【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、小形データ処理装置、 特に移動電話に用いることが可能なキーボードに関する。 【0002】 【従来の技術】小形で柔軟性があり汎用的に用いることが可能な使用者に優しいユーザインタフェースを、ノートブック型コンピュータや移動電話などの小形で携帯可能なデータ処理装置やデータ通信装置に搭載しようとすると、様々な問題が生じる。 このような小形装置に、通常のキー(運指)操作を行うキーボードを搭載することは困難である。 【0003】このような問題を解決する一つの方法は、 タッチスクリーンディスプレイをユーザインタフェースとして用いることである。 この方法では、ユーザインタフェースの入力要素と出力要素との両方が、互いに重なった独立した層として装置の表示画面上に配置されるので、スペースが節約される。 出力要素として機能する表示層は、一般にLCD(液晶表示)技術を用いて実現される。 入力要素は、LCD層の上に透明なディジタイズ層を設けることによって形成される。 ディジタイズ層は、例えばマトリックス形状に配列された多数のディジタイズポイントを有する。 これらのディジタイズポイントにタッチすると、タッチされたポイントで比例的な物理的応答がなされ、この物理的応答が電気的な信号に変換され、ディスプレイ制御装置にてディジタルデータとして使用される。 ディジタイズ層におけるタッチポイントの認識は、既知のいろいろな技術、例えば、タッチポイントにおける表面波の吸収、赤外線の送受信、容量の変化及びディジタイズ層に供給される交流電圧の周波数の変化、タッチポイントにおけるディジタイズ層の抵抗変化、又はひずみゲージや圧電感圧素子によって検出される接触圧力、等に基づいてなされる。 【0004】タッチスクリーンディスプレイを実現する小形装置の一例は、PDAすなわちパーソナルディジタルアシスタント装置であり、その具体例はペンコンピュータとして知られている。 一般にペンコンピュータは、 手で容易に持てる小形のマイクロコンピュータであり、 データ入力に従来のキーボードを必要とせず、特殊なスタイラスを用いて、装置のタッチスクリーンに書き込むか又はタッチスクリーン上のキーを作動することによりデータを入力する。 現在市販されているペンコンピュータは、一般に上記の両方のデータ入力方法が可能となっている。 タッチスクリーンディスプレイに直接に書き込みを行うと、書き込まれた文字等の符号は通常は手書き文字認識プログラムによって認識され、認識された文字に対応する標準コードに変換される。 手書き文字の認識は汎用的であるように意図されており、より進んだ装置の手書き文字認識プログラムでは、ブロック文字(楷書体文字)及び通常の手書き文字の双方の読み取りが可能である。 しかしながら、プログラムによる手書き文字の認識は、常に正しく行われるとは限らないので、上記種類の装置にはデータを入力するための代替的手段が通常は備えられている。 【0005】ペンコンピュータでは、手書き文字入力は通常、タッチスクリーンディスプレイに必要に応じて表示された標準英数字及び特殊文字を含む仮想(すなわちソフト)キーボードによって行われる。 仮想キーボードの大きさは通常は数cm 2である。 仮想キーボードのキーは、タッチスクリーン表示部に表示されたキーに対応する部分をペン等のスタイラスを用いて押圧することにより操作される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記のような小形装置にタッチスクリーンディスプレイを用いることの一つの利点は、装置上の多くのスペースを占有するであろう通常のキーボードが、タッチスクリーンディスプレイ内の仮想キーボードによって置き換えられることである。 しかしながら、仮想キーボードが装置の表示画面のかなりの部分を占めてしまうので、例えば入力されたテキストデータ等を表示するための残りの表示領域が少なくなってしまうという実用上の問題がある。 さらに、仮想キーボードを使用する際に、いろいろな状況下において表示画面上の正しい位置に仮想キーボードを配置することも問題を生じる。 仮想キーボードは、データを入力するために完全に見えなければならない表示画面上のテキストの主要部分を覆い隠してしまう。 その結果、使用者は、 装置が以下の機能を有している場合には、表示画面上のテキストを移動させるか、あるいはキーボードを画面上の別の位置に移動させなければならない。 また、個々のファンクションキーを用いたかなり長いキー操作が要求される場合があり、慣れない使用者にとっては、仮想キーボードを用いた入力そのものが難しい。 