分布型増幅器

申请号 JP2015045237 申请日 2015-03-06 公开(公告)号 JP2016165085A 公开(公告)日 2016-09-08
申请人 富士通株式会社; 发明人 佐藤 優; 倉橋 菜緒子;
摘要 【課題】出 力 電力を維持し、少ないサイズ増加で、高遮断周 波数 の分布型増幅器の実現。 【解決手段】入力側伝送線路と、M(M:2以上の整数)組の増幅回路と、M組の出力側伝送線路と、合成回路と、を有し、入力側伝送線路は、それぞれが同一線路長のM×N(N:2以上の整数)個の単位伝送線路31-1-31-2Nを直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗32と、を有し、M組の増幅回路はそれぞれN個の増幅器33-1A-33-NA,33-1B-33-NBを有し、i(i:1以上、M以下の整数)番目の組のN個の増幅器は、((k−1)M+i)(k:1以上、N以下の整数)番目の入力側直列線路の入力ノードを入力とし、出力側伝送線路は、N個の増幅器の出力間に直列に接続され、各段の増幅器の出力の位相が一致する線路長を有するN個の伝送線路34-1A-34-NA,34-1B-34-NBを含む出力側直列線路を有する分布型増幅器。 【選択図】図5
权利要求

側伝送線路と、 M(M:2以上の整数)組の増幅回路と、 前記M組の増幅回路に対応して設けられたM組の出力側伝送線路と、 前記M組の出力側伝送線路の出力を合成する合成回路と、を有し、 前記入力側伝送線路は、それぞれが同一線路長のM×N(N:2以上の整数)個の単位伝送線路を直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗と、を有し、 前記M組の増幅回路は、それぞれN個の増幅器を有し、i(i:1以上、M以下の整数)番目の組の前記N個の増幅器は、((k−1)M+i)(k:1以上、N以下の整数)番目の前記入力側直列線路の入力ノードを入力とし、 前記出力側伝送線路は、前記N個の増幅器の出力間に直列に接続され、各段の増幅器の出力の位相が一致する線路長を有するN個の伝送線路を含む出力側直列線路を有することを特徴とする分布型増幅器。前記出力側伝送線路の各伝送線路は、前記単位伝送線路の線路長のM倍の線路長を有する請求項1に記載の分布型増幅器。前記合成回路は、前記M組の出力側直列線路の出力の位相を一致させる位相調整部を有する請求項1または2に記載の分布型増幅器。前記出力側伝送線路の前記N個の伝送線路は、後段の線路幅が前段の線路幅より広い請求項1から3のいずれか1項に記載の分布型増幅器。前記出力側伝送線路の前記N個の伝送線路は、後段の線路幅が前段の線路幅の2倍である請求項4に記載の分布型増幅器。前記M組の増幅回路および前記M組の出力側伝送線路の組の少なくとも1つは、スイッチ回路により動作するか否かを切り換え可能である請求項1から5のいずれか1項に記載の分布型増幅器。前記スイッチ回路は、 前記出力側伝送線路の初段の前記伝送線路に供給するバイアス電圧を切り替えるバイアス切替回路と、 前記出力側伝送線路の最終段の出力と、前記合成回路との間に設けられたDCカット用容量素子と、を有する請求項6に記載の分布型増幅器。

说明书全文

本発明は、分布型増幅器に関する。

近年のブロードバンドの進展により、大容量の高速無線通信の要求が高まっている。通信容量の増加に向けて、携帯電話は第3世代が普及し、今後さらに第4世代へと進展していく。そのため、携帯電話の基地局に用いられる送信用の広帯域増幅器には、一層の高出化、高効率化が求められている。

上記の広帯域増幅器はレーダーの送信部にも用いられる。レーダー用高出力増幅器についても、検知距離の拡大や分解能向上などのために、高出力化、広帯域化、さらに高効率化が求められる。高効率となると、熱として消費される電力が減るため、冷却器が小型で済み、小型・高コスト化が可能となる。

