中性ビームを配向するための方法および装置

申请号 JP2015556236 申请日 2014-02-04 公开(公告)号 JP2016507133A 公开(公告)日 2016-03-07
申请人 エクソジェネシス コーポレーション; エクソジェネシス コーポレーション; 发明人 カークパトリック,ショーン,アール.; チャウ,ソン;
摘要 ガスクラスターイオンビームに由来する中性ビームの偏向を生じさせるための装置および方法は、ガスクラスターの解離およびイオンの除去を行う前に前記ガスクラスターイオンビームを偏向する。
权利要求

初期経路を外囲する出口開口を有するイオンソースで形成された初期経路を有するガスクラスターイオンビームに由来する中性ビームの方向を制御するための装置であって、 (a)前記出口開口から離隔され、かつ前記初期経路を外囲する開口を有する加速電極であって、前記加速電極およびその開口は、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第1の傾斜軸に沿って第1の傾斜で傾斜され、更に前記加速電極は、前記イオンソースの前記出口開口と前記加速電極の開口との間の領域において前記ガスクラスターイオンビームを加速するべく、前記イオンソースに対して電気的にバイアスされ、更に前記第1の傾斜角によって、前記ガスクラスターイオンビームが第1の偏向経路に沿って前記初期経路から離れるように偏向される、該加速電極と、 (b)前記偏向されたガスクラスターイオンビームのためのドリフト空間であって、加速されたガスクラスターイオンビームにおけるガスクラスターイオンの解離が生じ、加速された中性粒子が生成される、該ドリフト空間と、 (c)前記加速された中性粒子が中性ビームとして前記偏向されたビーム経路に従うように、前記偏向されたビーム経路からイオンを除去するべく中性粒子からイオンを分離するための手段と、を備えることを特徴とする装置。前記第1の傾斜角は、90度未満であることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記第1の傾斜角は、70度超であることを特徴とする請求項2に記載の装置。前記第1の傾斜角は制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームに結果的に生ずる偏向が可変であることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記加速電極およびその開口は、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第2の傾斜軸に沿って第2の傾斜角で傾斜され、前記結果的に生ずる偏向が複合偏向であることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記第2の傾斜角は、90度未満で、かつ70度超であることを特徴とする請求項5に記載の装置。前記偏向が、中性ビーム位置整合またはセンタリング効果を提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。前記第2の傾斜角は制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームの前記結果的に生ずる偏向が可変であることを特徴とする請求項5に記載の装置。前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角は各々が制御可能に可変であって、前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは異なることを特徴とする請求項1に記載の装置。ラスター走査される中性ビームを生成するべく、前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角は各々が制御するための手段を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。初期経路を外囲する出口開口を有するイオンソースで形成された初期経路を有するガスクラスターイオンビームに由来する中性ビームの偏向を生成するための方法であって、 (a)前記出口開口から離隔され、かつ前記初期経路を外囲する開口を有する加速電極を設けるステップと、 (b)前記イオンソースの前記出口開口と前記加速電極の開口との間の領域において前記ガスクラスターイオンビームを加速するべく、前記加速電極を前記イオンソースに対して電気的にバイアスするステップと、 (c)前記加速電極およびその開口を、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第1の傾斜軸に沿って第1の傾斜角で傾斜させる第1の傾斜ステップであって、前記ガスクラスターイオンビームを第1の偏向経路に沿って前記初期経路から離れるように偏向させる、該第1の傾斜ステップと、 (d)前記偏向されたガスクラスターイオンビームのためのドリフト空間であって、加速されたガスクラスターイオンビームにおけるガスクラスターイオンの解離が生じ、加速された中性粒子が生成される、該ドリフト空間を提供するステップと、 (e)前記加速された中性粒子が中性ビームとして前記偏向されたビーム経路に従うように、前記偏向されたビーム経路からイオンを除去するべく中性粒子からイオンを分離するステップとを含むことを特徴とする方法。前記第1の傾斜角は、90度未満で、かつ70度超であることを特徴とする請求項11に記載の方法。前記第1の傾斜角は、制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームに結果的に生ずる偏向が可変であることを特徴とする請求項11に記載の方法。前記加速電極およびその開口を、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第2の傾斜軸に沿って第2の傾斜角で傾斜させる第2の傾斜ステップであって、複合偏向である結果的に生ずる偏向を生成する、該第2の傾斜ステップを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。前記第2の傾斜角は、前記初期経路に対して90度未満で、かつ70度超であることを特徴とする請求項14に記載の方法。前記偏向が、前記中性ビームを位置整合させるか、またはセンタリングさせることを特徴とする請求項11に記載の方法。前記第2の傾斜角は制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームの前記結果的に生ずる偏向が可変であることを特徴とする請求項14に記載の方法。前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角は各々が制御可能に可変であって、前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは異なることを特徴とする請求項11に記載の方法。 前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは相互に、および前記初期経路に対して直交し得る。走査される中性ビームを生成するべく、前記第1の傾斜角または前記第2の傾斜角を可変的に制御するステップを更に含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。二次元に走査される中性ビームを生成するべく、前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角を可変的に制御するステップを更に含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。

说明书全文

本発明は、概して、中性ビーム処理ツールまたは他の装置において中性ビームをステアリングまたは配向するための方法および装置に関する。特に本発明は、加速されたガスクラスターイオンビーム(GCIB)に由来する加速された中性ビームのステアリング、配向、または位置整合に関する。中性ビームは、好ましくはGCIBに由来する加速された中性モノマービームである。

長きにわたって、イオンは、それらの電荷によって静電界および磁界によるそれらの操作が容易となるため、多くの処理での使用に好ましいものとされてきた。この操作の容易さにより、処理における大きな柔軟性が導入される。しかし、いくつかの用途では、(GCIBにおけるガスクラスターイオンを含む)あらゆるイオンに固有の電荷が、処理される表面に対して望ましくない効果を与え得る。GCIBは、1個のまたは小さい多重電荷を有するガスクラスターイオンにより、従来のイオン(イオン化された単原子、分子、または分子断片)と比較して、より大きいマスフロー(クラスターは、数百または数千の分子からなり得る)の輸送や制御を可能にする点で従来のイオンビームとは異なる利点を有する。特に、絶縁材料の場合、イオンを用いて処理された表面は、蓄積された電荷の急激な放電、または(これも蓄積された電荷から生ずる)有害な電界により誘導される材料における応の発生の結果として生ずる電荷に誘導された損傷を受けることが多い。多くのそのような場合、GCIBは、質量当たりの電荷が比較的低いことによる利点を有するが、いくつかの場合には、ターゲットを荷電する問題を除去し得ない。更に、高電流強度イオンビームを抑えると、長い距離にわたるよく集束されたビームの輸送を阻害する傾向を有するビームの空間電荷によって誘導される、焦点のずれが生じ得る。また、従来のイオンビームと比較して質量当たり電荷が低いことにより、GCIBは利点を有するが、空間電荷ビーム輸送の問題を完全にはなくせない。

加速されたGCIBに由来する中性ビームを生成するためのいくつかの方法および装置、並びにそれらのビームの幅広い用途が、同一出願人による米国特許出願公開第2012−0045615号明細書に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。

加速されたGCIBに由来する中性ビームは、長距離にわたる荷電ビームの輸送に関連する問題とともに、ワークピースへの電荷を輸送から生ずる問題を完全に回避する。しかし、中性ビームを用いた加工における困難性とは、中性ビームは、静電界および磁界によって容易に操作されないことである。従って、ビームの位置整合、ビームのセンタリング、およびビームの走査等の処理は、中性ビームを採用した場合に調節がより困難になる。多くの場合、加速されたGCIBの中性化によって中性ビームの発生元となり得る初期ガスクラスタージェットの僅かな位置ずれが、ビームラインおよびワークピースとの位置整合がよくとられていない中性ビームを生じさせ得る。初期ビームが注意深い設計または調節によってよく位置整合されていたときでさえ、定期的な装置のクリーニングまたは他の保守作業中に生じ得る、下流のビームライン要素のポジショニングまたは位置整合の小さな変化のために、中性ビームの操作が比較的困難であることから修正が困難な位置ずれを引き起こし得る。

イオンビームの場合、ビームの偏位および走査は、ビームラインにおける静電式または磁気式の偏向器および走査要素を用いて容易に達成できる。中性ビームは、従来はビームの寸法より大きいワークピースの一様な走査を達成するためには固定ビームによるワークピースの機械的走査を使用することに限定されていた。

