、地面に対する重心の投影が該中央の脚の下に位置するように移動される。このように、特に階段を上る場合、当該輸送装置は2つの異なる階段の踏み段でしか立つ必要がない。

他の好ましい実施態様において、当該輸送装置は障害物を通過する1以上のフェーズにおいて3以上の高さレベルに接触する。この代替的歩行方法において、側部歩行エレメントは、例えば階段の異なる踏み段に接触するようにして、異なる高さレベル上にあり得る。このことは、輸送装置の安定性を改善する。

前述した課題は身体障害者用輸送装置によっても解決され、該身体障害者用輸送装置は、前述した輸送装置と、前記荷運搬体に回動可能に接続された回動アーム、支持構造体及び上記回動アームの上端の胴部支持具を有する人昇降/固定構造体とを有する。前記輸送装置の前述した実施態様を、身体障害者が動き回り、これにより障害物を通過することを可能にするために使用することができる。この目的のために、該輸送装置は人昇降/固定構造体を更に有する。

上記人昇降/固定構造体は、上記輸送装置に固定される。このような構成を有すれば、身体障害者が座位又は横臥位から当該輸送装置上に立つ位置まで移動するための、別個の昇降構造体等の他の技術的支援システムは必要とされない。

上記輸送装置は、座っている身体障害者が上記胴部支持具により該輸送装置の下方に回動された上記回動アームに固定され、該回動アームにより該輸送装置上で人が立つ立ち位置まで持ち上げられることを可能にする。

上記胴部支持具の人の身体に対する1以上のベルトによる固定のために、歩行エレメントによる荷運搬体を上昇又は下降させる可能性が利用される。これにより、人の脚を荷運搬体により持ち上げることができるので、上記ベルトの人に対する固定が容易化される。

好ましくは、着座した人による使用の間における当該輸送装置の腰の高さより上に延びる全てのエレメントは、この高さ又はそれ以下に下降させることができる。このことは、該人に対して完全な視界を可能にすると共に、当該輸送装置に結ばれたままの人による通常の机又は他の家具の使用を可能にする。

好ましくは、当該輸送装置は身体障害者用の屋内装置のためのデッキ(荷台)として働くと共に、斯かる屋内装置を有し、該屋内装置は前記荷運搬体に接続される一方、該荷運搬体から分離可能である。この屋内装置は、該屋内装置及び上記輸送装置を操縦するための車輪及び少なくとも1つのモータ、並びに回動アームを有し、該屋内装置は身体障害者が立位及び座位で動き回ることを可能にする。上記輸送装置は、主に屋内で使用される身体障害者用の移動支援装置を運搬することができる。当該輸送装置は障害物を容易に乗り越える又は階段を上ることさえできるので、上記屋内装置を該輸送装置に接続することにより、同じ移動支援装置を屋外でも使用することができる。これにより、身体障害者用のモジュール型移動支援装置が提供される。更に好ましい実施態様は、従属請求項から得られる。

本発明の好ましい実施態様は、添付図面を参照して後述される。

図1は当該輸送装置の第1実施態様の立体図であり、最小形状を示す。

図2は当該輸送装置の第1実施態様の立体側面図であり、該輸送装置が上昇された位置で中央地面接触部のみで立ち、横方向に延長された側部歩行エレメントを伴っていることを示す。

図3は当該輸送装置の第1実施態様の立体図であり、該輸送装置が上昇された位置で3つの全ての地面接触部で立ち、横方向に最大に延長された側部歩行エレメントを伴っていることを示す。

図4aは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を最初の時間順序図で示す。

図4bは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図4cは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図4dは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図4eは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図4fは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図4gは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図4hは当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を次の時間順序図で示す。

図5は当該輸送装置の第2実施態様の立体側面図であり、該輸送装置が第1実施態様と較べて長い垂直アクチュエータ及びシャフトを備え、該輸送装置が他の階段を上る方法を実行することを示す。

図6は当該輸送装置の第2実施態様の立体側面図であり、該輸送装置を、階段を上る上記他の方法の他のフェーズで示している。

図7は当該輸送装置の第3実施態様の立体図であり、荷運搬体のアクチュエータ支持部の間の2つの低い部分を示している。

図8は当該輸送装置の第3実施態様の立体正面図である。

図9は当該輸送装置の第4実施態様の立体図であり、2つの分離された中央歩行エレメント及び、これら2つの中央歩行エレメントの間の荷運搬体の1つの中央の低い部分を示している。

図10は当該輸送装置の第4実施態様の立体図であり、該輸送装置が上昇された位置において1つの中央歩行エレメント及び1つの側部歩行エレメントで、部分的に変位された歩行エレメントを伴って立っていることを示している。

図11は当該輸送装置の第5実施態様の概略正面図であり、荷運搬体に固定された側部に取り付けられた車輪を示している。

図12は当該輸送装置の第5実施態様の立体図である。

図13は当該輸送装置の第5実施態様の立体図であり、該輸送装置が上昇された位置において2つの側部歩行エレメントで立っていることを示している。

図14は当該輸送装置の第6実施態様の概略正面図であり、歩行エレメントのシャフトに取り付けられた車輪を示している。

図15は当該輸送装置の第6実施態様の立体図であり、該輸送装置を横方向に最大に延長された歩行エレメントと共に示している。

図16は当該輸送装置の第6実施態様の立体図であり、該輸送装置が上昇された位置において横方向に延長された歩行エレメントを伴って3つの全ての地面接触部で立っていることを示している。

図17は当該輸送装置の第7実施態様の立体正面図であり、歩行エレメントの地面接触部に固定された垂直車輪懸架アクチュエータに取り付けられた車輪を示している。

図18は当該輸送装置の第7実施態様の立体正面図であり、該輸送装置が上昇された位置において横方向に延長された歩行エレメントを伴って3つの全ての地面接触部で立っていることを示している。