高出力化のためには、トランジスタサイズを増大させ、さらに高電圧で大電流動作が可能な高出力トランジスタ、例えばGaN HEMTを用いて集積回路を形成することが行われる。

さらに、広帯域化のための設計手法として分布型増幅器が知られている。分布型増幅器では、入力側伝送線路、増幅回路、および出力側伝送線路を有する。入力側伝送線路の途中に周期的に増幅回路の複数の増幅段の入力端子を順次接続し、出力側伝送線路でも周期的に複数の増幅段の出力端子を順次接続する。さらに、入力側伝送線路の入力端子に対して反対側を抵抗により終端し、出力側伝送線路の出力端子に対して反対側を抵抗により終端する。

上記の分布型増幅器は、利得が広い周波数にわたり一定であるという利点を有するが、終端抵抗で電力を吸収するため効率(出力電力/DC消費電力)が低下するという問題がある。

上記の問題を解消するため、上記の分布型増幅器において、出力側終端器(終端抵抗)を除去し、出力側伝送線路の各段の伝送線路の幅を徐々に太く設定することが提案されている。この線路幅の大小はインピーダンスの高/低に相当する。増幅段で増幅した信号は、出力側伝送線路に導かれ、インピーダンスの低い太い伝送線路に流れ、出力端子へ導かれる。この分布型増幅器は、終端器を用いないため、DC(直流)として消費される電力が少なくなり、結果として高効率化が果たせる。

この分布型増幅器の出力電力は、各増幅段のユニット(単位)増幅器の出力電力と段数に比例する。したがって、増幅段の段数を増やすと分布型増幅器の出力電力を増加させることができる。ただし、先に述べたように段数を増やすと、出力側伝送線路の各段の伝送線路の線路幅も太くする必要があり、レイアウトをすることを考えるとあまり大きくすることはできない。(通常、5〜10段程度)

さらに、分布型増幅器の遮断周波数について考察する。遮断周波数は増幅度が1以上となる上限の周波数であり、広帯域増幅器の上限周波数に相当する。分布型増幅器の遮断周波数は、増幅段の等価回路で表される容量と段数の平方根の積に反比例する。そのため、出力電力を増やす目的で、増幅段に用いるトランジスタサイズを大きくすると、遮断周波数が低くなる。同様に、段数を増やしても遮断周波数が下がってしまうという問題がある。

一方、入力側伝送線路から2つの分布型増幅器へ分岐し、その出力を合成することが提案されている。これにより、増幅段に用いるトランジスタサイズを半分にでき、全体のトランジスタのサイズは同じになるが、入力側伝送線路の同じ個所から分岐した場合には2つの増幅段が接続されているので、合計容量は同じであり、遮断周波数を高めることはできない。

特開平8−78976号公報

特開平6−13806号公報

特開2005−86634号公報

Philippe Dennler, et al.,"8-42 GHz GaN Non-Uniform Distributed Power Amplifier MMICs in Microstrip Technology", IMS2012

実施形態の分布型増幅器によれば、出力電力を保ったまま(つまり、トータルのトランジスタサイズを変えずに)、遮断周波数を高くできる。

本発明の第1の態様の分布型増幅器は、入力側伝送線路と、M(M:2以上の整数)組の増幅回路と、M組の増幅回路に対応して設けられたM組の出力側伝送線路と、M組の出力側伝送線路の出力を合成する合成回路と、を有する。入力側伝送線路は、それぞれが同一線路長のM×N(N:2以上の整数)個の単位伝送線路を直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗と、を有する。M組の増幅回路は、それぞれN個の増幅器を有し、i(i:1以上、M以下の整数)番目の組のN個の増幅器は、((k−1)M+i)(k:1以上、N以下の整数)番目の入力側直列線路の入力ノードを入力とする。出力側伝送線路は、N個の増幅器の出力間に直列に接続され、各段の増幅器の出力の位相が一致する線路長を有するN個の伝送線路を含む出力側直列線路を有する。

