リアクトル、及びリアクトルの製造方法

申请号 JP2012058584 申请日 2012-03-15 公开(公告)号 JP5964619B2 公开(公告)日 2016-08-03
申请人 株式会社タムラ製作所; 发明人 中津 良; 二宮 亨和; 鈴木 浩太郎; ▲濱▼田 勉;
摘要
权利要求

コイルと、 圧粉磁心である複数の部分コアが突き合わされることによって閉磁路をなし、一部が前記コイルのコイル空芯部に挿置されるコアユニットと、 を備え、 前記複数の部分コアは、 前記コイル空芯部を通過する磁路部分をなすI字型コアである第一部分コアと、 前記コイル空芯部の外側を通過する磁路部分を持つU字型コアである第二部分コアと、 を有し、 前記第一部分コアは、 プレス成形時にプレスされた前記第一部分コアのプレス面が前記コイルの巻軸方向と直交する面となる向きで前記コイル空芯部に挿置されており、 前記第二部分コアは、 前記第一部分コアと突き合わされており、 プレス成形時にプレスされた前記第二部分コアのプレス面が前記巻軸方向と異なる異方向と直交する面となる向きで配置されており、 前記第二部分コアのプレス面が略扁平な面であり、 前記巻軸方向と垂直な切断面における、前記第二部分コアの脚部の断面積が前記第一部分コアの断面積よりも小さい、リアクトル。前記異方向は、前記巻軸方向と直交する方向であり、 前記第二部分コアのプレス面は、前記第一部分コアのプレス面と直交する向きに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のリアクトル。前記第一部分コアは、前記巻軸方向と直交する第一磁路端面を有し、 前記第二部分コアは、前記巻軸方向と直交する第二磁路端面を有し、 前記第一磁路端面と前記第二磁路端面とは対向配置されており、かつ互いの面積が異なることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。前記第二磁路端面は、前記第一磁路端面よりも面積が小さく、かつ前記第二部分コアのプレス面と直交する方向の寸法が前記第一磁路端面よりも短いことを特徴とする、請求項3に記載のリアクトル。前記第一磁路端面と前記第二磁路端面とは、前記コイル空芯部内で第一のギャップを介して対向配置されていることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のリアクトル。前記巻軸方向と直交する前記第一部分コアの断面形状と、前記コイルを該巻軸方向と直交する方向に切断したときに現れる前記コイル空芯部の形状と、が略相似であることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のリアクトル。前記コイルは、平行に並べて配置された一対のコイルを有し、 前記コアユニットは、 前記一対のコイルの各々のコイル空芯部に挿置される少なくとも一対の前記I字型コアと、 平行に並ぶ第一脚部と第二脚部とを持ち、該第一脚部同士及び該第二脚部同士が対向するように配置される一対の前記U字型コアと、 を備え、 前記一対のU字型コアの第一脚部同士及び第二脚部同士がそれぞれの前記コイル空芯部に挿置された前記I字型コアを介して互いに突き合わされるように配置されることで略環状の閉磁路をなすことを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のリアクトル。各前記コイル空芯部内において、前記I字型コアは、前記巻軸方向に並べて挿置された複数のI字型コアを有することを特徴とする、請求項7に記載のリアクトル。前記コイル空芯部内で前記巻軸方向に並ぶ前記I字型コア間に、前記閉磁路を形成する第二のギャップが介在することを特徴とする、請求項8に記載のリアクトル。前記閉磁路内に含まれる全てのギャップは、前記第一のギャップ又は前記第二のギャップであり、前記コイル空芯部内に挿置されていることを特徴とする、請求項5を引用する請求項9に記載のリアクトル。