従って、本発明の目的は、GCIBに由来する中性ビームの度のずれを修正するための方法および装置を提供することである。

本発明の別の目的は、GCIBに由来する中性ビームの偏向を導入するための方法および装置を提供することである。

本発明の更に別の目的は、ワークピースまたは他の物体に対して、GCIBに由来する中性ビームを走査するための方法および装置を提供することである。

中性ビームの形成においては、従来のGCIBが生成され、その後ガスクラスターイオンが、所望のエネルギーまで加速される。加速されたガスクラスターイオンは、その後、非汚染式の方法を用いて、中性粒子と荷電粒子とに解離または部分的に解離される。中性粒子は、中性クラスターおよび/または中性モノマーであって、好ましくは中性モノマーである。解離の後、ガスクラスターイオンを形成する元の電荷はビームから除去され、多くのワークピース処理の要求について優れている加速された中性ビームが残る。

ガスクラスターイオンの加速中および中性粒子を提供する解離の大部分の以前に、ビームは基本的に電界によって操作され得るガスクラスターイオンビームである。その期間中、中性ビームへの変換の前に静電的にビームを操作することによって、イオンの軌道に影響を与え、位置整合、偏向、または走査を提供できる。このように形成された軌道は、GCIBに由来する中性ビームの、解離と荷電部分の分離の後の軌道となる。

こうして提供された軌道の変化は、初期GCIBまたは中性ガスジェットの角度ずれの補正の手段を与え、中性ビームの偏向および/または中性ビームの走査を提供する。

本明細書において、用語「GCIB」、「ガスクラスターイオンビーム」および「ガスクラスターイオン」は、イオン化されたビームおよびイオンのみならず、それらの荷電状態の一部が加速後に改変(中性化を含む)された加速されたビームおよびイオンも含む意味を意図して用いられる。用語「GCIB」および「ガスクラスターイオンビーム」は、加速されたガスクラスターイオンを含む全てのビームを含むが、非クラスター化粒子も含み得る意味を意図して用いられる。本明細書において、用語「中性ビーム」は、加速されたガスクラスターイオンビームに由来する中性ガスクラスターおよび/または中性モノマーのビームを意味する意図で用いられ、ここで加速はガスクラスターイオンビームの加速から生ずるものである。本明細書において、用語「モノマー」は、単原子または1種類の分子のいずれかを同様に表す。用語「原子」、「分子」、および「モノマー」は交換可能に用いられ、全て問題になるガスの特徴である適切なモノマー(クラスターの成分、クラスターイオンの成分、または原子若しくは分子)を表す。例えば、アルゴンのような単原子ガスは、原子、分子、またはモノマーによって表すことができ、またこれらの用語の各々は単原子を意味する。同様に、窒素のような二原子ガスの場合、原子、分子、またはモノマーによって表すことができ、これらの用語の各々は二原子分子を意味する。更に、CH4のような分子ガスは、原子、分子、またはモノマーによって表すことができ、これらの用語の各々は、五原子分子を意味し、他も同様である。これらの表現法は、ガス、ガスクラスター、またはガスクラスターイオンの全体の議論を、それらが気体の形態である単原子、二原子、または分子のいずれであるかとは無関係に単純化するために用いられる。

本発明の一実施形態は、初期経路を外囲する出口開口を有するイオンソースで形成された初期経路を有するガスクラスターイオンビームに由来する中性ビームの方向を制御するための装置であって、(a)前記出口開口から離隔され、かつ前記初期経路を外囲する開口を有する加速電極であって、前記加速電極およびその開口は、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第1の傾斜軸に沿って第1の傾斜角で傾斜され、更に前記加速電極は、前記イオンソースの前記出口開口と前記加速電極の開口との間の領域において前記ガスクラスターイオンビームを加速するべく、前記イオンソースに対して電気的にバイアスされ、更に前記第1の傾斜角によって、前記ガスクラスターイオンビームが第1の偏向経路に沿って前記初期経路から離れるように偏向される、該加速電極と、(b)前記偏向されたガスクラスターイオンビームのためのドリフト空間であって、加速されたガスクラスターイオンビームにおけるガスクラスターイオンの解離が生じ、加速された中性粒子が生成される、該ドリフト空間と、(c)前記加速された中性粒子が中性ビームとして前記偏向されたビーム経路に従うように、前記偏向されたビーム経路からイオンを除去するべく中性粒子からイオンを分離するための手段とを備えることを特徴とする装置を提供する。

前記加速電極は、前記加速電極を十分に傾動可能とするべく前記出口開口から離隔され得る。前記第1の傾斜軸は、前記初期経路を通過し得る。前記第1の傾斜角は、前記初期経路に対して90度未満および/または70度超であり得る。前記第1の傾斜角は制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームに結果的に生ずる偏向が可変であり得る。

前記加速電極およびその開口は、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第2の傾斜軸に沿って第2の傾斜角で傾斜され、前記結果的に生ずる偏向が複合偏向であり得る。前記偏向が、中性ビーム位置整合またはセンタリング効果を提供し得る。前記第2の傾斜角は制御可能に可変であり得、前記ガスクラスターイオンビームの前記結果的に生ずる偏向が可変である。

前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角は各々が制御可能に可変であって、前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは異なり得る。前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは相互に、および前記初期経路に対して直交し得る。前記装置は、ラスター走査される中性ビームを生成するべく、前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角は各々が制御するための手段を更に備え得る。

本発明の別の実施形態は、初期経路を外囲する出口開口を有するイオンソースで形成された初期経路を有するガスクラスターイオンビームに由来する中性ビームの偏向を生成するための方法であって、(a)前記出口開口から離隔され、かつ前記初期経路を外囲する開口を有する加速電極を設けるステップと、(b)前記イオンソースの前記出口開口と前記加速電極の開口との間の領域において前記ガスクラスターイオンビームを加速するべく、前記加速電極を前記イオンソースに対して電気的にバイアスするステップと、(c)前記加速電極およびその開口を、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第1の傾斜軸に沿って第1の傾斜角で傾斜させる第1の傾斜ステップであって、前記ガスクラスターイオンビームを第1の偏向経路に沿って前記初期経路から離れるように偏向させる、該第1の傾斜ステップと、(d)前記偏向されたガスクラスターイオンビームのためのドリフト空間であって、加速されたガスクラスターイオンビームにおけるガスクラスターイオンの解離が生じ、加速された中性粒子が生成される、該ドリフト空間を提供するステップと、(e)前記加速された中性粒子が中性ビームとして前記偏向されたビーム経路に従うように、前記偏向されたビーム経路からイオンを除去するべく中性粒子からイオンを分離するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。

前記加速電極は、前記加速電極を十分に傾動可能とするべく前記出口開口から離隔され得る。前記第1の傾斜軸は、前記初期経路を通過し得る。前記第1の傾斜角は、前記初期経路に対して90度未満で、かつ70度超であり得る。前記第1の傾斜角は、制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームに結果的に生ずる偏向が可変であり得る。前記方法は、前記加速電極およびその開口を、前記ガスクラスターイオンビームの前記初期経路に対して第2の傾斜軸に沿って第2の傾斜角で傾斜させる第2の傾斜ステップであって、複合偏向である結果的に生ずる偏向を生成する、該第2の傾斜ステップを更に含み得る。前記第2の傾斜角は、前記初期経路に対して90度未満で、かつ70度超であり得る。前記偏向が、前記中性ビームを位置整合させるか、またはセンタリングさせ得る。前記第2の傾斜角は制御可能に可変であって、前記ガスクラスターイオンビームの前記結果的に生ずる偏向が可変であり得る。前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角は各々が制御可能に可変であり得、前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは異なり得る。前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とは相互に、および前記初期経路に対して直交し得る。前記方法は、走査される中性ビームを生成するべく、前記第1の傾斜角または前記第2の傾斜角を可変的に制御するステップを更に含み得る。前記方法は、二次元に走査される中性ビームを生成するべく、前記第1の傾斜角および前記第2の傾斜角を可変的に制御するステップを更に含み得る。

図1は、GCIBを用いてワークピースを処理するためのGCIB処理装置1100の要素を概略的に示す図である。

図2は、イオンビームの走査およびワークピースの操作が利用される、GCIBを用いてワークピースを処理するための別のGCIB処理装置1200の要素を概略的に示す図である。

