Reed switch

申请号 JP2010020372 申请日 2010-02-01 公开(公告)号 JP5598653B2 公开(公告)日 2014-10-01
申请人 ソニー株式会社; 发明人 朗 秋葉; 浩一 池田;
摘要
权利要求
  • 基板に一軸方向に沿って並列配置された複数の第1接点と、
    前記複数の第1接点のそれぞれに対向して梁を有すると共に、前記基板面内を前記一軸方向に沿って摺動可能な可動部材と、
    前記梁の前記第1接点との対向面にそれぞれ設けられた複数の第2接点と を備え、
    各第1接点は、複数の固定接点電極を有し、
    前記可動部材の各梁には、前記複数の固定接点電極に渡って、前記第2接点としての可動接点電極が設けられている 有接点スイッチ。
  • 前記可動部材は、前記一軸方向に沿って延在する支持体を有し、
    前記梁は、前記基板面内において前記一軸方向と直交する方向に沿って、前記支持体から張り出している 請求項1に記載の有接点スイッチ。
  • 前記可動部材において、前記梁の弾性率は前記支持体の弾性率よりも小さい 請求項2に記載の有接点スイッチ。
  • 前記基板上に、
    前記複数の第1接点の各々に電気的に接続されて信号を伝送する信号線と、
    各信号線同士の間に配置された接地線と を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有接点スイッチ。
  • 前記可動部材を駆動して、前記第1接点と前記第2接点とを接触および非接触のいずれかの状態に切り替える駆動部を備え、
    前記駆動部は、MEMSアクチュエータを含む 請求項1に記載の有接点スイッチ。
  • 前記MEMSアクチュエータは、ラテラル駆動による静電MEMSアクチュエータである 請求項5に記載の有接点スイッチ。
  • 基板に一軸方向に沿って並列配置された複数の第1接点と、
    前記複数の第1接点のそれぞれに対向して 弾性を有する梁を有すると共に、前記基板面内を前記一軸方向に沿って摺動可能な可動部材と、
    前記梁の前記第1接点との対向面にそれぞれ設けられた複数の第2接点と を備え、
    各第1接点は、複数の固定接点電極を有し、
    前記可動部材の各梁には、前記固定接点電極毎に、前記第2接点としての可動接点電極が設けられ 、かつ
    前記基板が前記複数の固定接点電極同士の間に段差を有することにより、前記梁の付け根側における固定接点電極と可動接点電極との間隔が、前記梁の先端側における固定接点電極と可動接点電極との間隔よりも広くなっている
    有接点スイッチ。
  • 前記可動部材は、前記一軸方向に沿って延在する支持体を有し、
    前記梁は、前記基板面内において前記一軸方向と直交する方向に沿って、前記支持体から張り出しており、かつ 前記支持体の動作軸を対称軸として、前記固定接点電極、前記可動接点電極および前記梁が線対称に配置されている 請求項 7に記載の有接点スイッチ。
  • 说明书全文

    本発明は、例えば高周波の信号制御に使用される有接点スイッチに関する。

    近年の集積化技術の向上に伴い、電子機器の小型・軽量化、低電圧動作・低消費電化、高周波動作化が急速に進んでいる。 特に、携帯電話などの移動通信端末装置の技術分野では、上記の要求が厳しい上に、高機能化も求められており、これらの対立する課題を解決する技術の一つとして、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;マイクロマシン)が注目されている。 このMEMSは、シリコンプロセス技術により、マイクロな機械的要素と電子回路要素とを融合したシステムである。 MEMS技術は、その精密加工性などの優れた特徴から、高機能化に対応しつつ、小型で低価格なSoC(System on a Chip) を実現することができる。

    このMEMS技術は、様々な分野で利用され、例えば高周波を伝送する信号線路の継断を機械的に行うスイッチに使用されている。 高周波向けのスイッチでは、信号品質を確保するために、スイッチの挿入による電力損失(挿入損失、インサーションロス)が十分に小さく、また絶縁特性が十分に高いことが望ましい。 これら2つの特性を同時に満たすことのできるスイッチとしては、有接点スイッチが挙げられ、特に品質要求の厳しい回路において、重要な部品として利用されている。 また、このような有接点スイッチは、メガヘルツ(MHz(10 6 Hz))帯〜ギガヘルツ(GHz(10 9 Hz))帯のキャリアによる高速大容量通信向けのフロントエンド回路での応用も期待されている。

    従来使われている高周波向けの有接点スイッチの多くは、高いアイソレーションを確保し易く、回路設計上の応用範囲も広いことから、いわゆるシリーズ型の接点構造を有している。 シリーズ型の接点構造では、例えば対となる固定接点および可動接点が接触した状態(オン状態)のときに信号線路が機械的に継続され、非接触の状態(オフ状態)のときに信号線路が機械的に断絶される。

    このようなシリーズ型の接点構造を用いたスイッチにおいて、挿入損失の増減に影響を与える重要因子の一つは、接点部における接触抵抗である。 接触抵抗が小さいほど、低い挿入損失を実現できるため、これまでも種々の技術が開発されている。 最も利用されている手法は、1つの固定接点に対し複数の可動接点を設けて接点数を増やすこと(多点接触)により、接触抵抗を低減するというものである(例えば、特許文献1参照)。

    特許文献1の接点構造は、基板上に形成された固定接点と、キャビティ内において固定接点に対向する位置に複数設けられた可動接点と、これらの可動接点を保持する可動梁とを備える。 このような構成において、可動梁に、外部駆動回路から変位が与えられることにより、固定接点および可動接点の接触および非接触が切り替えられ、信号線路の継断を行うスイッチとして機能する。 このような接点構造(以下、多点接触構造という)は、製造も容易であるため、多くのスイッチで実用化されている。

