インサイツ分析用に調製された癌細胞の核病理学的特徴を測定するためのスペクトルイメージング

申请号 JP2014509698 申请日 2012-05-07 公开(公告)号 JP6208121B2 公开(公告)日 2017-10-04
申请人 ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.; コーネル ユニバーシティー; 发明人 デミチェリス, フランチェスカ; ガルシャ, カール; ミラー, フィリップ シー; ネーグル, レイ ビー; オッター, マイケル; ペスタノ, ゲイリー アンソニー; ルービン, マーク エー.;
摘要
权利要求

多変量前立腺癌診断のためのシステムであって、 a. 組織からの単一細胞又は細胞集団を含む被験者由来の単一サンプルから分子マーカーデータを得るか又は受け取る手段であって、該分子マーカーはERG遺伝子の再構成である、手段、 b. 手段(a)で使用されたものと同じ単一細胞又は細胞集団から定量的細胞形態学的マーカーデータを得るか又は受け取る手段であって、細胞形態学的マーカーデータが核サイズ、核形状、及びDNA量である、手段、 c. 前記単一サンプルの多変量解析を実施して、手段(b)からの定量的細胞形態学的マーカーデータと手段(a)からの分子マーカーデータの双方を含む多変量解析データセットを生成する手段; d. 手段(c)で得られた多変量解析データセットを、既知の臨床結果を持つ個体から採られた前立腺癌及び非癌細胞サンプルから分子マーカーデータ及び定量的細胞形態学的マーカーデータ双方を得るか又は受け取ることによってつくられた参照多変量解析データセットと比較する手段であって、該分子マーカーがERG遺伝子の再構成であり、該細胞形態学的マーカーデータが核サイズ、核形状、及びDNA量である、手段、及び e. 参照多変量解析データセットに見られる前立腺癌進行、発生、転移又は臨床結果の他の決定要因に統計的に関連した細胞形態学的マーカーデータと分子マーカーデータの特定の組み合わせによって定義される臨床結果を予測する手段 を含むシステム。ERG遺伝子の再構成がインサイツハイブリダイゼーションで検出される、請求項1に記載のシステム。ERG遺伝子の再構成が、蛍光標識された核酸を用いた蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)で検出される、請求項2に記載のシステム。核サイズ、核形状及びDNA量は、蛍光DNA染色技術を用いて検出される、請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。蛍光DNA染色技術がDAPI染色である、請求項4に記載のシステム。ERG遺伝子の再構成、並びに核サイズ、核形状及びDNA量は、定量的スペクトルイメージングデータを提供する蛍光スペクトルイメージングにより定量化される、請求項3から5の何れか一項に記載のシステム。多変量解析データセットは定量的スペクトルイメージングデータを用いて作成される、請求項6に記載のシステム。定量的スペクトルイメージングデータは、蛍光DNA染色技術及び蛍光インサイツハイブリダイゼーションで検出された蛍光シグナルの波長分解能、空間分解能及び強度分解能である、請求項7に記載のシステム。ERG遺伝子の再構成がERG遺伝子への挿入、又はERG遺伝子の5’領域の欠失であり、細胞形態学的マーカーデータが細胞核の不規則な丸さである、請求項1から8の何れか一項に記載のシステム。多変量前立腺癌診断を補助するための方法であって、 a. 組織からの単一細胞又は細胞集団を含む被験者由来の単一サンプルから分子マーカーデータを得る工程であって、該分子マーカーはERG遺伝子の再構成である、工程、 b. 工程(a)で使用されたものと同じ単一細胞又は細胞集団から定量的細胞形態学的マーカーデータを得る工程であって、細胞形態学的マーカーデータが核サイズ、核形状、及びDNA量である、工程、 c. 前記単一サンプルの多変量解析を実施して、工程(b)からの定量的細胞形態学的マーカーデータと工程(a)からの分子マーカーデータの双方を含む多変量解析データセットを生成する工程; d. 工程(c)で得られた多変量解析データセットを、既知の臨床結果を持つ個体から採られた前立腺癌及び非癌細胞サンプルから分子マーカーデータ及び定量的細胞形態学的マーカーデータ双方を得ることによってつくられた参照多変量解析データセットと比較する工程であって、該分子マーカーがERG遺伝子の再構成であり、該細胞形態学的マーカーデータが核サイズ、核形状、及びDNA量である、工程、及び e. 参照多変量解析データセットに見られる前立腺癌進行、発生、転移又は臨床結果の他の決定要因に統計的に関連した細胞形態学的マーカーデータと分子マーカーデータの特定の組み合わせによって定義される臨床結果を予測することを補助する工程 を含む方法。多変量前立腺癌診断のための装置であって、 a. 組織からの単一細胞又は細胞集団を含む被験者由来の単一サンプルから分子マーカーデータを得るか又は受け取る手段であって、該分子マーカーはERG遺伝子の再構成である、手段、 b. 手段(a)で使用されたものと同じ単一細胞又は細胞集団から定量的細胞形態学的マーカーデータを得るか又は受け取る手段であって、細胞形態学的マーカーデータが核サイズ、核形状、及びDNA量である、手段、 c. 前記単一サンプルの多変量解析を実施して、手段(b)からの定量的細胞形態学的マーカーデータと手段(a)からの分子マーカーデータの双方を含む多変量解析データセットを生成する手段; d. 手段(c)で得られた多変量解析データセットを、既知の臨床結果を持つ個体から採られた前立腺癌及び非癌細胞サンプルから分子マーカーデータ及び定量的細胞形態学的マーカーデータ双方を得るか又は受け取ることによってつくられた参照多変量解析データセットと比較する手段であって、該分子マーカーがERG遺伝子の再構成であり、該細胞形態学的マーカーデータが核サイズ、核形状、及びDNA量である、手段、及び e. 参照多変量解析データセットに見られる前立腺癌進行、発生、転移又は臨床結果の他の決定要因に統計的に関連した細胞形態学的マーカーデータと分子マーカーデータの特定の組み合わせによって定義される臨床結果を予測する手段 を含む装置。