図19は当該輸送装置の第7実施態様の立体側面図であり、この輸送装置が該輸送装置の車輪で立っていることを示している。

図20は当該輸送装置の第7実施態様の立体側面図であり、該輸送装置が斜面を上方に進み、歩行エレメントの垂直アクチュエータが、荷運搬体が水平に留まるように駆動されていることを示している。

図21は当該輸送装置の第7実施態様の概略側面図であり、該輸送装置を図20と同様の位置で示している。

図22は当該輸送装置の第8実施態様の概略側面図であり、歩行エレメント当たり2つの垂直アクチュエータを備えた輸送装置を示している。

図23は当該輸送装置の第8実施態様の立体側面図であり、該輸送装置を図22の位置で示している。

図24は当該輸送装置の第8実施態様の概略側面図であり、該輸送装置の垂直アクチュエータを前側垂直アクチュエータが後側のものより多く伸長されるように駆動することにより該輸送装置が後方に傾いていることを示している。

図25は当該輸送装置の第8実施態様の概略側面図であり、該輸送装置の垂直アクチュエータを前側垂直アクチュエータが後側のものより少なく伸長されるように駆動することにより該輸送装置が前方に傾いていることを示している。

図26は当該輸送装置の第9実施態様の立体図であり、該輸送装置が後方に傾斜されると共に、水平アクチュエータと中央歩行エレメントのシャフトとの間に回転アクチュエータを有することを示している。

図27は当該輸送装置の第9実施態様の概略側面図であり、該輸送装置を、中央地面接触部の向きを地面の向きに順応させるフェーズで示している。

図28は当該輸送装置の第9実施態様の概略側面図であり、該輸送装置が、地面の向きに順応された中央歩行エレメントの地面接触部で立っていることを示している。

図29は図28における位置と同様の当該輸送装置の第9実施態様の立体図である。

図30は当該輸送装置の第9実施態様の概略側面図であり、該輸送装置が中央地面接触部で立ち、該輸送装置が該中央地面接触部の回転アクチュエータを使用して回転されることを示している。

図31は当該輸送装置の第9実施態様の立体図であり、該輸送装置は上昇された位置において中央歩行エレメントのみで立っている。

図32は図31の当該輸送装置の第9実施態様の立体図であり、該輸送装置は回転アクチュエータを用いて回転を行っている。

図33は図31の当該輸送装置の第9実施態様の立体図であり、該輸送装置は回転アクチュエータを用いて90度の回転を行っている。

図34は当該輸送装置の第10実施態様の立体図であり、中央歩行エレメントは2組の垂直アクチュエータ及び地面接触部を有し、対応する車輪は該地面接触部の間に配置されている。

図35は当該輸送装置の第11実施態様の立体図であり、側部歩行エレメントに取り付けられた基部拡大部を備えた輸送装置を示している。

図36は当該輸送装置の第12実施態様の立体図であり、垂直アクチュエータ毎に別個の地面接触部を備えた輸送装置を示している。

図37は当該輸送装置の第12実施態様の立体図であり、該輸送装置が第3の代替的な上る方法で階段を上っているところを示している。

図38aは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する最初の時間順序図で示し、ここで、時間順序は図番38,39,40,…により示され、同じ図番の“a”及び“b”は同一のフェーズを異なる視点から示す。

図38bは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する最初の時間順序図で示す。

図39aは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図39bは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図40aは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図40bは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図41aは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図41bは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図42aは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図42bは当該輸送装置の第13実施態様を、垂直方向に傾斜した地面上を歩く方法を図示する次の時間順序図で示す。

図43は当該輸送装置の第14実施態様の立体図であり、車輪、別個の地面接触部及び結合された地面接触部の組み合わせを示し、中央歩行エレメントの車輪は垂直アクチュエータの間に配置されている。

図44は第14実施態様の概略正面図であり、当該輸送装置は側部歩行エレメントの地面接触部で立っている。

図45は第14実施態様の概略正面図であり、当該輸送装置は全ての地面接触部で立っている。

図46は身体障害者用輸送装置の概略側面図であり、該輸送装置上に人が立っている。

図47は身体障害者用輸送装置の概略正面図であり、図46と同様に人が該輸送装置上に立っていることを示している。

図48aは身体障害者が当該輸送装置に乗り込むのを補助する方法を示す。

図48bは身体障害者が当該輸送装置に乗り込むのを補助する方法を示す。

図48cは身体障害者が当該輸送装置に乗り込むのを補助する方法を示す。

図49は本発明の第16実施態様の正面図を示し、当該輸送装置は身体障害者用屋内装置のためのデッキを有している。

図50aは屋内装置を伴わない当該輸送装置の斜視図を示す。

図50bは屋内装置を伴わない当該輸送装置の斜視図を示す。

図51aは当該輸送装置に連結された屋内装置の或る斜視図を示す。

図51bは当該輸送装置に連結された屋内装置の別の斜視図を示す。

図51cは当該輸送装置に連結された屋内装置の別の斜視図を示す。

図51dは当該輸送装置に連結された屋内装置の別の斜視図を示す。

図52aは屋内装置を荷運搬体の低い部分に入れる1つのオプションを示す。

図52bは屋内装置を荷運搬体の低い部分に入れる別のオプションを示す。

図53aは荷運搬体の低い部分上へと前方に進められた屋内装置の或る斜視図を示す。

図53bは荷運搬体の低い部分上へと前方に進められた屋内装置の別の斜視図を示す。

以下、本発明の好ましい実施態様を、添付図面を参照して説明する。尚、明示的に言及されなくても、或る実施態様のフィーチャは、適切ならば、他の実施態様においても同様に用いることができる。

図1は輸送装置1の第1実施態様の立体図を示すもので、輸送装置1の最小形状を示している。輸送装置1は荷運搬体10、第1側部歩行エレメント20、第2側部歩行エレメント50及び中央歩行エレメント80を有している。歩行エレメント20,50,80は、シャフト22,52,82、垂直アクチュエータ26,56,86及び地面接触部24,54,84からなっている。歩行エレメント20,50,80は荷運搬体10に水平アクチュエータ28,58,88を介して取り付けられている。符号150は、地面に投影された、負荷(荷)を含む当該輸送装置1の重心を示している。

