【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は電動工具の作動スイッチに関し、特に粉塵が浮遊する環境下で使用される携帯用電動工具の作動スイッチに関する。 【0002】 【従来の技術】携帯用の電動工具には、電動モータの作動を規制するためのオンオフ用作動スイッチが設けられている。 この作動スイッチは通常はハウジング内に位置していて、使用者がトリガやスライドスイッチ等を操作することにより遠隔操作される。 トリガによる場合には、トリガは通常はオフ位置に付勢されており、電動工具を作動させるためには使用者はトリガをオン位置(押圧位置)に保持する必要がある。 使用者が長時間電動工具を作動させる場合には、トリガはオン位置に固定することができ、このようなオン位置の保持は例えば従来の電動ドリルやルータでなされている。 なお米国特許第3、309、482号や第4、572、997号はかかる作動スイッチの例を記載している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような従来の作動スイッチを内臓した電動工具を粉塵が浮遊する環境下で使用した場合に、粉塵がハウジング内に流入し作動スイッチの接点に付着すると、誤作動の原因となる。 又、トリガをオン位置に切り換えたりオン位置に固定した場合に、トリガの押圧力が過大に電気スイッチに作用すると、電気スイッチを破損する恐れがある。 更に電動工具の動作中は、被加工物からの反力による振動が発生し、 トリガをオン位置に固定した場合であっても振動により電気接点の開きが生じる場合がある。 加えて、作動スイッチの信頼性を高めるためには、作動スイッチを高精度に製造する必要があるが、すると製造コストがかかりすぎるという問題がある。 【0004】そこで本発明は、ハウジング内への粉塵等の流入がなく、トリガの押圧力を適度なものとすることが可能であって電動工具の動作中偶発的な作動停止がなく、高速射出成形等の従来の一般的製造方法によってある程度の寸法誤差が生じても動作に支障をきたすことのない電動工具の作動スイッチを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、ハウジング(16、66)と、該ハウジングに支持され工具を駆動する電動モータとを有する電動工具の作動スイッチであって、該ハウジングに設けられ該電動モータの動作を制御するために使用者によりオン位置とオフ位置間で切換えられるトリガ(22、62) と、スイッチ手段(28、68、30、34、38、4 0)とプランジャ(42、70)とを有するパワースイッチアセンブリ(26、64)と、該プランジャと該トリガとの間に設けられた弾性パッド(44、78)とを有し、該スイッチ手段には開口(32)が形成され、該スイッチ手段の切換を実行するために該プランジャは該開口に対して出没可能に設けられ、該弾性パッドは、該トリガがオン位置に移動したとき該スイッチ手段と気密的に係合して該開口を封止する電動工具の作動スイッチを提供している。 【0006】該トリガ(22)をオン位置に維持するために、該トリガを解除可能に該ハウジング(16、6 6)に固定するトリガ固定手段を更に設けるのが好ましい。 そして該トリガ固定手段が該ハウジングと係合すると、該トリガ固定手段により該トリガに継続的な押圧力が作用し、該弾性パッド(44)が気密的に該スイッチ手段に接触して、該プランジャを押圧位置に維持可能に設けられる。 【0007】 【作用】上記構成を有する本発明の電動工具の作動スイッチによると、トリガがオン位置に移動したとき、開口から突出しているプランジャが弾性パッドにより押圧されてスイッチ手段内に没入し、弾性パッドはスイッチ手段と気密的に係合して開口を封止する。 弾性パッド自体の材料が有する弾性により、電動工具の作動中に生じる振動を吸収してスイッチアセンブリの接続状態が維持可能であり、また加工屑が該開口から該スイッチ本体内に入り込むのが阻止される。 該電動モータの作動を停止するために該トリガの押圧を解除したときは、弾性パッドも共に後退し、該プランジャは該開口から突出可能となる。 【0008】トリガ固定手段がひとたびハウジングと係合すると、トリガ固定手段によりトリガに継続的な押圧力が作用する。 よって、弾性パッドは気密的にスイッチ手段に接触して、プランジャを押圧位置に維持する。 【0009】 【実施例】本発明による電動工具の作動スイッチをプランジルータに適用した第1実施例について、図1乃至図5に基づき説明する。 