说明书全文

一般に、開示技術は癌サブタイプの同定に関する。より特定的には、開示技術は、癌組織サンプルの同じ細胞におけるインサイツ分子マーカーと形態学的特徴の多変量画像データ及び統計解析を使用する癌及び/又は進行の分子ドライバーを決定するための方法に関する。この分析は分子及び解剖学的形態データを並行して得る単一の獲得後に行われる。該分析は癌の特定の遺伝的ドライバーを示す既知のサンプルと特定の形態及び分子マーカーを比較する。この方法は、癌の特定の分子ドライバーの同定における信頼性を高めることを可能にする統計情報を提供する。

病理学的予後アッセイは数え切れない癌タイプに対して治療レジメンを指導補助し開発し治療成績を予想するために使用される。癌の分子ベースの早期検出と精確な決定は癌患者の治療において重要なことである。多くの癌に対して、これには、様々な形態学的及び分子的因子を決定するために患者から多くの組織サンプルを別個に調製することが必要となる。

典型的には、癌サンプルは、顕微鏡スライド上に細胞を固定し様々な染色方法(例えば形態学的又は細胞遺伝学的染色)を使用してそれらを染色することにより、病理学的に検査される。ついで、異常な又は癌性の細胞の有無と細胞形態について染色検体が評価される。一般的な情報を提供するだけであるが、組織学的染色法は生体サンプル中の癌性細胞の検出に現在実施されている最も一般的な方法である。癌の検出にしばしば使用される他の染色法には免疫組織化学的検査及び活性染色がある。これらの方法は癌性細胞中における特異的抗原又は酵素活性の有無に基づいている。癌性細胞を検出する他の方法は癌細胞中に存在している染色体異常を利用する。特に、全染色体又は染色体セグメントのコピーの欠失又は増殖とゲノムの特定領域の高レベルの増幅は癌において頻発することである。染色体異常は、ギムザ染色された染色体(G分染法)又は蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(FISH)のような細胞遺伝学的方法を使用してしばしば検出される。

典型的には、上述の方法の何れかによって染色された生体サンプルは検査技師又は病理学者の何れかによって手作業で評価される。顕微鏡スライドは候補領域を見つけるために低倍率で検査され、その領域が癌性細胞の有無を評価するために高倍率で検査される。更に、本方法は通常は一回の単一染色法を必要とし、一回を越える染色法が実施される場合は、通常は正確には同じ細胞についてではない。これは細胞学的染色法に伴う擬陰性の結果か又は免疫原性又は活性ベースの染色方法に伴う擬陽性の結果が生じる可能性を付与する。別個のスライドが使用される場合、形態の客観的尺度を特定の遺伝子再構成に直接関連させることができないので、そのような測定結果を意味のある形で組み合わせる有用性は限られていた。

男性において、前立腺癌は全人種にとって癌の最も蔓延している形態である。合衆国だけでも毎年300000人を越える男性が前立腺癌と診断されているが、現在利用できる検査法は不正確で主観的なことで悪名高い。その結果、病気が転移を含む後期まで進行するまで、前立腺癌の多くの症例は診断確定されていない。前立腺癌の発症とそれに伴う死亡率は双方共過去10年にわたって増加している。臨床的に明白な疾患は、50歳を越える全男性の略30パーセントが潜在性前立腺癌の無症候性顕微鏡的形態を抱えている点で氷山の一に過ぎない。現在使用されている早期の検出方法は癌のこの潜在性形態の同定を増大させており、今は合衆国の男性のうち一千百万を越える症例を占める。増殖速度の研究は、これらの腫瘍が非常にゆっくりと増殖するように思われ、大多数が臨床的に無症状のままであることを示している。前立腺癌の約50−65%は局在化しており、9−17%は前立腺近くの領域まで広がっており、20−25%は身体の他の部分に転移してしまっていると推定される。

前立腺癌のスクリーニングは主としてPSA(前立腺特異的抗原の血液検査)及びDRE(直腸診)検査によっている。癌の確認は針生検から得られた組織サンプルの検査によってなされている。これらの方法は良性疾患と癌を識別できない。識別の失敗は、例えば、不必要であり副作用(例えば不能及び失禁)がある治療に良性疾患の患者をさらすことになりうる。現在、癌進行の評価において検討される因子は推定である。腫瘍堆積、癌及び高悪性度上皮細胞内腫瘍の術前及び術後組織学的グレーディング、臨床及び病理的腫瘍病期分類、及び血清PSAを用いて前立腺癌の生物学的攻撃性を予測しうる。不幸にも、これらの技術は一般にはほんの僅かな予測価値を有しているに過ぎない。更に、PSA検査は癌の個体全体の20−30%を見逃す。従って、より良好な感度と特異性を有する診断法が明らかに必要である。

正常な前立腺細胞が癌細胞にエピジェネティックで遺伝的に転換し転移表現型に進行するには複数の工程が必要なことは広く認められている。治療法をより良好に選択し腫瘍の攻撃性を予測するためにこれらの変化を同定する方法を開発することは前立腺癌における多くの研究の主題であった。前立腺癌の進行評価においてなされた進歩にもかかわらず、そのような判定の精度に改善が必要とされていることは明らかである。

よって、単一獲得された生物学的サンプルの単一細胞における多変量を分析することができる癌及び癌関連形態を分析し、癌の予後を推進する特定の機構の同定に対して高い信頼性レベルを提供し、治療プロトコルの設計と選択の際に医療専門家により多くの情報を提供する方法には広く認められた必要性があり、その方法があることは非常に有利であろう。

