【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、アナログ信号をデジタル信号に変換し、処理を終ったデジタル信号を再びアナログ信号に変換するコーデック、特にスイッチドキャパシタフイルタ、アナログ/デジタル変換器(以下、A/ D変換器という)、及びデジタル/アナログ変換器(以下、D/A変換器という)等で構成されるシングルチャネル型のコーデックに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、この種のコーデックに関する技術としては、例えば次のような文献に記載されるものがある。 文献;「A/D,D/Aコンバータ設計・応用の要点」 初版(昭60−5−31)日本工業技術センター、P. 177−180 図2は、前記文献に記載された従来のコーデックの構成例を示すブロック図である。 このコーデックの送信側には、外部から与えられる基準周波数の送信同期信号SY aに基づき複数の高速クロック信号を発生する送信PL L(phase-locked Loop 、フェーズロックループ)回路11と、送信フイルタ12とが、設けられている。 送信フイルタ12は、スイッチドキャパシタで構成され、送信PLL回路11から出力された高速のクロック信号に基づき入力されたアナログ信号Aiのフイルタ処理を行う機能を有し、その出力側に、A/D変換器13及び送信コントローラ14が接続されている。 A/D変換器1 3は、送信PLL回路11から出力された高速のクロック信号に基づき、送信フイルタ12の出力をデジタル信号に変換してそのデジタル信号を送信コントローラ14 へ与える回路である。 【0003】送信コントローラ14は、A/D変換器1 3のサンプリング周波数の基準となる例えば8KHzの送信同期信号SYa、及びデジタル信号出力の出力速度を決定するシフトクロックとして使われる送信クロック信号CKaを入力し、送信フイルタ12及びA/D変換器13を制御すると共に、該送信クロック信号CKaに基づき、A/D変換器13から出力されたデジタル信号Doを外部へ出力する機能を有している。 送信クロック信号CKaは、送信同期信号SYaの整数倍に選ばれ、 通常64KHz〜2048KHzの間で、使用される装置で決定される。 【0004】コーデックの受信側には、外部から与えられる基準周波数の受信同期信号SYbと受信クロック信号CKbを入力する受信PLL回路21と、受信同期信号SYb、受信クロック信号CKb、及びデジタル信号Diを入力する受信コントローラ22とが、設けられている。 受信同期信号SYbは、D/A変換タイミングの基準として使われ、通常8KHzに選ばれる。 また、受信クロック信号CKbは、入力されるデジタル信号Di のデータ速度と同一で、コーデック内部の受信側へデジタル信号Diを取込むためのシフトクロックとして使われ、受信同期信号SYbの整数倍に選ばれ、通常64K Hz〜2048KHzの間で、使用される装置で決定される。 【0005】受信PLL回路21は、受信同期信号SY bに基づき複数の高速クロック信号を発生する回路である。 受信コントローラ22は、受信側を制御すると共に、受信クロック信号CKbに基づきデジタル信号Di を取込む機能を有し、その出力側には、D/A変換器2 3及び受信フイルタ24が接続されている。 D/A変換器23は、受信PLL回路21から出力された高速のクロック信号に基づき、受信コントローラ22で取込まれたデジタル信号Diをアナログ信号に変換して受信フイルタ24へ送る回路である。 受信フイルタ24は、受信PLL回路21から出力された高速のクロック信号に基づき、D/A変換器23の出力のフイルタ処理を行ってアナログ信号Aoを出力する機能を有し、スイッチドキャパシタで構成されている。 【0006】次に、動作を説明する。 送信側において、 送信クロック信号CKa及び送信同期信号SYaが入力されると、送信PLL回路11及び送信コントローラ1 4が動作を開始し、該送信コントローラ14の制御により、送信フイルタ12が、送信すべきアナログ信号Ai のフイルタ処理を行う。 