【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、表示装置に使用する陰極線管(以下CRTと記す)のDBF電極(Dyna mic Beam Focus電極)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のCRTにおけるDBF電極の構造として、雑誌「テレビ技術」1988年1月号第20頁第6図に記載されているものを図7に示す。 図7は、C RTの内部のR、G、Bの3組の集束電極の働きを説明するための図である。 図中1a、1b、1cは垂直電極(スタティック電極とも言う)、2a、2b、2cは水平電極(ダイナミック電極とも言う)30は説明の都合上電子ビームを示すものである。 27、28、29はそれぞれR、G、Bの電子銃の陰極を示している。 31はビームのスポットを示す。 【0003】図8は、図7の各電極に電圧を印加する回路を示すものである。 ダイナミック電極2a、2b、2 cには、3のコンデンサでカップリングされた4の交流電圧源より交流電圧が印加される。 この交流電圧はFB T(フライバックトランスを含む電源、図には示していない)により供給される直流電圧を5の可変抵抗で分圧した電圧に重畳される。 スタティック電極1a、1b、 1cにはFBTにより供給される直流電圧を6の可変抵抗で分圧した電圧が印加される。 【0004】3つの電子銃は一列に配列されており、図には示さないが偏向磁界を発生するヨークコイルによりビームが偏向、集束される。 これらの磁界は垂直及び水平方向共、歪ませた非斉一磁界となっており、3電子ビームは自己集中する。 【0005】次に動作について説明する。 自己集中偏向ヨークを用いたCRT映像表示装置においては、偏向時の磁界分布により、画面周辺においてデフォーカスが生じる。 これは自己集中偏向ヨークが、偏向時にレンズの働きを持つ事により電子ビームに非点収差を発生させるためである。 【0006】この非点収差を解消するためには、電子ビームが偏向ヨークにより偏向される前にビームの形状をつぎのように変形させてやればよい。 即ち、画面の周辺ほど非点収差が大きくなるので、ダイナミック電極2 a、2b、2cの電位をスタティック電極1a、1b、 1cより高くして、ビームのフォーミングを行いジャストフォーカスさせる。 スタティック電極1a、1b、1 cは主にビームスポットのx軸方向に強く作用しダイナミック電極2a、2b、2cは主にビームスポットのy 軸方向に強く作用する。 つまり、縦線はスタティック電極に印加する電圧を調整し、横線はダイナミック電極に印加する電圧を調整する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従来のDBF電極は以上のように構成されているので、R、G、Bの3ビームに対して、スタティック電極、ダイナミック電極そのものはR、G、Bが別々に設けられているものの、モニタ内部でR、G、Bが互いに接続されており、外部には共通のリード線しか出ていないので、同じスタティック電圧、同じダイナミック電圧が印可される構造になっている。 しかるに、R、G、Bビームを放出する陰極(電子銃)は水平一列に並んでおり、その位置の差によって偏向磁界の与えられかたはそれぞれ少しずつ異なる。 これは前述した偏向ヨークの等価的なレンズがR、G、Bそれぞれに異なった作用をする事を意味する。 【0008】その結果Gビームを基準とした場合、Rビームは画面右側(前面より見て)でオーバーフォーカス、画面左側でアンダーフォーカス。 逆にBビームは画面右側でアンダーフォーカス、画面左側でオーバーフォーカスとなる。 (ここで言うオーバーフォーカスとはダイナミック電圧の不足、アンダーフォーカスとはダイナミック電圧の過多を指す。) また電子銃の製造バラツキ等が上記の傾向を助長する事があり画面全域でR、G、Bビームを全てジャストフォーカスとするのは、困難である。 【0009】即ち、R、G、Bの内どれか1つを正確にフォーカスさせると、他の2つが不完全になると言う現象が生じると言う問題があった。 【0010】この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、R、G、B各ビームをそれぞれ独立してフォーカス調整できるようにしたモニタ、及びDBF電極の調整回路(電源回路)を得ることを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】この発明に係るDBF電極用電源はR、G、Bビームそれぞれに最適なDBF電圧を印加できるように独立したDBF電圧調整回路を有するものである。 第1の発明によるDBF電極の電源は、R、G、Bそれぞれの電子銃に対して別々の直流電源になっている。 【0012】第2の発明によるDBF電極の電源は、ダイナミック電極電源が、R、G、Bそれぞれ別々の直流電源になっている。 【0013】第3の発明によるDBF電極の電源は、ダイナミック電極電源がR、G、Bそれぞれ別々の直流電源と交流電源で構成されている。 