【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、磁力回転装置に係り、特に永久磁石と電磁石との反発力を利用した磁力回転装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の電動機としてのモータでは、回転子としてのアマチェアが巻線で構成され、固定子としてのフィールドが永久磁石で構成されている。 【0003】このような構造の電動機に対して、発明者は、特開昭62−171458に2軸の回転体の周囲に夫々複数の永久磁石を所定角度で配置するとともに一方の回転体に電磁石を配置した磁力回転装置を提案している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1714 58に開示された磁力回転装置は、一対の回転体が回転されることから、各々の回転体に十分な精度が要求されるとともにその回転制御が容易でない問題がある。 【0005】この発明は、上述したような問題に鑑みなされたものでる。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明によれば、回転可能な回転軸と、回転方向に沿つた円周領域の外周面上に複数の一方の磁極が配置され、その円周領域の内周面上に複数の他方の磁極が配置され、互いに対応する一方及び他方の各磁極対が半径線に対して斜めに配置されている永久磁石装置及び他の円周領域に設けられた回転バランスを取る手段とを備える回転軸に固定された回転体と、この回転体に対向して固定配置され、前記回転体からの磁界に反撥する磁界を発生する電磁石手段と、及び前記回転方向先頭の永久磁石が前記電磁石の対向面を通過した後に前記電磁石手段を付勢し、回転方向後尾の永久磁石が前記電磁石の対向面を通過した後に前記電磁石を消勢する付勢手段と、を具備することを特徴とする磁力回転装置が提供される。 【0007】また、この発明によれば、回転可能な回転軸と、回転方向に沿つた円周領域の外周面上に一方の磁極が配置され、その円周領域の内周面上に他方の磁極が配置され、互いに対応する一方及び他方の各磁極対が半径線に対して斜めに配置されている複数の永久磁石及び他の円周領域に設けられた回転バランスを取る手段とを備える回転軸に固定された回転体と、この回転体に対向して固定配置され、前記回転体からの磁界に反撥する磁界を発生する電磁石手段と、及び前記回転体の回転を検出する検出手段と、この検出手段からの検出に応答して、回転方向先頭の永久磁石が前記電磁石の対向面を通過した後に前記電磁石手段を付勢し、回転方向後尾の永久磁石が前記電磁石の対向面を通過した後に前記電磁石手段を消勢する付勢手段と、を具備することを特徴とする磁力回転装置磁力回転装置が提供される。 【0008】更に、この発明によれば、回転可能な回転軸と、回転方向に沿った円周領域の外周面上に複数の一方の磁極が配置され、その円周領域の内周面上に複数の他方の磁極が配置され、互いに対応する一方及び他方の各磁極対が半径線に対して斜めに配置されている永久磁石装置及び他の円周領域に設けられた回転バランスを取る手段とを備える回転軸に固定された第1の回転体と、 前記回転方向に沿った円周領域の外周面上に複数の他方の磁極が配置され、その円周領域の内周面上に複数の一方の磁極が配置され、互いに対応する一方及び他方の各磁極対が半径線に対して斜めに配置されている永久磁石装置及び他の円周領域に設けられた回転バランスを取る手段とを備える回転軸に固定され、第1の回転体とともに回転する第2の回転体と、この第1及び第2の回転体に対向して配置され、前記第1及び第2の回転体から発生される磁界に反撥する磁界を発生する互いに磁気的に連結されている第1及び第2の電磁石手段と、及び前記第1及び第2の回転体の回転方向先頭の永久磁石が対応する前記第1及び第2の電磁石の対向面を通過した後に前記第1及び第2の電磁石手段を付勢し、前記第1及び第2の回転体の回転方向後尾の永久磁石が対応する前記電磁石の対向面を通過した後に前記電磁石手段を消勢する付勢手段と、を具備することを特徴とする磁力回転装置が提供される。 【0009】 【作用】電磁石手段から発生された磁界と回転体の永久磁石装置から発生される磁界とが互いに反撥する関係にあり、しかも、永久磁石の各磁極対が回転体の半径線に対して斜めに配置されている。 両者の反撥力によって回転体を回転するトルクが発生され、回転体が回転される。 