A/D変換装置

申请号 JP2013195433 申请日 2013-09-20 公开(公告)号 JP2015061269A 公开(公告)日 2015-03-30
申请人 株式会社デンソー; Denso Corp; 发明人 NEZUKA TOMOHIRO;
摘要 【課題】入 力 電圧のA/D変換を一定期間内に完了させる必要がある場合でも、高い 精度 で変換を行うことができるデルタシグマ型のA/D変換装置を提供する。【解決手段】入力電圧Vinを、ループフィルタ13及び14を介した後、量子化器7で量子化する。ループフィルタ14には、その出力電圧を発生するオペアンプ15と、入力電圧VinをサンプルするためのコンデンサCsと、当該コンデンサCsによりサンプルされた電圧を積分するためのコンデンサCfと、複数の経路切替え用スイッチS1〜S7とを備える。制御回路は、スイッチS1〜S7のオンオフを制御してコンデンサCs及びCfを放電させると、ループフィルタ14によるサンプル動作と積分動作とを複数回繰り返させる。最後にコンデンサCsとコンデンサCfの接続状態を積分動作の時と逆転した状態に接続し、変換用スイッチS8をオンにしてループフィルタ14の出力電圧をA/D変換器12によりA/D変換する。【選択図】図1
权利要求
  • 入力電圧が与えられるn(nは自然数)次のループフィルタ(13)と、
    前記n次のループフィルタの出力信号(以下、処理対象信号と称す)が入力される最終段のループフィルタ(14)と、
    前記最終段のループフィルタに接続される量子化器(7)と、
    前記最終段のループフィルタに、変換用スイッチ(S8)を介して接続されるA/D変換器(12)と、
    前記量子化器の出力に基づいて上位ビットを生成し、前記A/D変換器の出力に基づいて下位ビットを生成するA/D変換装置において、
    前記最終段のループフィルタは、
    前記処理対象信号をサンプルするためのサンプリング用コンデンサ(Cs)と、
    このサンプリング用コンデンサによりサンプルされた電圧を積分するための積分用コンデンサ(Cf)と、
    前記サンプリング用コンデンサの容量値と、前記積分用コンデンサの容量値との比で決まるゲインで前記処理対象信号を増幅する増幅回路(15)とを有し、
    前記サンプリング用コンデンサ及び前記積分用コンデンサを、それぞれの両端をアナロググランドに接続することで放電し、
    前記サンプリング用コンデンサの一端が前記n次のループフィルタの出力に接続され、他端がアナロググランドに接続されることで、前記サンプリング用コンデンサに前記処理対象信号をサンプルし、
    前記サンプリング用コンデンサの一端がアナロググランドに接続され、他端が前記増幅回路の入力端子に接続され、前記積分用コンデンサの一端が前記増幅回路の入力端子に接続され、他端が前記積分用コンデンサの出力端子に接続されることで、前記サンプリング用コンデンサに入力された前記処理対象信号の積分結果を保持し、
    前記サンプリング用コンデンサの一端が前記増幅回路の出力端子に接続され、他端が前記増幅回路の入力端子に接続され、前記積分用コンデンサの一端が前記増幅回路の入力端子に接続され、前記積分用コンデンサの他端がアナロググランドに接続されることで、前記サンプリング用コンデンサ及び前記積分用コンデンサの容量値の誤差をキャンセルして、前記最終段のループフィルタとしての出力信号が前記増幅回路の出力端子より出力されるよう動作するもので、
    前記放電動作と、前記サンプル動作と、前記積分動作と、前記誤差キャンセル動作とを行うように信号経路を切り替えるように配置される複数の経路切替え用スイッチ(S1〜S7)と、
    これら複数の経路切替え用スイッチ及び前記変換用スイッチのオンオフを制御する制御回路とを備えて構成され、
    前記制御回路は、前記放電動作を行った後、前記サンプル動作及び前記積分動作を複数回繰り返した後に、前記誤差キャンセル動作が行われるように前記経路切替え用スイッチを制御すると、それから前記変換用スイッチをオンにすることを特徴とするA/D変換装置。
  • 最後のサンプル動作に引き続いて、前記誤差キャンセル動作に移行することを特徴とする請求項1記載のA/D変換装置。
  • 前記n次のループフィルタのうち、少なくとも初段を含む1つ以上のループフィルタ段は、
    入力信号をサンプルするための少なくとも1つのサンプリング用コンデンサ(Cs1)と、
    このサンプリング用コンデンサによりサンプルされた電圧を積分するための積分用コンデンサ(Cf1)と、
    前記サンプリング用コンデンサの容量値と、前記積分用コンデンサの容量値との比で決まるゲインで入力信号を増幅する増幅回路(16)とを有し、
    前記サンプリング用コンデンサ及び前記積分用コンデンサを、それぞれの両端をアナロググランドに接続することで放電し、
    前記サンプリング用コンデンサの一端に入力信号が与えられ、他端がアナロググランドに接続されることで、前記サンプリング用コンデンサに前記入力信号をサンプルし、
    少なくとも1つの前記サンプリング用コンデンサの一端がD/A変換用電圧に接続され、他端が前記増幅回路の入力端子に接続され、前記サンプリング用コンデンサのうち前記D/A変換用電圧に接続されないものの一端がアナロググランドに接続され、他端が前記増幅回路の入力端子に接続され、前記積分用コンデンサの一端が前記増幅回路の入力端子に接続され、他端が前記積分用コンデンサの出力端子に接続されることで、前記サンプリング用コンデンサに入力された信号の積分を行うと共にD/A変換動作を行うもので、
    前記サンプリング用コンデンサ及び前記積分用コンデンサの放電動作と、前記サンプリング用コンデンサによる前記入力信号のサンプル動作と、前記積分動作と共にD/A変換動作を行うように信号経路を切り替え可能に配置される複数の経路切替え用スイッチ(S11,S12,S16〜S18)と、
    前記D/A変換動作において、少なくとも1つの前記サンプリング用コンデンサの入力側端子に、電源電圧相当のD/A変換用電圧を接続可能に配置される複数の変換用スイッチ(S13〜S15)とを備え、
    前記制御回路は、前記放電動作を行った後、前記サンプル動作並びに前記積分動作及びD/A変換動作を順次行うように前記経路切替え用スイッチ及び前記変換用スイッチを制御することを特徴とする請求項1又は2記載のA/D変換装置。
  • 说明书全文

