【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には真空電子装置に関し、特に、真空電子装置における電子流検知に関する。 【0002】 【従来の技術】汎用的な真空電子装置は、真空にされた管内に格納されたカソード及びアノードを有する。 動作中は、アノードに対してカソードが負の電位に保持される。 電子は、カソードから放出される。 カソードとアノードとの間の電位差により、カソードからアノードへとビーム状に放出された電子が加速される。 こうして、アノードとカソードとの間に電子線流が流れる。 陰極線表示管(CRT)等の幾つかの汎用的な真空電子装置においては、カソードとアノードとの間に1又は複数のグリッド電極が配置される。 動作中は、各グリッド電極に対して制御電圧が印加される。 制御電圧は、電子線に対して静電気力を及ぼす。 電子線流は、この制御電圧を調整することにより調整される。 制御電圧は、通常、真空電子装置含む回路の制御サブシステムにより発生される。 CRT表示装置においては、この制御サブシステムが、 画面上に形成される画像の輝度を制御する。 一般的に、 このような制御システムは開ループ・システムである。 このようなシステムにおいては、電子線流とグリッド電極に印加される制御電圧との間にフィードバックが設けられていない。 汎用的CRT表示装置においては、アノード電圧発生器に流れる電流を検知し計測することにより電子線流の間接的フィードバックが設けられる。 この技術は、例えば、単色CRT等の単一の電子線のみをもつ真空電子装置を制御する際には有用な制御情報を与える。 さらにこの技術は、カラーCRT等の多重線真空電子装置における全電子線流を制御する際にも適している。 しかしながら、この技術は、これらの装置の個々の線流を制御するには不適当である。 なぜなら、個々の電子線流は、アノードにおいて実質的にまとめられてしまうからである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、制御可能に電子線流の計測が可能な真空電子装置を提供することにあり、さらに詳細には、電子線流への影響が少なく多重線においても個々の線流の計測が可能な真空電子装置を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明による真空電子装置は、電子線を形成する電子を供給するカソードと、電子線を受けるべくカソードから離隔されたアノードと、 カソードとアノードとの間に配置されたセンサ電極とを格納する真空管を有する。 【0005】好適には、センサ電極が、カソードからアノードへの電子線の経路内へ延びている。 【0006】センサ電極には、電子線経路の中心軸上に配置された先端部を具備する三角形部分を設けることができる。 別の例として、センサ電極が、電子線経路の直径について対向する両側の間に渡される延長部分を有していてもよい。 【0007】本発明の好適例においては、さらにこの装置が、カソードとセンサ電極との間に配置されるグリッド電極と、カソードからアノードへ流れる電子線流を制御するべくグリッド電極上に制御電圧を発生するグリッド電圧発生器と、基準電子線流を維持するべくセンサ電極から検出される検知電流に応答して制御電圧を変化させるためにグリッド電圧発生器へ接続された帰還(フィードバック)手段とを有する。 【0008】上記の帰還手段は、好適には、基準電子線流を決定するための可変バイアス手段を有する。 【0009】本発明の特に好適な例では、カソードが、 面状カソードとされる。 【0010】帰還手段は、好適には、センサ電極により検出される検知電流に応答して面状カソードへ供給される駆動電圧を変化させる駆動手段を有する。 【0011】本発明は、上記の真空電子装置を有するC RT表示装置へと拡張される。 さらに本発明は、上記の真空電子装置を有する電界放出型表示装置へと拡張される。 またさらに、本発明は、上記の真空電子装置を有する磁気マトリックス表示装置へと拡張される。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は、単純な真空電子装置の一例である二極管を示しており、アノード30及びカソード20を内蔵する真空管10を有する。 動作中は、アノード30が、カソード20によりも高いか又は等しい電位に保持される。 したがって、カソード20から放出される電子は、アノード30へ向かって真空管10内を通過する。 アノード電流は、アノード30に当たる電子の数により規定される。 【0013】上記の二極管内の電流は、カソード20への電流を計測することにより決定される。 この手法の欠点は、カソードにおける電子変換の効率が100%でない場合があることである。 さらに、カソード20から出る全ての電子が、必ずアノードに到達するとは限らない。 【0014】別の手法では、アノード30からの電流を計測することにより二極管内の電流を決定する。 この手法は、全アノード電流が単一の電子線として流れる場合には実用的である。 しかしながら、アノード電流が多重電子線から生じる場合には、個々の電子線により流れる電流を決定することはできない。 【0015】さらに別の手法では、二極管における電流が、 アノード30とカソード20との間の電子線の流れを計測することにより決定される。 図2を参照する。 本発明の所与の実施例においては、カソード20とアノード30との間の電子線経路上に導電板40を配置することにより、この別の手法が実施される。 動作中は、導電板40が電子線流の一部を捕捉することにより、アノード30への電子線流を減少させる。 この技術を、以下、「直接検知」と称する。 直接検知は、電子線流が一定の場合及び時間変化する場合の双方の計測に用いることができる。 【0016】本発明の他の実施例においては、導電板4 0に十分な大きさの開孔を穿設することにより、カソード20からアノード30への全電子線が通過できるようにする。 