図3は、荷電ビームと非荷電ビームを分離するための静電偏向プレートを用いる、中性ビーム処理装置1300の概略図である。

図4は、中性ビーム測定のための熱センサを用いる中性ビーム処理装置1400の概略図である。

図5は、本発明の実施形態による単純化された中性ビーム処理装置1500の概略図である。

図6は、中性ビームの機械的ステアリングを可能にする、本発明の実施形態の基礎となる概念を示す概略図600である。

図7Aおよび図7Bは、本発明の実施形態において使用するための傾動可能接地電極アセンブリ700の2つの四面図である。

図8は、本発明の実施形態において採用され得る中性ビーム処理装置1550の概略図である。

エネルギーを有する従来のイオン、加速された荷電された原子または分子のビームは、半導体デバイスの接合部を形成するため、スパッタリングおよびエッチングにより表面を改変するため、および薄膜の特性を改変するために広く利用されている。従来のイオンと異なりガスクラスターイオンは、標準的な温度および圧力の条件で気体である材料(一般的には、酸素、窒素、またはアルゴン等の不活性ガスであるが、あらゆる圧縮可能な気体が、ガスクラスターイオンを生成するために使用され得る)の弱く結合された原子または分子の多数の(平均値が2、3千である数百から数千の典型的な分布を有する)クラスタから形成され、クラスタは各々が1つまたは複数の電荷を共有し、大きな電位差(約3kV〜約70kV以上)によって全体が加速され、高い総エネルギーを有するようになる。ガスクラスターイオンが形成され、加速された後、それらの荷電状態は、他のクラスターイオン、他の中性クラスター、または残存バックグラウンドガス粒子と衝突することにおって変えられるか、変化し得(たとえ中性化されていても)、従って、それらはより小さいクラスターイオンにまたはモノマーイオンおよび/または中性化されたより小さいクラスターおよび中性化されたモノマーに断片化するか、断片化するべく誘導され得るが、結果として生じるクラスターイオン、中性クラスター、およびモノマーイオンおよび中性モノマーは、大きい電位差で加速された事から生ずる比較的高い速度とエネルギーを保持する傾向にあり、加速されたガスクラスターイオンのエネルギーは、その断片にわたって分散される。

大きいガスクラスターイオン内の個々の原子のエネルギーは非常に小さく、一般的には2、3eV〜数十eVなので、原子は衝当時に、せいぜいターゲット表面の数個の原子層内にしか突入しない。このように衝当する原子の侵入が浅いこと(典型的には、ビームの加速に応じて数ナノメートル〜約10ナノメートル)は、全クラスターイオンに運ばれる全エネルギーが、1マイクロ秒未満の時間に非常に浅い表面層の非常に小さい体積に結果的に分散することを意味する。このことは、材料への侵入がときには数百ナノメートルとなり、材料の表面から深いところで変化や材料改変をもたらす従来のイオンビームとは異なっている。ガスクラスターイオンの高い全エネルギーと、非常に小さい相互作用体積のために、衝当部位における体積エネルギー密度は、従来イオンの衝突の場合より非常に大きくなる。従って、表面のGCIB改変は、原子混合の浅い領域を生成する傾向があり、従って解析ツールにおける深さプロファイリングのためのエッチング用ビームとして好ましいものとなった。表面の中性ビーム処理は、表面荷電をより少なくしつつ表面のより浅い改変しか生じさせない。

加速されたガスクラスターイオンが完全に解離され、中性化されると、結果的に生ずる中性モノマーは、元の加速されたガスクラスターイオンの全エネルギーを、加速されたときの元のガスクラスターイオンを構成していたモノマーの数NIで除したものに概ね等しいエネルギーを有することになる。そのような解離された中性モノマーは、ガスクラスターイオンの元の加速されたエネルギーおよび加速時のガスクラスターイオンのサイズに応じて、約1eVから数十eV、または数千eVものオーダーのエネルギーを有することになる。

ガスクラスターイオンビームは、既知の技術によってワークピースに照射する目的で生成され、輸送される。GCIBの経路に照射のために物体を保持するため、および物体を操作して物体の多数の部分への照射を可能にするための各種ホルダが当技術分野において知られている。中性ビームは、本明細書の教示する技術によればワークピースに照射する目的で生成され、輸送され得る。

本発明の種々の実施形態は、種々の表面および浅い表面下材料処理のために利用することができ、かつ多くの用途において従来のGCIB処理と比較して優れた結果をもたらし得る、加速されたガスクラスターイオンビームから加速された中性ガスクラスターおよび/または好ましくはモノマービームを誘導するための高ビーム純度方法およびシステムを採用し得る。中性ビーム装置は、粒子が約1eV〜2、3千eVものレベルまでの範囲のエネルギーを有する、よく集束され加速された強力な中性モノマービームを提供し得る。これは、強力な中性ビームを形成するための単純で比較的安価な装置では、従来は実用的でなかったエネルギー範囲である。

これらの加速された中性ビームは、初めに従来の加速されたGCIBを形成し、次にビームに不純物を導入しない方法および操作条件によって部分的にまたは本質的に完全にそれを解離させ、次に中性ビームからビームの残存荷電部分を分離することによって生成され、その後結果的に生じた加速された中性ビームをワークピース処理のために使用する。ガスクラスターイオンの解離の程度に応じて、生成される中性ビームは、中性ガスモノマーおよびガスクラスターの混合物であるか、または実質的に全部またはほぼ全部が中性ガスのモノマーであり得る。加速された中性ビームは、完全に解離された中性モノマービームであるのが好ましい。

本開示の方法および装置によって生成され得る中性ビームの利点は、その中性ビームが、GCIBを含む全てのイオン化されたビームの場合に通常生ずるようにビームに輸送された電荷による材料の表面の荷電に起因する材料への損傷を生ずることなく電気的に絶縁性の材料を処理するために使用できることにある。例えば、いくつかの用途では、イオンが、酸化物、窒化物等の薄い絶縁性薄膜への損傷または破壊的な荷電に寄与することが多い。中性ビームの使用により、イオンビームが表面または他の荷電効果による望ましくない副作用を生じ得る用途における、ポリマー、誘電体、および/または他の電気的に絶縁性のまたは電気的に抵抗性の材料、被膜、または薄膜のビームによる処理をうまく行うことが可能となる。例としては、(限定しないが)腐食防止被覆の処理、有機薄膜の照射による架橋および/または重合等が挙げられる。更なる例としては、ガラス、ポリマー、およびセラミック材料、並びに酸化物、窒化物およびガラス等の薄膜絶縁被膜の中性ビーム処理が挙げられる。

表面改変用途において用いられるとき、加速されたGCIBに由来する加速された中性モノマービームの別の利点は、それらが、同じ方式で使用されたGCIBを用いた場合と比較してさえ、処理された表面における破壊される層をずっと薄く形成することである。

元のGCIBは、それから加速された中性ビームが本開示の方法および装置によって形成され得、イオンを含むことから、所望のエネルギーに容易に加速され、従来のイオンビーム技術を用いて容易に集束される。中性粒子からの荷電イオンのその後の解離および分離の後、中性ビーム粒子はそれらの集束される軌跡を保持する傾向があり、良好な効果をもって長い距離にわたって輸送され得る。

ジェットとなった中性ガスクラスターが電子衝撃によってイオン化されると、それらは加熱および/または励起された状態となる。この結果、その後、加速された後にビームラインを進むにつれてイオン化されたガスクラスターからのモノマーの蒸発(evaporation)が生じ得る。さらに、イオナイザ、加速器、ビームライン領域におけるガスクラスターイオンとバックグラウンドガス分子との衝突によっても、ガスクラスターイオンが加熱および励起され、その結果、加速後のガスクラスターイオンからのモノマーの更なるその後の放出が生じ得る。モノマーを放出させるこれらのメカニズムが、GCIBがそれから形成された同じガスのバックグラウンドガス分子(および/または他のガスクラスター)との衝突および/または電子衝撃によって誘導されるとき、結果的にモノマーの放出をもたらす解離プロセスによってビームに汚染が与えられることはない。

汚染をビームに導入することなくGCIBにおいてガスクラスターイオンを解離(またはそこからモノマーの放出を誘導)するために採用されるメカニズムは他にも存在する。これらのメカニズムのいくつかは、中性ガスクラスタービームにおいて中性ガスクラスターを解離するためにも使用され得る。1つのメカニズムは、赤外または他のレーザーエネルギーを使用するガスクラスターイオンビームのレーザー照射である。レーザー照射されたGCIBにおけるガスクラスターイオンのレーザーで誘導された加熱の結果、ガスクラスターイオンの励起および/または加熱が生じ、その後のビームからのモノマーの放出を生じさせる。他のメカニズムは、ビームを熱的に加熱されたチューブに通し、放射熱エネルギーの光子がビームにおけるガスクラスターイオンに衝突するようにすることである。チューブにおける放射熱エネルギーによるガスクラスターイオンの誘導された加熱の結果、ガスクラスターイオンの励起および/または加熱が生じ、その後にビームからのモノマーの放出が生ずる。他のメカニズムでは、GCIBの形成に使用されるソースガスと同じガス(または他の非汚染ガス)か、または混合物のガスジェットによりガスクラスターイオンビームを横断させると、ガスジェットにおけるガスのモノマーとイオンビームにおけるガスクラスターとの衝突が生じ、イオンビームにおいてガスクラスターイオンの励起および/または加熱が生じ、その後に励起されたガスクラスターイオンからのモノマーの放出が起こる。GCIB解離および/または断片化を生じさせるために、初期イオン化中の電子衝突および/またはビーム内での(他のクラスターイオン、またはGCIBの形成のために使用されるのと同じガス(群)のバックグランドガス分子との)衝突および/またはレーザーまたは熱照射および/または非汚染ガスの横断ガスジェット衝突に完全に依存させることによって、他の材料との衝突によるビームの汚染が回避される。

