Evaluation and optimization of the error correction code using the projection analysis

申请号 JP2003535338 申请日 2002-09-30 公开(公告)号 JP2005505981A 公开(公告)日 2005-02-24
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 イェディダ、ジョナサン、エス; サッダース、エリック、ビー; ブーショー、ジャン−フィリップ;
摘要 雑音の多い通信路を介して送信され、繰り返しメッセージ交換復号器により復号される誤り訂正符号を評価し最適化する方法である。 誤り訂正符号は、変数ノードと検査ノードを持つ二部グラフとしてモデル化される奇遇検査行列で表される。 復号器は1式のメッセージ交換規則を含む。 復号器は分析され、その後射影演算子と射影演算数に変換される演算子と演算数を含む1式の 密度 発展規則が取得され、1式の射影メッセージ交換規則が生成される。 終了状態に達するまで射影メッセージ交換規則が二部グラフとしてモデル化された誤り訂正符号に繰り返し適用される。 その後、対応する前記演算数を評価することで誤り訂正符号の選択されたビットの誤り率が決定される。 誤り率は、最適化器に渡され、誤り訂正符号が最適化される。
权利要求
  • 雑音のある通信路を介して送信され、繰り返しメッセージ交換復号器により復号される誤り訂正符号を評価し最適化する方法であって、
    前記誤り訂正符号を奇偶検査行列により表現することと、
    該奇偶検査行列を複数の変数ノードおよび検査ノードを持つ二部グラフとしてモデル化することと、
    1式のメッセージ交換規則を前記復号器に提供することと、
    前記復号器を分析して、演算子と演算数を含む1式の密度発展規則を取得することと、
    前記演算子を射影演算子に、前記演算数を射影演算数に変換して、1式の射影メッセージ交換規則を生成することと、
    終了条件に達するまで、前記射影メッセージ交換規則を前記二部グラフとしてモデル化された前記誤り訂正符号に繰り返し適用することと、
    対応する前記演算数を評価することによって前記誤り訂正符号の選択されたビットの誤り率を求めることとを含む方法。
  • 前記誤り率を最適化器に渡して、前記誤り訂正符号を最適化することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  • 前記二部グラフは、少なくとも1つのループを含む請求項1に記載の方法。
  • 前記射影演算数は、射影多項式の形態である請求項1に記載の方法。
  • 射影演算後の結果の各項は、すべての羃指数が1以下である請求項4に記載の方法。
  • 前記通信路は2元対称通信路である請求項1に記載の方法。
  • 前記通信路は2元消失通信路である請求項1に記載の方法。
  • 前記射影多項式の下限を求めることをさらに含む請求項1に記載の方法。
  • 前記射影多項式の上限を求めることをさらに含む請求項1に記載の方法。
  • 特定の射影多項式を最小項のリストとして表すことをさらに含み、
    変数ノードの部分集合が射影多項式の別の項により依存される前記変数ノードの集合であるように、前記射影多項式の各最小項は、前記二部グラフの前記変数ノードの集合に依存し、該変数ノードは、変数ノードの部分集合を持たない請求項1に記載の方法。
  • 前記射影多項式の下限を求めることをさらに含む請求項10に記載の方法。
  • 前記最小項のリスト内の選択された最小項を除くことにより、特定の射影多項式を近似することをさらに含む請求項11に記載の方法。
  • 前記射影多項式の上限を求めることをさらに含む請求項10に記載の方法。
  • 前記最小項のリスト内の対の最小項をより大きな別の最小項に置き換えることにより、特定の射影多項式を近似することをさらに含む請求項13に記載の方法。
  • 前記終了条件は、所定の繰り返し回数である請求項1の方法。
  • メッセージが特定の状態になる確率を求めることをさらに含む請求項1に記載の方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    [技術分野]
    本発明は、データ保存とデータ伝送のための誤り訂正符号の分野に関し、特に誤り訂正符号の評価と最適化に関する。
    【0002】
    [従来技術]
    データ保存と通信の分野の基本的な問題は、誤り訂正符号(ECC)の評価である。 本発明が対処する問題の一般的な枠組みを図1に示す。 送信元110は、ベクトルu111で表されるkビットのブロックを送信先150に送信しようとする。 送信元110は、送信元記号を符号器120に通すことで、冗長ビットを送信元記号に追加する。 符号器の出は、Nビットのブロックであり、ベクトルx121で表される。 Nビットのブロックは、雑音135の影響を受ける通信路130を通過し、そこでブロックは、ベクトルyで表されるN個の出力記号の別のブロックに変化する可能性がある。 それから、通信路の出力は、送信先150のために、kビットのベクトルv141で表される受信ブロックに復号される(140)。
    【0003】
    受信ブロック141は送信ブロック111に一致するのが理想的である。 しかし、実際の条件では、何らかの復号の失敗が時々発生する。 ブロック誤りと呼ばれる復号の失敗は、受信ブロック内の少なくとも1ビットが送信ブロック内のビットに一致しないときに発生する。 ブロック誤り率は、送信ブロックの少なくとも1ビットが誤った状態で受信される確率で、送信ブロックの確率分布全体にわたって平均されている。 多くの場合、さらに適切な性能の目安は、任意所与のビットが誤った状態で受信される確率である誤り率である。 誤り訂正符号の評価の主な目的は、それら符号のビット誤り率を求めることである。
    【0004】
    一般化された奇偶検査疎行列により記述される誤り訂正符号は、最近、理論的な注目度が高い問題である。 これらの種類の符号は、最初にR. G. Gallagerによって、「Low−density parity check codes」、Vol 21, Research Monograph Series, MIT Press, 1963に記載されているが、最近まで正当に評価がされなかった。 しかし、この十年で、ターボ符号、イレギュラー低密度奇偶検査(LDPC)符号、Kanter−Saad符号、Repeat−Accumulate符号、イレギュラーRepeat−Accumulate符号など、一般化奇偶検査疎行列により規定された、さまざまな改良された符号が記載されてきた。
    【0005】
    これらの改良された符号には、3つの特に注目すべき利点がある。 第1に、符号は、メッセージ交換繰り返し復号方法を使用して効果的に復号可能であり、この方法は、「信念伝搬」(BP)方法と呼ばれることもある。 第2に、これらの符号の性能は、密度発展法を使用して理論的に評価可能なことが多く、少なくともブロック長の限度が無限の場合は評価可能である。 第3に、BPを使用して復号されるときには、密度発展方法を使用してこれらの符号がほぼ最適な符号であることを示すことができる。 特に、ブロック長の限度が無限の場合、BP復号により、あるしきい値レベルを下回る雑音レベルを持つすべてのデータブロックが正しく回復され、しきい値レベルはシャノン限界とは大きく異ならないことが多いことが密度発展方法により通常示される。 このような符号とそれに関連するBP復号方法についての報告を集めたものについては、「Special Issue on Codes on Graphs and Iterative Algorithms」、IEEE Transactions on Information Theory, February, 2001を参照されたい。
    【0006】
    密度発展方法は、前述のR. G. Gallagerの研究にさかのぼる。 密度発展方法は、無記憶BECに関連して、M. Luby、M. Mitzenmacher、M. A. Shokrollahi、D. Spielman、V. Stemannによって「Practical Loss−Resilient Codes」、Proceedings 29th Annual ACM Symposium on the Theory of Computing, 1997, pp. 150−159において再度紹介された。 「密度発展」という名称は、T. RichardsonとR. Urabankeにより「The Capacity of Low−Density Parity Check Codes under Message−Passing Decoding」、IEEE Trans. Inform. Theory, Vol 47. , pp 599−618, Feb. 2000において、その方法が、無記憶2元対称通信路(BSC)などの他の通信路に対して一般化されたときに実際に紹介された。
    【0007】
    密度発展方法の重要な欠点は、二部グラフとして知られる符号のグラフ表現に循環がないときにだけ正確になるということである。 幸いなことに、さまざまな符号について、符号のブロック長Nが無限に近づく限界状態では、二部グラフ表現内に循環があることは無視でき、密度発展方法の結果が正確になることが示されている。 最高の性能を持つすべての符号は、その二部グラフ内に循環を持つので、実際には、密度発展方法の適用は、ブロック長Nが無限に近いという限界状態におけるいくつかの符号に限定されることになる。
    【0008】
    符号の性能を計測する方法が与えられると、性能を最適化する誤り訂正符号を設計することができる。 BP復号により復号される改良された符号を設計する好ましい従来技術の方法では、密度発展方法を使用して、無限のブロック長の限界に対して特定のクラスの符号を最適化し、その符号をスケールダウンしても符号がほぼ最適であることを期待していた。 たとえば、T. RichardsonとR. Urbankeの論文「Design of Capacity−Approaching Irregular Low−Density Parity−Check Codes」、IEEE Trans. Inform. Theory, vol. 47. , pp. 619−637, Feb. 2000を参照されたい。
    【0009】
    この方法の問題点は、ブロック長N<10 のような非常に長いブロック長の場合でも、無限のブロック長の限界にはほど遠いということである。 特に、無限のブロック長の計算により予測されるしきい値レベルよりもはるかに低い雑音レベルでも多くの復号の失敗が見つかる。 さらに、密度発展方法から得られた符号をスケールダウンする方法が必ずしも存在しないことがある。 たとえば、最もよく知られたイレギュラーLDPC符号は、N→∞の限界内で、奇偶検査に使用される数百さらには数千のビットを所与の割合で持つことが多く、それは全体の奇偶検査の数が100以下のときには意味がなくなる。
    【0010】
    中間のブロック長、たとえば、10 未満のブロック長を持つ符号は、多くの適用対象で重要である。 そのため、BP復号方法により復号されるときに任意の中間ブロック長の誤り訂正符号の性能を直接評価する実用的な方法が必要である。 符号設計方法の一部としての有用性以外に、そのような方法は符号の検査に使用可能である。 奇偶検査符号のBP復号の性能は、現在、通常は「モンテカルロ」シミュレーションによって判断されていて、このシミュレーションは無作為に数千から数百万の雑音のあるブロックを生成する。
    【0011】
    不幸なことに、そのようなシミュレーションは、たとえば、磁気ディスクドライブまたは光ファイバ通信路の適用のように、復号の失敗率が非常に小さいことが求められる場合には符号検査技法としては非実用的になる。 これは、「誤りフロア」現象の問題を持つことが多いターボ符号やLDPC符号の評価には深刻な問題であり、誤りフロアが十分に低い復号の失敗率にある場合、この現象は検出が困難である。
    【0012】
    さらに、通信路が2元消失通信路や2元対称通信路であるときに、この方法が使用可能であることが好ましい。 そのため、これらの通信路、奇偶検査符号、繰り返し復号方法、および密度発展方法については、詳細に記述する。
    【0013】
    2元消失通信路(BEC)と2元対象通信路(BSC)
    2元消失通信路(BEC)は、2つの入力記号0および1と、3つの出力記号0、1、および疑問符「?」で示すことができる消失とを持つ2元入力通信路である。 通信路を通過するビットは、1−xの確率で正しく受信され、xの確率で消失として受信される。
    【0014】
    2元対称通信路(BSC)は、2つの入力記号0および1と、2つの出力記号0および1とを持つ2元入力通信路である。 ビットは通信路を通過して、1−xの確率でその送信状態で正しく受信され、xの確率で他方の状態に誤って反転される。
    【0015】
    この方法は、無記憶BECとBSCに適用できなければならない。 無記憶通信路では、各ビットはその他のすべてのビットに無関係に消失するか反転する。 多くの実際の通信路は、無記憶とかなり近似しても問題ない。 いずれにしても、無記憶BECと無記憶BSCは、それらが必ずしも現実的な実用モデルではない場合でも、新しい誤り訂正符号の評価と設計にとって優れた実験台である。
    【0016】
    BECの消失の確率またはBSCの反転の確率はビットごとに同一であると仮定できるが、これが正常な現実的な状態だからである。 しかし、消失の確率や反転の確率を、ブロック内のビット位置に明示的に依存するようにすると便利である。 したがって、ブロック内のビットは、文字iにより索引が付けられ、i番目のビットのBECにおける消失確率とBSCにおける反転確率は、x とされる。 すべてのビットについての確率x は、所望の場合、分析の最後に最終的に同一に設定することができる。
    【0017】
    奇偶検査符号線形ブロック2進誤り訂正符号は、奇偶検査行列に関して定義できる。 奇偶検査行列Aにおいて、列は送信された変数ビットを表し、行は変数ビット間の線形拘束または検査を定義する。 より具体的には、行列Aは、有効なベクトルまたは符号語zの集合を定義し、zの各要素は0または1であり、以下の式で表す関係を持つ。
    【0018】
    【数1】

