【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、偏向ヨークに係り、特に、この偏向ヨークに取り付けられている基板(端子板を含む)上に取り付けられ、コイル等のリード線をからげて半田付けにて接続する端子の形状に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、テレビジョン等に用いられるブラウン管などの冷陰極管は、次のように形成されている。 図20は一般的な偏向ヨークの一例を示す図、図2 1は偏向ヨークをネック側の斜め方向から見た斜視図である。 図20の状態において上側をネック側、下側をフェイス側と称す。 図中、図20及び図21中において、 1はセパレータ、2はセパレータ1のネック側に設けられたフランジであり、通常は複数枚設けられる。 2a、 2bはネック側フランジ2の一部に弾性をもたせて一体成形した爪、3は水平偏向コイル、3'は水平偏向コイル3のリード線、4は垂直偏向コイル、4'は垂直偏向コイルのリード線、5はフェライト等からなるコア、6 はいわゆる4Pコイル、6'は4Pコイル6のリード線、7は電気回路を搭載した基板であり、この基板7には複数の電気部品ELが取り付けられている。 【0003】8は偏向ヨークに電流を供給するために、 後に電源と接続するコネクタ、9はコネクタ8と基板7 を電気的につなぐコネクタワイヤーである。 図21において、7aは基板に開けられた略角形の穴、7bは各リード線を通すために基板7の周辺部に設けた複数の溝、 7cはコネクタワイヤー9を通すために基板7に設けた穴、9'はコネクタワイヤー9のリード線、10は基板7に装着される略円柱状の端子である。 図22は従来の端子を基板に装着する様子を示す説明図、図23は基板に装着された従来の端子を示す拡大図である。 【0004】7dは端子10を差し込むために基板7に数カ所開けられた差し込み穴、10aは端子10の一部を略フランジ状に成形した台座、10bは台座10aより基板7に挿入される側の部分である根元、10cは台座10aより端子先端側の部分であり、基板装着時に外部に露出される。 図24は偏向ヨーク組立前の基板の状態を示す図である。 図24において、11はコネクタ8 とコネクタワイヤー9が結合された一体物であり、これをコネクタアッセンブリーと称し、その他の符号は図2 1と同じである。 【0005】図25は図20に示す偏向ヨークをネック側から見た図であり、端子10に半田付けする方法を説明するものである。 図26は半田槽を斜め上方から見た斜視図である。 偏向ヨークは図20のように、通常は鞍型に巻き線された水平偏向コイル3と、同じく鞍型に巻き線された垂直偏向コイル4をそれぞれ電気的に絶縁して保持するための一対のラッパ型セパレータ1(以下、 セパレータと称す)に組み込み、垂直偏向コイル4の外側にコア5を装着している。 【0006】通常、偏向ヨークには偏向特性を補正する回路等を必要とする場合があるので、図20に示すように回路等を搭載した基板7が取り付けられ、また、各コイル等のリード線を中継させるための回路等を搭載しない図示せぬ端子板(以下、基板とは端子板を含む概念である)が取り付けられる場合があり、偏向ヨークの種類によってはセパレータ1の最もネック側のフランジ2c 上に一対の4Pコイル6が嵌着される。 基板7をセパレータ1に取り付ける方法は、図21に示すようにセパレータ1のネック側フランジ2に設けられた複数箇所の爪2a、2bを、基板7に設けた複数の角穴7aにはめ込んで固定する。 【0007】尚、基板7には各コイルのリード線やコネクタワイヤー9のリード線9'等をからげるための略円柱状の端子10が、通常は以下に述べる方法により各コイルのリード線を接続し易い位置にあらかじめ装着されている。 端子10には図22のように基板装着側の一部をフランジ状にした台座10aが設けてあって、端子1 0の根元10bは基板7の板の厚みよりも若干長くしてある。 また、基板7には端子10を取り付ける位置に略円形の差し込み穴7dが開けてあって、図23に示すように差し込み穴7dに端子10の根元10bを台座10 aが基板7と当たるまで押し込むと、根元10bの端部が基板7の裏面にわずかに飛び出すようになっており、 その基板7の裏側に飛び出した部分を図23中の点線のようにかしめることで端子10が基板7から抜けないように固定してある。 