    本発明は、デルタシグマ変調器を用いてカスケード型で構成されるA/D変換装置に関する。

    デルタシグマ変調器を用いて構成されるA/D変換装置では、入電圧をループフィルタによりフィルタし、ループフィルタの出力を量子化器において量子化する。 この時、ループフィルタを構成するコンデンサの容量値に誤差があると、コンデンサを含むループフィルタのゲインに誤差が生じて、A/D変換結果にも誤差が発生する。 カスケード型の構成を用いずに、シングルループ型の構成を用いて入力電圧のA/D変換を行う場合には、上記の誤差はほとんど問題とならないが、A/D変換結果を得るのに多くのサイクル数を要するため変換時間が長くなる。

    しかし、例えば1つのA/D変換装置により複数のセンサからの入力信号を切り替えて順次A/D変換するような用途では、各入力信号につきA/D変換する期間を区切って切り替える必要があり、高速に切り替えを行うためにカスケード型の構成により高速にA/D変換が可能なA/D変換装置が用いられる。 カスケード型の構成を用いないシングルループ型の構成と比較すると、カスケード型の構成では上記の誤差の影響が相対的に大きいため問題となる。

    例えば、特許文献1には、カスケード型の一種であるハイブリッド・インクリメンタル型のデルタシグマA/D変換装置において、一定のA/D変換期間の最後に、上記の誤差をキャンセルする構成が開示されている。

    特許第4862943号公報

    しかしながら、特許文献1の構成には以下のような問題がある。 特許文献1では、入力電圧Vinによりコンデンサを充電してサンプルし、量子化を行う量子化器の出力信号に応じて前記コンデンサにいわゆるD/A変換動作を行うための変換用電圧Vref+,Vcom,Vref-を繰り返し接続して、1次のデルタシグマ変調を実現し、量子化器の出力を積分することでA/D変換結果の上位ビットを生成している。 1次のデルタシグマ変調を用いる構成では、オペアンプのゲインが有限であることに起因する誤差の影響を受け易い。 その誤差の影響を低減するには高ゲインのアンプが必要となるが、そのようなアンプは消費電力が大きく且つ多くの回路面積を要する。 加えて、1次のデルタシグマ変調器で分解能を向上させるためには、高次のデルタシグマ変調器と比較して多くのサイクル数が必要となり、変換ビット数を多くすることが困難である。

    また、特許文献1では、デルタシグマ変調を行った後に積分器の出力をA/D変換してA/D変換結果の下位ビットを生成し、デルタシグマ変調によって生成した上位ビットに加える、いわゆるハイブリッド・インクリメンタル型のデルタシグマA/D変換器を構成している。 カスケード型の一種であるハイブリッド・インクリメンタル型のデルタシグマA/D変換器では、デルタシグマ変調に用いる積分器の出力の誤差がA/D変換精度に影響を与えるため、特許文献1では積分器の誤差をキャンセルする動作を行いA/D変換精度を向上させている。 しかしながら、誤差キャンセルを行うために追加の動作サイクルが必要となっており、A/D変換に必要な時間が増加するデメリットがある。

