Plasma processing of the substrate

申请号 JP2013520006 申请日 2011-07-20 公开(公告)号 JP2013538288A 公开(公告)日 2013-10-10
申请人 ダウ コーニング フランスDow Corning France; セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック; 发明人 マシネ フランソワーズ; ガウディ トーマス; トータント アドリアン; デカン ピエール; リームポール パトリック; カイザー ヴィンセント;
摘要 A process for plasma treating a substrate comprises applying a radio frequency high voltage to at least one electrode positioned within a dielectric housing having an inlet and an outlet while causing a process gas to flow from the inlet past the electrode to the outlet, thereby generating a non-equilibrium atmospheric pressure plasma. An atomized or gaseous surface treatment agent is incorporated in the non-equilibrium atmospheric pressure plasma. The substrate is positioned adjacent to the plasma outlet so that the surface is in contact with the plasma and is moved relative to the plasma outlet. The flow of process gas and the gap between the plasma outlet and the substrate are controlled so that the process gas has a turbulent flow regime within the dielectric housing.
权利要求
  • 入口と出口とを有する誘電体ハウジング内に位置した少なくとも1つの電極に無線周波高電圧を印加する一方、プロセスガスを入口から電極を通過して出口へと流れるようにして非平衡大気圧プラズマを生成し、噴霧した又はガス状の表面処理剤を前記非平衡大気圧プラズマに組み込み、基板を前記誘電体ハウジングの出口に隣接して、該基板の表面がプラズマと接触し、誘電体ハウジングの出口に対して移動するように位置付けることにより基板をプラズマ処理するに当たり、前記プロセスガスの流れと、前記誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙とを、プロセスガスが誘電体ハウジング内で乱流様式を有するように制御することを特徴とする基板のプラズマ処理方法。
  • 前記誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙を1.5mm未満になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記プロセスガスの流れをモニターし、前記プラズマの出口及び基板の間の間隙を添付図面の図4に示した線より下になるように制御することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  • 前記誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙の表面積が、プロセスガス用入口の面積の35倍未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙の表面積が、プロセスガス用入口の面積の2〜10倍であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  • 前記電極又はそれぞれの電極が、針電極であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記電極又はそれぞれの電極を、プロセスガスが流れる狭いチャネルによって囲むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  • 前記基板を金属板を覆う誘電体層上に位置付け、対電極を使用しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  • 接地対電極を前記プラズマの管の外に位置付け、該プラズマ管に沿った位置に配置することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記プロセスガスが、前記電極を通過する表面処理剤を運ぶことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記電極を、前記ハウジング内の表面処理剤用のアトマイザーと組み合わせることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記無線周波高電圧を、前記アトマイザーを囲み、同じ極性を有する誘導体ハウジング内に位置付けた少なくとも2つの電極に印加することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  • 前記電極が、前記アトマイザーを囲む管電極であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  • プロセスガス用入口と、該プロセスガスが前記入口から電極を通過して出口へと流れるように配置した出口とを有する誘電体ハウジング内に位置付けた少なくとも1つの電極に接続した無線周波高圧電源と、噴霧された表面処理剤を前記誘電体ハウジング内に導入する手段と、前記誘電体ハウジングの出口に隣接した基板の支持手段とを備える基板をプラズマ処理する装置で、前記誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙の表面積が前記プロセスガス用入口の面積の35倍未満となるように前記支持手段を位置付けることを特徴とする基板のプラズマ処理装置。
  • 说明书全文

    本発明は、プラズマシステムによる基板の処理に関する。 具体的には、本発明は、噴霧した表面処理剤を組み込む非平衡大気圧プラズマによる基板への薄膜堆積に関する。

    物質にエネルギーを継続的に供給すると、物質の温度は上昇し、典型的には、物質は固体から液体へ、次いで気体へと転換する。 エネルギーを供給し続けると、そのシステムは、気体の中性原子又は中性分子をエネルギー衝突によって分解する更なる状態の変化を経て、負の電荷を帯びた電子、正又は負の電荷を帯びたイオン、及び他の励起種を生成する。 この物質の第四状態ともいわれる、この集団行動を呈する帯電粒子及びその他の励起した粒子の混合物を「プラズマ」と呼ぶ。 プラズマはそれらの電荷のために外部の電磁場による影響を非常に受けやすく、そのため容易に制御可能である。 更に、プラズマはそれらの高エネルギー含量により、液体処理又は気体処理のような物質の他の状態では実現が不可能又は困難なプロセスを実現することができる。

    この用語「プラズマ」は、密度及び温度が桁違いに大きく異なる広範なシステムに及ぶ。 プラズマには非常に熱いプラズマがあり、それらの全ての微視的種(イオン、電子等)はほぼ熱平衡状態にあり、そのシステムへのエネルギー入は原子/電子レベルの衝突によって広範に分配される。 しかしこの他に、大きく異なる温度でそれらの構成種を有するプラズマがあり、「非熱平衡」プラズマと呼ばれる。 これらの非熱平衡プラズマでは、自由電子は非常に熱く何千ケルビン(K)もの温度である一方、中性種及びイオン種は冷たいままである。 自由電子の質量はごくわずかであるので、システムの合計熱含量は低く、プラズマはほぼ室温で動作し、そのため、例えばプラスチック又はポリマーのような温度に敏感な材料を、それらを損なう熱負荷をその試料にかけることなく処理することが可能である。 しかし、熱い電子は高エネルギー衝突によって、非常に高い化学反応性及び物理的反応性をもたらすことができる高い化学ポテンシャルエネルギーを有するラジカル及び励起種の豊かな源を作り出す。 この低温動作と高反応性との組み合わせこそが、低温プラズマを、たとえプラズマを用いずに実現可能であったとしても、非常に高い温度又は有毒性かつアグレッシブな化学物質を必要とすることになるであろうプロセスが実現可能な製造処理及び材料処理のための技術的に重要かつ非常に強力なツールとする。