【0014】第4の発明によるDBF電極のスタティック電極電源はR、G、Bそれぞれ別々の直流電源で構成されている。 【0015】第5の発明によるDBF電極のダイナミック電極電源は3つの電子銃の内、中央の電子銃と左右の電子銃とを互に別々の直流電源に接続したものである。 【0016】第6の発明によるDBF電極の電源は、第4の発明の手段に加えて、別々に調整可能な交流電源を有するものである。 【0017】第7の発明によるDBF電極のスタティック電極電源は3つの電子銃の内、中央の電子銃と左右の電子銃とを互に別々の直流電源に接続したものである。 【0018】第8の発明によるカラーディスプレイモニタはダイナミック電極またはスタティック電極が、3つの電子銃別に分離された外部引きだしリード線を有する。 【0019】 【作用】この発明におけるDBF電極の電源は、R、 G、Bビームを独立してフォーカス調整する事を可能とするので、画面全域で、R、G、B全てのビームのジャストフォーカスを達成できる。 【0020】第1の発明は、R、G、B各電子銃のビームを互に独立して、フォーカス調整ができる。 【0021】第2又は第3の発明はR、G、BビームのY方向成分を互に独立してフォーカス調整ができる。 【0022】第4の発明は、R、G、BビームのX方向成分を互に独立して、フォーカス調整ができる。 【0023】第5又は第6の発明はR、G、Bの内両側に配列されたビームのY方向成分を、中央に配列されたビームのY方向成分とは独立に両側を同じ値に調整できる。 【0024】第7の発明は、R、G、Bの内両側に配列されたビームのX方向成分を、中央に配列されたビームのX方向成分とは独立に、両側を同じ値に調整できる。 【0025】第8の発明による分離された引きだしリード線は3つの電極に対して異なる電圧を加えられるようにする。 【0026】 【実施例】 実施例1. 以下、この発明の第1または第2の発明の一実施例を図について説明する。 図1において、1a、1 b、1cはスタティック電極である。 FBTで昇圧された直流電圧は6の可変抵抗で分圧され、スタティック電極1a、1b、1cに印加される。 2a、2b、2cはダイナミック電極であり、各々、別々の分離されたリード線により外部から、5a、5b、5cのそれぞれが独立した可変抵抗で分圧された直流電圧に、コンデンサでカップリングされた4の交流電圧源からの交流電圧が重畳され印加される。 【0027】次に動作について、図1を用い説明する。 R、G、Bそれぞれで独立したDBF電極で構成され、 互いに独立した直流電圧調整抵抗5a、5b、5cにより発生する直流電圧を、ダイナミック電極2a、2b、 2cに印加できる。 その際、ダイナミック電極に与える直流電圧は、可変抵抗5a、5b、5cでそれぞれ独立して最適フォーカス位置に調整する。 スタティック電極1a、1b、1cの電源は従来どおりであり、説明は省略する。 独立した直流電圧源である5a、5b、5cがそれぞれ、R、G、Bビームがジャストフォーカスになるような電圧を発生すれば、画面全域について、R、 G、B全てのビームのY方向成分をジャストフォーカスすることが可能となる。 【0028】実施例2. 以下、この発明の第3の発明の一実施例を図2について説明する。 図2において1a、 1b、1cはスタティック電極である。 FBTで昇圧された直流電圧は6の可変抵抗で分圧され、スタティック電極1a、1b、1cに印加される。 2a、2b、2c はダイナミック電極であり、5a、5b、5cのそれぞれが独立した可変抵抗で分圧された直流電圧に、コンデンサ3a、3b、3cでカップリングされた4a、4 b、4cの互に独立した交流電圧源からの交流電圧が重畳され印加される。 【0029】次に動作について、図2を用い説明する。 R、G、Bそれぞれが独立したDBF電極で構成されているので、互に独立した交流電圧源4a、4b、4cにより発生する交流電圧を、ダイナミック電極2a、2 b、2cに印加できる。 その際、ダイナミック電極2 a、2b、2cに与える直流電圧は、可変抵抗5a、5 b、5cでそれぞれ独立して調整する。 スタティック電極1a、1b、1cの電源は従来どおりであり、説明は省略する。 【0030】独立した交流電圧源である4a、4b、4 c及び直流電圧源5a、5b、5cがそれぞれ、R、 G、Bビームがジャストフォーカスになるような最適な交流及び直流電圧を発生すれば、画面全域について、 R、G、B全てのビームのY方向成分をジャストフォーカスすることが可能となる。 ここで交流電圧源4a、4 b、4cは、それぞれ独立してその交流電圧を調整できるものであることは言うまでもない。 【0031】実施例3. 第4の発明の実施例を図3に示す。 図において6a、6b、6cはスタティック電極1 a、1b、1cの電圧をそれぞれ独立して調整することができる可変抵抗である。 したがって、電子ビームの位置の差等が原因で生じる偏向の差の内、X方向の差を、 それぞれ調整してジャストフォーカスさせることができる。 