    特開2008−27812号公報

    ところが、上記特許文献1の手法のように、接点数を増やした多点接触構造では、全ての接点を均等に接触させることが困難である。 これは、次のような理由による。 即ち、各可動接点と固定接点との間の各距離は、プロセス上可能な範囲で等価に形成されるが、材料の平坦性や内部応力による部材の反りによって、実際には差異を生じる。 更に、この差異は、例えばスイッチのデバイス毎、ロット毎、ウエハ毎に異なるものである。

    また、特許文献1において可動梁は、基板上の一点(固定部)に固定されており、その固定部を支点として変位するようになっている。 このため、可動梁を変位させて、可動接点を固定接点に接触させようとした場合、複数の可動接点のうち、まず接点間距離が近い接点対が接触する。 その後は、この接触点が可動梁の新たな支点となるため、この接触点より外側(固定部と反対側)における可動梁のばね定数が上昇する。 従って、接点が可動梁の支点(固定部)から離れた位置にある程、接触圧が小さくなってしまう。 即ち、上記のような多点接触構造では、接点毎に接触圧がばらつき、局所的に接触不良や非接触状態も発生し易くなる。 そのため、十分な抵抗削減効果が得られず、挿入損失を低減しにくいという問題がある。

    本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、接触抵抗を低減して挿入損失を抑制することが可能な有接点スイッチを提供することにある。

    本発明の第1の有接点スイッチは、基板に一軸方向に沿って並列配置された複数の第1接点と、複数の第1接点のそれぞれに対向して梁を有すると共に、基板面内を一軸方向に沿って摺動可能な可動部材と、梁の第1接点との対向面にそれぞれ設けられた複数の第2接点とを備え、各第1接点は、複数の固定接点電極を有し、可動部材の各梁には、複数の固定接点電極に渡って、第2接点としての可動接点電極が設けられているものである。
    本発明の第2の有接点スイッチは、基板に一軸方向に沿って並列配置された複数の第1接点と、複数の第1接点のそれぞれに対向して弾性を有する梁を有すると共に、基板面内を一軸方向に沿って摺動可能な可動部材と、梁の第1接点との対向面にそれぞれ設けられた複数の第2接点とを備え、各第1接点は、複数の固定接点電極を有し、可動部材の各梁には、固定接点電極毎に、第2接点としての可動接点電極が設けられ、 かつ、基板が複数の固定接点電極同士の間に段差を有することにより、梁の付け根側における固定接点電極と可動接点電極との間隔が、梁の先端側における固定接点電極と可動接点電極との間隔よりも広くなっているものである。

    本発明の第1および第2の有接点スイッチでは、可動部材の摺動動作により、基板に設けられた第1接点と可動部材に設けられた第2接点との接触状態および非接触状態が切り替えられ、例えば伝送線路を機械的に継断するスイッチとして機能する。 ここで、第1接点が複数並列配置されると共に、可動部材がそれら複数の第1接点に対向して複数の梁を有し、それらの梁毎に第2接点が設けられていることにより、第1接点および第2接点の組(接点対)が並列化した接点構造が実現される。 これにより、全ての接点対における接触を同時に一括して行いつつも、各接点対同士の機械的な結合が緩くなり(機械的な干渉が生じにくくなり)、各接点対における接触は互いに独立なものとなる。 よって、各接点同士は十分な接触圧で略均等に接触し易くなる。

    本発明の第1および第2の有接点スイッチによれば、基板に第1接点を複数並列配置すると共に、可動部材にそれら複数の第1接点に対向して複数の梁を設け、かつ各梁に第2接点を設けるようにしたので、各接点同士の接触圧を均等化して、接触不良等を防ぐことができる。 これにより、接触抵抗を低減して、挿入損失を抑制することが可能となる。

    本発明に係る有接点スイッチの概略構成を表す平面図である。

    第1の実施形態に係る有接点スイッチの概略構造を表す平面図である。

    比較例に係る有接点スイッチの概略構成を表す断面図である。

    第2の実施形態に係る有接点スイッチの概略構造を表す平面図である。

    第3の実施形態に係る有接点スイッチの概略構造を表す平面図である。

    図5に示した有接点スイッチの効果を説明するための模式図である。

    図5に示した有接点スイッチの変形例の概略構成を表す平面図である。

    第4の実施形態に係る有接点スイッチの概略構造を表す平面図である。

    図8に示した有接点スイッチの配線レイアウトの一例を表す平面図である。

    図8に示した有接点スイッチのアクチュエータの一例を表す平面図である。

    有接点スイッチの適用例に係る電子機器の機能ブロック図である。

    以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。 尚、説明は以下の順序で行う。

    1. 概略構成(可動接点をプッシュロッドの梁に設けた有接点スイッチの例)
    2. 第1の実施の形態(接点対を2つの固定接点、1つの可動接点とした例)
    3. 第2の実施の形態(接点対を2つの固定接点、2つの可動接点とした例)
    4. 第3の実施の形態(固定接点同士の間に段差を設けた例)
    5. 第4の実施の形態(プッシュロッドの動作軸に対して線対称に梁を設けた例)
    6. 適用例(有接点スイッチを用いた電子機器の例)

    <有接点スイッチの概略構成>
    図1(A),(B)は、本発明に係る有接点スイッチ(有接点スイッチ1)の概略構成を表したものであり、図1(A)は全体構成、図1(B)は接点対付近の構成をそれぞれ模式的に表している。 有接点スイッチ1は、例えば、半導体等よりなる基板11上に並列配置された複数の接点対10と、これら複数の接点対10に接続されたプッシュロッド12(支持体)と、プッシュロッド12を駆動するアクチュエータ20とを備えている。 各接点対10は、伝送線路15を介して、互いに同一の入力ポートVinおよび出力ポートVoutにそれぞれ接続されており、接点対10毎に形成される回路は互いに等価となっている。

