【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、断路器や接地スイッチなどの電力用負荷開閉器の操作装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の電力用負荷開閉器の操作装置としては、例えば、図5および図6に示すような構成のものが知られている。 なお、図5は従来の電力用負荷開閉器における操作装置の接点が開となっている状態を示し、 図6はその接点が閉となっている状態を示している。 この従来装置において、20は電動モータおよび手動により駆動可能な駆動機構であり、21はこの駆動機構20 の駆動軸である。 この駆動軸21の回転力は、平歯車2 2を介し平歯車23に伝達される。 24は入力軸としての台形ねじシャフトであり、両端部において軸受け24 a、24bにより支持されるとともに、一端部には前記平歯車23を固定している。 また、この台形ねじシャフト24には、外形が略長方形を成す台形ねじナット25 がねじ込みにより取り付けられ、さらに、この台形ねじナット25の両側面部には、前記台形ねじシャフト24 に直交するようにローラ26が取り付けられている。 また、このローラ26と平行する出力軸28には、前記ローラ26に接合する曲線部27aと二つの直線部27b とにより略V字状に形成された部分を両側部に備えたV 字型レバー27が固着され、また、出力軸28の一端部には、操作部材29(図5および図6では2点鎖線で記載)が固着されている。 なお、この操作部材29は、図示しない接点機構を開閉動作させ、電路を開閉するためのものである。 【0003】上記従来の電力用負荷開閉器の操作装置では、電動または手動により、駆動軸21を回転させると、この回転力が平歯車22、23を介して台形ねじシャフト24に伝達され、台形ねじシャフト24が回転する。 この結果、台形ねじナット25が軸方向(図5および図6では上下方向)に直線運動する。 これに伴い、台形ねじナット25に取り付けられた二つのローラ26 が、V字型レバー27の曲線部27aあるいは直線部2 7bに接触しながら台形ねじシャフト24の軸方向に直線運動する。 このとき、二つのローラ26が曲線部27 aに接触して直線運動するときに、ローラ26がV字型レバー27を押圧し、V字型レバー27を操作機構の出力軸28を中心に回転させるとともに、操作機構の出力軸28を回転させる。 これにより操作部材29が回転して、図示しない接点機構が駆動され、接点が開閉操作される。 【0004】なお、駆動機構20の駆動源を成す電動モータは、図示しない接点の開閉完了後における操作部材29の回転位置を検出することにより停止制御されるが、電動モータを停止させる場合、電動モータは停止操作後イナーシャにより数回転する。 この現象は、可逆いずれの方向、すなわち、接点を閉動作させる方向または開動作させる方向いずれの方向においても同じである。 また、この回転により、ローラ26がその分余計な直線運動をすることになる。 しかし、これにより接点の停止位置が変化しないようにする必要がある。 このため、ローラ26が可逆いずれの方向に直線運動を継続してもV 字型レバー27が回転せずに所定位置で固定するように、V字型レバー27には前記曲線部27aの両側に前記直線部27bが形成されているのである。 【0005】したがって、台形ねじシャフト24の長さは、V字型レバー27を駆動するために必要な長さ分だけでは不足し、ローラ26が直線部27bに接してローラ26が直線運動する分、長めに設定されている。 なお、当然のことながら、シャフト24の軸受け24a、 24bは、ローラ26の駆動領域外に配置されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】このように、この従来の電力用負荷開閉器の操作装置においては、入力の回転運動を台形ねじ24により直線運動に変換しているため、逃がしのためのスペースが大きくなる。 また、台形ねじ24が長くなればなるほど、平歯車23から作用する曲げ応力が増大するため、剛性を持った太い台形ねじを必要とするという問題があった。 また、台形ねじ24 の伝達効率は、比較的小さいので、それをカバーする大きい入力、つまり、大出力のモータや大きな手動力を必要とするという問題があった。 【0007】さらに、V字型レバー27は、ローラ26 と接し、ローラ26により回転駆動されるときに、片持ち構造となり、曲げ応力が発生するので、V字型レバー27の根元部は発生する曲げ応力に耐え得る剛性を必要とする。 そのため、V字型レバー27は、ある程度大きな形状とするか、熱処理などにより強度アップする必要があった。 また、V字型レバー27を大きくした場合には、その動作領域が大きくなり、この動作領域を確保するためにさらに逃がしのスペースを必要とするという問題があった。 