【0008】以上のように端子10を装着した基板7には、別工程にて図24に示すコネクタアッセンブリー1 1を取り付ける。 その取付方法は図24に示す様に、まず基板7に開けられた穴7cにコネクタワイヤー9を通してこのリード線9'を端子10にからげる。 この場合、そのからげ部分はリード線と端子が仮に半田付けされた状態で偏向ヨーク組立工程に搬入されるものもあれば、組み立てる偏向ヨークの種類によっては端子10にリード線9'をからげただけの状態で搬入されるものもある。 【0009】そのように基板7にコネクタアッセンブリー11が取り付けられた図24に示すような一体物を基板アッセンブリーと称する。 偏向ヨーク組立工程では図21で説明したようにアッセンブリー11をセパレータ1に組み付けて、からげ作業を行い易いように必要な長さにしてある各コイルのリード線を、図21に示すように基板7の端部に設けられた溝7bを通しつつ各リード線にたわみが生じないように端子10の方向に引っ張りながら自動からげ機や手作業によって端子10の根元に数回からげながら端子先端までからげ上げて余分なリード線を切断する。 そして、基板7に装着された端子10 の配列に沿った形、例えばコの字形状をした図26に示す半田槽12に図25のように偏向ヨークを半田槽12 の上方からつけるように半田12Aに浸して各リード線と端子10を半田付けしていた。 【0010】しかし、出来上がった偏向ヨークを持ち運びする時などに図27に示す基板10のフェイス側端部を押すような力Fがかかってしまうと、図28のようにセパレータ1の爪2a,2bが弾性変形することによって基板7は爪2a、2bを中心に回転してしまい、4P コイル6のリード線6'が無理に引っ張られて断線してしまう場合があった。 そこで、この断線を防止するために、4Pコイル6のリード線6'を端子10にからげる際、まず、図29(A)に示すように治具17等によってリード線6'を強制的にたわませながらからげて、次に図29(B)のように治具17を外してリード線6' を緩ませてから余分なリード線6'を切断して半田付けしていた。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の端子10は各リード線をからげる部分が略円柱状になっているので端子表面が滑り易く、各リード線を端子10 の方向に引っ張りながらからげているとはいえ、図29 (B)に示すように4Pコイル6のリード線6'をからげた後に治具17を外すと端子10にからげた部分がコイル状になって縮んでしまったりして、図30(A)に示すようにリード線6'のからげ部20の位置が端子1 0の根元側に集中したり、逆にリード線6'を端子10 にからげる時の引っ張り具合によっては図30(B)のように端子からげ部20が10の先端に集中してしまったり、更には図30(C)に示すようにリード線6'のからげ部20の全体が緩んでしまったりするので、それら各状態の全ての端子10を確実に半田付け出来るように、従来の略円柱状の端子10の半田付けは図31に示すように端子10の根元まで半田槽12の半田12Aに浸していた。 【0012】そして、図32に示すように、端子10の根元まで半田付けされたからげ部20を、例えば4Pコイル6の部分について拡大してみると、端子10の半田12Aの境界部分Aからリード線6'が直接的に4Pコイル6の方向に引き出されることになっているものがあって、偏向ヨークの出荷輸送時に車両振動等の長時間の加振によって、図33に示すようにリード線6'に6' aのような繰り返しのたわみや曲げが働いて境界部分A に過大な負荷が集中することになり、リード線6'が境界部分Aで断線してしまうという品質に関係する非常に重大な問題が生じていた。 【0013】また、図24に示す一体構成の基板アッセンブリーは前述のように端子10にコネクタワイヤー9 のリード線9'をからげただけの状態で搬入されるものもあるが、そのような状態で搬入される基板アッセンブリーに車両輸送による長時間の振動が加わったり、リード線9'のからげ部が元に戻ろうとする力、すなわち復元力によって、からげ部が緩んで図34に示すように端子10からコネクタワイヤー9のリード線9'が外れてしまうようなリード線9”があって、そのまま偏向ヨークの組立工程に投入された場合などにはセパレータ1に基板アッセンブリーを組み付ける時点でコネクタワイヤー9のリード線9'をからげ直すという無駄な作業が必要となり、更には、セパレータ1に基板アッセンブリーのリード線9'をからげ直す作業者はコネクタワイヤー10の配線図面を確認したりする手間がかかり、作業者によっては誤配線を起こす危険が非常に高いという問題もあった。 