無線電伝送システム

申请号 JP2011536219 申请日 2011-03-29 公开(公告)号 JPWO2011122003A1 公开(公告)日 2013-07-04
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 菅野 浩; 浩 菅野;
摘要 無線電 力 伝送システムは、送電共振器105および受電共振器107を備え、共振磁界を介して非 接触 で電力を伝送する。送電共振器105および受電共振器107の少なくとも一方は直列共振回路である。この直列共振回路は、スパイラル配線201と、スパイラル配線201の点203を給電構造に接続するための引き出し線213と、スパイラル配線201の他の複数点を給電構造に接続するための引き出し線207a、207b、207cとを含むインダクタを有している。引き出し線207a、207b、207cには、それぞれ複数の容量209a、209b、209cと複数のスイッチ211a、211b、211cとが接続され、選択的に導通したスイッチによって選択される電流経路に応じて異なるインダクタンスを有することができる。スパイラル配線201の配線部分201aは、共振周 波数 における単位長さ当たりの配線抵抗がスパイラル配線の他の配線部分の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分2010を有している。
权利要求
  • 送電共振器および受電共振器を備え、共振磁界を介して非接触で電力を伝送する無線電力伝送システムであって、
    前記送電共振器および前記受電共振器の少なくとも一方は直列共振回路であり、
    前記直列共振回路は、
    スパイラル配線と、前記スパイラル配線の第1接続点を給電構造に接続するための第1引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第1接続点とは異なる第2接続点を前記給電構造に接続するための第2引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第2接続点よりも前記第1接続点から離れた第3接続点を前記給電構造に接続するための第3引き出し線とを含むインダクタと、
    前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ接続された複数のスイッチと、
    前記複数のスイッチのうちの対応するスイッチを介して前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ直列的に接続される複数の容量と、
    を有し、
    前記直列共振回路は、前記複数のスイッチのうちの選択的に導通したスイッチによって選択される電流経路に応じて異なるインダクタンスを有することができ、
    前記複数の容量のキャパシタンスは、選択的に導通したスイッチによらずに前記直列共振回路の共振周波数が一定の値を示すように設定されており、
    前記スパイラル配線は、前記第2接続点から前記第1接続点までの範囲において、前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗が前記スパイラル配線の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分を有している無線電力伝送システム。
  • 前記低抵抗部分の前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗は、他の部分の前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗よりも低い、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
  • 前記共振周波数における前記スパイラル配線の配線抵抗の、前記第2接続点から前記第1接続点までの範囲にわたる平均値は、前記共振周波数における前記スパイラル配線の配線抵抗の前記範囲外における平均値よりも低い、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
  • 前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも本数の多い複数の配線が並列に配置された構造を有している、請求項1から3のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも直径の大きな少なくとも1本の配線を含んでいる、請求項1から4のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも厚い少なくとも1本の配線を含んでいる、請求項1から5のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも幅が広い少なくとも1本の配線を含んでいる、請求項1から5のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記インダクタは、前記スパイラル配線の前記第1接続点よりも前記第2接続点から離れた第4接続点を前記給電構造に接続するための第4引き出し線を含み、
    前記第1引き出し線および前記第4の引き出し線は、それぞれ、前記複数のスイッチとは異なる複数のスイッチにより選択的に前記給電構造に接続される、請求項1から7のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記直列共振回路が有し得る複数のインダクタンスのうちで最も低いインダクタンスを有するときに前記スパイラル配線の電流経路となる部分は、スパイラル構造の最内周側に位置している、請求項1から8のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記複数のスイッチの定格またはスイッチを構成するトランジスタのゲート幅が、導通時にスイッチを流れる電流に応じて、異なる値を有している、請求項1から9のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記複数のスイッチのうちで、導通時に流れる電流がより多いスイッチの定格またはスイッチを構成するトランジスタのゲート幅は、導通時に流れる電流がより少ないスイッチの定格またはスイッチを構成するトランジスタのゲート幅よりも大きい、請求項10に記載の無線電力伝送システム。
  • 前記直列共振回路が電力伝送に関与していないとき、
    前記複数のスイッチを制御することによって前記共振周波数を異なる値に変化させる、請求項1から8のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記複数のスイッチの全てを導通させることにより、前記直列共振回路を電力伝送に関与させない状態にする、請求項1から10のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記複数のスイッチの全てを開放させることにより、前記直列共振回路を電力伝送に関与させない状態にする、請求項1から10のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記給電構造を介して前記送電共振器に電力を供給する送電器を備え、
    前記送電共振器と前記受電共振器との間の伝送効率を最大化する前記送電共振器の最適入力インピーダンスが、前記送電器の出力インピーダンスに一致する請求項1から14のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記給電構造を介して前記受電共振器から電力を受け取る受電器を備え、
    前記送電共振器と前記受電共振器との間の伝送効率を最大化する前記受電共振器の最適出力インピーダンスが、前記受電器の入力インピーダンスに一致する請求項1から15のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記受電器の出力インピーダンスが、負荷インピーダンスと一致する請求項1から16のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記複数のスイッチの中から導通させる1つのスイッチを選択する引き出し線選択部をさらに備えている、請求項1から17のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
  • 前記給電構造を介して前記送電共振器に電力を供給する送電器と、前記給電構造を介して前記受電共振器から電力を受け取る受電器とをさらに備え、
    前記引き出し線選択部は、前記送電器の出力インピーダンス、前記受電機の入力インピーダンス、および負荷インピーダンスの少なくとも1つに基づいて、前記複数のスイッチの中から導通させる1つのスイッチを選択する、請求項18に記載の無線電力伝送システム。
  • 送電共振器および受電共振器の一方を備え、前記送電共振器および前記受電共振器の他方との間で共振磁界を介して非接触で電力を伝送する無線電力伝送装置であって、
    前記送電共振器または前記受電共振器として機能する直列共振回路を備え、
    前記直列共振回路は、
    スパイラル配線と、前記スパイラル配線の第1接続点を給電構造に接続するための第1引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第1接続点とは異なる第2接続点を前記給電構造に接続するための第2引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第2接続点よりも前記第1接続点から離れた第3接続点を前記給電構造に接続するための第3引き出し線とを含むインダクタと、
    前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ接続された複数のスイッチと、
    前記複数のスイッチのうちの対応するスイッチを介して前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ直列的に接続される複数の容量と、
    を有し、
    前記直列共振回路は、前記複数のスイッチのうちの選択的に導通したスイッチによって選択される電流経路に応じて異なるインダクタンスを有することができ、
    前記複数の容量のキャパシタンスは、選択的に導通したスイッチによらずに前記直列共振回路の共振周波数が一定の値を示すように設定されており、
    前記スパイラル配線は、前記第2接続点から前記第1接続点までの範囲において、前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗が前記スパイラル配線の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分を有している無線電力伝送装置。
  • 说明书全文