前記第二部分コアのプレス面は、該プレス面の縁部の全周に亘り、1mm以下の段差が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項10の何れか一項に記載のリアクトル。圧粉磁心である複数の部分コアからなる閉磁路を持つリアクトルの製造方法において、 成形素材をプレスし、コイルのコイル空芯部を通過する磁路部分をなすI字型コアである第一部分コアを成形する第一部分コア成形工程と、 成形素材を所定のプレス方向でプレスすることにより、該コイル空芯部の外側を通過する磁路部分を持ち、該所定のプレス方向と直交するプレス面が略扁平となるU字型コアである第二部分コアを成形する第二部分コア成形工程と、 前記第一部分コアを、プレス面を前記コイルの巻軸方向と直交する面となる向きに向けて、前記コイル空芯部に挿置する第一部分コア挿置工程と、 前記コイル空芯部に挿置された第一部分コアに前記第二部分コアを突き合わせることで閉磁路を形成する閉磁路形成工程と、 を含み、 前記コイルの巻軸方向と垂直な切断面における、前記第二部分コアの脚部の断面積が前記第一部分コアの断面積よりも小さい、リアクトルの製造方法。前記閉磁路形成工程で、 前記第二部分コアは、該第二部分コアのプレス面が前記第一部分コアのプレス面と直交する向きで該第一部分コアに突き合わされる、請求項12に記載のリアクトルの製造方法。前記第二部分コア成形工程で、 前記閉磁路形成工程において前記第一部分コアと前記第二部分コアとを突き合わせたときに対向配置される、該第一部分コアの第一磁路端面と、該第二部分コアの第二磁路端面と、が異なる面積を持つように、該第二部分コアをプレス成形する、請求項12又は請求項13に記載のリアクトルの製造方法。前記第二部分コア成形工程で、 前記第二部分コアは、前記第二磁路端面が前記第一磁路端面よりも面積が小さく、かつ該第二部分コアのプレス面と直交する方向の該第二磁路端面の寸法が該第一磁路端面よりも短くなるようにプレス成形される、請求項14に記載のリアクトルの製造方法。前記閉磁路形成工程で、 前記第一磁路端面と前記第二磁路端面とが前記コイル空芯部内で第一のギャップを介して対向するように、前記第二部分コアを前記第一部分コアに突き合わせる、請求項14又は請求項15に記載のリアクトルの製造方法。前記第一部分コア成形工程で、 前記第一部分コアのプレス面と平行な該第一部分コアの断面形状が、前記コイルを前記巻軸方向と直交する方向に切断したときに現れる前記コイル空芯部の形状と略相似となるように、該第一部分コアをプレス成形する、請求項12から請求項16の何れか一項に記載のリアクトルの製造方法。前記コイルは、平行に並べて配置された一対のコイルを有し、 前記第一部分コアは、少なくとも一対の前記I字型コアを有し、 前記第二部分コアは、平行に並ぶ第一脚部と第二脚部とを持つ一対の前記U字型コアを有し、 前記第一部分コア挿置工程で、 前記一対のコイルの各々のコイル空芯部に対して少なくとも一つの前記I字型コアが挿置され、 前記閉磁路形成工程で、 前記一対のU字型コアは、前記第一脚部同士及び前記第二脚部同士が対向され、対向された該第一脚部同士及び第二脚部同士がそれぞれの前記コイル空芯部に挿置された前記I字型コアを介して互いに突き合わされるように配置される、請求項12から請求項17の何れか一項に記載のリアクトルの製造方法。前記第一部分コア挿置工程で、 各前記コイル空芯部に対して複数の前記I字型コアが前記巻軸方向に並べて挿置される、請求項18に記載のリアクトルの製造方法。前記第一部分コア挿置工程で、 前記コイル空芯部内で前記巻軸方向に並ぶ前記I字型コア間に、前記閉磁路を形成する第二のギャップを介在させる、請求項19に記載のリアクトルの製造方法。前記閉磁路内に含まれる全てのギャップは、前記第一のギャップ又は前記第二のギャップであり、前記コイル空芯部内に挿置される、請求項16を引用する請求項20に記載のリアクトルの製造方法。前記第二部分コアのプレス面は、該プレス面の縁部の全周に亘り、1mm以下の段差が設けられている、請求項12から請求項21の何れか一項に記載のリアクトルの製造方法。

