【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、音楽演奏を録音及び/ 又は再生する自動演奏装置に係り、特に録音及び/又は再生のための機器への電力供給を必要に応じて遮断することにより、異常時の機器の損傷を防止することのできる自動演奏装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動演奏装置において、何等かの原因によってオフイベントが実行できなくなると、既に通電され駆動されていたソレノイドは、そのまま通電され続け、過熱・焼損するおそれがあった。 【0003】このため、従来の自動演奏装置においては、ソレノイド電圧を印加すべき時間として考えられる長さより少し長い時間をメモリに記憶させておき、オンイベントが生じたらこの記憶させた時間を計測し、この時間が到来しても正常なオフイベントが実行されていないときは、ソレノイドの通電を強制的にオフにするという通電時間制限手法が採用され、かかる事態に備えていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、このような通電時間制限手法が有効なのは、プログラムが正常に実行されているにもかかわらずノイズ等によってオフイベントが欠落してしまったような場合に限られ、プログラムが暴走や停止をした場合には、この様な通電時間制限手法自体が実行できなくなってしまうという問題があった。 【0005】このため、従来の装置においては、プログラムの暴走又は停止が発生すると、ソレノイドの通電をオフにすることができなくなり、ソレノイドが通電され続けることによって損傷を被る場合が考えられた。 そこで、何等かの異常でプログラムが暴走又は停止した場合にも、ソレノイドなどの機器が通電され続けて損傷を被ることのない自動演奏装置を提供することを目的として本発明を完成した。 【0006】 【課題を解決するための手段及び作用】かかる課題を解決するためなされた本発明の自動演奏装置は、音楽演奏を録音及び/又は再生する自動演奏装置において、録音及び/又は再生を行うために電気的に駆動される機器へ電力を供給する電源と、録音及び/又は再生のモードが正常に実行されている間だけ交番信号を出力する交番信号出力手段と、該交番信号が出力されている間だけ録音及び/又は再生を行うための機器と電源と電力供給可能な状態に接続し、交番信号が出力されなくなったら該機器と電源とを遮断する接続・遮断手段とを備えることを特徴とする。 【0007】この様に構成したので、本発明の自動演奏装置によれば、交番信号出力手段は、録音及び/又は再生のモードが正常に実行されている間だけ交番信号を出力する。 そして、接続・遮断手段は、交番信号が出力されている間だけ機器と電源とを電力供給可能な状態に接続し、交番信号が出力されなくなったら機器と電源とを遮断する。 従って、録音及び/又は再生のモードが正常に実行されていない場合には機器と電源とが遮断され、 機器への通電がなされなくなり、異常時にそのまま通電され続けてしまうということがない。 この結果、異常時に機器を損傷から的確に保護することができる。 【0008】 【実施例】次に、本発明を適用した自動演奏ピアノの実施例を説明する。 実施例としての自動演奏ピアノ1は、 図1に示す様に、CPU11,ROM12,RAM1 3,クロック14,入出力インタフェース15及びソレノイド駆動信号発生回路16を有するコントローラ10 と、入出力インタフェース15に接続された操作パネル21,ディスプレイ22,フロッピディスクドライバ2 3及び図示しない鍵盤の動きを光センサ等で検出する演奏情報検出センサ24等と、ソレノイド駆動信号発生回路16に接続されたソレノイド駆動回路25とを備え、 演奏の録音及び再生を実行することができる様に構成されている。 操作パネル21は、こうした録音,再生及び停止の各モードの選択や、種々の入力を行うためのものである。 録音モードにおいては、フロッピディスクドライバ23に装着されたフロッピディスク26に、演奏情報検出センサ24の検出結果に基づいた演奏情報の書き込みがなされる。 再生モードにおいては、逆にフロッピディスク26に記録されている演奏情報の読み取りがなされ、その演奏情報に基づいてソレノイド駆動信号が出力され、各鍵盤に配置されたソレノイド27が駆動される。 【0009】こうした各種処理の実行のための電力は、 電源30により与えられる。 電源30は、コントローラ電源であると共に、ソレノイド電源,センサ電源としても機能する。 この電源30とコントローラ10,ソレノイド27との接続関係を図2に示す。 【0010】電源30は、図示の様に、コントローラ1 0,ソレノイド27に対して、それぞれの駆動に必要な直流電流を供給するよう、変圧回路41及び整流回路4 2を介して接続されている。 ここで、ソレノイド27との間にはさらにリレースイッチ43が設けられている。 このリレースイッチ43は、矩形状の電源コントロール信号が入力されている間だけ閉成されるように、コンデンサC1,C2と、抵抗R1,R2と、ダイオードD1 と、トランジスタTr1とからなる図示の電源コントロール回路44によって制御されている。 なお、電源コントロール回路44の電源コントロール信号入力側に設けたコンデンサC1は直流信号を阻止するためのものであって、後述する処理プログラムが暴走・停止した場合にリレースイッチ43を的確に閉成させる目的で配設されている。 【0011】上述した電源回路においては、リレースイッチ43が閉成されている間は、トランジスタTr2とダイオードD2とから構成されるソレノイド駆動回路2 5にコントローラ10からのソレノイド駆動信号がオンとされると、所定のソレノイド27への通電が実行される。 そして、ソレノイド駆動信号がオフとされることによってこの通電が停止される。 一方、リレースイッチ4 3が開放されている場合には、ソレノイド駆動信号の有無にかかわりなく、どのソレノイド27へも通電することができない。 