    【0019】


    この式で、すべての積と和は2を法とする。


    【0020】


    奇偶検査行列がN列とN−k行を持つ場、行列は通常、ブロック長Nの誤り訂正符号および伝送速度k/Nを定義する。 線形に依存する行がある場合、冗長になる奇偶検査が存在することになり、符号は実際にはより高い伝送速度を持つことになる。


    【0021】


    図2に示したように、各奇偶検査行列に対応する二部グラフがあり、R. M. Tannerの論文「A recursive method to low complexity codes」、IEEE Trans. Info. Theory, IT−27, pages 533−547, 1981を参照されたい。 Tannerのグラフは、二部グラフで、円201で表される変数ノードi(1〜6)と、正方形202で表される検査ノードA、B、Cの2種類のノードを持つ。 二部グラフ内では、各検査ノードは検査に関係するすべての変数ノードに接続されている。


    たとえば、奇偶検査行列が以下の式で表されるとする。


    【0022】


    【数2】


    【0023】


    その場合、奇偶検査行列は、図2の二部グラフで表される。


    【0024】


    実際の適用では、符号を表すグラフは、典型的には、任意の数のさまざまな方法で接続された何千ものノードを持ち、多くのループ(循環)を含む。 そのようなグラフにより定義された符号を評価したり、最適に動作する符号を設計するのは非常に困難である。


    【0025】


    奇偶検査行列により定義された誤り訂正符号は線形である。 これは、各符号語が、他の符号語の線形結合であることを意味する。 検査行列では、各々が長さNの2

    の符号語が存在し得る。 たとえば、前述の条件であれば、符号語は、000000、001011、010110、011101、100110、101101、110011、111000となる。 線形の性質のため、BECやBSCでのように、入力0と1の間で通信路に対称性がある場合、任意の符号語を代表とすることができる。


    【0026】


    符号の評価の目的のためには、すべてがゼロの符号語が送信されると通常仮定される。


    【0027】


    一般化された奇偶検査行列一般化奇偶検査行列は、ターボ符号、Kanter−Saad符号、Repeat−Accumulate符号などのモデム誤り訂正符号の多くを定義する。 一般化奇偶検査行列では、追加列が奇偶検査行列に追加され、「隠れ」変数ノードを表す。 隠れ変数ノードは、奇偶検査に関係し、可能性のある符号語を拘束するのを助けるが、通信路を介して送信されない。 そのため、ブロックの受信機は、いっさいの直接の情報なしにビット値を復号しなければならず、ある意味で、すべての隠れノードは「消失」して到着したと見なすことができる。 隠れ変数ノードの利点は、符号の伝送速度を改善できることである。 隠れ状態変数の適切な表示方法は、奇偶検査行列の対応する列の上の行であり、たとえば、以下のように表すことができる。


    【0028】


    【数3】


    【0029】


    これにより、第1の変数ノードが隠れノードである符号を表す。 変数ノードが隠れノードであることを示すには、塗りつぶした円の代わりに塗りつぶしのない円が使用される。 そのようなグラフは、二部グラフを一般化するもので、「Wibergグラフ」と呼ばれ、N. Wibergの論文「Codes and decoding on general graphs」、Ph. D. Thesis, University of Linkoping, 1996、およびN. Wiberg等の論文「Codes and iterative decoding on general graphs」、Euro. Trans Telecomm, Vol. 6, pages 513−525, 1995を参照されたい。