この電子線流は磁場を生じる。 磁場が時間変化する場合、電子線流に対応する電圧が導電板40に誘起される。 磁場が一定の場合、ホール効果探触子若しくは類似の装置を用いて静磁場を計測することができ、それにより電子線流を決定できる。 この技術を、以下、「間接検知」と称する。 【0017】直接検知に関しては、導電板40が電気的に絶縁されている場合、導電板40に当たる電子に関係する負の電荷が導電板40へ運ばれることにより、導電板40の電位を減少させる。 電位の減少が導電板40の近傍における静電場を変化させることにより、カソード20からアノード30への電子の経路が妨げられる。 導電板40上の負の電荷は、導電板40に対する更なる電子の衝突が起きなくなるような十分な量の負の電荷が導電板40上にたまる平衡点に達するまで増加する。 その後、電子は、導電板40の周辺を通過するとき導電板4 0の近傍から反発される。 これにより、電子線流の計測ができなくなってしまうので望ましくない。 【0018】図3は、本発明の実施例である。 導電板4 0が導体へ接続され、この導体は、装置の内部又は外部のいずれかに配置される検知回路50へ接続可能である。 好適には、検知回路50は装置の外部に配置される。 動作中、導電板40に当たる電子により、検知回路50から導電板40への電流が生じる。 導電板40の近傍における静電場に対する攪乱を最小限とするために、 検知回路は、導電板40の電位を、静電場の均衡に必要な電位とすることができる。 それでも実際には、等電位領域に存在する導電板40のためにある程度の乱れが生じる場合がある。 【0019】図4は、本発明の実施例である。 検知回路50は、導電板40に当たる電子の数に比例する電圧変化を発生する反転コンダクタンス伝達回路を有する。 この回路は、正電圧V+と負電圧V−間にある抵抗Rと直列の電流シンク60を有する。 導電板40は、電流シンク60と抵抗Rとの間の結節点へ接続される。 電圧変化は、電流シンク60を通してVsとして検出される。 動作中、電子が導電板40に当たると、電荷の蓄積を避けるために、Rを通る電流が導電板40内へ流れる電流I pについてdIだけ増加する。 dIにより、対応する変化−dVがVsに生じる。 Ipから−Vsへの伝達関数は、回路の構成要素の値により決定される。 この回路の欠点は、電子線流が増加すると導電板40の電位が減少することである。 導電板40近傍の静電場は、電子線流が増加すると歪む。 そして僅かな電子線流が検出される。 従って、Ipと全電子線流との間の関係が歪んだものとなる。 実際には、この歪みは、導電板40の電位の小さな変化については許容できる。 【0020】図5及び図6は、アノード30とカソード20との間のグリッド電極を有する三極管真空電子装置を用いる図4の機構の変形を示す。 抵抗R 3を介して導電板40へ接続された反転増幅器80によりコンダクタンス伝達回路が置き換えられる。 抵抗R 4は、反転増幅器80についての負帰還を与える。 増幅器80の入力は、グリッド電極70へ印加される制御電圧V Gによりバイアスをかけられる。 抵抗R1及びR2に対する値は、少なくとも部分的には、グリッド電極70及びカソード20に対する導電板40の位置に依存して選択される。 動作中、グリッド電圧が上がり電子線流の付加的流れを生じると、非反転入力が増加することにより増幅器の仮想接地が上昇させられる。 こうして、導電板40 は、必要な電位に保持される。 この機構の更なる利点は、V sにおけるインピーダンスが低いことである。 【0021】導電板40を介して真空電子装置の電子線流を計測する原理は、二極管及び三極管のみへの適用に限定されない。 本発明は、電子線リソグラフィ装置、シンクロトロン、マグネトロン、サイクロトロン、及び電界放射型表示技術等のCRT表示装置技術等、他の形態の真空電子装置へも同様に適用可能である。 【0022】図7及び図8は、本発明の実施例を示す。 三極管真空装置内の電子線流を制御するために、図5の検知回路50が帰還制御回路110で用いられている。 反転増幅器90の出力が、抵抗R 5を介して第2の反転増幅器100の入力へ接続される。 第2の反転増幅器1 00は抵抗R 8による帰還ループを有する。 第2の反転増幅器100の出力は、三極管のグリッド電極70へ接続される。 グリッド電極70上の電圧1Vのとき、電子線流が1μA生じるとする。 さらに、導電板40が、1 μAの電子線流の10%に対応するとする。 所望される電子線流は、入力Isから抵抗R 6を介して適宜の電流値を導入することにより、設定される。 R 8がR 5又はR 6よりもはるかに大きい場合、回路の利得誤差を無視できる。 電子線流がない場合、Isによりグリッド電圧V Gが上昇する。 これにより電子線流が流れる。 電子線流の流れは、導電板40により部分的に遮られる。 検知回路Vsからの出力は、第2の反転増幅器100を介してV Gを規制し始め、導電板40上に当たる流れが100 ナノアンペアであるとき定常状態に到達する。 製造誤差のためにカソード20とグリッド電極70との間の距離が不正確であるとすると、帰還ループのない場合、グリッド電極70上の1Vによる電子線流が900ナノアンペア、導電板電流が89ナノアンペアだけとなる。 帰還ループがグリッド電圧V Gを設定して製造誤差を補償することにより、100ナノアンペアが導電板40により遮られることになる。 このような製造誤差がある場合、 帰還ループは、グリッド電圧V Gを1Vよりも大きくしたり小さくしたりして、所望する電子線流を発生させる。 この機構により、真空装置内の電極間隔における許容誤差を緩和できることが理解できよう。 センサの形状は装置の動作に影響するが、3次元的な位置精度の要件は、2次元的位置精度へと軽減される。 【0023】一般的に、真空電子装置は、アナログ入力信号に応答する。 