    工業にプラズマ技術を適用するための便利な方法は、電磁力を一定の体積のプロセスガスに組み込むことである。 プロセスガスは、電磁力の付加によってプラズマ状態に励起可能な単一のガスでもよく、又はガスと蒸気との混合物でもよい。 プロセスガスはイオン化及び励起され、化学ラジカル及びイオン並びに紫外線を含む種を生成し、それらの種は被加工品/試料の表面と反応又は相互作用し得るので、被加工品/試料を、プラズマ自体に浸す若しくはそれ自体を貫通すことによって生成されたプラズマにより、又はそこから派生した帯電したプラズマ及び/又は励起種プラズマにより処理する。 プロセスガス組成物、駆動力周波数、電力接続形態、圧力、及び他の制御パラメータの正しい選択によって、製造業者が要求する特定の用途に合わせたプラズマ処理をカスタマイズすることができる。

    プラズマの非常に広範な化学及び熱のために、プラズマは多くの技術用途に好適である。 非熱平衡プラズマは、表面活性化、表面洗浄、材料エッチング及び表面コーティングに特に効果的である。

    1960年代から、マイクロエレクトロニクス業界では、半導体、金属及び誘電体加工のための超先端技術及び高資本コストのエンジニアリングツールに低圧グロー放電プラズマが開発されてきた。 1980年代以降は、より高い粘着/結合強度、高品質の脱脂/洗浄及び高性能コーティングの堆積のためのポリマー表面活性化を提供する他の工業部門にも、同じ低圧グロー放電方式のプラズマがますます浸透していった。 グロー放電は真空でも大気圧でも達成可能である。 大気圧グロー放電では、ヘリウム、アルゴン又は窒素のようなガスを希釈剤として利用し、高周波(例えば>1kHz)の電源を利用して大気圧で均質のグロー放電を生成するが、電子による主たるイオン化に関しては、He/N2混合物においてペニングイオン化機構が支配的である可能性がある(例えば、Kanazawaら、J.Phys.D:Appl.Phys.1988,21,838、Okazakiら、Proc.Jpn.Symp.Plasma Chem.1989,2,95,Kanazawaら、Nuclear Instruments and Methods in Physical Research 1989,B37/38,842、及びYokoyamaら、J.Phys.D:Appl.Phys.1990,23,374を参照)。

    大気圧プラズマ処理の方法として、多様な「プラズマジェット」システムが開発されてきた。 プラズマジェットシステムは一般に、2つの電極の間で方向付けたガスストリームで構成される。 それらの電極間に電力を印加するとプラズマが形成され、これは多様な基板の処理に利用可能なイオン、ラジカル及び活性種の混合物を生成する。 火炎のような現象として電極間(プラズマゾーン)の空間から放たれるプラズマジェットシステムによって生成されるプラズマを利用して、遠隔の物体を処理することができる。

    米国特許第5,198,724号及び同第5,369,336号は、外側の円筒状のアノードによって囲まれたカソードとして作用するRF電源の金属針で構成された「冷たい」又は非熱平衡大気圧プラズマジェット(以下、APPJと呼ぶ)を記述している。 米国特許第6,429,400号は、吹込大気圧グロー放電(APGD)の生成のためのシステムを記述している。 これは、電気絶縁管によって外側電極から分離した中央電極を備えている。 その発明者は、この設計は先行技術に伴う高温を生成しないと主張している。 また、Kangら(Surf Coat.Technol.,2002,171,141〜148)は、ヘリウムガス又はアルゴンガスを2つの同軸電極を通して供給することによって動作する13.56MHzのRFプラズマ源を記述している。 アーク放電を防ぐために、中央電極の外側に誘電材料を付加する。 国際公開第94/14303号は、プラズマジェットの生成を更に高めるために電極筒が出口に先の尖った部分を有するデバイスを記述している。

    米国特許第5,837,958号は、通電した中央電極及び誘電性被覆した外側電極を利用する同軸金属電極に基づくAPPJを記述している。 外側電極の一部分は、ガスの出口の近くで裸の環電極を形成するように露出されたままである。 ガスの流れ(空気又はアルゴン)は上から入り、渦を形成するように方向付け、アークを閉じ込めて集束するように維持して、プラズマジェットを形成する。 広範な区域を覆うために、多数のジェットを組み合わせてカバレージを増すことができる。

    米国特許第6,465,964号は、APPJを生成するための、1対の電極を円筒管の周囲に置く代替システムを記述している。 プロセスガスは、管の上から入り、底から出る。 AC電界を2つの電極間に供給すると、管の内部でそれらの間をプロセスガスが通ることによってプラズマが生成され、出口でAPPJを生じさせる。 これらの電極の位置は、軸方向の電界の形成を確実にする。 この技術を広い面積の基板のカバレージまで拡張するために、矩形の管状の形を有するように中央管及び電極を再設計するように設計を変更することができる。 これは、例えばリール・ツー・リールプラスチックフィルムのような大きい基板の処理に使用可能な広面積のプラズマを発生させる。

    米国特許第5,798,146号は、管の内側に置いた単一の尖鋭な針電極を用いて、その電極に高電圧を印加して電子の漏れを起こし、それが更にその電極の周囲のガスと反応してイオン及びラジカルの流れを生成することによってプラズマを形成することを記述している。 第2の電極がないので、これは結果としてアークを生成しない。 代わりに、ガスの流れによって放電空間の外に運び出される低温プラズマが形成される。 プラズマを集中又は拡散させるために多様なノズルヘッドが開発されてきた。 本システムは、多様な基板の活性化、洗浄、又はエッチングのために使用され得る。 Stoffelsら(Plasma Sources Sci.Technol.,2002,11,383〜388)は、バイオメディカル用途のための同様のシステムを開発した。

    国際公開第02/028548号は、噴霧した液体及び/又は固体のコーティング材を大気圧プラズマ放電又はそれから生じるイオン化したガスストリームに投入することによって基板のコーティングを形成する方法を記述している。 国際公開第02/098962号は、液体又は気体形状のシリコン化合物に表面を曝露した後にプラズマ又はコロナ処理、具体的にはパルス大気圧グロー放電又は誘電体バリア放電を用いる酸化又は還元による後処理によって、低い表面エネルギーの基板をコーティングすることを記述している。
    国際公開第03/097245号及び同第03/101621号は、噴霧したコーティング材を基板に適用してコーティングを形成することについて記述している。 噴霧したコーティング材は、超音波ノズル又はネブライザーのようなアトマイザーを出る際に、励起した媒質(プラズマ)を通過して基板に達する。 基板は、励起した媒質から遠隔に位置付ける。 プラズマはパルス状に生成される。