    【0030】


    繰り返しメッセージ交換復号各メッセージのあり得る各状態がそれぞれ有限の計数値をとることができる、符号用の繰り返しメッセージ交換復号器の性能を評価する方法の提供が望まれている。 そのような復号方法の適切な例は、以下でより詳細に説明するBEC用の信念伝搬(BP)復号方法とBSC用の「Gallager A」復号方法である。 そのような復号器の他の例は、T. RichardsonとR. Urbankeにより「The Capacity of Low−Density Parity Check Codes Under Message−Passing Decoding」、IEEE Trans. Inform. Theory, vol 47. , pp. 599−618, Feb. 2000において詳細に記述されている量子化信念伝搬復号器である。


    【0031】


    BECでの信念伝搬復号BECは、ビットを0から1に反転したりその逆に反転することは決してないことに注意することが重要である。 すべてが0の符号語が送信されると、受信される語はゼロと消失のみからなるはずである。 BECの場合、BP復号は、離散メッセージを二部グラフのノード間で交換することで動作する。 各変数ノードiは、メッセージm

    iaを接続された各検査ノードaに送信する。 メッセージは、変数ノードiの状態を表す。 一般的に、メッセージは、3つの状態1、0、または? のいずれか1つであるが、すべてが0の符号語が常に伝送されるため、m

    iaがビット値1を持つ可能性は無視できる。


    【0032】


    同様に、各検査ノードaからこの検査ノードに接続されているすべての変数ノードiに送信されるメッセージm

    aiがある。 これらのメッセージは、変数ノードがどの状態にあるべきかについての検査ノードaから変数ノードiへの命令と解釈される。 このメッセージは、この検査ノードに接続されているその他の変数ノードの状態に基づいている。 原則的には、検査対ビットメッセージは、ビット値0、1、? をとるが、この場合も、すべてゼロの符号語が伝送されるときは2つのメッセージ0と? だけを考慮すればよい。


    【0033】


    BECのためのBP復号処理では、変数ノードiから検査ノードaへのメッセージm

    iaは、非消失メッセージはBECにおいては必ず正常であるため、受信した非消失メッセージに等しいか、すべての受信メッセージが消失のときには消失に等しい。 検査ノードaから変数ノードiへのメッセージm

    aiは、検査に関わる別のノードからの任意の受信メッセージが消失メッセージである場合、消失メッセージである。 それ以外は、メッセージは、検査に関わる他のノードからのすべての受信メッセージの2を法とする総和の値をとる。


    【0034】


    BP復号は、繰り返しである。 繰り返しは、整数tによりインデックス付けされ、tは1以上でなければならない。 t=1のときの最初の繰り返しでは、変数対検査ノードメッセージが初期化され、通信路により消失されないすべての変数ノードが対応する受信ビットに等しいメッセージを送出する。 それから、検査対変数メッセージが、前述の標準規則により決定される。 第1の繰り返しの最後で、変数ノードは、受信したメッセージのどれかが非消失である場合、復号されたと見なすことができる。 そのようなメッセージは必ず正しいはずであり、そのビットがメッセージに示された値に復号される。


    【0035】


    それ以降の繰り返しでは、最初に変数ノードから検査ノードへのすべてのメッセージを更新し、それから検査ノードから変数ノードへのすべてのメッセージを更新し、その後各ビットを検査して復号されたかどうか確認する。 所定の回数の繰り返し後、またはメッセージが静的状態に収束した後など、ある基準が達成されたときに繰り返しを停止する。 特別に簡単なBECでは、BP復号メッセージは、BP復号処理でのみ消失メッセージから非消失メッセージに変化することができるため、繰り返し復号処理は最終的に収束するはずである。


    【0036】


    BSCのための「Gallager A」復号方法BSC用の「Gallager A」復号方法は、R. G. Gallagerにより「Low−Density parity check code」、Vol. 21, Research Monograph Series, MIT Press, 1963に最初に記述されている。 この方法は以下のように動作する。 BEC用のBP復号のように、メッセージには、2つのクラスがあり、変数ノードから検査ノードへのメッセージと、検査ノードから変数ノードへのメッセージである。 しかし、メッセージの意味はわずかに異なっている。


    【0037】


    復号方法は、メッセージを接続された各検査ノードに送信する各変数ノードによって初期化される。 メッセージは、通信路を介して受信されたビット値によって0か1である。 次に、各検査ノードはメッセージを接続されている変数ノードに送信する。 このメッセージは0か1で、変数ノードのあるべき状態についての命令と解釈される。 詳細には、このメッセージは、その検査ノードが接続されている他の変数ノードからその検査ノードが受信するメッセージの法が2の総和である。


    【0038】


    Gallager A復号方法のそれ以降の繰り返しでは、各変数ノードは、十分な矛盾したメッセージを受信しないかぎり、引き続き受信したビット値を接続された検査ノードに送信する。 詳細には、メッセージを受信する検査ノード以外のすべての接続された検査ノードが、変数ノードにその変数ノードが通信路から受信したビット値と矛盾するメッセージを送信した場合、変数ノードはすべての他の検査ノードから受信したメッセージを送信する。


    【0039】


    Gallager A復号方法は、所定の繰り返し回数などの何らかの基準に達するまで繰り返される。 繰り返しごとに、各ビットは、接続された検査ノードからのすべての受信メッセージが、変数ノードが通信路から受信するビット値の反対のビット値に一致するまで、その受信するビット値に復号される。


    【0040】


    密度発展密度発展は、前述のように繰り返しメッセージ交換復号を使用する奇偶検査符号を評価する方法である。 具体的には、密度発展は、符号の平均ビット誤り率により決定できる。 密度発展をBECでのBP復号の場合として説明する。 各メッセージが有限数の離散状態にだけあり得る同様の密度発展方法が、前述のGallager A復号方法や量子化信念伝搬復号などの他の繰り返しメッセージ交換復号のために得られている。 一般的に、密度発展方法は、復号器内で使用される各メッセージがそのメッセージの各状態にある確率に関する規則の集合として表される。


    【0041】


    BECのBP復号のための密度発展方法の場合、すべてのあり得る受信ブロックにおいて平均化された、各メッセージが消失である確率が考慮される。 繰り返しは、整数tでインデックスが付けられる。 メッセージm

    iaが繰り返しtで消失する確率を表す実数p

    ia (t)は、変数ノードから検査ノードへの各メッセージm

    iaに関連付けられる。 同様に、メッセージm

    aiが繰り返しtで消失する確率を表す実数q

    ai (t)は、検査ノードから変数ノードへの各メッセージm

    aiに関連付けられる。 密度発展方法では、誤り訂正符号を表す二部グラフがループを持たない限り、確率p

    ia (t)とq

    ai (t)は正確な方法で求められる。


    【0042】


    確率p

    ia (t)を求める「規則」は次の式になる。


    【0043】


    【数4】


    【0044】


    ここで、


    【数5】


    は、検査ノードaを除く隣接する変数ノードiに直接接続されるすべての検査ノードを表す。 密度発展において、この規則には演算数xおよびq、ならびに積の演算子が含まれていることに注意する。


    【0045】


    この規則は、メッセージm

    iaが消失するには、変数ノードiは、伝送中に消失していなければならず、他の検査ノードからのすべての受信メッセージも消失でなければならないという事実から導き出すことができる。 もちろん、受信メッセージq

    ai (t)に統計的に依存性があれば、この規則は正しくない。 しかし、密度発展方法においては、そのような依存性は、系統的に無視される。 ループのない二部グラフにおいて、各受信メッセージは、実際にはすべての他のメッセージとは無関係で、そのため、密度発展方法は正しい。


    【0046】


    次の規則についても同様である。


    【0047】


    【数6】


    【0048】


    この規則は、この場合も入力メッセージp

    ja (t)の間の統計的な依存関係を無視する場合、すべての受信メッセージが非消失状態のときは、メッセージm

    aiが非消失状態にしかなれないという事実から導き出すことができる。


    【0049】


    密度発展規則(3)と(4)は、繰り返しにより評価される。 適切な初期化としては、変数ノードから検査ノードへのすべてのメッセージについてp

    ia (t=1)=x

    とする。 各繰り返しtで、変数ノードiでの復号の失敗の確率であるb

    (t)を次の規則から求めることができる。


    【0050】


    【数7】


    【0051】


    言い換えれば、規則(3、4、5)により、符号のビット誤り率について、その符号を評価することができる。


    【0052】


    短い符号の正確な解前述のように、符号がループのない二部グラフ表現を持つときには、密度発展規則(3、4、5)は正確である。 二部グラフがループを持つ実際の符号を表すときには、密度発展規則が正確ではないことを理解することが非常に重要であるが、これは、その場合、規則(3、4、5)の基礎となる仮定に反してBPメッセージが独立していないからである。