    また、特許文献1は、入力電圧Vinが入力されるサンプリング用コンデンサCs11,Cs12の全てに対して変換用電圧を接続する構成であるため、A/D変換のフルスケール(A/D変換可能な入力電圧Vinの範囲)と、変換用電圧Vref+,Vref-の範囲は同等になる。 一般的に、入力電圧Vinの範囲が電源電圧の範囲(電源電圧とグランドの間)を超えることは少なく、例えば前段に増幅回路を配置する場合には入力電圧Vinの範囲は増幅回路の出力電圧範囲(通常、電源電圧範囲の1/2〜3/4程度)によって制限される。

    入力電圧Vinの範囲が電源電圧の範囲より小さい場合には、変換用電圧Vref+,Vref-の範囲を電源電圧より狭い範囲に設定してA/D変換のフルスケールを入力電圧Vinの範囲に合わせる。 また、変換用電圧を電源電圧に設定する(Vref+を電源電圧、Vref-をグランドとする)場合には、A/D変換のフルスケールの一部のみに信号を入力して使用することになる。 変換用電圧Vref+,Vref-の範囲を小さくして電源電圧又はグランドに設定しない場合には、変換用電圧を安定化させるための専用のレギュレータが必要になるというデメリットを生じる。 また、変換用電圧を電源電圧に設定する場合には、A/D変換装置のフルスケールの一部のみを入力信号範囲として使うため、分解能が低下するか、分解能の低下を補うために変換のサイクル数が増加するというデメリットを生じる。

    上記のデメリットを伴わないA/D変換装置のフルスケールの調整方法としては、変換用電圧を電源電圧に設定した上で、サンプリング用コンデンサCs11,Cs12の一部にのみ変換用電圧を入力し、等価的に変換用電圧を低減する方法が考えられる。 しかしこの場合、誤差キャンセル動作によるループフィルタの出力からの誤差の排除が不完全になる。 すなわち、特許文献1の構成により得られる、カスケード型デルタシグマA/D変換器において、ループフィルタの出力の誤差を排除する効果が不完全になるデメリットを生じる。

    また一般に、A/D変換器の構成要素であるアンプの出力電圧範囲には制限(通常、電源電圧範囲の1/2〜3/4程度)があるため、A/D変換の過程でアンプの出力電圧が制限を超えないようにする必要がある。 アンプの出力電圧が制限を超えないようにするには、例えば入力電圧Vin,変換用電圧Vref+,Vref-の範囲を共に小さくする方法が考えられる。 これは、A/D変換装置のフルスケールを狭めるというデメリットを生じる。 加えて、A/D変換器のフルスケールが狭まるとノイズの影響が増加し、その対策のためにコンデンサやアンプの面積が増大したり、消費電力が増大したりするというデメリットが生じる。

    また、デルタシグマ変調器M1を構成する積分用コンデンサCf1の容量値を、サンプリング用コンデンサCs11,Cs12の容量値の和よりも大きくすることでA/D変換の過程でアンプが出力する電圧範囲を狭くする方法も考えられる。 ちなみに特許文献1では、Cf1=2×(Cs11+Cs12)に設定することにより(段落[0026]参照)、変調器M1のゲインを1/2としてアンプが出力する電圧範囲を狭くしている。 しかし、誤差キャンセル動作が行われる際のゲインは上記の逆数で2倍となることに加え、2個の1次デルタシグマ変調器の出力を加算する動作も伴うため、アンプが出力する電圧の範囲が広くなる。 出力可能な電圧の範囲が広いアンプを用いて上記の問題を解決しようとすると、回路面積や消費電力が大きくなる。

    本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、A/D変換を短い期間内に完了させる必要がある場合でも、高い精度で変換を行うことができるデルタシグマ型のA/D変換装置を提供することにある。

    請求項1記載のA/D変換装置によれば、入力電圧を複数段のループフィルタを介した後、量子化器によって量子化する。 量子化器の前段に配置される最終段のループフィルタは、入力電圧をサンプルするためのサンプリング用コンデンサ(Cs)と、当該コンデンサによりサンプルされた電圧を積分するための積分用コンデンサ(Cf)と、これらのコンデンサの容量値比でゲインが決まる増幅回路と、複数の経路切替え用スイッチとを備える。

    制御回路は、経路切替え用スイッチのオンオフを制御して、サンプリング用及び積分用コンデンサを放電した後に、最終段のループフィルタによるサンプル動作と積分動作とを複数回繰り返させる。 このとき、最終段のループフィルタの増幅回路のゲインは(Cs/Cf)である。 そして、最後のサンプル動作の後にサンプリング用コンデンサの一端を増幅回路の入力端子に接続し、他端を増幅回路の出力端子に接続し、積分用コンデンサの一端を増幅回路の入力端子に接続したまま、他端をアナロググランドに接続することで、サンプリング用コンデンサと積分用コンデンサとの接続状態を、積分動作時とは逆の状態にして誤差キャンセル動作を行う。 このとき、前記増幅回路のゲインが(Cf/Cs)になることで最終段ループフィルタのゲイン誤差がキャンセルされる。 それから、最終段のループフィルタの出力電圧が、変換用スイッチを介してA/D変換結果の下位ビットを生成するためのA/D変換器に入力される。