ノズルからの中性ガスクラスタージェットがイオン化領域を通過し、そこでクラスターをイオン化するべく電子が向けられると、クラスターはイオン化されずにいるか、または(衝突する電子によるクラスターからの電子の放出により)1または複数の電荷の荷電状態qを獲得し得る。イオナイザの動作条件は、ガスクラスターが特定の荷電状態をとる可能性に影響を与え、イオナイザ条件がより強くなると、より高い荷電状態が達成される可能性が高くなる。より高いイオンか効率が結果として生ずるより強いイオナイザ条件は、より高い電子束および/またはより高い(限度内での)電子エネルギーから生じ得る。一旦ガスクラスターがイオン化されると、それは一般的にはイオナイザから取り出され、ビームに集束され、電界に落とされることによって加速される。ガスクラスターイオンの加速の度合いは、加速された電界の強さを制御することによって容易に制御される。一般的に市販のGCIB処理ツールは、概して、典型的には例えば約1kV〜70kVの調節可能な加速電位VAccを有する(限定しないが、その範囲−最大200kVかそれ以上のVAccも可能である)電界によって加速されるガスクラスターイオンを提供する。従って、1電子電荷に荷電されたガスクラスターイオンは、1〜70KeV(または、より大きいVAccが使用される場合は、それ以上の大きさ)の範囲のエネルギーを達成し、多重電子電荷に荷電された(例えば、限定しないが、荷電状態、q=3電子電荷)ガスクラスターイオンは、3〜210KeV(または、より高いVAcc)の範囲にあるエネルギーを達成する。他のガスクラスターイオン荷電状態および加速電位の場合には、クラスター当たりの加速されるエネルギーはqVAcceVである。所与のイオン化効率を有する所与のイオナイザからは、ガスクラスターイオンは、ゼロ(イオン化されていない)からより大きい数、例えば6(または、より高いイオン化効率の場合は、それ以上)等の荷電状態の分布を有し、荷電状態分布の最も可能性の高い平均値も、イオン化効率が高くなる(より高い電子束および/またはエネルギーになる)につれて大きくなる。イオナイザ効率がより高くなると、そのイオナイザで形成されるガスクラスターイオンの数も増大させる。多くの場合、GCIB処理スループットは、イオナイザを高い効率で動作させた結果として増加したGCIB流が生ずるときに増大する。そのような動作の不都合な点は、中程度のサイズのガスクラスターイオン上で生じ得る多重荷電状態が、そのようなイオンによるクレーターおよび/または粗い界面形成を増加させることがあり、多くの場合、そのような効果は、処理の意図に対して非生産的に働き得ることである。従って、多くのGCIB表面処理手法では、イオナイザ動作パラメータの選択が、ビーム流を単に最大化することより更に考慮すべき問題となる傾向があり、いくつかのプロセスでは、「圧力セル」(Swensonらの米国特許第7,060,989号明細書参照)を用いて、高温の「圧力セル」におけるガス衝突によってビームエネルギーを抑えることにより、許容可能なビーム処理性能を得ながら、イオナイザを高いイオン効率で動作させることを可能にすることができる。

中性ビームの場合には、イオナイザの高効率での動作に対する不都合はない−実際、そのような動作が、場合によっては好ましい。イオナイザを高効率で動作させる場合は、イオナイザによって生成されるガスクラスターイオンに広範囲にわたる荷電状態が存在し得る。このことによって、イオナイザと加速電極との間の抽出領域におけるガスクラスターイオン、およびその下流のビームにおいて広範囲にわたる速度が生ずる。このことにより、ビームにおけるガスクラスターイオン同士の衝突の頻度が高まることがあり、この衝突頻度の増大は最大のガスクラスターイオンの断片化の程度の増加をもたらす。そのような断片化によって、ビームにおけるクラスターサイズの再分配が生じ、より小さいクラスターサイズに偏ることがある。これらのクラスター断片は、それらの新しいサイズ(N)に比例するエネルギーを保持するので、初期の断片化されていないガスクラスターイオンの加速された速度を実質的に保持しながらエネルギーはより低くなる。衝突後の速度を保持したエネルギーの変化は、実験的に確認されている(例えば、Toyoda,Nら,”Cluster size dependence on energy and velocity distributions of gas−cluster ions after collisions with residual gas,”Nucl.Instr.&Meth.in Phys.Research B 257(2007),pp662−665に報告されている)。断片化は、クラスター断片における電荷の再分配ももたらし得る。ある程度の荷電していない断片が生じやすくなり、多重荷電したガスクラスターイオンは、いくつかの荷電ガスクラスターイオンに断片化し、おそらくいくらかは荷電していない断片となり得る。本発明者らは、イオナイザおよび励起領域における集束電界の設計によって、より小さいガスクラスターイオンおよびモノマーイオンの集束を向上させ、ビーム励起領域および下流のビームにおいて比較的大きいガスクラスターイオンの衝突の可能性を高められ、そのことがガスクラスターイオンの解離および/または断片化に資することを理解した。

本発明の実施形態では、イオナイザ、加速領域、およびビームラインにおけるバックグラウンドガスの圧力が、任意選択で、良好なGCIB伝送のために通常利用されるより高い圧力を有するように構成され得る。このことにより、ガスクラスターイオンからモノマーが(初期のガスクラスターイオン化事象から生ずる加熱および/または励起から生ずる量を超えて)更に放出され得る。圧力は、ガスクラスターイオンが、それらがバックグラウンドガス分子との複数回の衝突を経なければならい程度に十分に短い平均自由行程、およびイオナイザとワークピースとの間の十分に長い飛行行程を有するように構成され得る。

Nモノマーを含み、荷電状態qを有し、かつVAccボルトの電界ポテンシャル降下によって加速された均一なガスクラスターイオンの場合、そのクラスターは、NIを加速時におけるクラスターイオン中のモノマーの数とすると、概ねモノマー当たりqVAcc/NIeVのエネルギーを有する。最小のガスクラスターイオンを除いて、そのようなイオンと、クラスターソースガスと同じガスのバックグラウンドガスモノマーとの衝突により、ガスクラスターイオンへの約qVAcc/NIeVの追加の堆積が生ずることになる。このエネルギーは、ガスクラスターイオンの全体のエネルギー(qVAcc)と比較して小さく、概して、結果的にクラスターの励起または加熱を生じさせ、その後のクラスターからのモノマーの放出を生じさせることになる。より大きいクラスターとバックグラウンドガスとのそのような衝突がクラスターを断片化させることは殆どなく、むしろそれを加熱および/または励起させて、蒸発または類似のメカニズムによってモノマーを結果的に放出させることになると考えられる。ガスクラスターイオンからのモノマーまたはモノマー群の放出を結果的に生じさせる励起の源とは無関係に、放出されたモノマーは概ね同じ粒子当たりエネルギー、qVAcc/NIeVを有し、それらの放出元であるガスクラスターイオンと概ね同じ速度と軌道を保持する。そのようなモノマー放出がガスクラスターイオンから生じたとき、それらが元のイオン化事象による励起または加熱、衝突、または放射加熱のいずれから生じたとしても、電荷は、より大きいガスクラスターイオンで維持される可能性が高い。従って、一連のモノマー放出の後、大きいガスクラスターイオンは、おそらくはより小さい残留ガスクラスターイオン(または、断片化も生じている場合には、複数のより小さい残留ガスクラスターイオンの可能性もある)と同時移動するモノマーのクラウドに縮小され得る。元のビーム軌道を辿って同時移動するモノマーは全て、元のガスクラスターイオンと概ね同じ速度を有し、各々が約qVAcc/NIeVのエネルギーを有する。小さいガスクラスターイオンの場合は、バックグラウンドガスモノマーとの衝突のエネルギーは、完全にかつ破壊的に小さいガスクラスターを解離させる場合が多く、そのような場合、生ずるモノマーがビームとともに移動を継続するか、ビームから放出されるかは不確定である。