しかしながら、所与の適用においては、デジタル・システムを介してこれらの装置を制御することが望ましい。 このような制御は、通常、デジタル・システムにより発生されるデジタル制御信号を、真空電子装置を駆動するアナログ制御信号へと変換するデジタル・アナログ変換器(DAC)を用いて行われる。 コンピュータ・システム装置へ接続されるCRT等の電子線表示装置は、このような機構の一例である。 DAC は、通常コンピュータ・システム装置内に設置される。 しかしながら、所与の高解像度システムにおいては、D ACが表示装置内に設置される。 電界放射型表示装置等のマトリクス・アドレス電子表示装置は、デジタル・インタフェースを介してコンピュータ・システム装置へ接続された複数のDACを有する。 所与の態様においては、各DACが表示装置の画素の別々の行に対応する。 他の態様においては、各DACが表示装置の画素の別々の列に対応する。 動作中、DACは、表示装置のグリッド電極へ印加される電圧を制御する。 DACがコンピュータ・システム装置に設置されようと表示装置に設置されようと、DAC出力は、図8の帰還制御回路におけるIsの替わりに基準入力信号を与えることができる。 D ACが表示装置に設置される場合は、図8の帰還制御回路をDACと一体化できることは自明であろう。 【0024】図9の(A)及び(B)は、導電板40の形状と電子線流密度との関係が、Isと電子線流Ibとの間の伝達関数を規定することを示す。 この伝達関数は、一般的にその装置のγとして知られている。 図9の(A)及び(B)では、電子線が点線の同心円として描かれている。 同心円の意図は、一般的に、電子線流が増大すると電子線の直径が大きくなることを示すためである。 しかしながら実際には、電子線の直径が電子線流の増加と共に増大するとは限らない。 また、電子線の断面が円形とも限らない。 図9の電子線の表現は単に説明のためであって、いずれにしても限定するためのものではない。 【0025】図9(A)では、導電板40の形状を三角形としている。 一定の電子線流密度について、三角形導電板40ではIbとIsとの間に線形関係がある。 例えばγが「1」である。 Ibに対するIsの比は、導電板40の頂角により規定される。 例えば、頂角36度の場合、電子線流の10%をサンプリングする。 【0026】図9(B)では、導電板40の形状を長方形としている。 長方形形状とすることにより導電板40 をその各端において強固に支持することができる。 この態様に対するγは、一定ではない。 【0027】導電板40の特定形状におけるγは、電子線流密度のみに依存することが明らかであろう。 よって、電子線流密度が、対象とする電子線流の範囲内で既知であれば、γを制御する問題は、適宜の導電板40の電子線断面に対する幾何学形状を選択することに帰する。 【0028】図10は、電子線表示を制御する図8の機構の変形であり、可変電位分割器VR 1が、抵抗R 9を介して第2の反転増幅器100の入力へ接続される。 電位分割器VR1により、第2の反転増幅器100の仮想接地からの電流を付加したり除去したりできる。 このことにより、グリッド電圧V Gの変更が可能となり、定常電流を生成することができる。 すなわち、表示のブラック・レベルを形成する。 動作において、グリッド電圧V G は、帰還ループ条件を満足するために必要なセンサ導電板40上に当たる電子線流を生じさせる。 導電板40の幾何学形状は、定常電流が導電板40へのみ流れるか、 あるいは、定常電流の大部分が導電板40を超えて流れるかを決定する。 【0029】ブラック・レベル制御は、真空電子装置技術の適用の多くにおいて有利である。 例えば、図9 (B)の導電板40の幾何学形状を再び参照すると、ブラック・レベル制御を介して装置の定常動作点を設定することができ、よってγ伝達関数の第1の部分が、図1 0のIsにより決定される装置の通常の動作範囲の外側になる。 従って、装置は、単一のγ伝達関数に従って動作する。 例えば、二次放出カソード等の所与のカソード形式においては、初期起動の後に電子放出を維持するために定常電流が必要である。 導電板40上に当たる定常電流を配置することにより、好適なカソード動作を維持するためにブラック・レベル制御を導入することができる。 【0030】γ及びブラック・レベルの制御は、真空電子装置を表示装置に適用する際に特に望ましい。 このような表示への適用は、一般的に2つのグループに分けられる。 【0031】第1のグループを、走査型表示装置と称することとする。 走査型表示装置としては、ラスタ走査又はベクタ走査がある。 双方の場合とも、電子線は、磁気的手段又は静電的手段により偏向させられる。 このような表示装置の幾つかにより形成される画像はモノクロである。 同じグループの他の表示装置では、画像をカラーとすることができる。 【0032】第2のグループを、マトリクス・アドレス型表示装置と称することとする。 このような表示装置は、規定のマトリクスに配列された複数の電子線を発生する手段を有する。 このような表示装置の例は、電界放射型表示装置(FED)及び磁気マトリクス表示装置(MMD)がある。 磁気マトリクス表示装置の更なる詳細は、英国特許出願第9517465.2号に開示されている。 マトリクス・アドレス型表示装置は、面状カソードを有するものがある。 【0033】面状カソードに関する問題の1つは、カソード・エイジングである。 具体的には、電子を放出するカソードの機能が使用と共に低減することである。 面状カソードの別の問題は、不均一性である。 具体的には、 電子放出の密度がカソードの面上で変化することがある。 面状カソードに関する更なる問題は、安定性である。 具体的には、カソード面上の特定の場所からの電子放出の密度が時間と共に変化することである。 これはエイジングの影響ではない。 この変化は、ミリ秒から分の間隔に亘って発生する。 