说明书全文

本発明は、閉磁路をなすコアを備えるリアクトル、及び該リアクトルの製造方法に関する。

リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等をはじめ、種々の用途で使用されている。この種のリアクトルの具体的構成は、例えば特許文献1や特許文献2に記載されている。特許文献1及び2に記載のリアクトルは、平行に並置された一対のコイルを備えており、各コイルの空芯部に複数のI字型コアが並べて挿置されている。また、これらのリアクトルは、互いの一対の脚部が対向するように配置された一対のU字型コアを備えており、対向する脚部同士の間にI字型コア群を配置することで、各コア体を磁路とする略環状の閉磁路を構成している。また、この種のリアクトルでは大電流が重畳されるため、閉磁路を構成する各コア体を圧粉磁心を用いて成形することが主流となっている。

特許第4465635号公報

特開2009−296015号公報

特許文献1に記載されているように、左右の固定型と上下一対の可動型とによって規定されるキャビティに磁性粉末が投入され、投入された磁性粉末が相対移動可能な上下一対の可動型によって圧縮プレスされることで、コアが成形される。このようにして成形されたコアのプレス面(可動型によってプレスされた面)上にはバリ(主にプレス面と直交する方向に延びる不要形状)が残存する。この種のバリは、コイルの絶縁被膜を損傷させる虞があるため、プレス成形後に除去される。バリの除去を行わない場合、I字型コアは、コイルの空芯部に挿置された際、空芯部に対してバリ逃げに必要なクリアランスができるように断面積が小さく設計される。しかし、このような設計では、I字型コアの断面積を小さくしたことによるインダクタンスの低下が指摘される。I字型コアの断面積の大きさを維持してインダクタンスの低下を避けるには、空芯部を大きく設計してI字型コアとのクリアランスを確保する必要がある。しかし、このような設計では、空芯部を拡げたことによるコイルの大型化が指摘される。

一方、特許文献2において、I字型コアは、コイルの巻軸方向と直交する方向にプレス面を向けて空芯部に挿置されているため、バリは、主に巻軸方向に延びて残存する。そのため、特許文献2に記載のリアクトルには、I字型コアと空芯部との間にバリ逃げのためのクリアランスを設定する必要がない。また、U字型コアは、I字型コアに合わせて、コイルの巻軸方向と直交する方向にプレス面を向けて配置されている。言い換えると、U字型コアは、コア脚部の長手方向に相対移動可能な一対の可動型によって圧縮プレスされている。この場合、一対の可動型の間でプレスされる粉末成形体の厚みが各脚部と脚部同士を連結する部分とで大きく異なる(すなわち粉末成形体が厚み方向に大きな段差を持つ)ため、金型は、例えば複雑でコストのかかる多段成形型となる。しかし、U字型コアは、コスト(例えばイニシャルコストや金型のメンテナンスコストなど)を抑えるため、できるだけ簡易な構造の金型でプレス成形できることが望ましい。

本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コイル空芯部と部分コアとの間にバリ逃げのためのクリアランスを設定する必要が無く、かつ部分コアを、できるだけ簡易な構造の金型でプレス成形することができる、リアクトルの製造方法、及びリアクトルを提供することである。

本発明の一形態に係るリアクトルは、コイルと、複数の部分コアが突き合わされることによって閉磁路をなし、一部がコイルのコイル空芯部に挿置されるコアユニットとを備えている。複数の部分コアは、コイル空芯部を通過する磁路部分をなす第一部分コアと、コイル空芯部の外側を通過する磁路部分を持つ第二部分コアとを有している。第一部分コアは、プレス成形時にプレスされた第一部分コアのプレス面がコイルの巻軸方向と直交する面となる向きでコイル空芯部に挿置されている。また、第二部分コアは、第一部分コアと突き合わされており、プレス成形時にプレスされた第二部分コアのプレス面が巻軸方向と異なる異方向と直交する面となる向きで配置されており、このプレス面が略扁平な面であることを特徴とする。

本発明の一形態によれば、第一部分コアは、残存し得るバリが主に巻軸方向に向いた状態でコイル空芯部に挿置されるため、第一部分コアとコイル空芯部との間にバリ逃げのためのクリアランスを設定する必要がない。また、第二部分コアは、第一部分コアのプレス方向と合わせられることなく、プレス成形時の粉末成形体の厚みが均一で実質的に段差を持たない方向で(プレス面が略扁平となるように)プレスされている。そのため、本発明の一形態によれば、第一部分コアの断面積を大きくすることでインダクタンスを増加可能であると共に、より簡易な構造の金型で第二部分コアをプレス成形可能である。

本発明の一形態によれば、異方向は、例えば巻軸方向と直交する方向である。この場合、第二部分コアのプレス面は、第一部分コアのプレス面と直交する向きに配置されている。

例えば、第一部分コアは、巻軸方向と直交する第一磁路端面を有しており、第二部分コアは、巻軸方向と直交する第二磁路端面を有している。この第一磁路端面と第二磁路端面とは対向配置されており、かつ互いの面積が異なる。より具体的には、第二磁路端面は、第一磁路端面よりも面積が小さく、かつ第二部分コアのプレス面と直交する方向の寸法が第一磁路端面よりも短くてもよい。また、第一磁路端面と第二磁路端面とは、コイル空芯部内で第一のギャップを介して対向配置されていてもよい。

