【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、復号装置及びデータの復号方法に関し、例えばビデオテープレコーダ、光ディスク装置等に適用することができる。 本発明は、入力信号より1クロックの期間の間だけ論理レベルが反転するタイミングを検出し、この検出結果によりほぼ1クロックの識別誤差により入力信号を識別した仮識別結果を補正した後、この仮識別結果に基づいて入力信号の取り得る状態遷移を制限して処理することにより、簡易な構成で最尤復号することができるようにする。 【0002】また仮識別結果において、入力信号において許容される論理レベルが反転する期間より短い期間における論理レベルの反転が発生した場合に、該論理レベルが反転した期間を先の許容される論理レベルが反転する期間に補正した後、この仮識別結果に基づいて入力信号の取り得る状態遷移を制限して処理することにより、 簡易な構成で最尤復号することができるようにする。 【0003】 【従来の技術】従来、ビデオテープレコーダ、光ディスク装置等においては、ビタビ復号により再生信号を処理することにより、高密度に記録したディジタル信号を確実に再生できるようになされている。 【0004】すなわちビタビ復号は、符号間干渉により決まるn種類の状態を、直前の入力データの組み合わせにより定義し、入力データが変化する毎に、このn種類の状態を続くn種類の状態に更新して入力データを処理する。 具体的に、このn個の状態は、符号間干渉の長さがmの場合、直前のm−1ビットにより決定され、例えば入力データが論理1又は論理0のシリアルデータの場合、n=2 (m-1)の状態が存在することになる。 【0005】このようにして規定されるn個の状態について、各状態に推移する確からしさである尤度は、再生信号に含まれるノイズ成分がガウス分布によるものと仮定し、ノイズが存在しない場合の各状態に対応する再生信号の値を基準振幅値とすると、基準振幅値と実際の再生信号との差分を2乗し(基準振幅値からの距離である)、各状態に推移するまでこの2乗値を累積した値となる。 これによりビタビ復号は、直前n個の状態からそれぞれ各状態へ推移する可能性のある経路についてそれぞれ累積値を計算し、この計算結果より最も尤度の大きな(累積値の小さな)経路により推移したものと判断して、n個の状態を続くn個の状態に更新すると共に、各状態における識別値の履歴及び尤度を更新する。 【0006】このようにして最も確からしい状態推移を順次検出すると、所定の段階で数ビット前までの履歴が1つの履歴に統一され(マージ)、それまでの識別結果が確定する。 これによりビタビ復号は、再生信号を識別する。 【0007】このようにして再生信号を処理するビタビ復号においては、再生信号に重畳するノイズがランダムノイズの場合、再生信号の持つ信号電力を最大限利用して再生信号を識別できることにより、各ビット毎に、再生信号を所定のしきい値と比較して復号する復号方式に比して、エラーレートを改善することができる。 【0008】図14は、連続するシリアルビット列で1 クロックの期間だけの論理レベルの反転する場合を許容する記録符号、すなわちdに制限のない記録符号について、EPR( Extended Partial Responce)4等化における状態の遷移を示す図表である。 なおEPR4は、P R(1、1、−1、−1)であり、1の入力データに対して3ビット後まで符号間干渉が発生する。 【0009】従ってこの組み合わせでは、3ビット前までの入力データの履歴により、その次に入力されたデータによる状態推移(出力)が一義的に決まる。 ここでa 〔k〕は、入力データを示し、a〔k−1〕、a〔k− 2〕、a〔k−3〕は、それぞれ入力データa〔k〕より1クロック、2クロック、3クロック前の入力データである。 この入力データa〔k−1〕、a〔k−2〕、 a〔k−3〕による状態b〔k−1〕を、符号Sと各入力データa〔k−1〕、a〔k−2〕、a〔k−3〕の値により示す。 この場合、例えば状態(S000)において、値0の入力a〔k〕が入力すると、値0の出力c 〔k〕が得られ、状態b〔k〕は、(S000)に変化する。 【0010】この場合、d=1の制限がないことにより、連続する3つの入力データの組み合わせに対応する8個の状態状態(S000)〜(S111)が得られ、 出力信号c〔k〕は、−2、−1、0、1、2の5つの基準振幅値を持つことになる。 これらの関係をトレリス線図により示すと、図15に示すように表される。 【0011】この場合ビタビ復号では、この図15の繰り返しにより形成されるトレリス線図から、再生信号と基準振幅値との差分の2乗値(ブランチメトリック)を累積し、この累積値が最も小さくなるパスを選択して、 入力信号を復号することになる。 【0012】図16は、この種のビタビ復号器を適用した再生装置を示すブロック図である。 この再生装置1において、再生等化器2は、再生信号RFよりクロックを再生可能に、再生信号RFをナイキャスト等化して出力する。 2値化回路3は、この再生等化器2より出力される等化信号を2値化し、2値化信号S2を出力する。 【0013】PLL回路4は、この2値化信号S2を基準にして動作することにより、再生信号RFよりクロックCKを再生して出力する。 アナログディジタル変換回路(A/D)5は、このクロックCKを基準にして再生信号RFを順次アナログディジタル変換処理し、ディジタル再生信号を出力する。 再生等化器6は、このディジタル再生信号を演算処理することにより、例えばEPR 4等化信号を生成して出力し、ビタビ復号器7は、この再生等化器6より出力されるEPR4等化信号を処理して記録媒体への記録信号でなる2値復号出力D1を出力する。 これによりこの再生装置1は、PRML(Pertia l Respose Maximum Liklihood )の手法を適用して2値復号出力D1を再生する。 【0014】図17は、このビタビ復号器7を示すブロック図である。 このビタビ復号器7において、ブランチメトリック計算回路7Aは、EPR4等化信号によるディジタル再生信号DRFを受け、ディジタル再生信号D RFの各サンプル値毎に、次式の演算処理を実行することにより、各基準振幅値に対するブランチメトリックB M0〔k〕〜BM4〔k〕を計算して出力する。 ここでブランチメトリックBM0〔k〕〜BM4〔k〕は、ノイズが存在しない場合の各状態に対応する再生信号の値(基準振幅値であり、この場合値2、値1、値0、値− 1、値−2の5種類である)と実際の再生信号レベルZ 〔k〕との差分の2乗値であり、各基準振幅値に対する再生信号レベルのユークリッド距離である。 【0015】 【数1】 【0016】具体的に、ブランチメトリック計算回路7 Aは、ディジタル再生信号DRFより各基準振幅値を減算する複数系統の減算回路と、各減算結果を2乗する複数系統の乗算回路により構成される。 【0017】ブランチメトリック処理回路7Bは、ブランチメトリック計算回路7Aより出力されるブランチメトリックBM0〔k〕〜BM4〔k〕を用いて、各メトリック計算回路7BA〜7BHでそれぞれ次式の演算処理を実行することにより、各状態へのブランチメトリックの累積値でなるメトリック(S000、k)〜(S1 11、k)を計算する。 ここでmin{a,b}は、 a,bより小さな値を選択する処理である。 【0018】 【数2】 【0019】さらにブランチメトリック処理回路7B は、各メトリック計算回路7BA〜7BHによる判定結果SEL0〜7を出力する。 【0020】すなわち図18は、ブランチメトリック処理回路7Bの構成を詳細に示すブロック図である。 なおブランチメトリック処理回路7Bにおいて、各メトリック計算回路7BA〜7BFは、図15に示す状態遷移に対応するように入出力が設定されている点を除いて同一の回路構成であることにより、ここでは状態S000に対応するメトリック計算回路7BAについてのみ説明し、重複した説明は省略する。 