これらの影響が結合されて、面状カソードを具備する表示装置において可視の輝度の不均一さが生じることがある。 後述の詳細な説明から、本発明の電子線流検知技術により上記の問題が解決されることが明らかとなるであろう。 【0034】図7乃至図10を参照して、本発明の実施例である閉ループ電子線流制御システム110の例及びその変形例を説明する。 これらの例においては、真空電子装置のグリッド電極70が、所望される電子線流を満足するために必要な電位であるとする。 従って、これらの例においては、もはやグリッド電圧V Gの値は、電子線流の値ほど重要ではない。 これは、汎用的な走査型若しくはマトリクス・アドレス型表示装置の動作モードとは異なる。 このような表示装置においては、グリッド電圧V Gが、電子線流を決定するために設定された既知の値を有する。 【0035】以下に、上記の電流制御システム110が適用できる面状カソードの例を簡単に説明する。 【0036】熱イオンの面状カソードでは、均一な電子分布を生成するために、複雑な抽出器及びディレクタ・ グリッド部と共に形成される。 後述の電子線流制御システム110は、電子の均一性を維持することを支援することによりグリッド部を簡素化することができる。 【0037】金属−絶縁体−金属(MIM)カソードにおいては、前面及び背面の金属板を通して電位を印加することにより前面への電子のトンネル脱出を生じさせる。 通常のMIMカソードからの電子放出は、時間と共に減少する。 なぜなら、金イオン拡散と消費されたトンネルサイトとの結合があるからである。 放出レベルは、 導電板の間の電圧を適宜増加させることにより維持することができる。 図11は、本発明の実施例であり、カソード20がMINカソードである。 さらに、電子線流制御システム110により発生されるグリッド電圧V Gが、マイクロ・コントローラ120により監視される。 動作中、マイクロ・コントローラは、グリッド電圧V Gの時間変化を記録し、デジタル・アナログ変換器1 30を介してカソード20の導電板へ印加される電位を修正することにより、電子放出の低減を補償して実質的な放出レベルを維持する。 【0038】通常の伝送用フォト・カソードは、片面を光感知材料でコーティングされかつ真空中に支持された基板を有する。 この基板は、光感知材料から放出電子を発生するために光の波長を伝送する。 動作中、光感知材料から遠い側の基板の面が光源により照らされる。 通常の反射用フォト・カソードにおいては、電子を放出するために、光感知材料が直接照らされる。 いずれのタイプのフォト・カソードにおいても、光源は、紫外領域の光の波長で動作するキセノン、水銀、若しくはクリプトンのランプ等の短波長ランプとすることができる。 フォト・カソードからの電子放出の割合は、入射光エネルギーと光感知材料の量子効率に依存する。 フォト・カソードは、経時変化する。 本発明の実施例では、カソード20 はフォト・カソードであって、ランプへ供給されるエネルギーを制御するために図11に示す機構が用いられる。 この機構が、ランプ自体の経時変化も補償できることは明らかであろう。 【0039】電界放出カソードは、カソード材料の表面から電子を上昇させるために強い電界強度を用いる。 この効果は、カソード材料が原子的に鋭い先端部のアレイとして形成されるときに顕著である。 本発明の実施例においては、カソードが電界放出先端部のアレイを有し、 放出流における長期変動を補償するべく先端部へ印加される電圧を制御するために図11の制御機構が用いられる。 【0040】上記のカソード技術については、後に詳細に説明する。 【0041】図11を参照して説明した本発明の実施例は、各々表示画面の別々の領域へ電子を供給するような複数のカソードを有する表示装置における各カソードへ適用可能である。 【0042】図12及び図14は、磁気マトリクス表示装置の例を示し、平面状アノード30に向き合う平面状カソード20を有する。 カソードから遠い側のアノード30の片面上に蛍光体皮膜150が配置される。 永久磁石140が、アノード30とカソード20との間に配置される。 永久磁石140は、2次元マトリクスのチャネルすなわち「ウェル(well:縦孔)」160による孔が設けられている。 グリッド部は、永久磁石140とカソード20との間に配置される。 グリッド部は、第1及び第2の電気的に絶縁された平行な導電体アレイを有する。 これらをそれぞれ第1グリッド71及び第2グリッド72と称する。 第1グリッド71は、第2グリッド7 2と直交して配置されることにより格子パターンを形成する。 開孔が、第1グリッド71と第2グリッド72に形成される。 これらの開孔は、第1グリッド71と第2 グリッド72の各交点に位置する。 各開孔は、個々のウェル160に揃って並んでいる。 列駆動回路170は、 第2グリッドへ接続される。 行駆動回路180は、第1 グリッドへ接続される。 動作中、アノード30は、カソード20よりも高電位に保持される。 よってカソード2 0から放出される電子は、アノード30へ向かって加速される。 電子が、永久磁石140の各ウェル160に入ると、その中の磁場により緻密な電子線へと平行化される。 動作中、ウェルへの電子の入孔は、グリッド部を介して選択的に制御される。 各ウェル160は、対応する第1グリッド71及び第2グリッド72に対する行駆動回路180及び列駆動回路170により印加される適宜の電圧信号によってアドレス指定可能である。 よって電子は、各ウェル160への入孔、永久磁石140の通過、及び蛍光体皮膜150の対応する領域への到達に関して選択的に入れられたり遮られたりする。 こうして、 画面上に表示される画像の画素を生成する。 表示される画像の画素は、リフレッシュ・パターンで走査される。 リフレッシュ・パターンを発生するために、画素の列は、列駆動回路170を介して対応する第2グリッド7 2へ適宜の電圧を印加すると共に、行駆動回路180を介して第1グリッド71上の電圧を電子線流が流れないようにセットすることにより駆動される。 