さらには、タッチスクリーンディスプレイ上のどのキーを押すにせよ、ディスプレイ表面は滑らかであるためにスタイラスの先端が滑りやすく、互いに近接したキーを一定の精度で押すことが難しく、通常のキーボードを用いた入力と比較して多数の入力ミスが発生する。 【0007】上記問題点を鑑み、本発明の目的は、特に小形データ処理装置及び移動電話に適用することを意図した、文字データを入力するためのキーボードを提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、データを携帯型電子機器に入力するためのキーボードにおいて、凹部を備えた表面と、凹部の底に配置されたキー様要素とを具備し、キー様要素が、スタイラスを凹部に差し込むことによって作動できることを特徴とするキーボードを提供する。 【0009】本発明によるキーボードは、小形データ処理装置用として、小形で、柔軟性があり、汎用性があり、使用者に優しいユーザインタフェースを提供できるという利点を有する。 【0010】本発明の好適な実施例では、キー様要素は凹部の底面を画成する。 好適な実施例では、凹部は、1 つ以上の開口を有した板をキー様要素の上に配置することによって形成される。 この実施例の利点は、板を取外して置き換えることにより、キーボードの符号及びキーの配列又は選択が変更できるようになることである。 【0011】別の好適な実施例においては、キー様要素は、例えばタッチスクリーンディスプレイのディジタイズ層のディジタイズポイントの形式を有する。 あるいは、キー様要素として、機械式のキーを用いることもできる。 あるいは、キー様要素として、箔状のキーを用いることもできる。 また、ディジタイズ層をタッチスクリーンディスプレイの表示層の外部に延ばすこともできる。 【0012】また、上記の板の一部を透明にすることによって、板の下の記号を板を介して見ることができるようにすることも可能である。 これは、特にタッチスクリーンディスプレイに用いた場合に有用なものであり、これにより、板の下にデータを表示することが可能となる。 【0013】別の好適な実施例においては、スタイラスでキー様要素を作動させるのを容易にするために、凹部にテーパが付される。 このテーパとしては円錐状のものが望ましい。 この実施例の利点は、テーパを付すことによって、所望のキー様要素をスタイラスで確実に作動できるようになることであり、タッチスクリーンディスプレイ装置等の仮想キーボードに関するデータ入力の課題を解決することができる。 【0014】 【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明をその好適な実施例に基づき詳細に説明する。 なお、以下の実施例は説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。 【0015】図1は、本発明のキーボードの断面図であり、その表面11に複数の凹部12を有し、各凹部の底部にはキー様要素13が具備されている。 好適には、各凹部12及びこれに対応したキー様要素13によって、 キーボード上の個々のキーが構成される。 凹部の形状は、ペン14によって操作しやすいように下向きにテーパを有する円錐台構造となっている。 各凹部12の側壁は、キー様要素を作動するのに用いる物体を支持かつ案内する。 これは従来のキーボードと異なる本発明の特徴の1つであり、従来の多くのキーボードではキーが装置の表面より突出していて、そのために特に小形のキーでは押すのが難しいのと対照的である。 凹部12の側壁によって、ペンの先端がキーとキーとの間で移動してしまうことが防止され、したがって入力ミスが効果的に防止される。 なお凹部12の形状は、キーを押すために用いられるペン又はその他の物体に応じて定められる。 【0016】キー様要素は、機械式小形キー、箔状キー、ディジタイズボードすなわちタッチスクリーンディスプレイ上のディジタイズポイントなどの各種の技術を用いてキーボードに形成することが可能である。 上記のような種類のキーをキー様要素として用い、図2に示したように、キー様要素と位置が一致する開口21を備えた板を用いて、キーボードの凹部を実現することが可能である。 開口を備えた板は、例えばプラスチックから形成でき、キー様要素の上に恒久的に接着されるか、又は一時的に置かれる。 各キーの記号は、板の表面、開口の内壁、又はキー様要素の表面に、適当な方法で記すことができる。 このキーボードがタッチスクリーンディスプレイの一部に形成される仮想キーボードである場合には、表示画面上に出力されるキーの記号をユーザが見ることができるように、開口を有する上記の板は透明であることが好ましい。 