【0021】すなわち状態(S000)への推移についてのメトリックを計算する第1のメトリック計算回路7 BAにおいて、加算回路10は、この第1のメトリック計算回路7BAにおいて1クロック前に計算された状態(S000)のメトリックL(S000,k−1)と、 ブランチメトリック計算回路7Aで計算されたブランチメトリックBM2(k)とを加算して出力する。 これにより加算回路10は、(2−1)式の右辺、第1項に対応する加算結果を出力する。 【0022】加算回路11は、第5のメトリック計算回路7BEにおいて1クロック前に計算された状態(S1 00)のメトリックL(S100,k−1)と、ブランチメトリック計算回路7Aで計算されたブランチメトリックBM3(k)とを加算して出力する。 これにより加算回路11は、(2−1)式の右辺、第2項に対応する加算結果を出力する。 【0023】比較回路12は、加算回路10及び11の出力データの比較結果を出力する。 これにより比較回路12は、状態(S000)へ遷移可能な状態(S00 0)及び(S100)について、何れの状態より推移した方が尤度が大きいか(確からしいか)判断し、その判定結果SEL0を出力する。 【0024】セレクタ13は、比較回路12の判定結果SEL0に応じて、加算回路10又は11の加算結果を選択出力し、これにより(2−1)式の右辺の演算処理結果を出力する。 ラッチ(D)14は、このセレクタ1 3の選択出力をラッチすることにより演算処理結果を1 クロック周期だけ遅延させて出力する。 【0025】パスメモリユニット7Cは(図17)、ブランチメトリック処理回路7Bの計算結果をそれぞれパスメモリ7CA〜7CHで処理することにより2値復号出力D1を生成して出力する。 【0026】すなわち図19及び図20は、パスメモリユニット7Cの一部を示すブロック図である。 図19において、パスメモリ7CAは、所定段数(パスがマージする以上の段数であり、一般的には16〜32ビットに相当する段数である)のラッチ16A〜16Nを直列接続し、これらラッチ16A〜16N間に、第5のパスメモリ7CEの履歴、又は直前のラッチの履歴を選択出力するセレクタ17A〜17Mを配置して構成される。 【0027】これらセレクタ17A〜17Mは、判定結果SEL0に応じて動作を切り換え、これにより対応するメトリック計算回路7BAにおいて、第5の状態(S 100)からのメトリックが選択されると、パスメモリ7CEの履歴を選択出力するのに対し、第1の状態(S 000)からのメトリックが選択されると、前段のラッチが保持する自己の履歴を選択出力する。 初段のラッチ16Aは、これら2つの推移に共通して対応する値0の固定データをラッチする。 また最終段のラッチ16N は、2値復号出力D1を出力する。 【0028】なお第8の状態(S111)のパスメモリ7CHは、この図19に示す構成において、第5のパスメモリ7CEの履歴に代えて、第4のパスメモリ7CD の履歴を選択的に承継する点、履歴の承継に対応して値0の固定値データに代えて値1の固定値データを初段のラッチ16Aでラッチする点、履歴の送出先が異なる点、セレクタ17A〜17Mの切り換え信号が異なる点を除いて、この第1のパスメモリ7CAと同一に構成される。 【0029】これに対して第2のパスメモリ7CBは(図20)、パスメモリ7CCと同一段数のラッチ16 A〜16Nと、初段のラッチ16Aを除くこれらラッチ16B〜16Nに、第1のパスメモリ7CAの履歴、又は第5のパスメモリ7CEの履歴を選択出力するセレクタ17A〜17Mを配置して構成される。 【0030】これらセレクタ17A〜17Mは、判定結果SEL1に応じて動作を切り換え、これにより対応するメトリック計算回路7BBにおいて、第1の状態(S 000)からのメトリックが選択されると、パスメモリ7CAの履歴を選択出力するのに対し、第5の状態(S 100)からのメトリックが選択されると、パスメモリ7CEの履歴を選択出力する。 初段のラッチ16Aは、 これら2つの推移に共通して対応する値1の固定データをラッチする。 また最終段のラッチ16Nは、2値復号出力D1を出力する。 【0031】第3の状態(S010)のパスメモリ7C Cは、この図20に示す構成において、第1又は第5のパスメモリ7CA又は7CEの履歴に代えて、第2又は第6のパスメモリ7CB又は7CFの履歴を選択的に承継する点、履歴の承継に対応して値1の固定値データに代えて値0の固定値データを初段のラッチ16Aでラッチする点、履歴の送出先が異なる点、セレクタ17A〜 17Mの切り換え信号が異なる点を除いて、この第2のパスメモリ7CBと同一に構成される。 【0032】また第4の状態(S011)のパスメモリ7CDは、この図20に示す構成において、第1又は第5のパスメモリ7CA又は7CEの履歴に代えて、第2 又は第6のパスメモリ7CB又は7CFの履歴を選択的に承継する点、履歴の送出先が異なる点、セレクタ17 A〜17Mの切り換え信号が異なる点を除いて、この第2のパスメモリ7CBと同一に構成される。 【0033】さらに第5の状態(S100)のパスメモリ7CEは、この図20に示す構成において、第1又は第5のパスメモリ7CA又は7CEの履歴に代えて、第3又は第7のパスメモリ7CC又は7CGの履歴を選択的に承継する点、履歴の承継に対応して値1の固定値データに代えて値0の固定値データを初段のラッチ16A でラッチする点、履歴の送出先が異なる点、セレクタ1 7A〜17Mの切り換え信号が異なる点を除いて、この第2のパスメモリ7CBと同一に構成される。 【0034】また第6の状態(S101)のパスメモリ7CFは、この図20に示す構成において、第1又は第5のパスメモリ7CA又は7CEの履歴に代えて、第3 又は第7のパスメモリ7CC又は7CGの履歴を選択的に承継する点、履歴の送出先が異なる点、セレクタ17 A〜17Mの切り換え信号が異なる点を除いて、この第2のパスメモリ7CBと同一に構成される。 【0035】さらに第7の状態(S110)のパスメモリ7CGは、この図20に示す構成において、第1又は第5のパスメモリ7CA又は7CEの履歴に代えて、第4又は第8のパスメモリ7CD又は7CHの履歴を選択的に承継する点、履歴の承継に対応して値1の固定値データに代えて値0の固定値データを初段のラッチ16A でラッチする点、履歴の送出先が異なる点、セレクタ1 7A〜17Mの切り換え信号が異なる点を除いて、この第2のパスメモリ7CBと同一に構成される。 【0036】これらの構成により、各パスメモリ7CA 〜7CHは、所定段数だけ履歴を承継すると、対応するラッチにおいて、同一の履歴が保持されることになる。 ビタビ復号器7においては、これにより何れかのパスメモリ7CA〜7CGの最終段のラッチ16Nより2値復号出力D1を選択的に出力するようになされている。 【0037】 【発明が解決しようとする課題】ところでこの種の記録再生系においては、符号間干渉長mを増大させることにより再生データの識別性を向上することができる。 ところが上述したように符号間干渉長mによる状態数Sは、 2 (m-1)で表し得ることにより、符号間干渉長mを増大させると状態数が指数関数的に増大する。 これに対して従来のビタビ復号器7においては、状態の数だけメトリック計算回路7BA〜7BH、パスメモリ7CA〜7C Hが必要になり、状態数が増大するとその分構成が著しく煩雑になる問題がある。 【0038】これによりこの種の記録再生系においては、結局、回路規模より符号間干渉長mをある程度の長さで妥協せざるを得なかった。 【0039】本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で最尤復号することができる復号装置及びデータの復号方法を提案しようとするものである。 【0040】 【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため請求項1又は請求項11に係る発明においては、復号装置又はデータの復号方法に適用して、入力信号より1 クロックの期間の間だけ論理レベルが反転するタイミングを検出して、ほぼ1クロックの識別誤差により入力信号を識別した仮識別結果を補正し、この補正した仮識別結果に基づいて、入力信号の取り得る状態遷移を制限し、該制限した状態遷移の中から最も確からしい状態遷移を検出して入力信号の識別結果を出力する。 