    【0053】


    ループのない二部グラフの例として、次の奇偶検査行列で定義される誤り訂正符号を考える。


    【0054】


    【数8】


    【0055】


    この場合、奇偶検査行列は、図2の対応する二部グラフで表される。 この符号は、4つの符号語、0000、0011、1101、1110を持つ。 0000メッセージが送信されると、0000,000? 、00?0、00? ? 、0?00など、16個の可能な受信メッセージが存在する。 n

    個の消失を持つメッセージを受信する可能性は【数9】


    であり、ここですべてのx

    は同一の値xに等しいとしている。


    【0056】


    16個の可能な受信メッセージすべてについてそれらの確率で重み付けした復号結果を合計することにより、t回の復号の繰り返しの完了後に所与のビットが消失の状態である正確な確率を求めるのは容易である。 たとえば、復号して収束した後、? ? ? 0、? ? 0? 、または? ? ? ? のメッセージが受信されたときにだけ第1ビットが0に復号されるのが失敗しているので、第1ビットが0に復号されない正確な確率は、2x

    (1−x)+x

    =2x

    −x

    になる。


    【0057】


    最後のビットに注目している場合、00? ? 、0? ? ? 、? 0? ? 、? ? 0? 、または? ? ? ? のメッセージのうちの1つが送信されていない限り、最終的にビットは正確に復号される。 そのため、4番目のビットが正しく復号されない全体の確率は、x

    (1−x)

    +3x

    (1−x)+x

    =x

    +x

    −x

    となる。


    【0058】


    この符号に適用される密度発展方法では、p

    11 (t)、p

    21 (t)、p

    22 (t)、p

    32 (t)、p

    42 (t)、q

    11 (t)、q

    12 (t)、q

    22 (t)、q

    23 (t)、q

    24 (t)、b

    (t)、b

    (t)、b

    (t)、b

    (t)の変数の値は、以下のように求められる。


    【0059】


    【数10】


    【0060】


    【数11】


    【0061】


    【数12】


    【0062】


    【数13】


    【0063】


    【数14】


    【0064】


    【数15】


    【0065】


    【数16】


    【0066】


    【数17】


    【0067】


    【数18】


    【0068】


    【数19】


    【0069】


    さらに、


    【0070】


    【数20】


    【0071】


    【数21】


    【0072】


    【数22】


    【0073】


    【数23】


    【0074】


    このとき、初期条件は以下のようになる。


    【0075】


    【数24】


    【0076】


    これらの規則を解くことで、繰り返しごとの正確なビット誤り率が得られる。 たとえば、b

    (t=1)=2x

    −x

    とb

    (t≧2)=x

    +x

    ―x

    であることがわかる。 これらの結果は、最初の繰り返し後、00? ? 、0?0? 、0? ? ? 、? 0? ? 、? ? 0? 、および? ? ? ? というメッセージでは4番目のビットはゼロに復号されず、4番目のビットの復号の失敗は2x

    (1−x)

    +3x

    (1−x)+x

    =2x

    −x

    であるが、2回以上の繰り返し後、0?0? は正しく復号され、4番目のビットの復号の失敗はx

    (1−x)

    +3x

    (1−x)+x

    =x

    +x

    −x

    になるという事実に対応している。


    【0077】


    長いブロック長の極限二部グラフのすべての近傍が同一なら、密度発展規則を簡略化することができる。 たとえば、レギュラーGallager符号を考えると、この符号は、各行にはd

    個の1が含まれ、各列に精確にd

    個の1が含まれているという制限により特徴づけられるスパースランダム奇偶検査疎行列で表される。 その場合、すべてのp

    ia (t)は同一の値p(t)に等しく、すべてのq

    ai (t)は同一の値q(t)に等しく、すべてのb

    (t)は同一の値b(t)に等しいと仮定できる。 そして、以下の式が成り立つ。


    【0078】


    【数25】


    【0079】


    【数26】


    【0080】


    さらに、次の式が成り立つ。


    【0081】


    【数27】


    【0082】


    これらは、N→∞の限界内で有効な(d

    、d

    )レギュラーGallager符号の密度発展規則である。


    【0083】


    ブロック長の限度が無限の場合に、これらの規則が正しいことの直感的な理由は、N→∞につれて、レギュラーGallager符号の二部グラフ表現内の典型的なループの大きさが無限になるからである。 その結果、ノードが受信するすべてのメッセージは独立していて、レギュラーGallager符号は、ループのないグラフ上で定義された符号のように振る舞う。 「しきい値」x

    として知られる限界消失値未満の場合、特定の値d

    とd

    について規則(22、23、24)を解くと、解p(t→∞)=q(t→∞)=b(t→∞)=0が得られる。 つまり、しきい値未満の消失の確率については、復号は完璧である。 x

    よりも大きい場合、b(t→∞)は非ゼロの極限値を持ち、これは、復号の失敗を指す。 値x

    を数的に求めるのは容易である。 たとえば、d

    =3とd

    =5の場合、x

    =約0.51757となる。


    【0084】


    無限のブロック長でのしきい値のこれらの決定手順は、イレギュラーGallager符号、または近傍が異なる有限個数の異なるクラスのノードを持つイレギュラーRepeat−Accumulate符号などの他の符号に対して一般化可能である。 この一般化では、各クラスのノードから送信されるメッセージについて通常1つのルールを持つ規則の体系を導き出すことができる。 規則の体系を解くことで、その値未満では復号が完璧になる限界しきい値x

    を同様に求めることができる。 それから、このような符号は最大の雑音しきい値x

    を持つ符号を見つけることで、N→∞限界において最適化される。 これが、従来技術の密度発展方法を誤り訂正符号の評価に使用した方法である。


    【0085】


    密度発展方法の欠点残念ながら、従来の密度発展方法は、そのグラフ表現がループを持つ有限のブロック長を持つ符号に対しては誤っている。 任意の有限符号について規則(3、4、5)を解くことができると考え、ループがあることを無視しても重大な誤りではないと期待するかもしれない。 しかし、レギュラーGallager符号のことを考えればわかるように、それは正しくない。 有限ブロック長のレギュラーGallager符号に対する規則(3、4、5)は、無限のブロック長の限界での解と完全に同一の解を持つので、有限長による影響があるとは予測できない。 しかし、有限ブロック長のレギュラーGallager符号の実際の性能は、そのような単純な方法により予測される性能よりも大幅に悪いことが知られている。 現実には、密度発展方法の適用は、ブロック長が非常に長くそのため誤りの大きさが大きくなり過ぎない符号に限られている。


    【0086】


    そのため、従来技術の評価方法における問題を持たない、有限長の誤り訂正符号を正確に評価する方法に対する必要性がある。


    【0087】


    [発明の開示]


    発明の概要本発明は、任意の一般化された奇偶検査行列で表され、無記憶2元消失通信路または無記憶2元対称通信路に対して離散的なメッセージを送信する繰り返しメッセージ交換方法により復号される誤り訂正符号の性能を評価する方法を提供する。


    【0088】


    符号のi番目の変数ビットに関連付けられるのは通信路雑音レベルx

    で、2元消失通信路について、そのビットの消失の確率、または2元対称通信路について、そのビットの反転の確率を表す。


    【0089】


    誤り訂正符号の性能を評価するための従来技術の密度発展方法に対応する規則の集合が提供される。 従来技術の密度発展方法では、規則の出力は、各繰り返し中に実数として評価される。 実数は、復号器の繰り返し中にメッセージが特定の状態にある確率を表す。


    【0090】


    本発明は、従来技術の密度発展規則を「射影」規則に変換する。 変換により、繰り返しごとに各メッセージのとり得る状態を表す実数が「射影」多項式に置き換えられる。 射影多項式は、x