    具体的には、図1(B)に示したように、基板11内の所定の領域にキャビティ11aが形成されており、このキャビティ11aの壁面には、接点対10の一部となる固定接点電極14(第1接点)が複数並列して設けられている。 各固定接点電極14には、伝送線路15が電気的に接続されている。 伝送線路15は、入力ポートVinと出力ポートVoutとの間で信号、例えば高周波信号を伝送する信号線路である。 一方、キャビティ11a内では、アクチュエータ20の駆動に応じて、プッシュロッド12が、固定接点電極14(接点対10)の配列方向(動作軸A)に沿って摺動可能となっている。

    プッシュロッド12は、例えばその動作軸Aに沿って延在する棒状部材である。 このプッシュロッド12から、動作軸Aと直交する方向に向かって、かつ各固定接点電極14に対向するように、複数の接点梁12aが張り出している。 この接点梁12aは、プッシュロッド12によってキャビティ11a内の中空に保持されており、各接点梁12aの固定接点電極14との対向面には、可動接点電極13(第2接点)が設けられている。 即ち、接点対10は、接点梁12a、可動接点電極13および固定接点電極14からなり、プッシュロッド12の摺動(動作軸Aに沿った位置変動)によって、これら可動接点電極13および固定接点電極14の接触状態(オン状態)と非接触状態(オフ状態)とが切り替わるようになっている。 尚、本実施の形態におけるプッシュロッド12および接点梁12aが、本発明における可動部材の一具体例に相当する。

    接点梁12aの弾性率(例えばヤング率)は、プッシュロッド12のそれよりも、小さくなるように、接点梁12aおよびプッシュロッド12の材質や厚み等が設定されていることが望ましい。 即ち、接点梁12aをいわゆる弾性体と見做し、プッシュロッド12をいわゆる剛体と見做すことができることが望ましい。

    アクチュエータ20は、例えばMEMS技術を用いて加工されたMEMSアクチュエータであり、特にラテラル駆動を用いた静電アクチュエータ(詳細は後述)が好適に用いられる。

    以下、このような有接点スイッチ1の好適な実施形態(接点対の構造)について詳細に説明する。 尚、上記概略構成と同様の構成要素については、同一の符号を付し適宜説明を省略する。

    <第1の実施の形態>
    (有接点スイッチ1Aの構成)
    図2(A)は、第1の実施形態に係る有接点スイッチ(有接点スイッチ1A)の接点対付近の平面構成(オフ状態)を表すものである。 有接点スイッチ1Aでは、複数の接点対10aが、基板11上に並列配置され、プッシュロッド12の摺動動作により接点対10aにおける接触状態および非接触状態を切り替えることにより、いわゆるシリーズ型の継断動作を行う。 図2(B)は、接触状態(オン状態)にある接点対10aを示すものであり、図中の矢印Bは信号の流れを模式的に表したものである。

    基板11は、例えばシリコン(Si)、シリコン・カーバイト(SiC)、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)およびシリコン・ゲルマニウム・カーボン(SiGeC)などのSi系半導体よりなる基板である。 あるいは、基板11として、ガラス、樹脂およびプラスチックなどの非Si系基板を用いてもよい。

    キャビティ11aは、接点対10aの配置箇所に応じて、例えば櫛歯状に基板11をくり抜いて形成され、プッシュロッド12および接点対10aを変位可能に収容するための空間である。 このキャビティ11aは、基板11に例えばフォトリソグラフィとドライエッチングを施すことにより形成することができる。 また、このエッチングと同時に、プッシュロッド12および接点梁12aを形成する(取り出す)ことができる。 このようなキャビティ11aの壁面には、入力ポートVinおよび出力ポートVoutが形成された2つの伝送線路15と、各伝送線路15に接続された2つの固定接点電極14a1,14a2が設けられている。

    伝送線路15および固定接点電極14a1,14a2は、例えば基板11の側から順にチタン(Ti)および金(Au)を有する積層膜である。 このような積層膜は、例えばスパッタとフォトリソグラフィにより形成することができ、各層の厚みは、例えばチタン0.1μm、金2.0μmである。 伝送線路15は、基板11上に矩形状に形成された固定電極であり、例えばワイヤ接続、フィードスルー電極形成、はんだ付けまたはAuバンプ接続等の手法を用いて、入力ポートVinへの信号入力および出力ポートVoutからの信号出力がなされるようになっている。 本実施の形態では、2つの固定接点電極14a1,14a2に対して1つの接点梁12aが対向配置され、各接点梁12aには、固定接点電極14a1,14a2の両方に対向して1つの可動接点電極13aが設けられている。

    接点梁12aは、例えば基板11およびプッシュロッド12と同様のシリコン系半導体材料を基材とし、この基材の表面を、固定接点電極14a1,14a2と同様の材料および厚みよりなる積層膜12a1で被覆したものである。 この接点梁12aは、プッシュロッド12よりも弾性率が小さくなっている。 ここでは、接点梁12aとプッシュロッド12とは基板11からエッチング加工により形成するため、接点梁12aとプッシュロッド12の材質は同一であるが、例えば接点梁12aの厚みをプッシュロッド12よりも薄くすることにより、接点梁12aを弾性体、プッシュロッド12剛体と見做している。

    可動接点電極13aは、固定接点電極14a1,14a2と同様、例えば基板11の側から順にチタン(Ti)および金(Au)を有する積層膜である。 また、例えばスパッタとフォトリソグラフィにより形成することができ、各層の厚みは、例えばチタン0.1μm、金2.0μmである。