【0041】また請求項6又は請求項15に係る発明においては、ほぼ1クロックの識別誤差により入力信号を識別して仮識別結果を得、入力信号において許容される論理レベルが反転する期間より短い期間における論理レベルの反転が発生した場合、該論理レベルが反転した期間を補正し、この補正した仮識別結果に基づいて、入力信号の取り得る状態遷移を制限し、該制限した状態遷移の中から最も確からしい状態遷移を検出して入力信号の識別結果を出力する。 【0042】請求項1又は請求項11に係る構成によれば、仮識別結果に基づいて、入力信号の取り得る状態遷移を制限し、該制限した状態遷移の中から最も確からしい状態遷移を検出して入力信号の識別結果を出力すれば、その分不必要な状態遷移についての演算処理を省略して簡易な構成により最尤判定による識別結果を得ることができる。 【0043】このとき入力信号より1クロックの期間の間だけ論理レベルが反転するタイミングを検出して、ほぼ1クロックの識別誤差により入力信号を識別した仮識別結果を補正することにより、1クロックの識別誤差により入力信号を識別して充分な位相余裕により仮識別結果を得るようにしても、1クロックの期間の間だけの論理レベルの反転を許容する符号化方式による入力信号を確実に仮識別して、最尤復号することができる。 【0044】また請求項6又は請求項15に係る構成によれば、同様に、仮識別結果に基づいて、入力信号の取り得る状態遷移を制限し、該制限した状態遷移の中から最も確からしい状態遷移を検出して入力信号の識別結果を出力すれば、その分不必要な状態遷移についての演算処理を省略して簡易な構成により最尤判定による識別結果を得ることができる。 【0045】このときほぼ1クロックの識別誤差により入力信号を識別して仮識別結果を得、入力信号において許容される論理レベルが反転する期間より短い期間における論理レベルの反転が発生した場合、該論理レベルが反転した期間を補正することにより、1クロックの識別誤差により入力信号を識別して充分な位相余裕により仮識別結果を得るようにして、誤って仮識別した場合でも精度の高い仮識別結果を得ることができ、これによりこの仮識別結果よる最尤復号の精度を向上することができる。 【0046】 【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。 【0047】(1)第1の実施の形態 (1−1)第1の実施の形態の構成 図1は、本発明の実施の形態に係る再生装置を示すブロック図である。 この再生装置21において、図16について上述した再生装置1と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。 この再生装置21においては、仮識別器22における仮識別結果D3 を基準にして最尤復号器23でディジタル再生信号DR Fを処理することにより2値識別出力D1を再生する。 【0048】すなわち再生装置21において、再生等化器24は、再生信号RFを等化して出力することにより、2値化回路3により2値化してPLL回路4によりクロックを再生可能に、またこの2値化回路3より出力される2値化信号S2をPLL回路4より出力されるクロックCKによりラッチして、ほぼ復号出力D1と等しい仮識別結果D3を出力可能に、再生信号RFを処理して出力する。 なお具体的に、再生等化器24は、再生信号RFを例えばPR(1,1)による等化信号に変換して出力する。 【0049】仮識別器22は、図2に示すように、ラッチ(R)26において、クロックCKを基準にして2値化回路3の出力信号S2を順次ラッチすることにより、 仮識別結果D2を生成する。 【0050】ここで図3に示すように、PR(1,1) 等化信号を2値化してなる2値化信号S2をクロックC Kによりラッチすると(図3(A)及び(B))、EP R4等化信号によるディジタル再生信号DRFを2値識別する場合に比して、振幅方向に2 1/2倍の識別マージン(すなわち振幅余裕である)を得ることができる。 【0051】仮識別器22においては、この2値化信号S2をラッチする際に、クロックCKの生成基準である再生等化器24の出力信号が2値化回路3のしきい値を横切るタイミング(この実施の形態では、図3に示すようにクロックCKの立ち上がりエッジのタイミング)で順次2値化信号S2をラッチする。 【0052】これによりこの識別結果D2(図3 (C))は、スライスレベルを横切るタイミングがノイズにより変化することより、記録時における対応する記録符号に対して、各エッジのタイミングが同位相か(以下前エッジのタイミングと呼び、符号aを用いて示す)、又は1クロック遅延したもの(以下後ろエッジのタイミングと呼び、記号bを用いて示す)となり、これにより仮識別結果D2においては誤りを含んで識別されることになる。 【0053】しかしながら単にナイキャスト等化して得られるディジタル再生信号DRFを2値識別する場合に比して、位相方向には2倍の識別マージンにより識別していることにより、各エッジにおいて1クロックの識別誤差を有してはいるものの、この1クロックの識別誤差を除いて記録符号を比較的正しく識別していることになる。 これによりこの実施の形態では、この仮識別結果D 2を基準にしてディジタル再生信号DRFを処理することより、全体構成を簡略化すると共に、十分な位相余裕を確保して確実に復号出力D1を再生する。 【0054】ところでこのようにして位相余裕が極めて小さなタイミングにより2値化信号S2をラッチして仮識別結果D2を生成すると、図4に示すように、2値化信号S2の信号レベルが1クロック周期分だけ立ち上がっている場合(図4(A)及び(B))、仮識別結果D 2においては(図4(C))、ジッター等によりこの信号レベルの立ち上がりをラッチできない恐れがある。 【0055】これにより仮識別器22において(図2)、孤立波形検出回路27は、ラッチ(R)28によりクロックCKの立ち下がりエッジのタイミングで2値化信号S2を順次ラッチすると共に、続く遅延回路(D)29及び30によりラッチ結果を順次転送し、これにより仮識別結果D2に対して1/2クロック周期だけ異なるタイミングによる連続する3クロック分のラッチ結果を取得する。 【0056】孤立波形検出回路27は、これら連続する3クロック分のラッチ結果のうちの、遅延回路29より出力される中央のタイミングによるラッチ結果について、インバーター31により論理レベルを反転し、他のラッチ結果と共にアンド回路32に入力する。 これにより孤立波形検出回路27は、負側に1クロック分だけ2 値化信号S2の信号レベルが立ち下がると論理レベルが立ち下がる負側孤立波形の検出信号S2Nを生成する。 【0057】また同様に、孤立波形検出回路27は、これら連続する3クロック分のラッチ結果のうちの、ラッチ28及び遅延回路30より出力される先頭及び最後尾のタイミングによるラッチ結果について、インバーター33及び34により論理レベルを反転し、他のラッチ結果と共にアンド回路35に入力する。 これにより孤立波形検出回路27は、正側に1クロック分だけ2値化信号S2の信号レベルが立ち上がると論理レベルが立ち上がる正側孤立波形の検出信号S2Pを生成する。 【0058】仮識別器22は、クロックCKの立ち上がりエッジのタイミングを基準にして2値化信号S2をラッチして生成した仮識別結果D2に対して、ゲート回路36によりこれら負側孤立波形の検出信号S2N及び正側孤立波形の検出信号S2Pを重畳し(図4(D))、 このゲート回路36の出力信号を仮識別結果D3として出力する。 【0059】最尤復号器23は(図1)、この仮識別結果D3を基準にしてディジタル再生信号DRFを処理することにより、再生信号RFを最尤判定してなる復号出力D1を出力する。 【0060】すなわち図5に仮識別結果D3(図5 (A))と状態遷移(図5(B))との関係を示すように、仮識別結果D3におけるエッジのタイミングは、記録符号に対して1クロック分だけ遅延したものか、又は正しいタイミングかの何れかであることにより、この仮識別結果Dは、正確には状態遷移を反映していないことになる。 