実施形態によれば、出力電力を維持しながら、サイズを増加させずに、遮断周波数を高めた分布型増幅器が実現される。

図1は、非特許文献1に開示された分布型増幅器を示す図である。

図2は、図1の分布型増幅器の構成を基本回路要素で示した回路図である。

図3は、図2の分布型増幅器において、増幅器のトランジスタサイズを1/2にして段数を2倍の2Nにするように変形した場合の回路図である。

図4は、N(N>2)段の増幅段を有する分布型増幅器において、入力側伝送線路から2つの分布型増幅回路へ分岐するように変形した例を示す回路図である。

図5は、第1実施形態の分布型増幅器の回路図である。

図6は、第1実施形態の分布型増幅器を誘電率10の半導体基板上に実現する場合の回路図であり、第1および第2の増幅回路の段数を3段とし、増幅段をトランジスタで表し、伝送線路の具体的な形状を記載している。

図7は、第2実施形態の分布型増幅器の回路図である。

図8は、第3実施形態の分布型増幅器の回路図である。

図9は、第1実施形態の分布型増幅器と、図2の分布型増幅器の増幅利得(dB)の周波数特性のシミュレーション結果を示す図であり、実線が第1実施形態の分布型増幅器の特性を、破線が図2の分布型増幅器の特性を示す。

実施形態の分布型増幅器を説明する前に、分布型増幅器の背景技術を説明する。 入力側伝送線路、増幅回路、および出力側伝送線路を有する分布型増幅器が知られている。この分布型増幅器では、入力側伝送線路の途中に周期的に増幅段の入力端子を順次接続し、出力側伝送線路でも周期的に増幅段の出力端子を順次接続する。この分布型増幅器では、さらに、入力側伝送線路の入力端子に対して反対側を抵抗により終端し、出力側伝送線路の出力端子に対して反対側を抵抗により終端する。

上記の分布型増幅器は、利得が広い周波数にわたり一定であるという利点を有するが、終端抵抗で電力を吸収するため効率(出力電力/DC消費電力)が低下するという問題がある。非特許文献1は、効率を向上させるために出力側終端器(終端抵抗)を除去した分布型増幅器を提案している。

図1は、非特許文献1に開示された分布型増幅器を示す図である。 入力側伝送線路は、入力端子INと基準電位源(0V)の間に、N個の長さLの単位線路G0gおよび終端抵抗GLgを直列に接続して形成される。N個の単位線路G0gに対応して、N個の増幅用トランジスタQ1〜QNが配置され、k(k:1以上N以下の整数)番目の増幅用トランジスタQkのゲートは、k番目の単位線路G0gの入力端子側のノードに、容量Cg,kを介して接続される。したがって、1番目の増幅用トランジスタQ1のゲートは、1番目の単位線路G0gの入力端子側のノード、すなわち入力端子INに接続される。各増幅用トランジスタQkの一方の端子は、基準電位源(0V)に接続され、他方の端子から増幅信号が出力される。隣接する増幅用トランジスタQ1〜QNの他方の端子間にN個の単位線路G0,kが接続される。N個の単位線路G0,kは、出力側伝送線路を形成し、N番目の単位線路G0,Nのノードが出力端子OUTに接続される。出力端子OUTは、出力負荷GLを介して電源(VDD)に接続される。出力端子OUTには、増幅器の次の素子(例えばアンテナなど)が接続される。

図1の分布型増幅器では、出力側伝送線路の単位線路G0,kは、線幅が徐々に太くなるように設定される。この線路幅の大小は、インピーダンスの高/低に相当する。増幅段(トランジスタ)で増幅した信号は、出力側伝送線路に導かれるが、出力端子OUT側の単位線路と逆側の単位線路が接続されており、いずれにも伝搬することができる。そこで、上記のように、線路幅を徐々に太くしており、トランジスタの出力端子には、細い線路(逆側)と太い線路(出力端子側)が接続されている。トランジスタの出力信号は、インピーダンスの低い太い線路に流れ、出力端子OUTへ導かれる。ここで、出力側伝送線路のあるノードに入力される増幅段の出力と、その前のノードから単位線路を介して入力する前段までの増幅段の出力と位相が一致するので、信号が重ね合わされて大きくなる。このように、1段目側に終端器(終端抵抗)を用いないため、DC(直流)として消費される電力が少なくなり、結果として高効率化が果たせる。