    コンデンサCs,Cfの容量値に誤差がある場合には、その誤差が最終段のループフィルタのゲイン、つまり前記ループフィルタの出力電圧の誤差要因となる。 そこで、変換期間の最後に、上述したように、コンデンサCs,Cfの接続を積分動作と逆転させた状態として、ゲイン誤差をキャンセルした最終段のループフィルタの出力電圧を生成し、その出力電圧をA/D変換してA/D変換結果の下位ビットを生成し、デルタシグマ変調により生成した上位ビットに加えることで、最終段のループフィルタの容量値の誤差の影響をキャンセルしたA/D変換結果が得られる。

    また、上記のようにループフィルタを複数段構成としてデルタシグマ変調器の次数を高くすることで、オペアンプのゲインが有限であることに起因する誤差の影響を低減し、分解能を高めるために必要なサイクル数も低減できることから、変換ビット数を容易に増やすことができる。

    請求項2記載のA/D変換装置によれば、最後のサンプル動作に引き続いて、積分動作に移行することなく誤差キャンセル動作に移行する。 特許文献1の構成では、入力電圧をサンプルした後に、サンプリング用コンデンサに対して変換用電圧Vref+,Vcom又はVref-との接続(積分動作)を行った後に、誤差キャンセル動作に移行する必要がある。

    これに対して、本発明の構成では、最終段のループフィルタにおいてサンプリング用コンデンサに対して変換用電圧を入力しないため、上述したサンプリング用コンデンサへの変換用電圧の入力(積分動作)が不要であり、前段のループフィルタの出力電圧をサンプルした状態(最後のサンプル動作)から直ちに誤差キャンセル動作に移行できる。 したがって、制御回路による各スイッチのオンオフ制御がより簡単になる。 また、A/D変換に必要なサイクル数が減ることで、A/D変換に必要な時間が低減されるか、若しくは、同じA/D変換時間を実現する場合に必要な回路の動作速度を低減できるため消費電力を低減できる。 また、オペアンプのゲインが有限であることに起因する誤差やノイズの影響を低減できる。

    請求項3記載のA/D変換装置によれば、n次のループフィルタのうち、少なくとも初段を含む1つのループフィルタ段に、サンプリング用コンデンサと、積分用コンデンサとを備え、これらのコンデンサの信号経路を切り替えて、放電動作と、サンプル動作と、積分動作とを行うようにする。 そして、積分動作において、サンプリング用コンデンサの入力側端子に、電源電圧相当のD/A変換用電圧を接続可能に構成し、制御回路は、放電動作を行った後、サンプル動作並びにD/A変換動作を伴う積分動作を順次行うように各スイッチを制御する。

    一般に、A/D変換装置に入力される信号の範囲は、前段の増幅回路の出力電圧範囲によって規定されるため、例えば電源電圧範囲の1/2〜3/4程度に限定される。 特許文献1の構成では、全てのサンプリング用コンデンサにD/A変換用電圧を入力する構成であるため、A/D変換装置のフルスケールを入力信号の範囲に合わせるためには(D/A)変換用電圧Vref+,Vref-を電源電圧未満に設定する必要がある。 (D/A)変換用電圧Vref+,Vref-を電源電圧未満に設定するためには専用のレギュレータが必要となる。 ここで、A/D変換器をICとして構成することを想定すると、ICにレギュレータの出力端子を設けて、その出力端子にコンデンサを外付けすることが必要になるか、若しくは、消費電力が大きく且つ多くの回路面積を要する高速なアンプが必要となる。

    これに対して、請求項3に記載の構成では、最終段以外の少なくとも初段を含む1つのループフィルタ段において、入力電圧をサンプリング用コンデンサでサンプルした後、積分動作に移行すると、その積分動作と並行してD/A変換動作を行う際に、サンプリング用コンデンサに入力するD/A変換用電圧を電源電圧に等しく設定している。 加えて、高次(2次以上)のループフィルタを用いているため、使用可能なA/D変換器の入力範囲に対して入力電圧の範囲が小さくなる場合でも、所望の分解能を得るために必要なサイクル数を、特許文献1のように1次のデルタシグマ変調器を用いる場合と比較して大きく増加させる必要がない。 したがって、最終段のループフィルタを含むループフィルタ全体に、電源電圧と異なるレベルの変換用電圧を用いることなく、少ないサイクル数でA/D変換を行うことができる。 加えて、変換用電圧専用のレギュレータやレギュレータの出力端子に接続するコンデンサが不要であるため、A/D変換装置を小型にできる。