歩行エレメント20,50,80の垂直アクチュエータ26,56,86は、地面接触部24,54,84と荷運搬体10との間の距離を変化させるために伸長又は収縮(短縮)することができる。第1実施態様において、第1及び第2側部歩行エレメント20,50は常に並行して動作する。即ち、水平アクチュエータ28,58又は垂直アクチュエータ26,56の全ての作動は2つの側部歩行エレメントに対し並行してなされる。前述したように、歩行エレメントは荷運搬体10に水平アクチュエータ28,58,88により取り付けられている。これらの水平アクチュエータ28,58,88は、歩行エレメント20,50,80の位置とは独立に、荷運搬体10を歩行方向において前後に移動させることができる。その結果、歩行エレメント20,50,80は荷運搬体10に対して水平方向に移動され得る。1個又は可能性として2つの歩行エレメントが地面に接触していない場合、これら歩行エレメントを、荷運搬体10を移動させることなく、地面に対して前後に移動させることができる。

図2は輸送装置1の第1実施態様の立体側面図を示すもので、該輸送装置1が上昇された位置で中央の地面接触部84のみで立っているところを示している。側部歩行エレメント20,50は横方向に延長されている。図2は、2つの側部歩行エレメント20,50によりなされる歩進運動を実行する方法を示している。従って、垂直アクチュエータ86が、荷を含む輸送装置1全体を下降させるように駆動されるか、又は側部歩行エレメント20,50の垂直アクチュエータ26,56を伸長することにより、該側部歩行エレメント25,50の地面接触部24,54を下降させる。次いで、次のフェーズ(図2には示されていない)において、3つの水平アクチュエータ28,58,88を荷運搬体10が自身の荷と共に中央歩行エレメント80から側部歩行エレメント20,50上へ移動するように作動させることにより、荷運搬体10を前方に移動させることができ、これにより重心を側部歩行エレメント20,50上にずらす。

図3は当該輸送装置の第1実施態様の立体図を示すもので、該輸送装置が上昇された位置で3つの全地面接触部24,54,84で立ち、歩行エレメント20,50,80が横方向に最大に延長されていることを示している。可能な限りコンパクトとなっている輸送装置1を示す図1に対して、図3は他の極端状態、即ち全アクチュエータ26,28,56,58,86,88の最大伸長状態を示している。

一連の図4a〜4hは、当該輸送装置の第1実施態様により階段を上る好ましい方法を時間順序図で示す。図4aにおいて、輸送装置1は中央歩行エレメント80で立ち、該中央歩行エレメント80の垂直アクチュエータ86は伸長されている。荷運搬体10は該中央歩行エレメント80の地面接触部84上に位置する。このように、床上に投影された投影重心150は、中央歩行エレメント80の地面接触部84の下に位置する。2つの側部歩行エレメント20,50は階段の最初の踏み段上に位置され、これら側部歩行エレメント20,50の水平アクチュエータ28,58は移動方向に延長されている。

図4bは当該歩行方法の次のフェーズを示し、荷運搬体10は2つの側部歩行エレメント20,50上まで前方に移動されている。このように、投影重心150も移動方向において前方に移動される。荷運搬体10を地面に対して歩行エレメント20,50,80の何れも移動させずに移動させるためには、該荷運搬体10を移動させるために歩行エレメント20,50,80の全水平アクチュエータ28,58,88を駆動する必要がある。

図4cは次のフェーズを示し、該フェーズにおいては中央歩行エレメント80の垂直アクチュエータ86が、該中央歩行エレメント80の地面接触部84が上昇されるように駆動される。この位置において、重心の投影150は、地面接触部24,54のうちの対応する階段の踏み段に接触する部分の間に安定して位置され、従って荷を含む当該輸送装置1全体は安定である。

図4dは当該階段を上る方法の次のフェーズを示し、該フェーズにおいては先ず側部歩行エレメント20,50の垂直アクチュエータ26,56が、荷運搬体10が上昇されると共に該荷運搬体10に固定された中央歩行エレメントも引き上げられるように、伸長される。次いで、中央歩行エレメント80の水平アクチュエータ88が、該中央歩行エレメント80が歩行方向の前方に向かって当該階段の次の踏み段に到達するまで、駆動される。

図4eは当該階段を上る方法の次のフェーズを示し、該フェーズにおいて、荷運搬体10は、歩行エレメント20,50,80の3つのアクチュエータ28,58,88を該荷運搬体10が中央歩行エレメント80上に位置するように駆動することにより、前方に進められる。このことは、重心150の投影を、側部歩行エレメント20,50を当該階段の対応する踏み段から上昇させることができるように、歩行方向の次の踏み段に移動させる。

図4fに示す次のフェーズにおいて、中央歩行エレメント80の垂直アクチュエータ86は荷運搬体10が上昇されるように伸長される。側部歩行エレメント20,50は垂直アクチュエータ28,58を介して荷運搬体10に固定されているので、これら歩行エレメントも引き上げられる。前述したように、このフェーズにおいて、投影される重心150は中央歩行エレメント80の地面接触部84のうちの当該階段踏み段に接触する部分に位置される。このように、該フェーズにおいては荷を含む当該輸送装置1全体は安定である。

次いで、2つの側部歩行エレメント20,50は、水平アクチュエータ28,58を当該側部歩行エレメント20,50の地面接触部24,54が当該階段の次の踏み段に到達するまで駆動することにより、階段を上る方向において前方に移動される。

図4gは側部歩行エレメント20,50が当該階段の上記次の踏み段に到達した後の終了姿勢を示す。かくして、階段の2つの踏み段を上る登りサイクルが完了し、当該輸送装置1の姿勢は図4aにおけるものと同一となる。荷を含む輸送装置1全体が階段の2つの踏み段を上ったことが分かるであろう。