    (有接点スイッチ1Aの作用)
    本実施の形態では、図示しないアクチュエータ20によりプッシュロッド12が駆動され、このプッシュロッド12が動作軸Aに沿って摺動(変位)すると、この摺動動作によって、接点対10aにおける接触状態および非接触状態が切り替わる。 具体的には、非接触状態から接触状態への切り替え、あるいはその逆(接触状態から非接触状態)の切り替えがなされる。 接点対10aが非接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15は機械的に断絶され、スイッチオフとなる(図2(A))。
    一方、接点対10aが接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15が接点対10aによって機械的に継続され、スイッチオンとなる(図2(B))。 具体的には、入力ポートVin側から入力された信号は、固定接点電極14a1、可動接点電極13a 、固定接点電極14a2を順に経て出力ポートVoutへ出力される。

    ここで、図3を参照して、比較例に係る有接点スイッチ(有接点スイッチ100)における接点接触動作ついて説明する。 有接点スイッチ100では、基板101上に、固定部(支点)102によって一端が固定された可動梁103が設けられ、この可動梁103に複数(2つ)の可動接点電極104が形成されている。 基板101上には、キャビティを介して可動接点電極104に対向するように固定接点電極105が配設されている。 このような構成において、可動梁103を変位させて、複数の可動接点電極104と固定接点電極105との多点接触を行うことにより、接触抵抗の低減を図っている。

    ところが、この有接点スイッチ100のように、1つの可動梁103に複数の可動接点電極104を設けた場合、全ての接点を均等に接触させることが困難である。 これは、次のような理由による。 即ち、各可動接点と固定接点との間の各距離(間隔)は、プロセス上可能な範囲で等価に形成されるが、材料の平坦性や内部応力による部材の反りによって、実際には差異を生じる。 また、この差異は、例えばスイッチのデバイス毎、ロット毎、ウエハ毎に異なるものである。 更に、比較例では、各接点対(可動接点と固定接点)間の距離は、可動梁103を剛体と見做せる程度に狭く配置されている。

    また、可動梁103は、基板101上の固定部102を支点として変位するようになっている。 このため、可動梁103を変位させて、接点接触をさせる場合、複数の可動接点電極104のうち、まず固定部102に近い側の可動接点電極104が固定接点に接触すると想定され、その後は、この接触点が可動梁103の新たな支点となるため、この接触点より外側(固定部102の反対側)における可動梁103のばね定数が上昇する。 可動梁103がもともと柔らかいものであれば、ばね定数の上昇率は小さいのであるが、一般には接点の接触圧を確保して接触抵抗を小さくするために可動梁103としては硬いばねを採用することが多いので、ばね定数の上昇率は大きなものとなる。 従って、接点が可動梁103の支点(固定部102)から離れた位置にある程、接触圧が小さくなってしまう。 即ち、接点毎に接触圧がばらつき、局所的に接触不良や非接触状態も発生し易くなる。 ちなみに、接触に要する力がより強く、あるいは接触時間がより長くなるように可動梁を駆動すれば、全ての接点を十分に接触させることも可能ではあるが、この場合、アクチュエータあるいは素子全体が大型化するため、あまり効率的ではない。 即ち、上記のような多点接触構造では、十分な抵抗削減効果が得られず、挿入損失を低減しにくい。

    これに対し、本実施の形態では、2つの固定接点電極14a1,14a2の組が基板11上に複数並列配置されると共に、プッシュロッド12がそれらの固定接点電極14a1,14a2に対向して接点梁12aを有する。 各接点梁12aには、固定接点電極14a1,14a2の両方に対向するように1つの可動接点電極13aが形成されている。 これにより、固定接点電極14a1,14a2、可動接点電極13aおよび接点梁12aよりなる接点対10aが並列化された接点構造が実現される。 よって、全ての接点対10aにおける接触動作を同時に一括して行いつつも、各接点対10a同士の機械的な結合を緩くする(機械的な干渉を生じにくくする)ことができる。 即ち、全ての接点対10aにおける各接触動作が互いに独立になされる。 従って、全ての接点対10aにおいて、2つの固定接点電極14a1,14a2と可動接点電極13aとの接触は、十分な接触圧で略均等になされる。

    以上のように、本実施の形態では、基板11上に固定接点電極14a1,14a2を複数並列配置すると共に、プッシュロッド12に固定接点電極14a1,14a2に対向して複数の接点梁12aを設け、かつ各接点梁12aに可動接点電極13aを設けるようにしたので、各接点対10aにおける接触圧を均等化して、接触不良等を防ぐことができる。 これにより、接触抵抗を低減して、挿入損失を抑制することが可能となる。 また、より多くの接点を安定して接触させられるようになり、特に高周波信号の伝送線路において挿入損失の小さな有接点スイッチを実現できる。

    また、接点梁12aの弾性率がプッシュロッド12の弾性率よりも小さくなっていることにより、例えば接点梁12aが弾性体、プッシュロッド12が剛体と見做せることにより、各接点対10aにおける接触圧をより均等化することができる。 ここで、全ての接点対10aにおいて、可動接点電極13aと固定接点電極14a1,14a2との間の各距離(接点間距離)は、プロセス上可能な範囲で等価に設計されるが、材料の平坦性や内部応力による部材の反り等によって、実際にはばらつきを生じる。 また、このばらつきは、例えばスイッチのデバイス毎、ロット毎、ウエハ毎によって異なるものである。 本実施の形態のように、接点梁12aを弾性体と見做なせることにより、上記のように各接点間距離にばらつきが生じた場合であっても、そのようなばらつきによる接点間の接触圧差を軽減することができ、即ち接触圧を均等化することができる。 接触圧の均等化は接点の継断動作の安定性を向上させ、デバイスの信頼性向上につながる。 また、小さな圧力で十分に低い接触抵抗を実現し易くなり、アクチュエータの小型化、制御電力の低減につながる。