    国際公開第2006/048649号は、入口と出口とを有する誘電体ハウジング内に位置した少なくとも1つの電極に無線周波高電圧を印加する一方、その入口から電極を通過して出口へのプロセスガスの流れを引き起こすことにより、噴霧した表面処理剤を組み込む非平衡大気圧プラズマを生成することについて記述している。 電極を、ハウジング内の表面処理剤用のアトマイザーと組み合わせる。 非平衡大気圧プラズマは、出口に隣接して置かれた基板がプラズマと接触するように電極から少なくともハウジングの出口まで延び、通常は、出口を越えて延びる。 国際公開第2006/048650号は、プラズマジェットとも呼ばれる火炎様の非平衡プラズマ放電を長い管に閉じ込めることによってかなりの距離にかけて安定し得ることを教示している。 これは、空気の混合を防ぎ、火炎様の非平衡プラズマ放電のクエンチングを最低限にする。 この火炎様の非平衡プラズマ放電は、少なくとも管の出口まで延び、通常は管の出口を越えて延びる。

    国際公開第03/085693号は、反応性エージェントの導入手段と、プロセスガス導入手段と、プラズマを生成するのに適応した1つ以上の複数の並列電極配列とを有する大気プラズマ生成アセンブリを記述している。 このアセンブリは、電極間のプラズマ領域を通る以外には前記アセンブリに導入したプロセスガス及び噴霧した液体又は固体反応性エージェントが出る手段がないように適応されている。 このアセンブリは、電極の最も外側の先端にほぼ隣接して、基板に対して移動するように適応されている。 プラズマ生成アセンブリに乱流を生成して、例えば、ガスの流れを軸の長さに沿った主たる流れの方向へと再び方向付けると超音波スプレーノズル出口の近くで乱流を生成するように、プロセスガスを本体の軸に対して垂直に導入することによって、噴霧したスプレーの均等な分布を確実にすることができる。 あるいは、拘束性フローディスクを超音波スプレーノズル先端のすぐ上流でプロセスガスの流れ場に位置付けることにより乱流を導入することができる。

    非特許文献「Generation of long laminar plasma jets at atmospheric pressure and effects of flow turbulence」(Wenxia Panら、Plasma Chemistry and Plasma Processing、Vol.21、No.1、2001)は、非常に低い初期乱流運動エネルギーを有する層流プラズマが低い軸方向温度勾配を伴う長いジェットを生成することを示し、短い乱流アークジェットと比較して、このような長い層流プラズマジェットが材料処理の可制御性を大きく改善し得ることを示唆している。

    非特許文献「Analysis of mass transport in an atmospheric pressure remote plasma enhanced chemical vapor deposition process」(R.P.Cardosoら、「Journal of Applied Physics」Vol.107、024909(2010))は、大気圧で動作するリモートマイクロ波プラズマ増強化学蒸着プロセスでは、高い堆積率に処理表面での前駆体の局在が伴うこと、及びより重い前駆体の質量輸送は対流によって有利に確保でき、より軽いものは乱流拡散によって表面に向けて動かされることを示している。

    薄膜堆積のための大気プラズマ技術の使用は、代替手段である低圧プラズマ堆積と比べて、資本コスト(真空チャンバ又は真空ポンプの必要がない)又はメンテナンスという観点から多くの利益を提供する。 このことは、基板への正確な堆積を可能にするジェット様システムではなおさらである。 国際公開第2006/048649号及び同第2006/048650号のプラズマジェット技術は、基板の薄膜として多くの表面処理剤の堆積に成功裡に使用されてきた。 表面処理剤が重合可能な前駆体であるときに生じた1つの問題は、プラズマゾーン内での前駆体の重合によって粉末状の物質が堆積し、低密度のコーティング膜が形成されたことである。

    国際公開第2009/034012号は表面のコーティングプロセスを記述しており、このプロセスは、噴霧した表面処理剤を、不活性のプロセスガス又はそれにより結果的にもたらされる励起及び/又はイオン化したガスストリームにおいて生成される非平衡大気圧プラズマに組み込み、その中に組み込んだ噴霧した表面処理剤を受け取るために被処理表面を位置付け、プロセスガスに少ない割合で窒素を取り込むことにより表面に形成されるコーティングの粒子含有量を低減することを特徴とする。 しかし、窒素の付加は前駆体の解離に利用可能なエネルギーにとって弊害となる。

    入口と出口とを有する誘電体ハウジング内に位置し少なくとも1つの電極に無線周波高電圧を印加する一方、プロセスガスを入口から電極を通過して出口へと流れるようにして非平衡大気圧プラズマを生成し、噴霧した表面処理剤を非平衡大気圧プラズマに組み込み、基板を誘電体ハウジングの出口に隣接して、その基板の表面がプラズマと接触し、誘電体ハウジングの出口に対して移動するように位置付けることにより基板をプラズマ処理する本発明によるプロセスにおいて、プロセスガスの流れと、誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙とを、プロセスガスが誘電体ハウジング内で乱流様式を有するように制御する。

    誘電体ハウジング(14)は、「プラズマの管」(13)を画定し、このプラズマ管内で非平衡大気圧プラズマを生成する。 本発明者らは、プラズマ管(13)内でガスの乱流様式を作り出すことによって、より均一の非平衡大気圧プラズマを達成し、より優れた且つより均一な堆積を表面処理剤から誘導される膜の基板にもたらすことを見出した。
    誘電体ハウジング内の乱流様式を促進するための本発明による好ましいプロセスにおいて、誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙の表面積は、プロセスガス用入口の面積の35倍未満である。 誘電体ハウジングがプロセスガス用入口を複数有する場合、誘導体ハウジングの出口及び基板の間の間隙の表面積は、プロセスガス用入口の合計面積の35倍未満である。

    本発明は基板をプラズマ処理する装置を含み、この装置は、プロセスガス用入口とプロセスガスが入口から電極を通過して出口へと流れるように配置した出口とを有する誘電体ハウジング内に位置した少なくとも1つの電極に接続した無線周波高圧電圧源と、噴霧された表面処理剤を誘電体ハウジング内に導入する手段と、誘電体ハウジングの出口に隣接した基板の支持手段とを備え、誘電体ハウジングの出口及び基板の間の間隙の表面積がプロセスガス用入口の面積の35倍未満となるように支持手段を位置付けることを特徴とする。