【0008】この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものである。 その目的とするところは、無駄なスペースや曲げ剛性を必要とする台形ねじおよびV字形レバーを不要として、力の伝達効率を向上するとともに小型化を図った電力用負荷開閉器の操作装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明では、駆動源としての電動モータ、駆動軸等を備えた駆動機構と、この駆動機構からの回転駆動力が伝達される入力軸と、この入力軸に固定されて、この入力軸とともに回転する入力平歯車と、この入力平歯車の回転により前記入力軸を中心として公転するように、前記入力軸から離れ、かつ、この入力軸に平行する軸心を備える態様で前記入力平歯車の側面に突出して形成された円筒ローラと、前記入力軸および前記円筒ローラに平行しするように配設された出力軸と、一端側に前記円筒ローラの側面が接合するカム穴を有し、 他端側において前記出力軸が貫通し、前記出力軸に固定されて前記出力軸と一体的に回転する回転レバーと、前記出力軸の回転力により接点機構を操作するための操作部材とを備え、前記回転レバーのカム穴の端面は、前記円筒ローラが可逆方向に各一定角度の範囲公転する場合に、前記円筒ローラの側面と接触し、かつ、この接触により前記回転レバーが前記出力軸を中心として可逆方向に回転するように形成した可逆転用の二つのカム面部と、前記電動モータが停止した後に、前記円筒ローラがイナーシャにより前記一定角度の範囲外で可逆方向に公転する場合に、前記円筒ローラの側面と接触し、かつ、 この接触により前記回転レバーが前記出力軸を中心として回転しないように前記円筒ローラの軌跡に沿う形状に形成した可逆転用の二つの逃がし曲線面部と、前記二つのカム面の間に形成された遊び面部とを備えているものである。 【0010】上記において、「可逆方向に」とは、「電力用負荷開閉器の操作装置の接点機構を開または閉とする方向に」を意味し、「可逆転用の二つの」とは、「電力用負荷開閉器の操作装置の接点機構を開とするとき用のものと、同接点機構を閉とするとき用のものとの二つの」を意味する。 【0011】また、請求項2記載の発明では、前記カム穴は、前記可逆転用の二つの逃がし曲線面部がその先端で互いに接合するように形成されているものである。 【0012】したがって、上記のように構成された電力用負荷開閉器の操作装置においては、駆動軸からの回転運動は、入力平歯車、円筒ローラおよび回転レバーを介し、直線運動に変換することなく回転運動のまま出力軸に固着された操作部材に伝達されるため、無駄なスペースや曲げ剛性を必要とする太い台形ねじを必要としない。 また、これに伴い、伝達効率が向上するので、入力が小さくなる。 【0013】また、接点機構を操作する操作部材に回転運動を伝達するための回転レバーはカム穴を有するものであり、従来のように略V字型の部材を必要としない。 また、請求項2記載の発明のように、カム穴の形状をその先端が閉じた形状とすると、円筒ローラと接するときの回転レバーの曲げに対する断面係数を増加することができ、回転レバーの剛性を向上することができるため、 回転レバーを小型化することができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、この発明を電力用負荷開閉器の操作装置に具体化した実施の形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。 これら図において、1は電動モータおよび手動により駆動可能に構成された駆動機構であり、ケーシング13に垂直に、かつ、平行に設けられた2枚の支持板11,12の一方側に(図2における左側に)固定されている。 この駆動機構1は、手動操作軸1aおよび駆動軸1bを有している。 また、この駆動機構1の駆動軸1bからの回転力は、前記2枚の支持板1 1,12間に設けられた中間平歯車2a、2b、2c等からなる中間伝達機構を介し、入力軸4に固着された入力平歯車3に伝達される。 なお、駆動機構1の駆動により駆動軸1bを選択的に可逆方向に回転することにより、入力平歯車3はAまたはB方向に選択的に可逆方向に回転する。 なお、詳しくは図示しないが入力軸4は適宜の手段によりケーシング13に取り付けられている。 【0015】また、入力平歯車3の側面部には円筒ローラ5が取り付けられている。 この円筒ローラ5の軸心は前記入力軸4の軸心と平行とされている。 また、この円筒ローラ5は、入力平歯車3がAまたはB方向に選択的に可逆方向に回転すると、入力軸4の軸心O 4を中心としてAまたはB方向に選択的に可逆方向に公転する。 6 は、前記入力軸4および円筒ローラ5と平行に、かつ、 これらと離れた位置に配置された出力軸である。 