また、本発明の一形態において、巻軸方向と直交する第一部分コアの断面形状と、コイルを巻軸方向と直交する方向に切断したときに現れるコイル空芯部の形状とが略相似であってもよい。

本発明の一形態に係るリアクトルは、平行に並べて配置された一対のコイルを有する構成としてもよい。この場合、コアユニットは、一対のコイルの各々のコイル空芯部に挿置される少なくとも一対のI字型コアと、平行に並ぶ第一脚部と第二脚部とを持ち、第一脚部同士及び第二脚部同士が対向するように配置される一対のU字型コアとを備えており、一対のU字型コアの第一脚部同士及び第二脚部同士がそれぞれのコイル空芯部に挿置されたI字型コアを介して互いに突き合わされるように配置されることで略環状の閉磁路をなす構成としてもよい。この場合、I字型コアは、第一部分コアであり、U字型コアは、第二部分コアである。

また、各コイル空芯部内において、I字型コアは、巻軸方向に並べて挿置された複数のI字型コアを有する構成としてもよい。また、コイル空芯部内で巻軸方向に並ぶI字型コア間に閉磁路を形成する第二のギャップを介在させてもよい。

また、本発明の一形態において、閉磁路内に含まれる全てのギャップは、第一のギャップ又は第二のギャップであり、コイル空芯部内に挿置されていてもよい。

また、本発明の一形態において、第二部分コアのプレス面は、例えば縁部の全周に亘り、1mm以下の段差が設けられている。

また、本発明の一形態に係るリアクトルの製造方法は、複数の部分コアからなる閉磁路を持つリアクトルを製造する方法であり、成形素材をプレスし、コイルのコイル空芯部を通過する磁路部分をなす第一部分コアを成形する第一部分コア成形工程と、成形素材を所定のプレス方向でプレスすることにより、コイル空芯部の外側を通過する磁路部分を持ち、所定のプレス方向と直交するプレス面が略扁平となる第二部分コアを成形する第二部分コア成形工程と、第一部分コアを、プレス面をコイルの巻軸方向と直交する面となる向きに向けて、コイル空芯部に挿置する第一部分コア挿置工程と、コイル空芯部に挿置された第一部分コアに第二部分コアを突き合わせることで閉磁路を形成する閉磁路形成工程とを含む方法である。

閉磁路形成工程で、第二部分コアは、該第二部分コアのプレス面が第一部分コアのプレス面と直交する向きで第一部分コアに突き合わされてもよい。

第二部分コア成形工程で、閉磁路形成工程において第一部分コアと第二部分コアとを突き合わせたときに対向配置される、第一部分コアの第一磁路端面と、第二部分コアの第二磁路端面とが異なる面積を持つように、第二部分コアをプレス成形してもよい。

第二部分コア成形工程で、第二部分コアは、第二磁路端面が第一磁路端面よりも面積が小さく、かつ第二部分コアのプレス面と直交する方向の第二磁路端面の寸法が第一磁路端面よりも短くなるようにプレス成形されてもよい。

閉磁路形成工程で、第一磁路端面と第二磁路端面とがコイル空芯部内で第一のギャップを介して対向するように、第二部分コアを第一部分コアに突き合わせてもよい。

第一部分コア成形工程で、第一部分コアのプレス面と平行な第一部分コアの断面形状が、コイルを巻軸方向と直交する方向に切断したときに現れるコイル空芯部の形状と略相似となるように、第一部分コアをプレス成形してもよい。

例えば、コイルは、平行に並べて配置された一対のコイルを有しており、第一部分コアは、少なくとも一対のI字型コアを有しており、第二部分コアは、平行に並ぶ第一脚部と第二脚部とを持つ一対のU字型コアを有している。この場合、第一部分コア挿置工程で、一対のコイルの各々のコイル空芯部に対して少なくとも一つのI字型コアが挿置される。また、閉磁路形成工程で、一対のU字型コアは、第一脚部同士及び第二脚部同士が対向され、対向された第一脚部同士及び第二脚部同士がそれぞれのコイル空芯部に挿置されたI字型コアを介して互いに突き合わされるように配置される。