    プラズマは一般に、非平衡大気圧プラズマ又はコロナ放電の任意の形であってよい。 非平衡大気圧プラズマ放電の例としては、誘電体バリア放電及び例えばグロー放電プラズマのような拡散誘電体バリア放電が挙げられる。 好ましいのは、例えばグロー放電プラズマのような拡散誘電体バリア放電である。 好ましいプロセスは「低温」プラズマであり、ここで用語「低温」は200℃未満、好ましくは100℃未満を意味することが意図される。 これらのプラズマは(火炎系システムのような熱平衡プラズマと比較して)衝突が比較的低頻度のプラズマであり、広範に異なる温度でそれらの構成種を有する(これが、一般に「非熱平衡」プラズマと呼ばれる所以である)。

    ここで、本発明について、添付図面に即して記載する。

    噴霧した表面処理剤を組み込む非平衡大気圧プラズマを生成するための本発明による装置の断面図。

    層流のガスの流れを有する図1の装置の動作の際に観測したプラズマジェットの写真。

    乱流のガスの流れを有する図1の装置の動作の際に観測したプラズマジェットの写真。

    出口間隙及びヘリウムプロセスガス流量に関する、図1の装置における層流様式及び乱流様式の限界を示すグラフ。

    プラズマ管の出口間隙を狭めたとき又は広げたときの、図1の装置における層流様式及び乱流様式の限界を示すグラフ。

    異なるプラズマ管の長さを有する図1の装置における層流様式及び乱流様式の限界を示すグラフ。

    図1の装置は、誘電体ハウジング(14)によって画定され、出口(15)を有するプラズマ管(13)内に位置した2つの電極(11、12)を備える。 電極(11、12)は針電極であり、双方とも同じ極性を有し、好適な無線周波(RF)電源に接続されている。 電極(11、12)は、例えば電極の幅より0.1〜5mm広い、好ましくは電極の幅より0.2〜2mm広い、プラズマ管(13)と連通する狭いチャネル(それぞれ16及び17)内にそれぞれ位置する。 プロセスガスはチャンバ(19)に供給され、このチャンバの出口は電極の周囲のチャネル(16、17)である。 チャンバ(19)は熱抵抗性の電気絶縁材で作製され、金属の箱の底の開口部に固定される。 所望により、金属の箱を接地する。 あるいは、全ての電気接続が隔離され、プラズマと接触し得る全ての部分が絶縁材で覆われるのであれば、チャンバ(19)は導電性材料で作製されてもよい。 このようにして、チャネル(16、17)は誘電体ハウジング(14)へのプロセスガス用入口を形成する。 表面処理剤用入口(22)を有するアトマイザー(21)は、電極チャネル(16、17)に隣接して配置されており、噴霧手段(図示せず)と噴霧した表面処理剤をプラズマ管(13)に供給する出口(23)とを有する。 チャンバ(19)はネブライザー(21)及び針電極(11、12)を定位置に保持する。 誘電体ハウジング(14)は任意の誘電体材料で作製され得る。 下記の実験を石英の誘電体ハウジング(14)を使用して行ったが、例えばガラス又はセラミック、又はポリアミド、ポリプロピレン若しくは例えば「Teflon」商標で販売されているポリテトラフルオロエチレンのようなプラスチック材料など、その他の誘電体を使用してもよい。 誘電体ハウジング(14)は、高温抵抗性のために設計された例えば繊維強化プラスチックなどの複合材料で形成されてもよい。

    被処理基板(25)をプラズマ管の出口(15)に位置付ける。 基板(25)は誘電性支持体(27)上に置かれる。 基板(25)を、プラズマ管の出口(15)に対して移動可能に配置する。 誘電性支持体(27)は、例えば金属支持板(28)を覆う誘電体層(27)であってもよい。 図の金属板(28)は接地されているが、この板の接地は任意でよる。 金属板(28)を接地しない場合、それは例えばシリコンウェハなどの導電性基板へのアーク放電の減少に貢献する場合がある。 誘電体ハウジング(14)の出口端及び基板(25)の間の間隙(30)は、プラズマ管(13)に供給されたプロセスガス用の唯一の出口である。

    電極(11、12)は尖鋭な表面であり、好ましくは針電極である。 尖った先端を有する金属電極の使用はプラズマ形成を促進する。 電位を電極に印加すると電場が生成され、それがガス中の荷電粒子を加速してプラズマを形成する。 電場密度は電極の曲率半径と反比例するので、尖った先端はこのプロセスを促進する。 したがって、針の尖った先端部における電場の増強により、針電極はより低い電圧源を用いてガスのブレークダウンをもたらすという便益を有する。
    動力を印加すると、局在的電場が電極の周りに形成される。 これらが電極周囲のガスと相互作用し、プラズマを形成する。 したがってこのプラズマ生成装置は対電極が特に提供されなくても動作できる。 あるいは、接地対電極をプラズマ管の軸に沿った任意の場所に位置付けてもよい。

    1つ又は複数の電極への電源は、プラズマ生成において既知の1kHz〜300GHzの範囲の無線周波電源である。 本発明者らが最も好む範囲は3kHz〜30kHzの超長波(VLF)帯であるが、30kHz〜300kHzの範囲の低周波(LF)もまた成功裡に使用できる。 1つの好適な電源は複極性パルス波の高周波高電圧発生器であるHaiden Laboratories Inc. のPHF−2K装置である。 これは、従来の正弦波高周波電源が供するより速い上昇時間及び下降時間(<3μs)を有する。 したがって、イオン生成及び処理効率の向上を提供する。 この装置の周波数はプラズマシステムに合わせて可変(1〜100kHz)でもある。 好適な代替電源は、Plasma Technics Inc. がETI110101の参照名で販売するような電子オゾン変換機である。 これは一定の周波数で作動し、最大100ワットの電力を送達する。