図2は、図1の分布型増幅器の構成を基本回路要素で示した回路図である。 分布型増幅器は、入力側伝送線路と、増幅回路と、出力側伝送線路と、を有する。入力側伝送線路は、初段の単位伝送線路11−0と、同一線路長のN(N:2以上の整数)個の単位伝送線路11−1〜11−Nを直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗12と、を有する。初段の単位伝送線路、入力側直列線路および入力側終端抵抗12は、入力端子INと基準電位源(0V)の間に直列に接続される。入力側直列線路の初段の単位伝送線路11−0は、分布型増幅器の動作に直接関係しないため、入力側直列線路に含めずに説明を行う。

増幅回路は、N段の増幅器(AV)13−1〜13−Nを有し、k(k:1以上、N以下の整数)番目の増幅器13−kの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路11−kの入力側ノードに接続される。出力側伝送線路は、N個の増幅器13−1〜13−Nの出力間に接続され、単位伝送線路11−0〜11−Nと同じ線路長のN個の伝送線路14−1〜14−Nを含む。N個の伝送線路14−1〜14−Nは、直列に接続され、出力側直列線路を形成する。出力側直列線路の最終段の伝送線路14−Nが出力端子OUTに接続される。

増幅回路の各段の出力は出力側直列線路へ接続され、増幅された信号は同相で合成されて出力端子OUTへ導かれる。図2の出力側伝送線路では、インピーダンス比をつけるために、各段の伝送線路の線路幅を出力側に向かって徐々に太くしている。例えば、出力側直列線路の伝送線路の線路幅を1段ごとに2倍にする。

図2の分布型増幅器では、出力電力Poutはユニット(単位)増幅器(Av)の出力電力Punitと段数Nに比例し、次の式(1)で表される。

したがって、増幅器の段数Nを増やすと分布型増幅器の出力電力を増加させることができる。ただし、先に述べたように段数を増やすと、線路幅も太くする必要があり、レイアウトをすることを考えるとあまり大きくすることはできず、通常5〜10段程度に設定される。

さらに、分布型増幅器の遮断周波数について考察する。遮断周波数は増幅度が1以上となる上限の周波数であり、広帯域増幅器の上限周波数に相当する。増幅段の増幅器(Av)の等価回路で表したときの入力容量をCinとすると、分布型増幅器の遮断周波数fcはCin,Nを用いて式(2)で表される。

ここで、式(2)の導出について簡単に説明する。 入力側伝送線路の特性インピーダンスZoは、入力容量Cinと伝送線路が有するインダクタLにより式(3)で表され、通常Zoが50Ωとなるように設計する。

また、分布型増幅器のようにN段としたときの入力側伝送線路の遮断周波数は式(4)で表される。

式(3)からインダクタンスLを求め、式(4)に代入することにより、Lを用いない式(2)が導出される。

出力電力を増やす目的で、増幅段に用いるトランジスタサイズを大きくすると、入力容量Cinが増加するため、式(2)に示すように遮断周波数が低くなる。同様に、段数Nを増やしても遮断周波数が下がってしまうという問題がある。そこで、増幅段に用いるトランジスタサイズを半分にして段数を増やすことで、遮断周波数を高くすることが考えられる。

図3は、図2の分布型増幅器において、増幅器(Av)のトランジスタサイズを1/2にして段数を2倍の2Nにするように変形した場合の回路図である。 入力側直列線路における単位伝送線路15−1〜15−2N、増幅回路における増幅器(AV/2)16−1〜16−2N、および出力側直列線路における伝送線路17−1〜17−2Nの段数が、2倍の2Nである。また、増幅器(AV/2)16−1〜16−2Nのトランジスタサイズは、図2の増幅器(AV)13−1〜13−Nの半分であるが、段数が2倍のため、増幅回路全体のトランジスタサイズは同じであり、出力電力は式(1)と同じである。なお、単位伝送線路15−1〜15−2Nのインダクタは、式(3)を満たすように設定されており、単位伝送線路のインダクタは、L/2となる。各段のトランジスタサイズが半分となるため容量が半分のCin/2となり、段数が2Nとなるので、出力電力Poutおよび遮断周波数fcは、次の式(5)および(6)で表される。