    また、請求項3に記載の構成では、ループフィルタの初段において、積分動作時にサンプリング用コンデンサの全てに変換用電圧を入力する必要は無い。 そのため本発明では、積分動作時に変換用電圧を入力しないサンプリング用コンデンサを追加することで等価的に入力信号を増幅すること、若しくは、等価的に変換用電圧を小さくすることも可能である。 これにより、入力電圧の範囲が小さい場合でも、変換用電圧の範囲を小さくする必要なく、若しくは分解能を損なうことなく、A/D変換を実施できるというメリットがある。

    加えて、請求項3に記載の構成で特許文献1のように積分動作時に初段のループフィルタの全てのサンプリング用コンデンサにD/A変換用電圧を入力する場合には、高次(2次以上)のループフィルタの安定性を保つために、入力電圧の範囲が例えば電源電圧範囲(本発明の場合はD/A変換用電圧と同じ)の1/2〜3/4程度に自ずと制限される。
    そのため、前段に増幅回路を配置して入力電圧の範囲が例えば電源電圧範囲の1/2〜3/4程度に限定される場合でも、本来使用できるA/D変換装置の入力範囲に対して入力電圧の範囲が同等であるため、A/D変換装置により本来得られる分解能の低下が小さく抑えられる。

    一実施形態であり、最終段ループフィルタの各動作フェーズに対応する、各切り替え用スイッチのオンオフ状態の変化を示す図

    初段ループフィルタの構成を示す図

    各切り替え用スイッチのオンオフ状態の変化を示すタイミングチャート

    A/D変換装置の全体構成を示す機能ブロック図

    本実施形態では、図4に示すように、2−0カスケード・インクリメンタル型デルタシグマA/D変換装置を構成する。 入力電圧Vinは加算器1に入力され、加算器1の出力電圧は、ゲイン「1/4」のアンプ2を介して初段の積分器3に入力されている。 積分器3の出力電圧は、ゲイン「1」のアンプ4を介して次段(最終段)の積分器5に入力されている。 積分器5の出力電圧は、加算器6を介して量子化器7に入力されている。 加算器6には、入力電圧Vin及び積分器3の出力電圧も入力されて加算される。 なお、加算器6の入力信号はそれぞれ必要に応じて適宜重み付けして加算される。 また、量子化器7の出力に応じてD/A変換器20の出力が制御され、D/A変換器20の出力が加算器1に入力されて入力電圧Vinより減算される。

    量子化器7の量子化ビット数は例えば1ビットであるが、1.5ビット又は2ビット以上でも良い。 そして、量子化器7の出力信号は、直列に接続される2つの積分器8及び9を介して加算器10に入力されている。 積分器8,9及び加算器10は、何れもデジタル回路で構成されており、積分器のビット数は、積分器8より積分器9の方が大きくなるように設定されている。 また、積分器5の出力電圧は、変換用スイッチS8を介してA/D変換器12に入力されており、A/D変換器12の出力は加算器10に入力されている。 加算器10では、積分器9の出力がA/D変換結果の上位ビットとなり、A/D変換器12の出力が下位ビットとなる。 例えば、A/D変換器12の変換ビット数は「8」から「10」程度である。

    以上において、アンプ2及び積分器3がループフィルタ13を構成しており、アンプ4及び積分器5がループフィルタ14を構成している。
    図1では、図4においてアンプ4及び積分器5のシンボルにより機能ブロックレベルで記載されるループフィルタ14の構成を、回路図レベルの構造としてより詳細に示すとともに、図4に示す構成の一部(D/A変換器20等)を省略している。 ループフィルタ14は、オペアンプ15(増幅回路)と、コンデンサCs及びCfと、スイッチS1〜S7とで構成されている。

    積分器3(ループフィルタ13)の出力端子は、スイッチS1及びコンデンサCsを介してオペアンプ15の反転入力端子に接続されており、前記反転入力端子は、コンデンサCf及びスイッチS6を介してアナロググランドに接続されている。 また、オペアンプ15の非反転入力端子はアナロググランドに接続されている。

    コンデンサCsの両端は、それぞれスイッチS2,S4を介してアナロググランドに接続されている。 スイッチS1及びS2の共通接続点は、スイッチS7を介してオペアンプ15の出力端子(加算器6の入力側)に接続されている。 また、コンデンサCf及びスイッチS6の共通接続点は、スイッチS5を介してオペアンプ15の出力端子に接続されている。 すなわち積分器5はスイッチトキャパシタ回路で構成されている。 そして、各スイッチS1〜7(経路切替え用スイッチ)及びS8(変換用スイッチ)のオンオフ制御は、図示しない制御回路によって行われる。