フイルタ処理後のアナログ信号は、送信コントローラ14で制御されるA/D変換器1 3により、デジタル信号に変換されて送信コントローラ14へ送られる。 送信コントローラ14では、送信クロック信号CKaに基づき、A/D変換器13からのデジタル信号Doを外部へ送信する。 【0007】受信側において、受信クロック信号CKb 及び受信同期信号SYbが入力されると、受信コントローラ22が動作を開始する。 受信コントローラ22は、 受信クロック信号CKbに基づき、送られてきたデジタル信号Diを取込む。 デジタル信号Diの取込みが終了すると、受信PLL回路21の動作が開始し、D/A変換器23及び受信フイルタ24が制御される。 D/A変換器23は、受信コントローラ22で取込まれたデジタル信号Diをアナログ信号に変換する。 このアナログ信号は、受信フイルタ24でフイルタ処理が行われた後、 その処理後のアナログ信号Aoが出力される。 【0008】従来のコーデックでは、通信システムの同期化が進み、送信クロック信号CKa及び受信クロック信号CKbとして同一のクロック信号が用いられることが多い。 また、送信PLL回路11は送信同期信号SY aが入力されて動作が始まり、受信PLL回路21はデジタル信号Diのコーデック内部への取込み終了後から動作が始まる。 このように送信及び受信が独立のタイミングで動作するため、送信側と受信側のそれぞれに送信PLL回路11と受信PLL回路21とが設けられている。 また、送信フイルタ12及び受信フイルタ24に使う高速クロック信号も、送信フイルタ用クロック信号はA/D変換タイミングに、受信フイルタ用クロック信号はD/A変換タイミングにそれぞれ同期していないと、 非同期クロックによる雑音が発生するので、それぞれの送信PLL回路11と受信PLL回路21とで生成されたクロック信号が使われる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成のコーデックでは、次のような課題があった。 従来のコーデックにおいて、送信側及び受信側の送信クロック信号CKaと受信クロック信号CKb、送信同期信号S Yaと受信同期信号SYbとにそれぞれ同一の信号を使ったとしても、クロック周波数が可変される(コーデックを使う装置内では、ある周波数に固定される)条件では、送信側と受信側の動作タイミングが使用される周波数によって異なるため、必ず送信側と受信側にそれぞれ送信PLL回路11と受信PLL回路21が必要となる。 【0010】このようにPLL回路11,22が送信側及び受信側に2系統あると、送信側から見た場合、受信PLL回路21の発生するクロック信号が非同期クロックとなり、受信側から見た場合、送信PLL回路11の発生するクロック信号が非同期クロックとなる。 そのため、雑音量が増えて信号対雑音比(S/N比)の特性が悪くなる。 しかも、送信PLL回路11及び受信PLL 回路21の回路規模が大きいため、コーデックの集積回路化(IC化や、大規模集積回路(LSI)化等)においてチップ占有面積が増加すると共に、発振機能を持つために消費電力も大きい。 本発明は、前記従来技術が持っていた課題として、コーデック内にPLL回路が2系統あることに寄因して起こる非同期雑音によるS/N比の特性劣化、コーデックLSI化等におけるチップ占有面積の増加、及び消費電力の増加の点について解決したコーデックを提供するものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、前記課題を解決するために、A/D変換及びD/A変換を行うコーデックにおいて、送信同期信号に基づき複数のクロック信号を生成する送信PLL回路と、スイッチドキャパシタで構成され、前記送信PLL回路の出力に基づき入力アナログ信号のフイルタ処理を行う送信フイルタと、 前記送信フイルタの出力をデジタル信号に変換するA/ D変換器と、共通クロック信号、前記送信同期信号、及び前記送信PLL回路の出力に基づき、前記送信フイルタ及びA/D変換器を制御すると共に該A/D変換器の出力を所定のタイミングで外部へ出力する送信コントローラとを、備えている。 