【0061】しかしながら例えばデータの伝送開始の時点k−1で状態(S000)にマージしている場合、ディジタル再生信号DRFは、時点k及びk+1でそれぞれ2つのパスに別れる可能性があるのに対し、時点kにおいて仮識別結果D2が立ち上がるとすると、時点k+ 1で状態S000に至るパスにあっては、取り得ないことが判る。 すなわちこの仮識別結果D3が前エッジのタイミングで立ち上がっている場合、ディジタル再生信号DRFは、時点kにおいて、状態(S001)に遷移し、仮識別結果D2が後ろエッジのタイミングが立ち上がっている場合には続く時点k−1において、状態(S 001)に遷移することになる。 【0062】なおこの図5においては、仮識別結果D3 におけるビット反転のノイズによる変化を矢印により示し、前エッジ及び後ろエッジに対応する符号a及びb と、何らビット反転を特定しないことを意味する符号* とを用いた過去3クロックの期間における仮識別結果D 3との対比により各パスを示す。 従って時点k−1から時点kに至るパスb**は、時点kにおける仮識別結果D3において、後ろエッジが正しい場合に対応するパスであり、続くパスbb*は、時点k及びk+1における仮識別結果D3のビット反転において、何れも後ろエッジが正しい場合に対応するパスであり、このパスより続く時点k+2までのパスも同様に、パスbb*により表されることになる。 【0063】また同様に、パスa**は、時点kにおける仮識別結果D3において、前エッジが正しい場合に対応するパスであり、このパスに続くパスaa*及びab *は、それぞれ時点k及びk+1における仮識別結果D 3のビット反転において、何れも前エッジが正しい場合と、時点kにおいては前エッジが時点k+1においては後ろエッジが正しい場合のパスである。 【0064】このようにして過去3クロックの期間における仮識別結果D3のビット反転を基準にしてパスを記述するにつき、EPR4においては、1つのマージ(合流)までに取り得る可能性のあるパスは、直前3ビットの仮識別結果D3に基づいて判断することができる。 従って仮識別結果D3の状態を特定するためには、この1 クロックの仮識別結果D3が1クロックの誤差を有していることにより、直前3ビットと直後1ビットの仮識別結果D3により、1つのマージに至るパスを特定することができる。 【0065】すなわち1ビットの仮識別結果D3に対して可能性のある状態遷移は、直前3ビットから直後1ビットまでの仮識別結果D3より推定される状態遷移以外は取り得ず、これら直前3ビットから直後1ビットまでの仮識別結果D3より推定される状態遷移以外を計算から排除すれば、その分復号回路の構成を簡略化することができる。 【0066】EPR4においては、符号間干渉長が4ビットであることにより、仮識別結果D3において、1回論理レベルが反転するとパスの分岐が発生し、4クロック後に分岐したパスが合流することになる。 この図5の場合、始めのビット反転により1つのパスを計算対象より除外するとし、またこの間で仮識別結果D3におけるビット反転が連続しないとすれば(すなわち4クロックの期間で、最大3回ビット反転するものとすれば)、この合流に至るまでの間では、符号aabで記述されるパスに対して符号babで記述されるパスのように、最初のビット反転に対応する符号a及びbだけが異なるパスが合流することになる。 【0067】従ってこの場合、この合流したパスaab 及びbabについて、メトリックを判定して対応する仮識別結果を選択するようにすれば、これらパスaab及びbabのうちで確からしいパスを選択して対応する識別結果を得ることができる。 【0068】すなわち1クロック周期の識別誤差を有する仮識別結果を基準にして、メトリックを計算することにより、この実施の形態では、EPR4においてディジタル再生信号DRFの取り得る状態数の1/2である最大で4つの状態についてメトリックを計算すれば良いことが判る。 具体的に、図5に示す例においては、時点k の4クロック目である時点k+3においては、時点kのビット反転により分岐したパスbbbとabbとが合流することになる。 なおこの図5の例では、状態(S00 0)と状態(S001)ではパスが合流していないが、 この場合、本来はそれぞれこの図5に示す例に加えて、 パスbab及びbaaが合流するものが、時点k+1においても仮識別結果D3でビット反転していることにより、これらのパスbab及びbaaが仮識別結果により除外されていることが示されている。 【0069】なおこの時点k+1から4クロック目である時点k+4においても、この時点k+1により分岐したパスが合流することになる。 従ってこの合流点において、ブランチメトリックの累積結果によりパスを選択すれば、時点k+1におけるビット反転について、前エッジが正しいものか後ろエッジが正しいものかを判定することができる。 【0070】これによりこの実施の形態では、8つの状態(S000〜S111)に代えて、この仮識別結果D 3における過去3クロック周期における仮識別結果D3 より状態を推定して対応するメトリックを計算し、このメトリックより尤度を判定してパスを特定する。 すなわち過去3クロック周期における仮識別結果D3より可能性のあるパスaaa〜bbbについて、対応する基準振幅値を順次設定すると共に、この基準振幅値を基準にしてメトリックを順次計算し、合流点においては合流する2つのパスについてメトリックの判定によりパスを選択する。 【0071】なお、図5の説明については、符号*を用いて対応する仮識別結果D3においてビット反転を特定しないことを示したが、以下においては、便宜上、この符号*を符号a又はbとおいて説明する。 【0072】ところでこのようにしてパスaaa〜bb bについて、順次ブランチメトリックを累積して尤度を判定する場合、d=1の制限の無い符号化方式にあっては、図5において時点k+11〜時点k+14に示すよう、仮識別結果D3において、連続してビット反転する場合がある。 【0073】この場合、時点k+10で分岐したパスが時点k+14において合流するものの再び分岐することになり、この場合符号間干渉長が4ビットであることにより、状態(S001)に至るパスにあっては、符号a abbにより特定されることになる。 しかしながら仮識別結果D3により、この符号aabbのパスは、符号b abbによるパスにより状態(S001)に至ることが無いことにより、順次メトリックを計算して符号abb により特定されるパスとなる。 すなわちこの場合は、この時点k+14に至る前の時点で、可能性の無いパスについては、メトリックの選択において除外されるように、対応する基準振幅値を各状態に対応する所定の値に設定して大きな値のメトリックが計算されるようにすることにより、上述したようにして順次パスを選択することができる。 【0074】また状態(S010)に至るパスにあっては、符号aaaaにより特定されることになり、この場合も仮識別結果D3によりbaaaによるパスにより状態(S010)に至ることが無いことにより、順次メトリックを計算して符号aaaにより特定されるパスとなり、同様に、上述したようにして順次パスを選択することができる。 【0075】さらに状態(S011)に至るパスにあっては、符号aaabにより特定されることになり、この場合も仮識別結果D3によりbaabによるパスにより状態(S011)に至ることが無いことにより、順次メトリックを計算して符号aabにより特定されるパスとなり、同様に、上述したようにして順次パスを選択することができる。 【0076】これに対して状態(S101)にあっては、符号bbbbによるパスと符号abbbによるパスがマージし、それぞれこれら符号bbbbによるパスと符号abbbによるパスにあっては、仮識別結果D3によりabb及びbbbによるパスが状態(S101)に遷移するパスであることにより、これらabb及びbb bによるメトッリクを上述したようにして処理して選択することにより、符号bb*によるパスとすることができる。 