図4hは、図4bと同様に、歩行エレメント20,50,80の3つの水平アクチュエータ28,58,88を駆動することにより荷運搬体10が階段を上る方向における前方に進められた場合の姿勢を示している。このことは、重心150を次の歩行運動のために前方にずらすために荷運搬体10を歩行エレメント20,50,80の何れも動かすことなく移動させるために必要である。

図5は当該輸送装置1の第2実施態様の立体側面図を示すもので、第1実施態様と比較して一層長い垂直アクチュエータ26,56,86及びシャフト22,52,82を備えた輸送装置1を示し、該輸送装置1は階段を上る他の変形方法を実行する。より長い歩行エレメント20,50,80を設けたことにより、当該輸送装置1は3以上の異なるレベルの高さ(特には、階段の踏み段)で立つことができる。従って、輸送装置1が、少なくともある時は、3以上の階段踏み段で立つような幾つかの他の階段を上る方法を実現することができる。

図6は当該輸送装置1の第2実施態様の立体側面図を示すもので、該輸送装置1を、当該階段を上る上記代替方法の他のフェーズにおいて示している。図5と比較して、図6の輸送装置1は第1側部歩行エレメント20を、対応する水平アクチュエータ28を該第1側部歩行エレメント20の地面接触部24が当該階段の次の踏み段上に位置するまで前方に駆動することにより、前方に移動している。この階段を上る代替方法においては、地面に投影される重心150が中央歩行エレメント80の地面接触部84の下又は2つの側部歩行エレメント20,50の間に安定に位置することが常に保証される。

図7及び図8は輸送装置1の第3実施態様の立体図を示すもので、荷運搬体10におけるアクチュエータ支持部14の間に配置された2つの低い部分(低下部)12を示している。当該輸送装置1の幾つかの用途例に対しては、全体の重心を可能な限り低く配置することが望ましい。例えば輸送装置1により人が運ばれねばならない場合、該人は足を上記2つの低下部12に位置させることができる。

図9及び10は輸送装置1の第4実施態様の立体図を示すもので、該輸送装置は2つの中央歩行エレメント90,100と、これら2つの中央歩行エレメント90,100の間の荷運搬体10の1つの中央低下部12とを備えている。この実施態様は、重心を低下させるために好ましくは物品を輸送するために使用されると考えられる。該実施態様は、前に移動する又は障害物を通り抜ける間に座っていることを好む人を運搬するための移動支援装置を提供すべく、座席を取り付けるために用いることもできる。上記2つの中央歩行エレメント90,100は、図1に示した第1実施態様の側部歩行エレメント20,50と同等の部品を、即ちシャフト92,102、地面接触部94,104、垂直アクチュエータ96,106及び水平アクチュエータ98,108を有している。

図10において、輸送装置1は1つの中央歩行エレメント90及び1つの側部歩行エレメント50で立つ僅かに上昇された姿勢を有し、歩行エレメント20,50,90,100は部分的に僅かに変位されている。図10では、歩行エレメント20,50,90,100の垂直アクチュエータ26,56,96,106及びそれに加えて水平アクチュエータ28,58,98,108を互いに独立に駆動することができることが明らかに分かる。従って、当該輸送装置1を、階段、何らかの種類の他の障害物及び地面の表面構造を含む周囲環境の種々の条件に、特に地面の区域の高さの変化に適応させることができる。

図11〜13は輸送装置1の第5実施態様を示すもので、該輸送装置は荷運搬体10の側板160,180に取り付けられた車輪164,184を有している。側板160,180は荷運搬体10に又は該荷運搬体10の一部に固定されている。歩行による移動に加えて、該第5実施態様は車輪164,184により走行することができる。これは、地面が実質的な障害物を有さない場合、歩行よりも高速である。これにより、車輪164,184の少なくとも2つ又はそれ以上を、例えば電気モータ等の如何なるモータにより駆動することもできる。

図13は輸送装置1の上記第5実施態様の立体図を示すもので、該輸送装置1を、2つの側部歩行エレメント20,50で立つ上昇された位置で示している。垂直アクチュエータ26,56を伸長することにより、地面接触部24,54が地面に接触し、車輪164,184を地面から持ち上げる。従って、車輪164,184のための追加のアクチュエータは必要とされない。

図14〜16は輸送装置1の第6実施態様を示し、該輸送装置は歩行エレメント20,50,80のシャフト22,52,82に取り付けられた車輪32,62,112を有している。車輪32,62,112はモータ30,60,110により駆動される。

図15は輸送装置1の上記第6実施態様の立体図を示すもので、該輸送装置1を歩行エレメント20,50,80が横方向に最大に延長された状態で示している。このような最大に延長された水平アクチュエータ28,58,88及び歩行エレメント20,50,80の引っ込められた地面接触部24,54,84の配置は、所謂、“走行モード”の形態である。走行モードにおいては、荷を含む輸送装置1全体が、水平に延長された歩行エレメント20,50,80により最大安定性の状態にある。しかしながら、勿論、本発明による輸送装置1は水平アクチュエータ28,58,88の如何なる状態においても車輪で走行することができ、上述した“走行モード”に限定されるものではないことは明らかである。

図16は輸送装置1の上記第6実施態様の立体図を示すもので、該輸送装置1が3つの全ての地面接触部24,54,84で上昇された位置において立ち、歩行エレメント20,50,80が水平方向に僅かに延長されていることを示している。上記車輪は歩行エレメント20,50,80のシャフト22,52,82に剛性的に取り付けられているという事実により、走行モードから歩行モードへ切り替えるために、歩行エレメント20,50,80は垂直アクチュエータ26,56,86を介して垂直方向に伸長される。

図17〜21は輸送装置1の第7実施態様を示す。該輸送装置1は垂直車輪懸架アクチュエータ34,64,114に取り付けられた車輪32,62,112を有し、上記垂直車輪懸架アクチュエータ34,64,114は歩行エレメント20,50,80の地面接触部24,54,84に固定されている。この構成においては、歩行エレメント20,50,80に対する車輪32,62,112の垂直位置を垂直車輪懸架アクチュエータ34,64,114により能動的に変化させることができる。この実施態様は車輪32,62,112を駆動するためのモータ30,60,110を更に有している。