しかも、回転体の慣性力が大きいことから、回転を開始すると、その慣性力で回転が安定して回転されされる。 【0010】 【実施例】以下図面を参照してこの発明の一実施例に係る磁力回転装置を説明する。 【0011】図1及び図2は、この発明の一実施例に係る磁力回転装置を概略的に示している。 【0012】図1に示すようにこの発明の一実施例に係る磁力回転装置では、フレーム2に回転軸4が軸受け5 により回転可能に固定されている。 この回転軸4には、 回転力を発生する第1及び第2の磁石回転体6、8がこの回転軸4とともに回転可能に固定され、また、この回転軸4には、回転力をエネルギーとして取り出すために複数の棒状磁石9がその周囲に取り付けられた被回転体10がこの回転軸4とともに回転可能に固定されている。 第1及び第2の磁石回転体6、8には、図1及び図2に示すように後に詳述するように回転体6、8の回転に同期して付勢される第1及び第2の電磁石12、14 が夫々磁気ギャプを介して対向して配置されている。 この第1及び第2の電磁石12、14は、磁路を構成ずるヨーク16に固定されている。 【0013】図3に示すように第1及び第2の磁石回転体6、8の各々には、回転力を発生する磁界を発生する複数の板状磁石22A〜22H及び回転体6、8のバランスを取るための非磁性体で作られたバランサー20A 〜20Hが円盤24上に配置されている。 この実施例においては、第1及び第2の磁石回転体6、8の各々には、8個の板状磁石22A〜22H及び8個のバランサー20A〜20Hが夫々円盤24上に等しいインターバルで夫々円盤24上の半外周領域に配置されている。 【0014】各板状磁石22A〜22Hは、図3に示すようにその長手軸Iが円盤24の半径軸線に対してある角Dを成すように配置される。 この角度Dは、実験例では、30度或は、50度が確認されているいるが、円盤24の半径及びこの円盤24上に配置される板状磁石22A〜22Hの数によって適切に定められる。 図2に示すように、磁界を有効利用する観点から、第1の磁石回転体6上では、板状磁石22A〜22Hは、そのN極が外方に向けられ、第2の磁石回転体8上では、板状磁石22A〜22Hは、そのS極が外方に向けられるように配置されることか好ましい。 【0015】この第1及び第2の磁石回転体6、8外には、第1及び第2の電磁石12、14が夫々磁気ギャプを介して対向して配置されているが、この第1及び第2 の電磁石12、14は、付勢された際にこの各々の電磁石12、14が対向する板状磁石22A〜22Hの磁極と同極で互いに反発する関係の磁界を発生する。 即ち、 図2に示すように第1の磁石回転体6上では、その板状磁石22A〜22Hの外方の磁極がN極であるので、第1の電磁石12は、その対向面がN極となるように付勢され、また、第2の磁石回転体8上では、その板状磁石22A〜22Hの外方の磁極がS極であるので、第2の電磁石14は、その対向面がS極となるように付勢される。 このようにヨーク16で磁気的に連結された第1及び第2の電磁石12、14の板状磁石22A〜22Hへの対向面が異なる磁極に励磁されることは、電磁石1 2、14の磁界を効率的に利用することができることとなる。 【0016】第1及び第2の磁石回転体6、8の一方には、その回転位置を検出する検出器30、例えば、マイクロスイッチが設けられている。 即ち、図3に示すように板状磁石22A〜22Hの内の回転方向32に関し先頭の板状磁石22Aが通過した時点で第1及び第2の磁石回転体6、8が付勢される。 換言すれば、回転方向3 2に関し先頭の板状磁石22A及びこれに続く板状磁石22B間に始点S0が設けられ、この始点S0が電磁石12或は、14の中心点R0に一致した際に電磁石1 2、14が付勢される。 また、図3に示すように板状磁石22A〜22Hの内の回転方向32に関し後尾の板状磁石22Hが通過した時点で第1及び第2の磁石回転体6、8が消勢される。 この実施例では、回転盤24上で始点S0に対称な位置に終点E0が定められ、この終点E0と電磁石12或は、14の中心点R0とが一致された際に電磁石12、14が消勢される。 回転体6、8の回転開始時においては、始点S0及び終点E0間の任意の位置に電磁石12、14の中心点R0が位置されて電磁石12、14と板状磁石22A〜22Hとが対向されて回転が開始される。 