    の多項式で、多項式のどの項も1よりも大きい次数の羃指数を持たない。 さらに、従来技術の密度発展方法に対応する規則の集合における通常の演算子は、「射影」演算子に置き換えられる。 2つの射影多項式に対する射影演算では、結果として生じる1よりも大きい次数のいかなる羃指数も、次数1に減らされる。


    【0091】


    射影変換の結果、射影多項式のための繰り返し更新規則の集合が得られる。 復号方法では、繰り返し回数を含む対象のパラメータの集合と、対象の変数ビット、すなわち対象の特定のメッセージが指定される。 指定された繰り返し回数の繰り返しにより、対象のビットすなわちメッセージにおける符号の誤り率の正確な結果が得られる。


    【0092】


    無記憶BECの場合、さらに効果的な実施形態が使用可能で、各射影多項式は、少数の先行する正の項だけによって表され、射影積は修正されて、射影多項式内の正の先行する項だけが保持される。 そのような表現は、「停止集合表現」と呼ばれ、無記憶BECの場合には正確である。


    【0093】


    射影方法では、符号のブロック長と共に指数的に増加する記憶および計算時間が必要になり得る。 長いブロック長を持つ符号について、妥当な量の記憶と計算時間を使用して結果を得るために、射影多項式は、項の数が限定された射影多項式により近似される。 射影多項式により表される確率の下限は、正確な射影多項式の項の部分集合を保持することにより得られる。 BECについては、射影多項式の停止集合表現内の項の部分集合だけを保持することで、下限がさらに効率的に得られる。 BECについては、上限は、射影多項式の停止集合表現を使用し、項の対をその項の対に関わるノードの積集合を含む別の項で順次置き換えることで得られる。


    【0094】


    実際の適用では、本発明は、雑音の関数としての復号の失敗に関して、性能が最大で、指定されたデータブロックの長さと伝送速度の誤り訂正符号を探すことで誤り訂正符号を最適化するのに使用できる。 送信された変数ビットについての復号の失敗率は、最適な符号の探索の手引きに使用される。 復号の失敗の原因になる、雑音のある伝送ビットの正確なパターンもこの方法により取得可能で、最適な符号の探索の手引きにも使用される。


    【0095】


    [発明を実施するための最良の形態]


    はじめに本発明は、すべてのメッセージが有限個の異なる離散状態をとり得るメッセージ交換処理により復号される誤り訂正符号(ECC)の性能を評価する。 本方法は、復号処理の繰り返しごとに、復号処理により送信される各メッセージがその任意のとり得る状態にある確率を追跡する。 従来技術の密度発展方法とは対照的に、本方法は、その二部グラフ表現に循環(ループ)が存在する符号も含む奇偶検査行列で表される任意の符号に対して正確である。


    【0096】


    本方法は、確率の表現に実数を使用する従来技術の密度発展方法とは対照的に「射影多項式」により各対象の確率を表す。 射影多項式とは、x

    の形式の多項式で、多項式のどの項も1よりも大きい次数の羃指数を持たない。


    【0097】


    さらに、射影多項式で実施される演算は、結果の多項式のすべての2以上の羃指数を含む項では、その羃指数を1に減らさなければならないという意味で「射影的」でなければならない。 対象の確率は、それらの実際の値が求められるまで射影多項式として保持され、その時点ですべてのパラメータx

    を適切な値に置き換えることで評価される。


    【0098】


    システムの概要図3は、本発明の射影評価方法300を表す。 与えられた誤り訂正符号301は、一般化された奇偶検査行列で表される。 与えられた通信路302は、2元消失通信路(BEC)または2元対称通信路(BSC)である。 与えられた復号器303は、各メッセージが有限個の離散状態になるように繰り返しメッセージ交換方法を使用する。 与えられた符号301について、通信路302と復号器303は、通信路を介して送信された後復号される符号のための密度発展(D.E.)方法を表す発展規則311の集合を構築する(310)。


    【0099】


    この繰り返し密度発展規則311の集合は、復号器302内の各メッセージの状態の確率の関係を表す。 規則の集合は、i番目のビットがBECで消失するかBSCで反転する確率を表すパラメータx

    にも明示的に依存する。 前述のように密度発展方法のために導き出された規則の集合311は、本発明の方法やシステム300のための対応する射影分析(P.A.)規則321の集合に変換される(320)。


    【0100】


    変換320により、密度発展規則311において確率を表す演算数である各実数値の変数が、射影規則321における変換された変数に置き換えられる。 射影分析規則321の演算数は、以降で詳細を説明する「射影多項式」の形式を持つ。 また、密度発展規則311内の各演算子は、以下で同様に説明する「射影」演算に置き換えられる。


    【0101】


    それから、結果の射影規則321を使用して、符号301、与えられた通信路302、復号器303が評価される(330)。 射影規則321は、任意のビットの誤り率、または復号処理の任意の繰り返し時において任意のメッセージが任意の状態にある確率を求めるのに使用され得る。 所望であれば、復号の失敗の原因になるビット消失や反転の正確なパターンなどの追加情報を取得可能である。


    【0102】


    評価330が規則321に繰り返し適用され、射影多項式の値が更新される。 射影多項式は、メッセージが任意の状態にある確率や任意のビットが誤って復号される確率を表す。 終了状態に達すると繰り返しが停止する。 それから、符号301の選択されたまたはすべてのビットについて実数として誤り率が評価される。 従って、たとえば、すべてのビットにわたって平均化されたビット誤り率を決定することができる。 それから、以下にさらに詳述するように、評価330の結果360を最適化器370に渡して最適化された誤り訂正符号390を生成することができる。


    【0103】


    射影演算数と射影演算子まず、「射影多項式」と射影多項式に適用される「射影積」の概念を説明する。 射影多項式は、多項式のどの項目も1よりも大きい次数の羃指数を持たない多項式である。 たとえば、m(x

    ,x

    ,x

    )=1−x

    +x

    −2x

    はx

    、x

    、x

    について射影多項式であるが、p(x

    ,x

    ,x

    )=1−x

    +x

    −x

    は、x

    の項でx

    変数が2乗されているので、多項式であるが射影多項式ではない。


    【0104】


    2つの射影多項式の和は、必ず別の射影多項式になる。 しかし、2つの射影多項式の積は、射影多項式にならない場合もある。 簡単な例を挙げると、x

    とx

    は、2つとも射影多項式であるが、それらの積は通常の積を使用するとx

    となり、射影多項式ではない。 そのため、射影多項式の乗算時には、「射影積」を使用する。 この演算では、2つの射影多項式を通常の方法で乗算し、それから、結果として生じる1よりも大きい羃指数を1に減らす。


    【0105】


    多項式での羃指数を減らす操作は、多項式の空間を射影多項式の部分空間に減少させるので「射影」と呼ばれる。 2つの射影多項式m

    とm

    の射影積を【数28】


    と表し、そのような積を「射影積」と呼ぶ。


    【0106】


    射影多項式は、通常の和や射影積の下位にある「体」である。 つまり、交換則、結合則、分配則を使用することができる。


    【0107】


    誤りの確率を決定するための射影の評価この射影分析は、統計的に独立した2進確率変数のとり得る状態であるイベントの確率を決定するのに役立つ。 たとえば、ここに記述されている誤り訂正符号の評価および最適化の実際の応用に役立つ。