代替実施態様(図示略)においては、上記車輪32,62,112を垂直車輪懸架アクチュエータ無しで歩行エレメント20,50,80の下端に取り付けることもできる。このような実施態様において、当該輸送装置は、車輪にブレーキが掛けられている場合、車輪32,62,112で歩くことができる。更に、勿論、車輪32,62,112は当該輸送装置を走行させるために使用することができる。

図18は輸送装置1の上記第7実施態様の立体正面図を示すもので、該輸送装置1が上昇された位置において3つの全ての地面接触部24,54,84で立ち、歩行エレメント20,50,80が横方向に僅かに延長されていることを示している。

図19は輸送装置1の上記第7実施態様の立体側面図を示すもので、該輸送装置1が車輪32,62,112で走行していることを示している。図18及び19に明確に見られるように、車輪32,62,112の垂直位置は歩行エレメント20,50,80の垂直アクチュエータ26,56,86の位置とは独立している。これにより、垂直車輪懸架アクチュエータ34,64,114が地面に車輪32,62,112が接触するように駆動されている場合、荷運搬体10が上昇された当該輸送装置1を車輪32,62,112で走行することにより移動させることが可能である。

図20及び21は斜面を上方に進む輸送装置1の上記第7実施態様を示し、歩行エレメント20,50,80の垂直アクチュエータ26,56,86は荷運搬体10が水平に留まるように駆動されている。図20から理解されるように、垂直車輪懸架アクチュエータ34,64,114は互いに独立に駆動することができ、このことは、車輪32,62,112が地面接触部24,54,84より下に異なるレベルまで伸長され得ることを可能にしている。これにより、図20に示されるように、輸送装置1が斜面を上方に走行することができ、その際に荷運搬体10が水平に留まることが可能となる。これにより、地面接触部24,54,84は、当該輸送装置1が斜面を上方に走行する際に地面に接触しないように、地面から隔てられる。

図22〜25は輸送装置1の第8実施態様を示すもので、該輸送装置1は歩行エレメント20,50,80毎に2つの垂直アクチュエータ42,46,72,76,122,126を有している。該第8実施態様は、側部36,66及び地面接触部24,54,84を有し、該地面接触部24,54,84は地面接触部24,54,84毎に1つのヒンジ及び1つのスライドベアリングを有している。これにより、当該輸送装置1は図24及び25に示されるように前方に及び後方に傾くことができる。

図24において、輸送装置1は、該輸送装置1の垂直アクチュエータ42,46,72,76,122,126を前側の垂直アクチュエータ42,72,122が後側のもの46,76,126より多く伸長されるように駆動することにより後方に傾斜されている。荷運搬体10の角度の変化を地面に対する接触を失わないで達成するために、全ての前側垂直アクチュエータ42,72,122は並行して駆動されねばならず、後側垂直アクチュエータ46,76,126も並行して駆動されねばならないことは明らかである。この当該輸送装置を前後に傾斜させるフィーチャは、特別な種類の物品を輸送するために、又は投影重心150を荷重が掛かった地面接触部24,54,84の下に移動させることにより安定な系を達成するために好ましいであろう。

図25は、輸送装置1の垂直アクチュエータ42,72,122を前側垂直アクチュエータ42,72,122が後側のもの46,76,126より少なく伸長されるように駆動することによる該輸送装置1の前方への傾斜を示している。輸送装置1は図24及び25に示されるように自由に前後に傾斜させることができる。この運動の唯一の制限は、荷を含む当該輸送装置1が常に安定した状態にあるということである。

図26〜33は輸送装置1の第9実施態様を示し、該輸送装置1は水平アクチュエータ88と中央歩行エレメント80のシャフト82との間に回転アクチュエータ116を有し、図26は該輸送装置1が後方に傾斜していることを示している。

図27は輸送装置1の上記第9実施態様の概略側面図を示し、該輸送装置1は中央地面接触部84の向きを地面の向きに適合(順応)させるフェーズにある。図27に見られるように、中央地面接触部84は、該中央地面接触部84が地面に接触する前に該地面の傾斜に適合される。しかしながら、地面の傾斜に対する該適合は、地面接触部84が低下される間に実行することも可能である。特に、地面接触部84は該地面接触部84の第1端が地面に接触し、対応するアクチュエータが駆動を停止するまで如何なる角度でも下降され、この場合、他方のアクチュエータは地面接触部84の対応する部分を、該地面接触部の第2端も地面に接触するまで下降させ続ける。この実施態様において、地面に到達して停止するまでに、当該地面接触部の前部か又は後部が最初に地面に接触するかは問題とはならない。

図28において、当該輸送装置は中央歩行エレメント80の順応された地面接触部84で立っている。中央歩行エレメント80の斯かる順応は、勿論、2つの側部歩行エレメント20,50に対しても実行することができる。前側垂直アクチュエータ42,72及び2つの後側垂直アクチュエータ46,76が平行的に駆動される必要はない。ということは、側部歩行エレメント20,50の2つの地面接触部24,54が平行に位置されず、これら地面接触部24,54が地面に接触する特定の位置で地面の向きに最適に順応されることが可能になるということである。

図30において、輸送装置1は中央地面接触部84で立っており、該輸送装置1は回転アクチュエータ116を使用することにより回転を行っている。

図31〜33は、輸送装置1が上昇された位置において中央歩行エレメント80のみで立ち、回転アクチュエータ116により垂直軸の周りに回転する一連の図である。該回転運動は左方向及び右方向の両方向に、且つ、如何なる所望の角度にも行うことができる。

図34は輸送装置1の第10実施態様の立体図を示し、中央歩行エレメント80は2組の垂直アクチュエータ及び地面接触部94,104を有している。対応する車輪は、地面接触部94,104の間に配置されている。図34からも理解されるように、モータ30,60,110を前側及び後側アクチュエータ42,46;72,76及び122,126の間に配置することができる。これも図34から理解することができるように、輸送装置1は該輸送装置1が走行モードとなるように車輪32、62,112で立つ。このモードにおいて、回転アクチュエータ116は当該輸送装置1を所望の方向に操縦するために使用することができる。