    <第2の実施の形態>
    図4(A)は、第2の実施形態に係る有接点スイッチ(有接点スイッチ1B)の接点対(接点対10b)付近の平面構成(オフ状態)を表すものである。 図4(B)は、接触状態(オン状態)にある接点対10bを示すものであり、図中の矢印Bは信号の流れを模式的に表したものである。 尚、上記概略構成および第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し適宜説明を省略する。

    有接点スイッチ1Bは、上記第1の実施の形態の有接点スイッチ1Aと同様、複数の接点対10bが、基板11上に並列配置され、プッシュロッド12の摺動動作により伝送線路15の機械的な継断を行うシリーズ型のスイッチである。 また、基板11に形成されたキャビティ11aの壁面には、入力ポートVinおよび出力ポートVoutが形成された2つの伝送線路15と、各伝送線路15に接続された2つの固定電極14a1,14a2が設けられている。 プッシュロッド12からは、それらの固定電極14a1,14a2に対向するように、接点梁12aが張り出しており、この接点梁12aの弾性率はプッシュロッド12の弾性率よりも小さくなっている。

    但し、本実施の形態では、各接点対10bにおいて、2つの固定接点電極14a1,14a2に対して2つの可動接点電極13b1,13b2が設けられている。 具体的には、各接点梁12aには、固定接点電極14a1に対向するように可動接点電極13b1が、固定接点電極14a2に対向するように可動接点電極13b2がそれぞれ設けられている。 可動接点電極13b1,13b2はそれぞれ、上記第1の実施の形態における可動接点電極13aと同様、基板11の側から順にチタンおよび金を有する積層膜であり、厚みは、例えばチタン0.1μm、金2.0μmである。

    これにより、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様、図示しないアクチュエータ20の駆動により、プッシュロッド12が動作軸Aに沿って摺動(変位)すると、この摺動動作によって、接点対10bにおける接触状態および非接触状態が切り替わる。 接点対10bが非接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15は機械的に断絶され、スイッチオフとなる(図4(A))。 一方、接点対10bが接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15が接点対10bによって機械的に継続され、スイッチオンとなる(図4(B))。 具体的には、入力ポートVin側から入力された信号は、固定接点電極14a1、可動接点電極13b1、接点梁12a(積層膜12a1)、可動接点電極13b2、固定接点電極14a2を順に経て出力ポートVoutへ出力される。

    ここで、固定接点電極14a1,14a2が基板11上に複数並列配置されると共に、固定接点電極14a1,14a2に対向して配置された各接点梁12aには、固定接点電極14a1,14a2のそれぞれに対向するように2つの可動接点電極13b1,13b2が形成されている。 これにより、上記第1の実施の形態と同様、固定接点電極14a1,14a2、可動接点電極13b1,13b2および接点梁12aよりなる接点対10bが並列化された接点構造が実現される。 従って、本実施の形態においても、プッシュロッド12の摺動動作により、全ての接点対10bにおける接触動作を同時に一括して行いつつも、各接点対10bにおける各接触動作が互いに独立になされる。 よって、全ての接点対10bにおいて、固定接点電極14a1,14a2と可動接点電極13b1,13b2との接触は、十分な接触圧で略均等になされる。 よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。

    <第3の実施の形態>
    図5(A)は、第3の実施形態に係る有接点スイッチ(有接点スイッチ1C)の接点対(接点対10c)付近の平面構成(オフ状態)を表すものである。 図5(B)は、非接触状態から接触状態への遷移過程にある接点対10cを示すものである。 図5(C)は、接触状態(オン状態)にある接点対10cを示すものであり、図中の矢印Bは信号の流れを模式的に表したものである。 尚、上記概略構成および第1,2の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し適宜説明を省略する。

    有接点スイッチ1Cは、上記第1の実施の形態の有接点スイッチ1Aと同様、複数の接点対10cが、基板11上に並列配置され、プッシュロッド12の摺動動作により伝送線路15の機械的な継断を行うシリーズ型のスイッチである。 また、基板11に形成されたキャビティ11aの壁面には、入力ポートVinおよび出力ポートVoutが形成された2つの伝送線路15と、各伝送線路15に接続された2つの固定電極14a1,14a2が設けられている。 プッシュロッド12からは、それらの固定電極14a1,14a2に対向するように、接点梁12aが張り出しており、この接点梁12aの弾性率はプッシュロッド12の弾性率よりも小さくなっている。 更に、上記第2の実施の形態の有接点スイッチ1Bと同様、各接点対10cにおいて、2つの固定接点電極14a1,14a2に対して2つの可動接点電極13b1,13b2が設けられている。

    但し、本実施の形態では、固定接点電極14a1と固定接点電極14a2との間に段差Sが設けられている。 具体的には、段差Sは、キャビティ11aの壁面に形成されており、この段差Sを間にして2つの伝送線路15が設けられ、各伝送線路15上に固定接点電極14a1,14a2がそれぞれ配置されている。 この段差Sにより、プッシュロッド12に近い側(接点梁12aの付け根側)における接点間距離が、プッシュロッド12に遠い側(接点梁12aの先端側)における接点間距離よりも広くなっている。 即ち、ここでは、固定接点電極14a1と可動接点電極13b1との間の距離が、固定接点電極14a2と可動接点電極13b2との間の距離よりも広くなっている。 尚、このような段差Sにおける高低差は、成膜時の膜厚ばらつきや、接点梁12aの反り量を加味して設定されることが望ましい。