式(6)に示すように、遮断周波数は21/2倍となり、広帯域化が可能となる。ただし、段数を2倍にすると、図3に示すように、出力側伝送線路における出力端子に近い側の伝送線路の線路幅を広くする必要があり、現実的にはレイアウトをすることが困難である。例えば、各段での線路幅比を2とした場合、初段の線路幅と比べてN段目の線路幅は2Nであるが、2N段の場合は22Nとなる。

特許文献1は、入力側伝送線路から2つの分布型増幅回路へ分岐し、その出力を合成する分布型増幅器を開示している。特許文献1はN=2の分布型増幅回路、すなわち4個の増幅器(トランジスタ)を有する分布型増幅器を開示しているのみであるが、N>2以上に変形することが考えられる。

図4は、N(N>2)段の増幅段を有する分布型増幅器において、入力側伝送線路から2つの分布型増幅回路へ分岐するように変形した例を示す回路図である。

図4の変形例の分布型増幅器は、入力側伝送線路、第1の増幅回路、第2の増幅回路、第1の出力側伝送線路、第2の出力側伝送線路および合成回路25と、を有する。入力側伝送線路は、初段伝送線路21−0と、同一線路長のN個の単位伝送線路21−1〜21−Nを直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗22と、を有する。第1の増幅回路は、N段の増幅器(AV/2)23−1A〜23−NAを有し、k(k:1以上、N以下の整数)番目の増幅器23−kAの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路21−kの入力側ノードに接続される。第2の増幅回路は、N段の増幅器(AV/2)23−1B〜23−NBを有し、k(k:1以上、N以下の整数)番目の増幅器23−kBの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路21−kの入力側ノードに接続される。第1の出力側直列線路は、N個の増幅器23−1A〜13−NAの出力間に接続され、単位伝送線路21−1〜21−Nと同じ線路長のN個の伝送線路24−1A〜24−NAを含む。N個の伝送線路24−1A〜24−NAは、直列に接続され、第1の出力側直列線路を形成する。第2の出力側直列線路は、N個の増幅器23−1B〜13−NBの出力間に接続され、単位伝送線路21−1〜21−Nと同じ線路長のN個の伝送線路24−1B〜24−NBを含む。N個の伝送線路24−1B〜24−NBは、直列に接続され、第2の出力側直列線路を形成する。合成回路25は、第1の出力側直列線路の最終段の伝送線路24−NAと出力端子OUT間に接続された第1合成線路26Aと、第2の出力側直列線路の最終段の伝送線路24−NBと出力端子OUT間に接続された第2合成線路26Bと、を有する。増幅器(AV/2)23−1A〜23−NAおよび23−1B〜23−NBのトランジスタサイズは、図2の増幅器(AV)13−1〜13−Nの半分であるが、分岐した2系統を有するため、第1および第2の増幅回路全体のトランジスタサイズは同じである。したがって、出力電力は式(1)と同じである。各段のトランジスタサイズが半分となるため容量が半分のCin/2となるが、同じ個所から分岐しており、分岐点の合計容量はCinであるため、遮断周波数は式(2)と変わらない。つまり遮断周波数を高めることはできない。なお、単位伝送線路21−1〜21−2Nのインダクタは、式(3)を満たすように設定されており、上記のように分岐点の合計容量はCinであるため、Lである。

以下に説明する実施形態では、出力電力を保ったまま、すなわちトータルのトランジスタサイズを変えず且つ全体のサイズをあまり大きくせずに、遮断周波数を高めた分布型増幅器が提供される。