    【0108】


    値0または1をとるN個の統計的に独立した2進確率変数、Y

    、Y

    、. . . 、Y

    を考える。 たとえば、BECでの誤り訂正符号の評価の適用対象においては、本方法により説明されるように離散値1または0は受信したビットが消失したかどうかを表す。


    【0109】


    =1の確率をx

    と表し、Y

    =0の確率を1−x

    と表す。 Y

    、Y

    、. . . 、Y

    の結合標本空間には、それぞれが各確率変数の設定を含んだ2

    個の要素がある。 結合標本空間の要素を「基本イベント」と呼ぶ。


    【0110】


    2進確率変数は、統計的に独立しているため、基本イベントの確率は、x

    や1−x

    などの項の積である。 たとえば、N=3の場合、8つの基本イベントの1つは(Y

    =1,Y

    =0,Y

    =1)であり、その確率はx

    (1−x

    )x

    である。 基本イベントの確率は、常に、変数x

    の関数としての射影多項式になる。


    【0111】


    基本イベントFの確率をP(F)と表す。 任意の基本イベントFについて次の式が成立することに注意することは有用である。


    【0112】


    【数29】


    【0113】


    任意の2つの異なる基本イベントF

    とF

    について、以下の式が成立する。


    【0114】


    【数30】


    【0115】


    たとえば、N=1、P(Y

    =1)=x

    でP(Y

    =0)=1−x

    の場合、


    【数31】


    であり、これは規則(25)と(26)に一致する。


    【0116】


    確率論の通常の用法に従って、「イベント」Eを基本イベントの集合と定義する。 たとえば、N=3のとき、イベントY

    =Y

    =Y

    は2つの基本イベント(Y

    =0、Y

    =0、Y

    =0)と(Y

    =1、Y

    =1、Y

    =1)の集合から構成される。 イベントP(E)の確率は、射影多項式の合計であり、たとえばP(Y

    =Y

    =Y

    )=x

    +(1−x

    )(1−x

    )(1−x

    )となる。 一般的には、イベントEは、k個の基本イベントF

    、F

    、. . . 、F

    の集合を含み、


    【数32】


    となる。


    【0117】


    表記【数33】


    は、両方のイベントE

    とE

    が発生するイベントを表す。 イベント【数34】


    は、E

    とE

    内の基本イベントの積集合に属する基本イベントの集合である。 基本イベントは、統計的に独立した2進変数の結合状態であるという想定シナリオを前提とすると、イベント【数35】


    の確率は、以下の射影積を使用して求めることができる。


    【0118】


    【数36】


    【0119】


    規則(27)が正しいことは、イベントE

    とE

    をそれらの基本イベントに展開して、規則(25)と(26)に従って、残った共通項についてだけ、E

    内の基本イベントがE

    内の基本イベントと同一であることに注意することで示される。 したがって、残った項は、イベントE

    とE

    の積集合に属する基本イベントの確率の合計に正確に一致する。


    【0120】


    確率論の基本定義では、以下に示すように2つのイベントE

    とE

    は、それら2つのイベントが同時に発生する確率がそれらの確率の積である場合に、統計的に独立しているということである。


    【0121】


    【数37】


    【0122】


    規則(28)は、統計的に独立したイベントに対してだけ有効であるが、通常の積の代わりに射影積を使用し、N個の統計的に独立した2進変数の結合状態である基本イベントからイベントが構築されるという本シナリオを前提とすると、規則(27)はすべての2つのイベントに対して有効である。


    【0123】


    またはE

    のどちらか、または一方が発生するイベントを【数38】


    と表す。 イベント【数39】


    は、基本イベントE

    とE

    の和集合に属する基本イベントを含む。 同基本イベントが統計的に独立した2進変数の結合状態であるという本発明のシナリオを再度前提とすると、イベント【数40】


    の確率は以下の式で表される。


    【0124】


    【数41】


    【0125】


    規則(29)は、規則(27)と一般的な確率の法則から得られる。


    【0126】


    規則(27)と(29)の両方により、2つのイベントが統計的に独立していても、2つのイベントがどちらも発生するか少なくともそれらの1つが発生する確率を正確に決定できる。 これらの規則は、BECまたはBSCで、繰り返し復号方法により復号された誤り訂正符号の性能を正確に決定するのに十分である。


    【0127】


    BECにおいてBPにより復号された誤り修正符号のための射影評価本方法300は、無記憶BECと無記憶BSC通信路において、繰り返しメッセージ交換復号方法により復号され、各メッセージについて有限の個数の離散状態を持つ任意の奇偶検査符号に適用可能である。


    【0128】


    本方法は、無記憶BECの奇偶検査符号の信念伝搬復号において重要な実用的な適用対象を持つため、ここで本方法をこの場合について説明する。 符号のN個の変数ノードに文字iによりインデックスを付け、i番目のノードの消失率にx

    でラベルを付ける。 本方法は、通常そうであるように、消失率が実際に等しくても、各ノードで消失率を区別することに注意しなければならない。


    【0129】


    多くのブロックについてBP復号の失敗の平均確率を考慮する。 繰り返しは、整数tでインデックスが付けられる。 密度発展方法でのように、変数p

    ia (t)を使用してメッセージm

    iaが繰り返しtで消失する確率を表す。


    【0130】


    しかし、従来技術の密度発展方法では、確率p

    ia (t)は実数であるが、本射影方法では、p

    ia (t)はx

    の関数としての射影多項式である。 同様に、射影多項式q

    ai (t)を使用して、メッセージm

    aiが繰り返しtで消失である確率を表し、射影多項式b

    (t)を使用してノードiが繰り返しtで消失として復号される確率を表す。


    【0131】


    従来技術とは対照的に、本評価方法300は、規則321の確率が実数ではなく射影多項式により与えられていて、通常の積が射影積に置き換えられているときに、任意の奇偶検査符号に対して正確である。 したがって、射影多項式q

    ai (t)から射影多項式p

    ia (t)の値を決定するには、密度発展規則(3)に類似の以下の規則を使用する。


    【0132】


    【数42】


    【0133】


    ここで、積は以前定義した射影積である。


    【0134】


    直感的に、規則(30)は以下のように理解することができる。 確率x

    で発生する通信路により変数ノードが消失し、a以外の隣接した検査ノードからのすべての受信メッセージも消失であるときに、変数ノードiは消失メッセージを検査ノードaに送信する。 したがって、消失が発生する場合、多くのさまざまなイベントがすべて発生しなければならず、そのため規則(27)では射影積が必要になる。 規則(30)は、さまざまな受信メッセージq

    ai (t)が統計的に独立していなくても正しい。


    【0135】


    以下のように、その他の必要な規則も、同様に従来技術の密度発展の規則から変換される。


    【0136】


    【数43】


    【0137】


    また、以下の規則も変換により得られる。


    【0138】


    【数44】


    【0139】


    ここで、積は、射影積と考える。


    【0140】


    検査ノードaから変数ノードiへのメッセージは、ノードaの任意の受信メッセージが消失のときに消失であるので、規則(31)は正しい。 通信路により変数ノードが消失し、すべての受信メッセージも消失であるときにだけ変数ノードは誤って復号されるので規則(32)は正しい。


    【0141】


    射影評価射影規則321を評価する(330)には、規則(30、31、32)を適用し、入力パラメータ331の集合を指定する。 対象のパラメータの集合は、復号方法303における繰り返し回数L、対象の可変ビットの集合B、または対象の特定のメッセージの集合Mを含み得る。


    【0142】


    射影多項式p

    ia (t=1)=x

    を初期化する。 それから規則(31)、(32)を繰り返し、それから再度、(30)、(31)、(32)をその順番に繰り返して、繰り返しごとに新しい射影多項式を得る。


    【0143】


    射影多項式を実数で表される確率に変換するために、BEC消失率の実際の値xをすべてのx

    に割り当て、結果の多項式を評価する。 従来技術の密度発展では、確率は繰り返しごとに実数として計算されることに注意しなければならない。


    【0144】


    評価330により、符号301に対して正確な結果360が生成される。 そのため、符号301、通信路302、復号器303を入力して、二部グラフの任意の選択されたノード、つまりビット位置におけるビット誤り率の正確な推定を出力として得ることができる。


    【0145】


    符号の例図4は、従来技術の密度発展方法では正しく評価されない誤り訂正符号の性能を、射影方法300がどのようにして正しく評価するのかを示している。 次の奇偶検査行列で定義される非常に短い符号の例について考える。


    【0146】


    【数45】


    【0147】


    この奇偶検査符号は、2つの変数ビット401と、明らかにその1つが冗長な2つの拘束検査ビット402を持つ。 冗長な拘束は、その符号の二部グラフ400においてループを誘発させるために導入されている。 長い実際の符号は、通常、冗長な拘束がないときでもループを持つ。