GCIBがワークピースに達する前に、ビームにおける残りの荷電された粒子(ガスクラスターイオン、特に小さいか中間サイズのガスクラスターイオンおよびいくらかの荷電されたモノマーであるが、いくらかの残存する大きいガスクラスターイオンも含む)は、ビームの中性部分から分離され、ワークピースを処理するための中性ビームのみが残る。

典型的な動作においては、処理ターゲットに供給される全ビーム(荷電されたビームプラス中性ビーム)における電力に対する中性ビーム成分の電力の割合は、約5%〜95%の範囲にあり、従って、その分離方法および装置によって、全ての加速された荷電されたビームの運動エネルギーのその部分を、ターゲットに中性ビームとして供給することができる。

ガスクラスターイオンの解離およびそれによる高い中性モノマービームエネルギーの生成は、(1)より高い加速電圧で動作させることによって促進することができる。これは、あらゆるクラスターサイズに対してqVAcc/Nを増大させる。(2)また高いイオナイザ効率で動作させることによって促進することができる。これは、qを増大させることによってあらゆるクラスターサイズに対してqVAcc/Nを増大させ、クラスター間の荷電状態の差に起因する励起領域におけるクラスターイオン同士の衝突を増加させる。(3)また高いイオナイザ、加速領域、またはビームライン圧力で、若しくはビームを横断するガスジェットまたは長いビーム経路で動作させることによって促進することができ、これらは全て所定のサイズのガスクラスターイオンのためにバックグラウンドガス衝突の可能性を高める。(4)またレーザ照射またはビームの熱放射加熱を用いて動作させることによって促進することができ、これはガスクラスターイオンからのモノマーの放出を直接促進する。(5)またより高いノズルのガス流で動作させることによって促進することができ、これは、クラスター化された、およびおそらくはクラスター化されていないガスの、GCIB軌道への輸送を高め、モノマーの放出を増やすことになる衝突を増大させる。

中性ビームの測定は、ガスクラスターイオンビームのために好都合に行われるように電流測定によって行うことができない。中性ビームでワークピースを照射するときには、中性ビーム電力センサを用いて線量測定を容易化する。中性ビームセンサは、ビーム(または任意選択で既知のビームのサンプル)をインターセプトする熱センサである。センサの温度上昇率は、センサエネルギービーム照射から生ずるエネルギー束に関連する。熱測定は、センサ上に入射するエネルギーの熱再照射に起因する誤差を避けるためにセンサの温度の限定された範囲にわたってなされなければならない。GCIBプロセスのために、ビーム電力(ワット)は、ビーム電流(アンペア)にVAcc、ビーム加速電圧を乗じたものに等しい。 GCIBがある時間照射(秒)にわたってワークピースを照射するとき、ワークピースが受け取るエネルギー(ジュール)は、ビーム電力と照射時間の積である。そのようなビームの処理の効果は、それがより広い領域を処理するとき、その領域(例えば、cm2)にわたって分散される。イオンビームの場合、照射されたイオン/cm2を単位とする処理ドーズ量を特定することは好都合に従来から行われており、ここでイオンは既知であるか、または加速時において平均荷電状態qを有し、かつ電位差VAccボルトで加速され、従って各イオンがqVAcceV(eVは、約1.6×10−19ジュールである)のエネルギーを有するものと仮定される。従って、VAccによって加速され、かつイオン/cm2で特定される平均荷電状態qのイオンビームドーズ量は、ジュール/cm2で表される、容易に計算されるエネルギードーズ量に相当する。ここで利用されるように加速されたGCIBに由来する加速された中性ビームの場合、加速時のqの値およびVAccの値は、(後に形成され分離される)荷電されたビームの割合分および荷電されていないビームの割合分の両方について同一である。GCIBの2つの(中性のおよび荷電された)割合分における電力は、各ビーム割合分における質量に比例して分けられる。従って、ここで使用される加速された中性ビームの場合には、等しい面積が等しい時間照射された場合における、中性ビームによって堆積されたエネルギードーズ量(ジュール/cm2)は、全GCIBによって堆積されるエネルギードーズ量より必然的に小さくなる。全GCIBにおける電力PGと中性ビームにおける電力PN(通常は全GCIBの電力の約5%〜95%であることがわかっている)と測定する熱センサを用いることによって、中性ビーム処理線量測定において使用するための補償係数を計算することができる。PNがaPGであるとき、その補償係数はk=1/aである。従って、ワークピースを、GCIBに由来する中性ビームを用いて処理する場合には、処理時間については、ドーズ量Dイオン/cm2を達成するために必要とされる全GCIB(荷電ビーム部分および中性のビーム部分を含む)の場合の処理時間よりk倍長い時間とされ、中性ビームと全GCIBの両方によってワークピースに堆積されるエネルギードーズ量は同一となる(但し、2種のビームの粒子サイズの差異に起因する処理の効果における品質の差のために、結果は異なったものとなり得る)。本明細書においては、このように補償される中性ビームプロセスのドーズ量は、ドーズ量Dイオン/cm2に等価なエネルギー/cm2を有するものとして記載されることがある。

多くの場合、線量測定のための熱電力センサとともにガスクラスターイオンに由来する中性ビームを使用することには、全ガスクラスターイオンビームまたはインターセプトされたまたはそらされたその一部(それは不可避的にガスクラスターイオンと中性ガスクラスターおよび/または中性モノマーとの混合物を含み、かつビーム電流測定を使用することによって線量測定の目的で従来のように測定される)を使用することと比較したとき利点を有する。いくつかの利点を挙げると以下の通りである。

(1)線量測定は、線量測定のために熱センサを用いる中性ビームの場合、ビームの全電力が測定されるためにより正確になり得る。線量測定のために従来のビーム電流測定を用いるGCIBの場合、ビームのイオン化された部分の寄与分のみが測定され、線量測定のために利用される。GCIB装置の動作条件に対して分単位で生ずる変化およびセットアップする度に起こる変化は、中性モノマーおよび中性クラスターの割合分に結果的に変動を生じさせ得る。これらの変動は処理の変動を結果的に生じさせることがあり、この処理の変動は、線量測定がビーム電流測定によって行われる場合に制御されにくいものとなり得る。

(2)中性ビームを用いると、イオン化されたビームによってワークピースに輸送される電荷に起因するワークピースの荷電を防止するためのターゲット中性化電子ソースを設ける必要なく、高い絶縁性を有する材料および荷電効果による損傷を受ける可能性のある他の材料を含む任意の材料を処理することができる。従来のGCIBを用いる場合、荷電を減少させるためのターゲット中性化は完全になされることは希であり、中性化電子ソース自体が、ワークピースの加熱や電子ソースにおける蒸着(evaporation)やスパッタリングからの汚染等の問題を引き起こすことが多い。中性ビームはワークピースへ電荷を輸送しないので、そのような問題は低減する。

(3)中性ビームからエネルギーを有するモノマーイオンを分離するための大型の装置である強力な磁石等の追加の装置が不要となる。従来のGCIBの場合、エネルギーを有するモノマーイオン(および他の小さいクラスターイオン)がワークピースに輸送され、それに侵入して深い損傷を与えるリスクが顕著であり、かつそのような粒子をビームから分離するために高額の磁気フィルタが規則的に必要になる。中性ビーム装置の場合、中性ビームを生成するためにビームから全てのイオンを分離することで、その本来の性質により全てのモノマーイオンが除去される。

以下の記述では、単純化のために、先に記述された図面からの要素の番号が、後に記述される図面において改めて説明することなく用いられることがある。同様に、前の図面に関連して説明された要素は、後の図面では、要素番号または追加の説明なく記載されることがある。そのような場合、類似の番号を有する要素は、類似の要素であり、前に説明したのと同じ特徴および機能を有し、そのときに関連する図面において示されていない要素番号は、前に説明した図面番号の図面に示されたものと同じ機能を有する類似の要素を表す。