    本発明は、非接触で充給電または集電を行う無線電伝送システム、および当該システムに使用される無線電力伝送装置に関する。

    電子機器のモビリティ確保・防対応や、壁掛けテレビの配線レス化、電気自動車などの大型設備への簡便な充給電、に至るまで、非接点・非接触でのエネルギ充給電技術へ注目が高まっている。

    非接触での電力伝送方式として、従来検討されてきた電磁誘導方式だけでなく、特許文献1に記載の磁気共振方式が提案されている。 共振アンテナ間の共振モード間結合を利用して、従来の電磁誘導方式より長距離、高効率な電力伝送が可能であり、特に共振磁界を利用すれば、共振電界を利用した場合よりも、周辺生体への影響も回避できるものと考えられている。

    磁気共振方式について、更に詳細を述べると、共振器は特許文献1の明細書における段落[0033]に記述されているように、両端を開放したループコイルに固有の自己共振現象を用いても良い。 また、段落[0038]に記述されているように、容量を装荷したコイルでもよい。 磁気共振方式の電力伝送システムは、結合係数kが1ではないものの高Q回路を用いることによって伝送効率を高めた電磁誘導システムとみなすことができる。 ただし、結合係数が低いため(k≠1)、k≒1に設定される電磁誘導と比較すると、送電器と送電共振器、受電器と受電共振器間のインピーダンス整合を保った状態でしか高効率伝送が生じないという制限が発生する。

    一方、定電流モードで動作する光デバイスなどの一部のデバイスを除き、定電圧駆動される電子デバイス、電子機器は多い。 また、家庭用コンセントなどや太陽電池、燃料電池など電源となる回路も、一定に近い電圧を供給するものが多い。 このため、磁気共振方式のエネルギ伝送システムがインピーダンス変動への対応を実現できれば、多くの電源や多くの負荷へ本システムを適用することが可能となる。 そのためには、送電ブロックや受電ブロックもインピーダンス変動対応機能を発現することが好ましいが、特に、共振器対を少なくとも含み構成される無線部が可変機能を発現させることが必要となる。 可変機能としては、インピーダンス変動への対応と、高効率伝送特性の維持の両立が必要である。

    特許文献2には、可変インダクタの構成例が開示されている。

    また、特許文献3においては、並列配置された異なる容量のキャパシタ群の中から、インダクタと接続するキャパシタを選択して可変共振周波数特性を得る可変共振器の構成が開示されている。

    米国出願公開2008/0278264−A1公報(図6、図31)

    特開2007−142418号公報(図3)

    特開2001−344574号公報(図3)

    本発明では、磁気共振方式の無線電力伝送システムに、可変インダクタ回路を構成内に含む可変共振器を導入し、複数の動作条件への対応を図る際に生じる、伝送効率を高い値に維持し続けることの困難さと、その回避には配線総量の増大が必要である、という課題を解決する。

    本発明は、前記従来の課題を解決するもので、無線電力伝送システムにおいて、配線総量を無駄に増大させることなく、複数の切り替え状態においても高い伝送効率を維持するために適した無線電力伝送システムを提供することを目的とする。

    本発明の無線電力伝送システムは、送電共振器および受電共振器を備え、共振磁界を介して非接触で電力を伝送する無線電力伝送システムであって、前記送電共振器および前記受電共振器の少なくとも一方は直列共振回路であり、前記直列共振回路は、スパイラル配線と、前記スパイラル配線の第1接続点を給電構造に接続するための第1引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第1接続点とは異なる第2接続点を前記給電構造に接続するための第2引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第2接続点よりも前記第1接続点から離れた第3接続点を前記給電構造に接続するための第3引き出し線とを含むインダクタと、前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ接続された複数のスイッチと、前記複数のスイッチのうちの対応� ��るスイッチを介して前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ直列的に接続される複数の容量とを有し、前記直列共振回路は、前記複数のスイッチのうちの選択的に導通したスイッチによって選択される電流経路に応じて異なるインダクタンスを有することができ、前記複数の容量のキャパシタンスは、選択的に導通したスイッチによらずに前記直列共振回路の共振周波数が一定の値を示すように設定されており、前記スパイラル配線は、前記第2接続点から前記第1接続点までの範囲において、前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗が前記スパイラル配線の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分を有している。

    好ましい実施形態において、前記低抵抗部分の前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗は、他の部分の前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗よりも低い。

    好ましい実施形態において、前記共振周波数における前記スパイラル配線の配線抵抗の、前記第2接続点から前記第1接続点までの範囲にわたる平均値は、前記共振周波数における前記スパイラル配線の配線抵抗の前記範囲外における平均値よりも低い。

    好ましい実施形態において、前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも本数の多い複数の配線が並列に配置された構造を有している。

    好ましい実施形態において、前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも直径の大きな少なくとも1本の配線を含んでいる。

    好ましい実施形態において、前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも厚い少なくとも1本の配線を含んでいる。

    好ましい実施形態において、前記スパイラル配線の前記低抵抗部分は、他の部分よりも幅が広い少なくとも1本の配線を含んでいる。

    好ましい実施形態において、前記インダクタは、前記スパイラル配線の前記第1接続点よりも前記第2接続点から離れた第4接続点を前記給電構造に接続するための第4引き出し線を含み、前記第1引き出し線および前記第4の引き出し線は、それぞれ、前記複数のスイッチとは異なる複数のスイッチにより選択的に前記給電構造に接続される。