残りの第2グリッド上の電圧が、列駆動回路170によりセットされることにより、第1グリッド71上のいずれの動作電圧においても電子線流が流れなくなる。 その後、第1グリッド71上の電圧は、駆動された列の画素に対応する入力ビデオ・データの関数として、行駆動回路180により修正される。 このプロセスは、次に続く列について繰り返される。 【0043】図13及び図14は、本発明の実施例を示し、第1グリッド71と平行に第2グリッド72とカソード20との間に配置された導電性センサ片のアレイ4 1を設けている。 各センサ片41は、対応する第1グリッド71の開孔の中央を通る。 センサ片41は、第1グリッド71及び第2グリッド72から電気的に絶縁されている。 表示装置に用いられるリフレッシュ・パターンに関する上記記述から明らかなように、各センサ片における電流は、いつでも1つの駆動画素のみに対応する。 よって各センサ片は、対応する行の各個々の画素における電子線流の計測を可能とする。 画素を駆動するために対応する第1グリッド71に印加される電圧は、前述の帰還制御システムにより制御される。 この場合、導電板40にセンサ片41が置き換わり、グリッド電極70に第1グリッド71が置き換わる。 簡素化の観点から、帰還制御システムを行駆動回路180へ一体化してもよい。 各センサ片41は、幅10μm及び厚さ1μmとし、アルミニウム、タングステン若しくはニッケルから形成できる。 本発明の特に好適な実施例では、厚さ約1 00μmのガラス板42上にニッケルをスパッタリングすることによりセンサ片41を形成する。 その後、ニッケルは、平行な片へとエッチングされる。 そして、ガラスに開孔がエッチングされる各センサ片は、対応する行の開孔の直径に亘ってガラスにより支持される。 本発明の特に好適な例では、第2のガラス層43がニッケル上に置かれる。 センサ片40を有するセンサ部並びにガラス層41及び42は、第2グリッド72とカソード20 との間にラミネートされる。 この機構は、精密な機械的間隔を設けるために有利である。 なぜなら各開孔が、カソード20の限られた領域へのみ関与するため、隣接する画素間のクロストークが減少するからである。 さらにこの機構は、剛性が増すと共に、グリッド部とセンサ片41との間の容量結合が低減される。 【0044】図14から明らかなように、第1グリッド71、第2グリッド72、及びセンサ片41は、比較的大きな表面積を有する。 従って、センサ片41は、第1 グリッド71及び第2グリッド72に対して容量結合しがちである。 容量結合のし易さは、距離及び周波数への依存性があることは自明であろう。 カラー磁気マトリクス表示装置の例においては、各ウェル160から現れる電子線を、対応する画素の赤、緑、及び青のサブ画素へ順次アドレス指定するためにビーム・インデックスが用いられる。 各基本カラーに対応するビデオ電圧は、対応する第1グリッド71上に置かれる。 従って、第1グリッド71に印加される信号の周波数は、第2グリッド7 2に印加される信号の周波数の3倍である。 よって、第2グリッド72は、第1グリッド71上の高周波数信号からセンサ片41を効果的に遮蔽する。 【0045】前述のように、各ウェル160内の磁場は、カソードからの対応する電子線を平行にする。 平行にする効果は、一定の電子線流における電子線がアノード30へ到達するまで電子線の直径が実質的に一定に留まるようにすることである。 よって、電子線の経路の任意の点においてセンサ片41を有効に設置することができる。 センサ片41からの信号の直流オフセットを最小にすることが望ましい。 従って、センサ片41をカソードと第2グリッド72との間に配置することが好適である。 汎用的CRT表示装置においては、この領域の電子線が比較的拡散している。 電子線の焦点合わせは、通常、電子線経路に沿ってさらに行われる。 しかしながら、磁気マトリクス表示装置においては、この領域において電子線が既に永久磁石140からの磁場の影響下にある。 従って、グリッド/カソード領域における流れ密度は、良好に規定される。 特に好適な本発明の実施例においては、センサ片がカソード20と第2グリッド72 から等距離に配置されることにより、上記の容量結合の影響を最小限とする。 前述のように、ガラス/センサ片のラミネート部は、上記の離隔を実現するために特に有用である。 【0046】センサ片41が、対応する電子線の形成に対してある程度の分裂を生じさせることは明らかであろう。 具体的には、各センサ片が対応する電子線中に影を生じさせる。 しかしながら、永久磁石の平行化効果は、 センサ片の大きさと関係しており、電子線中に生じる影が、通常の視認条件下において表示される画像を大きく損なうことのないようにする。 【0047】前述の本発明の実施例は、電界放出、光放出、熱イオン放出、又はMIMの各技術に基づく面状カソードからの電子放出密度の変動を排除する問題を解決する。 しかしながら、本発明の適用はこれらの技術に限定されるわけではなく、薄膜電界放出(thin field emis sion)、電界放出金属絶縁体複合体(field emission met al-insulator composites)、熱電子冷カソード(hot ele ctron cold cathode)、2次放出カソード(second emiss ion cathode)、及びガス・プラズマ・カソードの各技術等、同様の面状カソードにおける同じ問題及び他の問題を解決するために同様に適用可能である。 【0048】本発明を実施する1280×1024のウェルによる磁気マトリクス表示装置の一般的例では、1 mAまでのカソード負荷により画素ウェル当たり0.1 8μAが供給される。 従って、表示用の平均電子線流は、通常、52%透過の面プレートにより、輝度100 カンデラ/m 2において180μAである。 