ここに開示される技術は組織中の癌の分子機構の分析における特異性を増加させる改良方法を提供する。よって、所定の実施態様では、該技術は、組織からの細胞又は細胞集団を含む単一サンプルにおける細胞レベルでの分子マーカー及び表現型形態計測学的マーカー双方の存在を決定する多変量癌診断方法であって、 a. 組織からの単一細胞又は細胞集団を含む被験者由来の単一サンプルから分子マーカーデータを得る工程; b. 上記単一サンプルの多変量解析を提供するために工程(a)で使用されたものと同じ単一細胞又は細胞集団から定量的細胞形態学的データを得る工程であって、該多変量データセットが工程(b)からの定量的細胞形態学的データと工程(a)からの分子マーカーデータの双方を含む工程;及び c. 工程(b)で得られた多変量解析データセットを、既知の臨床結果を持つ個体から採られた癌及び非癌細胞サンプルから分子マーカーデータ及び定量的細胞形態学的データ双方を得ることによってつくられた参照多変量解析データセットと比較する工程 を含む方法に関する。

工程(c)の比較結果は、参照多変量解析データセットに見られる癌進行、発生、転移又は臨床結果の他の特徴に統計的に関連した特徴とマーカーの特定の組み合わせによって定義される被験者からの臨床結果の予測を提供する。

そのような診断方法では、分子マーカーは遺伝子再構成でありうる。例えば、そのような遺伝子再構成は、ERG遺伝子を含むETS遺伝子再構成でありうる。

開示された方法では、形態学的尺度は核サイズ、形状及びDNA量を含みうる。

診断方法の好ましい適用は、前立腺癌細胞である癌細胞においてである。

該技術はまた癌性組織由来の単一細胞又は細胞集団を含む試験サンプルにおける特定の遺伝子再構成又は分子マーカーパターンを同定する方法であって、 a. 癌の既知の分子的結果のコホートからの癌細胞集団に属する単一サンプルから多形態学的及び分子マーカー変量の回帰分析を通して得られた測定可能な表現型特徴と分子マーカーの統計的関連性を得て、臨床結果に関連した表現型及び分子マーカーを示す参照ライブラリーをつくる工程; b. 特定の形態計測学的表現型を上記ライブラリーからの特定の遺伝子再構成又は分子マーカーパターンと相関させる工程; c. 癌性組織由来の単一細胞又は細胞集団を含む試験サンプルについてインサイツ分子分析を実施し、同じ試験サンプルについて形態計測学的特徴を同時に又は同時発生的に測定してサンプルの形態及び分子マーカー双方を決定する工程; d. 工程(c)の試験サンプルから得られたインサイツ分子及び形態計測学的データの組合せを工程(b)におけるライブラリーと比較し、上記癌性組織の試験サンプル由来の単一細胞又は細胞集団における特定の遺伝子再構成又は分子マーカーパターンを同定する工程 を含む方法を考える。

癌性組織は固形組織又は流体組織、例えば血液組織でありうる。ここに開示された方法では、癌細胞は、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、食道癌、癌、結腸癌、膵臓癌、及びメラノーマからなる群から選択される癌と関連している癌細胞でありうる。

開示された方法では、形態学的コントラストは蛍光染色(例えばDAPI、量子ドット)、組織の光学的性質(例えば透過暗視野照明)、反射又は散乱マーカー(例えばコロイド金、銀染色)、又は光吸収造影剤(例えばヘマトキシリン、DAB)の使用から得られうる。

ここで使用されるインサイツ分子マーカーコントラストは、蛍光染料(例えばDAPI、量子ドット)、組織の光学的性質(例えば透過暗視野照明)、反射又は散乱マーカー(例えばコロイド金)、又は光吸収造影剤(例えばヘマトキシリン、DAB、ファーストレッド、ファーストブルー、銀染色)の使用から得られうる。

他の態様では、インサイツ分子マーカーはイムノプローブ、DNAプローブ、RNAプローブ、レクチン、アプタマー、タンパク質リガンド又は酵素補因子である。

特定の実施態様では、多変量アッセイは前立腺癌細胞である癌細胞で実施され、そこでは、インサイツ分子分析がERGを含むETSの存在、遺伝子再構成を決定するために使用され、形態学的染色はDAPI染色である。より特定的には、ERG再構成はERG遺伝子への挿入又はERGの5’領域の欠失であり、形態学的計量は核の不規則な丸さである。

本技術はまた特定の遺伝子再構成を有する可能性がある前癌又は癌関連細胞の早期の同定方法であって、 a. 癌の結果に関連した既知の遺伝子再構成の前癌コホートから細胞集団で実施されたインサイツ分子マーカー及び形態計測学的測定のライブラリーを得る工程; b. 上記ライブラリーからの特定の遺伝子再構成と形態計測学的表現型を相関させてライブラリーデータを作成する工程; c. 単一細胞又は細胞集団を含む試験細胞サンプルでインサイツ分子分析を実施し、同サンプルの解剖学的特徴を測定して試験細胞サンプルの形態を決定する工程;及び d. 工程(c)の試験細胞サンプルから得られたインサイツ分子及び形態計測学的データの組合せを工程(b)におけるライブラリーと比較し、癌又は前癌細胞サンプルとして試験細胞サンプルの同定の統計的信頼性を増加させる工程 を含む方法に関する。

前癌又は癌関連細胞は、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、食道癌、肺癌、結腸癌、膵臓癌、及びメラノーマからなる群から選択される癌と関連している場合がある。