    好ましい実施形態において、前記直列共振回路が有し得る複数のインダクタンスのうちで最も低いインダクタンスを有するときに前記スパイラル配線の電流経路となる部分は、スパイラル構造の最内周側に位置している。

    好ましい実施形態において、前記複数のスイッチの定格またはスイッチを構成するトランジスタのゲート幅が、導通時にスイッチを流れる電流に応じて、異なる値を有している。

    好ましい実施形態において、前記複数のスイッチのうちで、導通時に流れる電流がより多いスイッチの定格またはスイッチを構成するトランジスタのゲート幅は、導通時に流れる電流がより少ないスイッチの定格またはスイッチを構成するトランジスタのゲート幅よりも大きい。

    好ましい実施形態において、前記直列共振回路が電力伝送に関与していないとき、前記複数のスイッチを制御することによって前記共振周波数を異なる値に変化させる。

    好ましい実施形態において、前記複数のスイッチの全てを導通させることにより、前記直列共振回路を電力伝送に関与させない状態にする。

    好ましい実施形態において、前記複数のスイッチの全てを開放させることにより、前記直列共振回路を電力伝送に関与させない状態にする。

    好ましい実施形態において、前記給電構造を介して前記送電共振器に電力を供給する送電器を備え、前記送電共振器と前記受電共振器との間の伝送効率を最大化する前記送電共振器の最適入力インピーダンスが、前記送電器の出力インピーダンスに一致する。

    好ましい実施形態において、前記給電構造を介して前記受電共振器から電力を受け取る受電器を備え、前記送電共振器と前記受電共振器との間の伝送効率を最大化する前記受電共振器の最適出力インピーダンスが、前記受電器の入力インピーダンスに一致する。

    好ましい実施形態において、前記受電器の出力インピーダンスが、負荷インピーダンスと一致する。

    好ましい実施形態において、前記無線電力伝送システムは、前記複数のスイッチの中から導通させる1つのスイッチを選択する引き出し線選択部をさらに備えている。

    好ましい実施形態において、前記無線電力伝送システムは、前記給電構造を介して前記送電共振器に電力を供給する送電器と、前記給電構造を介して前記受電共振器から電力を受け取る受電器とをさらに備え、前記引き出し線選択部は、前記送電器の出力インピーダンス、前記受電機の入力インピーダンス、および負荷インピーダンスの少なくとも1つに基づいて、前記複数のスイッチの中から導通させる1つのスイッチを選択する。

    本発明の無線電力伝送装置は、送電共振器および受電共振器の一方を備え、前記送電共振器および前記受電共振器の他方との間で共振磁界を介して非接触で電力を伝送する無線電力伝送装置であって、前記送電共振器または前記受電共振器として機能する直列共振回路を備え、前記直列共振回路は、スパイラル配線と、前記スパイラル配線の第1接続点を給電構造に接続するための第1引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第1接続点とは異なる第2接続点を前記給電構造に接続するための第2引き出し線と、前記スパイラル配線の前記第2接続点よりも前記第1接続点から離れた第3接続点を前記給電構造に接続するための第3引き出し線とを含むインダクタと、前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ接続された複数の� ��イッチと、前記複数のスイッチのうちの対応するスイッチを介して前記第2引き出し線および第3引き出し線にそれぞれ直列的に接続される複数の容量とを有し、前記直列共振回路は、前記複数のスイッチのうちの選択的に導通したスイッチによって選択される電流経路に応じて異なるインダクタンスを有することができ、前記複数の容量のキャパシタンスは、選択的に導通したスイッチによらずに前記直列共振回路の共振周波数が一定の値を示すように設定されており、前記スパイラル配線は、前記第2接続点から前記第1接続点までの範囲において、前記共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗が前記スパイラル配線の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分を有している。

    本発明の無線電力伝送システムによれば、配線総量の増大を回避しながら、低インピーダンス伝送時を含むいずれの状態においても無線伝送効率の劣化を回避できる。

    本発明の実施形態1における無線電力伝送システムのブロック図

    本発明の実施形態1における送電共振器および受電共振器を示す図

    本発明の実施形態1における直列共振回路を示す斜視模式図

    図3の直列共振回路の構成を模式的に示す図

    本発明の実施形態1における無線電力伝送システムの斜視模式図

    本発明の実施形態1における無線電力伝送システムの斜視模式図

    本発明の無線電力伝送システムにおけるインピーダンス整合を説明するための図

    本発明の実施形態2における無線電力伝送システムの斜視模式図

    本発明の実施形態3における無線電力伝送システムの斜視模式図

    本発明の他の実施形態について、スパイラル配線を仮想的にまっすぐに延ばした状態を示す図

    本発明の更に他の実施形態について、スパイラル配線を仮想的にまっすぐに延ばした状態を示す図

    (a)、(b)および(c)は、並列配線構造の一例を示す長軸方向に垂直な断面図

    (a)、(b)および(c)は、並列配線構造の他の例を示す長軸方向に垂直な断面図

    以下、図面を参照しながら、本発明による無線電力伝送システムの実施形態を説明する。 図中に示すXYZ座標では、可変共振器の構成要素であるインダクタの配置面をXY平面とし、インダクタの高さ方向をZ方向としている。 図中、同一または対応する構成要素には、同一の参照番号を付与している。

    (実施形態1)
    図1は、本発明の実施形態1における無線電力伝送システムの構成を示すブロック図である。

    本実施形態の無線電力伝送システムは、図1に示すように、送電共振器105および受電共振器107を備え、送電共振器105と受電共振器107との間で、共振磁界を介して非接触で電力を伝送する。 この無線電力伝送システムでは、送電共振器105および受電共振器107が周波数f0で共振するように設計されている。

    送電共振器105には送電器103が接続されている。 送電器103は、不図示の電源から直流または交流のエネルギ(電気エネルギ)を受け取り、周波数f0のRFエネルギに変換する。 送電器103から出たRFエネルギは送電共振器105に与えられる。 同一の周波数で共振するように構成された送電共振器105および受電共振器107は、共振磁界(共振周波数f0)によって結合される。 このため、受電共振器107は、送電共振器105によって送出されたRFエネルギを効率良く受け取ることができる。 本明細書では、共振周波数f0で振動する共振磁界で無線電力伝送が行われるため、共振周波数f0を伝送周波数と称する場合がある。