    アトマイザー(21)に供給される表面処理剤は、例えば重合可能な前駆体であり得る。 重合可能な前駆体をプラズマに導入すると、制御されたプラズマ重合反応が生じ、その結果、プラズマ出口に隣接して置かれた任意の基板にポリマーが堆積する。 これまでに、本発明のプロセスを用いて、広範な機能性コーティングを数多くの基板に堆積してきた。 基板にグラフトされたこれらのコーティングは、前駆体分子の機能性化学を維持する。

    アトマイザー(21)は好ましくはガスを用いて表面処理剤を噴霧する。 例えば、プラズマを生成するために用いられるプロセスガスをアトマイザーガスとして用いて表面処理剤を噴霧する。 アトマイザー(21)は、例えば空気式ネブライザーであってよく、具体的には、カナダのオンタリオ州MississaugaのBurgener Research Inc. がAri Mist HPの商標で販売しているような、又は米国特許第6634572号に記載されているような、パラレルパス方式のネブライザーであってよい。 あるいは、アトマイザーは、ポンプを用いて液体の表面処理剤を超音波ノズルに輸送し、次いで噴霧対象の表面に液膜を形成する超音波アトマイザーであってもよい。 超音波は、結果的に液滴の形成をもたらす溜まり波の形成を液膜に生じさせる。 アトマイザーは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μmの液滴径をもたらす。 本発明での使用に好適なアトマイザーとしては、米国ニューヨーク州MiltonのSono−Tek Corporationの超音波ノズルが挙げられる。 代替アトマイザーとしては、例えば、静電気によって非常に細かいエアロゾルを生成する方法であるエレクトロスプレー法が挙げられる。 最も一般的なエレクトロスプレー装置は先が鋭く尖った中空の金属管を使用し、液体はその管を通してポンプで汲み上げられる。 高電圧電源を管の出口に接続する。 電源を入れ、適切な電圧に調節すると、管を通して汲み上げられた液体は変形して細かい液滴の連続的なミストになる。 また、インクジェット技術を用いて、担体ガスを必要とせずに熱、圧電、静電及び音響による方法を使用して液滴を生成してもよい。

    アトマイザー(21)をハウジング(14)内に装備することが好ましいが、外付けアトマイザーもまた使用できる。 これは例えば、ネブライザー(21)の出口(23)と同様の位置に出口を有する入口管に供給できる。 あるいは、例えばガス状態にある表面処理剤を、チャンバ(19)に入るプロセスガスの流れに組み込むことができる。 更なる代替方法として、アトマイザーが電極として作用するような方法で電極をアトマイザーと組み合わせることができる。 例えば、パラレルパスアトマイザーが導電性材料で作られている場合、アトマイザーデバイス全体を電極として用いることができる。 あるいは、針のような導電性構成要素を非導電性のアトマイザーと統合して、電極−アトマイザー一体式システムを形成してもよい。

    チャンバ(19)に入るプロセスガスは、電極(11、12)を通過して2つの狭いチャネル(16、17)を通って流れるように制限される。 好ましくは、プロセスガスはヘリウム及び/又はアルゴンで実質的に構成される不活性ガスを含み、これはつまり、これらのガスのどちらか1つ又は両方のガスの混合物を体積百分率で少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%含み、所望により例えば窒素又は酸素などの別のガスを最高5%又は10%含むことを言う。 表面処理剤と反応させる必要がある場合は、酸素のような活性ガスをより高い比率で使用してもよい。 電極(11、12)を低いRF振動源と接続すると、チャネル(16及び17)のそれぞれからのプロセスガスの流れにおいてプラズマが形成される。 チャネル(16、17)が作り出す2つのプラズマジェットはプラズマ管(13)に入り、プラズマ管の出口(15)まで概ね延びる。

    ガス流様式を変える工程が行われない限りは、図2に示すようにプラズマジェットを層流様式において方向性を持って維持し得る。 図2は、毎分5リットルのヘリウムプロセスガス流量及び広い出口のプラズマ管(13)を有する、図1の装置の動作の際に観測した2つのプラズマジェットの写真である。 本発明者らは、プロセスガスとしてヘリウムを使用して形成されたプラズマジェットは層流様式において維持される傾向が特に強いことを見出した。 この層流様式は、表面処理剤を基板に適用するときに不利な点が幾つかある場合がある。 方向性を持つジェットは堆積のパターニングにつながる場合がある。 更に、ジェットは最高数十メートル/秒もの非常に高速のガスで構成されており、これらのジェットが互いに及び管の壁と相互作用して渦を作り出す場合があり、噴霧した表面処理剤がこの渦に捉えられる場合がある。 噴霧した表面処理剤が基板表面に形成されるポリマーの前駆体である場合、噴霧した前駆体が渦に捉えられていることはプラズマのホットゾーンにおける前駆体の滞留時間が大きく増し、これは気相での重合に好都合な因子であり、粉末状の低密度の膜の堆積につながる。 また、針電極(11、12)及び基板(25)又は使用される場合は接地電極の間にストリーマーが生じる場合がある。 ストリーマーもまた、ストリーマーにおける高いエネルギー集中度による表面処理剤の早すぎる反応によるプラズマの粉末形成の原因である。 導電ウェハのような導電性基板上の堆積では、導電体表面に広がる電荷のため、ストリーマーを回避することは更に困難である。

    通電した電極(11、12)及び基板(25)の間のストリーマーの発生を防ぐための1つの方法は、国際公開第2009/034012号に記載されているようにプロセスガスに窒素を付加してプラズマをクエンチングすることであるが、この解決法は、例えばプラズマから前駆体のポリマーを堆積するときの前駆体の解離に利用可能なエネルギーなど、噴霧した表面処理剤に付加したエネルギーにとって弊害となる。 結果として、プロセスガスへの窒素の付加は、重合の不十分な柔らかい膜の堆積をもたらす原因となる場合がある。 ストリーマーの形成を防ぐための別の方法は、電極(11、12)及び誘電体(27)で覆われた接地板(28)の間の距離を増すことによって電場を減少させることである。 これもまた、前駆体の解離及びポリマー堆積に利用可能なエネルギーを減少させる。