図35は輸送装置1の第11実施態様の立体図を示すもので、側部歩行エレメント20,50の外側に取り付けられた基部拡大部38,68を備える輸送装置1を示している。これらの基部拡大部38,68は、当該輸送装置1が立つ足場(フットプリント)を拡大するために側部歩行エレメント20,50の地面接触部24,54に支承されると共にロックされる。これは、当該輸送装置が過度に沈まないように、特に例えば砂等の軟らかい地面にとり好適である。

図36〜37は輸送装置1の第12実施態様を示すもので、各垂直アクチュエータに対して個別の地面接触部24,54,84を有している。この実施態様においても、輸送装置1を地面に適合させることが可能である。この構成は、非常に凹凸のあるタイプの地面にとり特に有利である。この実施態様において、各地面接触部24,54,84は個別に上昇させ地面に適合させることができる。

他の実施態様において、垂直アクチュエータの板(プレート)状地面接触部24,54,84は、地面が平坦である場合に当該輸送装置1が車輪で走行することができるように小さな電気的に駆動される車輪(図示略)により置換することができる。地面が平坦でない場合、輸送装置1は、単に剛的な地面接触部として働く制動された車輪で歩行することができる。

図37は第3の上る方法により階段を上っている輸送装置1を示す。このような上る方法により、1つの歩行エレメントの地面接触部24,54,84を異なる高さのレベル(ここでは、階段の異なる踏み段)に位置させることができることに言及されるべきである。これにより、地面接触部24,54,84を複数の踏み段上に同時に位置させることができる。

図38a〜42bは輸送装置1の第13実施態様により非平坦な地面を乗り越える方法の好ましい実施態様を時間順序図で示すもので、時間順序は図番38,39,40,…により決定され、同じ図番の“a”及び“b”は同一のフェーズであるが異なる視点からのものを示す。輸送装置1の第13実施態様は中央歩行エレメント80の前側垂直アクチュエータ122と後側垂直アクチュエータ126との間にヒンジ118を有し、該ヒンジ118の回転軸は当該輸送装置1の前後移動方向と平行である。このヒンジ118を使用することにより、中央地面接触部84を当該輸送装置1の前後移動方向と直交する方向における地面の向き(orientation)に適合(順応)させることができる。

上記ヒンジ118はロック可能である。ということは、該ヒンジ118を、中央歩行エレメント80の地面接触部84が所望の位置に順応した後に、如何なる角度位置でもロックすることができることを意味する。ヒンジ118をロックすることにより、中央歩行エレメント80のシャフト82と地面接触部84との間の角度は、最早、変更することはできない。ということは、当該輸送装置1が中央歩行エレメント80でのみ立っている場合、該装置は安定して立ち、上記ヒンジの軸の周りで傾斜することはないということである。図38a及び38bに示されるように、輸送装置1は当該地面における傾斜を持つ或る部分に立っている。この傾斜は、荷運搬体10が水平となるような側部歩行エレメント20,50の異なる長さにより補償される。図39a及び39bには、中央歩行エレメント80の水平アクチュエータ88が該中央歩行エレメントを延長するように駆動されたことを示している。図39aにおける地面接触部84の左側部分は既に地面に接触しているが、右側部分は依然として自由となっている。このフェーズにおいて、該中央歩行エレメント80のヒンジ118はロックを解除されている。

図40a及び40bにおいて、垂直アクチュエータ122,126は地面接触部84を、該地面接触部84が全体的に地面に接触するまで下降させている。この状態において、上記ヒンジ118はロックされる。

図41a及び41bに見られるように、当該輸送装置1は、一方向に傾くことなく、中央歩行エレメント80のみで立っている。

図42a及び42bにおいて、当該輸送装置1は、再び、中央歩行エレメント80が最早地面に接触しないようにして2つの側部歩行エレメント20,50のみで立っている。見られるように、中央歩行エレメント80の地面接触部84は、当該地面の傾斜に順応するためにとられた姿勢に留まっている。ここでは、他の順応ステップに進むためにヒンジ118をロック解除することができるか、又は該ヒンジ118をロック状態に維持することもできる。このことは、当該地面の順応される傾斜が幾らかの距離にわたって続く場合に特に望ましい。

図43〜45は輸送装置1の第14実施態様を示し、該実施態様は車輪32,62,112と分離された地面接触部84との組み合わせを有している。歩行エレメント20,50,80の車輪は垂直アクチュエータの間に配置されている。該第14実施態様の他の新たなフィーチャは、中央歩行エレメント80の地面接触部84のデザインである。図43及び44に見られるように、2つの垂直アクチュエータ122,126の各々は下端に別個のヒンジ118を有している。このヒンジ118には、2つの地面接触部84が取り付けられている。これら2つの地面接触部は、前後移動方向に直交する方向において互いに隔てられている。当該中央歩行エレメント80の第2垂直アクチュエータに対しても、同一の構成の地面接触部が設けられる。これら2つの地面接触部の構成体は、前述したように、互いに独立にロックすることができる。従って、当該輸送装置1の地面接触部は、変化する地面に対して非常に柔軟に順応させることができる。

図45は該第14実施態様の概略正面図を示し、当該輸送装置1は全ての地面接触部24,54,84で立っている。

図46〜48cは、前記他の実施態様で説明した輸送装置を使用する身体障害者用輸送装置2を示す。身体障害者は輸送装置1により立ち姿勢で動き回ることができると共に、障害物を越えて歩行し又は車輪で走行することができる。従って、当該輸送装置2は日常生活の全ての行動の間に、特に階段を上るために使用することができる。前述した実施態様に加えて、該第15実施態様は回動アーム210、支持構造体220、胴部支持具230及び能動ヒンジ240(これらは、人昇降/固定構造体を形成する)を有している。人は、胴部固定具230により輸送装置2の回動アーム210に固定される。これに加えて、人は、ハンドグリップ(握り)装置220にしっかりと掴まり、自身を着座位置(着座姿勢)から立ち位置(立ち姿勢)まで起立させることができる。