    次に、図2を参照する。

    図2は、送電共振器105および受電共振器107の等価回路を示す図である。 図2に示す例では、送電共振器105は、インダクタ105aおよび容量素子105bが直列に接続された直列共振回路である。 一方、受電共振器107は、インダクタ107aおよび容量素子107bが並列に接続された並列共振回路である。 なお、送電共振器105の直列共振回路は抵抗成分R1を有し、受電共振器107の並列共振回路は抵抗成分R2を有している。

    図2の例では、送電共振器105が直列共振回路から構成され、受信電共振器107が並列共振回路から構成されているが、本発明はこの例に限定されない。 送電共振器105および受電共振器107の一方が直列共振回路から構成されていてもよいし、両方が直列共振回路から構成されていてもよい。

    図2に示す送電共振器105は、インダクタ105aのインダクタンスL1および容量素子105bのキャパシタンスC1が可変の直列共振回路である。 本実施形態における直列共振回路は、共振周波数f0を一定に維持したまま、インダクタンスL1およびキャパシタンスC1を異なる大きさに切り替えることができる構成を備えている。 この構成の詳細については、後述する。

    このように本実施形態の無線電力伝送システムでは、直列共振回路のインダクタンスが可変であるため、電源および負荷におけるインピーダンスの変動に対応することが可能になる。 その結果、多くの電源や多くの負荷に対して本システムを適用することができる。 送電ブロックだけではなく、受電ブロックにもインピーダンス変動に対応する機能を付与するには、受電共振器107も送電共振器105と同様にインピータンス可変の直列共振回路から構成すればよい。

    以下、図3を参照しながら、本実施形態におけるインダクタンス可変の直列共振回路(以下、「可変共振回路」)の構成を詳細に説明する。 図3は、本実施形態における可変共振回路の構成例を示す斜視図である。

    図3の可変共振回路は、複数の引き出し線を有するインダクタと、複数の引き出し線を外部の給電構造に選択的に接続してインダクタンスを切り換えるスイッチ群と、切り換えられたインダクタタンスに応じて共振周波数を一定値に維持するように構成された容量群とを備えている。 この可変共振回路では、電力伝送時、複数のスイッチのうちから選択された1つのスイッチが導通(ON)し、他のスイッチは非導通(OFF)に設定される。 選択的に導通するスイッチに応じて、インダクタの信号側と接地側とをつなぐ電流経路が変化するため、異なるインダクタンスおよびインピーダンスを有する共振回路を実現することができる。

    複数のスイッチの中から最適な1つのスイッチを選択するために、本実施形態における無線電力伝送システムは、各スイッチに接続された引き出し線選択部220をさらに備えている。 引き出し線選択部220は、電源および/または負荷におけるインピーダンス値に基づいて、導通させるスイッチを選択する。 例えば、引き出し線選択部220は、電源、送電器103、受電器109、および負荷の少なくとも1つに接続され、それらのインピーダンス値に基づいて、導通させる1つのスイッチを選択する。

    以下、図3の構成例をより詳細に説明する。

    図3に示すインダクタは、矩形のスパイラル形状を有する配線(以下、「スパイラル配線」と称する)201と、スパイラル配線201の異なる位置にそれぞれ接続された複数の引き出し線213、207a、207b、207cとを有している。 図3に示すスパイラル配線201の全体の巻線数は6であるが、この数は2以上であればよい。

    本実施形態におけるスパイラル配線201は、3つの配線部分201a、201b、201cから構成されている。 図4は、スパイラル配線201を構成する配線部分201a、201b、201cと、引き出し線213、207a、207b、207cとの関係を明瞭に図示するため、スパイラル配線201を仮想的にまっすぐに延ばした状態を示す図である。

    図4に最も明瞭に示されるように、スパイラル配線201の点203から点205aまでの範囲が配線部分201aから構成されている。 また、スパイラル配線201の点205aから点205bまでの範囲が配線部分201bから構成され、点205bから点205cまでの範囲が配線部分201cから構成されている。 なお、スパイラル配線201上において、引き出し線が接続される「点」は、厳密な意味での「点」である必要はなく、接触部が有限の面積を有する「面」であってもよい。 これらの「点」は、各引き出し線とスパイラル配線との接続部の「位置」を示す。

    図では、配線部分201aを示す線の一部が他の配線部分を示す線よりも太く描かれている。 配線部分201aを示す線のうちで相対的に太い線の部分は、共振周波数f0において、単位長さあたりの配線抵抗が他の配線部分よりも低い低抵抗部分2010である。 配線抵抗は、信号の周波数に依存する。 本発明で重要な「配線抵抗」は、共振周波数f0における配線抵抗の値である。 このため、以下の説明では、「配線抵抗」とは「共振周波数における配線抵抗」を示すものとする。

    スパイラル配線上の特定部分における単位長さあたりの配線抵抗を、他の部分よりも低くするためには、その特定部分の配線材料に導電率が高い材料を採用することや、他の部分よりも配線数を増加させた並列配線構造を採用することが有効である。 並列配線構造を採用する場合には、並列配置した複数の配線同士を撚って配置することがより好ましい。 図12は、並列配線構造の一例を示す長軸方向に垂直な断面図である。 図12(a)は、配線部分201bの断面の一例を示し、図12(b)は、配線部分201aにおける低抵抗部分2010の断面の一例を示している。 低抵抗部分2010では、配線部分201bなどの他の配線部分に比べて多い本数の線材20が並列に配置されている。 低抵抗部分2010では、図12(c)に示すように、並列配置した線材20の本数を変化させずに、線材20の直径を他の部分における線材20の直径より大きくしても良い。