図1に示されるプランジルータ1 0は、ハウジング16の両側に一対のハンドル12、1 4が設けられている。 ハウジング16内には工具と動力的に接続された回転アマチュア軸を有する図示せぬ電動モータが支持されている。 プランジルータの使用者は、 手をハンドル12、14から放すことなく、環状のベース18に対してハウジング16を上下動させることができる。 ハウジング16を所望の高さに固定するために、 ハンドル12にはロックレバー20が設けられている。 トリガ22を操作することで、使用者はプランジルータ10をオンオフ動作させることができる。 プランジルータ10を長時間作動させるときは、トリガ固定手段たる固定レバー24をスイッチ保持フレーム23に係合させて、トリガ22をオン位置に維持させる。 図2に示されるように、スイッチ保持フレーム23はハンドル14内に設けられている。 【0010】パワースイッチアセンブリ26が設けられており、上述したトリガ22と共に作動スイッチ25を構成する。 パワースイッチアセンブリ26の内部構成を詳細に示す図2では、トリガ22はオフ位置にある。 トリガ22はスイッチ保持フレーム23に回動可能に取付けられている。 パワースイッチアセンブリ26は内部キャビティ30を画成するスイッチ本体28を有しており、開口32がスイッチ本体28を貫通して形成され内部キャビティ30に至っている。 スプリング31がスイッチ本体28とトリガ22間に介装され、トリガ22をオフ位置に付勢してる。 またスプリング33がトリガ2 2と固定レバー24間に介装され、固定レバー24をスイッチ保持フレーム23に対して係脱可能としている。 【0011】電気スイッチ34が内部キャビティ30内に設けられており、電気スイッチ34は電気的導体36 と接続されると共に、電気的導体38と40のいずれかと接続可能に設けられている。 これら導体は互いに接続されたり分離されて、図示せぬ電動モータへの電力の供給を規制する。 導体36、40は電気スイッチ34から延び、スイッチ本体28の外部に至っている。 【0012】接点35、37が導体38、40の端末部に設けられて、それぞれがスイッチ34上の接点39と接続可能である。 図2に示されるように、電気スイッチ34がオフ位置にあるとき、導体36は導体38と電気的に接続され、図4に示されるように電気スイッチ34 がオン位置にあるとき、導体36は導体40と接続される。 なおスイッチ本体28と、電気スイッチ34と、キャビティの外部に延びる一対の電導体38、40とによりスイッチ手段が構成される。 【0013】プランジャ42が開口32内を延び、電気スイッチ34を作動する役割を果たす。 プランジャ42 は、ルータ10が非作動状態の図2に示される突出位置と、ルータ10が作動状態の図4に示される押圧位置との間を変位可能である。 押圧位置では、プランジャ42 はスイッチ本体28の外表面とほとんど同一面にある。 【0014】トリガ22が押圧されたときにプランジャ42を作動するために、発泡体よりなる弾性パッド44 がトリガ22のパッド支持面46に接着されている。 弾性パッド44は厚さ0.05乃至0.20インチのポリウレタン発泡体より形成されるのが好ましい。 また弾性パッド44の密度は1立方フィート当たり18乃至22 ポンドであるのが好ましい。 図2から明らかなように、 弾性パッド44はスイッチ本体28に係合可能であり、 トリガ22がオン位置に移動したときに開口32を完全に覆う形状をなしている。 弾性パッド44は十分な接触面積にてスイッチ本体28と気密的に面接触し、よってトリガ22がプランジャ42に対して過大な力を作用して電気スイッチ34を破損するのを防止している。 【0015】弾性パッド44は、図3に示される向きにてパッド支持体46に取付けられる。 パッド支持体46 は射出成形体であるトリガ22と一体に成形される。 弾性パッド44は従来の接着剤によりパッド支持体に接着される。 【0016】ルータ10が作動したとき、塵や加工屑が発生し、これらが吹き上げられて空気中に分散する。 ルータ10の作動中に弾性パッド44により開口32を封止することにより、塵や加工屑がキャビティ30内に侵入して接点35、37、39に付着することがない。 【0017】トリガ22の成形時に、軸48が同時に一体に成形される。 固定レバー24が軸48に弾性的に係合し該軸48の回りを所定範囲回動可能に取付けられる。 