ここで図1を参照すると、GCIB処理装置1100の概略的な構成が示されている。低圧容器1102は、流体連通した3つチャンバ、即ちノズルチャンバ1104、イオン化/加速チャンバ1106、および処理チャンバ1108を有する。3つのチャンバは、それぞれ真空ポンプ1146a、1146b、および1146cで真空引きされる。ガスストレージシリンダ1111に格納された加圧された凝縮性ソースガス1112(例えばアルゴン)は、ガス絞り弁1113および供給チューブ1114を通過して滞留チャンバ1116に流入する。次に滞留チャンバ1116における圧力(典型的には大気圧の2、3倍)により、ガスがノズル1110を通して実質的により低圧の真空引き空間内に流入し、超音速ガスジェット1118が形成される。ジェットの膨張から生ずる低温下により、ガスジェット1118の一部分が凝縮してクラスターになり、各クラスターは数個〜数千個の弱く結合した原子または分子からなる。ガススキマー開口1120を用いて、まだ凝縮していないガス分子をそのクラスタージェットから1つのクラスタージェットに部分的に分離することによって下流のチャンバへのガスの流入を制御する。下流のチャンバにおける過剰な圧力は、ガスクラスターイオンの輸送を妨げることによって、かつビーム形成および輸送のために使用され得る高電圧の管理を妨げることによって弊害をもたらし得る。適当な凝縮性ソースガス1112としては、限定しないが、アルゴンおよび他の凝縮性の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、並びに多くの他のガスおよび/またはガス混合物が挙げられる。超音速ガスジェット1118におけるガスクラスター、少なくともそのガスクラスターの一部分の形成はイオナイザ1122によってイオン化されるが、イオナイザ1122は、一般的には1つまたは複数の白熱フィラメント1124(または他の適当な電子ソース)から熱放射によって電子を生成し、その電子を加速しかつ配向して電子がガスジェット1118におけるガスクラスターと衝突できるようにする電子衝撃イオナイザである。電子がガスクラスターと衝当することで、ガスクラスターの一部から電子が放出され、それらのクラスターを正にイオン化させる。いくつかのクラスターからは2つ以上の電子が放出され得、多重イオン化状態となり得る。電子の数および加速後のそれらのエネルギーの制御は、一般的には生じ得るイオン化数およびガスクラスターの多重イオン化と単イオン化との間の比率に影響を与える。抑制電極1142および接地電極1144は、イオナイザ出口開口1126からクラスターイオンを抽出し、それらを所望のエネルギー(典型的には数百V〜数十kVの加速電位)まで加速して、それらを集束させてGCIB1128を形成する。後述するように、抑制電極1142は必須ではなく、省略してもよい。イオナイザ出口開口1126と抑制電極1142との間のGCIB1128が横断する領域は、抽出領域と称する。ガスクラスターを含む超音速ガスジェット1118の(ノズル1110により決定される)軸線は、実質的にGCIB1128の軸線1154と同一である。フィラメント電源1136は、フィラメント電圧Vfを供給し、イオナイザのフィラメント1124を加熱する。アノード電源1134がアノード電圧VAを供給して、フィラメント1124から放出された熱電子を加速し、その熱電子でクラスターを含むガスジェット1118を照射して、クラスターイオンを生成する。抑制電源1138は抑制電圧VS(約数百から数千V)を供給して、抑制電極1142を(それが使用される場合)バイアスする。以下に述べるように抑制電極1142を用いない場合には、抑制電源1138を設けなくてよい。加速器電源1140は加速電圧VAccを供給して、抑制電極1142および接地電極1144に対してイオナイザ1122にバイアスをかけ、VAccに等しい全GCIB加速電位を生じさせるようにする。抑制電極1142は、イオナイザ1122のイオナイザ出口開口1126からイオンを抽出しかつ不要な電子がイオナイザ1122内に下流から入るのを防止して、集束されたGCIB1128を形成する役割を果たす。

ワークピース1160は、(例えば)医療用デバイス、半導体材料、光学素子、または他のGCIB処理によって処理されるワークピースであり得、GCIB1128の経路にワークピースを保持するワークピースホルダ1162に保持される。ワークピースホルダは、処理チャンバ1108に取り付けられているが、処理チャンバから絶縁体1164によって電気的に絶縁されている。従って、ワークピース1160およびワークピースホルダ1162に衝当するGCIB1128は、電気リード1168を通してドーズ・プロセッサ1170へ流れる。ビームゲート1172は、軸線1154に沿ったワークピース1160へのGCIB1128の伝送を制御する。ビームゲート1172は、一般的に、(例えば)電気的、機械的、または電気化学的であり得るリンク1174によって制御される開状態と閉状態とを有する。ドーズプロセッサ1170は、ビームゲート1172の開状態/閉状態を制御して、ワークピース1160およびワークピースホルダ1162によって受け取られるGCIBドーズ量を管理する。動作に際して、ドーズプロセッサ1170はビームゲート1172を開いて、ワークピース1160へのGCIB照射を開始する。ドーズプロセッサ1170は、一般的にはワークピース1160およびワークピースホルダ1162に到達するGCIB電流を積分し、累積GCIB照射ドーズ量を計算する。所定のドーズ量において、ドーズプロセッサ1170はビームゲート1172を閉鎖して、所定のドーズ量に達したときに処理を停止する。

図2は、GCIBを用いるワークピース処理ユニットのための、イオンビームの走査およびワークピースの操作を採用した別のGCIB処理装置1200を示す要素の概略図である。GCIB処理装置1200によって処理されるべきワークピース1160はワークピースホルダ1202に保持され、GCIB1128の経路に配置される。ワークピース1160の均一な処理を達成するために、ワークピースホルダ1202は、均一な処理のために必要とされるようなワークピース1160の操作をするべく設計される。

非平坦な、例えば球形またはカップ形状、丸められた形状、不規則なまたは他の非平坦な構成であるあらゆるワークピース表面は、ワークピース表面の最適なGCIB処理を得るためにビーム入射に対して一定の角度範囲内に配向され得る。ワークピースホルダ1202は、処理の最適化および均一性を与えるために、処理されるべき全ての非平坦な表面をGCIB1128に適切に位置整合するように節動され得る。より具体的には、処理されるワークピース1160が非平坦な場合には、ワークピースホルダ1202は、節動/回転メカニズム1204により回転運動1210で回転され、関節運動1212で節動さ得る。節動/回転メカニズム1204により、(GCIB1128の軸線1154と同軸である)長手軸1206を中心とした360度のデバイスの回転、および軸1206に垂直な軸1208を中心とした十分な節動が可能となり、ワークピース表面がビーム入射の所望の範囲内に維持される。

ある一定の条件下では、ワークピース1160のサイズに応じて、大きいワークピースへの均一な照射を生成するために走査システムが望ましいことがあり得る。多くの場合GCIB処理のためには必要ではないが、拡大された処理領域にわたるラスター走査または他の走査パターンを作り出すために、二対の直交する方向を向いた静電走査プレート1130および1132を用いることができる。そのようなビーム走査が行われるとき、走査ジェネレータ1156が、X軸走査信号電圧をリード対1159を通して一対の走査プレート1132に供給し、Y軸走査信号電圧をリード対1158を通して一対の走査プレート1130に供給する。両走査信号電圧は、通常、GCIB1128から、ワークピース1160の表面全体を走査する走査GCIB1148へ変換させる異なる周波数の三角波である。走査ビーム確定開口1214は、走査領域を確定する。走査ビーム確定開口1214は導電性で、低圧容器1102に電気的に接続され、かつ支持部材1220によって支持される。ワークピースホルダ1202は、ワークピース1160およびワークピースホルダ1202を外囲し、確定開口1214通過する全ての電流を収集するファラデーカップ1216に、可撓性リード1222を介して電気的に接続される。ワークピース1202は、節動/回転メカニズム1204から電気的に絶縁され、ファラデーカップ1216は、絶縁体1218によって低圧容器1102に取り付けられ、かつそこから電気的に絶縁される。従って、走査されたGCIB1148からの全ての電流は、走査ビーム確定開口1214を通過し、ファラデーカップ1216に集められ、電気リード1224を通してドーズプロセッサ1170に流れる。動作に際しては、ドーズプロセッサ1170がビームゲート1172を開放し、ワークピース1160へのGCIB照射を開始する。ドーズプロセッサ1170は一般的にはワークピース1160およびワークピースホルダ1202およびファラデーカップ1216に到達するGCIB電流を積分して、単位面積当たりの累積GCIB照射ドーズ量を計算する。所定のドーズ量において、ドーズプロセッサ1170はビームゲート1172を閉鎖し、所定のドーズ量が達成されたときに処理を終了させる。所定ドーズ量までの累積の間、ワークピース1160は、所望の表面全体の処理を確実にするべく節動/回転メカニズム1204によって操作され得る。