【0049】以下は、電界放出、光放出、熱イオン放出、及びMIM面状カソードの各技術の詳細な説明である。 【0050】先ず、光放出カソード技術では、小さい面状カソードにおける所与の光放出材料が、平均35mA の電流で132Aまでのピーク電流を供給できる。 比較的大きな面状カソードは、可視及び赤外の双方の波長において使用可能である。 このようなフォト・カソードは、通常、0.5%から25%までのフォトン効率を有する。 一般に、このようなフォト・カソードは、3層又は4層の薄膜層を有する。 例えば、(S−10として一般に知られている)Bi−Ag−O−Csは、6%の効率を有し、比較的低抵抗である。 よって、電気化学劣化を引き起こすほどの大きな電流降下なくして比較的高電流を発生できる。 25%までの比較的高い効率は、(S −20として一般に知られている)Na 2 KSbCs等のマルチアルカリ材料から得られる。 しかしながら、このような材料は一般に高抵抗であるので、最大使用電流が制限される。 S−10及びS−20等の材料の製造では、通常、真空中での薄膜蒸着を行う。 この工程は、最初に空気中で処理可能な材料(例えば酸化銀層等)でガラス基板を被覆することにより簡素化することができる。 そして、真空とした後、残りの構成要素からなる加熱素子を幾つかの温度レベルに通して、各構成要素を順に蒸着する。 セシウム表面は反応性が高いため、酸素や他の気体により汚染されやすい。 従って、良好なゲッターを具備する高真空が望ましい。 【0051】O'keefe及びVineによる「A High Resoluti on Image Tube for Integrated Circuit Fabrication (集積回路製造のための高解像度イメージ管)」(Acade mic Press, NY, 1969, Vol. 28A, pp47-59)には、電子線集積回路レジスト露光のための電子線画像装置が記載されている。 この装置は、空気安定性7cm直径紫外フォト・カソードを有し、このカソードは、水銀ランプにより照らされる4nmのパラジウム層をもつ。 フォト・ カソードの感度は、200μA/ワットであり、100 μA/cm 2までの定電流密度を有する。 前述の本発明の実施例である表示装置内の磁石に近いエミッタ領域においては、各ウェルに対応する放出領域が通常2×10 -4 cm 2である。 従って、1000μA/cm 2の放出密度が望ましい。 しかしながら、仕事関数の低い他の材料、例えば金等をパラジウムに置き換え、クリプトン・ ランプ等の低波長のランプを水銀ランプに置き換えることができる。 電子放出は、放出材料の仕事関数とランプの励起電子ボルトとの差の二乗の関数として増加するようなので、電流レベルをさらに高くできる。 実際には、 レジストからの気体放出がカソードを汚染する。 しかしながら、通常の真空中では、磁気マトリクス表示内で見られるように、カソードは無限の寿命をもつ。 【0052】一般に、面状フォト・カソードの放出面全体にわたって均一な放出は稀である。 しかしながら、前述のように本発明の好適例では、閉ループ電流検知帰還システムを介して均一性が維持される。 さらに前述のように、電流検知帰還システムもまた長期間のカソード効率を追跡でき、ランプ電力を変化させることによりその損失を補償することができる。 【0053】フォト・カソードは、熱イオン・カソードにおける磁石過熱の問題を排除する。 製造の簡素化の観点から、紫外光活性化貴金属フォト・カソードが好適である。 【0054】ここでMIMカソードに戻ると、アルミニウム−酸化アルミニウム−金のMIM薄膜構造に比較的低い約10Vから20Vの範囲の電圧を印加することにより、この構造から真空中での電子放出が得られる。 この機構の問題は、効率がわずか1%ということである。 さらに、この機構により発生される電子線流は、不安定な傾向があり、寿命が短くなりがちである。 短い寿命は、ベース金属へ透過する金イオン拡散及び放出サイトの短絡に起因する。 この構造に対する修正においては、 ベースのアルミニウム層、緻密な酸化アルミニウム層、 多孔質酸化アルミニウム層、及び不連続金層を設ける。 この修正により、20Vの印加電圧で1%の効率が得られ、1mA/ワットの電子放出が生じる。 放出密度は、 100mA/m 2まで高くなり、寿命は5000時間に達する。 寿命の延長は、多孔質酸化アルミニウム層が金イオン拡散を阻止して短絡を防ぐためと考えられる。 この修正構造も、まだかなり不安定な電流源であり、10 μAにおいてピーク〜ピーク間で5%の変動がありかつ電流レベルが低下すると変動が大きくなる。 【0055】本発明を実施した磁気マトリクス表示装置の例においては、カソードがMIMカソードである。 寿命が制限される問題は、MIMカソードを、ウェルの列に平行な方向に延びる複数の個々に駆動可能なカソード片へ分割することにより解決される。 MIMカソードの各カソード片は、別々のウェルの列に対応する。 動作においては、対応するウェルの列が駆動されると、各カソード片が順次駆動される。 本発明の他の実施例においては、ウェルの各列が、カソードの選択的に駆動できるカソード片群に対応していてもよい。 この機構は、製造及び関連するカソード駆動回路を簡素化する。 特に好適な実施例では、画面上の隣接する画素の列がオフに維持されるようにカソード片群がずらされることにより、隣接する画素間のクロストークを低減する。 リフレッシュ速度が比較的遅い場合は、電子放出が必要とされる時点の前にカソード片を駆動することができる。 このようなM IMカソード構造は、比較的簡易で低コストな蒸着及び自己抑制陽極成長(self-limiting anodic growth anodi sing)により作製することができる。 突出型電極は、ホログラフィック露光により10〜100μmの範囲の直径の小さな島を堆積させることができる。 