【0018】図4はトリガ22がオン位置に移動した状態を示しており、弾性パッド44はスイッチ本体28の開口32を封止するとともにプランジャ42を押圧している。 【0019】図5の状態では、トリガ固定手段である固定レバー24がロックされ、トリガ22をオン位置に保持している。 固定レバー24はフック50を有し、スイッチ保持フレーム23には横架部材52が設けられており、フック50が横架部材52に係合するとトリガ22 はオン位置に固定される。 図5に示されるトリガ22がオンに固定された状態では、弾性パッド44はプランジャ42に対して適切な力を作用し、電気的導体の接点3 7と電気スイッチ34の接点39とを接続させる。 弾性パッド44自体の有する弾性によって、弾性パッド44 は振動を吸収したり減衰し、工具の使用時に発生する振動に対しても接点37と39との接続を維持する。 またルータ10の部品を射出成形すると、これら部品には通常寸法上のばらつきが生じるが、弾性パッド44は更に、寸法誤差を吸収する働きがある。 よって、固定レバー24等を従来の高速射出成形プロセスにより成形することができる。 【0020】本発明の2実施例による電動工具について図6に基づき説明する。 第2実施例による作動スイッチ60は、ドリルモータやルータ10のハンドル14内に設けられ、スペース上の制約により、トリガ62をパワースイッチアセンブリ64とは離間して設けている。 【0021】ハンドル14のハウジング66はトリガ6 2を支持し、トリガ62はハウジング66に対して図6 の1点鎖線で示すオン位置と、実線で示すオフ位置との間を変位可能である。 トリガ62はスプリング68によりオフ位置に付勢されている。 パワースイッチアセンブリ64は第1実施例におけるパワースイッチアセンブリ26と同様の構成であり、再述すれば、パワースイッチアセンブリ64はスイッチ本体68の内部キャビティ内に設けられた図示せぬ電気接点を有する。 プランジャ7 0はパワースイッチアセンブリ64から図6の実線で示すオフ位置に突出可能であり、また一点鎖線で示すオン位置に押圧可能に設けられる。 【0022】リンク72がハウジング66とトリガ62 との間に延設されている。 リング72の一端74はハウジング66に回動可能に取付けられ、他端76はトリガ62に回動可能に取付けられている。 リンク72の中央部は弾性パッド78を支持している。 第1実施例の弾性パッド44と同様に、弾性パッド78はパワースイッチアセンブリ64のスイッチ本体68に対して封止係合可能な形状であり、塵や加工屑がパワースイッチアセンブリ68内に侵入するのを防止している。 リンク72は弾性パッド78を介してトリガ62とプランジャ70とを接続する役割をなし、弾性パッド78はリンク72とスイッチアセンブリ64との間に介装される。 トリガ62 が押圧されると、リンク72の他端76が一端74を中心にして回動し、そのためにパッド78が変位してプランジャ70を押圧し、図示せぬ工具のモータを作動させる。 【0023】上述した実施例の特徴を以下に列挙する。 (1)該弾性パッドは該トリガに接着されていること。 (2)該弾性パッドは発泡ポリウレタン材料にて形成されること。 (3)(2)において、該弾性パッドは0.05乃至0.20インチの厚さを有すること。 (4)(2)において、該弾性パッドは1立方フィート当たり18乃至22ポンドの密度を有すること。 (5)該プランジャ42が押圧位置にあるとき、該プランジャは該スイッチ本体28と同一面にあること。 (6)(5)において、該弾性パッドは該スイッチ本体28に対して十分な接触面積を有し、該トリガが該プランジャに過大な力を作用して該電気スイッチを破損するのを防止すること。 (7)該ハウジング66と該トリガ62に作用し該トリガの移動に応じて該パワースイッチアセンブリ64に対して移動可能なリンク72が更に設けられ、該弾性パッド78は該リンクに固定され、該トリガは該プランジャに対して押圧可能であると共に、該トリガは該プランジャから離反可能であり、該リンクの一端は該ハウジンク66に回動可能に取付けられ、該リンクの他端は該トリガに回動可能に取付けられ、該リンクの中央部で該弾性パッド78を支持していること。 リンクを設けた場合には、リンクはトリガに接続されているので、トリガを操作してトリガが移動すると、リンクに固定された弾性パッドがプランジャを押圧する方向に移動する。 (8)ハウジング16、66と、該ハウジングに支持され工具を駆動する電動モータとを有する電動工具の作動スイッチであって、該ハウジングに設けられ使用者によりオン位置とオフ位置間で切換えられるトリガ22、6 2と、スイッチ本体28、68と、電気スイッチ34 と、プランジャ42、70とを有するパワースイッチアセンブリ26、64と、該プランジャと該トリガとの間に設けられた弾性パッド44、78とを有し、該スイッチ本体28、68には内部キャビティ30が画成され、 開口32が該スイッチ本体を貫通して形成され、また該電動モータの動作を制御するために該電気スイッチ34 は該キャビティの外部に延びる一対の電導体38、40 に接続可能であり、該プランジャ42、70は該開口3 2を貫通し該電気スイッチを動作させ、 該弾性パッド44、78は、該プランジャ42、70と該トリガ2 2、62間に設けられ、該トリガがオン位置に移動したとき該スイッチ本体28、68と気密的に係合して該開口を封止する電動工具の作動スイッチであること。 (9)ハウジング16、66と、該ハウジングに支持され工具と動力的に接続された回転アマチュア軸を有する電動モータと、該ハウジングに設けられ使用者によりオン位置とオフ位置間で切換えられるトリガ22、62 と、スイッチ本体28、68と、電気スイッチ34と、 プランジャ42、70とを有するパワースイッチアセンブリ26、64と、該プランジャと該トリガとの間に設けられた弾性パッド44、78とを有し、該スイッチ本体28、68には内部キャビティ30が画成され、開口32が該スイッチ本体を貫通して該内部キャビティに至っており、該電気スイッチ34は該内部キャビティ内に設けられ、少なくとも2個の電導体38、40が該電気スイッチに接続可能とされ該スイッチ本体を貫通して外部に至り電動モータの動作を規制し、該プランジャ4 2、70は該開口32を貫通し該電気スイッチ34を動作させ、また該プランジャは該電動モータが動作する押圧位置と該電動モータの作動を停止させる突出位置との間を移動可能であり、該弾性パッド44、78は、該プランジャ42、70と該トリガ22、62間に設けられ、該トリガがオン位置に移動したとき該スイッチ本体28、68と気密的に係合して該開口32を封止する電動工具であること。 【0024】 【発明の効果】以上説明した本発明による電動工具の作動スイッチによれば、弾性パッドが開口を閉鎖するので、加工屑が該スイッチ手段内に入り込むのが阻止される。 また弾性パッドにより、工具作動中のの振動を減衰、吸収しパワースイッチアセンブリの電気的接続状態が維持可能であり、電動工具の動作中偶発的に工具が停止することがない。 更に弾性パッドはその弾性変形により構成部品の寸法誤差を吸収することができる。 よって構成部品を従来の射出成形にて形成しこれら部品に寸法上のばらつきが生じても、大きな不都合が生じない。 従って構成部品を従来の高速射出成形プロセスにより簡単に成形することができる。 加えて、弾性パッドの形状をスイッチ手段に対して十分な接触面積を有するようにすると、トリガからプランジャに過大な力が作用することがなく、スイッチ手段内部の破損を防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施例による電動工具の作動スイッチをプランジルータに適用した例を示す斜視図。 【図2】図1の2−2線に沿った部分拡大断面図。 【図3】第1実施例における弾性パッドとトリガの一部を示す分解斜視図。 【図4】第1実施例におけるトリガがオン位置にあり、 しかもオン位置に固定されていない状態を示す側断面図。 【図5】第1実施例におけるトリガがオン位置にあり、 しかもオン位置に固定されている状態を示す側断面図。 【図6】本発明の第2実施例による電動工具の作動スイッチのトリガとリンクを特に示した断面図。 【符号の説明】 16、66 ハウジング 22、62 トリガ 26、64 パワースイッチアセンブリ 28、68 スイッチ本体 32 開口 34 電気スイッチ 36、38、40 電導体 42、70 プランジャ 44、78 弾性パッド ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート イー マックラッケン アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 29692 イースレイ チェストナットドラ イブ 107番地 (72)発明者 ジェームス エイ ケイス ジュニア アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 29671 ピッケンス ノースフィールドド ライブ 248番地 |