    図2に示すように、ループフィルタ13は、オペアンプ16と、サンプリング用のコンデンサCs1及び積分用のコンデンサCf1と、スイッチS11〜S18とを備えている。 オペアンプ16の非反転入力端子はアナロググランドに接続されており、反転入力端子には、スイッチS11を介してコンデンサCs1及びCs2の一端が接続されている。 また、前記一端は、スイッチS12を介してアナロググランドに接続されている。

    コンデンサCs1の他端には、スイッチS13〜S16を介して、それぞれ変換用電圧Vref+(=電源電圧VDD),Vcm(=VDD/2,上記アナロググランドと同電位),Vref-(=0V),入力電圧Vinが与えられている。

    更に、オペアンプ16の反転入力端子にはコンデンサCf1の一端が接続されており、コンデンサCf1の他端は、スイッチS17を介してオペアンプ16の出力端子が接続されている。 また、前記他端は、スイッチS18を介してアナロググランドに接続されている。 尚、スイッチS13〜S15以外のスイッチが、経路切替え用スイッチに相当する。

    ループフィルタ13では、最終段ループフィルタ14と同様に、各コンデンサの両端をアナロググランド(Vcm)に接続して放電させてから、最初のサンプル動作に移行する。 サンプル動作では、スイッチS12、S16をオンにして入力電圧VinをコンデンサCs1にサンプルする。 次に、スイッチS11をオン、S12、S16をオフして積分動作に移行し、コンデンサCs1の入力側端子に、量子化器7の出力に応じて変換用電圧Vref+,Vref-又はVcmを接続する。 この動作で、積分動作及びD/A変換動作が並行して実行される。 また、このD/A変換動作は図4に示すD/A変換器20に対応しており、図2に示す初段のループフィルタ13では、図4のD/A変換器20及び加算器1が一つのスイッチトキャパシタ回路の中に含まれている。 以上によりデルタシグマ型のA/D変換装置17が構成されている。

    次に、本実施形態の作用について説明する。 図1に示すように、ループフィルタ14については、(a)リセット動作,(b)サンプル動作,(c)積分動作,(d)誤差キャンセル動作,からなる4つの動作フェーズがある。

    <リセット動作>
    スイッチS2〜S4,S6がオンとなり、コンデンサCs及びCfの充電電荷を放電させる。 尚、このリセット動作では、積分器8,9及びループフィルタ13についても同時にリセットする。

    <サンプル動作>
    スイッチS1,S4,S5がオンとなり、ループフィルタ13の出力電圧(処理対象信号)でサンプリング用コンデンサCsを充電し、サンプル動作する。 この時、積分用コンデンサCfは、オペアンプ15の反転入力端子と出力端子の間に接続されており、一つ前の動作フェーズ(リセット動作若しくは積分動作)の電荷が保持されたままとなる。

    <積分動作>
    スイッチS2,S3,S5がオンとなり、サンプル動作でコンデンサCsにサンプルした電荷を積分用コンデンサCfに転送し、積分動作する。 ループフィルタ13の出力電圧はゲイン(Cs/Cf)倍で積分される。 尚、図4に示すブロック図におけるアンプ4のゲイン「1」はループフィルタ14のゲインであるから、ここでは、コンデンサCs,Cfの容量値が等しく設定されている。 コンデンサCs及びCfは異なる容量値でも良いが、等しく設定することにより積分動作でのループフィルタ14のゲインと誤差キャンセル動作でのループフィルタ14のゲインが同等となるため、積分動作と誤差キャンセル動作で必要な、オペアンプ15に対する帯域幅や出力電圧範囲などの要求性能が同等となり、オペアンプの消費電力を低減できる。

    図3に示すように、制御回路は、サンプル動作と積分動作とを交互に複数回繰り返す。 そして、A/D変換期間の最後は、サンプル動作から以下の誤差キャンセル動作に移行する。

    <誤差キャンセル動作>
    スイッチS3,S6〜S8がオンとなり、ループフィルタ14の出力電圧をA/D変換器12に入力する。 この時、ループフィルタ14のゲインは(Cf/Cs)となり、積分動作のゲインの逆数となる。 これにより、上記サンプル動作/積分動作におけるループフィルタ14のゲイン(Cs/Cf)が、容量値のばらつきにより誤差を生じている場合でも、その誤差をキャンセルできる。 以上でA/D変換期間の一周期が終了する。

    誤差キャンセル動作でキャンセルされる誤差の量は、概ね前段のループフィルタ13が出力する電圧の平均値と、サンプル動作と積分動作とを交互に繰り返す回数とによって決まる。 前記平均値が同じであれば、前記回数が多くなるほど、誤差キャンセル動作でキャンセルされる累積誤差の最大値は大きくなる。 また、サンプル動作と積分動作とを交互に繰り返す回数については、例えば10回以上であるが、A/D変換装置17に必要な変換精度や、前段のループフィルタ13について想定されるゲイン誤差の大きさや、A/D変換器12の変換ビット数等を考慮して適宜設定すれば良い。