図5は、第1実施形態の分布型増幅器の回路図である。 第1実施形態の分布型増幅器は、入力側伝送線路、第1の増幅回路、第2の増幅回路、第1の出力側伝送線路、第2の出力側伝送線路および合成回路35と、を有する。入力側伝送線路は、初段伝送線路31−0と、同一線路長の2N個の単位伝送線路31−1〜31−2Nを直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗32と、を有する。第1の増幅回路は、N段の増幅器(AV/2)33−1A〜33−NAを有し、k(k:1以上、N以下の整数)番目の増幅器33−kAの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路31−(2k−1)の入力側ノードに接続される。第2の増幅回路は、N段の増幅器(AV/2)33−1B〜33−NBを有し、k番目の増幅器33−kBの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路31−2kの入力側ノードに接続される。第1の出力側伝送線路は、N個の増幅器33−1A〜33−NAの出力間に接続され、単位伝送線路31−0〜31−2Nのそれぞれの2倍の線路長のN個の伝送線路34−1A〜34−NAを含む。N個の伝送線路34−1A〜34−NAは、第1の出力側直列線路を形成する。第2の出力側伝送線路は、N個の増幅器33−1B〜33−NBの出力間に接続され、単位伝送線路31−0〜31−2Nのそれぞれの2倍の線路長のN個の伝送線路34−1B〜34−NBを含む。N個の伝送線路34−1B〜34−NBは、第2の出力側直列線路を形成する。合成回路35は、第1の出力側直列線路の最終段の伝送線路34−NAと出力端子OUT間に直列に接続された位相調整線路36および第1合成線路37Aを有する。合成回路35は、さらに第2の出力側直列線路の最終段の伝送線路34−NBと出力端子OUT間に接続された第2合成線路37Bを有する。

上記のように、第1実施形態の分布型増幅器では、入力側直列線路において、互い違いになるように分岐箇所をわけて、第1および第2の増幅回路の入力へ接続している。第1の増幅回路の各段の出力は、第1の出力側直列線路において各ノードで位相が一致し、伝送線路34−1A〜34−NAの線路幅は段階的に広くなっているので、強度が加算される。これは第2の増幅回路および第2の出力側直列線路においても同様である。しかし、第1の出力側直列線路の最終段の伝送線路34−NAの出力は、第2の出力側直列線路の最終段の伝送線路34−NBの出力の位相に対して、単位伝送線路の遅延量分だけ進んでいる。そこで、合成回路35において、位相調整線路36が伝送線路34−NAの出力を単位伝送線路の遅延量分だけ遅らせて、伝送線路34−NAの出力と伝送線路34−NBの出力の位相を一致させる。

増幅器(AV/2)33−1A〜33−NAおよび33−1B〜33−NBのトランジスタサイズは、図2の増幅器(AV)13−1〜13−Nの半分であるが、分岐した2系統を有するため、第1および第2の増幅回路全体のトランジスタサイズは同じである。したがって、出力電力は次の式(7)で表され、式(1)と同じになる。

単位伝送線路31−1〜31−2Nのインダクタは、式(3)を満たすように設定されており、分岐点における容量が半分のCin/2となるため、L/2である。 一方、第2実施形態の分布型増幅器の遮断周波数は次の式(8)で表される。

このように、第1実施形態の分布型増幅器の遮断周波数は、図2のおよび図4の例に比べて21/2倍となるため、分布型増幅器の広帯域化が実現できる。さらに、第1および第2の増幅回路の段数は、図2および図4の場合と同様にN段であり、第1および第2の出力側直列線路の段数もN段であるため、伝送線路の線路幅も図2と同じ程度であり、レイアウトが可能である。

図6は、第1実施形態の分布型増幅器を誘電率10の半導体基板上に実現する場合の回路図であり、第1および第2の増幅回路の段数を3段とし、増幅段をトランジスタで表し、伝送線路の具体的な形状を記載している。

入力側伝送線路の初段伝送線路31−0、および単位伝送線路31−1〜31−5は、幅が30μmで、長さが200μmである。なお、ここでは、単位伝送線路31−6は設けていない。第1および第2の出力側直列線路の伝送線路34−1A〜34−3Aおよび34−1B〜34−3Bの長さは、それぞれ400μmで、線路幅は20μm、40μm、80μmという具合に2倍ずつ段階的に増加する。合成回路35の位相調整部36は、幅が80μmで、長さが200μmの伝送線路である。