第一部分コア挿置工程で、各コイル空芯部に対して複数のI字型コアが巻軸方向に並べて挿置されてもよい。また、第一部分コア挿置工程で、コイル空芯部内で巻軸方向に隣接して並ぶI字型コア間に第二のギャップを介在させてもよい。

本発明によれば、コイル空芯部と部分コアとの間にバリ逃げのためのクリアランスを設定する必要が無く、かつ部分コアを、できるだけ簡易な構造の金型でプレス成形することができる、リアクトルの製造方法、及びリアクトルが提供される。

本発明の実施形態のリアクトルの平面図である。

本発明の実施形態のリアクトルに備えられるコアユニット単独の平面図である。

本発明の実施形態のコアユニットを構成する複数の部分コアを分解して示す分解斜視図である。

図1のA−A断面を示す図である。

プレス成形型によるI字型コア及びU字型コアのプレス成形を概略的に示す図である。

I字型コア用のプレス成形型とU字型コア用のプレス成形型を上方より臨む図である。

本発明の実施形態の変形例の直線コイル部及びI字型コアの断面図である。

本発明の実施形態の別の変形例のU字型コアの構成を示す図である。

本発明の実施形態の別の変形例のU字型コアの構成を示す図である。

以下、図面を参照して、本発明の実施形態のリアクトル及びその製造方法について説明する。

図1は、本実施形態のリアクトル1の平面図である。リアクトル1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のリアクトルであり、図1に示されるように、コイル10及びコアユニット20を備えている。図2は、コアユニット20単独の平面図である。図3は、コアユニット20を構成する複数の部分コアを分解して示す分解斜視図である。図4は、図1のA−A断面を示す図である。以下の説明においては、図1における縦方向をX方向と定義し、縦方向に直交する横方向をY方向と定義し、縦横の二方向に直交しかつ紙面と垂直をなす方向をZ方向と定義する。なお、リアクトル1を使用する際には、リアクトル1をどの方向に向けて配置してもよい。

リアクトル1は、例えば、熱伝導性が高く軽量な金属(例えばアルミニウム合金)で形成された略直方体の収容スペースを持つ放熱ケース(不図示)内に固定されており、リアクトル1と放熱ケースとの隙間に充填剤が充填されている。充填剤には、リアクトル1の放熱性能の確保及びリアクトル1から放熱ケースへの振動伝搬の軽減のため、比較的柔らかく熱伝導性の高い樹脂が適している。

コイル10は、同一構造の直線コイル部12、14を平行に並べて一端同士を連結線(不図示)で連結した構成を有している。直線コイル部12、14は、例えば平線を一巻き当たり4箇所で直角方向に折り曲げて略正方形状に巻いたエッジワイズコイルである。図4に示されるように、直線コイル部12(及び14)の空芯部は、巻軸方向(X方向)と直交する方向に切断されたときに現れる形状(以下、「空芯部形状」と記す。)が四隅にRの付いた略矩形状となっている。なお、負荷と接続される各直線コイル部12、14の端子は、図面を簡明化する便宜上、省略している。

図1〜図3に示されるように、コアユニット20は、複数の部分コアが突き合わされることで略環状の閉磁路を構成している。閉磁路を構成する部分コアは、一対のI字型コア群22及び一対のU字型コア24である。

I字型コア群22は、一方向に並ぶ3つのI字型コア22aを備えており、隣接するI字型コア22a同士(端面22p同士)が所定のギャップ部材26(図3では図示省略)を介して接着固定されている。このように構成された一対のI字型コア群22はそれぞれ、各I字型コア22aが巻軸方向(X方向)に並ぶ向きで直線コイル部12、14の空芯部に挿置される。なお、ギャップ部材26は、例えば非磁性体(アルミナ等の各種セラミックスや樹脂等)の板材である。I字型コア22aは、圧粉磁心からなる磁性粉末成形体であるが、圧粉磁心はフェライト磁心に代えてもよい。

U字型コア24は、平行に並ぶ第一脚部24aと第二脚部24bとを有する略U字の部分コアであり、I字型コア22aと同一材料で成形されている。一対のU字型コア24は、互いの第一脚部24a同士及び第二脚部24b同士が、各I字型コア群22を挟んで対向するように配置されている。すなわち、コアユニット20は、一対のU字型コア24の各脚部同士をI字型コア群22を介して突き合わせることで、各部分コアを磁路とする略環状の閉磁路を構成している。