    ここで、上記の誤差キャンセル動作における誤差キャンセルの効果について、式を用いて説明する。 ループフィルタ13がリセット動作後にnサイクル積分動作した時点で出力する電圧をV LFout (n)とすると、ループフィルタ14がループフィルタ13の出力をmサイクル積分動作した時点におけるループフィルタ14の出力電圧V outは、

    コンデンサCs,Cfの容量値にそれぞれ誤差α,βが存在する場合、それらの影響を受けたループフィルタ14の出力電圧V

    out 'は、


    となり、容量値の誤差の影響が、ループフィルタ14のゲイン誤差として現れる。

    誤差キャンセル動作を行った後のループフィルタ14の出力電圧V out ''は、

    となり、ループフィルタ13の出力電圧V

    LFout (n)の積分値に係るゲインは、コンデンサCs,Cfの容量値に依らず「1」になり、容量値の誤差の影響がキャンセルされる。

    以上のように本実施形態によれば、入力電圧Vinを、ループフィルタ13及び14を介した後、量子化器7によって量子化する。 ループフィルタ14には、ループフィルタ13の出力電圧をサンプルするためのサンプリング用コンデンサCsと、当該コンデンサCsによりサンプルされた電圧を積分するための積分用コンデンサCfと、複数の経路切替え用スイッチS1〜S7とを備える。

    制御回路は、スイッチS1〜S7のオンオフを制御して、コンデンサCs及びCfを放電させると、ループフィルタ14によるサンプル動作と積分動作とを複数回繰り返させる。 そして、最後にコンデンサCs及びCfを、積分動作時と入れ替えた状態でオペアンプ15に接続して誤差キャンセル動作を行うと、変換用スイッチS8をオンにして、ループフィルタ14の出力電圧をA/D変換器12によりA/D変換する。

    コンデンサCs,Cfの容量値に誤差があれば、それがループフィルタ14のゲイン、出力電圧の誤差となる。 そこで、最後にコンデンサCs及びCfを積分動作時と入れ替えた状態で接続したループフィルタ14の電圧を、A/D変換器12でA/D変換してA/D変換結果の下位ビットを生成し、デルタシグマ変調により生成された上位ビットに加えることで、容量値の誤差の影響をキャンセルしたA/D変換結果が得られる。 A/D変換器12は、ナイキストA/D変換器(1回の入力のサンプリングで1回のA/D変換結果が得られる)で構成されるため、オーバーサンプリングを行うデルタシグマA/D変換器と比較して、A/D変換器を構成する素子の誤差がA/D変換の誤差に与える影響が通常大きいが、通常「8」から「10」ビットあればA/D変換器12に十分な変換精度を持たせることができる。 A/D変換器12の精度が十分であれば、A/D変換器12の変換ビット数に応じて、A/D変換装置17の変換精度に影響を与えずに変換速度もしくは分解能を向上できる。

    また、制御回路は、最後のサンプル動作に引き続いて積分動作に移行することなく、直ちに誤差キャンセル動作に移行するようにした。 すなわち、ループフィルタ14では、量子化を行う際に特許文献1やループフィルタ13のように変換用電圧を用いたD/A変換動作(積分動作)を行わないので、ループフィルタ13の出力電圧をサンプルした状態(サンプル動作)から、直ちに誤差キャンセル動作に移行してループフィルタ14のゲイン誤差をキャンセルし、A/D変換器12によりループフィルタ14の出力電圧をA/D変換して下位ビットを生成できる。 したがって、制御回路による各スイッチのオンオフ制御がより簡単になる。 また、A/D変換に必要なサイクル数が減ることで、変換速度が向上すると共に、オペアンプ15のゲインが有限であることに起因する誤差やノイズの影響を低減できる。

    すなわち、本実施形態のA/D変換装置17は、一つのA/D変換結果を得る毎に一度のリセット動作を行うインクリメンタル型で、且つ、カスケード(ハイブリッド)構成のデルタシグマA/D変換器であるため、A/D変換期間の最終段階においてループフィルタ14の出力を一度だけA/D変換器12に入力するという特徴を有する。 そのため、誤差キャンセル動作は、A/D変換器12にループフィルタ14の出力を入力する時点で、一度だけ実施すれば良い。 加えて、インクリメンタル型ではループフィルタ14の入力信号の積分結果がA/D変換の終了時に保持されている必要が無く、且つ、本実施形態のようにループフィルタ14でのD/A変換動作が不要な構成では、積分動作を省略して最後のサンプル動作から誤差キャンセル動作に直ちに移行し、特別なサイクル数を増加することなく効率的に誤差キャンセルを実施できる。