    本発明によると、プラズマにおける粉末形成を、プラズマ管(13)内にガスの乱流様式を作り出すことによって抑制する。 所与のプロセスガスに関して、このガスの流れは、プラズマ管(13)の出口の間隙(30)、すなわち誘電体ハウジング(14)及び基板(25)の間の間隙並びにチャネル(16、17)を通り管(13)に入るプロセスガスの流量を変更することにより層流及び乱流の間で変化させることができる。 ヘリウムを用いて形成したプラズマジェットは層流のまま維持される可能性がより高いので、プロセスガスとしてヘリウムを用いたとき、本発明のプロセス及び装置はガスの乱流様式を促進するのに特に有利である。 より低い運動学的粘性を有するアルゴンなど、ヘリウムより重いガスをプロセスガスとして使用すると(運動学的粘性は流体の動的粘度及び流体の密度の比率である)、それに応じてレイノルズ数が大きくなるため、ガス流はプラズマ管内でより乱流になりやすくなる。 しかし、本発明のプロセス及び装置は、そのようなより重いガスと使用しても確実に乱流を達成できる。

    乱流様式にあるプラズマジェットは図3のように見える。 図3は、針の周囲に直径2mmのチャネル(16、17)を作る誘電体によって囲まれた2つの針電極(11、12)を有し、毎分10リットルのヘリウムプロセスガス流量並びに誘電体ハウジング(14)及び基板(25)の間の間隙(30)が1mmの状態の、図1の装置の動作の際に観測したプラズマジェットの写真である。 誘電体ハウジング(14)は、直径が18mm、電極(11、12)から出口(15)までの長さが75mmのプラズマ管(13)を画定する。

    本発明者らは、図1の装置でプロセスガスとしてヘリウムを用い、様々な間隙(30)の幅を用いて様々な流量で実験を行い、形成されたプラズマジェットが(図2のような)層流様式又は(図3のような)乱流様式のどちらを示すかを観測した。 それぞれの流量で、間隙(30)を漸増した。 Plasma Technics ETI110101装置を20kHz、最大電力100ワットで使用したときの結果を図4のグラフに示す。 図4は、所与のヘリウム流(下の目盛り)で図3のような形のプラズマ放電を達成するための最大出口間隙(30)(左側の目盛り)のグラフである。 2.1リットル/分の流量で、出口でのガス速度は10m/秒、レイノルズ数は27であった。 6.3リットル/分の流量で、出口でのガス速度は30m/秒、レイノルズ数は467であった。 図4に示した線より上の全ての間隙/プロセスガス条件で層流様式が生じており、この線は2つの様式間の境界である。 図4に示した線より上のほとんどの間隙/プロセスガス条件で、図2に示したような2つの分離したプラズマジェットが明らかに視認できる。 図4に示した線よりごくわずかに上の幾つかの間隙/プロセスガス条件では、2つの不安定なプラズマジェットが見られる一過性様式がある可能性がある。 線より下の間隙/プロセスガス条件では、その様式は乱流であり、図3に示すような強い白色光を呈する。 放電の色の変化に伴い、プラズマ管内に拡散することができるN2又はO2が減るため、誘電管内のガス組成物の変化が生じる。 その理由は、大きい流量と小さい間隙とを組み合わせたときの管出口での高いガス速度である。

    乱流様式を有するプラズマからガラス基板上に前駆体のポリマーを堆積すると、粉末状でない密な膜が堆積されることを本発明者らは見出した。 プラズマ管内の渦の形成は、乱流様式によってもたらされる空間的均質化によって回避される。 導電性シリコンウェハへの堆積では、窒素を全く付加せずに電源が全エネルギーで作動しているときでさえストリーマーは検出されなかった。

    図4に見られるように、広範な流量で1.5mm未満の間隙(30)で乱流様式が達成される。 これは、1〜12リットル/分のヘリウム流量に当たる。 したがって、本発明は、入口と出口とを有する誘電体ハウジング内に位置した少なくとも1つの電極に無線周波高電圧を印加する一方、ヘリウムプロセスガスを入口から電極を通過して出口へと流れるようにして非平衡大気圧プラズマを生成し、噴霧した表面処理剤を非平衡大気圧プラズマに組み込み、基板をプラズマの出口に隣接して、その基板の表面がプラズマと接触し、プラズマの出口に対して移動するように位置付けることにより基板をプラズマ処理するプロセスを含み、プラズマの出口及び基板の間の間隙を1.5mm未満に制御することを特徴とする。 間隙(30)は好ましくは1.5mm未満、より好ましくは1mm未満、最も好ましくは0.75mm未満であり、例えば0.25mm〜0.75mmである。 本発明による乱流様式は、例えば最高3mmまでのより大きい間隙で、例えば14リットル/分のより高いヘリウム流量を用いても達成することができるが、間隙が小さいほど低いヘリウム流量で乱流様式を達成することが可能になり、故に、より経済的に実行しやすい条件となる。

    本発明の好ましい態様によると、間隙(30)の表面積はプロセスガスの1つ又は複数の入口の面積の35倍未満である。 図1の装置では、間隙(30)の表面積はチャネル(16及び17)の合計面積の好ましくは25倍未満、より好ましくは20倍未満である。 より好ましくは、間隙(30)の表面積はプロセスガスの1つ又は複数の入口の面積の10倍未満であり、例えばプロセスガスの1つ又は複数の入口の面積の2〜10倍である。 したがって、直径2mmのチャネル(16、17)によって囲まれた2つの直径1mmの針電極(11、12)を有する図1の装置では、針の周囲のガスの流れが利用できるそれぞれのチャネルの面積は2.35mm (合計4.7mm )である。 誘電体ハウジング(14)及び基板(25)の間の間隙(30)が1.5mmの場合、間隙(30)の面積は70mm となり、したがって間隙(30)の表面積はプロセスガス用入口の合計面積の約15倍である。 間隙(30)が1mmの場合、間隙(30)の表面積はプロセスガス用入口の合計面積の約10倍であり、間隙(30)が0.75mmの場合、間隙(30)の表面積はプロセスガス用入口の合計面積の約7.5倍である。

    今日、数多くのプラズマジェットが研究されている。 そのほとんどは空気中を流れ、表面に衝突するものである。 本発明の好ましい形態の特徴は、2つの衝突ジェットが直径2cmの単一の管の中に閉じ込められていることである。 この管は、透明で絶縁性の物質である石英で作られる。 それは、表面に衝突する前のジェットと空気との相互作用を制限することを助け、放電の発達に寄与する。 それぞれのヘリウムジェットにおいてプラズマを開始するために針を用いる。 励起周波数は20kHzの範囲である。 放電の発達は、短い露出時間の写真、発光分光法、及び電圧電流測定によって特徴付けられる。