    また、図13は、配線部分201bの断面の他の例を示している。 図13(a)は、配線部分201bの断面の一例を示し、図13(b)および図13(c)は、それぞれ、配線部分201aにおける低抵抗部分2010の断面の例を示している。 図13(b)に示す低抵抗部分2010では、並列配置した線材20の本数を変化させずに、線材20の厚さを他の部分における線材20の厚さより大きくしている。 また、図13(c)に示す低抵抗部分2010では、並列配置した線材20の本数を変化させずに、線材20の幅を他の部分における線材20の幅より大きくしている。 低抵抗部分2010において直径、厚さ、および/または幅が他の部分における値よりも大きい線材の本数は、少なくとも1本であればよい。

    スパイラル配線201のうち、配線部分201aの低抵抗部分(太い実線部分)2010以外の部分では、単位長さあたりの抵抗値がほぼ一定であってもよいし、変化していてもよい。 重要な点は、インダクタンスが最も低くなる状態が選択されたとき、他のインダクタンス値となる状態が選択されたときに比べ、より低いインピーダンスで高効率に動作する共振器を実現することにある。

    本実施形態では、信号側の引き出し線213は1本であるが、接地側の引き出し線207a、207b、207cは複数本である。 後に詳しく説明するように、接地側の引き出し線207a、207b、207cから1つの引き出し線を選択することにより、インダクタンスを切り換えることが可能になる。 本実施形態において、信号側および接地側の引き出し線の総本数は4本であるが、この総本数は、3本以上であればよい。

    図3の例では、信号側の引き出し線、すなわち第1引き出し線213は、スパイラル配線201の内側の終端となる点203に直接に接続されている。 一方、接地側の引き出し線群、すなわち、第2〜第4引き出し線207a、207b、207cは、スパイラル配線の異なる点205a、205b、205cに、それぞれ、接続されている。 点203や点205cは、スパイラル配線201の終端点を兼ねる必要はない。 しかしながら、スパイラル配線201を無駄に延伸させる必要は無いため、スパイラル配線201の両端は、引き出し線に接続されることが好ましい。

    第1引き出し線213は、端子216を介して外部回路(図1の送電器103、あるいは図1の受電器109、もしくは送電器、受電器周辺に配置される整合回路あるいはフィルタ回路など)に接続され、外部機器出力からのエネルギー給電、もしくは外部機器へのエネルギー供給を受ける。 一方、第2引き出し線207aは、容量209a、導通経路選択スイッチ211a、および端子215aと直列に接続されている。 第3引き出し線207bは、容量209b、導通経路選択スイッチ211b、および端子215bと直列に接続されている。 第4引き出し線207cは、容量209c、導通経路選択スイッチ211c、および端子215cと直列に接続されている。

    引き出し線207a、207b、207cのうちの1つが、導通経路選択スイッチ211a、211b、211cのうちから選択されて導通する1つを介して、端子215a、215b、215cの1つに接続される。 端子215a、215b、215cも、端子216と対をなして、外部回路の入出力端子へ接続される。

    容量209a、209b、209cのキャパシタンスは、選択的に導通したスイッチによらずに直列共振回路の共振周波数が一定の値を示すように設定されている。 ここで、引き出し線群207a、207b、207cを、それぞれ選択した場合のインダクタンスを、それぞれ、La、Lb、Lcとする。 また、容量209a、209b、209cの容量を、それぞれ、Ca、Cb、Ccとする。 この場合、(La、Ca)、(Lb、Cb)、(Lc、Cc)の3つの組からいずれの組を選択しても、周波数f0で共振回路を構成するようあらかじめCa、Cb、Ccが調整されている。

    上記構成により、共振周波数をf0に保ったまま、インダクタンスと容量とのバランスが異なる複数の状態から1つの状態を選択することができる。

    共振周波数f0は、無線電力伝送を行う電磁エネルギの周波数f0と同一になるよう設定される。 厳密には、共振器の製造ばらつき等の要因で、伝送周波数と異なる値で共振する共振器をシステムにおいて用いることがありうるが、その差は意図して生じるものではない。 インダクタと容量のバランスが異なる複数状態間でスイッチングを行うことで、磁気共振方式の無線電力伝送システムにおいて、可変インピーダンス特性を有する無線伝送ブロックが実現する。

    なお、例えば引き出し線207aと端子215aとの間において、容量209aおよび導通経路選択スイッチ211aの配置の順序は、任意である。 容量209aおよび導通経路選択スイッチ211aの配置の順序は逆転してもよい。 すなわち、容量209aが端子215aに接続され、導通経路選択スイッチ211aが引き出し線207aに接続されていても良い。 このことは、他の引き出し線、容量、スイッチ、端子についても同様である。

    本実施形態では、配線部分201aの全経路ではなく、その一部経路にのみ低抵抗部分2010を配置しているが、本発明は、このような例に限定されない。 すなわち、配線部分201aの全経路を低抵抗部分2010から形成しても良い。 こうして、配線部分201aの少なくとも一部経路に低抵抗部分2010を形成すれば、配線抵抗の配線部分201aの全体にわたる平均値を、他の配線部分201b、201cにわたる平均値よりも小さくすることができる。

    スパイラル配線201のうちで、配線部分201a以外の部分、すなわち、配線部分201b、201cの一部経路に配線部分201aの低抵抗部分2010と同様に配線抵抗の低い部分を設けても良い。 このような場合でも、配線抵抗の配線部分201aの全体にわたる平均値を、他の配線部分201b、201cにわたる平均値よりも小さくすることが好ましい。

    以上のことから明らかなように、本実施形態におけるスパイラル配線201は、点203から点205aまでの範囲(配線部分201a)において、共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗がスパイラル配線201の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分2010を有している。 その結果、スパイラル配線201の配線抵抗の点203から205aまでの範囲にわたる平均値は、この範囲外における平均値よりも低くなり得る。 なお、点203から点205aまでの範囲に設けられる低抵抗部分2010の共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗は、他のいずれの部分の共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗よりも低いことが最も好ましい。

    上述の構成を採用することにより、本実施形態の可変共振回路では、インダクタンスが最も低くなる状態が選択されたとき、他のインダクタンス値となる状態が選択されたときに比べ、より低いインピーダンスの共振器を実現することができる。