図3は、本発明の実施形態による中性ビーム処理のために用いられ得る例示的なタイプの中性ビーム処理装置1300の概略図である。装置は静電偏向プレートを用いてGCIB照射ドーズ両の荷電部分と非荷電部分とを分離する。ビームラインチャンバ1107は、イオナイザおよび加速器領域と、ワークピース処理領域とを外囲する。ビームラインチャンバ1107は高いコンダクタンスを有し、従って圧力は実質的に全体に一様である。真空ポンプ1146bは、ビームチャンバ1107から真空引きする。ガスは、ガスジェット1118によって輸送されたクラスター化および非クラスター化ガスの形態で、並びにガススキマー開口1120を介して漏れる追加の非クラスター化ガスの形態で、ビームラインチャンバ1107に流入する。圧力センサ1330は、ビームラインチャンバ1107からの圧力データを電気ケーブル1332を介して圧力センサ制御器1334に伝送し、圧力センサ制御器はビームラインチャンバ1107における圧力を評価し、表示する。ビームラインチャンバ1107における圧力は、ビームラインチャンバ1107へのガス流と、真空ポンプ1146bとのバランスに左右される。ガススキマー開口1120の直径、ノズル1110を通したソースガス1112の流れ、および真空ポンプ1146bのポンピング速度を選択することによって、ビームラインチャンバ1107における圧力は、設計によって並びにノズル流れによって決定される圧力PBと平衡化する。接地された電極1144からワークピースホルダ162へのビーム移動距離は、例えば100cmである。設計と調節により、PBは、約6×10−5トル(8×10−3パスカル)となり得る。従って、圧力とビーム経路長との積は約6×10−3トル・cm(0.8パスカル・cm)であり、そのビームのためのガスターゲット厚さは約1.94×1014ガス分子/cm2となり、この大きさはGCIB1128におけるガスクラスターイオンの解離のために有効であることが観察された。VAccは例えば30kVであり得、GCIB1128は、その電圧によって加速される。一対の偏向プレート(1302および1304)は、GCIB1128の軸線1154の周囲に配置される。偏光器電源1306は、正の偏向電圧VDを電気リード1308を介して偏向プレート1302に供給する。偏向プレート1304は、電気リード1312によって電流センサ/表示器1310を通して電気的接地に接続される。偏向器電源1306は手で操作可能である。VDはゼロからGCIB1128のイオン化部分1316を偏向プレート1304上に完全に偏向されるのに十分な電圧(例えば、2〜3千ボルト)まで調節することができる。GCIB1128のイオン化部分1316が偏向プレート1304上へ偏向されると、生じた電流IDは、電気リード1312を通して電流センサ/表示器1310に表示のために流れる。VDがゼロのとき、GCIB1128は検出されることなく、ワークピース1160およびワークピースホルダ1162へと移動する。GCIBビーム電流IBはワークピース1160およびワークピースホルダ1162上に集められ、電気リード1168および電流センサ/表示器1320を通して電気的接地へと流れる。IBは電流センサ/表示器1320上に表示される。ビームゲート1172は、ビームゲート制御器1336によってリンケージ1338を介して制御される。ビームゲート制御器1336は手で操作されてもよく、或いは、所定の間隔でビームゲート1172を開放するためにプリセット弁によって電気的または機械的にタイミングをとられるようにしてもよい。使用時には、VDをゼロにセットし、ワークピースホルダに衝当するビーム電流IBを測定する。所与のGICB処理レシピについての以前の経験を基礎にして、所与の処理についての初期照射時間を、その測定された電流IBに基づいて決定する。全ての測定されたビーム電流がIBからIDに変位するまでVDを高め、IDはVDを上げてもそれ以上大きくならない。この時点では、初期GCIB1128のエネルギーのある解離した成分を含む中性ビーム1314が、ワークピースホルダ1162を照射する。次にビームゲート1172を閉鎖し、ワークピース1160を、従来型のワークピースロード手段(図示せず)によってワークピースホルダ1162上に配置する。ビームゲート1172を、所定の初期照射時間だけ開放する。照射時間後に、ワークピースを検査し、必要に応じて処理時間を調整して、測定されたGCIBビーム電流IBに基づき中性ビーム処理の時間を較正することができる。そのような較正プロセスの後には、較正された露光時間を用いて別のワークピースを処理することができる。

中性ビーム1314は、加速されたGCIB1128の初期エネルギーのある再現可能な割合の部分を含む。元のGCIB1128の残りのイオン化された部分1316は中性ビーム1314から除去されており、接地された偏向プレート1304によって集められる。中性ビーム1314から除去されたイオン化された部分1316は、モノマーイオンおよび中間サイズのガスクラスターイオンを含むガスクラスターイオンを含み得る。イオン化処理の間のクラスター加熱、ビーム内衝突、バックグラウンドガスとの衝突、および他の原因(これらは全てクラスターの浸食をもたらす)によるモノマー蒸発メカニズムのために、中性ビームは実質的に中性モノマーからなり、一方分離された荷電粒子は支配的なクラスターイオンである。本発明者らは、中性ビームの再イオン化および結果として生ずるイオンの電荷対質量比の測定を含む適切な手段によってこれを確認した。以下に示すように、一定の優れた処理結果が、この中性ビームを用いるワークピースの処理によって得られる。

図4は、例えば本発明の実施形態で利用され得るような中性ビームを発生するのに使用され得るような、中性ビーム処理装置400の概略図である。それは、中性ビーム測定のために熱センサを用いる。熱センサ1402は、低熱伝導率取り付け具1404によって、ピボット1412に取り付けられた回転支持アーム1410に取り付けられる。アクチュエータ1408は、可逆の回動1416によって熱センサ1402を、中性ビーム1314またはGCIB1128をインターセプトする位置と、熱センサ1402があらゆるビームをインターセプトしない1414によって示される休止位置との間で移動させる。熱センサ1402が休止位置(1414によって示される)にあるとき、GCIB1128または中性ビーム1314は、ワークピース1160および/またはワークピースホルダ1162の照射のための経路1406に沿って進行する。熱センサ制御器1420は、熱センサ1402のポジショニングを制御し、熱センサ1402によって生成される信号の処理を行う。熱センサ1402は、電気ケーブル1418を通して熱センサ制御器1420と通信する。熱センサ制御器1420は、電気ケーブル1428を通して線量測定制御器1432と通信する。ビーム電流測定デバイス1424は、GCIB1128がワークピース1160および/またはワークピースホルダ1162に衝突したときに電気リード1168を流れるビーム電流IBを測定する。ビーム電流測定デバイス1424は、電気ケーブル1426を通して線量測定制御器1432にビーム電流測定値信号を送る。線量測定制御器1432は、リンク1434を介して伝送される制御信号によってビームゲート1172のための開閉状態の設定を制御する。線量測定制御器1432は電気ケーブル1442を介して偏向器電源1440を制御し、偏向電圧VDを、ゼロ電位と、GCIB1128のイオン化部分1316を偏向プレート1304へと完全に偏向するのに十分な正の電位との間で制御することができる。GCIB1128のイオン化部分1316が偏向プレート1304に衝突すると、結果として生じた電流IDは電流センサ1422によって測定され、電気ケーブル1430を解して線量測定制御器1432に伝送される。動作に際しては、線量測定制御器1432は熱センサ1402を休止位置1414に設定し、ビームゲート1172を開放し、VDをゼロに設定して全GCIB1128がワークピースホルダ1162および/またはワークピース1160に衝突するようにする。線量測定制御器1432は、ビーム電流測定デバイス1424から伝送されたビーム電流IBを記録する。次に線量測定制御器1432は、熱センサ制御器1420を通して中継されたコマンドによって、GCIB1128をインターセプトするべく熱センサ1402を休止位置1414から動かす。熱センサ制御器1420は、センサの熱容量と、その温度が所定の測定温度(例えば70℃)を超えて上昇したときの熱センサ1402の測定された温度上昇率とに基づく計算によってGCIB1128のビームエネルギー束を測定し、計算されたビームエネルギー束を線量測定制御器1432に送り、次に線量測定制御器は熱センサ1402によって測定されたビームエネルギー束およびビーム電流測定装置1424によって測定された対応するビーム電流の較正を計算する。次に線量測定制御器1432は熱センサ1402を休止位置1414に休止させ、熱センサの温度が下がるようにし、GCIB1128のイオン化部分による全電流IDが偏向プレート1304に送られるまで、偏向プレート1302への電位VDの印加を命令する。電流センサ1422は、対応するIDを測定し、それを線量測定制御器1432に伝送する。線量測定制御器はまた、熱センサ制御器420を介して中継されたコマンドによって、中性ビーム1314をインターセプトするべく熱センサ1402を休止位置1414から動かす。熱センサ制御器420は、以前に決定した較正係数およびその温度が所定の測定温度を超えて上昇したときの熱センサの温度上昇率を用いて中性ビーム1314の熱エネルギー束を測定し、中性ビームエネルギー束を線量測定制御器1432に伝送する。線量測定制御器1432は中性ビームの割合を計算するが、その割合は、センサ1402における全GCIB1128エネルギー束の熱測定値に対する中性ビーム1314の熱測定値の比率である。典型的な動作の下では、約5%〜約95%の中性ビーム割合が達成される。処理の開始前に、線量測定制御器1432はまた、電流IDも測定し、IBの初期値とIDとの間の初期値との電流比を決定する。処理の間、瞬間的なID測定値に初期IB/ID比を乗じたものを、IBの連続的な測定値の代用として用いることができ、線量測定制御器1432によって処理の制御の間の線量測定のために利用することができる。従って、線量測定制御器1432は、丁度あたかも全GCIB1128の実際のビーム電流測定値が利用できるかのように、ワークピース処理の間のあらゆるビーム変動を相殺することができる。線量測定制御器は、中性ビーム・トラクションを用いて、特定のビーム処理のための所望の処理時間を計算する。処理の間、処理時間は、処理の間のあらゆるビーム変動を補正するための較正されたIDの測定値に基づいて調節することができる。