【0077】しかしながら過去3クロック周期における仮識別結果D3より可能性のあるパスaaa〜bbbについて、対応する基準振幅値を順次設定してメトリックを順次計算する場合、この状態(S101)にマージする符号abbbに至るパスabbにあっては、状態(S 001)について上述した符号aabbに対応するパスabbと同じように記述されることになる。 【0078】すなわち過去3クロック周期における仮識別結果D3より可能性のあるパスaaa〜bbbについて、順次メトリックを計算して処理する場合にあって、 d=1の制限が無い場合で、かつ符号間干渉長が4の場合、仮識別結果D3における連続したビット反転において、順次前エッジ、前エッジ、後ろエッジ、後ろエッジに対応するパスにあっては、異なる状態に遷移するパスとの間で識別することが困難になる。 これによりこの実施の形態では、この場合に限り、別途基準振幅値を設定する。 さらにこの基準振幅値により別途ブランチメトリックを計算し、1のメトリック処理回路において、符号aabbに対応するパスabbの処理を待って、別途計算したブランチメトリックによりパスメトリックを更新する。 【0079】すなわち図6は、最尤復号器23を詳細に示すブロック図である。 この最尤復号器23において、 LPS(Limited Path Seledtor )40は、連続する仮識別結果D3を順次遅延させて、符号間干渉長である連続する4クロック分の仮識別結果D3を同時並列的に出力する4つの遅延回路と、この連続する4クロック分の仮識別結果D3をアドレスにして対応する出力データを出力するメモリとにより構成され、これら連続する4クロック分の仮識別結果D3のうちの、現時点に近い側の3クロック分に対応してなる1系統の基準振幅値Caa a〜Cbbbと、4クロック分に対応してなる基準振幅値Caabbを出力する。 【0080】なお1系統の基準振幅値Caaa〜Cbb bにあっては、パスaaa〜bbbにより特定される状態に対する各基準振幅値である。 ここで基準振幅値Ca aa〜Cbbbにあっては、便宜上、符号a及びbを用いた添え字により示すが、必ずしも仮識別結果D3における3回のビット反転に対応する基準振幅値ではなく、 ここでは連続する4クロック分の仮識別結果D3をアドレスにして出力される基準振幅値であることから、仮識別結果D3にビット反転が発生していない場合には、図6について上述した符号*により遷移する状態に対応する基準振幅値に設定されることになる。 また基準振幅値Caabbにあっては、パスaabbにより特定される状態に対する基準振幅値である。 【0081】LPS40は、このようにして基準振幅値を出力するにつき、仮識別結果D3より遷移する可能性の無い状態に対応する基準振幅値にあっては、続くブランチメトリックの計算において大きな値が得られるように、所定の値を出力する。 【0082】またLPS40は、仮識別結果D3がビット反転すると、このビット反転のタイミングから符号間干渉長の分だけ遅延したタイミングで論理レベルが立ち上がるパス選択信号Cmpを出力する。 かくするにつき、このパス選択信号Cmpは、このビット反転のタイミングで分岐したパスについて、これらのパスが合流するタイミングを示すものであり、メトリックの選択を指示することになる。 【0083】またLPS40は、連続して4回のビット反転が発生した場合に論理レベルが立ち上がる連続ビット反転の識別信号Ctを出力する。 さらにLPS40 は、仮識別結果D3を所定期間遅延させ、それぞれ前エッジが正しい場合に対応するタイミングと後ろエッジが正しい場合に対応するタイミングの基準信号PRDA及びPRDBを生成し、これらの基準信号PRDA及びP RDBを初期設定信号として出力する。 【0084】ブランチメトリック計算回路(BMC:Br anch Metric Calulator )41は、基準振幅値Caaa 〜Cbbb、Caabbと、ディジタル再生信号DRF との間で次式の演算処理を実行してブランチメトリックBMaaa〜bmbbb、BMaabbを計算する。 【0085】 【数3】 【0086】ブランチメトリック処理回路(ACS:Ad d-Compare-Select)42は、ブランチメトリックBMa aa〜bmbbb、BMaabbを累積して各パスのメトリックを計算し、さらにこのメトリックよりパスの選択信号SELaa〜SELbbを出力する。 【0087】すなわち図7は、ブランチメトリック処理回路42を示すブロック図である。 ブランチメトリック処理回路42は、それぞれ合流する2つのパスに対応する4系統のメトリック計算回路43AA〜43BBにより構成される。 これらメトリック計算回路43AA〜4 3BBは、仮識別結果D3において、過去2つのビット反転において共に前エッジのタイミングが正しいものするメトリック計算回路43AA、この2つのビット反転において、前エッジ及び後ろエッジのタイミングが正しいものするメトリック計算回路43AB、後ろエッジ及び前エッジのタイミングが正しいものするメトリック計算回路43BA、共に後ろエッジのタイミングが正しいものするメトリック計算回路43BBとにより構成される。 【0088】このうち第1のメトリック計算回路43A Aは、図8に示すように、加算回路(ADD)45及び遅延回路(D)46によりブランチメトリックBMaa aを累積加算する。 メトリック計算回路43AAは、マージにおいてパス選択信号Cmpが立ち上がると、この累積加算の帰還ループに介挿したセレクタ(SEL)4 7によりこの第1のメトリック計算回路43AAで選択されたパスメトリックPMaaを加算回路45に出力し、マージによりこのメトリック計算回路43AAで選択されたパスメトリックPMaaを基準にしてブランチメトリックBMaaaを累積加算する。 【0089】またメトリック計算回路43AAは、同様に、加算回路(ADD)48及び遅延回路(D)49によりブランチメトリックBMbaaを累積加算し、パス選択信号Cmpが立ち上がると、この累積加算の帰還ループに介挿したセレクタ(SEL)50により第3のメトリック計算回路43BAで選択されたパスメトリックPMbaを加算回路48に出力する。 これによりメトリック計算回路43AAは、マージによりこのメトリック計算回路43ABで選択されたパスメトリックPMab を基準にしてブランチメトリックBMbaaを累積加算する。 【0090】比較回路(COMP)51は、パス選択信号Cmpが立ち上がると、加算回路45及び48の出力値を比較して比較結果を出力し、遅延回路52は、この比較結果を遅延回路46及び49によるタイミングの遅れ分だけ遅延させてパスの選択信号SELaaとして出力する。 セレクタ53は、パス選択信号Cmpの立ち上がりに対応して、この選択信号SELaaに応じて遅延回路46及び49の出力値を選択する。 これによりメトリック計算回路43AAは、ブランチメトリックを累積して2系統のパスメトリックを生成すると共に、このパスメトリックを基準にしてマージのタイミングでパスを選択し、その選択結果を出力するようになされている。 【0091】なお第3及び第4のメトリック計算回路4 3BA及び43BBは、セレクタ47及び48への入力、加算回路45及び48への入力がそれぞれ対応するパスに応じて異なる点を除いて、この第1のメトリック計算回路43AAと同一に構成される。 これによりこれら第3及び第4のメトリック計算回路43BA及び43 BBにおいても、同様に、それぞれブランチメトリックを累積して2系統のパスメトリックを生成すると共に、 このパスメトリックを基準にしてマージのタイミングでパスを選択し、その選択結果を出力するようになされている。 【0092】これに対して図9は、第2のメトリック計算回路43ABを示すブロック図である。 このメトリック計算回路43ABにおいては、他のメトリック計算回路43ABと同様に、加算回路(ADD)54及び遅延回路(D)55によりブランチメトリックBMaabを累積加算し、パス選択信号Cmpが立ち上がると、この累積加算の帰還ループに介挿したセレクタ(SEL)5 6により第1のメトリック計算回路43AAで選択されたパスメトリックPMaaを加算回路54に出力する。 