そのような方法ではまた、形態学的コントラストは、蛍光染料(例えばDAPI、量子ドット)、組織の光学的性質(例えば透過暗視野照明)、反射又は散乱マーカー(例えばコロイド金、銀染色)、又は光吸収造影剤(例えばヘマトキシリン、DAB)14の使用から得られうる。インサイツ分子マーカーコントラストは、蛍光染料(例えばDAPI、量子ドット)、組織の光学的性質(例えば透過暗視野照明)、反射又は散乱マーカー(例えばコロイド金)、又は光吸収造影剤(例えばヘマトキシリン、DAB、ファーストレッド、ファーストブルー、銀染色)の使用から得られうる。

インサイツ分子マーカーはイムノプローブ、DNAプローブ、RNAプローブ、レクチン、アプタマー、タンパク質リガンド又は酵素補因子でありうる。

特定の方法では、前癌又は癌関連細胞は前立腺細胞であり、インサイツ分子分析がERG再構成の存在を決定するために使用され、形態学的染色はDAPI染色である。より特定的には、ERG再構成はERG遺伝子への挿入又はERG遺伝子の5’領域の欠失であり、形態学的計量は細胞核の不規則な丸さである。

他の実施態様では、前癌又は癌関連細胞は前立腺細胞であり、FISH分析がERG再構成の存在を決定するために使用され、形態学的染色はDAPI染色である。ERG再構成はERG遺伝子への挿入又はERG遺伝子の5’領域の欠失であり得、上記形態計測学的変化は細胞核の不規則な丸さである。

また記載されるのは、癌被験者における臨床結果を予測する分子マーカーの存在を同定する方法であって、 a. 既知の癌を持つ複数の被験者から得られたサンプルからの特定の癌結果及び上記癌に関連する臨床結果に関連した遺伝子再構成の参照ライブラリーを準備する工程; b. 既知の癌を持つ複数の被験者から得られたサンプルからの特定の癌結果及び上記癌に関連する臨床結果に関連した形態学的変化の参照ライブラリーを準備する工程; c. 遺伝子再構成ライブラリーを形態学的ライブラリーと組み合わせて、癌細胞における形態学的変化が個々の癌タイプ及び臨床結果における特定の遺伝子再構成と相関するか又は連関等したライブラリーを得る工程; d. 癌を持つことが疑われる試験被験者から得られた単一細胞又は細胞集団を含む試験サンプルから定量的細胞形態学的データを得る工程; e. 試験被験者から得られた定量的細胞形態学的データを、工程c)の遺伝子再構成及び形態学的ライブラリーの組み合わせと比較して、試験被験者に存在する特定の遺伝子再構成を同定する工程 を有する方法である。より特定的には、該方法は、形態学的特徴と遺伝子再構成の組合せの存在が被験者における特定の臨床結果の同定をもたらすことを特徴としうる。

そのような方法では、該方法は分子マーカーのインサイツ検出によって遺伝子再構成の存在を確認することを更に含みうる。

生のデータが定量的スペクトルイメージングを通して獲得され核染色及びプローブ検出からの波長シグナル分布を基にして脱複合化(de-composited)される本技術の方法を示す。

視野例を示す。

平均値パーセントとして表した変動係数(CV)に対してプロットされた平均面積の散布図を示す。

平均真円度値パーセントとして表した変動係数(CV)に対してプロットされた平均真円度の散布図を示す。

平均真円度値(縦軸)に対してプロットされた平均面積(横軸)の散布図を示す。

CV面積(縦軸)に対してプロットされた平均面積(横軸)の散布図を示す。ERG

再構成陰性癌コアを青色(菱形)でプロットし、ERG転座のみ陽性のコアは赤紫色(矩形)で、ERG転座+欠失陽性コアは緑色(三角)である。

CV真円度(縦軸)に対してプロットされた平均真円度(横軸)の散布図を示す。ERG

再構成陰性癌コアを青色(菱形)でプロットし、ERG転座のみ陽性のコアは赤紫色(矩形)で、ERG転座+欠失陽性コアは緑色(三角)である。

平均真円度(縦軸)に対してプロットされた平均面積(横軸)の散布図を示す。ERG

再構成陰性癌コアを青色(菱形)でプロットし、ERG転座のみ陽性のコアは赤紫色(矩形)で、ERG転座+欠失陽性コアは緑色(三角)である。

コア当たり1野から採った与えられた全積分強度(DAPI)との癌の核の度数のグラフを示す。

核サイズ及びグリーソンスコアに対する統計的有意性及び回帰分析のグラフを示す。

核形状(真円度)及びERG

再構成に対する統計的有意性及び回帰分析のグラフを示す。

本技術は、癌を推進する根底にある機構を決定するために改善された特異性と感度を提供するために組み合わせて分析される単一癌細胞上の分子及び形態学的データに関する多変量情報の新規な単一獲得を使用する生物学的サンプルの定量的画像解析を提供する。好ましくは、細胞は組織サンプル由来である。この新規な多変量組織データは、H&E染色生検の一般的な病理グレード分類だけに基づいて分類することが他では困難である場合にリスクを層別化し治療法決定を補助するのに役立ちうる。

本技術はスペクトル分解検出及びデータ前処理を含む特殊化されたイメージングアプローチとの関連で分子マーカーの蛍光標識を使用することによって癌の病理的予後状態を決定するための情報を提供する。本技術は、単一データ獲得サイクル内で組織上の分子特異的プローブの検出のために調製される組織についての核形態を獲得し解析することができるイメージングアプローチを提供する。このイメージングアプローチは標識、獲得、前処理及び分析技術の組合せを用いる。多次元画像が収集され、分析されて、発光波長によって興味ある異なった分析物チャネルを分離し識別される。続く分析物チャネルは形態及び遺伝子再構成、細胞の遺伝子発現及び/又はタンパク質発現を定量化するデータの異なった態様を表す。