【0012】さらに、前記送信PLL回路の出力及び受信デジタル信号取込み完了信号に基づき、D/A変換タイミング信号を発生する受信タイミング発生回路と、前記共通クロック信号及び受信同期信号を入力し、該共通クロック信号に基づき受信デジタル信号を取込んで前記受信デジタル信号取込み完了信号を前記受信タイミング発生回路へ与える受信コントローラと、前記受信コントローラで制御され、該受信コントローラで取込まれた受信デジタル信号を前記D/A変換タイミング信号によってアナログ信号に変換するD/A変換器と、前記受信コントローラで制御されるスイッチドキャパシタで構成され、前記送信PLL回路の出力に基づき前記D/A変換器の出力のフイルタ処理を行う受信フイルタとが、設けられている。 【0013】第2の発明では、第1の発明の受信タイミング発生回路が、前記送信PLL回路の出力を分周する分周器と、位相ずれ信号を計数する状態カウンタと、前記分周器の出力と前記状態カウンタの出力との一致/不一致を検出して一致の時に出力を出す一致検出回路と、 前記受信デジタル信号取込み完了信号及び一致検出回路の出力に基づき位相ずれを検出して前記位相ずれ信号を出力する位相ずれ検出回路とで、構成されている。 【0014】 【作用】第1の発明によれば、以上のようにコーデックを構成したので、送信側において、送信同期信号が送信PLL回路に与えられると、該送信PLL回路では複数のクロック信号を生成し、そのクロック信号を送信フイルタ、受信フイルタ及び受信タイミング発生回路等に与える。 送信フイルタでは、送信PLL回路から供給されたクロック信号に基づき、入力されたアナログ信号のフイルタ処理を行い、そのフイルタ処理後のアナログ信号がA/D変換器でデジタル信号に変換された後、送信コントローラを介して外部へ出力される。 【0015】受信側では、受信コントローラが受信されたデジタル信号を取込み、その取込みが完了すると、受信デジタル信号取込み完了信号が受信タイミング発生回路へ与えられる。 受信タイミング発生回路では、送信P LL回路からのクロック信号と、受信デジタル信号取込み完了信号とに基づき、D/A変換タイミング信号を生成する。 D/A変換器ではD/A変換タイミング信号に基づき、受信コントローラで取込まれたデジタル信号をアナログ信号に変換して受信フイルタへ送る。 受信フイルタでは、送信PLL回路から供給されるクロック信号に基づき、D/A変換器の出力に対してフイルタ処理を行い、その処理後のアナログ信号を出力する。 【0016】第2の発明によれば、送信PLL回路の出力が分周器で分周されて一致検出回路へ送られる。 一致検出回路では、分周器出力と状態カウンタ出力との一致/不一致状態が検出される。 それが一致の時には、位相ずれ検出回路から、D/A変換タイミング信号及び位相ずれ信号が出力される。 このD/A変換タイミング信号に基づき、D/A変換処理が行われる。 【0017】これにより、1個の送信PLL回路だけで送信及び受信の異なるタイミングのクロック信号が発生され、非同期雑音によるS/N比の特性の向上が図れると共に、低消費電力でLSI化等に適したコーデックの提供が可能となる。 従って、前記課題を解決できるのである。 【0018】 【実施例】図1は、本発明の実施例を示すコーデックの構成ブロック図である。 このコーデックの送信側には、 送信PLL回路30と送信フイルタ41とが設けられている。 送信PLL回路30は、例えば8KHzの送信同期信号SYaに基づき、複数の高速クロック信号S30 a,S30b,S30cを出力する機能を有している。 送信フイルタ41は、クロック信号S30bに基づき、 入力されたアナログ信号Aiのフイルタ処理を行う機能を有し、スイッチドキャパシタで構成され、その出力側に、A/D変換器42及び送信コントローラ43が接続されている。 A/D変換器42は、クロック信号S43 に基づき、送信フイルタ41の出力をデジタル信号に変換して送信コントローラ43へ与える回路である。 