    これにより、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様、図示しないアクチュエータ20の駆動により、プッシュロッド12が動作軸Aに沿って摺動(変位)すると、この摺動動作によって、接点対10cにおける接触状態および非接触状態が切り替わる。 接点対10cが非接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15は機械的に断絶され、スイッチオフとなる(図5(A))。 そして、図5(B)に示したように、接点対10cが非接触状態から接触状態に遷移する過程では、方向A1に向かって接点梁12aが変位し、まず接点梁12aの先端側にある可動接点電極13b2が、対向する固定接点電極14a2に接触する。 その後または略同時に、接点梁12aの付け根側にある可動接点電極13b1が、対向する固定接点電極14a1に接触する(図5(C))。 これにより、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15が接点対10cによって機械的に継続され、スイッチオンとなる。 具体的には、入力ポートVin側から入力された信号は、固定接点電極14a1、可動接点電極13b1、接点梁12a(積層膜12a1)、可動接点電極13b2、固定接点電極14a2を順に経て出力ポートVoutへ出力される。

    ここで、固定接点電極14a1,14a2が基板11上に複数並列配置されると共に、固定接点電極14a1,14a2に対向して配置された各接点梁12aには、固定接点電極14a1,14a2のそれぞれに対向するように2つの可動接点電極13b1,13b2が形成されている。 これにより、上記第1の実施の形態と同様、固定接点電極14a1,14a2、可動接点電極13b1,13b2および接点梁12aよりなる接点対10cが並列化された接点構造が実現される。 従って、本実施の形態においても、全ての接点対10cにおいて、固定接点電極14a1,14a2と可動接点電極13b1,13b2との接触は、十分な接触圧で略均等になされる。 よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。

    また、本実施の形態では、固定接点電極14a1と固定接点電極14a2との間に所定の段差Sが設けられていることにより、プッシュロッド12から近い側の接点間距離が遠い側の接点間距離よりも広くなっている。 ここで、接点梁12aでは、いずれの接点同士も非接触であるときには、その付け根部分(プッシュロッド12との接続部分)が支点となるが、接点梁12aの変位により、いずれかの接点同士が接触した後は、その接触点が接点梁12aの新たな支点となる。 ここで仮に、成膜ばらつき等に起因して、プッシュロッド12に近い側の接点同士(固定接点電極14a1と可動接点電極13b1)が先に接触してしまう構造になっている場合は、例えば図6に示したように、その接触点を支点として接点梁12aが変形し易くなる。 このため、プッシュロッド12から遠い側の接点同士(固定接点電極14a2と可動接点電極13b2)を接触させるために大きなストロークまたは強い力あるいはその両方が必要となる。 従って、アクチュエータが大型化してデバイスが大型化してしまう。 また、最悪の場合には、接点同士が接触しないという最悪も発生し得るため、スイッチ動作が不安定となり易い。

    そこで、本実施の形態のように、段差Sを設けることにより、プッシュロッド12から遠い側の固定接点電極14a2と可動接点電極13b2とを、プッシュロッド12に近い側にある固定接点電極14a1と可動接点電極13b1よりも先に(または略同時に)接触させる。 これにより、上記のような成膜ばらつきが生じた場合であっても、接点梁12aの変形による接触不良(特に接点梁12aの先端側における接触不良)を防止し、各接点対10cにおいて、接点同士の接触圧をより均等化することができる。

    尚、上記第3の実施の形態では、各接点対10cに段差Sを1つ設けた場合を例に挙げたが、段差Sの数は2つ以上であってもよく、即ち固定接点電極14a1と固定接点電極14a2との間に多段ステップを設けてもよい。 また、接点間距離を変化させる手段としては、段差Sに限らず、図7(A)に示したようなテーパS1であってもよい。 あるいは、図7(B)に示したように、キャビティ11aの壁面の広範囲にテーパS2を設け、このテーパS2による傾斜面に固定接点電極14a1,14a2を設けてもよい。

    <第4の実施の形態>
    図8(A)は、第4の実施形態に係る有接点スイッチ(有接点スイッチ1D)の接点対(接点対10d)付近の平面構成(オフ状態)を表すものである。 図8(B)は、接触状態(オン状態)にある接点対10dを示すものであり、図中の矢印Bは信号の流れを模式的に表したものである。 尚、上記概略構成および第1,2の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し適宜説明を省略する。

    有接点スイッチ1Dは、上記第1の実施の形態の有接点スイッチ1Aと同様、複数の接点対10dが、基板11上に並列配置され、プッシュロッド12の摺動動作により伝送線路15の機械的な継断を行うシリーズ型のスイッチである。 また、基板11に形成されたキャビティ11aの壁面には、入力ポートVinおよび出力ポートVoutが形成された2つの伝送線路15と、各伝送線路15に接続された2つの固定電極14a1,14a2が設けられている。 プッシュロッド12からは、それらの固定電極14a1,14a2に対向するように、接点梁12aが張り出しており、この接点梁12aの弾性率はプッシュロッド12の弾性率よりも小さくなっている。 更に、上記第2の実施の形態の有接点スイッチ1Bと同様、各接点対10dにおいて、2つの固定接点電極14a1,14a2に対して2つの可動接点電極13b1,13b2が設けられている。

    但し、本実施の形態では、プッシュロッド12の動作軸Aと直交する方向に沿った両側に接点梁12aが張り出している。 また、固定接点電極14a1,14a2、可動接点電極13b1,13b2および接点梁12aが、プッシュロッド12の動作軸Aを対称軸として線対称となる位置に設けられている。 即ち、各接点対10dでは、固定接点電極14a1、可動接点電極13b1および接点梁12aよりなる組と、固定接点電極14a2、可動接点電極13b2および接点梁12aよりなる組とが互いに線対称の関係にある。