    図2及び3に示されるように、放電の外観はガスの動的流れによって大きく変化する。 1つの様式から別の様式への遷移は、例えばガスの流れの変更又は閉じ込め空間の底及び表面の間の距離の変更によって生じる。

    「FLUENT」ソフトウェアによる流動力学モデリングに従って、1つの様式から別の様式への放電の遷移を層流から乱流への遷移と相関した。 この遷移は、閉じ込め管の底による空気の取り入れの変化にも関連付けられる。 放電の発達の詳細な研究は、それら2つの様式においてそれぞれのブレークダウンが針の所で始まることを示しているが、乱流様式ではそれはより均質なグロー様の放電である。 本発明者らは、層流様式において正のブレークダウンの直前に、負のブレークダウンでも乱流形態でも生じない「プラズマ弾丸」現象を観測した。

    本発明者らは、所与のヘリウム流量では、プラズマ放電が図2に示したような一対のプラズマジェット及び図3に示したようなより均一な放電の間で変化する間隙(30)の幅は、その間隙が広げられるか狭められるかによって変化することを見出した。 それぞれのヘリウム流量で間隙(30)を漸次的に減少する補足的な実験で、図4の実験を繰り返した。 所与のヘリウム流量(下の目盛り)又は速度(上の目盛り)で図3の形の放電を達成するための最大出口間隙(30)(左側の目盛り)のグラフとして、結果を図5に示す。 上部の線は、放電が図3の形の放電から図2の形の放電に変わるように所与の流量で間隙(30)を増したときの結果を示す。 この結果は図4に示した結果と類似している。 下部の線は、放電が図2の形の放電から図3の形の放電に変わるように所与の流量で間隙(30)を減少したときの結果を示す。 理解されるように、図5はそれら2つの放電の形を交互に切り替えるための一種のヒステリシスを示す。 図3の形の放電から図2の形の放電への遷移は、図2の形の放電から図3の形の放電への遷移より大きい間隙(30)の幅で現れる。

    図4の実験を繰り返し、直径18mm及び電極(11、12)から出口(15)までの長さ75mmのプラズマ管(13)を画定する誘電体ハウジング(14)と、直径16mm及び電極(11、12)から出口(15)までの長さ55mmのプラズマ管を画定する誘電体ハウジングとを比較した。 所与のヘリウム流量(下の目盛り)で図3の形のプラズマ放電を達成するための最大出口間隙(30)(左側の目盛り)のグラフとして、結果を図6に示す。 上部の線は75mmプラズマ管(13)での結果を示し、この結果は図4の結果と同様である。 下部の線は55mmプラズマ管での結果を示す。 75mmプラズマ管の結果及び55mmプラズマ管の結果の相違は大きくないが、短い方のプラズマ管では図3の形のプラズマ放電を得ることがより困難であり、すなわち、所与のヘリウム流量での出口間隙(30)がより小さくなくてはならないことがわかる。 管の長さを75mmより長くすれば、間隙(30)の表面積がプロセスガスの1つ又は複数の入口の面積の35倍未満であるときでさえもより容易に均一の放電を達成することができる。

    本発明者らはまた、より細いプラズマ管(13)、例えば直径18mmのプラズマ管でなく直径8mmのプラズマ管を画定する誘電体ハウジング(14)を使用すると図3の形のプラズマ放電がより容易に得られること、つまり所与のヘリウム流量での出口間隙(30)がそれほど小さくなくてもよいことを見出した。 管の直径が18mm未満であれば、間隙(30)の表面積がプロセスガスの1つ又は複数の入口の面積の35倍未満であるときでさえもより容易に均一の放電を達成することができる。

    本発明で使用した表面処理剤は、非平衡大気圧プラズマ内で又はプラズマ増強化学蒸着(PE−CVD)処理の一部として反応性の前駆体材料であり、任意の適切なコーティングの作製に使用できるものであり、例えば、膜の成長又は既存の表面の化学的改質に使用可能な材料を含む。 本発明を用いて多くの異なるタイプのコーティングを形成することができる。 基板に形成されるコーティングのタイプは使用されるコーティング形成材料によって決定され、本発明のプロセスは基板表面のコーティング形成モノマー材料の(共)重合に使用することができる。

    コーティング形成材料は有機物でも無機物でもよく、固体、液体若しくは気体、又はそれらの混合物でもよい。 好適な有機コーティング形成材料としては、カルボン酸塩、メタクリレート、アクリレート、スチレン、メタクリロニトリル、アルケン、及びジエンが挙げられ、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及び他のアルキルメタクリレート、並びにそれに相当するアクリレートであり、これには有機官能性メタクリレート及びアクリレートが含まれ、これにはポリ(エチレングリコール)アクリレート及びメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、及びフルオロアルキル(メタ)アクリレート、例えば次式のヘプタデシルフルオロデシルアクリレート(HDFDA)、


    メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸及びエステル、イタコン酸(及びエステル)、無マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化アルケン、例えば塩化ビニル及びフッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル、並びにフッ化アルケン、例えば過フッ化アルケン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、アリルアミン、ハロゲン化ビニリデン、ブタジエン、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミドのようなアクリルアミド、エポキシ化合物、例えばグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドール、スチレンオキシド、ブタジエン一酸化物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(及びそのオリゴマー)、ビニルシクロヘキセンオキシド、ピロール及びチオフェン並びにそれらの誘導体のような導電ポリマー、及びリン含有化合物、例えばジメチルアリルホスホネートが含まれる。 コーティング形成材料は、アクリル官能性オルガノシロキサン及び/又はシランもまた含むことができる。