送信コントローラ43は、送信フイルタ41及びA/D変換器42を制御するもので、例えば64KHz〜2048 KHzの共通クロック信号CK、送信同期信号SYa、 及びクロック信号S30aを入力し、該送信同期信号S Yaに基づきサンプリング用のクロック信号S43をA /D変換器42に与えると共に、共通クロック信号CK に基づき、A/D変換器42から出力されたデジタル信号Doを外部へ出力する機能を有している。 【0019】コーデックの受信側には、受信タイミング発生回路50及び受信コントローラ61が設けられている。 受信タイミング発生回路50は、送信PLL回路3 0からのクロック信号S30cと受信コントローラ61 からの受信デジタル信号取込み完了信号S61bとに基づき、D/A変換タイミング信号S50を発生する回路である。 受信コントローラ61は、D/A変換器62及び受信フイルタ63を制御するもので、共通クロック信号CK及び受信同期信号SYbを入力し、該共通クロック信号CKに基づき、受信されたデジタル信号Diを取込み、受信デジタル信号取込み完了信号S61aを受信タイミング発生回路50へ与えると共に、高速のクロック信号S61bをD/A変換器62に与える機能を有している。 受信コントローラ61の出力側には、D/A変換器62及び受信フイルタ63が接続されている。 D/ A変換器62は、受信タイミング発生回路50からのD /A変換タイミング信号S50に基づき、受信コントローラ61で取込まれたデジタル信号Diをアナログ信号に変換する回路であり、その出力側に、受信フイルタ6 3が接続されている。 受信フイルタ63は、送信PLL 回路30からのクロック信号S30bに基づき、D/A 変換器62の出力のフイルタ処理を行ってアナログ信号Aoを出力する機能を有し、スイッチドキャパシタで構成されている。 【0020】図3は、図1に示す送信PLL回路30の構成例を示すブロック図である。 この送信PLL回路3 0は、送信同期信号SYaとフィードバック信号S34 の位相差を求める位相周波数比較器31を有し、その出力側に、ローパスフイルタ32を介して電圧制御発振器33が接続されている。 電圧制御発振器33は、ローパスフイルタ32の出力に基づき、所定周波数のクロック信号S30bを発生する回路であり、その出力側に、分周器34が接続されている。 分周器34は、クロック信号S30bを分周し、位相周波数比較器31に与えるフィードバック信号S34を出力すると共に、高速のクロック信号S30a,S30cを出力する機能を有している。 【0021】この送信PLL回路30では、外部からの基準周波数の送信同期信号SYaが入力されると、その送信周期信号SYaとフィードバック信号S34との位相差が位相周波数比較器31で求められ、その位相差からローパスフイルタ32で高周波成分が除去されて電圧制御発振器33へ送られる。 電圧制御発振器33は、ローパスフイルタ32の出力電圧に基づき所定周波数のクロック信号S30bを発生し、分周器34へ与える。 分周器34は、クロック信号S30bを分周して位相周波数比較器31へフィードバックするフィードバック信号S34を出力すると共に、他の周波数のクロック信号S 30a,S30cを出力する。 【0022】図4は、図1に示す受信タイミング発生回路50の構成例を示す回路図である。 この受信タイミング発生回路50は、送信PLL回路30からのクロック信号S30cを反転するインバータ51を備え、その出力側に分周器52が接続されている。 分周器52は、インバータ51の出力を分周して分周出力S52a,S5 2bを送出する機能を有し、2段の遅延型フリップフロップ(以下、D−FFという)52a,52bからなる2ビットカウンタで構成されている。 また、2ビットの状態カウンタ53が設けられ、その出力側と分周器52 の出力側に、一致検出回路54が接続されている。 【0023】2ビット状態カウンタ53は、位相ずれ信号S55cを計数してその状態を表わす2ビットの出力S53a,S53bを一致検出回路54に与える機能を有し、2段のD−FF53a,53bで構成されている。 一致検出回路54は、分周器52の出力S52a, S52bと状態カウンタ53の出力S53a,S53b との一致/不一致を検出して一致の時に反転出力(“0”出力)S54dを出す機能を有し、排他的論理和ゲート(以下、EORゲートという)54a,54 b、NORゲート54c、及び該NORゲート54cの出力S54cを一時保持するD−FF54dで構成されている。 