カソード片は、プリント回路基板精密フォトリソグラフィ及びエッチングにより作製できる。 最上層は、完全に平坦な零ボルト平面を設けるためにエッチング後には触れないままにしておくことが望ましい。 実験から、これらのカソードが空気安定性をもつことが示された。 これは、これらのカソードが400℃の真空焼きの後にも損失なく放出特性を回復することを意味する。 【0056】前述のように、本発明の好適な実施例では、MIMカソードにより発生される電子流の不安定性が、閉ループ電流検知帰還システムにより排除される。 【0057】本発明の好適な実施例では、表示装置が、 平面カソードと、永久磁石と、カソードからの電子を受けるために磁石の対向する磁極の間に延びるチャネルの行と列からなる2次元アレイと、複数の蛍光体画素を有し各画素が別々のチャネルに対応しかつ各画素が磁石のカソードから遠い側の面に向いている画面と、カソード手段と磁石との間に配置されたグリッド手段と、画面と磁石との間に配置されたアノード手段と、各チャネルを通るカソードから対応する画素への電子の流れを制御するためにグリッド電極手段へ制御信号を供給するアドレス手段と、チャネルを通る電子を加速するためにアノード手段へアノード駆動信号を供給するアノード駆動回路とを具備する。 そして上記カソードが、チャネルの列に平行な複数の選択的に駆動可能なカソード片を有し、各片が、チャネルの列の別々のサブセットに対応する。 各サブセットは、複数のチャネルを含むことが好ましい。 【0058】熱イオン・カソードについては、通常の熱イオン・フィラメント・エミッタの一例は、担体上に支持される酸化物被覆タングステン・ワイヤのアレイを有する。 これらのワイヤは、通常、1〜20μmの太さである。 動作においては、電流を流すことによりワイヤを普通700℃に加熱する。 酸化物被覆は、通常、CaC O 3 、SrCO 3 、及びBaCO 3の混合物の堆積により生成される。 装置を真空とした後、加熱によりカソードが駆動される。 これにより、これらの炭酸塩が分解して3種の酸化物が残される。 時間経過によるカソード放出劣化を軽減するためにスカンジウム、ユーロピウム、又はインジウムの酸化物等の第4の酸化物を含めてもよい。 電流を流すことによるワイヤの直接加熱は、ワイヤの長さに沿って電圧降下を生じさせる。 これにより、カソード面上においてすなわちワイヤの向きに依存してウェルの行又は列に沿って、カソードに対するグリッド電圧に変動を生じる。 グリッド駆動回路は、グリッド駆動電圧を適切に補償するべく適応することができる。 しかしながら、このことはグリッド駆動回路を複雑にする。 別の方法として、各ワイヤの両端を交流源により駆動することにより、ワイヤが列に平行である場合に、対応する駆動された行の下での零電圧が実現される。 【0059】ワイヤに沿った電圧降下から生じる問題は、ワイヤを間接的に加熱することにより解決することができる。 本発明の所与の実施例では、Al 2 O 3の層で被覆されかつさらに細いタングステン・ワイヤの連続コイルで包まれたタングステン・ワイヤによりカソードを構成することができる。 完成したカソード構造は、酸化物で被覆される。 動作中、中心のワイヤは交流若しくは直流の電流の通過により加熱され、外側のコイルは零電圧に維持される。 【0060】酸化物カソードは、通常、720℃で動作する。 フェライトベースの永久磁石は、通常、450℃ のキュリー点を有する。 そして、磁石が熱イオン・カソードに近接して配置されている場合、カソードから磁石を熱的に絶縁することが望ましい。 なぜなら、本発明の好適な実施例においては、カソードと磁石は双方とも真空中に配置されるので、唯一の熱伝導経路は、放射を介するものだけだからである。 熱は、カソードの周りに均一に放射される。 従って、磁石へ到達するのは、熱全体の半分未満である。 磁石は、比較的大きな熱容量を有しており、特に好適例ではその両端がヒートシンクへ接続される。 【0061】加熱ワイヤ熱イオン面状カソード(一般に、「バーチャル・カソード」と称される)の典型例においては、直接に加熱されるフィラメント片がデフレクタ・プレートの前に置かれる。 フィラメント末端における冷却に起因する放出の低下を補償するために片の周辺にサイド・プレートが配置される。 ワイヤ・メッシュ・ ディレクタ・グリッドが、フィラメント片の上方におかれる。 動作中、ディレクタ・グリッドは、フィラメント片から電子を引き出して、それらの電子を制御グリッド積層体へと向ける。 これらのカソード動作の基本は、細い片のソースから電子を抽出してそれらを拡散することにより、制御グリッド上へ均一な電子の流れを与えることである。 しかしながら、実際には、電子の経路上のいかなる構造であってもターゲット上に影を生じる傾向がある。 表示への適用においては、このような影は、画面上で視認し得る影響を及ぼすことがある。 【0062】前述のように、本発明の好適例では、加熱ワイヤ面状カソードにより生成される電子流の均一性が、閉ループ電流検知帰還システムにより維持される。 【0063】本発明の特に好適な実施例では、加熱ワイヤ面カソードの上方100μmの周囲に導電性接地板を配置することにより、零電圧のカソード平面が実現される。 接地板は、100μmの直径の孔のアレイにより孔開けされており、各孔が別々の画素ウェルへ対応する。 動作中、カソード・ワイヤは、接地板に対して僅かな電圧に維持される。 よって、カソード・ワイヤから抽出される電子は、接地板の背後に反射される。 制御グリッドの正の電位は、接地板の背後から電子をウェルへと引き出す。 接地板は、100μmのホウ素シリカガラス上にアルミニウムをスパッタ若しくは蒸着(等)し、孔をエッチングすることにより作製される。 【0064】電界放出カソード技術については、通常の電界放出カソードが、モリブデン等の原子的に鋭い先端部をもつ材料のアレイを有する。 