この出力軸6は、ケーシング13に取り付けられた軸受け6 a、6bにより支持されている。 また、この出力軸6には回転レバー7が固着されている。 この回転レバー7 は、略靴底型の形状を成し、その先端側(出力軸6の反対側)部分には、円筒ローラ5の側面が線接触する略瓢箪型のカム穴8が形成されている。 【0016】このカム穴8は、入力平歯車3の回転力を、円筒ローラ5を介し出力軸6に伝達するためのものであり、この点をさらに具体的に説明する。 図1において、入力平歯車3がA方向に回転するとき、すなわち、 円筒ローラ5がA方向に公転するとき、円筒ローラ5の側面がカム穴8のカム面部Ca(図4参照)に線接触して、回転レバー7をA方向に押圧する。 これにより、回転レバー7と出力軸6とが一体的にa方向に回転する。 このとき回転レバー7がA 1角度位置からA 2 (B 0 )角度位置まで円筒ローラ5の回転角度に同期して回転するように、カム面部Ca(図4参照)が形成されている。 なお、円筒ローラ5がA 2 (B 0 )角度位置まで回転したときに駆動機構1内の電動モータは停止されるが、電動モータはイナーシャによりさらに回転するため、円筒ローラ5がさらにA方向に回転する。 このとき、この円筒ローラ5の回転により、出力軸6がさらにa方向に回転することがないように、カム穴8の逃がし面部Fa(図4参照)が円筒ローラ5の回転軌跡に沿った曲面とされている。 【0017】また、入力平歯車3がB方向に回転するとき、すなわち、円筒ローラ5がB方向に公転するとき、 円筒ローラ5の側面がカム穴8のカム面部Cb(図4参照)に線接触して、回転レバー7をB方向に押圧する。 これにより、回転レバー7と出力軸6とが一体的にb方向に回転する。 このとき回転レバー7がB 1角度位置からB 2 (A 0 )角度位置まで円筒ローラ5の回転角度に同期して回転するように、カム面部Cbが形成されている。 なお、円筒ローラ5がB 2 (A 0 )角度位置まで回転したときに駆動機構1内の電動モータは停止されるが、 電動モータはイナーシャによりさらに回転するため、円筒ローラ5がさらにB方向に回転する。 このとき、この円筒ローラ5の回転により、出力軸6がさらにb方向に回転することがないように、カム穴8の逃がし面部Fb (図4参照)が円筒ローラ5の回転軌跡に沿った曲面とされている。 【0018】なお、図4において、カム穴8におけるカム面部Caとカム面部Cbとの間は、円筒ローラ5の側面がカム穴8と干渉しないように形成された遊び面部N bである。 この遊び面部Nbは、円筒ローラ5の直径より若干大きい略長円形の空間部が形成されるような形状を成している。 また、カム穴8における逃がし面部Fa と逃がし面部Fbとの間の先端部は、逃がし面部Faと逃がし面部Fbとを延長して接合し、カム穴8を閉じた形状となるように形成した遊び面部Ntである。 【0019】次に、出力軸6には、図2に示すように複数個所に、図示しない接点機構を操作するためのレバーとして形成された操作部材9がそれぞれ固着されている。 また、この各操作部材9の先端部には、操作部材9 からの回転運動を直線運動に変換して接点機構に伝達するためのロッド10が回転自在に支持されている。 【0020】次に、上記のように構成された電力用負荷開閉器の操作装置の動作について説明する。 なお、以下の説明においては、A方向は、図示しない接点が閉じられるときの入力平歯車3の回転方向とする。 逆に、B方向は、図示しない接点が開放されるときの入力平歯車3 の回転方向とする。 【0021】まず、図示しない電力用負荷開閉器の接点を閉じるときは、電動または手動により駆動軸1bを回転させて入力平歯車3をA方向に回転させる。 これにより、入力平歯車3に取り付けられた円筒ローラ5が入力軸4の軸心O 4を中心としてA方向に公転する。 そして、この円筒ローラ5がA 1角度位置からA 2角度位置まで回転するときに、円筒ローラ5の側面により回転レバー7におけるカム穴8のカム面部Caを押して、回転レバー7とともに出力軸6を,その軸心O 6を中心としてa方向に所定角度回転させる。 これにより、出力軸6に固着されている操作部材9がa 1方向(図1参照)に回転し、ロッド10がRa方向(図2参照)に直線運動して、図示しない電力用負荷開閉器の接点が閉鎖される。 【0022】上記により接点が閉じたとき、図示しないリミットスイッチにより、駆動機構1内の電動モータは停止制御されるが、この電動モータはイナーシャにより数回転する。 このため円筒ローラ5がさらに回転するが、円筒ローラ5の側面は、カム穴8の逃がし面部Fa と接触しているため、回転レバー7はこれ以上回転せず、図示しない電力用負荷開閉器の接点を確実に閉鎖位置に保持する。 【0023】次に、電力用負荷開閉器の接点を開くときは、電動または手動により駆動軸1bを回転させて入力平歯車3をB方向に回転させる。 