【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は高圧電子部品に関し、 特にたとえば、CRTのフォーカス電極、および、必要に応じてスクリーン電極に電圧を印加するための高圧ブロックなどの高圧電子部品に関する。 【0002】 【従来の技術】CRTのフォーカス電極に電圧を印加するために、たとえば高圧ブロックなどの高圧電子部品が用いられる。 このような高圧電子部品では、フライバックトランスから得られる電圧を分圧するための分圧用抵抗が用いられる。 この分圧用抵抗は、ケース内に収納される。 さらに、ケース内には、分圧用抵抗で分圧された出力にダイナミックフォーカス用電圧を重畳するためのカップリング用コンデンサや、フォーカス出力平滑用コンデンサなどが収納される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような高圧電子部品で扱われる電圧は高電圧であるため、 絶縁性や誘導リップルなどの影響を考慮すると、分圧用抵抗とコンデンサとの間の距離を十分にとる必要がある。 そのため、高圧電子部品の小型化が困難であった。 また、電子部品が小型化できないため、熱による影響が大きく、熱によって高圧電子部品が変形するなど信頼性に問題があった。 【0004】それゆえに、この発明の主たる目的は、小型化が可能で、かつ信頼性の高い高圧電子部品を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明は、ケースと、 ケース内に収納される分圧用抵抗と、ケース内に収納され分圧用抵抗に接続されるコンデンサとを含み、 分圧用 抵抗の高圧側と低圧側との間の電位分布の中において、 コンデンサの分圧用抵抗側の電極の電位とコンデンサの 配置される位置における分圧用抵抗の電位とが同等とな るようにコンデンサを配置した、高圧電子部品である。 【0006】 【作用】コンデンサの分圧用抵抗側の電極の電位と、コンデンサを配置した部分の分圧用抵抗の電位とが同等になるため、分圧用抵抗とコンデンサとの間の絶縁のための距離を小さくすることができる。 【0007】 【発明の効果】この発明によれば、分圧用抵抗とコンデンサとの間の距離を小さくできるため、高圧電子部品を小型化することができる。 そのため、熱による影響も少なくなり、高圧電子部品の変形などが少なくなり、信頼性が向上する。 【0008】この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。 【0009】 【実施例】図1(A)はこの発明の一実施例を示す平面図解図であり、図1(B)は図1(A)を紙面上側から みた側面図解図である。 高圧電子部品10はケース12 を含む。 ケース12内には、分圧用抵抗基板14が収納される。 分圧用抵抗基板14の上面には、たとえばエポキシ樹脂などで樹脂層16が形成される。 樹脂層16上には、ダイナミックフォーカス用電圧を重畳するためのカップリングコンデンサ18および平滑用コンデンサ2 0が取り付けられる。 カップリングコンデンサ18は、 誘電体両面に電極18a,18bを形成し、その周囲に絶縁被覆材18cを形成したものである。 同様に、平滑用コンデンサ20は、誘電体両面に電極20a,20b を形成し、その周囲に絶縁被覆材20cを形成したものである。 【0010】この高圧電子部品10は、図2に示す回路となるように接続される。 つまり、分圧用抵抗基板14 の一端(図1(A)において紙面上側)はフライバックトランス30に接続され、他端(図1(A)において紙 面下側)は接地される。 この分圧用抵抗基板14によって、フライバックトランス30から得られる電圧が分圧される。 つまり、分圧用抵抗基板14には、その一端が 高圧側で他端側が低圧となる電位分布が生じる。 そして、分圧用抵抗基板14の一端側と他端側の中間部分が、フォーカス出力端F 1に接続される。 このフォーカス出力端F 1と接地部GNDとの間に、平滑用コンデンサ20が接続される。 したがって、フォーカス出力端F 1から、直流のフォーカス出力が得られる。 【0011】また、分圧用抵抗基板14の一端側と他端 側の中間部分が、ダイナミックフォーカス出力端F 2に接続される。 このダイナミックフォーカス出力端F 2には、カップリング用コンデンサ18を介して、ダイナミックフォーカス用電圧回路DFが接続される。 