    【0148】


    符号の例についての正確な結果従来技術の密度発展方法と本発明の射影方法を比較するためにBECにおけるこの符号について、すべてのあり得る受信メッセージを明示的に平均することで、BP復号の性能を正確に評価する。 このような正確な評価は、もちろん短い符号についてだけ可能である。 しかし、本方法の用途は、明示的にすべてのあり得る受信メッセージを合計することによる正確な発展が実際的ではない、長い誤り訂正符号にも拡張される。


    【0149】


    「00」ブロックが送信される場合、BECを介しての送信後、受信される可能性のあるブロックは、00,0? 、? 0、00の4つである。 最初のビットは、x

    の確率で消失し、第2のビットは、x

    の確率で消失する。 これらの消失の確率は、等しい可能性があり、また通常等しいが、確率が異なることを許すことで、詳細に射影方法による結果と比較することができる。


    【0150】


    「00」ブロックを受信する確率は(1−x

    )(1−x

    )、「0?」ブロックを受信する確率は(1−x

    )x

    、「?0」ブロックを受信する確率はx

    (1−x

    )、「??」ブロックを受信する確率はx

    である。


    【0151】


    「00」ブロックが受信される場合、BP復号処理により送信されるメッセージが消失メッセージになることはあり得ない。 「??」ブロックが受信される場合、BP復号処理により送信されるすべてのメッセージは消失メッセージであり、ブロックは復号できない。 「0?」ブロックが受信された場合、第1の変数ノードがまず2つの検査ノードに「0」メッセージを送信する一方で、第2の変数ノードは2つの検査ノードに消失メッセージを送信する。 それから、1回目の繰り返しで検査ノードは最初の変数ノードに消失メッセージを送信し、第2の変数ノードに「0」メッセージを送信する。 第1のビットは「0」メッセージを通信路を介して受信し、第2のビットは「0」メッセージを第1のビットに接続された両方の検査ノードから受信するため、ブロックは1回の繰り返し後の復号が成功する。 それ以降は、消失メッセージは送信されない。 第1と第2のビットの役割が逆転する以外は、「?0」ブロックについての分析も同様である。


    【0152】


    4つのあり得る受信ブロックをそれらの確率で重み付けして合計すると、第1のビットは、最初に消失を両方の検査ノードに確率x

    で送信するが、1回以上の繰り返し後、第1のビットが消失を送信する可能性はx

    になる。 以前に設定した表記を使用すると以下の式が得られる。


    【0153】


    【数46】


    【0154】


    【数47】


    【0155】


    4つのあり得る受信ブロックについて合計すると、前述の表記により、以下の式も得ることができる。


    【0156】


    【数48】


    【0157】


    【数49】


    【0158】


    【数50】


    【0159】


    【数51】


    【0160】


    【数52】


    【0161】


    【数53】


    【0162】


    短い符号の例についての密度発展結果と射影分析結果の比較ここで、射影方法によりこの例について正確な結果が再現されることを確認する。 以下の式のように初期化する。


    【0163】


    【数54】


    【0164】


    【数55】


    【0165】


    これらの式は規則(34)と(36)に対応する。 それから、射影規則(31)を使用して以下の式を得る。


    【0166】


    【数56】


    【0167】


    【数57】


    【0168】


    これらの式は規則(38)と(39)に一致する。 射影規則(32)を使用して以下の式を得る。


    【0169】


    【数58】


    【0170】


    この式は規則(41)に一致する。 すでにこの時点で、本射影方法は従来技術の密度発展方法により得られる誤った結果を訂正していることに注意しなければならない。 密度発展方法では、誤ってb

    (t=1)=x

    とb

    (t=1)=x

    が得られるが、多項式の2の累乗に注意されたい。 しかし、本射影方法を使用すると、目障りな2の累乗が減少して1に戻る。


    【0171】


    密度発展方法で誤った答えが得られるのは、密度発展方法は、検査ノードaが消失メッセージを変数ノード1に送信する確率が、検査ノードbが消失メッセージを変数ノード1に送信する確率に統計的に依存することを考慮していないためである。 密度発展方法は、独立していないそれらのイベントを独立しているかのように不正確に扱う。


    【0172】


    射影規則(30)を使用して以下の式を得る。


    【0173】


    【数59】


    【0174】


    この式は規則(35)と(37)に一致する。


    【0175】


    本規則をさらに繰り返すことで、前述のすべての正確な結果を回復する。 それに対して、密度発展方法により得られる結果は、繰り返しごとに次第にさらに不正確になり、実際にx

    =x

    =x<1については、正しい結果はb

    (t)=b

    (t)=x

    となるのに対して、密度発展方法では、b

    (t)=b

    (t)=x

    2t+1と予測され、この結果はtが無限に近づくとゼロに近づく。 正しい結果は、復号が失敗するには、確率x

    で発生する「??」ブロックが受信されなければならないという事実を単に反映している。


    【0176】


    密度発展方法の結果は次第に不正確になるが、これは、この方法が消失の確率を独立しているかのように掛け合わせるためで、そのため繰り返しごとに確率が減少するような間違った確率になる。 レギュラーGallager符号の密度発展分析でも同様の現象が発生する。


    【0177】


    密度発展方法は、有限のブロック長について、消失率があるしきい値未満の場合にレギュラーGallager符号がすべてのブロックを復号すると間違って予測することを思い出されたい。 この不正確で過度に楽観的な予測結果は、符号のグラフ内のループとそのために発生するメッセージ間の依存性を無視した結果である。


    【0178】


    この射影方法で正しい結果が得られる理由は、この方法が、各メッセージが消失を送信する原因となる正確な基本イベントを正しく追跡し、そのためメッセージ間の統計的な依存性を正しく説明できるからである。 たとえば、q

    a1 =q

    b1 =x

    のとき、これは、「??」ブロックが受信されたという基本イベントの場合にだけ検査ノードaとbは変数ノード1に消失を送信するということを意味する。


    【0179】


    停止集合表現射影方法がBECでのBP復号に適用される場合、射影多項式は、「停止集合表現」と呼ぶより効果的な形態で保存することが可能で、対応する変更が射影演算で行われる。


    【0180】


    BECにおけるBP復号のための射影方法において発生する一般的な射影多項式は、項の総和に展開可能であり、各項は整数の係数を持つx

    の積である。


    【0181】


    たとえば、典型的な射影多項式は、m(x

    、x

    、x

    )=x

    +x

    −x

    で、これは3つの項に関わっている。 所与の項がノードの集合に対応するx

    因数を含んでいる場合、所与の項は、それらのノード集合に依存すると言う。 たとえば、項x

    はノード1と3に依存する。


    【0182】


    ノードの部分集合を射影多項式の別の項に依存したノードの集合とするときに、射影多項式内の「最小項」とはノードの部分集合をまったく持たないノードの集合に依存する項である。 たとえば、射影多項式m(x

    、x

    、x

    )=x

    +x

    −x

    において、項x

    とx

    は最小項であるが、x

    は最小項でなく、それはこの項が、射影多項式内の他の項に依存するノードの集合である部分集合(ノード2の集合またはノード1と3の集合)を持つノードの集合に依存しているからである。 最小項が依存するノードは、射影多項式の「停止集合」と呼ばれる。


    【0183】


    BECでのBP復号を評価するための射影方法において発生するすべての射影多項式について、完全な射影多項式を最小項のリストから再構築可能である。


    【0184】


    最小項のリストから完全な射影多項式を再構築するには、リスト内の最小項のすべての可能な組み合わせを尽くすまで、リスト内の各最小項を合計し、それから、最小項のすべての対の射影積を減じ、それから最小項のすべての3つ組みの射影積を加え、それから最小項のすべての4つ組みの射影積を減じる等を行う。 たとえば、最小項のリスト(x

    、x

    、x

    )がある場合、完全射影多項式m(x

    、x

    、x

    、x

    )=x

    +x

    +x

    −x

    −x

    −x

    +x

    に展開されなければならない。


    【0185】


    「停止集合」と呼ばれる射影多項式の最小項のリストによる射影多項式の表現は、通常の表現よりもあきらかにはるかに簡潔である。 停止集合は、BECにおけるBP復号の復号の失敗の原因になるノードの消失の最小のパターンを示しているので、この表現は、直感的にも適切である。