これによりメトリック計算回路43ABは、マージによりメトリック計算回路43AAで選択されたパスメトリックPMaaを基準にしてブランチメトリックBMaa bを累積加算する。 【0093】またメトリック計算回路43ABは、加算回路(ADD)57及び遅延回路(D)58によりブランチメトリックBMbabを累積加算し、パス選択信号Cmpが立ち上がると、この累積加算の帰還ループに介挿したセレクタ(SEL)59により第3のメトリック計算回路43BAで選択されたパスメトリックPMba を加算回路57に出力する。 これによりメトリック計算回路43ABは、マージによりメトリック計算回路43 BAで選択されたパスメトリックPMbaを基準にしてブランチメトリックBMbabを累積加算する。 【0094】比較回路(COMP)60は、パス選択信号Cmpが立ち上がると、加算回路54及び57の出力値を比較して比較結果を出力し、遅延回路61は、この比較結果を遅延回路55及び58によるタイミングの遅れ分だけ遅延させてパスの選択信号SELabとして出力する。 セレクタ62は、パス選択信号Cmpの立ち上がりに対応して、この選択信号SELabに応じて遅延回路55及び61の出力値を選択する。 これによりメトリック計算回路43ABは、ブランチメトリックを累積して2系統のパスメトリックを生成すると共に、このパスメトリックを基準にしてマージのタイミングでパスを選択し、その選択結果を出力するようになされている。 【0095】さらにメトリック計算回路43ABは、加算回路(ADD)63において、ブランチメトリックB MaabbとパスメトリックPMaaとを加算し、連続したビット反転の識別信号Ctが立ち上がると、加算回路54及び遅延回路55間に介挿したセレクタ(SE L)64の接点の切り換えにより、この加算回路63の出力値を累積加算ループにセットする。 これによりメトリック計算回路43ABは、1クロック周期でビット反転が4回連続した場合には、他のメトリック計算回路と同様に、1系統の基準振幅値Caaa〜Cbbbに対応するパスメトリックを処理して選択信号SELab及びパスメトリックPMabを出力した後、残りの基準振幅値Caabbに対応するブランチメトリックBMaab bとパスメトリックPMaaとによりパスメトリックを更新するようになされている。 【0096】パスメモリユニット(PMU:Path Memor y unit)70は、ブランチメトリック処理回路42より出力される選択信号SELaa〜SELbbを基準にして仮識別結果D3による基準信号PRDA及びPRDB を承継し、これにより復号出力D1を出力する。 【0097】すなわち図10に示すように、パスメモリユニット70は、各パスに対応するセレクタ群71AA 〜71BBと、各セレクタ群71AA〜71BBに対応するシフトレジスタ群(SR(aa)〜SR(bb)) 72AA〜72BBとにより構成され、それぞれ対応する履歴を承継して復号出力D1を生成する。 【0098】図11は、このうちの第1のセレクタ群7 1AA及びシフトレジスタ群72AAを示すブロック図である。 ここでシフトレジスタ群72AAは、所定段数(パスがマージする以上の段数であり、一般的には16 〜32ビットに相当する段数である)のラッチ(D)7 3A〜73Nが直列に配列され、セレクタ群71AA は、これらラッチ73A〜73N間に、前段のラッチにラッチされた履歴、又は第3のシフトレジスタ群72B Aの対応するラッチでラッチされた履歴を続くラッチに選択出力するセレクタ(SEL)74A〜74Mを配置して構成される。 【0099】ここで各セレクタ(SEL)74A〜74 Mは、パス選択信号Cmpが立ち上がると、選択信号S ELaaに応じて、第3のシフトレジスタ群72BAによる履歴又は前段のラッチにラッチされた履歴を続くラッチに出力するのに対し、パス選択信号Cmpが立ち下がっている場合には、前段のラッチにラッチされた履歴を続くラッチに出力する。 【0100】また初段のラッチ73Aは、LPS40より出力される基準信号PRDA及びPRDBのうちの、 前エッジが正しい場合に対応する基準信号PRDAを初期設定値として入力するのに対し、最終段のラッチ73 Nは、復号出力D1を出力する。 【0101】かくするにつき第2のセレクタ群71AB 及びシフトレジスタ群72ABは、同様の構成において、各セレクタ74A〜74Mが、第1のシフトレジスタ群72AAによる履歴、第3のシフトレジスタ群72 BAによる履歴を続くラッチに選択出力するように構成されて、パス選択信号Cmpが立ち上がると、選択信号SELaaに応じて、これらシフトレジスタ群72AA 又は72BAによる履歴を続くラッチに出力するのに対し、パス選択信号Cmpが立ち下がっていると、単に履歴をシフトさせ、これにより同様にして復号結果D1を生成する。 【0102】また第3のセレクタ群71BA及びシフトレジスタ群72BAは、同様の構成において、各セレクタ74A〜74Mが、第2のシフトレジスタ群72AB による履歴、第1のシフトレジスタ群72BBによる履歴を続くラッチに選択出力するように構成されて、パス選択信号Cmpが立ち上がると、選択信号SELbaに応じて、これらシフトレジスタ群72AB又は72BB による履歴を続くラッチに出力するのに対し、パス選択信号Cmpが立ち下がっていると、単に履歴をシフトさせ、これにより同様にして復号結果D1を生成する。 【0103】さらに第4のセレクタ群71BB及びシフトレジスタ群72BBは、同様の構成において、各セレクタ74A〜74Mが、第2のシフトレジスタ群72A Bによる履歴、自己が保持する履歴を続くラッチに選択出力するように構成されて、パス選択信号Cmpが立ち上がると、選択信号SELbbに応じて、これら履歴を続くラッチに出力するのに対し、パス選択信号Cmpが立ち下がっていると、単に履歴をシフトさせ、これにより同様にして復号結果D1を生成する。 【0104】(1−2)第1の実施の形態の動作 以上の構成において、再生装置21において(図1)、 例えばハードディスク等の記録媒体より再生された再生信号RFは、2値化により識別可能に、またクロックを再生可能に再生等化器24により等化された後、2値化回路3により2値化され、その結果得られる2値化信号S2がPLL回路4に入力され、ここでクロックCKが再生される。 【0105】さらに2値化信号S2は、仮識別器22において(図2及び図3)、クロックCKの生成基準側のエッジを基準にして順次ラッチされ、これにより再生装置21では、ほぼ1クロックの識別誤差により入力信号である再生信号RFを識別して仮識別結果D2が生成される。 【0106】これにより再生装置21においては、充分な振幅余裕、位相余裕により再生信号RFを仮識別することができ、その分簡易かつ確実に最終的な識別結果D 1を検出することができる。 【0107】さらに2値化信号S2は、この仮識別器2 2の孤立波形検出回路27において、仮識別結果D2の生成に供したタイミングより1/2クロック周期だけずれたタイミングにより順次ラッチされた後、連続する3 クロックのラッチ結果の論理レベルがアンド回路32及び35により判定され、これにより再生信号RFより1 クロックの期間の間だけ論理レベルが反転するタイミングが検出され、先の仮識別結果D2を補正してなる仮識別結果D3がゲート回路36より出力される(図4)。 【0108】これにより再生装置21においては、1クロックの識別誤差により再生信号RFを識別して仮識別結果D3を生成する場合において、再生信号RFの位相がジッター等により大きく変化した場合でも、再生信号RFを正しく仮識別することができる。 【0109】これに対して再生信号RFにおいては、再生等化器24より等化された後、アナログディジタル変換回路5によりアナログディジタル変換処理されてディジタル再生信号に変換され、このディジタル再生信号が再生等化器25によりナイキャスト等化されてEPF4 による等化信号であるディジタル再生信号DRFが生成される。 