ダイナミックフォーカス用電圧回路DFのダイナミックフォーカス用電圧が、カップリング用コンデンサ18を介して、 分圧用抵抗基板14から得られる電圧に重畳される。 したがって、ダイナミックフォーカス用出力端F 2からは、分圧用抵抗基板14から得られる電圧と、ダイナミックフォーカス用電圧とが重畳されたダイナミックフォーカス出力が得られる。 【0012】これらのフォーカス出力およびダイナミックフォーカス出力は、CRTの2つのフォーカス電極に与えられる。 なお、図中Sはスクリーン出力端で、スクリーン出力端Sからのスクリーン出力は、CRTのスクリーン電極に与えられる。 【0013】この高圧電子部品10では、カップリングコンデンサ18の低圧側の電極18aが分圧用抵抗基板14 に近い側に配置され、カップリングコンデンサ18 の高圧側の電極18bが分圧用抵抗基板14 から遠い側に配置される。 つまり、カップリングコンデンサ18の電極18a,18bのうち、ダイナミックフォーカス出力端F 2側に接続されたほうの電極18aが、分圧用抵抗基板14 に近い側になるように配置される。 このとき、分圧用抵抗基板14には、 その一端側が高圧で他端 側が低圧となるような電位分布が生じている。 そして、 カップリングコンデンサ18は、その低圧側の電極18 aの電位と分圧用抵抗基板14の電位とが同等になる位置に配置される。 つまり、カップリングコンデンサ18 は、分圧用抵抗基板14のダイナミックフォーカス出力 端F 2 が接続された部分に対応する位置に配置される。 【0014】また、この高圧電子部品10では、平滑用コンデンサ20の高圧側の電極20bが分圧用抵抗基板14 に近い側に配置され、平滑用コンデンサ20の低圧側の電極20aが分圧用抵抗基板14 から遠い側に配置される。 つまり、平滑用コンデンサ20の電極20a, 20bのうち、フォーカス出力端F 1側に接続されたほうの電極20bが、分圧用抵抗基板14 に近い側になるように配置される。 そして、平滑用コンデンサ20は、 その高圧側の電極20bの電位と分圧用抵抗基板14の電位とが同等になる位置に配置される。 つまり、平滑用 コンデンサ20は、分圧用抵抗基板14のフォーカス出 力端F 1 が接続された部分に対応する位置に配置され る。 【0015】この高圧電子部品10では、カップリングコンデンサ18の低圧側の電極18aと、分圧用抵抗基板14のカップリングコンデンサ18を配置した部分とが、ほぼ同電位となる。 そのため、カップリングコンデンサ18の電極18aと分圧用抵抗基板14との間に大きな絶縁性を必要とせず、絶縁被覆材18cを樹脂層1 6に密着させることができる。 同様に、平滑用コンデンサ20の高圧側の電極20bと、分圧用抵抗基板14の平滑用コンデンサ20を配置した部分とがほぼ同電位となるため、絶縁被覆材20cを樹脂層16に密着させることができる。 なお、分圧用抵抗基板14は、フライバ ックトランス30から得られる電圧を分圧するためのも のであり、高圧側と低圧側の間で電位分布を生じさせる ものである。 したがって、1つの抵抗で構成する必要は なく、複数の抵抗を直列に接続してもよく、分圧用抵抗 基板14のフォーカス出力端F 1 やダイナミックフォー カス出力端F 2 が接続された部分に対応する位置に、平 滑用コンデンサ20やカップリングコンデンサ18を配 置することにより、この発明の効果を得ることができ る。 【0016】このように、この高圧電子部品10では、 各コンデンサ18,20と樹脂層16との間に大きな距離をとる必要がない。 そのため、従来のような絶縁のために各部品を離して配置していた高圧電子部品に比べて、高圧電子部品10を小型化することができる。 また、高圧電子部品10を小型化できるため、熱による影響が少なく、高圧電子部品10が変形などしにくくなり、信頼性が向上する。 【図面の簡単な説明】 【図1】(A)はこの発明の一実施例を示す平面図解図であり、(B)は(A)を紙面上側からみた側面図解図である。 【図2】図1に示す高圧電子部品の回路図である。 【符号の説明】 10 高圧電子部品 12 ケース 14 分圧用抵抗基板 16 樹脂層 18 カップリングコンデンサ 18a,18b カップリングコンデンサの電極 20 平滑用コンデンサ 20a,20b 平滑用コンデンサの電極 |