本技術の一実施態様では、単一癌細胞からの形態学的及び遺伝子再構成情報の組合せのデータ収集及び解析が分析されて、病理研究に基づく癌の根底にあるドライバーの同定について、単独で採られた該情報の任意の単一部分によって達成されうるものよりも、より高い信頼性レベルをもたらす。集められたデータは癌サブタイプに寄与する機構を決定するために特定の癌タイプに対して参照を提供するように過去に分析された細胞集団における徳用と比較される。本技術において、マーカー及び特徴の参照集団分布は、既知の癌遺伝子型及び結果を有するサンプルについて本技術の方法によって得られた形態学的及びインサイツ分子情報からのデータを相関させ又はその他連関させることによってつくり出されうる。よって、癌の特定のタイプに対する癌サブタイプ同一性及び結果の関連した尤度が、測定された形態学的及び特定の分子-遺伝子再構成データから統計的信頼区間で誘導される。ついで、未知の癌サンプルから得られたデータが癌組織ライブラリーからの既知の分子サブタイプからのデータと比較されて、未知の癌サンプルに対する分子サブタイプの改善された同定と結果の予測を提供しうる。

本技術は、限定するものではないが、前立腺癌、白血病、脳癌、脳脊髄癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、食道癌、肺癌、結腸癌、メラノーマ、神経芽細胞腫、及び膵臓癌を含む異なった癌タイプの予後に使用されうると考えられる。本技術の好ましい一実施態様では、本方法は前立腺癌の分子サブタイプの改善された同定を提供するために使用される。

本技術の癌細胞の形態学的特徴は、サイズ、形態、核内クロマチン分布(「クロマチンテクスチャ」)、クロマチン標識の量の核間変動(DNA又はクロマチン量)、特大核小体の存在、及び核分布によって裏付けられる全組織成長パターンを含む様々な核の特徴の測定及び統計解析を含む。核の形態学的特徴は、蛍光DNA染色技術、例えばDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、DNA中のA−Tリッチ領域に強く結合する蛍光染料)を使用して画像化される。

他の蛍光DNA染色の例は、蛍光照明モダリティを使用する蛍光顕微鏡下で見ることができるヨウ化プロピジウム(PI)及び臭化エチジウムを含む。光吸収形態学的染色、例えばメイ−グリュンワルド−ギムザ染色、ギムザ染色、パパニコロー染色又はヘマトキシリン−エオシン染色がまた光学顕微鏡によって可視化されうる。調製された組織の構成的光学特性、例えば屈折率がまた核境界形状を増強し及び/又は亢進するために利用されうる。

本技術による遺伝子再構成はインサイツハイブリダイゼーションによって測定することができる。インサイツハイブリダイゼーションは主要な及び/又はマイナーな染色体異常を検出する有用な方法である。この方法では、標識された核酸プローブが変性され、固定され変性された細胞に塗布される。細胞周期の中期又は間期ステージの何れかの細胞により、プローブが細胞のゲノム内の特異的配列にハイブリダイズすることが可能になる。インサイツハイブリダイゼーションの例は、限定しないが、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、発色性インサイツハイブリダイゼーション(CISH);放射標識インサイツハイブリダイゼーション、ジゴキシゲネイン標識インサイツハイブリダイゼーション及びビオチン化インサイツハイブリダイゼーションを含む。数多くの核酸標識法が当該技術分野で知られている。例えば、蛍光染料を核酸プローブの5’又は3’端の何れかに共有結合させることができる。ハイブリダイゼーション後、標識プローブは蛍光顕微鏡及び暗視野モダリティを使用して直接可視化することができる。FISHは当業者に知られている手作業及び自動化方法を使用して実施することができる。前立腺癌の予後に対する特定の実施態様では、ERG再構成を検出するために標識された核酸がFISHにおいて使用することができる。

ここで、「分子機構」なる用語は、根底にある癌の分子変化と関連した治療選択肢を決定するために使用される多くのパラメータに基づく癌細胞の特徴付けを意味する。表現型変化及び組織サンプリングの多因子特性は、本技術が単独で使用される如何なる方法よりもここに概説された方法を使用して根底にある癌の分子機構の同定において、より高いレベルの信頼性を提供するという、信頼性レベルを残す。

好ましい実施態様では、本技術はサンプルの個々の前立腺癌細胞について単一獲得多変量画像データ収集及び解析を実施することにより前立腺癌サンプルの根底にある分子変化を更に決定する方法を提供する。この多変量解析はERG再構成を検出するためのFISH染色の実施とまた同じ細胞についてDAPI染色を使用する形態学的解析を含む。ERG再構成及び形態学的解析の双方の結果が、前立腺癌組織サンプルの細胞の単一画像獲得から集められ、画像によって採取された癌特異的細胞の集団における各細胞からの結果を既知の分子変化と対応する測定可能な形態学的変化を有する参照癌細胞集団のライブラリー中に集められ編集された結果と比較することにより、分析される。前立腺癌細胞ライブラリーは既知の遺伝子再構成を伴う前立腺癌組織サンプルから集めたデータからなる。この実施態様と前立腺癌細胞ライブラリーの開発は以下に詳細に説明するように実施例において更に記載される。

実施例に記載されるように、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)のために調製された組織切片についてのDAPI染色によって明らかにされるように基礎的核形態及び相対核クロマチン量を表す高品質の形態計測学的及び測光データの双方が得られた。FISH分析を使用して、前立腺癌を駆動する初期事象に関係する特定の遺伝子の再構成(ERG)が決定され、組み合わせて測定された核サイズ、核形状、及び核の相対クロマチン量と共にこのデータが使用されて、既知の前立腺癌ERG状態及び形態グレードのライブラリーと比較することができる。