    これにより、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様、図示しないアクチュエータ20の駆動により、プッシュロッド12が動作軸Aに沿って摺動(変位)すると、この摺動動作によって、接点対10dにおける接触状態および非接触状態が切り替わる。 接点対10dが非接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15は機械的に断絶され、スイッチオフとなる(図8(A))。 一方、接点対10dが接触状態にある場合には、入力ポートVinから出力ポートVoutまでの伝送線路15が接点対10dによって機械的に継続され、スイッチオンとなる(図8(B))。 具体的には、入力ポートVin側から入力された信号は、固定接点電極14a1、可動接点電極13b1、接点梁12a(積層膜12a1)、可動接点電極13b2、固定接点電極14a2を順に経て出力ポートVoutへ出力される。

    以下、上記概略構成例および第1〜4の実施の形態で説明した有接点スイッチにおける配線レイアウトおよびアクチュエータ20の一例について説明する。 尚、これらの説明では、上記各形態を代表して第4の実施の形態の有接点スイッチ1Dの構成を用いる。

    (配線レイアウト例)
    図9は、有接点スイッチ1Dにおける具体的な配線のレイアウトについて模式的に表すものである。 有接点スイッチ1Dは、信号線路SIG(伝送線路15、固定接点電極14a1,14a2、可動接点電極13b1,13b2および接点梁12aに対応)と、グランド線路GNDとが、基板11上において略交互に配置されたGSGSG構造を有している。 グランド線路GNDは、基板11表面の絶縁膜上に、グランド電位に設定された固定電極として設けられるものである。

    このような配線レイアウトにより、特に高周波信号における電力損失を軽減することができる。 これは、次のような理由による。 即ち、基板11上には絶縁膜(図示せず)を介して伝送線路15が形成されるが、この絶縁膜上にある伝送線路15に信号が入力されると、この入力信号はグランド線路GNDへ向けて放射し易くなる。 そのため、グランド線路GNDが伝送線路15から離れた位置に配置されている場合には、信号放射量が多くなってしまう。 従って、本レイアウト例のように、GSGSG構造を採用することにより、伝送線路15の近傍にグランド線路GNDが配されることとなり、信号放射量を低減して電力損失を軽減することができる。

    尚、本レイアウト例では、キャビティ11aの一部がラダー構造(梯子構造)となっており、このラダー構造部分にもグランド線路GNDが形成されている。 また、プッシュロッド12および接点梁12aはそれぞれ、互いに同じ材料、厚み等の板材を用いつつも、接点梁12aを弾性体、プッシュロッド12を剛体とそれぞれ見做せるように形成されている。 具体的には、接点梁12aは、例えば厚みが0.5μm〜4.0μm程度のシリコン系半導体よりなる1枚の板材を用いることにより弾性体と見做している。 一方、プッシュロッド12は、接点梁12aと同じ材料、厚み等からなる板材を複数枚組み合わせてラダー構造を形成することにより、機械的強度を増して剛体と見做している。

    (アクチュエータ20の構成例)
    図10(A),(B)は、アクチュエータ20の概略構成を表すものである。 有接点スイッチ1Dでは、アクチュエータ20が基板11をMEMS技術を用いて加工することにより形成されており、即ち伝送線路15,接点対10d、プッシュロッド12およびアクチュエータ20が基板11上の同一平面内に設けられている。 アクチュエータ20は、プッシュロッド12と同一の動作軸(動作軸A)に沿って摺動する可動電極21と、基板11上に固定された固定電極22とを有し、静電力によって可動電極21を動作軸Aに沿って変位させる、いわゆるラテラル駆動による静電MEMSアクチュエータである。 尚、図10(A),(B)では、簡便化のため、伝送線路15および固定接点電極14a1,14a2の図示を省略している。

    可動電極21および固定電極22はそれぞれ、櫛歯状の電極であり、互いに噛み合わせられて配置されている。 これらの可動電極21および固定電極22は、例えば次のようにして形成する。 即ち、基板11を、エッチングおよびリソグラフィー技術を用いて3次元加工することにより櫛歯状の基材を形成した後、その表面に上記固定接点電極14a1,14a2等と同様の積層膜(金およびチタンによる積層膜)で被覆することにより形成することができる。 また、可動電極21は、プッシュロッド12と連結あるいは一体的に形成されており、可動電極21の摺動動作に伴ってプッシュロッド12が摺動するようになっている。 このような可動電極21および固定電極22では、電源(図示せず)からの電圧印加により駆動力として電磁力を発生し、これにより可動電極21が固定電極22側に吸引されるようになっている。

    これにより、アクチュエータ20では、電圧無印加のオフ状態(図10(A))において、閉動作(オン状態への切り替え)の指令を受けると、可動電極21と固定電極22との間に駆動電圧が印加されると、これらの可動電極21,固定電極22間に電磁力が発生する。 その結果、可動電極21が固定電極22に近接するように動作軸Aに沿って摺動する。 これに伴って、プッシュロッド12が摺動し、接点対10dにおける接触がなされてオン状態となる(図10(B))。 尚、このオン状態において、開動作(オフ状態への切り替え)の指令を受けると、可動電極21,固定電極22間における電磁力が解除され、可動電極21は固定電極22から乖離するように動作軸Aに沿って摺動する。 これに伴って、プッシュロッド12が摺動し、接点対10dにおける接触が解除されて、図10(A)の位置に復帰する。

