【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、機器に情報を手によって入力するための、触覚的な応答作用(haptische R ueckmeldung)を備えた操作装置であって、調節部材が設けられており、該調節部材の位置が操作力作用下で可変であり、該調節部材が、電気的な信号を生ぜしめるための変換器に接続されており、該信号が調節部材の位置を示すようになっており、調節部材にはロックエレメントが接続されており、該ロックエレメントが電気的な信号による制御下で、調節部材に力を作用するようになっており、該力の大きさが調節部材の位置に関連している形式のものに関する。 【0002】 【従来の技術】ドイツ連邦共和国特許出願公開第420 5875号明細書に基づき公知のこのような形式の操作装置の場合、ロック部材として電動モータが設けられている。 このような電動モータは、運動をロックするだけでなく、運動を加速することもできるという利点を有してはいるものの、極めて大きな重量を有しており、高電流を必要とし、その所要スペースも大きい。 このような形式の操作装置の場合、駆動モータによる運動加速を断念し、プログラミング可能なロック力だけで間に合わせることにより、上に述べた電動モータの欠点を回避しようとしていることが明らかになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冒頭で述べた形式の操作装置を改良して、自由に可変の触覚的な応答作用が小さな所要スペースで、かつ僅かな構造手間で実現されるような操作装置を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明の構成では、ロックエレメントが、互いに相対運動可能な少なくとも2つの面を有しており、該面の間に力伝達媒体または力伝達エレメントが設けられており、該力伝達媒体または力伝達エレメントの力伝達特性が、電気的な信号によって可変であるようにした。 【0005】 【発明の効果】これに適した力伝達媒体または力伝達エレメントの容積は比較的小さく、重量も軽い。 さらに、 所望の触覚的な作用を得るために、このような力伝達媒体または力伝達エレメントのプログラミング可能な制御に必要とされる電気的なエネルギは僅かに過ぎない。 本発明によれば、適当な電気的な制御により特性を任意に再生可能に変化させることができるような媒体またはエレメントだけをロックエレメントとして使用するので、 ロックエレメントは事実上摩耗することはない。 【0006】力伝達媒体が電気粘性媒体(elektroviskos es Medium)であると特に有利である。 このような電気粘性の媒体または液体は、印加された電界の強さに関連して様々な粘性を有している。 この粘性は、電界存在時には媒体内部において、分子が長く延びる鎖を形成するように方向付けられることにより生ぜしめられる。 このような電界が存在しない場合には、媒体中に存在する分子は統計学的に見て分散している。 粘性の変化は、互いに相対運動可能な両面が導電性を有していることにより可能となる。 これらの両面には、電気的な信号により制御された直流電界または交流電界が印加可能である。 この電界の強さに関連して、調節部材の運動時の抵抗作用もしくはロック作用を広範囲で変化させることができる。 これにより所望の触覚的な作用を得ることができる。 【0007】同様に、磁気粘性媒体(Magnetviskoses Me dium)が使用される場合には、この磁気粘性媒体には磁界の印加により影響を与えることができる。 【0008】同じ目的で、音響粘性媒体(akustoviskose s Medium)を使用することもできる。 この音響粘性媒体には超音波により影響を与えることができる。 この超音波は、電気的な信号により制御されたピエゾ圧電エレメントによって生ぜしめることができる。 【0009】電気的な制御時に容積変化させられ、ひいては調節エレメントにおける使用にも適したピエゾ圧電エレメントまたは磁歪エレメントを使用しても有利である。 この場合、この調節エレメントにおいては互いに相対運動可能な面が、互いに内外に密に係合し合うばね状および溝状のガイドレールを備えている。 これらのガイドレールに、ピエゾ圧電エレメントまたは磁歪エレメントが配置されている。 これらのエレメントは容積変化によって、ガイドレールの互いに対応する面相互間に制動作用を生ぜしめる。 【0010】場合によっては、力伝達エレメントとして、電磁的に操作可能なブレーキが設けられていてもよい。 