例えば、前立腺癌細胞ERG挿入再構成に特異的なライブラリーは、組織上のレトロスペクティブコホートを代表する150の区別される組織コアから選択される癌核からの核サイズ(面積)、核形状(真円度)、及び核に含まれる染色量(積分強度)の基本的特徴を集めることにより作製した。基礎的測定に更に加えて、変動係数(CV)をコア当たりの基準でサイズ及び形状の特徴について計算したが、これはコア内の核サイズの変動と同じコア内の核形状の変動の間の関係のより簡単な比較を可能にする。CVはまた平均核サイズ及び形状とコア内のこれらの値の分散に対する相関の間の関係を調べることを可能にする。平均で、4視野を各組織コアをカバーするためにサンプリングしたが、各組織コアが個々の癌病巣を表す。異なった病理学的グレード段階を表す数千の核を測定し、評価してこのライブラリーデータを作成した。他の癌に特異的なライブラリーを、ここでの前立腺癌に対して記載したのと同様にして分析することができる。

本技術は核病理及びインサイツ分子プローブを測定するためのイメージ獲得に対して蛍光スペクトルイメージングの標準化された実施を使用する。蛍光イメージングは線形性、コントラスト、及びダイナミックレンジに関して明視野イメージングよりも有意な利点をもたらす。この核イメージングアプローチは非液浸条件下で(高分解能ドライイメージングを様々な光学倍率で実施することができるけれども好ましくは32×の倍率で)非常に高品質の標準化された画像データを作成するように設計されている。生のデータに付与される空間分解能、ダイナミックレンジ及びシグナル・ノイズは、良く特徴付けられた光学トレーン、センサー技術及び照明技術の使用によって高度に制御される。データに影響を及ぼす要因(照明レベル、倍率、開口数、センサ画素サイズ、カメラ露光量等々)が注意深く適合させられ利用上の要求に対する性能を最大にするように標準化される。システムノイズパラメータは制限され、較正されるので、輝度レベルの統計的有意性を保証可能である。X、Y及びZ面における空間分解能限界は十分に理解され、高品質データを生じるように最適化される。

幾つかの実施態様では、解剖学的グリーソングレード及び他の重要な臨床変量を核形態のこのデータと組み合わせ、最も有意な予測因子を明らかにするために更なる分析における患者の治療治療成績と相関させることができる。

グリーソングレードは当該技術分野で知られているスコアリングパターンである。簡潔に言えば、病理学者は最も一般的な腫瘍パターンにあるグレードをあてがい、次に最も一般的なパターンに第二のグレードをあてがう。二つのグレードを互いに加えてグリーソンスコアを得る。グリーソングレードはグリーソンパターンとしても知られており、グリーソンスコアはグリーソン和としても知られている。グリーソングレード又はグリーソンパターンは1から5の範囲であり、5が最も悪い予後を有している。

本技術は複数の分析物のインサイツ蛍光用に調製された組織切片から多変量を定量化するためのイメージング技術の新規な適用を提供する。複数のデータ点は、単一の獲得画像において測定される前立腺癌を推進する早期事象に関与する特定の遺伝子の再構成(例えばERG)、核サイズ、核形状、及び核の相対クロマチン量を含む。

本技術は注意深く最適化された定量的スペクトルイメージング装置及びソフトウェアで客観的かつ確実に測定できる高品質の形態学的情報を提供するための処理を使用する。適切なイメージング装置及びソフトウェアは以下の実施例に記載される。核サイズ(面積)及び核形状(真円度)測定基準はよく特徴付けられた組織マイクロアレイ(TMA)から検索取り出しされる。本技術は、核サイズの高い値が前立腺癌における高い形態学的グリーソングレードの癌に属している高い蓋然性と相関していることを立証する。

本技術は形態を客観的に測定し形態を同じ組織切片における分子再構成に相関付け、以下の実施例において裏付けされるようにERG挿入再構成及び核形状の大なる不規則性(より低い真円度)の統計的に関連のある連関によって証明されるように、挿入条件を決定する感度及び特異性の向上をもたらす新規な能を提供する。

本技術の定量的スペクトルイメージングアプローチ及び核形態計測学的分析はセグメント化された特徴に対する相対積分強度について定量的情報を提供する。この情報は、例えば自動化FISH手順を通して調製されたホルマリン固定パラフィン包埋上の相対クロマチン量を測定するために独特の形で使用されうる。そのようなアプローチは、マルチプレックス分析物分析のために調製されたサンプルにおいて迅速に分裂する細胞又は異常な倍数条件を確認するために更に使用されることが想像される。

当業者ならば発明の精神又は範囲から逸脱することなく本技術に変更をなすことができることを認識するであろう。本発明を次の実施例によって更に例証するが、該実施例はそこに記載の特定の手順又は組成物に精神又は範囲について発明を限定するものとみなしてはならない。

前立腺癌細胞のための核形態及びERG再構成に対する相関値 定量技術は進歩しており、マルチプレックスプローブの蛍光インサイツ分子分析のために調製された組織からの形態計測学的データの抽出を可能にするためにこの研究で適用される。高度に特徴付けられたスペクトルイメージングアプローチを使用して高分解能(波長分解能、空間分解能及び強度分解能)データを得る(図1)。図1は定量的スペクトルイメージングによって獲得された生のデータが核染色及びプローブ検出からの波長シグナル分布に基づいて脱複合化される本技術の工程を示す。これは組織切片上の真の相対分布を表す定量可能な画像を生じる。そのような画像のシグナル・ノイズ比は非常に高く、部分的には組織に構成的な汚染シグナルから真のシグナルを分離する能力による。

これらのデータは続いて処理され前立腺癌組織切片における核の特徴の測定値が送られる。スペクトルイメージングの使用によって得られたデータは核染色及びプローブ検出からの波長シグナル分布に基づいて脱複合化される;これは、組織切片上の真の相対分布を表す定量可能な画像を生じる。そのような画像のシグナル・ノイズ比は非常に高く、部分的には組織に構成的な汚染シグナルから真のシグナルを分離する能力による。