第一脚部24aの脚部端面24aaと、脚部端面24aaと対向するI字型コア22aの端面22pは、ギャップ部材28(図3では図示省略)を介して互いに接着固定されている。また、第二脚部24bの脚部端面24bbと、脚部端面24bbと対向する端面22pも、ギャップ部材28を介して互いに接着固定されている。これらのギャップ部材28(言い換えると、脚部端面24aa又は脚部端面24bbと端面22pとのギャップ)は、直線コイル部12又は14の空芯部内に配置されている。

本実施形態では、隣接して並ぶ部分コア間の全ての磁路にギャップ部材26又は28が介在している。ギャップ部材26及び28は全て、直線コイル部12又は14の空芯部内に配置されているため、隣接する部分コアへ磁束が流れる際、漏洩による磁束の損失が抑えられる。

図5は、プレス成形型によるI字型コア22a及びU字型コア24のプレス成形を概略的に示す図である。図5(a)に示されるように、プレス成形型30は、左右方向を取り囲む固定型32と、固定型32の上下の開口を塞ぐ上下一対の可動型34を備えており、固定型32と上下一対の可動型34とによって規定されるキャビティに磁性粉末が投入される。磁性粉末の投入後、上下一対の可動型34が互いに近付く方向(矢印P方向)に相対移動されると、図5(b)に示されるように、キャビティ内の磁性粉末が圧縮プレスされて、I字型コア22a又はU字型コア24が成形される。

固定型32と可動型34とのはめあいは、可動型34を固定型32内で上下に摺動させるため、例えばすきまばめである。そのため、固定型32の側壁面と可動型34の押圧面との間には極僅かな隙間が生じる。この隙間が極僅かであっても圧縮プレス時には磁性粉末が入り込み、隙間に入り込んだ磁性粉末は、図5(c)に示されるように、I字型コア22aの端面(プレス面)22p上又はU字型コア24のプレス面24p上にバリとして残存する。なお、プレス面22p、24pはそれぞれ、可動型34の押圧面によってプレスされたI字型コア22a、U字型コア24の面であり、ここでいうバリは、主にプレス面22p、24pと直交する方向に延びる不要形状を指す。

図6(a)は、I字型コア22a用のプレス成形型30を上方より臨む図である。なお、図6(a)及び後述の図6(b)において、固定型32と可動型34との隙間は、説明の便宜上、誇張して示す。図6(a)に示されるように、I字型コア22a用の固定型32は、四隅にRの付いた略矩形の貫通形状を有している。また、I字型コア22a用の可動型34は、四隅にRの付いた略四角柱となっており、固定型32に形成された上下の各矩形開口を塞ぐことができる。しかし、固定型32の側壁面と可動型34の押圧面との間には極僅かな隙間が生じる。そのため、上下一対の可動型34が矢印P1方向(図3及び図6(a)参照)に相対移動されて磁性粉末が圧縮プレスされると、隙間に入り込んだ磁性粉末がI字型コア22aのプレス面22p上にバリとして残存する。なお、図3では、図面を簡明化する便宜上、プレス面22p上に残存するバリを1つだけ図示している。

図3に示されるように、I字型コア22aは、残存するバリが主に巻軸方向に延びて位置するように、プレス面22pが巻軸方向(X方向)と直交する面となる向きで直線コイル部12又は14の空芯部に挿置されるため、I字型コア22aと空芯部との間にバリ逃げのためのクリアランスを設定する必要がない。そのため、I字型コア22aの断面積を大きく設計することができ、高インダクタンス設計に有利である。別の側面によれば、バリ逃げのためのクリアランスが不要であるため、空芯部を小さくすることができ、コイルの小型化設計に有利である。

また、I字型コア22aは、断面形状が直線コイル部12及び14の空芯部形状と相似する形状に設計されている。これにより、I字型コア22aと空芯部とのクリアランスを小さく抑えることができ、I字型コア22aの断面積を大きく設計することができる。具体的には、I字型コア22aは、図4に示されるように、空芯部形状を全体的に僅かにオフセットしてなる、四隅にRの付いた略矩形断面を持つように設計されている。但し、直線コイル部12及び14の空芯部形状とI字型コア22aの断面形状とを厳密に相似させなくてもよい。例えば、図4に示すI字型コア22aの略矩形断面の四隅をR面に代えてC面にした場合にも、I字型コア22aと空芯部とのクリアランスを小さく抑えてI字型コア22aの断面積を大きく設計することができる。