図48a〜48cは身体障害者が輸送装置2に乗り込むのを支援する好ましい方法を示す。図48aでは、当該身体障害者が何らかの種類の椅子に座っていることが分かる。該輸送装置2の回動アーム210は当該人に向かう方向に回動して降下される。この姿勢において、人の脚は、該人が自身をベルトにより回動アーム210の胴部固定具230に固定することができるように持ち上げられる。図48bに示される次のフェーズにおいて、該身体障害者用輸送装置2は垂直アクチュエータを、当該身体障害者が自身で起立することを一層快適にさせるために該輸送装置2が可能な限り地面に近づくように駆動する。回動アーム210が直立位置まで移動された場合、当該身体障害者は輸送装置1上の立ち位置まで起立される。該人は、上記ハンドグリップ装置220にしっかりと掴まることができる。該ハンドグリップ装置には、人が当該輸送装置を制御すること(特には、走行及び歩行運動)を可能にする如何なる種類の制御装置を取り付けることもできる。

図48cは該身体障害者用輸送装置2の歩行方法を示している。該歩行方法は、例えば図4a〜4hに関する記載で説明した方法に対応する。

ハンドグリップ装置220は、着座した人の腰の高さまで又は該高さより下まで下降させることができる。このことは、当該人の完全な視界、及び当該輸送装置に結ばれている人による普通の机又は他の家具の使用を可能にする。

図49〜53は本発明の第16実施態様を示す。ここでは、輸送装置1は別体の屋内装置300のためのデッキ又はベイ(倉)として機能し、該屋内装置は残りの輸送装置1に接続し又は該輸送装置から分離することができる。

図49は輸送装置1及び該輸送装置に連結された別体の屋内装置300の正面図を示す。該電動式屋内装置300により、身体障害者は建物内を立ち及び着座姿勢で容易に動き回ることができる。該身体障害者は日常生活において該屋内装置300を“装着”することができると共に、該屋内装置300を身体に結ばれせたまま座ることもできる。

当該別体の屋内装置300は、ドイツ国特許出願第DE102011006359.5.1号(未公開)に詳細に記載されている。この屋内装置300は、該屋内装置300を操縦するための少なくとも1つのモータを備えたシャーシ、下端で該シャーシに回動可能に接続された回動アーム310、及び該回動アーム310の上端に接続された骨盤支持具320を有している。このような屋内移動支援装置300によれば、身体障害者は上記骨盤支持具320が自身の身体に取り付けられたままで座ることができ、該屋内装置300により上記シャーシ上での立った又は座った姿勢で動き回ることができ、自身を座った姿勢から立った姿勢へ変えることができる。好ましくは、該屋内装置300の、当該人の身体に直接接触する構成要素を除き、座った人の骨盤の高より上に延びる全ての構成要素は、この高さ以下に低下させることができるようにする。

屋内装置300は、身体障害者が日常生活において外部からの助けを余り必要とせず、且つ、車椅子、リフト装置等の装置を余り必要としないように、特に建物内での使用のために設計されている。輸送装置1との組み合わせで、当該屋内装置300は、屋内及び屋外で使用することができると共に車輪で走行するか又は歩行エレメントで歩くことができる、モジュール型の身体障害者用移動支援装置1,300として機能する。

身体障害者の安定した立ち姿勢を保証するために、上記屋内装置300は好ましい実施態様において脛骨支持具340及びハンドグリップ330を更に有する。屋内装置300は、該屋内装置300の前部及び該屋内装置300の後部に配置された支持バー360を有する。これら支持バー360は当該屋内装置300の輸送装置1に対する機械的接続を行う。該支持バー360及び輸送装置1における対応する支持プレート412により、該屋内装置は望む場合に輸送装置1に連結することができる。これら支持バー360は、屋内装置300が輸送装置1に連結された場合、該屋内装置300の安定性を更に上昇させる。支持バー360は、当該輸送装置1が歩行エレメント20,50,90,100で歩行しているか、又は該輸送装置が屋内装置300の車輪370で走行しているかの事実に依存して、屋内装置300及び身体障害者の重力を輸送装置1に、及び逆に輸送装置1から屋内装置300に伝達する。

更に、これらの支持バー360はオプションとして輸送装置1と屋内装置300との間のエネルギ及び/又はデータ接続を行うことができる。このようにして、輸送装置1は屋内装置300の制御装置により制御することができる。更に、屋内装置300のエネルギ源は輸送装置1のエネルギ源(例えば、電池)を使用することにより節約することができる。

輸送装置1は、2つの側部歩行エレメント20,50と、2つの中央歩行エレメント90,100と、荷運搬体10の上記2つの中央歩行エレメント90,100の間の中央低下部12とを有している。図示の実施態様における歩行エレメント20,50,90,100は障害物上を歩く場合の安定性を改善するために、各々、2つの地面接触部24,54,94,104及び2つの垂直アクチュエータ26,56,96,106を有している。

屋内装置300の中央部分には、追加の歩行エレメント(図示略)を組み込むことができる。この歩行エレメントは垂直運動のためのリニアアクチュエータ及び垂直軸の周りの回転のための回転アクチュエータを有する。この場合、該歩行エレメントは輸送装置1を持ち上げると共に、その場で該輸送装置1を回転させるために使用することができる。このことは、角を回る階段を歩行するために、又は回転するために僅かな空間しかない他の状況がある場合に特に有用である。

荷運搬体10の中央低下部12は、固体板、好ましくは屋内装置300の車輪370及び付加的な歩行エレメントのための凹部(孔)を備えたプレートから、最も好ましくは開放底からなることができる。中央低下部12が屋内装置300の車輪370及び付加的な歩行エレメントのための孔を備えたプレートからなる場合、該屋内装置が前記シャーシの底面の大部分により荷運搬体10の該低下部12上に載る場合に該屋内装置300と輸送装置1との間の機械的連結の安定性を更に向上させることができる。