核形態及び相対核クロマチン量は蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)のために調製された組織切片でのDAPI染色によって評価した。核サイズ(面積)、核形状(真円度)、及び核に含まれる染色量(積分強度)の基本的特徴は組織アレイ(CTMA17.1)上のレトロスペクティブコホートを代表する150の区別される組織コアから選択された癌核から抽出した。基礎的測定に更に加えて、変動係数(CV)はコア当たりの基準でサイズ及び形状の特徴について計算したが、これはコア内の核サイズの変動と同じコア内の核形状の変動の間の関係のより簡単な比較を可能にする;CVはまた平均核サイズ及び形状とコア内のこれらの値の分散に対する相関の間の関係を調べることを可能にする。平均で、4視野を各組織コアをカバーするためにサンプリングしたが、各組織コアが個々の癌病巣を表す。異なった病理学的グレード段階を表す数千の核を測定し、このデータを得た。

サンプルは量子ドット検出技術及びDAPI核対比染色を用いてのマルチプレックス分子照合で最適化された自動化された形で調製された。スペクトルデータは、1.8ミクロンの被写界深度で32×の総合倍率を生じるように1.6×のアポクロマティック補正チューブレンズを用いて順に使用される20×N.A0.85プラン−アポクロマティック補正対物で構成されたZeiss AxioImager.M2スタンド(Zeiss MicroImaging, Thornwood, NY)を使用してCTMA17.1から撮った。この総合倍率は、システムに組み込まれたCCD画像センサーの6.5ミクロンピクセル寸法でコンボリューションしたときに光学的な回折制限画像データ(〜0.4ミクロン画像分解能)を生じることが過去に決定されている。409nmカットオフを持つロングパス干渉フィルター(Omega, Brattleboro, VT)を使用して可視シグナルを蛍光励起から分離した。20×対物を通してサンプル面に110mWの積分フルエンス(370−nm+/−20−nm)を送るように較正された閉ループ安定化近UV光源(Exfo (今はLumen Dynamics) Exacte, Ontario, CA)をDAPI励起に使用した。核外組織構造及びコンテキスト情報の記録を可能にするために、710−nm+/−10−nmにフィルターしサンプル面で1.27−mw積分フルエンスに較正した透過光を使用して、同じスペクトル獲得においてコンテキストデータを捕捉した。

このイメージング方策はアブソリュート照明レベルで1%未満の変動でサンプル面に照明を繰り返すことができる安定化光源を利用する;照明レベルはまた1%増分で線形に調節することができる。最も一般的には、量子ドット検出のための照明範囲は近紫外線範囲に限られる。較正された定量光源(閉ループ金属ハロゲン化物)と較正された定量検出システム(CCDベースのスペクトル検出)の組合せが、輝度レベルの変動を、サンプルに由来し、真の染色分布を反映するようにトレースできることを担保する。相対的染色変動は高再現性をもって測定することができる。よって、核内の相対クロマチン量を決定するのに有用でありうる、核及び描写終末間の核及びクロマチン染色強度の変動を分析することが今は可能である。

スペクトルデータを、画像分光計構成のサニャク干渉計を使用して獲得した(Malik, Z.等, J. Microsc. 182 (1996) 133-140);干渉計獲得設定は5nmから7nmのスペクトル分解能を可視波長範囲(400nmから800nm)にわたって一連の迅速に獲得される露光で実現させるようにした。各ピクセルにおいて全可視波長に対する強度を含んでいるスペクトルデータを、線形アンミキシング(Garini, Y.等, Cytometry Part A. 69A (2006) 735-747)によって全シグナルに対する純粋なDAPI寄与率とコンテキスト寄与率(700nmから720nm)を表す特定波長チャネルにデコンボリュートした。線形アンミキシングはDAPI及び近赤外線照明成分に対する正規化参照スペクトルを使用して実施した。参照スペクトルは可視光依存性応答の影響を否定する標準化条件下で同一の機器を使用して獲得した。このアプローチは理想的なシグナル・ノイズ比と各スペクトル成分の相対的シグナル寄与の神話委できる定量化を可能にする。よって、視野における個々の癌核の相対DAPI量は空間的特徴と共に精確に測定することができる;これは組織学的切片化による部分核の可能性を考えて調整することを助け、更なる情報を提供しうる。

平均で、4視野が各コアをカバーするのに必要とされた。腺性核の捕捉を最大にするように視野を対話形式で調節した。損傷したコア、非癌性、及び情報価値のない視野を分析から排除した。視野内のピーク画像強度を正規化して、露光時間を調節することにより画像センサーのダイナミックレンジの上限の3/4以内になるようにした(16,000e−ウェルキャパシティ)。

個々のスペクトル成分を表す画像を16ビットモノクロデータとしてスペクトル獲得ソフトウェアから得た。ミクロン単位での測定値の標記を可能にするために、画像解析ソフトウェア(Image Pro Analyzer 7.0, Media Cybernetics, Bethesda, MD)を空間的に32×の獲得倍率に較正した。核のエッジトランジションを増強するために前処理工程として各画像にフーリエ高域フィルターを適用した(Russ, J.C., The Image Processing Handbook, New York: CRC Press LLC (2002))。ついで、画像中の核の特徴を強度範囲に基づいて閾値化した。互いに近接している物体を分離するために各画像についてウォーターシェッド操作を実施した。

非腺性核、非癌核及び無関係な構造を、癌性、腺性核のみが残るように各視野から手作業で削除した(図2)。この削除プロセスは基礎病理学者によって指導された。図2は視野の一例を示す。左の画像は、核及び組織コンテキストスペクトル成分を使用して形成された獲得視野での組織形態を表す。右の画像は 無関係な又は貧弱にセグメント化された核を手作業で除外した後のDAPI成分及びセグメント化された核特性を表す。