【0011】本発明の別の構成では、変換器が増分発生器であり、この増分発生器は、調節部材のその都度進んだ距離と運動方向とに関連してパルスを生ぜしめる。 これらのパルスから、メモリ内にファイルされたテーブルのためのアドレスが生ぜしめられるようになっており、 このテーブル内には、ロックエレメントのための制御信号が、このアドレスのための関数としてファイルされている。 【0012】メモリにテーブルをファイルすることにより、または、リアルタイムで特性曲線を算出することにより、極めて種々様々な触覚的な応答作用を実現することができる。 増分発生器を使用することにより、本発明による操作装置と、操作しようとする機器との間の有利な通信がデジタル信号により得られる。 【0013】本発明のさらに別の構成によれば、操作しようとする機器のその都度の運転状態における各状況に触覚的な応答作用を適合させることは、操作装置に接続された機器の制御下で、異なる関数をメモリにロードすることができることにより可能となる。 同じ目的で、テーブルが複数の異なる関数を有していてもよく、これらの関数のうちのそれぞれの関数が、メモリに供給されたアドレスの1つまたは複数の2進桁を介して選択可能である。 【0014】本発明による操作装置の多くの使用目的にとっては、関数がほぼ同一の、周期的に繰り返す区分を有していると有利である。 これにより、例えば係止ステップの数をその都度の操作状況に適合することができるような、互いに同一の係止ステップを有する操作装置が得られる。 【0015】異なる大きさの係止ステップを選択することもできる。 さらに各係止ステップ毎に費やされる力が異なる大きさであってもよい。 従って、運転上しばしば設定される例えば2つの係止点は相並んでおり、かつ/ または、小さな係止力によって互いに分離されていてもよい。 これに対して、大きな距離および/または大きな反力により、例外的にのみ使用しようとする位置に操作装置を運動させることは困難になる。 【0016】本発明のさらに別の構成によれば、触覚的な応答の形式には、1区分内の関数の形が可変であり、 かつ/または、関数の極値が可変であることにより影響を与えることができる。 【0017】本発明のさらに別の構成によれば、選択点を備えた選択メニューを表示するための表示装置を備えた機器に、本発明による操作装置が接続されている。 この場合、関数は、表示装置におけるメニューの選択点の数および位置に関連して制御可能である。 【0018】このような構成によって、選択メニューによる使用者ガイド機能を有する機器および装置の操作を著しく改善することができる。 この場合、適宜のデジタル信号処理装置と表示装置、例えば受像管または液晶表示器とを有する、任意の電子機器を使用することができる。 【0019】1つまたは複数の規定された選択可能性の過誤による入力を行いにくくするために、本発明のさらに別の有利な構成では、調節部材により選択点だけが制御可能であるような大きさに、操作力に抗するロックエレメントの力が形成されるように、関数が構成されている。 【0020】調節部材と組み合わされたスイッチにより、選択点を特に簡単に選択することができる。 このスイッチの操作方向は調節部材の操作方向とは異なっている。 【0021】ピエゾ圧電エレメントまたは磁歪エレメントを使用する場合、調節部材が互いに内外に組み込まれた1つまたは複数の球欠体から構成されており、これらの球欠体においてそれぞれ隣接する球欠体が、規定のガイド路によって案内されていて、種々のガイド路が異なる方向に延びていると、特に有利である。 【0022】本発明のさらに別の構成では、力伝達媒体または力伝達エレメントの、温度に関連した変化時に、 力伝達媒体または力伝達エレメントの温度を検出する温度センサと、この温度センサに接続された、電気的な信号の電圧を温度に関連して変化させるための制御回路とが設けられている。 【0023】 【発明の実施の形態】次に本発明を、図面に示した実施の形態について説明する。 【0024】図1に示された実施例の場合、操作装置の機械的な部分は、回転ノブ1と、増分発生器2の形式で形成された変換器と、触覚的な応答作用を備えたロックエレメント3とを有している。 これらは軸4を介して互いに接続されている。 【0025】公知の形式で、増分発生器2は軸4の角度増分当たり、2つのパルスXとYとを生ぜしめる。 これらのパルスは互いに位相ずれしている。 これらのパルスから、評価回路5において軸4の回転方向が規定される。 回転方向信号ZとパルスX;Yのうちの1つとによって、アップダウン方向カウンタ6が制御される。 