図5は、例えば本発明の実施形態で利用され得るように偏向される、位置整合される、または走査される中性ビームを発生するのに使用され得るような、ある程度単純化された中性ビーム処理装置1500の概略図である。これは前に示した中性ビーム処理装置1400と同一のものであるが、イオナイザの出口で使用されるビーム抽出および加速スキームに対して単純化が施されている。中性ビーム処理装置1500の単純化とは、抑制電源1138および抑制電極1142(ともに図4における中性ビーム処理装置1400に示されている)の省略である。再度図5を参照すると、抑制電極がないので、接地電極1144が、イオナイザ1122からイオンを抽出し、ガスクラスターイオンを加速し、GCIB1128を形成する役割を果たす。加速電源1140は加速電位VAccを供給し、全GCIB加速電位がVAccと等しくなるように、接地電極1144に対してイオナイザ1122にバイアスをかける。抑制電極1142(図4)およびそのバイアス電源1138(図4)を省略することによって、中性ビーム処理システム1500は、VAccを供給する加速電源1140の電流負荷がいくらか重くなるという犠牲を払って、中性ビーム処理システム1400と比較していくらか単純化される。

図6は、前に図5に示した単純化された中性ビーム処理装置1500に類似した中性ビーム装置の中性ビームの機械的なステアリングを可能にする本発明の実施形態の根底にある概念を示す概略図600である。再度図6を参照すると、単純化された中性ビーム処理装置の一部が示されている。ガスジェット1118がイオナイザ1122に入り、そこでイオン化されて、イオナイザ出口開口1126と接地電極1144’との間の電界によってイオナイザ出口開口1126から抽出され、経路606(または606’)に沿って移動するガスクラスターイオンビームを形成する。図示されていないが、イオナイザ1122とイオナイザ開口1126は、前に図5に示されたようにバイアスされる。接地電極1144’は前の図5における接地電極1144と同様に接地される。再度図6を参照すると、接地電極1144’は以前に図示された接地電極1144と同様であるが、ガスクラスターイオン606の経路に対して、90度未満の傾斜角602だけやや傾斜している点が異なっている。イオナイザ出口開口1126と接地電極1144’との間の電界の歪みによって、それがなければ経路606に沿って進むガスクラスターイオンの、経路606’上への偏向が生じ、結果的に生じるビーム偏向角604がゼロ度より大きいものとなる。傾斜角602を変えることによって、ビーム偏向角604も変わり、602が小さくなるにつれて604は大きくなる。再度図6を参照すると、傾斜角602は90度から小さくなるにつれ、GCIBのビーム偏向角604が大きくなり、GCIBは、元のGCIB1128から偏向されたGCIB1128’になる。傾斜角602は、初期経路に対して90度未満かつ70度超であるのが好ましい。接地電極1144’と一対の偏向プレート(1302および1304)との間のドリフト空間において、偏向され加速されたGCIB1128’の解離が進行する。図6には示されていないが、一対の偏向プレート(1302および1304)は、前に図5に示したようにバイアスされる。再度図6を参照すると、GCIB1128’並びに解離された中性粒子が一対の偏向プレート1302および1304の間を通過すると、GCIB1128’のイオン化部分1316は偏向プレート1304上に偏向され、荷電粒子のない偏向された中性ビーム1314’が伝送される。偏向された中性ビーム1314’の経路は、接地電極1144’の傾斜角602が90度であるとき生ずる中性ビーム1314の経路から偏向される。

図7Aおよび図7Bは、図5に示す単純化された中性ビーム処理装置1500に適合する傾動可能な接地電極アセンブリ700の二面図である。

図7Aは、ガスクラスターイオン606の経路の方向に沿って、イオナイザから離れる方向に下流のワークピースに向かって見た断面図である。傾動可能な接地電極702が、傾動可能な接地電極支持部704にジンバル形態に取り付けられる。傾動可能な接地電極702は、平軸であり得る第1の傾斜軸710を中心として、かつ垂直軸であり得る第2の傾斜軸716を中心として傾動可能である。軸710および軸716は、必ずしもそうである必要はないが、互いに直交する方向であるのが好ましい。第1の傾斜アクチュエータ708は、ジンバルリング706および第1の傾斜軸710を中心に傾動可能な接地電極を傾斜させる第1の回動712を与える。第2の傾斜アクチュエータ714は、ジンバルリング706に対して第2の傾斜軸716を中心に傾動可能な接地電極を傾斜させる第2の回動718を与える。第1の傾斜アクチュエータ708および第2の傾斜アクチュエータ714は、傾斜軸710および716のいずれか一方または両方を中心に独立してまたは同時に傾斜するべく作動され得る。傾斜アクチュエータ708および714は、手で作動されるか、或いは電子的な制御下にあるステッパモータ等の制御可能なシステムによって作動されるかのいずれか、またはその両方であり得る。手で作動されたとき、複合回転運動712および718から生ずる複合傾斜角が、傾動可能な接地電極702の特定傾斜が結果的に生ずる。制御されたステッパモータ(またはその等価物)によって作動されたとき、回転運動712および718は周期的に生じ、ビーム走査のための傾動可能な接地電極702の複合傾斜の連続的な変化を生み出すことができる。

図7Bは、図7Aに直角な方向からの断面図であり、断面が示されている。(この図には示されていないイオナイザの上流から抽出された)ガスクラスターイオン606の経路は、接地電極開口720に入り、加速されたGCIB1128として出て行く。回転運動712から生ずる傾斜角に応じて、加速されたGCIBは、(例えば)偏向されたGCIB1128’または1128”としても出て行くことがあり得る。回転運動718から生ずる傾斜角に応じて、加速されたGCIBはGCIB1128、1128’、または1128”の下流方向に出て行くことができるが、複合ビーム偏向角で図面の平面から出入りする偏向もされ得る。回転運動712および718が周期的に生じ、傾動可能な接地電極702の複合傾斜の連続的な変化を生み出すとき、ビームが走査される。入ってゆくガスクラスターイオン606が、GCIB1128の経路によって示される望ましい下流のビーム経路と僅かに位置がずれている場合、傾動可能な接地電極702に対する僅かな角度調整を、出て行くビームを望ましいGCIB1128経路に位置整合させるために利用することができる。

図8は、例えば本発明の実施形態で用いられ得るような中性ビームの発生で使用され得る、中性ビーム処理装置1550の概略図である。傾動可能な接地電極アセンブリ700は、傾動可能な接地電極702を含む。複合傾斜運動1556により、下流のGCIB1128を、所望のように下流のビーム経路に位置整合させるべく所望の経路1510または他の経路(例えば1508)に沿ってステアリングすることが可能になる。下流の中性ビームセンサ、例えば小さい感熱領域1512を有する熱センサ1402を用いて、ワークピース1160または他の選択されたスポットに向けて下流の中性ビーム1314を位置整合させることができる。

従って、GCIBに由来する中性ビームの方向の制御方法および装置は、ビームのGCIB部分のためのビーム経路を取り囲む開口を有する加速電極と、その電極をビーム経路に対して極方向に傾斜可能にさせる電極のための取り付け装置とを含む。電極は、ビーム経路に対して概ね直交する1つまたは2つの軸に沿って傾斜するように取り付けられ、2つの軸は互いに直交するものであり得る。電極の傾斜は電気的に正確に制御して、ビーム走査およびビーム位置整合を提供し、さもなければビームのGCIB部分に対して偏向を提供することができる。熱センサは、ビーム電力を測定するための中性ビーム部分に含まれ得る。中性ビームに露出され得るセンサの面積は、ビーム位置整合の手段として制限され得る。

本発明を主として、中性ビームの位置整合のための方法および装置として図面において説明してきたが、本発明者らは、結果的に生ずる中性ビームの(1つ以上の軸を中心とした電極の傾斜から生ずる)反復的な偏向の使用を、広い範囲にわたる中性ビームの走査のために用いることができることを把握し、本発明はそのような使用を含んでいる。

本発明を種々の実施形態に関連付けて説明してきたが、本発明は、その精神および範囲内で種々の更に別の実施形態も可能であることを理解されたい。

QQ群二维码
意见反馈