【0012】次に、電源コントロール信号の出力を含む録音/再生処理プログラムについて図3のフローチャートに基づいて説明する。 プログラムは、図示(A)の様に、モード判断処理を行い(S1,S3)、再生モードが設定されている場合には再生ルーチンを実行し(S1 →S2)、録音モードが設定されている場合には録音ルーチンを実行するように構成されている(S3→S 4)。 これらS1〜S4の処理は5msec程度の短い時間で繰り返し実行される。 なお、本実施例では特に、 再生ルーチンの処理に特徴がある。 【0013】再生ルーチンは、図示(B)の様に、新たに処理すべき演奏情報の有無を判断し(S21)、演奏情報が有る場合には、それがオンイベントを指示するものであるかオフイベントを指示するものであるかを判断し(S22)、その判断結果に応じてソレノイドをオン又はオフにするソレノイド駆動信号を出力する(S2 3,S24)。 なお、ソレノイド駆動信号は、演奏情報中の打鍵強度情報に応じた駆動強度を実現するように構成されている。 【0014】一方、S21の判断結果が「無」となった場合には、これらS22〜S24の処理を経ずにソレノイド駆動時間管理処理を実行する(S25)。 このソレノイド駆動時間管理処理とは、駆動されているそれぞれのソレノイドの駆動開始からの時間を計数し、ソレノイド駆動信号をこの時間に見合った駆動強度(平均電力) になるように調整するための処理である。 これは、ソレノイドは一旦駆動されれば発音は完了し、あとは消音時期との関係で駆動位置を保持できれば足りるということから、最初の打鍵強度に見合った駆動信号を所定時間の間だけ出力したら、その後は保持に必要な低電力に切り換えて電力消費量を抑えるためである。 また、この処理は、所定時間経過してもオフイベントが与えられない場合のソレノイド保護の機能も果たしている。 【0015】そして、この再生ルーチンの最後に、入出力インタフェース15の電源リモート端子へ反転信号を出力する(S26)。 この結果、電源コントロール回路44に入力されている電源コントロール信号が反転する。 以上の処理を繰り返す結果、正常に再生モードが実行されている場合には、コントローラ10から電源コントロール回路44へと周波数100Hzの交番信号(電源コントロール信号)が出力されることになる。 この結果、リレースイッチ43は閉成され続ける。 しかし、プログラムが暴走又は停止した場合には、上述した再生ルーチンが実行されなくなるため、電源コントロール信号は反転されなくなる。 従って、電源コントロール信号は所定強さの直流信号になってしまい、直流阻止用のコンデンサC1の作用によってトランジスタTr1はオンとされなくなる。 この結果、リレースイッチ43は開放状態となり、ソレノイド駆動信号が入力されていたとしても各ソレノイド27への通電はなされなくなる。 【0016】また、再生ルーチンが実行されないと電源コントロール信号は反転しないから、録音モードが設定されている場合にもリレースイッチ43は開放状態となってソレノイド27への電力供給がなされることはない。 以上の様に構成したので、本実施例の自動演奏ピアノ1によれば、プログラムが暴走・停止等の異常を来して再生ルーチンが実行されなくなった場合には、ソレノイドへ27の通電を確実に遮断することができる。 この結果、プログラム異常時にソレノイド27が過熱・焼損するといったことがない。 なお、ノイズ等によりオフイベントが欠落した様な場合に対しては、S25の処理によって通電時間管理をも行っているから、従来技術同様に問題ない。 【0017】さらに、再生モード以外の設定となっている場合にもソレノイド電源が遮断されるから、ソレノイド駆動状態において再生モードから他のモードへ切り換えられてしまった様な場合にも自動的にソレノイドをオフとすることができる。 以上本発明の実施例を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の種々なる態様を採用することができる。 【0018】例えば、演奏情報検出センサ24への電源回路も、ソレノイド電源と同様に交番信号付与により閉成されるリレースイッチ及びそのコントロール回路を配設し、録音ルーチン内でS26と同様の処理を実行させることとしてもよい。 この様に構成することで、センサ電源をソレノイド電源と同様にコントロールでき、プログラム暴走・停止時や他のモード切換後もセンサが通電され続けて寿命が短くなるといった不具合を的確に防止することができる。 もちろん、録音ルーチンだけについて本発明を適用することとしても構わない。 【0019】また、自動演奏ピアノに限らず、シーケンサ等においても本発明の構成を適用し、プログラム暴走・停止時の電源遮断を的確に行うことで発音源の損傷を防止する場合などの態様も本発明の要旨を逸脱するものではない。 【0020】 【発明の効果】以上の如く本発明の自動演装置によれば、何等かの異常でプログラムが暴走又は停止した場合にも、ソレノイドなどの機器が通電され続けて損傷を被るといったことがない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 実施例の自動演奏ピアノの構成を示すブロック図である。 【図2】 実施例の電源回路の構成図である。 【図3】 実施例で実行する録音/再生プログラムのフローチャートである。 【符号の説明】 1・・・自動演奏ピアノ、10・・・コントローラ、1 1・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RA M、14・・・クロック、15・・・入出力インタフェース、16・・・ソレノイド駆動信号発生回路、21・ ・・操作パネル、22・・・ディスプレイ、23・・・ フロッピディスクドライバ、24・・・演奏情報検出センサ、25・・・ソレノイド駆動回路、26・・・フロッピディスク、27・・・ソレノイド、30・・・電源、41・・・変圧回路、42・・・整流回路、43・ ・・リレースイッチ、44・・・電源コントロール回路。 |