【0014】更に、端子10を根元まで半田槽12に浸すということは、同時に基板自体も数百度にも加熱された半田12Aに近接してしまうことになるので、基板7 が焦げてしまったり、基板7上に配置された電気部品E L等が焼け落ちて、折角、組み上げた偏向ヨークが台無しになるという問題も生じていた。 本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものであり、その目的は、リード線がこれをからげた端子から緩んだり、外れたりすることを防止できると共にリード線が半田境界部分にて断線するのを防止することができる偏向ヨークを提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するために、水平偏向コイル及び垂直偏向コイルを保持するセパレータのネック側に、リード線が巻回され半田付けされる端子を有する基板を備えた偏向ヨークにおいて、前記端子に断面形状が略円形の部分とその部分に連接する断面形状が角部を有する形状の部分とを設け、前記断面形状が略円形の部分と前記断面形状が角部を有する形状の部分とにリード線が巻回されており、前記断面形状が角部を有する形状の部分の内の前記リード線が巻かれた部分の少なくとも1部は半田付けされており、前記断面形状が略円形の部分の内の前記リード線が巻かれた部分の少なくとも一番前記基板側から所定の範囲部分は半田付けされていないように構成したものである。 【0016】これにより、端子の断面形状が角部を有する形状の部分にリード線が巻かれると、この部分は、緩み難くなるので、リード線が端子から外れ難くなる。 また、端子の内、一番基板側に近い部分で、断面形状が略円形の所定の部分には半田を付けないようにしているので、この部分に巻き付けられたリード線がスプリングのように端子に沿って弾性的に伸縮することができ、従って、この部分に張力等が加わってもこれを吸収することができるので、リード線が破断等することを防止することが可能となる。 上記断面形状が略円形の部分としては、例えば端子の円柱状部が対応し、また、断面形状が角部を有する部分としては、例えば端子の角柱状部が対応する。 【0017】 【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る偏向ヨークの一実施例を添付図面に基づいて詳述する。 図1は本発明の偏向ヨークに用いる第1の実施例の端子を示す斜視図、図2は図1に示す端子の円柱状部を示す断面図、図3は図1に示す端子の角柱状部を示す断面図、図4は端子を基板に装着してリード線をからげる方法を示す図、 図5は端子にからげたリード線に半田付けした状態を示す図である。 【0018】ここで説明する本発明の特徴とする端子は、図20及び図21に示す偏向ヨークの端子10の代わりに用いられるものであり、従って、この端子以外の他の部分の構成は、先の図20〜図34において説明した構造と全く同様なので、同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。 図1乃至図3において、 13は本発明の特徴とする端子、13aは、これを基板7(図4参照)をはめ込む根元13bの長さを規制するフランジ状の台座、13cは端子の断面形状が図2に示すように略円形となる部分、すなわち円柱状部であり、 台座13aに連接している。 【0019】13dは端子の断面形状が図3に示すように角部13d'を有する部分、すなわち角柱状部である。 この角柱状部13dは、上記円柱状部13cより連接されている。 13d'は端子13の先端部である角柱状部13dを略四角状にすることで形成される角部である。 このような形状の端子13は、例えば図23に示すような従来の円柱状の端子10の先端側をかしめて扁平にすることにより、容易に作ることができる。 図4は本発明の特徴とする上記端子13を基板7に装着し、一例として4Pコイル6のリード線6'を端子13にからげた状態を端子13の横方向から見た拡大図であり、半田付けする前の状態である。 【0020】図5は図4の状態のものを半田付けした場合を説明するために端子13の横方向から見た図であり、半田12Aの部分は断面にしてある。 