第1実施形態は、2系統に分岐する例であるが、分岐数が2に限定されず、3以上でもよい。第2実施形態は、3系統に分岐する例である。

図7は、第2実施形態の分布型増幅器の回路図である。 第2実施形態の分布型増幅器は、入力側伝送線路、第1から第3の増幅回路、第1から第3の出力側伝送線路および合成回路35と、を有する。入力側伝送線路は、初段伝送線路41−0と、同一線路長の3N個の単位伝送線路41−1〜41−3Nを直列に接続した入力側直列線路と、入力側終端抵抗42と、を有する。第1の増幅回路は、N段の増幅器(AV/3)43−1A〜43−NAを有し、k(k:1以上、N以下の整数)番目の増幅器43−kAの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路41−(3k−2)の入力側ノードに接続される。第2の増幅回路は、N段の増幅器(AV/2)43−1B〜43−NBを有し、k番目の増幅器43−kBの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路41−(3k−1)の入力側ノードに接続される。第3の増幅回路は、N段の増幅器(AV/2)43−1c〜43−NCを有し、k番目の増幅器43−kCの入力は、入力側直列線路の単位伝送線路41−3kの入力側ノードに接続される。

第1の出力側伝送線路は、N個の増幅器43−1A〜43−NAの出力間に接続され、単位伝送線路41−0〜41−3Nのそれぞれの3倍の線路長のN個の伝送線路44−1A〜44−NAを含む。N個の伝送線路44−1A〜44−NAは、第1の出力側直列線路を形成する。第2の出力側直列線路は、N個の増幅器43−1B〜43−NBの出力間に接続され、単位伝送線路41−0〜41−3Nのそれぞれの3倍の線路長のN個の伝送線路44−1B〜44−NBを含む。N個の伝送線路44−1B〜44−NBは、第2の出力側直列線路を形成する。第3の出力側直列線路は、N個の増幅器43−1C〜43−NCの出力間に接続され、単位伝送線路41−0〜41−3Nのそれぞれの3倍の線路長のN個の伝送線路44−1C〜44−NCを含む。N個の伝送線路44−1C〜44−NCは、第3の出力側直列線路を形成する。合成回路45は、第1の出力側直列線路の最終段の伝送線路44−NAと出力端子OUT間に直列に接続された位相調整線路46Aおよび第1合成線路47Aを有する。合成回路45は、さらに、第2の出力側直列線路の最終段の伝送線路44−NBと出力端子OUT間に直列に接続された位相調整線路46Bおよび第2合成線路47Bを有する。合成回路45は、さらに第3の出力側直列線路の最終段の伝送線路44−NCと出力端子OUT間に接続された第3合成線路47Cを有する。位相調整線路46Aは単位伝送線路の2倍の線路長を有し、位相調整線路46Bは単位伝送線路と同じ線路長を有る。

第2実施形態では、3系統に分岐したが、それ以上の分岐も可能であり、M分岐に一般化した場合、入力側直列線路は、同一線路長のM×3N個の単位伝送線路を直列に接続して形成される。M組の増幅回路のうちのi(i:1以上、M以下の整数)番目の増幅回路は、((k−1)M+i)(k:1以上、N以下の整数)番目の入力側直列線路の入力ノードを入力とするN個の増幅器を有する。

M分岐に一般化した場合、各増幅器のトランジスタサイズは、図2の増幅器(AV)13−1〜13−Nの1/Mであるが、分岐したM系統を有する。そのため、M個の増幅回路全体のトランジスタサイズは同じである。したがって、出力電力は次の式(9)で表され、式(1)と同じになる。

単位伝送線路のインダクタは、式(3)を満たすように設定されており、分岐点における容量が半分のCin/Mとなるため、L/Mである。 一方、遮断周波数は次の式(10)で表される。