上記中央低下部12が屋内装置300の車輪370のための孔を備えたプレートから又は開放底からなる場合、該屋内装置300と輸送装置1との組み合わせを走行モードで動作させることができる。この“走行モード”において、輸送装置1の歩行エレメント20,50,90,100は引き込まれ、屋内装置300と該輸送装置1との組み合わせは、該屋内装置300の車輪370だけに載る。従って、輸送装置1と屋内装置300との間の支持バー360による連結は、ロック可能に設計されねばならない。このように、歩行エレメント20,50,90,100が引き込まれ、最早、地面に接触していない場合、屋内装置300は輸送装置1を運搬することができる。かくして、屋内装置300が輸送装置1に連結されている場合にも、一層高速な走行モードで動き回ることができる。輸送装置1と屋内装置1との分離は、走行モードを使用するために必要ではない。

“歩行モード”においては、輸送装置1の歩行エレメント20,50,90,100は伸長され、屋内装置300と該輸送装置1との組み合わせは、該輸送装置1の地面接触部24,54,94,104のみに載る。

屋内装置300を輸送装置1に接続するために、該屋内装置300に固定された身体障害者は輸送装置1に“乗り込む”。好ましい実施態様においては、荷運搬体1の低下部12上に前方向に及び/又は後方向に進入することができる。この目的のために、輸送装置1は下降された位置にされ、屋内装置300がイモビライザ(固定)バー418(好ましくは、地面に接触する)を越えて進むことができるようにする。好ましい実施態様において、上記イモビライザバー418は前記低下部12の下側前端に取り付けられる。屋内装置300がイモビライザバー418を越えて進んだ場合、該イモビライザバー418は屋内装置300が自身の位置に留まり、当該低下部12から不注意に進み出ることが防止される。

次のステップにおいて、当該身体障害者は輸送装置1を、該輸送装置1の制御手段により前記支持バー360が輸送装置1の支持プレート412に接続されるまで持ち上げる。好ましくは、これらの接続はロックすることができ、屋内装置300と輸送装置1との組み合わせが走行モードにおいて屋内装置300の車輪370のみに載っている場合に、該屋内装置300が輸送装置1を運ぶことができることを可能にする。

次のステップにおいて、当該身体障害者は安全性を増すために固定横木(クロスバー)414を支持プレート416に取り付けることができる。好ましい実施態様では、上記支持プレート416は当該輸送装置の制御装置に接続されており、上記固定クロスバーが該支持プレートに正しく取り付けられている場合にのみ、屋内装置300と輸送装置1との組み合わせで走行/歩き回ることができるようにする。

次のステップにおいて、当該身体障害者は望むように歩行又は走行することができる。組み合わせ装置300,1の一部として、輸送装置1は一層大きく、屋外使用のために作製される。当該デッキが邪魔になりすぎるか又は屋外移動能力が必要でない場合、ユーザは輸送装置1を“乗り捨てる”ことができる。即ち、人は自宅からオフィスまで組み合わせ装置で歩行し、オフィスの入口で当該デッキを乗り捨て、次いで、オフィスビル内では屋内装置300を使用する。

好ましくは、輸送装置1は異なる幅に設計され、当該輸送装置を当該身体障害者の臀部の幅を考慮して適合させることができる。

図50a〜50bは当該第16実施態様の輸送装置1を示す。支持プレート412は、屋内装置300の支持バー360の相手方として働く。これらの支持プレート412は、オプションとして、屋内装置300と輸送装置1との結合を容易にするために心出しユニットを有することができる。更に、これらの支持プレート412は、オプションとして、輸送装置1と屋内装置300との間のエネルギ及び/又はデータ接続を行うために使用することもできる。このようにして、輸送装置1は屋内装置300の制御装置により制御することができ、従って屋内装置300のエネルギ資源が節約される。

前記イモビライザバー418、固定クロスバー414及び支持バー360は、安定性を向上させると共に、当該輸送装置1を使用する人の安全性を向上させる。全ての手段は、輸送装置1及び屋内装置300が、連結されている間には、互いに移動し得ないことを、自身で及び好ましくは組み合わせで保証する。

輸送装置1の後部パネル420は、当該輸送装置1の安定性を増加させる。加えて、この後部パネル420は、屋内装置300及び輸送装置1の連結の間において屋内装置300の前後方向における正しい位置を確かなものとするための停止面として働く。

図50bは前記固定クロスバー414の支持プレート416を詳細に示す。これらのプレート416は心出しユニット、ロック手段、安全手段等を有することもできる。例えば、支持プレート416の安全手段を輸送装置1の制御装置に接続することも可能である。従って、当該輸送装置1の動作を開始することができる前に、固定クロスバー414が正しくロックされていることを確実にすることができる。

図51a〜51dは走行モードの屋内装置が連結された輸送装置1を3つの異なる斜視図で示す。

図52a及び52bから分かるように、屋内装置により荷運搬体10の中央低下部12上に前方向及び後ろ方向に乗り込むことができる。屋内装置300が何の方向で(後ろ方向に又は前方向に)輸送装置1に連結されるかは問題ではない。

図53a及び53bは、荷運搬体10の中央低下部12上に前方向に乗り込まれた屋内装置300を示している。図53aは固定クロスバー414が取り付けられていない状態を示している。図53bは固定クロスバー414が定位置にあり、輸送装置1が屋外使用のための準備が整った状態を示している。

上述した様に、障害物(例えば階段)上を特に平衡がとれ且つ安全な態様で歩行することを可能にする新規な輸送装置1が提示された。このような輸送装置は、更に、車輪による平坦な地面上の高速走行及び歩行エレメントによる障害物上の歩行の両方を可能にするために車輪を有することができる。これらの輸送装置1のフィーチャは、身体障害者の移動性を改善するための用途に特に有益である。このような輸送装置を使用することにより、身体障害者の屋内及び屋外の日常の移動の要求は高度に支援される。

QQ群二维码
意见反馈