本発明は、上述のように基板7に装着するリード線をからげて半田付けする略円柱状の端子について、図1に示すように各リード線をからげる部分の断面が図2に示すように略円柱状であるところの部分、すなわち円柱状部13cと、図3に示すように角部13d'を設けた略四角状の断面を有する部分、すなわち角柱状部13dがあることを特徴とする。 これにより端子10にからげている各リード線の断線等に対し非常に有効な改善効果が得られるのである。 【0021】本発明の特徴とする端子13は従来の端子10と全く同じ方法で基板7に組み付けることができて、各リード線をからげる方法も従来と全く同じにできる。 基板7に装着された端子13に、例えば4Pコイル6のリード線6'をからめる場合について述べると、図4(A)に示すように従来方法と同じく治具17等を用いてリード線6'を強制的にたわませて、リード線6' を端子13の方向に引っ張りながら端子13の根元側の略円柱状の円柱状部13cで数回からげて、そのままその先端側の角柱状部13dまでからげ上げて治具17を外し、からげきれずに余った余分なリード線を切断する。 【0022】そうすると図4(B)に示すように、円柱状部13cにからげたところは円柱状部表面との摩擦量が少ないことから従来のように緩んだ状態になるが、角柱状部13dにからげたところはリード線6'がこの角部13d'(図3参照)に食い付いて摩擦量が多くなり、リード線6'はしっかりと端子13に固定されて緩まないようになる。 また、端子13を半田付けする部分はリード線6'がしっかりからげられている部分を含んでいれば固定されるので、リード線6'をからげた端子13を半田槽に浸す部分は従来のように根元まで浸す必要はなく、先端の角柱状部13dのリード線6'がしっかりからげられている部分を半田付けすれば良い。 すなわち、図6に示すように、リード線6'を端子13にからげた状態で、この端子13の角柱状部13d部分を半田槽12の半田12Aに浸し、ここで半田12Aを付着させる。 これにより、図5に示すように、略角柱状部1 3dのみに半田12Aが付着することになる。 【0023】それゆえ、本発明の端子13を半田付けした後の状態は、図5のように端子先端の角柱状部13d にリード線6'がしっかりとからげられた半田部分と、 端子根元側の円柱状部13cにリード線が緩みをもって数回からげられた未半田部分を有することになるので、 先に説明した図32では半田の境界部分Aからリード線がコイルの方向に直接引き出されていたが、ここではそのようなことがなくなり、偏向ヨークにかかる車両振動等による加振によってリード線6'自体が振動した場合は、図7(A)及び図7(B)に示すように円柱状部1 3cに緩みを持って巻かれたリード線6'はバネ構造的に端子13の長手方向に伸び縮みしてバネ効果を発揮し、その結果、角柱状部13dの半田12Aからリード線6'が引き出ている半田の境界部分Bにかかる力は非常に小さくなり、リード線6'が断線することは無い。 尚、半田付け部分は、角柱状部13dのリード線がからげられた部分のうちの一部分だけでもよいし、角柱状部13dから円柱状部13cに多少はみ出してもよい。 【0024】本発明の端子13における以上の効果は4 Pコイル6のリード線6'に限られる事は無く、同じ基板7上の全てのリード線が対応する端子10の先端部分の角柱状部でしっかりとからげられるため、従来のように端子を根元まで半田槽12に浸す必要は無く、全ての端子13において先端の角柱状部13dにリード線がしっかりからげられた部分のみを半田槽12に浸せば良いので、半田槽12の半田液面と基板7との距離を従来の場合(図31参照)よりかなり長く設定することが出来て(図6参照)、基板7に装着してある電気部品や基板自体が焼けるという問題も解消する事が出来る。 【0025】図24で説明したコネクタアッセンブリー11のリード線9'が端子にからげられただけの状態で搬入されるものについては、本発明の端子13を用いれば、半田付けをしなくても角柱状部13dにてリード線9'はしっかりと巻かれるため、からげた後に角柱状部13dのリード線9'が緩む事は無く、従来例に見られた図24の基板アッセンブリー状態において輸送中の車両振動等による加振によってリード線9'が端子から外れるという問題も無くすことができる。 尚、上記実施例では、端子13に円柱状部13cと角柱状部13dをそれぞれ1カ所ずつ設けたが、これに限定されず、例えば図8に示すように、端子13の先端に、上記角柱状部1 3dに連接させて長さの短い新たな円柱状部13eを設けるようにしてもよい。 