【0017】図3(a)及び(b)は、タッチスクリーンディスプレイ上に形成したユーザインタフェースに本発明を適用した場合を示す。 ここでは例として、移動電話31用のユーザインタフェースを取り上げる。 なお、 ユーザインタフェース以外の移動電話の要素についての説明は省略する。 図3(a)は、タッチスクリーンディスプレイの積層構造を示す断面図であり、表示層32 と、表示層32によって形成される表示画面の外部に部分的に延びるディジタイズ層33とが示される。 ディジタイズ層33のアクティブタッチポイントは、ユーザインタフェースを制御するプログラムを用いて作動できる。 図3(a)及び(b)の例では、タッチスクリーンディスプレイのいくつかのアクティブタッチポイントがキーボードのキー様要素として働き、これらのキー様要素上には開口34を備えた板が置かれる。 図において、 キーボードの最上部2列のキー群は表示画面上に配置されてキーボードの仮想部分35を形成し、残りのキー群は固定部分36を形成する。 仮想部分35のキー群は、 例えば特殊文字や、用いられる言語によって変わるキー群が配される。 仮想部分35のキー群のモードは、プログラムによって容易に変更できる。 固定部分36には、 普通は、通常の英数字キーボードが配される。 【0018】キーボードの仮想部分35及び固定部分3 6の諸部位、並びにそれらの一部のキー様要素の大きさ及び形状を、装置の用途に応じて選択することができる。 また、図3(a)及び(b)に示した例のようにディジタイズ層33が表示層32を完全に覆っている必要は必ずしもなく、表示層32の一部分(例えば上部)が表示出力機能のみを有するようにもできる。 キーボードのキー様要素は、タッチスクリーンディスプレイとは独立に設けられたディジタイズボードのディジタイズポイントを用いて実現することもできるし、あるいは、小形の機械式キーや箔状キーを用いて実現することもできる。 タッチスクリーンディスプレイを備えた装置においては、データはキーボードの固定部分又は仮想部分を用いて入力することもできるし、あるいはタッチスクリーンディスプレイに書き込むことによって入力することもできる。 また、これらの方法を組み合わせて、例えばワードの一部を手書きで書き込み入力し、ワードの残りの文字をキーボードからペンを用いて入力することもできる。 【0019】 【発明の効果】本発明を用いれば、従来のペンコンピュータの仮想キーボードと同じか又はより小さなスペースを占める小形で使用者に優しいキーボードを自由に実現することが可能である。 キーボードの、表示画面の外側の部分は常に利用可能であり、従ってこの部分を別途起動させる必要はない。 キーボードの表面に凹部を設けたことによって、従来のペンコンピュータのペン入力キーボードに比較して、キーの打ち間違いがかなり低減される。 このように、キー入力の精度を向上させることができるので、キーの大きさをさらに小さくすることも可能である。 本発明は、特にノートブック型コンピュータ、 ペンコンピュータ、移動電話などの小形で携帯可能なデータ処理装置やデータ通信機器に適用することが可能である。 【0020】以上の説明から、本発明の範囲を逸脱することなく、いろいろな変更が可能であることは当業者に明らかであろう。 本明細書の記載の範囲は、明示的又は暗示的に記載されたあらゆる新規な特徴、それらの特徴を組み合わせたもの、又はそれらの特徴をさらに一般化したものを、それが特許請求の範囲に記載されているか否か、また前述の解決課題のいずれに関するものであるかに関わらず、含むものである。 従って、本出願、又は本出願から派生する全ての出願を遂行する間に、上記のような特徴を新たな請求範囲として開示できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るキーボードの断面図である。 【図2】キー様要素の上に配置された、開口を備えた板の例を示す図である。 【図3】(a)本発明を適用したタッチスクリーンディスプレイに設けたユーザインタフェースを示す断面図、 及び(b)ユーザインタフェースの正面図である。 【符号の説明】 11…表面 12…凹部 13…キー様要素 14…スタイラス 21…板 32…表示層 33…ディジタイズ層 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルト レートネン フィンランド国,エフイーエン−33730 タンペレ,クルンニーティンカツ 3 ア ー 6 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