これにより、入力平歯車3に取り付けられた円筒ローラ5が入力軸4の軸心O 4を中心としてB方向に公転する。 そして、この円筒ローラ5がB 1角度からB 2角度まで回転するときに、円筒ローラ5の側面により回転レバー7におけるカム穴8のカム面部Cbを押して、回転レバー7とともに出力軸6 を,その軸心O 6を中心としてb方向に所定角度回転させる。 これにより、出力軸6に固着されている操作部材9がb 1方向(図1参照)に回転し、ロッド10がRb 方向(図2参照)に直線運動して、図示しない電力用負荷開閉器の接点が開放される。 【0024】上記により接点が開放されたとき、図示しないリミットスイッチにより、駆動機構1内の電動モータは停止制御されるが、この電動モータはイナーシャにより数回転する。 このため円筒ローラ5がさらに回転するが、円筒ローラ5の側面は、カム穴8の逃がし面部F bと接触しているため、回転レバー7はこれ以上回転せず、図示しない電力用負荷開閉器の接点を確実に開放位置に保持する。 【0025】なお、操作部材9およびロッド10により操作される電力用負荷開閉器の接点機構としては、接点を真空容器の内部に配置し、また、この接点を閉鎖状態に保持する力として接圧ばねによる弾性力を利用する形式のものを用いても良い。 なお、この形式の接点機構は、接点が真空容器中に保持されているため、接点が開いたときに自閉力が作用する。 したがって、この場合には、この自閉力が操作部材に作用することになる。 しかし、本実施の形態における電力用負荷開閉器の操作装置では、この自閉力に打ち勝って接点を確実に開放状態に保持するように構成される。 なお、接点を開放状態から閉鎖状態に操作するときは、この自閉力が作用する分、 回転レバー7を回転させるトルクを小さくすることができる。 【0026】また、電力用負荷開閉器の接点機構としては、上記のような自閉力を発生する形式のものに代えて、気中やガス中にブレード型接点を配置したものを用いても良い。 この場合は、ブレード形接点を押し込むには、ブレード形接点の接圧荷重の摩擦に打ち勝つだけの力があれば良いので、駆動機構1の駆動力を軽減することができる。 したがって、円筒ローラ5や、回転レバー7をより小型して、電力用負荷開閉器の操作装置をより小型化することができる。 【0027】 【発明の効果】本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏することができる。 請求項1 記載の発明によれば、駆動機構からの回転運動は、入力平歯車、回転レバーなどにより、そのまま電力用負荷開閉器の接点機構を操作する操作部材に伝達されており、 回転運動を直線運動に変換する部材が使用されていないので、従来のように無駄なスペースや大きな曲げ剛性を必要とする台形ねじを必要としない。 したがって、伝達効率が向上し、入力が小さくなり、電動モータも小型の小出力のものでよく、手動のときの力も軽減することができる。 【0028】また、請求項2記載の発明によれば、この回転レバーの形状はV字型でなく、閉じたカム穴を有するものであるので、円筒ローラとカム面との接触により発生する曲げ応力に対して断面係数が大きくとれる。 したがって、従来のV字型レバーに比し大きな剛性がとれ、小型化ができる。 また、回転レバーの動作領域は、 従来のV字型レバーのそれに比し小さく、電力用負荷開閉器の操作装置の所要スペースを小さくすることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施の形態に係る電力用負荷開閉器の操作装置の動作説明図。 【図2】 図1記載の電力用負荷開閉器の操作装置を正面から見た構成説明図。 【図3】 図1記載の電力用負荷開閉器の操作装置を側面から見た構成説明図。 【図4】 本発明の実施の形態に係る回転レバーの拡大図。 【図5】 従来の電力用負荷開閉器の操作装置に係り、 接点開状態のときの構成説明図。 【図6】 図5記載の電力用負荷開閉器の操作装置係り、接点閉状態のときの構成説明図。 【符号の説明】 1 駆動機構、1a 手動操作軸、1b 駆動軸、3 入力平歯車、4 入力軸、5 円筒ローラ、6 出力軸、7 回転レバー、8 カム穴、9 操作部材、10 ロッド、Ca、Cb カム面部、Fa、Fb 逃がし面部、Nb、Nt遊び面部。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 俊文 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 宮本 聖一 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 糸谷 孝行 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 |