【0026】また、本発明の端子13には1つの角柱状部13dを設けたが、これを或いはこれと同じ機能を有するものを複数箇所設けても良く、その実施例を図9に示す。 図9は本発明の別の実施例を示す端子の斜視図、 図10は図9に示す端子の円柱状部の断面図、図11は図9の端子の断面形状が角部を有する部分を示す断面図、図12及び図13は図9に示す端子を基板に装着してリード線をからげる方法を示す図、図14は端子にからげたリード線に半田付けした状態を示す図、図15は先の第1実施例の端子の角柱部分に太さの大きなリード線をからげた時を示す断面図である。 【0027】図中、14は本発明の別の実施例の端子であり、14aは端子14の根元14bの長さを規制するフランジ状の台座、14c、14e,14gは端子の断面形状が図10に示すように略円形になる円柱状部(断面形状が略円形の部分)である。 14d、14fは端子14の一部を断面形状が図11に示すように略四角形状にして角部14d'、14f'有するようにした部分であり、以下、かしめ部と称す。 この部分は円柱状の端子を部分的にかしめることによって容易に形成することができる。 14d'、14f'はかしめ部14d、14f を断面略四角状にすることで設けた角部である。 【0028】図12乃至図14は端子14を基板7に装着し、4Pコイル6のリード線6'をからげて半田付けした状態を示す。 尚、半田12Aの部分は断面状態を示す。 図15は先の第1の実施例の端子13に一本が比較的太い4Pコイル6のリード線6”をからげた時の、角柱状部13dについて断面にしたものである。各コイルのリード線には様々な種類があって、何本もの細いリード線を束にしてひとまとまりのリード線としている場合には線のばらけ防止のため、予め予備半田と称する半田付けをしてあったり、一本が比較的太いリード線を使ったりするものもある。 【0029】このような予備半田がしてあったり、線径が太いリード線6”を先に説明した端子13に設けた角柱状部13dのように略四角状の断面に何ターンもからげると、リード線6”の復元力が強くなって図15のように角柱状部13dとリード線6”の間に隙間15が出来て、半田での接合性が悪くなる場合がある。そのような比較的固いリード線6”の場合には、リード線6”と端子14との隙間の少ない円柱状部14eにおいて半田付けできるので、図9に示す本発明の別の実施例である端子14が有効なのである。ここで、図12及び図13 を用いて端子14に比較的太い4Pコイル6のリード線6”を接続する場合について説明する。 【0030】図12に示すように、まず、第1の実施例の端子10の場合と同様にリード線6”を治具17等を用いてたわませてリード線6”を端子14の方向に引っ張りながら、基板7に近い部分である円柱状部14cから端子先端の円柱部14gまでリード線6”をからげて図13に示すように治具17を外し、からげきれずに余った余分なリード線6”を切断する。 そうすると、図1 3に示すように端子の根元付近の円柱状部14cにからげたところは第1の実施例の端子13の場合と同様に緩みが生じるが、かしめ部14dから2つ目のかしめ部1 4fの間の円柱状部14eにからげたところは、両端がかしめ部14dと14fによってしっかりからげられているために、治具17を外しても緩むことはない。 【0031】また、リード線6”をからげた端子14を半田付けする部分は、2つ目のかしめ部14fのリード線6”がしっかりとからげられた部分を半田付けするだけでリード線6”は固定出来るが、リード線6”と端子14との隙間が少なくてリード線6”がしっかりとからげられている円柱状部14eまで図14に示すように半田付けすれば、より確実にリード線6”と端子14を半田付けで固定することができる。 すなわち、リード線6”は隙間の少ない円柱状部14eに確実に半田で固定される。 【0032】以上のように端子14に比較的太いリード線6”をからげて半田付けした状態は図14のようになり、リード線6”がしっかりとからげられた半田部分1 4hと端子の根元部分のリード線が緩みをもって数回からげられた未半田部分14iを有することになり、先の図7で説明した第1の実施例の端子13の未半田部分1 3cと同じバネ効果が得られる。 要するに、断面形状が角部を有する形状の部分の内の前記リード線が巻かれた部分(例えば14d、14f)の少なくとも1部(例えば14f)を半田付けし、断面形状が略円形の部分の内の前記リード線が巻かれた部分(例えば14c、14 e)の少なくとも一番基板7側から所定の範囲部分(例えば14i)を半田付けしないようにすれば本発明の効果が得られる。 