    一般に、定電圧回路を駆動する場合は、負荷へ多くの電力を供給するときに電流が多く流れ、低インピーダンス条件になる。 一方、磁気共振方式の無線電力伝送を直列共振回路で行う場合は、伝送効率を最大化する入出力端子での最適インピーダンスZoptを低下させるためには、共振器のインダクタンスが小さく、容量が大きい組み合せを実現することが好ましい。

    図3の例では、スイッチ211bまたはスイッチ211cを導通させるよりも、スイッチ211aを導通させる方が、共振動作に関わるスパイラル配線長が短くなるので、直列共振回路のインダクタンスが低下する。 最もインダクタンスが小さくなる状態が選択されたときの、スパイラル配線201の経路には、配線抵抗が他の部分よりも低い部分が含まれている。 その結果、より低いインピーダンスで伝送効率が高くなる共振器として動作できる。

    伝送効率のインピーダンス依存性がピークを示すときの最大伝送効率は、共振器のQ値によって決定される。 共振器のQ値は、共振器を構成するインダクタのQ値とキャパシタのQ値とに依存する。 インダクタのQ値は、インダクタの巻数低下に伴って低下する傾向がある。 すなわち、低インピーダンス伝送時ほど、低インダクタンスの状態が選択される可変共振器では、共振器のQ値が低下し、無線電力伝送部の効率低下を招くことになる。 インダクタのQ値を改善するためには、インダクタ配線の単位長さあたりの抵抗値の低減が有効である。 しかしながら、配線の全経路で低い抵抗値を実現するようインダクタ構造を設計することは、実用上現実的ではない。 すなわち、全配線を高導電率な配線へ置換することや、全配線を並列数の高い並列配線構造で実現することは、配線量の増大による重量化、コスト増大、占有容積の増大を招く。

    本実施形態では、低インダクタンス選択時の共振器における配線経路は、点203と点205aとの間の経路である。 一方、高インダクタンス選択時の共振器における配線経路は、点205aから点205bまでの配線部分、または点205aから205cまでの配線部分を含む、より長い経路である。 点205aから点205bまでの配線部分は、スイッチ211bまたはスイッチ211cが導通するときにスパイラル配線の経路を構成し得るが、点205bから205cまでの配線部分は、スイッチ211cが導通するときのみにスパイラル配線の経路を構成する。

    本実施形態では、低インダクタンス選択時の経路を構成する配線部分の少なくとも一部経路の無線電力伝送周波数f0における単位長さあたりの抵抗値が、高インダクタンス選択時のみに経路を構成する配線部分(点205aと点205bとの間の配線部分、および、点205bと205cの間の配線部分)の無線電力伝送周波数f0における単位長さあたりの抵抗値よりも低く設定されている。

    上記の構成を採用することにより、低インピーダンス伝送時に選択される状態で可変共振器のQ値低下が回避される。 本実施形態では、電力伝送量が多くなり、高い伝送効率が求められる条件ほど、伝送効率の劣化を改善するよう設計し、且つ、配線量の増大を回避することが可能である。

    なお、スイッチ211a、211b、211cの各々を流れる電流の大きさは相互に異なる。 このため、個々のスイッチを流れると予想される電流の大きさに応じて、スイッチのサイズや特性を適宜選択することが好ましい。 例えば、より大きな電流が流れるスイッチとしては、より少ない電流が流れるスイッチよりも、定格が大きいスイッチを用いることが好ましい。 また、より大きな電流が流れるスイッチとしては、より少ない電流が流れるスイッチよりも、ゲート幅が相対的に大きな半導体素子を用いることが好ましい。

    (可変共振器の動作停止制御)
    本発明の無線電力伝送システムで充給電動作を停止したい場合には、可変共振器の共振周波数frを伝送電磁エネルギの周波数f0と異なる値へと変化させることにより、対応することができる。 上記状態を実現する方法としては、図5に示すように、導通経路選択スイッチを全て開放に選択する。 また、図6に示すように、複数の導通経路選択スイッチを導通制御することによって、共振周波数をf0と違える、などの方法が採用できる。

    図7は、本発明の無線電力伝送システムにおけるインピーダンス整合を説明するための図である。 図7では、フィードバック制御を行う機能ブロックなどは省略されている。 これらの機能を実現する不図示のブロックが必要に応じて追加され得る。

    整合条件1: 送電器103の出力インピーダンスZToと送電共振器の最適入力インピーダンスZTx0とを一致させるよう設計する。 これにより、送電器103と送電共振器105との間のインピーダンス不整合によるエネルギ反射を低減することが可能である。

    整合条件2: 受電共振器107の最適出力インピーダンスZRx0と受電器109の入力インピーダンスZRiとを一致させるよう設計する。 これにより、受電共振器107と受電器109との間のインピーダンス不整合によるエネルギ反射を低減することが可能である。

    整合条件3: 入力インピーダンスZRiでの受電器109が動作したときの出力インピーダンスZRoと負荷インピーダンスRLが一致するよう設計する。 これにより、受電器109と負荷11との間のインピーダンス不整合によるエネルギ反射を低減することが可能である。

    上記の3つの整合条件を同時に満足することにより、伝送効率を最大化することができる。 なお、上記の3つの整合条件は必ずしも同時に満足されていなくてもよい。

    (送電共振器と受電共振器の個数)
    伝送システム内に含まれる送電共振器と受電共振器の台数はそれぞれ1に限定されない。

    (回路素子の具体的な構成)
    送電共振器及び受電共振器において、容量回路209a、209b、209cは、チップ容量素子やセラミックコンデンサ、タンタル電解コンデンサ、アルミ電解コンデンサ、マイカコンデンサ、電気二重層コンデンサ、真空コンデンサ、半導体プロセス上で形成されるMIM構造などの集中定数回路素子で実現されてよい。 また、配線に分布して発生する寄生容量の値を考慮し、上記集中定数回路素子の容量値は決定されてよい。

    送電共振器105、受電共振器107を構成するインダクタ回路のスパイラル配線の形状は矩形に限定されない。 楕円形状であってもよいし、任意の非対称形状であってもよい。 矩形スパイラルの形状を採用する場合は、部分で一定以上の曲率を有することが好ましい。 急激に角度が変化する部分を含まない配線形状は、高周波電流の集中、周辺空間の磁界密度集中を回避でき、伝送効率を向上させる。