    例えば、インクリメンタル型ではなく、長期に亘り継続して信号を入力する一般的なカスケード型のデルタシグマA/D変換器においても、ループフィルタの構成はインクリメンタル型と同様のものを使用できる。 そのため、ループフィルタ14と同様の構成を用いて誤差キャンセルを実施できるが、その場合はA/D変換期間中に継続的に誤差キャンセル動作を実施する必要がある。 加えて、誤差キャンセル動作を実施する際にサンプル動作から誤差キャンセル動作に移行した後に、ループフィルタでの積分結果を保持するための積分動作が、誤差キャンセル動作を行う度に必要となり、サイクル数の大幅な増大につながる。

    また、図4に示す構成は2−0カスケード・インクリメンタル型(デルタシグマ変調側の次数が「2」)であるため、1次のデルタシグマ変調を用いる構成と比較して、オペアンプ15のゲインが有限であることに起因する誤差の影響を受け難く、少ないサイクル数で高い分解能が得られるという高次のデルタシグマ変調の特徴を備えつつ、同時にループフィルタ14の誤差キャンセルも実現するため、変換ビット数を容易に増やすことができる。

    更に、ループフィルタ13が、サンプリング用コンデンサCs1と、積分用コンデンサCf1とを備え、これらのコンデンサの信号経路を切り替えることにより、放電(リセット)動作と、サンプル動作と、積分動作とを行うように構成する。 加えて、積分動作において、コンデンサCs1の入力側端子に、電源電圧又はグランド電圧相当の電圧Vref+,Vref-を接続可能に構成し、制御回路が、放電動作を行った後、サンプル動作及び積分動作を順次行うように各スイッチを制御するように構成する。 このように構成すれば、変換用電圧を用いないループフィルタ14と共に、ループフィルタ13においても電源電圧と異なるレベルの変換用電圧を用いることなくA/D変換を行うことができるので、専用のレギュレータ及びレギュレータの出力端子に接続する外付けコンデンサの必要がなく、A/D変換装置17を小型にできる。

    本実施形態では、ループフィルタ13において、特許文献1のように積分動作時にサンプリング用コンデンサの全てに変換用電圧を入力する必要が無い。 そのため、積分動作時に変換用電圧を入力しないサンプリング用コンデンサを追加することで、等価的に入力信号を増幅するか、若しくは等価的に変換用電圧を小さくすることができる。 これにより、入力電圧Vinの範囲が小さい場合でも、変換用電圧の範囲を小さくする必要、若しくは分解能を損なうことなくA/D変換を実施できるというメリットがある。

    また、特許文献1のように積分動作時に全てのサンプリング用コンデンサに変換用電圧を入力する構成を選択しても、ループフィルタ13、14により2次のデルタシグマ変調器を構成しているため、ループフィルタ全体の安定性を保つために入力電圧Vinの範囲は例えば電源電圧範囲の1/2〜3/4程度に自ずと制限され、A/D変換装置17の入力電圧の範囲が例えば前段の増幅回路により電源電圧範囲の1/2〜3/4程度に限定されても、本来使用できるA/D変換装置17の入力範囲に対して入力電圧の範囲が同等となり、A/D変換装置17により本来得られる分解能の低下が小さく抑えられる。 また、入力電圧Vinの範囲が本来使用可能なA/D変換装置の入力範囲より小さい場合でも、1次のデルタシグマ変調器と比較して、分解能を補うために必要なサイクル数の増加が小さく抑えられる。

    本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
    アンプ2及び4のゲインは、ループフィルタに用いるオペアンプの出力範囲やループフィルタの構成に応じて適宜変更すれば良い。
    積分器8及び9やA/D変換器12のビット数は、個別の設計に応じて適宜変更すれば良い。
    積分器8及び9を、デシメーションフィルタに置き換えても良い。

    ループフィルタ13及び14、量子化器7の信号の伝送形式は、シングルエンドであっても、完全差動であっても良い。
    2−0以上の次数のカスケード型(ハイブリッド型)で構成しても良い。 ループフィルタの次数が2次以上となる場合、図2に示すループフィルタ13のように、積分動作とD/A変換動作とを並行して行うループフィルタは、少なくとも初段を含む1つのループフィルタ段にあれば良い。
    また、量子化器の量子化ビット数は、多ビット(1.5ビットも含む)でも良い。

    図面中、3,5は積分器、7は量子化器、12はA/D変換器、13,14はループフィルタ、15はオペアンプ(増幅回路)、17はA/D変換装置、Csはサンプリング用コンデンサ、Cfは積分用コンデンサ、S1〜S7は経路切替え用スイッチ、S8は変換用スイッチを示す。

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