ここで、所定の範囲部分とは、緩みをもってからげられたリード線が外的振動による断線を防止するのに十分な弾性効果を発揮できるような範囲部分のことである。 尚、端子14における先端部の円柱部14 gは端子を製造する上で設けたものであって図16に示すように無くても良い。 【0033】また、図3、図11で説明した角柱状部1 3d及びかしめ部14d、14fの断面形状は、リード線が食い込む角部のような形状が形成されていればよく、例えば図17(A)に示すように断面十字形状としたり、図17(B)に示すように円柱の一部を円弧状に切り落とした形状としたり、図17(C)に示すように円柱の一部を90度の角度で切り落とした形状としたり、図17(D)に示すように円柱の一部を断面凸状となるように切り落とした形状として、複数の角部16を形成するようにしてもよい。 更に図18に示すように四角柱状部13d或いはかしめ部14d、14fに穴21 を設けて半田がこの穴21に貯まって端子13、14にからみ易くなるようにしても良く、また、図19に示すように表面にローレット加工18を施して半田が付着し易くなるようにしても良い。 【0034】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の偏向ヨークによれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。 端子の根元側に断面形状が略円形の部分(円柱状部)を設けて、ここにリード線が緩みを持って数回からげた未半田部分を設けることによって、その部分のリード線が外力を吸収するバネ機能を発揮し、端子にからげて半田付けされている各コイルのリード線が、外的振動により断線することを防止できる。 【0035】また、端子の一部を例えばかしめて断面形状が角部を有する形状としたので、リード線を半田付けしなくてもこれがしっかりと端子に食い付くようにからげる事が出来、従って、コネクタワイヤー等のリード線が端子にからげられただけの状態で搬入される基板アッセンブリーについて、端子にからげてあるコネクタワイヤー等のリード線がほつれて端子から抜けてしまうことを防止できる。 更に、端子を半田付けする際、基板と半田槽の距離を長く取ることができるので、基板上の電気部品や基板自体が焼けてしまうことを防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の偏向ヨークに用いる第1の実施例の端子を示す斜視図である。 【図2】図1に示す端子の円柱状部を示す断面図である。 【図3】図1に示す端子の角柱状部を示す断面図である。 【図4】端子を基板に装着してリード線をからげる方法を示す図である。 【図5】端子にからげたリード線に半田付けした状態を示す図である。 【図6】偏向ヨークの端子を半田付けする状態を示す図である。 【図7】端子にからげたリード線が伸び縮みする状態を示す図である。 【図8】本発明の他の実施例の端子を示す図である。 【図9】本発明の別の実施例を示す端子の斜視図である。 【図10】図9に示す端子の円柱状部の断面図である。 【図11】図9の端子の断面形状が角部を有する部分を示す断面図である。 【図12】図9に示す端子を基板に装着してリード線をからげる方法を示す図である。 【図13】図9に示す端子を基板に装着してリード線をからげる方法を示す図である。 【図14】端子にからげたリード線に半田付けした状態を示す図である。 【図15】先の第1実施例の端子の角柱部分に太さの大きなリード線をからげた時を示す断面図である。 【図16】本発明の更に他の実施例の端子を示す断面図である。 【図17】本発明の端子の角柱状部の変形例を示し断面図である。 【図18】本発明のまた更に他の実施例の端子の一部を示す斜視図である。 【図19】本発明の端子の円柱状部の変形例を示す斜視図である。 【図20】一般的な偏向ヨークの一例を示す図である。 【図21】偏向ヨークをネック側の斜め方向から見た斜視図である。 【図22】従来の端子を基板に装着する様子を示す説明図である。 【図23】基板に装着された従来の端子を示す拡大図である。 【図24】偏向ヨーク組立前の基板の状態を示す図である。 【図25】図20に示す偏向ヨークをネック側から見た図である。 【図26】半田槽を斜め上方から見た斜視図である。 