従って、無関係な細胞及び外来性構造からのデータ中の最小ノイズを担保するために医療専門家の指導下で、関連した核形状パラメータをソフトウェアによって客観的に測定した。無関係な核を除外した後、各アウトラインを別個のファイルとして保存し、各癌核に対する面積、真円度、及び積分強度測定値をマイクロソフトエクセル(Microsoft, Redmond, WA)にエクスポートした。0.2ミクロン/ピクセルとして、面積をピクセルで報告した。真円度は式:(周囲長)2/(4π×面積)(ここで、完全な円が1の真円度を有し、真円度からの増加した偏差は1より多い値をとる)を使用して計算した。積分強度は核内に含まれる全ピクセル値の和であり、各ピクセルは0と65536の範囲である(16ビットスケール)値を持ちうる。積分強度は、組織処理後に残るクロマチン量の間接的測定値である;相対クロマチン量はDAPI挿入染色によって確実に報告される(Coleman, A.W.等, J. Histochem. Cytochem. 29 (1981) 959-968)。

CTMA17−1データを、分析した核コアの単一ホルダーを含むディレクトリー内に保存した。各ホルダー内にその特定のコアからの各視野に対してのDAPI及び組織解剖学的コンテキスト画像ファイル(16ビットモノクロ*.tifフォーマット)がある。そのホルダーはまた解析された各DAPI画像の保存されたアウトラインファイル(ImagePro専売フォーマット)を含んでいる。また、数値データを、Image Pro Analyzer7.0(Media Cybernetics, Bethesda, MD)からエクスポートするようにして、そのコアのカウントデータを含んでいるマイクロソフトエクセルスプレッドシートにエクスポートした。

主CTMA17.1ディレクトリーでのマイクロソフトエクセルファイルを使用して、更なる解析のために生の測定データをまとめた。ファイルスプレッドシートは、各コアからのデータ全部(各コアはそれ自身のラベル化ワークシートを有している)並びに各コアの面積及び真円度に対する平均値及び変動係数並びにその互いの関係を示すグラフを含んでいるサマリーワークシートを含む。主ホルダーは、正規化された積分DAPI強度から作成したヒストグラムを含んでいる「ヒストグラムデータ」と題される他のマイクロソフトエクセルシートを含んでいる。このヒストグラムでは、癌性コア当たり一つの視野が採られた。

予備的な結果をまとめた後、更なる統計及び回帰分析に供した。この研究に対して 統計解析の目的は腫瘍進行の内容において癌核の形態計測学的及び測光特性を定量的に評価することであった。これを達成するために、核サイズ(面積)、核形状(真円度)、及び相対核クロマチン量(基準化強度)の変量を、グリーソングレードのエンドポイント、ERG再構成状態、及び腫瘍対良性細胞に対して分析した。

ERG再構成状態に関して核形状又はサイズ又はクロマチン量の分布差の可能性を評価するために、ウィルコクソン順位和検定を使用して、再構成のタイプ(正常、挿入を通しての再構成、欠失を通しての際位配列)及びその真円度、サイズ、又はクロマチン量の間に差がないという帰無仮説を検査した。統計的有意差が再構成群で検出される状況では、ロジスティック回帰分析を実施した。

(6未満のグリーソンスコアと比較して)6より多いグリーソンスコア状態に関して核形状又はサイズ又はクロマチン量の分布差の可能性を評価するために、ウィルコクソン順位和検定を使用して、グリーソン>6とグリーソン=<6及び真円度、サイズ、又はクロマチン量の間に差がないという帰無仮説を検査した。統計的有意差がグリーソン群間で検出される状況では、ロジスティック回帰分析を実施した。

予備的サイズ及び形状の結果を以下にまた図にまとめる;統計的分析前に、サイズと形状を表す値を、正常な核と癌の核に対して、また癌の核内でのERG再構成状態に対して色分けして、個々のコアに対してプロットした(図3、図4、図5)。各データ点はマイクロアレイコアから集めた幾つかの視野に対する値を表す。癌のコアは青色(菱形)でプロットされ、正常なコアは赤紫色(矩形)である。

最も明るい核の積分強度に対して正規化された積分DAPI量のヒストグラムを作成して、切片化され処理された組織から画像化された核内に残る相対クロマチン量の測定値を得た(図9)。最も高い積分強度を持つ視野内の核に1の値があてがわれるように値は各視野に対して正規化する。積分強度が半分の核は0.5の値を有することが期待されるであろう。最大の度数値は、中間期細胞の場合に予想されるように、2セットの染色体(2N)を持つ核を表すことが予想され、最も明るい値は、倍数又は分裂細胞で予想されるように2セットより多い染色体の核を表すであろう。このモデルに一致した積分強度の分布があり、これが核が異なったレベルで切片化されてしまう可能性を制御する幾らかの証拠を提供する。

これらの予備的データの更なる統計的検定及び回帰分析は、6より高い解剖学的グリーソンスコア(例えばグリーソン3+4)に対する核サイズの有意差を明らかにしている(図10)。該結果は、より大きな核が6より高いグリーソンスコアと関連している可能性が高いことを示している。

統計解析はまた正常なERG癌核と比較してのERG再構成癌核の場合における有意差を明らかにする。少ない真円度と挿入的ERG再構成の間に更に統計的に関連した連関が存在する(図11)。該結果は、不規則な形状の核がERG再構成、及び特にERG挿入のみの事象と連関している蓋然性があることを示している。

本技術は当業者がそれを実施することができるように十分で明確で簡潔な用語で今記載した。上記は本技術の好適な実施態様を記載しており、添付の特許請求の範囲に記載された開示技術の精神又は範囲から逸脱することなく変更をそこになすことができることが理解されなければならない。更に、実施例は、網羅的ではなく、特許請求の範囲に入る幾つかの実施態様を例証するために提供される。

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