図6(b)は、U字型コア24用のプレス成形型30を上方より臨む図である。図6(b)に示されるように、U字型コア24用の固定型32は、各角にRの付いたU字型の貫通形状を有している。また、U字型コア24用の可動型34は、各角にRの付いたU字型をなす多角柱となっており、固定型32に形成された上下の各U字型開口を塞ぐことができる。U字型コア24用のプレス成形型30においても、固定型32の側壁面と可動型34の押圧面との間には極僅かな隙間が生じる。そのため、上下一対の可動型34が矢印P2方向(図3及び図6(b)参照)に相対移動されて磁性粉末が圧縮プレスされると、隙間に入り込んだ磁性粉末がU字型コア24のプレス面24p上にバリとして残存する。なお、図3では、図面を簡明化する便宜上、プレス面24p上に残存するバリを1つだけ図示している。

ここで、U字型コア24には、巻軸方向(X方向)と直交する面に大きな段差D1がある。段差D1は、脚部端面24aa及び24bbと連結部側面24ccとの高さが異なることにより形成される段差である(段差D1は便宜上、図3にのみ図示)。そのため、従来のように、U字型コア24を脚部の長手方向(X方向)に相対移動可能な一対の可動型によって圧縮プレスする場合、金型が例えば複雑でコストのかかる多段成形型となってしまう。そこで、本実施形態では、巻軸方向(X方向)と直交する矢印P2方向(Z方向)に相対移動可能な一対の可動型34によって圧縮プレスする手法を採用している。

I字型コア22a及びU字型コア24の何れにおいても、上下一対の可動型34の間でプレスされる粉末成形体の厚みがプレス方向において均一で段差を持たない(扁平である)ため、多段成形型等の複雑でコストのかかる金型を必要としない。すなわち、I字型コア22a及びU字型コア24は、簡易な構造の金型でプレス成形できるため、コスト面(例えばイニシャルコストや金型のメンテナンスコストなどの面)で有利である。

図3に示されるように、U字型コア24は、残存するバリが主に巻軸方向と直交する方向(Z方向)に延びて位置するように、プレス面24pが巻軸方向(X方向)と平行にされて配置される。附言するに、プレス面24pとI字型コア22aのプレス面22pは互いに直交する向きに配置される。ここで、本実施形態では、第一脚部24a、第二脚部24bの各先端が直線コイル部12又は14の空芯部内に挿置されるため、脚部端面24aa及び24bb近傍に残存するバリが直線コイル部12又は14の絶縁被膜を損傷させる問題が懸念される。そこで、U字型コア24は、図4に示されるように、脚部端面24aa及び24bbの高さ寸法(Z方向)がI字型コア22aの略矩形断面(又はプレス面22p)の高さ寸法よりも短く設定されており、バリ逃げに必要なクリアランスが第一脚部24a、第二脚部24bの各先端と空芯部との間に十分に確保されている。

本実施形態では、脚部端面24aa及び24bbの面形状は、プレス面22pの面形状と異なり、脚部端面24aa及び24bbの面積は、プレス面22pの面積よりも小さい。また、U字型コア24の断面積は、I字型コア22aの断面積よりも小さい。このように、隣接する部分コア同士の断面積や面形状等が一致しない場合、例えば磁束の漏洩によるインダクタンスの低下が問題となる。しかし、U字型コア24の断面積、脚部端面24aa及び24bbの面形状・面積は、仕様上必要な直流重畳特性と、磁気飽和による直流重畳特性の低下との関係に配慮されて設計されていればよく、I字型コア22aの断面積及びプレス面22pの面形状・面積との不一致は必ずしも問題とはならない。例えば、U字型コア24は、I字型コア22aと同じ断面積を持つU字型コアモデルの一部(磁束の殆ど通過しない部分)を削減したものであり、インダクタンスが実質低下しない設計となっている。また、この場合、U字型コア24の重量が低減されるため、リアクトル1の軽量化に資する。

以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。例えば、本実施形態では、隣接して並ぶ部分コア間の全ての磁路にギャップ部材26又は28が接着固定されているが、別の実施形態では、これらのギャップ部材に代えてエアギャップとしてもよい。