動作中、カソード制御グリッドを介して非常に強い電界が先端部へ印加される。 この電界により、熱を与えることなく電子が先端部から引き出される。 カソード制御グリッドと先端部の間の電圧30Vは、通常、電子流を生成するために十分な電界強度を実現する。 本発明の所与の実施例においては、カソード制御グリッドが、個々にアドレス指定可能な行及び列へ分割されることにより、先端部アレイ中の別々の領域を選択的に駆動することができる。 【0065】前述のように、本発明の好適例では、電界放出カソードにより生成される電子流の均一性が、閉ループ電流検知帰還システムにより維持される。 さらに、 この帰還システムは、電界放出カソードにおける長期の経時的影響を補償するためにも用いられる。 本発明の所与の実施例における電界放出カソードは、前述のMIM カソードと類似の方法により、選択的にアドレス指定可能な片へと分割することによってカソードの寿命を延ばすことができる。 【0066】まとめとして、本発明に関して以下の構成を開示する。 【0067】(1)電子線を形成する電子を供給するカソードと、前記カソードから離間して前記電子線を受けるアノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置されたセンサ電極とを格納する真空管を有する真空電子装置。 (2)前記センサ電極が、前記カソードから前記アノードへの電子線の経路へと延びる上記(1)に記載の真空電子装置。 (3)前記センサ電極が、前記電子線の経路の中心軸上に配置された先端部を具備する三角形部分を有する上記(2)に記載の真空電子装置。 (4)前記センサ電極が、前記電子線の経路の直径について対向する両側の間に渡される延長部分を有する上記(2)に記載の真空電子装置。 (5)前記カソード及び前記センサ電極との間に置かれたグリッド電極と、前記カソードから前記アノードへ流れる電子線流を制御するために前記グリッド電極上に制御電圧を発生するグリッド電圧発生器と、基準電子線流を維持するためにセンサ電極から検知される検知電流に応答して前記制御電圧を変化させるべく前記グリッド電圧発生器へ接続された帰還手段とを有する上記(2)乃至(4)のいずれかに記載の真空電子装置。 (6)前記帰還手段が前記基準電子線流を決定するために可変バイアス手段有する上記(5)に記載の真空電子装置。 (7)前記カソードが面状カソードを有する上記(5) 又は(6)に記載の真空電子装置。 (8)前記帰還手段が前記センサ電極により検知された前記検知電流に応答して前記面状カソードに対して供給される駆動電圧を変化させる駆動手段を有する上記(7)に記載の真空電子装置。 (9)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の真空電子装置を有する陰極線管表示装置。 (10)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の真空電子装置を有する電界放出表示装置。 (11)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の真空電子装置を有する磁気マトリクス表示装置。 (12)面状カソードと、永久磁石と、前記カソードからの電子を受けるべく前記磁石の対向する磁極間に延びるチャネルの行及び列からなる2次元アレイと、各々が別々のチャネルに対応しかつ各々が前記カソードから遠い側の前記磁石の面に対向する複数の蛍光体画素を有する画面と、前記カソード手段と前記磁石との間に置かれたグリッド電極手段と、前記画面と前記磁石との間に置かれたアノード手段と、各チャネルを通る前記カソードから前記対応する画素への電子の流れを制御するべく前記グリッド電極手段へ制御信号を供給するアドレス手段と、前記チャネルを通る電子を加速するために前記アノード手段に対してアノード駆動信号を供給するアノード駆動回路とを有し、前記カソードが前記チャネルの列に平行な複数の選択的に駆動可能なカソード片を具備しかつ各カソード片が前記チャネルの列の別々のサブセットに対応する表示装置。 (13)前記各サブセットが複数のチャネルを有する上記(12)に記載の表示装置。 【図面の簡単な説明】 【図1】汎用的二極管真空電子装置の概略図である。 【図2】センサ板を有する二極管真空電子装置の概略図である。 【図3】二極管センサ回路へ接続された図2の二極管真空電子装置のブロック図である。 【図4】二極管センサ回路の一例の回路図である。 【図5】三極管真空電子装置用のセンサ回路の一例の回路図である。 【図6】図5のセンサ回路へ接続された三極管真空電子装置のブロック図である。 【図7】グリッド電圧帰還制御システムへ接続された図6の三極管真空電子装置のブロック図である。 【図8】図7の帰還制御システムの一例の回路図である。 【図9】センサ板の2つの例を示す平面図である。 【図10】図7の帰還制御システムの別の例を示す回路図である。 【図11】グリッド電圧及びカソード電圧の帰還制御システムへ接続された三極管真空電子装置のブロック図である。 【図12】磁気マトリクス表示装置の一例の概略的な断面図である。 【図13】磁気マトリクス表示装置の別の例の概略的な断面図である。 【図14】磁気マトリクス表示装置の一例の平面図である。 【符合の説明】 10 真空管 20 カソード 30 アノード 40 導電板 41 センサ片 50 検知回路 60 電流シンク 70 グリッド電極 71 第1グリッド 72 第2グリッド 80、100 反転増幅器 110 帰還制御回路 140 永久磁石 150 蛍光体皮膜 160 ウェル ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンドルー・ラムゼイ・ノックス イギリス国ケイ・エイ・トゥエンティファ イブ・セブン・ジェイ・ゼット、キルバー ニー、ミルトン・ロード、ガーノック・ロ ッジ(番地なし) |