D−FF54dの出力S54d側には、位相ずれ検出回路55を介して状態カウンタ53が接続されている。 【0024】位相ずれ検出回路55は、D−FF54d の出力S54d及び受信デジタル信号取込み完了信号S 61aに基づき、位相ずれを検出してその位相ずれ信号S55cを状態カウンタ53へ出力する機能を有し、リセット付きD−FF55aと、該リセット付きD−FF 55aの出力S55aとD−FF54dの出力S54d との否定論理和をとってD/A変換タイミング信号S5 0を出力するNORゲート55bと、D/A変換タイミング信号S50と受信デジタル信号取込み完了信号S6 1aの否定論理積をとって位相ずれ信号S55cを出力するNANDゲート55cとで、構成されている。 【0025】図5は、図1及び図4の動作を示すタイムチャートであり、この図を参照しつつ、図1のコーデックの動作を説明する。 まず、図1のコーデックの全体の動作を説明する。 図1の送信側において、送信同期信号SYaが送信PLL回路30及び送信コントローラ43 に入力されると共に、共通クロック信号CKが送信コントローラ43及び受信コントローラ61に入力されると、該送信PLL回路30では、入力された送信同期信号SYaに基づき高速のクロック信号S30a,S30 b,S30cを生成し、該クロック信号S30aを送信コントローラ43へ、クロック信号S30bを送信フイルタ41及び受信フイルタ63へ、クロック信号S30 cを受信タイミング発生回路50へ、それぞれ供給する。 送信フイルタ41では、送信すべきアナログ信号A iをクロック信号S30bに基づきフイルタ処理し、A /D変換器42へ送る。 A/D変換器42では、送信コントローラ43から供給されるクロック信号S43に基づき、送信フイルタ41の出力をデジタル信号に変換し、該送信コントローラ43へ送る。 送信コントローラ43は、共通クロック信号CKに基づき、A/D変換器42からのデジタル信号Doを外部へ出力する。 【0026】受信側において、受信同期信号SYbが受信コントローラ61に入力されると、該受信コントローラ61では、共通クロック信号CKに基づき、受信されたデジタル信号Diを取込み、そのデジタル信号Diの取込みが完了すると、受信デジタル信号取込み完了信号S61aを受信タイミング発生回路50へ与える。 受信タイミング発生回路50は、送信PLL回路30からのクロック信号S30cと受信デジタル信号取込み完了信号S61aとに基づき、D/A変換タイミング信号S5 0を生成し、それを受信コントローラ61を介してD/ A変換器62へ送る。 D/A変換器62は、D/A変換タイミング信号S50に基づき、受信コントローラ61 で取込まれたデジタル信号Diをアナログ信号に変換し、受信フイルタ63へ送る。 受信フイルタ63は、送信PLL回路30からのクロック信号S30bに基づき、D/A変換器62の出力のフイルタ処理を行ってそのフイルタ処理後のアナログ信号Aoを出力する。 【0027】次に、図4に示す受信タイミング発生回路50の動作を説明する。 送信PLL回路30から出力されたクロック信号S30cが受信タイミング発生回路5 0に入力されると、分周器52内のD−FF52aで該クロック信号S30cが2分周され、さらに後段のD− FF52bで4分周され、それらの分周出力S52a, S52bが一致検出回路54へ送られる。 一致検出回路54は、分周器52の出力S52a,S52bと状態カウンタ53の出力S53a,S53bとの一致/不一致を検出し、一致の時には反転出力(“0”出力)S54 dを位相ずれ検出回路55へ与える。 位相ずれ検出回路55は、受信コントローラ61からの受信デジタル信号取込み完了信号S61aと、一致検出回路54の出力S 54dとが、同時に現われた時に、位相ずれ信号S55 cを状態カウンタ53へ出力する。 状態カウンタ53 は、位相ずれ信号S55cを入力クロックとしてそれをカウントし、そのカウント結果の出力S53a,S53 bを一致検出回路54へ与える。 