このように、第2実施形態の分布型増幅器の遮断周波数は、図2のおよび図4の例に比べて21/M倍となるため、分布型増幅器の広帯域化が実現できる。さらに、M個の増幅回路の段数は、図2および図4の場合と同様にN段であり、M個の出力側伝送線路の段数もN段であるため、伝送線路の線路幅も図2のM倍程度であり、レイアウトが可能である。

第1および第2実施形態の分布型増幅器では、分岐した複数の増幅回路および出力側伝送線路の組からなる複数の増幅系を有し、それらの出力を加算するように合成する。複数の増幅系のうち一部を非動作状態にすれば、出力電力を変化させることができる。次に説明する第3実施形態は、各増幅系を動作させるか否かを制御することにより、出力電力を変化可能にする。

図8は、第3実施形態の分布型増幅器の回路図である。 第3実施形態の分布型増幅器は、図6に示した第1実施形態の分布型増幅器と以下の事項が異なり、他の部分は同じである。図8において、図6と同じ部分には同じ参照符号を付して表す。第1の出力側直列線路の初段の伝送線路34−1Aの入力側、すなわちTr1Aの出力端子を、インダクタンス素子LAを介して第1制御端子38Aに接続する。同様に、第2の出力側直列線路の初段の伝送線路34−1Bの入力側、すなわちTr1Bの出力端子を、インダクタンス素子LBを介して第2制御端子38Bに接続する。さらに、第1の出力側直列線路の最終段の伝送線路34−3Aの出力側と合成回路35の間に、DCカット容量素子CAを、第2の出力側直列線路の最終段の伝送線路34−3Bの出力側と合成回路35の間に、DCカット容量素子CBを設ける。

第1制御端子38Aに印加するバイアス電圧をVdd=10〜20Vに設定すると、第1の増幅系(第1の増幅回路および第1の出力側直列線路)が動作し、Vdd=0Vに設定すると、第1の増幅系は動作しなくなる。また、第2制御端子38Bに印加するバイアス電圧をVdd=10〜20Vに設定すると、第2の増幅系(第2の増幅回路および第2の出力側直列線路)が動作し、Vdd=0Vに設定すると、第2の増幅系は動作しなくなる。第1制御端子38Aおよび第2制御端子38Bに印加するバイアス電圧Vddを切り替えるためスイッチが設けられるが、図8では図示を省略している。

最終段の伝送線路34−3Aおよび34−3Bの出力側と合成回路35の間は、容量素子CAおよびCBで接続されており、高周波成分のみが伝達される。そのため、第1および第2の増幅系が動作状態の時には、第1および第2の増幅系から増幅された信号の高周波成分のみが合成回路35に伝達され、高周波成分の合成が行われる。分布型増幅器で必要とするのは高周波成分のみであり、DC成分は不要なので、これでも問題はない。第1の増幅系または第2の増幅系の一方が非動作状態の時には、非動作状態の増幅系の信号(高周波成分)が伝達されず、信号が加算されないだけであり、特に問題は生じない。

以上、第1から第3実施形態を説明したが、実施形態の分布型増幅器により得られる利点を、第1実施形態を例として説明する。

図9は、第1実施形態の分布型増幅器と、図2の分布型増幅器の増幅利得(dB)の周波数特性のシミュレーション結果を示す図であり、実線が第1実施形態の分布型増幅器の特性を、破線が図2の分布型増幅器の特性を示す。

図9に示すように、増幅利得の値は15dB程度で類似しているが、遮断周波数がより高周波数側に移動し、広帯域化していることが分かる。このように、実施形態によれば、同程度の出力電力が得られ、遮断周波数を向上した分布型増幅器が、比較的小さなサイズの増加で実現できる。

以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。

11−1〜11−N,31−1〜31−2N 単位伝送線路 12,32 入力側終端抵抗 13−1〜13−N 増幅器 33−1A〜33−NA,33−1B〜33−NB 増幅器 14−1〜14−N 出力側伝送線路 34−1A〜34−NA,34−1B〜34−NB 出力側伝送線路 35 合成回路

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