    本発明の可変共振器を構成するスパイラル配線は、平面単層構成を有するものに限定されない。 スパイラル配線は、積層構造を有していても良い。

    (実施形態2)
    次に、図8を参照しながら、本発明による無線電力伝送システムの第2の実施形態を説明する。 本実施形態が前述の実施形態と異なる点は、インピーダンス可変の直列共振器の構成のみにある。 このため、ここでは、この直列共振器の構成を説明し、他の構成については同じ説明を繰り返さない。

    図3に示す実施形態では、外部端子216に直接接続される信号側の引き出し線213を、スパイラル配線201のスパイラル内側に位置する部分に接続している。 これに対して、本実施形態では、図8に示すように、スパイラル配線201のスパイラル外側に位置する部分に信号側の引き出し線213を接続している。

    本実施形態では、スイッチ211aが選択されるとき、インダクタンスが最も低い動作状態になる。 このため、点203〜点205aの配線部分201aの少なくとも一部において、他の部分(点205a〜点205bの配線部分201bや点205b〜点205cの配線部分201c)と比較して、伝送周波数f0における単位長さあたりの抵抗値を低減している。 本実施形態の構成を採用しても、実施形態1における直列共振回路と同様の効果を得ることが可能である。

    しかし、電流密度及び磁界密度が集中するスパイラル内部での配線抵抗の低減は、インダクタのQ値改善により、相対的に大きな効果をあげる。 このため、図8の構成よりも、図3の構成を採用することが好ましい。 また、図3の構成を採用する場合は、同様の理由から、低抵抗部分2010は、スパイラル構造の最内周側に配置されることが実用上好ましい。

    (実施形態3)
    次に、図9を参照しながら、本発明による無線電力伝送システムの第3の実施形態を説明する。 本実施形態が前述の実施形態と異なる点は、インピーダンス可変の直列共振器の構成のみにある。 このため、ここでは、この直列共振器の構成を説明し、他の構成については同じ説明を繰り返さない。

    図3または図8に示す可変共振器では、電流経路を選択可能にする構成(スイッチ回路)が接地側の引き出し線についてのみ存在していた。 これに対し、本実施形態では、図9に示すように、信号側の引き出し線にも、スイッチ回路を設けている。 具体的には、2つの信号入力側端子216a、216bと、2つの引き出し点203a、203bとが選択的に接続される。 すなわち、引き出し点203aに接続された引き出し線213aは、スイッチ212aを介して端子216aに接続される。 一方、引き出し点203bに接続された引き出し線213bは、スイッチ212bを介して端子216bに接続される。 複数のスイッチ212a、212bの1つが選択的に導通する。

    信号が入力される側の引き出し線213a、213b、・・・の本数をM、接地側の引き出し線207a、207b、・・・の本数をNとすると、最大でM×N個のインダクタンス可変状態を得ることが可能となる。

    引き出し点203a、203bから外部端子216a、216bまでの経路に、容量素子が挿入されてもよい。 ただし、この場合、共振器が動作中に導通状態となるスイッチの個数が2となる。 一方、図3の構成のように、入力側の引き出し線213が1本の場合は、動作中に共振器内で導通状態に選択制御される導通経路選択スイッチの個数を1に削減できる。 すなわち、図3の構成では、図9の構成と比較して、共振器におけるスイッチ導通損失の半減が可能となり、伝送効率の向上につながる。

    上記の各実施形態では、最もインピーダンスが低くなる状態(定電圧動作を仮定した場合に最も大きな電流が流れる状態)で選択される経路が他の部分よりも配線抵抗が低い部分を含んでいる。 しかしながら、本発明は、そのような場合に限定されない。 例えば、使用される頻度が最も高い配線部分、あるいは、使用時間が最も長い配線部分の少なくとも一部経路に他の部分の少なくとも一部よりも配線抵抗が低い部分(低抵抗部分2010)を設けても良い。

    なお、図10および図11は、それぞれ、他の実施形態について、スパイラル配線201を仮想的にまっすぐに延ばした状態を示す図である。 図10に示すスパイラル配線201も、点203bから点205aにおいて、共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗がスパイラル配線201の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分2010を有している。 ただし、この例では、低抵抗部分2010が点203aから203bまでの範囲の一部にも設けられている。

    図11に示すスパイラル配線201も、点203から点205aにおいて、共振周波数における単位長さ当たりの配線抵抗がスパイラル配線201の他の範囲の少なくとも一部分よりも低く設定された低抵抗部分2010を有している。 ただし、この例では、低抵抗部分2010が点205aから205bまでの範囲の一部にも設けられている。

    本発明の有利な効果を実証するため、図3に示す構成を有する可変共振器を作製した。 具体的には、以下の表1に示す実施例および比較例を作製した。 作製の手順は、以下の通りである。

    まず、長方形状で長辺a=30cm、短辺b=16cm、隣接配線間隔1cm、最大巻数6の条件でスパイラル配線(インダクタ配線)を作製した。 共振器の導体損失を低減するため、スパイラル配線は、直径120ミクロンの銅配線を複数本並列して成るリッツ線から形成した。 リッツ線を構成する並列銅配線の本数に応じてスパイラル配線の単位長さ辺りの配線抵抗が変化する。 実施例1では、スパイラル配線を、並列本数が60本の配線部分と、150本の配線部分と、250本の配線部分とから構成している。 比較例1aでは、スパイラル配線の全体を、並列本数が60本の配線から構成している。 比較例1bでは、スパイラル配線の全体を、並列本数が250本の配線から構成している。

    いずれの可変共振器でも、スパイラル最内部の終端点を点203とし、引き出し線213を介して外部回路の信号線へ接続した。 また、スパイラル最内部の端から数えて巻数2となる箇所で分岐点205a、巻数4となる箇所で分岐点205b、最外部の終端点(巻数6となる箇所)を点205cとした。 点205a、205b、205cには、それぞれ、引き出し線207a、207b、207cを接続した。 引き出し線207a、207b、207cは、それぞれ、容量209a、209b、209cを介して、ロードスイッチ211a、211b、211cに接続した。