このアップダウン方向カウンタ6の出力側はデジタル信号を生ぜしめる。 この信号は、任意の始端位置に対する回転ノブ1の角度位置を表す。 【0026】その都度のカウンタ状態は、マイクロコンピュータ7に入力される。 このマイクロコンピュータは公知の形式で構成されており、本発明の理解のために必要な構成部分、つまりテーブルをファイルするための書込・読出メモリ8と、マイクロプロセッサ9と、インタフェース10だけが図示されている。 このインタフェース10は、画像スクリーン12を有する、操作しようとする機器11との接続のために役立つ。 【0027】回転ノブ1には圧力センサ13が接続されている。 この圧力センサは、回転ノブ1が矢印14の方向に押圧されると、マイクロコンピュータ7に信号を発する。 【0028】マイクロコンピュータ7の出力側は、デジタル−アナログ変換器15を介して、ロックエレメント3のための制御回路16に接続されている。 この制御回路は公知の出力段と出力制御回路とを有している。 この制御回路16には温度センサの信号も供給される。 この温度センサは、ロックエレメントの温度を検出する。 これにより、ロックエレメントに影響を与えるために、電気的な信号に、温度に関連した電圧変化をもたらすことができる。 【0029】書込・読出メモリ8にその都度のテーブルを書き込むときには、マイクロプロセッサ9により、書き込もうとするデータがアドレシングされ、供給される。 【0030】操作動作中には、アップダウン方向カウンタ6によって書込・読出メモリ8のアドレシングが行われる一方、出力側DOからは、読み出されたデータがデジタル・アナログ変換器15に供給される。 さらに、操作動作中には、アップダウン方向カウンタ6の出力信号が、マイクロプロセッサ9とインタフェース10とを介して、操作しようとする機器11に供給される。 データおよびアドレスの種々異なる経路がマイクロコンピュータ7内に破線で示されている。 【0031】操作しようとする機器11の使用開始時、 またはその運転状態が変わって、他の操作が必要となったときには、機器11からインタフェース10を介してマイクロコンピュータ7に、テーブルのデータが供給される。 このテーブルは書込・読出メモリ8にファイルされる。 このようなテーブルの内容は、ロックエレメント3の相応の制動モーメントを生ぜしめるためのそれぞれの電圧特性の線図として、図7に回転角φの関数として示されている。 電圧特性もしくは制動モーメントを示した図7(b)の曲線の、ゼロ軸との交点18〜25には、操作装置の係止点が位置している。 【0032】このような点から出発して回転角φが手によって増大させられた場合、ロックエレメント3は、回転ノブ1における操作力に抗して制動モーメントを生ぜしめる。 この制動モーメントは、回転角φを減小させようとする。 図7から判るように、制動モーメント特性は、その都度の使用事例に適合させることができる。 この制動モーメント特性は、触覚的な応答作用に影響を与えるためにロックエレメント3に制御回路16によって印加されるような電圧の特性と一致している。 【0033】図2〜図6には、調節可能もしくはプログラミング可能な触覚作用を有するロックエレメントの異なる実施例が示されている。 このようなロックエレメントの基本原理は、相対運動可能な2つの面の間に力伝達媒体または力伝達エレメントが設けられていて、その伝達特性が電気的な信号によって変化可能であることにある。 【0034】ケーシング30と、このケーシング内に互いに間隔を置いて配置された板31とを有するステータ内には、ロータが設けられている。 このロータは、軸3 2と、この軸に固着された板33とを有している。 軸3 2は中央の開口29を通って定置の板31内に貫通する。 ケーシング内部、ひいては板31,33相互間には、電圧を印加することによって変化可能な粘性を有する媒体が位置している。 このことを目的として、ケーシング30と板31とから成るステータと、軸32と板3 3とから成るロータとは導電性を有しており、互いに絶縁されるように構成されている。 この場合、符号34で示された対応する接続クランプに、図1に示された制御回路16から出発した電圧を印加することができる。 この電圧の特性は図7から明らかである。 上述のような形式で変化可能な粘性を有する媒体としては、電気粘性媒体、磁気粘性媒体等の媒体を使用することができる。 ロータとステータとの間の励起フィールドが印加されると、媒体の粘性が変化するので、回転ノブまたは押しノブに、触覚的に感知可能なロック作用を生ぜしめることができる。 