【0032】なお、実施例1あるいは実施例2と実施例3とを同時に実施することができる。 参考として図4 に、実施例2と3を同時に実施したものを示す。 又図5 に実施例1と実施例3を同時に実施したものを示す。 【0033】実施例4. 第5の発明の実施例を図6に示す。 図6に於て5dはR、G、Bの内、両端、即ちRとBのダイナミック電極2aと2cの直流電位を同時に調整する可変抵抗、6dはRとBのスタティック電極1a と1cの直流電位を同時に調整する可変抵抗である。 【0034】又、3dと4dはダイナミック電極2aと2cに同じ交流電圧を与えるコンデンサと交流電源である。 【0035】従来例の説明で述べたとおり、R、G、B の各電極と各電子銃は一列に並んでいるので、構造的に両端RとBの偏向または集束の誤差は、同じになる傾向があるので、この2つについては調整抵抗や交流電源を共用化しても、それほどこまらない。 又、これによって図4の例に比べて部品点数を減らすことができる。 【0036】図6では、ダイナミック電極2a、2cとスタティック電極1a、1cをそれぞれ、共通にして独立して調整できるようにしているが、ダイナミック電極2a、2cのみか、あるいはスタティック電極1a、1 cのみかのいずれか一方だけが共通に調整可能とすることでも効果はある。 【0037】 【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、 R、G、BそれぞれのDBF電極の電圧を、それぞれ独立して調整できるので、R、G、Bビームを独立してフォーミングする事ができ、画面全域で、R、G、Bの全てのビームがジャストフォーカスできる。 【0038】第2の発明によれば、R、G、BそれぞれのDBF電極のダイナミック電極の直流電圧を、それぞれ独立して調整できるので、R、G、Bビームを独立してフォーミングする事ができ、画面全域で、R、G、B の全てのビームがジャストフォーカスできる。 【0039】第3の発明によれば第1の発明の効果に加え、さらに、R、G、Bのダイナミック電極に加えられている交流電圧も、それぞれ独立して調整できるので画面全域でR、G、Bの全てのビームが第1の発明よりも良くジャストフォーカスできる。 【0040】第4の発明によれば、R、G、BのそれぞれのDBF電極の内のスタティック電極の直流電圧をそれぞれ独立して調整できるので、R、G、B各ビーム独立してフォーミングすることができ、画面全域でR、 G、Bの全てのビームがジャストフォーカスできる。 【0041】第5、第6、第7の発明によれば、一例にならんだビームの内、中央のビームと、左右のビームとを、別々にジャストフォーカスすることができ、部品点数を減らしながら、画面全域でR、G、Bの全てのビームがジャストフォーカスできる。 【0042】第8の発明によるカラーディスプレイモニタは、3つの電子銃のスタティック電極またはダイナミック電極を個別に制御することが出来る。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例1のカラーディスプレイモニタの集束電極用電源回路である。 【図2】 本発明の実施例2のカラーディスプレイモニタの集束電極用電源回路である。 【図3】 本発明の実施例3のカラーディスプレイモニタの集束電極用電源回路である。 【図4】 図2と図3の電源回路を同時に用いたカラーディスプレイモニタの回路図である。 【図5】 図1と図3の電源回路を同時に用いたカラーディスプレイモニタの電源回路図である。 【図6】 本発明の実施例4のカラーディスプレイモニタの集束電極用電源回路である。 【図7】 従来のカラーディスプレイモニタの集束電極の動作を説明する図である。 【図8】 図7のカラーディスプレイモニタの集束電極の回路図である。 【符号の説明】 1a スタティック電極 1b スタティック電極 1c スタティック電極 2a ダイナミック電極 2b ダイナミック電極 2c ダイナミック電極 3 コンデンサ 3a コンデンサ 3b コンデンサ 3c コンデンサ 3d ダイナミック電極2a、2c用コンデンサ 4 交流電圧源 4a 交流電圧源 4b 交流電圧源 4c 交流電圧源 4d ダイナミック電極2a、2c用交流電源 5 可変抵抗(ダイナミック電極用) 5a 可変抵抗(ダイナミック電極用) 5b 可変抵抗(ダイナミック電極用) 5c 可変抵抗(ダイナミック電極用) 5d ダイナミック電極2a、2c用可変抵抗 6 可変抵抗(スタティック電極用) 6a 可変抵抗(スタティック電極用) 6b 可変抵抗(スタティック電極用) 6c 可変抵抗(スタティック電極用) 6d スタティック電極1a、1c用可変抵抗 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 29/56 H01J 29/56 29/62 29/62 H02J 1/00 302 7346−5G H02J 1/00 302 |