    実施例1では、スパイラル配線の終端点203から分岐点205aまでの部分は、並列本数が250本の配線部分から構成され、この部分の配線抵抗が最も低い。 スパイラル配線の分岐点205aから分岐点205bまでの部分は、並列本数が150本の配線部分から構成されている。 スパイラル配線の分岐点205bから終端点205cまでの部分は、並列本数が60本の配線部分から構成され、この部分の配線抵抗が最も高い。

    一方、比較例1aでは、スパイラル配線の一方の終端点203から他方の終端点205aまでの全体が、一様に、並列本数が60本の配線から構成されている。 比較例1bでは、スパイラル配線の一方の終端点203から他方の終端点205aまでの全体が、一様に、並列本数が250本の配線から構成されている。

    ロードスイッチ211a、211b、211cは、いずれも、30mΩのON抵抗を有するMOSFETである。 ロードスイッチ211a、211b、211cは、外部回路の入出力端子のGNDへと接続した。 ロードスイッチ211a、211b、211cの1つを導通させることにより、スパイラル配線201の点203から点215a、215b、215cのいずれかまでの経路が選択され、インダクタンスを可変にすることができる。

    ロードスイッチ211a、211b、211cの任意の1つが選択的に導通する場合、いずれのロードスイッチが選択されても、直列共振回路の共振周波数が1.8MHzとなるように容量209a、209b、209cのキャパシタンスを設定した。 具体的には、容量209a、209b、209cのキャパシタンスを、それぞれ、3640pF(ピコファラッド)、1070pF、500pFに設定した。

    低インピーダンス伝送を行うときは、スイッチ211aが選択され、使用巻数が2のインダクタが共振に寄与することになる。 また、高インピーダンス伝送を行うときは、スイッチ211cが選択され、使用巻数が6のインダクタが共振に寄与することになる。 中インピーダンス伝送を行うときは、スイッチ211bが選択され、使用巻数が4のインダクタが共振に寄与することになる。

    実施例1、比較例1a、比較例1bのそれぞれについて、リッツ線の並列配線本数が表1に示すように異なる共振器を2つずつ作製し、共振器の低損失性の指標としてQ値を測定した。

    また、同一条件の共振器を送電及び受電共振器の対として、インダクタの形成面を平行に20cm離して配置した。 両アンテナの入出力端子をネットワークアナライザに接続し、小信号入力条件で通過/反射特性を測定した。 こうして、アンテナ間伝送効率を最大化する最適インピーダンス値および、最大伝送効率を測定した。 続いて、50Wのエネルギーを送電側のアンテナに給電し、受電アンテナで受電した場合に、送受電アンテナにおいて発生した熱量を測定した。

    表1には、実施例1および比較例1a、1bの構成、伝送特性、50W伝送時に発生した熱量が示されている。 また、比較例1aに用いた配線量を100とする場合における実施例と比較例の総配線量も表1に示されている。

    表1に示すように、比較例1aの低インピーダンス伝送時(スイッチ211aが選択され使用巻数は2)の発生損失は、高インピーダンス伝送時(スイッチ211cが選択され使用巻数は6)と比較して63倍にも達し、実用上改善が必要であった。

    一方、実施例1では、特に低インピーダンス伝送時において、比較例1aに対して伝送効率の大幅な改善が得られた。 低インピーダンス伝送時の発生損失は比較例1aに対して87%低下し、実用上非常に有用な効果が得られた(高インピーダンス伝送時は59%低下)。

    比較例1bでは、3例のうち最高の伝送効率を達成した。 しかし、比較例1aと比べ3.3倍もの配線を使用しなければならなかった。 しかも、比較例1bは、実施例1と比較して配線量を64%も増量したにも関わらず、低インピーダンス伝送時の発生損失は、25%しか削減できなかった。 また、高インピーダンス伝送時の発生損失は40%削減したが、比較例1bの効率と実施例1または比較例1aの効率との差が極めて少ないことも分かった。

    以上のように、大電力伝送時の効率を、少ない配線使用量で効率的に改善する本発明特有の効果が実証された。

    なお、実施例1では、固定引き出し線をスパイラルの内側終端点に設定したが、固定引き出し線をスパイラルの外側終端点側に設定した実施例2を作製した。 実施例2では、実施例1とは逆に、スパイラル配線外側から2巻ごとにリッツ線の並列本数を100、60、30とした。 実施例2では、使用巻数2において861、使用巻数6において1811のQ値を得た。 実施例2は、比較例1aに対して2.19倍の配線使用量であった。 実施例2は配線使用効率およびQ値の特性のいずれも実施例1と比較して若干劣るものの、やはり本発明の有用な効果が実証された。

    なお、本発明の無線電力伝送システムの利用範囲は、必ずしも定電圧駆動システムのみに限定されない。

    本発明にかかる無線電力伝送システムは、パソコン、ノートパソコンなどのオフィス機器や、壁掛けテレビ、モバイルAV機器などのAV機器に適用できる。 この無線電力伝送システムは、補聴器、ヘルスケア機器への充給電にも適用できるだけでなく、電気自動車、電動バイク、移動ロボットへの走行中充電システム、駐車中充電システム等へも適用できる。 更に、太陽電池や燃料電池からの集電システム、直流給電システムにおける機器との接続箇所、交流コンセント代替など幅広い分野に応用できる。

    20 スパイラル配線を構成する線材 101 電源 103 送電器 105 送電共振器 105a インダクタ 105b 容量素子 107 受電共振器 107a インダクタ 107b 容量素子 109 受電器 111 負荷 201 スパイラル配線 201a、201b、201c 配線部分 203 スパイラル配線の終端点 205a、205b、205c、203a、203b スパイラル配線上の任意の点 207a、207b、207c 接地側の引き出し線群 209a、209b、209c 容量 211a、211b、211c 導通経路選択スイッチ 212a、212b 導通経路選択スイッチ 213、213a、213b 信号入力側の引き出し線 215a、215b、215c 端子 216、216a、216b 端子 220 引き出し線選択部 20 10 スパイラル配線の低抵抗部分

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