【0035】図3に示したロックエレメントの実施例の場合、このロックエレメントは軸方向においても半径方向においても操作可能である。 この場合ステータとして役立つ円筒形のケーシング35内には、回転可能かつ摺動可能に支承された軸36に、円筒形のロータ37が配置されている。 このロータは、ステータとして形成されたケーシング35との間に比較的小さなギャップ38を有している。 このギャップ内には、電気的な信号によって、粘性に影響を与えることができるような媒体が設けられている。 この場合、ロータとステータとの間の制動作用は、ギャップ38内に存在する液体の粘性変化により生ぜしめられる。 このことから明らかなように、このようなロックエレメントは、軸ひいてはロータ37が回転可能かつ摺動可能に支承されていることに基づき、軸方向および半径方向に有効である。 【0036】図4に示したロックエレメントの実施例の場合、基本的には図2の実施例に対応して構成されたロータおよびステータにおいて、軸32に測定コンデンサ39が接続されている。 この測定コンデンサは、位置測定装置として役立つ。 【0037】図2〜図4に示した実施例の場合、それぞれ電気粘性の充填物が設けられている。 【0038】図5に示した実施例のロック装置は図4に示した実施例の形状に相当するが、しかし充填物としては磁気粘性媒体が使用されている。 この充填物に影響を与えるために、電気的なコイル40がケーシング30の外側に設けられている。 このコイルには、接続クランプ34を介して、磁界を生ぜしめるために電気的な電圧が印加可能である。 【0039】図6に示した実施例においては、ロックエレメントをも同時に有する操作エレメントが示されている。 この場合互いに係合し合う個別のシェル41,42 が設けられている。 これらのシェルは、ばね状のガイドレール43と溝状のガイドレール44とによって互いに案内されている。 これらのガイドレールにはピエゾ圧電エレメントまたは磁歪エレメントがシートの形で取り付けられている。 このようなピエゾ圧電エレメントまたは磁歪エレメントは、電気的な信号によって制御することができる。 このようなエレメントは、適当な電気的な影響を受けることにより、容積を増大または減小させ、ひいてはガイドレール43,44の間の制動作用をもたらす。 異なる方向に延びる対応するガイドレールを有するような、互いに内外に組み込まれたシェルを配置することにより、種々異なる運動方向において触覚的な応答作用を得ることができる。 この場合、このような操作エレメントを取り扱うために必要とされる力は、回転ノブにおいて必要とされる力よりも小さい。 それというのは手に対する摩擦結合作用(Kraftschluss)がより小さいからである。 このような触覚的にプログラミング可能な操作エレメントの利点は、スクリーンメニューにおけるカーソルの迅速かつ目的通りの運動を可能にすることである。 それというのはメニューに対応しない操作エレメントの運動はプログラムから排除することができるからである。 【図面の簡単な説明】 【図1】調節部材と、触覚的な応答作用を有するロック部材と、電子評価制御装置と、操作しようとする電子機器と示すブロック線図である。 【図2】ロック部材の第1実施例を示す図である。 【図3】ロック部材の第2実施例を示す図である。 【図4】ロック部材の第3実施例を示す図である。 【図5】ロック部材の第4実施例を示す図である。 【図6】ロック部材の第5実施例を示す図である。 【図7】操作装置の回転角に関連した種々のトルクを生ぜしめるためのそれぞれの電圧特性を示す線図(a) (b)(c)(d)である。 【符号の説明】 1 回転ノブ、 2 増分発生器、 3 ロックエレメント、 4 軸、 5評価回路、 6 アップダウン方向カウンタ、 7 マイクロコンピュータ、8 書込・ 読出メモリ、 9 マイクロプロセッサ、 10 インタフェース、 11 機器、 12 画像スクリーン、 13 圧力センサ、 14 矢印、 15 デジタル・アナログ変換器、 16 制御回路、 18〜25 交点、 29 開口、 30 ケーシング、 31 板、 32 軸、 33 板、34 接続クランプ、 35 ケーシング、 36 軸、 37 ロータ、38 ギャップ、 39 測定コンデンサ 40 コイル、 41,42 シェル、 43,44 ガイドレール ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハインツ ベルンハルト アーベル ドイツ連邦共和国 アシャッフェンブルク ゾーデナー シュトラーセ 59 |