【0110】このディジタル再生信号DRFは、最尤復号器23において、仮識別結果D3に基づいて、ディジタル再生信号DRFの取り得る状態遷移が制限され、該制限した状態遷移の中から最も確からしい状態遷移を検出して識別結果D1が生成される。 【0111】すなわち最尤復号器23において(図6)、仮識別結果D3は、LPS40に入力され、ここで連続する4クロックの識別結果に応じて各パスに対応する基準振幅値Caaa〜Cbbb、Caabbが順次生成され、各振幅基準値Caaa〜Cbbb、Caab bに対するディジタル再生信号DRFの距離であるブランチメトリックBMaaa〜BMbbb、BMaabb が続くブランチメトリック処理回路41で計算される。 【0112】これら続くブランチメトリック処理回路4 2において(図7)、ブランチメトリックBMaaa〜 BMbbb、BMaabbは、合流するパス毎に、各メトリック計算回路43AA〜43BBに入力され、各メトリック計算回路43AA〜43BBにおける加算回路45及び遅延回路46による累積加算により、また加算回路48及び遅延回路49による累積加算により(図8)、ブランチメトリックが累積加算されてパスメトリックが計算され、識別結果D3におけるビット反転より4クロック分だけ経過してパスが合流(マージ)するタイミングで比較回路51によりパスメトリックが比較される。 【0113】これにより最尤復号器23においては、マージしたパスのうちの何れのパスが確からしか判定され、この判定結果が選択信号SELaa〜SELbbとして続くパスメモリユニット70に出力され、またこの選択されたパスメトリックがセレクタ47、50によりブランチメトリックの累積加算基準としてセットされる。 【0114】このとき最尤復号器23においては、1クロックの識別誤差を有する仮識別結果D3を基準にして、この仮識別結果D3の連続する3クロック分の論理レベルに応じて1系統の基準振幅値Caaa〜Cbbb を生成し、これら1系統の基準振幅値Caaa〜Cbb bからのディジタル再生信号DRFの距離を検出してブランチメトリックを計算した後、パスメトリックを計算する。 これにより最尤復号器23は、取り得ることの無い状態遷移を除外して、これらディジタル再生信号DR Fの取り得る状態遷移を制限し、全体として4系統のメトリック計算回路によりパスメトリックを計算して最尤判定することができ、さらに続くパスメモリについても4系統により処理することができる。 従ってその分簡易な構成によりディジタル再生信号DRFを最尤復号することができる。 【0115】またこのときこれら1系統の基準振幅値C aaa〜Cbbbのうち、遷移する可能性の無いパスについては、ブランチメトリックが大きな値となるように設定することにより、1つのビット反転によるパスの分岐が4クロック後に合流するまでの間で、3回のビット反転が発生した場合でも、仮識別結果D3を基準にしてディジタル再生信号DRFを正しく最尤復号することができる。 【0116】またさらに仮識別結果D3の連続する4クロック分の論理レベルにより、連続するビット反転において、前エッジ、前エッジ、後ろエッジ、後ろエッジが正しいものとするパスについての基準振幅値Caabb を別途生成し(図6及び図9)、この基準振幅値Caa bbについてブランチメトリックBMaabbを計算し、このようなビット反転が連続した場合には、対応するパスの判定を待ってこのブランチメトリックBMaa bbで対応するパスメトリックを更新することにより、 ディジタル再生信号DRFが連続したビット反転を許容する符号化方式による場合でも、正しく最尤復号することができる。 【0117】かくするにつき、最尤復号器23においては、このようにして検出された選択信号SELaa〜S ELbbにより、続くパスメモリユニット70において(図10及び図11)、対応する仮識別結果PRDA、 PRDBによる履歴が順次承継されて復号結果D1が生成される。 【0118】(1−3)第1の実施の形態の効果 以上の構成によれば、1クロックの識別誤差により再生信号RFを仮識別し、再生信号RFより1クロックの期間の間だけ論理レベルが反転するタイミングを検出して仮識別結果D2を補正した後、この仮識別結果D3に基づいてディジタル再生信号DRFの取り得る状態遷移を制限して処理することにより、1クロックの期間だけビット反転するような符号化方式による場合であっても、 簡易な構成で最尤復号することができる。 【0119】すなわち仮識別結果D3における論理レベルの反転に対応するディジタル再生信号DRFの状態遷移と、仮識別結果D3における論理レベルの反転を1クロック周期だけ遅延させたタイミングにおけるディジタル再生信号DRFの状態遷移とに、ディジタル再生信号DRFの取り得る状態遷移を制限して処理することにより、従来に比してメトリック計算回路等の構成をほぼ1 /2に低減することができる。 【0120】またディジタル再生信号DRFの符号間干渉長n(4)に対して、仮識別結果D3の連続するn− 1(3)ビットに対応する基準振幅値Caaa〜Cbb bからの距離BMaaa〜BMbbbを累積して1系統の確からしさBMaa〜BMbbを計算して確からしさの判定結果である選択信号SELaa〜SELbbを出力し、仮識別結果D3の連続するnビットが前エッジ、 前エッジ、後ろエッジ、後ろエッジが正しい場合である所定の論理レベルaabbの場合に対応する基準振幅値Caabbからの距離BMaabbにより先の1系統の確からしさMaa〜BMbbの対応する確からしさMa bを更新することにより、メトリック計算回路等の構成をほぼ1/2に低減した場合であっても、1クロックの期間だけビット反転するような符号化方式による記録符号を確実に復号することができる。 【0121】(2)第2の実施の形態 この第2の実施の形態においては、EEPR4を適用して再生信号を最尤判定する。 なおこの第2の実施の形態においては、図1について上述した再生装置21に対して、再生等化器24、25、最尤復号器の構成が異なる点を除いて同一の構成であることにより、この実施の形態では重複した説明は省略する。 【0122】すなわち図12は、この実施の形態に係る最尤復号器80を示すブロック図である。 この最尤復号器80は、EEPR4による等化信号としてのディジタル再生信号DRFが入力される。 最尤復号器80は、第1の実施の形態に係る最尤復号器23と同様に、仮識別結果D3に基づいて、ディジタル再生信号DRFの取り得る状態遷移を制限し、この制限した状態遷移の中から最も確からしい状態遷移を検出してディジタル再生信号DRFの識別結果を出力する。 これによりこの実施の形態においても、簡易な構成により、また1クロックだけのビット反転を許容するような符号化方式によっても、 ディジタル再生信号DRFを復号できるようになされている。 【0123】ここでディジタル再生信号DRFは、符号間干渉長が5であり、仮識別結果D3のビット反転に対応してパスが分岐し、5クロック目に合流することになる。 またdの制限が無い符号化方式による場合には、この5クロックの期間の間で、最大で5回論理レベルが反転することになる。 【0124】これによりこの場合、第1の実施の形態に係る最尤復号器23と同様にディジタル再生信号DRF を処理して、8個のメトリック処理回路、パスメモリによりディジタル再生信号DRFを復号する。 【0125】すなわちLPS81は、第1の実施の形態について上述したLPS40と同様にして、仮識別結果D3の連続する4ビットに対応する1系統の基準振幅値Caaaa〜Cbbbbと、仮識別結果D3の連続する5ビットに対応する基準振幅値Caabbbを出力する。 なおここで1系統の基準振幅値Caaaa〜Cbb bbは、パスaaaa、baaa、aaab、baa b、aaba、baba、abaa、bbaa、aab b、babb、abba、bbba、abab、bba b、abbb、bbbbに対応する基準振幅値である。 また基準振幅値Caabbbは、仮識別結果D3におけるビット反転が前エッジ、前エッジ、後ろエッジ、後ろエッジ、後ろエッジが正しいものとした場合の基準振幅値である。 