    好適な無機コーティング形成材料としては、金属及び金属酸化物が挙げられ、コロイド状金属も含まれる。 有機金属化合物もまた好適なコーティング形成材料であり得、これにはチタン酸塩、スズアルコキシド、ジルコン酸塩、並びにゲルマニウム及びエルビウムのアルコキシドのような金属アルコキシドが含まれる。 本発明者らは、シリコン含有材料を含むコーティング形成組成物を用いるシロキサン系コーティングを有する基板の提供において、本発明が特定の有用性を有することを見出した。 本発明の方法での使用に好適なシリコン含有材料としては、シラン(例えば、シラン、アルキルシラン、アルキルハロシラン、アルコキシシラン)、シラザン、ポリシラザン、並びに直鎖(例えば、ポリジメチルシロキサン又はポリヒドロゲンメチルシロキサン)及び環状シロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン又はテトラメチルシクロテトラシロキサン)が挙げられ、これには有機官能性直鎖及び環状シロキサン(例えば、Si−H含有、ハロ官能性及びハロアルキル官能性の直鎖及び環状シロキサンであり、例えば、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトリ(ノノフルオロブチル)トリメチルシクロトリシロキサン)が含まれる。 異なるシリコン含有材料の混合物を使用して、例えば特定の必要性(例えば熱特性、屈折率など光学特性、及び粘弾性)のために基板コーティングの物理的特性をカスタマイズしてもよい。 重合SiCO膜の堆積に特に好ましいシリコン含有前駆体は、テトラエチルオルトケイ酸塩Si(OC 及びテトラメチルシクロテトラシロキサン(CH (H)SiO) である。

    プロセスガスに酸素が存在する場合は、テトラエチルオルトケイ酸塩はSiO 層の堆積にも好適である。 これまでのプラズマジェットプロセスでは、プラズマ管への酸素の逆拡散(retro-diffusion)のために、プロセスガス中に酸素がなくてもSiO 層の堆積は可能であった。 本発明では、低い間隙及び大きいヘリウム流量による管の出口でのプロセスガス速度が高いため、プラズマ管内で酸素の逆拡散(retro-diffusion)をするには条件が好ましくない。 しかし、SiO 層の堆積はプロセスガスへのO の付加、例えば0.05〜20体積%のO 、特に0.5〜10体積%のO によって容易に達成され得る。 本発明者らは、SiO への遷移が、O /He混合物を用いた乱流様式において生じることを見出した。

    本発明のプロセスは、テキスタイル及び織物系の電子機器プリント回路基板を含む電子機器、可撓性の表示機を含む表示機、並びに半導体ウェハ、抵抗器、ダイオード、キャパシタ、トランジスタ、発光ダイオード(leds)、有機leds、レーザーダイオード、集積回路(ic)、icダイ、icチップ、メモリデバイス、ロジックデバイス、コネクタ、キーボード、半導体基板、ソーラー電池及び燃料電池のような電子機器コンポーネンツのコーティングに特に好適である。 レンズ、コンタクトレンズ及び他の光学基材のような光学的コンポーネンツも、同様に処理することができる。 その他の用途としては、例えば、ガスケット、シール、プロファイル(profile)、ホース、電子コンポーネンツ及び診断用コンポーネンツなど軍事、航空宇宙又は輸送設備、台所、風呂場及び調理器具が含まれる家庭用物品、オフィス家具、及び実験器具が挙げられる。

    本発明を以下の実施例によって例示する。

    (実施例1〜3)
    図1の装置を使用してSiCO膜を導電性シリコンウェハ基材に堆積した。 20kHz及び最大電力100ワットで動作したPlasma Technics ETI110101に電極(11、12)を接続した。 ヘリウムプロセスガスを8リットル/分で装置に流した。 2つの直径1mmの針電極(11、12)の周囲を囲む誘電体は直径2mmのチャネル(16、17)を形成し、チャネルはそれらの針を取り巻いてガスが特定の速度を得てジェットを形成するようにガスを強制する。 Burgener Incにより供給されたAri Mist HPアトマイザー(21)にテトラエチルオルトケイ酸塩前駆体を供給した。 誘電体ハウジング(14)は、直径18mm及び電極(11、12)から出口(15)までの長さ75mmのプラズマ管(13)を画定する。 石英ハウジング(14)及びシリコンウェハ基板の間の間隙(30)は0.8mmとした。 間隙(30)の表面積は、プロセスガス用入口(16、17)の合計面積の約10倍であった。

    実施例1では、接地対電極を管ハウジング(14)の頂部において、通電した針電極(11、12)の近くの位置でプラズマ管(13)の外に配置した。
    実施例2では、対電極は使用しなかった。
    実施例3では、接地対電極を誘電体ハウジング(14)の底から14mmに位置付け、プラズマ管(13)の外に配置した。

    プラズマ管(13)内で乱流様式を生成したところ、実施例1〜3のそれぞれにおいて図3に示したような強烈な白色の発光を観測した。

    Jobin yvon製の分光エリプソメータUVSELを使用し、実施例のそれぞれで得られた膜について、堆積した膜による光の反射レベルを光の散乱と比較として測定した。 波長450mm(可視スペクトルの中間)の光線を70.4°の度で膜の表面に当てた。 正反射がある場合に光が検出器で収集されるように、正反対側に光電光検出器を位置付けた。 膜が滑らかで反射性が高いほど高い電圧が光検出器によって記録された。 この電圧は検出器が収集する光に比例する。 本発明者らはまず表面が研磨されたシリコンウェハを測定し、130mVの電圧を記録した。 この電圧は、完璧に平らな反射性の高い表面での反射後に収集した光の場合に相当する。 それぞれの実施例の膜に関して記録した電圧を表1に記載する。

    比較実施例C1〜C3は、石英ハウジング(14)及びシリコンウェハ基板の間の間隙(30)を3mmとしたことを除き、それぞれ実施例1〜3と同じ条件を用いて行った。 比較実施例C1〜C3のそれぞれで、プラズマ管(13)内に層流様式を生成したところ、2つの分離したプラズマジェットが明らかに視認できた。

    実施例1〜3に関して記録した高い電圧は高水準の膜反射性及び低水準の散乱を意味し、滑らかな低有孔率の膜の指標となるものである。 以上のように、小さい間隙(30)を用いてプラズマ管(13)内に乱流様式を生成する実施例1〜3は、比較実施例より滑らかな、より有孔率の低い膜を形成した。 比較実施例C1で記録した低い電圧は、粗い膜によって光が検出器へと反射しないがあらゆる方向に散乱したことを示している。

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