図7は、本実施形態のリアクトル1の変形例の直線コイル部12z(又は14z)及びI字型コア22aZの断面図(図1のA−A断面に相当する図)である。図7に示されるように、直線コイル部12z及び14zは、平角線を螺旋状に巻いた、断面が円環となるエッジワイズコイルである。また、I字型コア22aZは、直線コイル部12z及び14zの空芯部形状(円形状)と相似する円形断面を持つ円柱形状である。そのため、変形例においても、I字型コア22aZと空芯部とのクリアランスを小さく抑えることができ、I字型コア22aZの断面積を大きく設計することができる。

また、本実施形態では、U字型コア24は、プレス方向である矢印P2方向(Z方向)の厚みが均一で段差を持たない形状であるため、簡易な構造の金型でプレス成形可能となっている。しかし、コアの形態によってはZ方向に段差を持つ場合がある。図8は、本実施形態のリアクトル1の別の変形例のU字型コアであって、Z方向にも段差を持つU字型コア24Yの構成を示す図である。具体的には、図8(a)、(b)はそれぞれ、別の変形例のU字型コア24Yの平面図、側面図である。また、図8(c)は、図8(a)のB−B断面図である。図8(d)、(e)はそれぞれ、図8(c)の領域C、Dを拡大して示す拡大断面図である。

図8に示されるように、U字型コア24Yのプレス面24pYは、縁部(エッジ部)の全周に亘り、段差D2が設けられており、この段差D2を介して一段落とし込んだ形状となっている。すなわち、別の変形例のU字型コア24Yは、X方向だけでなくZ方向においても段差を持つ形状となっている。しかし、Z方向の段差D2の段差高さは、X方向の段差D1の段差高さよりも遙かに小さく、例えばU字型コア24YのZ方向の厚みに対して5%以下(厚みが20mmの場合は1mm以下であり、厚みが40mmの場合は2mm以下)である。厚みに対して5%以下(例えば1mm以下又は2mm以下)の段差では金型構造が実質的に複雑化しないため、別の変形例のU字型コア24Yも、本実施形態のU字型コア24と同様に、矢印P2方向(Z方向)で圧縮プレスされる。すなわち、別の変形例においても、I字型コア22aのプレス方向(X方向)を意識することなく、金型の構造を簡易にすることに主眼に置き、U字型コア24Yの金型が設計される。なお、別の変形例のU字型コア24Yにおいて、縁部の落とし込まれた箇所は、圧縮成形時における面圧が高いため、圧縮密度が高くなり、強度が向上する。そのため、別の変形例においては、縁部の割れや欠けがより一層防止される。また、本願においては、金型構造を実質的に複雑化させない程度の低い段差しか持たないプレス面(例えば厚みに対して5%以下(例えば1mm以下又は2mm以下)の段差しか持たないプレス面)は、「略扁平な面」に含まれるものとする。

また、図9に、本実施形態のリアクトル1の別の変形例のU字型コアであって、Z方向にも段差を持つU字型コア24Xの構成を示す。具体的には、図9(a)、(b)のそれぞれに、別の変形例のU字型コア24Xの平面図、側面図を示す。図9に示されるように、U字型コア24Xのプレス面24pXは、各脚部上のプレス面24aX及び24bXと、各脚部を連結する連結部上のプレス面24cXとを有しており、プレス面24aX及び24bXとプレス面24cXとの間に段差D3が形成されている。Z方向の段差D3の段差高さは、図8の変形例と同様に、金型構造を実質的に複雑化させない程度の高さ(例えばU字型コア24XのZ方向の厚みに対して5%以下(例えば1mm以下又は2mm以下))に抑えられている。図9の変形例によれば、例えばU字型コア24Xの連結部の断面積を、段差D3を付けることで増加させることができるため、磁気飽和による直流重畳特性の低下を抑えるのに有利である。なお、図9の変形例では、段差D3を片側のプレス面24pXに付けているが、段差D3は、両方のプレス面24pXに付けてもよい。

1 リアクトル 10 コイル 12、12z、14、14z 直線コイル部 20 コアユニット 22 I字型コア群 22a、22aZ I字型コア 22p 端面(プレス面) 24 U字型コア 24a 第一脚部 24aa、24bb 脚部端面 24b 第二脚部 24p プレス面 26、28 ギャップ部材 30 プレス成形型 32 固定型 34 可動型

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