    【0186】


    射影多項式が、それらの停止集合表現で表されるとき、射影更新規則が関係する演算が簡略化される。 特に、他のイベントの和集合に依存するイベントの確率は、他のイベントを表す最小項のリストの和集合を直接求め、それから結果のリストから、もはや最小項ではなくなった任意の項を削除することで、停止集合表現により決定可能である。 したがって、規則(31)について、すべてのp

    ja (t)の最小項のリストの和集合を求め、それからもはや最小項でなくなったすべての項をリストから削除することで式【数60】


    を決定する。 たとえば、次の式の場合を考える。


    【0187】


    【数61】


    【0188】


    そして、ここで、次の式とする。


    【0189】


    【数62】


    【0190】


    同時に、次の式とする。


    【0191】


    【数63】


    【0192】


    すると、次の式が成立する。


    【0193】


    【数64】


    【0194】


    ここでは、射影多項式をその完全な表現に展開する面倒がなく、次に、射影積を適用する。


    【0195】


    規則(30)と(32)のように2つの射影多項式の射影積をそれらの停止集合表現において求めることが必要になることが多い。 その演算を以下のように簡略化する。


    【0196】


    2つの射影多項式のすべての最小項の対の射影積のリストを作成し、それからリストからもはや最小項ではないすべての項を削除する。 たとえば、p

    とp

    が規則(49)と(50)により与えられるときに、


    【数65】


    を計算するには、リスト{x

    、x

    、x

    、x

    }に簡略化される4つの項のリスト【数66】


    を生成し、それから非最小項を削除すると、以下の式が得られる。


    【0197】


    【数67】


    【0198】


    上限と下限を効果的に求めるこれまで説明した射影方法は、正確な評価方法である。 残念ながら、すべての射影多項式を保存するのに必要なメモリの総量は、分析する符号のブロック長と共に急速に増加する。 使用可能なメモリの総量に依存する特定のブロック長以上では、すべての射影多項式を保存するのは非現実的になる。 したがって、必要なメモリが少ない方法で射影多項式の近似することが有益である。


    【0199】


    一般的に、そのようなさまざまな近似が実施可能である。 各射影多項式の項の数を減らしながら射影多項式の上限と下限を求めたい場合もある。 上限と下限とは、射影多項式の最大と最小である。 下限は、正であることが保証された項を削除することで得られる。 上限は、項の対をその対以上の大きさを持つことが保証された単一の項で置き換えることで得られる。


    【0200】


    一貫した下限(と上限のそれぞれ)を求めるには、すべての射影多項式に対して下限(と上限のそれぞれ)から開始したときには、射影分析規則の適用後もその結果に下限(と上限のそれぞれ)があることを保証する必要がある。 以下で説明するBECにおけるBP復号のように、場合によっては、そのような保証は単純であるが、そうではない場合、射影分析規則を修正して上限と下限が一貫して維持されることを保証しなければならないこともある。


    【0201】


    例として、BECでのBP復号のための射影方法の場合について上限と下限を求める。 その場合、射影多項式の停止集合表現を利用できる。 射影多項式の下限を求めるには、停止集合表現内のいくつかの最小項を取り除く。 たとえば、m(x

    、x

    、x

    、x

    )={x

    、x

    、x

    }の場合、3つの項の任意の項を取り除き射影多項式を下限化する。


    【0202】


    すべての確率x

    は結局1以下の値を持つことを思い出されたい。 その結果、通常、大きい数のノードに依存する項の削除を選択するが、これは、それらの項の大きさが小さいはずであり、結果として生じる近似がより適切になるためである。 そのため、通常、前述の射影多項式からのx

    項の削除を選択する。


    【0203】


    その他の多数の考え得る系統的な下限近似方法が使用可能である。 たとえば、最少のノードを持つ項を保持したまま、各射影多項式を特定数の項に限定することが可能である。 代わりに、ある最大数のノード未満のノードを持つすべての項を維持することもできる。 第3の可能性は、項内の許容ノードの最大数を最小のノードを持つ項内のノード数に関連付けることである。 当業者は、他の可能性を考案することができる。


    【0204】


    射影多項式の上限を求めるには、元の射影多項式よりも少ない数の項を使用し、停止集合表現内の最小項の対を、2つの停止集合の積集合内のノードだけに依存する別の項で置き換える。 たとえば、射影多項式m(x

    、x

    、x

    、x

    )={x

    、x

    、x

    }の上限を求めるには、2つの項x

    とx

    を取り除き、これらの項を項x

    で置き換えて、上限射影多項式{x

    、x

    }を得る。 上限の手順はそのような場合に適用可能であるが、これは以下の式が成立するからである。


    【0205】


    【数68】


    【0206】


    ここで0≦x

    ≦1である。


    【0207】


    同様に、多数の系統的な上限近似方法が使用可能である。 たとえば、項のある最大数よりも多くの項が残っていない状態になるまで、項の対を単一の項で置き換えることができる。 代替的に、すべての項が含んでいるノードの最小数を減らすことのない置き換えがないときに、項の対の置き換えを停止することができる。 この場合も、その他の多くの具体的な方法が使用可能である。


    【0208】


    BECのBP復号に適用された射影分析方法の各計算から得られた各射影多項式の停止集合表現を利用して下限(および上限それぞれ)を使用する場合、規則を使用して決定された対象のすべての得られた確率も、下限(および上限それぞれ)であることが保証される。


    【0209】


    これは、以下のように理解できる。 下限(および上限それぞれ)は、停止集合表現を使用して、厳密により少ない基本イベント(およびより多い基本イベントをそれぞれ)を持つ別のイベントの確率によりイベントの確率を常に近似するであろう。 BECにおけるBP復号の射影分析は、イベントの和集合または積集合の確率だけに関係する。 より少ない基本イベント(およびより多い基本イベントそれぞれ)を含むイベントの和集合または積集合は、元のイベントの和集合または積集合よりもより少ない基本イベント(およびより多い基本イベントそれぞれ)を含まなければならない。 そのため、それも下限(および上限それぞれ)になる。


    【0210】


    より高い性能の誤り訂正符号の最適化密度発展方法が最も既知である実用的な誤り訂正符号を生成するための手引きとして過去に使用されてきたとすれば、本射影方法によりさらに高い性能の符号を生成できる。 本発明による射影方法を使用すれば、与えられた通信路と復号方法について、任意の一般化された奇偶検査行列により定義された誤り訂正符号を入力し、各ノードでビット誤り率の予測を出力として得ることができる。


    【0211】


    考え得る改良された符号の空間内での誘導探索のための目的の関数で、この出力を使用することができる。 たとえば、N=100ブロック長の、BEC通信路でBPにより復号されるときに、あり得る最高の消失率において、10

    −15未満のビット誤り率を達成する隠れ状態のない伝送速度1/2の符号を探してみることができる。 この探索は、奇偶検査行列の空間を探索するために、有効な本射影方法を使用し、任意の既知の探索技法、たとえば欲張り下降、シミュレーティッドアニーリング、遺伝過程などを使用して、正しいブロック長と率の符号を繰り返して評価することで探索を行う。


    【0212】


    無限のブロック長の限度内でのしきい値ではなく、性能の正しい目安、つまりビット誤り率そのものに直接注目するので、本発明による探索は、従来技術の密度発展処理を使用して得られた結果よりも改善される。 各ノードでのビット誤り率についての情報があるので探索を誘導可能である。 たとえば、追加の奇偶検査ノードを追加することで高いビット誤り率を持つ弱い変数ノードを「強化」したり、弱いノードを隠れノードにすることで低いビット誤り率を持つ強いノードを「弱く」して伝送率を増加することを理解することができるであろう。


    【0213】


    本発明は、好ましい実施形態の例により説明してきたが、本発明の精神および範囲内でさまざまな他の適合や変更が行われ得ることが理解される。 したがって、本発明の真の精神や範囲内に含まれるようにそのような変形や修正をすべて網羅するのが併記の特許請求の範囲の目的である。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】雑音のある通信路を介して送信される符号化されたメッセージの復号の問題を示すブロック図である。


    【図2】簡単な誤り訂正符号を表す二部グラフである。


    【図3】本発明により誤り訂正符号の性能を評価するための射影分析方法のブロック図である。


    【図4】本発明により評価される二部グラフである。

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