【0126】またLPS81は、仮識別結果D3におけるビット反転に対応するパスのマージを示すパス選択信号Cmp、連続して5回のビット反転が発生した場合に論理レベルが立ち上がる連続ビット反転の識別信号C t、それぞれ前エッジが正しい場合に対応するタイミングと後ろエッジが正しい場合に対応するタイミングの基準信号PRDA及びPRDBを出力する。 【0127】ブランチメトリック計算回路82は、これら基準振幅値Caaaa〜Cbbbb、Caabbbからディジタル再生信号DRFの距離であるブランチメトリックBMaaaa〜BMbbbb、BMaabbbを計算して出力する。 なおこの計算は、次式により表される。 【0128】 【数4】 【0129】 【数5】 【0130】ブランチメトリック処理回路83は、これらブランチメトリックBMaaaa〜BMbbbb、B Maabbbを処理してパスの選択信号SELaaa〜 SELbbbを出力する。 【0131】ここで図13は、このブランチメトリック処理回路83を示すブロック図であり、1系統の基準振幅値Caaa〜Cbbbに対応してパスメトリックを計算してパスを選択する8個のメトリック計算回路83A AA〜83BBBにより構成される。 ここで第1の実施の形態について上述したと同様に、符号間干渉長5によるディジタル再生信号DRFにあっては、dの制限の無い符号化方式による場合、分岐したパスが5クロック目で合流するまでの間、1クロックのビット反転が連続する場合がある。 【0132】従ってこの場合も、8個のメトリック計算回路83AAA〜83BBBによる処理においては、仮識別結果D3における連続したビット反転において、順次前エッジ、前エッジ、後ろエッジ、後ろエッジ、後ろエッジに対応するパスにあっては、異なる状態に遷移するパスとの間で識別することが困難になる。 【0133】なおこの場合、図5における記述との対比により説明すると、時点k+14に代えて時点k+15 でパスが合流し、符号aabbb、aaaaa、aaa ab、aaabb、bbbbb、abbbbによるパスが発生する。 これらのパスのうちパスaaaaa及びa aaabはパスaaaaから分岐するものであるが、第1及び第2のメトリック計算回路83AAA及び83A ABにおいて、パスが選択されてパスメトリックが承継される。 【0134】またパスbbbbb及びabbbbにあっては、第8のメトリック計算回路83BBBにおいて、 パスが比較、選択される。 これに対して第1のパスaa bbbにあっては、第1のパスaabbと同様に、第4 のメトリック計算回路83ABBにおいて、対応する1 系統のブランチメトリックの処理を待って、パスメトリックが更新され、これによりパスメトリック処理される。 【0135】これにより最尤復号器80は、符号間干渉長が5の場合で、dに制限の無い符号化方式による場合にあっても、簡易な構成によりディジタル再生信号DR Fを復号できるようになされている。 【0136】パスメモリユニット84は、これら選択信号SELaaa〜SELbbbに基づいて、仮識別結果PRDA又はPRDBを選択的に承継し、これにより復号結果D1を出力する。 【0137】第2の実施の形態によれば、符号間干渉長が5の場合であっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。 【0138】(3)他の実施の形態 なお上述の実施の形態においては、基準振幅値との差分を2乗してブランチメトリックを計算する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、単に基準振幅値との差分値の絶対値をブランチメトリックとする場合にも広く適用することができる。 【0139】また上述の実施の形態においては、符号間干渉長4及び5の場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の符号間干渉長の場合にも広く適用することができる。 【0140】また上述の実施の形態においては、EPR 4及びEEPR4による場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の符号化方式による場合にも広く適用することができる。 【0141】また上述の実施の形態においては、再生等化器により順次再生信号を等化して処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば伝送経路の伝達特性等によっては、仮識別用の等化器と、最尤復号用の等化器とを並列に配置して処理するようにしてもよい。 【0142】また上述の実施の形態においては、dの制限が無い場合に、孤立波形を検出して識別結果を補正する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばd=1の制限がある場合に、最小反転幅以下のビット反転が仮識別結果で検出される場合が考えられることにより、このような最小反転幅以下のビット反転を補正して仮識別結果より遷移する状態を制限するようにしても、簡易な構成により最尤復号することができる。 【0143】 【発明の効果】上述のように本発明によれば、入力信号より1クロックの期間の間だけ論理レベルが反転するタイミングを検出し、この検出結果によりほぼ1クロックの識別誤差により入力信号を識別した仮識別結果を補正した後、この仮識別結果に基づいて入力信号の取り得る状態遷移を制限して処理することにより、簡易な構成で最尤復号することができる。 【0144】また仮識別結果において、入力信号において許容される論理レベルが反転する期間より短い期間における論理レベルの反転が発生した場合に、該論理レベルが反転した期間を先の許容される論理レベルが反転する期間に補正した後、この仮識別結果に基づいて入力信号の取り得る状態遷移を制限して処理することにより、 簡易な構成で最尤復号することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施の形態に係る再生装置を示すブロック図である。 【図2】図1の再生装置における仮識別器を示すブロック図である。 【図3】図2の仮識別器の動作を説明に供する信号波形図である。 【図4】図2の仮識別器における孤立波形検出回路の動作を説明に供する信号波形図である。 【図5】ディジタル再生信号の遷移を示す状態遷移図である。 【図6】図1の再生装置における最尤復号器を示すブロック図である。 【図7】図6の最尤復号器におけるブランチメトリック計算回路を示すブロック図である。 【図8】図7のブランチメトリック計算回路におけるメトリック計算回路を示すブロック図である。 【図9】図7のブランチメトリック計算回路における他のメトリック計算回路を示すブロック図である。 【図10】図6の最尤復号器におけるパスメモリユニットを示すブロック図である。 【図11】図10のパスメモリユニットにおけるパスメモリを示すブロック図である。 【図12】第2の実施の形態に係る最尤復号器を示すブロック図である。 【図13】図12の最尤復号器におけるブランチメトリック計算回路を示すブロック図である。 【図14】EPR4における状態遷移を示す図表である。 【図15】図14の状態遷移図である。 【図16】従来のビタビ復号器を用いた再生装置を示すブロック図である。 【図17】図16のビタビ復号器を示すブロック図である。 【図18】図17のビタビ復号器におけるブランチメトリック処理回路を示すブロック図である。 【図19】図18のビタビ復号器におけるパスメモリユニットを示すブロック図である。 【図20】図19の続きを示すブロック図である。 【符号の説明】 1、21……再生装置、2、6、24、25……再生等化器、3……2値化回路、4……PLL回路、7……ビタビ復号器、7A、41、82……ブランチメトリック計算回路、7B、42、83……ブランチメトリック処理回路、7C、70、84……パスメモリユニット、2 2……仮識別器、23、80……最尤復号器、27…… 独立波形検出回路、40、81……LPS、42……4 3AA〜43BB……メトリック計算回路 |