【図27】基板のフェイス側端部に基板を外側から押す方向の力がかかった状態を示す図である。 【図28】基板のフェイス側端部に基板を外側から押す方向の力がかかった状態を示す図である。 【図29】基板の従来の端子にリード線をからげる状態を示す図である。 【図30】従来の端子にからげられたリード線が動く状態を示す図である。 【図31】従来の端子に半田付けを行なう状態を示す図である。 【図32】従来の端子に付けられた半田を示す拡大断面図である。 【図33】従来の端子に付けられた半田の境界部分のリード線がたわむ状態を示す図である。 【図34】従来の端子にからげられたリード線が外れた状態を示す図である。 【符号の説明】 1…セパレータ、2…フランジ、3…水平偏向コイル、 4…垂直偏向コイル、6…4Pコイル、6',6”, 9'…リード線、7…基板、10…端子、10a…台座、10b…根元、12…半田槽、12A…半田、13 …端子、13a…台座、13b…根元、13c,13e …円柱状部、13d…角柱状部(かしめ部)、13d' …角部、14…端子、16b…根元、16a…台座、1 4c,14e,14g…円柱状部(断面円形部)、14 d,14f…かしめ部(断面形状が角部を有する部分)、16…角部。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成10年6月11日 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】特許請求の範囲 【補正方法】変更 【補正内容】 【特許請求の範囲】 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0016 【補正方法】変更 【補正内容】 【0016】これにより、端子の断面形状が角部を有する形状の部分にリード線が巻かれると、この部分は、緩み難くなるのて、リード線が端子から外れ難くなる。 また、端子の内、一番基板側に近い部分で、断面形状が略円形の所定の部分には半田を付けないようにしているので、この部分に巻き付けられたリード線がスプリングのように端子に沿って弾性的に伸縮することができ、従って、この部分に張力等が加わってもこれを吸収することができるので、リード線が破断等することを防止することが可能となる。 上記断面形状が略円形の部分としては、例えば端子の円柱状部が対応し、また、断面形状が角部を有する部分としては、例えば端子の角柱状部が対応する。 また、本発明は、水平偏向コイル及び垂直偏向 コイルを保持するセパレータに、リード線が巻回され半 田付けされる端子を有する基板を備えた偏向ヨークにお いて、前記端子の前記リード線が巻かれた部分の内の少 なくとも一番前記基板側から所定の範囲部分は半田付け されていないように構成することにより、半田付けされ ていない部分のリード線が外力を吸収するバネ機能を発 揮し、端子にからげて半田付けされている各コイルのリ ード線が、外的振動により断線することを防止できる。 【手続補正3】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0035 【補正方法】変更 【補正内容】 【0035】また、端子の一部を例えばかしめで断面形状が角部を有する形状としたので、リード線を半田付けしなくてもこれがしっかりと端子に食い付くようにからげる事が出来、従って、コネクタワイヤー等のリード線が端子にからげられただけの状態で搬入される基板アッセンブリーについて、端子にからげてあるコネクタワイヤー等のリード線がほつれて端子から抜けてしまうことを防止できる。 更に、端子を半田付けする際、基板と半田槽の距離を長く取ることができるので、基板上の電気部品や基板自体が焼けてしまうことを防止することができる。 また、端子のリード線が巻かれた部分の内の少な くとも一番前記基板側から所定の範囲部分は半田付けさ れていないように構成することにより、半田付けされて いない部分のリード線が外力を吸収するバネ機能を発揮 し、端子にからげて半田付けされている各コイルのリー ド線が、外的振動により断線することを防止できる。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 博 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 畠山 直樹 茨城県北相馬郡守谷町御所ケ丘4丁目12番 地1号 シ ャトーエクセリーヌ105 |