    尚、ここでは、アクチュエータ20として、静電アクチュエータを例に挙げたが、MEMS機能を利用した他の駆動方式によるアクチュエータ、例えばピエゾアクチュエータ、電磁アクチュエータ、バイメタルアクチュエータ等にも適用可能である。

    <適用例>
    図11は、本発明の有接点スイッチを搭載した通信装置(電子機器)のブロック構成を表すものである。 この通信装置は、上記各実施の形態において説明した有接点スイッチを送受信切替器301として搭載したものであり、例えば、携帯電話器、情報携帯端末(PDA)、無線LAN機器などである。 尚、上記送受信切替器301は、SoCからなる半導体デバイス内に形成されている。 この通信装置は、送信系回路300Aと、受信系回路300Bと、送受信経路を切り替える送受信切換器301と、高周波フィルタ302と、送受信用のアンテナ303とを備えている。

    送信系回路300Aは、Iチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データに対応した2つのデジタル/アナログ変換器(DAC;Digital/Analogue Converter)311I,311Qおよび2つのバンドパスフィルタ312I,312Qと、変調器320および送信用PLL(Phase-Locked Loop )回路313と、電力増幅器314とを備えている。 この変調器320は、上記した2つのバンドパスフィルタ312I,312Qに対応した2つのバッファアンプ321I,321Qおよび2つのミキサ322I,322Qと、移相器323と、加算器324と、バッファアンプ325とを含むものである。

    受信系回路300Bは、高周波部330、バンドパスフィルタ341およびチャンネル選択用PLL回路342と、中間周波回路350およびバンドパスフィルタ343と、復調器360および中間周波用PLL回路344と、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データに対応した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qおよび2つのアナログ/デジタル変換器(ADC;Analogue/Digital Converter)346I,346Qとを備えている。 高周波部330は、低ノイズアンプ331と、バッファアンプ332,334と、ミキサ333とを有し、中間周波回路350は、バッファアンプ351,353と、自動ゲイン調整(AGC;Auto Gain Controller)回路352とを有する。 復調器360は、バッファアンプ361と、上記した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qに対応した2つのミキサ362I,362Qおよび2つのバッファアンプ363I,363Qと、移相器364とを有している。

    この通信装置では、送信系回路300AにIチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データが入力されると、それぞれの送信データを以下の手順で処理する。 即ち、まず、DAC311I、311Qにおいてアナログ信号に変換し、引き続きバンドパスフィルタ312I,312Qにおいて送信信号の帯域以外の信号成分を除去したのち、変調器320に供給する。 続いて、変調器320において、バッファアンプ321I,321Qを介してミキサ322I,322Qに供給し、引き続き送信用PLL回路313から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調したのち、両混合信号を加算器324において加算することにより1系統の送信信号とする。 この際、ミキサ322Iに供給する周波数信号に関しては、移相器323において信号移相を90°シフトさせることにより、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが互いに直交変調されるようにする。 最後に、バッファアンプ325を介して電力増幅器314に供給することにより、所定の送信電力となるように増幅する。 この電力増幅器314において増幅された信号は、送受信切換器301および高周波フィルタ302を介してアンテナ303に供給されることにより、そのアンテナ303を介して無線送信される。 この高周波フィルタ302は、通信装置において送信または受信する信号のうちの周波数帯域以外の信号成分を除去するバンドパスフィルタとして機能する。

    一方、アンテナ303から高周波フィルタ302および送受信切換器301を介して受信系回路300Bに信号が受信されると、その信号を以下の手順で処理する。 即ち、まず、高周波部330において、受信信号を低ノイズアンプ331で増幅し、引き続きバンドパスフィルタ341で受信周波数帯域以外の信号成分を除去したのち、バッファアンプ332を介してミキサ333に供給する。 続いて、チャンネル選択用PPL回路342から供給される周波数信号を混合し、所定の受信チャンネルの信号を中間周波信号とすることにより、バッファアンプ334を介して中間周波回路350に供給する。 続いて、中間周波回路350において、バッファアンプ351を介してバンドパスフィルタ343に供給することにより中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、引き続きAGC回路352でほぼ一定のゲイン信号としたのち、バッファアンプ353を介して復調器360に供給する。 続いて、復調器360において、バッファアンプ361を介してミキサ362I,362Qに供給したのち、中間周波用PPL回路344から供給される周波数信号を混合し、Iチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。 この際、ミキサ362Iに供給する周波数信号に関しては、移相器364において信号移相を90°シフトさせることにより、互いに直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。 最後に、Iチャンネルの信号およびQチャンネルの信号をそれぞれバンドパスフィルタ345I,345Qに供給することによりIチャンネルの信号およびQチャンネルの信号以外の信号成分を除去したのち、ADC346I,346Qに供給してデジタルデータとする。 これにより、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データが得られる。

    この通信装置は、上記各実施の形態において説明した有接点スイッチを送受信切替器301として搭載しているため、上記各実施の形態において説明した作用により、優れた高周波特性を有する。

    尚、この通信装置では、上記各実施の形態において説明した有接点スイッチを受信切替器301(半導体デバイス)に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、有接点スイッチを送信系回路300Aおよび受信系回路300B内のミキサ332I,332Q,333,362I,362Qや、バンドパスフィルタ312I,312Q,341,343 、ADC 346I,346Q、または、高周波フィルタ302に適用してもよい。 この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。

    以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。 例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法としてもよい。

    また、上記実施の形態では、有接点スイッチ1,1a〜1dの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。

    1,1a〜1d…有接点スイッチ、10a〜10d…接点対、11…基板、12…プッシュロッド、12a…接点梁、13,13a,13b1,13b2…可動接点電極、14,14a1,14a2…固定接点電極、15…伝送線路、20…アクチュエータ、21…可動電極、22…固定電極。

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