【0028】図5に示すように、時刻t -4 ,t -3 , t -2 ,t -1 ,t 1 ,t 2 ,t 3 ,…,t n+1 ,t n+2 , t n+3 ,…において、送信PLL回路30からクロック信号S30cが入力され、それが分周器52で分周されてその分周出力S52a,S52bが一致検出回路54 へ送られる。 状態カウンタ53の出力S53b,S53 aが“00”の状態で始まったとすると、該一致検出回路54から時刻t -4 ,t 1の時に出力S54dが出る。 図5では、時刻t 1の時に受信デジタル信号取込み完了信号S61aが位相ずれ検出回路55に入力されているので、該位相ずれ検出回路55から位相ずれ信号S55 cが状態カウンタ53へ出力され、該状態カウンタ53 の出力S53b,S53aが“01”となる。 これ以降、一致検出回路54は、分周器52の出力S52b, S52aが“01”の時に出力S54dを出す。 【0029】次に、受信デジタル信号取込み完了信号S 61aが位相ずれ検出回路55に入力される時刻t n+1 では、一致検出回路54の出力S54dが出ないので、 位相ずれ検出回路55の位相ずれ信号S55cも出力されず、状態カウンタ53が“01”を保持している。 そして、位相ずれ検出回路55のNORゲート55bから出力されるD/A変換タイミング信号S50を、図1のD/A変換器62の変換信号として使うことにより、送信PLL回路30のクロック信号S30cに同期したD /A変換器62の出力が得られ、その後段の受信フイルタ63のクロックとして送信PLL回路30で発生させたクロック信号S30bを用いることができる。 【0030】以上のように、本実施例では、従来の受信PLL回路に代えて受信タイミング発生回路50を設け、送信フイルタ41及び受信フイルタ63用の高速のクロック信号S30bは送信PLL回路30から共通に供給するようにしている。 つまり、1個の送信PLL回路30だけで、送信及び受信の異なるタイミングのクロック信号を発生させるようにしているので、非同期クロックの干渉によるS/N特性の劣化を防止できる。 しかも、受信タイミング発生回路50は、従来の受信PLL 回路に比べて回路規模が小さいので、LSI化等の時のチップ占有面積を削減でき、消費電力も少なくできる。 【0031】なお、本発明は上記実施例に限定されず、 例えば、共通クロック信号CK等の周波数を他の周波数に変えたり、送信PLL回路30や受信タイミング発生回路50を図3あるいは図4以外の回路構成にする等、 種々の変形が可能である。 【0032】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1の発明によれば、従来の受信PLL回路に代えて受信タイミング発生回路を設け、送信フイルタ及び受信フイルタ用の高速のクロック信号を送信PLL回路から共通に供給するようにしたので、非同期クロックの干渉によるS/N 比の特性劣化を防止できる。 しかも、受信タイミング発生回路は従来の受信PLL回路に比べて回路規模を小さくできるので、LSI化等の際のチップ占有面積を削減できると共に消費電力も少なくできる。 【0033】第2の発明によれば、受信タイミング発生回路を分周回路、状態カウンタ、一致検出回路、及び位相ずれ検出回路で構成したので、簡単な回路構成で、受信タイミング発生機能を実現できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例を示すコーデックの構成ブロック図である。 【図2】従来のコーデックの構成ブロック図である。 【図3】図1に示す送信PLL回路の構成ブロック図である。 【図4】図1に示す受信タイミング発生回路の回路図である。 【図5】図1及び図4の動作を示すタイムチャートである。 【符号の説明】 30 送信PLL回路 41 送信フイルタ 42 A/D変換器 43 送信コントローラ 50 受信タイミング発生回路 52 分周器 53 状態カウンタ 54 一致検出回路 55 位相ずれ検出回路 61 受信コントローラ 62 D/A変換器 63 受信フイルタ |