回転位置を検出する検出器30としてマイクロスイッチが採用される場合には、マイクロスイッチの接点が回転盤24の周面を摺動され、始点S 0及び終点E0の間でマイクロスイッチの接点が閉じられるように、この始点S0及び終点E0にステップが設けられ、この間の周面上の領域が他の回転盤24の周面に比べて突出されている。 明かなように回転位置を検出する検出器30としてのマイクロスイッチに代えて光検出器等の検出器が用いられても良い。 【0017】図4に示すように電磁石12、14の巻線は、直列接続されてリレ−40の可動接点を介して直流電源42に接続されている。 この直流電源42には、マイクロスイッチとしての検出器30及びリレ−40のソレノイドの直列回路が接続されている。 また、この直流電源42には、小エネルギーの観点からソーラセル等の充電器44が接続され、太陽エネルギー等で直流電源4 2が常に充電可能なことが好ましい。 【0018】回転の初期においては、図5で示されるような回転モーメントが回転盤24に与えられる。 即ち、 回転開始時において固定側の電磁石と回転側の板状磁石とが図示するように板状磁石の極Mが電磁石の極M'から回転方向に僅かにずれていると、板状磁石及び電磁石の両極M. M'には、互いに反発力fが働くこととなる。 従つて、図示の関係から、回転トルクTとしてT= f・acos(α−β)が発生される。 この回転トルクを基に回転盤24が回転を開始することとなる。 回転盤24が回転を開始した後においては、回転体24の回転速度が次第に大きくなる。 回転盤24が安定に回転された後においでは、必要に応じてこの回転盤24とともに回転される被回転体10に外部から電磁コイル(図示せず)を近接させることによってこの電磁コイルに起電力を発生させることができる。 この電力を他の用途にも用いることができる。 この回転の原埋は、既に発明者が提案した特開昭62−171458に開示された磁力回転装置の回転原埋を利用している。 即ち、この特開昭62 −171458に開示された磁力回転装置の一方の回転体に搭載された電磁石が固定された場合にあっても、この特開昭62−171458に開示された回転原埋に従って同転されることに起因している。 詳しくは、この特開昭62−171458の公報を参照されたい。 【0019】尚、板状磁石22A〜22Hは、図1及び図3に示すように8個に限られるものでなく、任意の個数の磁石が用いられても良い。 また、上述した実施例では、円盤24の一方の半外周の領域上に板状磁石22A 〜22Hが配置され、他方の半外周領域上にバランサ− 20A〜20Hが配置されているが、これに限らず、半外周外の領域上にまで更に板状磁石が配置されても良い。 然ながら、円盤上の外周領域の一部は、磁石以外のバランサーが設けられることが好ましい。 また、カウンターウエートは、個別のブロックでなくとも、円盤の外周領域上を延出される1つの板材であっても良い。 更に、上述した実施例においては、回転盤の一回転毎に所定期間電磁石が付勢される構成を採用しているが、回転数が上昇した時点では、回転盤が2回転、或は、それ以上回転される毎に電磁石が付勢されるように回路を構成しても良い。 更にまた、上述した実施例においては、永久磁石として板状の磁石を採用した例について説明したが、他の形態の永久磁石が採用されても良い。 要するに永久磁石装置として円盤の円周外面上に複数の一方の極が配置され、その内周面上に多数の他方の極か配置され、互いに対応する一方及び他方の極の対が図3に示すように半径線11に対して斜めに配置されればどの様な磁石か採用されても良いこととなる。 【0020】 【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、永久磁石が固定された回転子をスムーズに回転させることができる磁力回転装置を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の一実施例に係る磁力回転装置を概略的に示す斜視図。 【図2】図1に示した磁力回転装置を示す側面図。 【図3】図1及び図2に示した磁力回転装置の回転体を示す平面図。 【図4】図1に示した磁力回転装置の回路を示す回路図。 【図5】図1及び図2に示した磁力回転装置の回転体を回転させるトルクを示す説明図。 【符号の説明】 4. . . 回転軸 6、8. . . 回転体 10. . . 被回転体 12、14. . . 電磁石 16. . . ヨーク 22A〜22H. . . 板状永久磁石 30. . . 位置検出器 |